本部

戦闘

【愛絆】静香の覚悟・レティの涙

一 一

形態
シリーズ(続編)
難易度
難しい
オプション
参加費
1,300
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/11/13 09:00
完成予定
2018/11/22 09:00

掲示板

オープニング

※危険フラグ
このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●焦がれる想い
 愚神・リヤンによる佐藤 信一(az0082)への憑依が発覚して、しばらく経った。
「……信一さん」
 通常業務をする碓氷 静香(az0081)のため息は日に日に増え、面差しに落ちる影もまた濃くなっていた。
『こら、静香! またミスってる!』
 集中力を欠く静香の仕事に共鳴するレティ(az0081hero001)が注意するも、日増しにミスが増えている。
「碓氷さん……その、無理はしない方が……」
「すみません。ですが、人手はどうしても必要でしょう?」
 気を使った職員が心配で開いた口もすぐに閉じる。
 信一が抜けた穴埋めに加え、次から次へと舞い込んでくる膨大な依頼の数々。
 不調とはいえ静香の処理能力は高く、抜けられては困るのも事実なのだ。

 ――プルルルル!

「……もしもし」
 それでも何か言い募ろうとした同僚だが、電話をとった静香を見て離れた。
『もしもし? 佐藤君の恋人さんっている?』
『げ。いつぞやの変態社長』
 声の主は、テーマパーク経営の社長だった。
 個人的に信一と親交があり、過去に依頼したモニター調査も信一が預かった個人案件になる。
 なお、お節介で信一たちの仲をせっつくついでにセクハラをかますため、レティの心証は悪い。
「っ、――わたし、です」
『ちょうどよかった! 実は佐藤君から連絡があったんだけどね――』
「っ!? く、詳しくお聞かせ願えますか!?」
 信一の名が出て一瞬息を詰まらせた静香だが、社長の用件に思わず語調が強くなった。
 なんでも、信一から『H.O.P.E.の広報活動』としてイベントの企画を提案されたらしい。
 内容は『愚神の脅威は強まったけどH.O.P.E.エージェントがいれば安全』という趣旨のヒーローショー。
 役者は新人エージェントを派遣すると説明され、社長は二つ返事で了承したとのこと。
「その、お話は、何日前に?」
『ん~、4、5日前かなぁ?』
 あの事件からもう一週間以上経過しており、確実にリヤンの罠だと判断した。
『それで、佐藤君が『ちょっとしたサプライズがある』とも言ってたから、もしかして公開プロポーズ!? って思って電話しちゃったんだ~』
「すみませんが、そのイベントは中止してください。それと――」
 サプライズを平気でバラす社長に言いたいことはあったが、静香はひとまず適切な指示を出していく。
「後は……今日予定していたというリハーサルの場所と時間を教えていただけませんか?」
 ただ、最後に静香が発したのは、職員としての言葉ではなかった。
『静香、アンタ――』
「外に用事ができましたので、行ってきます」
 通話を終え、レティの声に被さって立ち上がった静香はすぐに支部を出る。
 デスクに残されたメモには、とある場所の住所と短い言葉が書かれていた。

●壊れる思い
 数時間後。
 社長の判断で急遽休園となったテーマパークに、2人の男女が相対した。
「で、君がここにいる理由を聞いてもいいかな?」
「貴方が交渉した社長から話を聞きました」
 信一の顔で穏やかに微笑むリヤンは、無表情にしわを刻み拳を握りしめる静香に納得する。
「……ああ、いつものお節介か。しくじったね、そのとき知ってたら別の人間に声をかけたのに」
「貴方の狙いは、来園した人々のライヴスですね?」
「君たちの仲間から受けた傷が、なかなか治らなくてね。効率的だろう?」
 世間話のような声音でリヤンは肩をすくめ、静香は徐々に握り拳を震わせた。
「信一さんは、」
「まだ生きてるよ。ライヴスを9割喰われて、君に『逃げろ!』って叫ぶ元気があるんだからしぶといよね」
 ――ブツッ
 静香の手のひらを爪が貫き、ゆっくり血がしたたって、落ちる。
「彼を――信一さんを返してっ!!」
「欲張りだなぁ。『この男』は『静香さんとレティちゃんに手を出すな!』ってうるさいし」
 堪えきれず静香が悲痛な叫び声を上げるも、リヤンは信一の顔でヘラヘラとはぐらかす。
『……リヤン! 名前を聞いたときはまさかと思ったけど、やっぱりアンタかこの性悪魔導師!!』
 すると突然、レティが静香の口を借りて割り込んだ。
「誰?」
『幼なじみで相棒の私をかばって死んだはずでしょ『泣き虫リヤン』――いや、『狂黒』!』
「……何故か思い浮かんだ候補は『狂紅』と『暴君レティ』だけど、どっちかな?」
『前者は愚神狩りしてた私の通り名! 後者は子供時代の悪名よアホ!!』
 知己らしい両者はかつての呼び名を交わすが、記憶も想いもすれ違う。
「あいにく、愚神以外の自分に覚えはないよ。でも、そっか……」
 今にも噛みつきそうなレティを袖にしつつ、リヤンはふと笑みを浮かべた。
「君たち、僕の配下になる?」
 予想外の誘いに、静香もレティも言葉を忘れる。
「要するに、君たちは『この男』が心配なんだろう? なら、『この男』ごと僕を守れば一緒じゃないか?」
『ア、ンタ、戯れ言もたいがいにっ「――』わかりました」
 本来ならば受け入れられないリヤンの暴論はしかし、激昂したレティに割り込んだ静香が受け入れた。
『静香っ!! 前に言ったこと忘れた!? 私の戦い方は体への負担が――』
「ごめんなさい、レティ。でも、私は……」
 内から貫く非難を飲み込み、静香は左手で胸元をかきむしる。
「信一さんのいない世界なんて、もう、堪えられない……っ」
 制服を血に染める手の袖口から、ピンク・赤・緑の腕時計が3本のぞく。
【『大切な人』の傍にいる】と誓った、何よりも大切で失ってはいけない3人の絆。
 ……その1つを奪われた静香の心は、信一やレティほど強くはなかった。
「本当、人間って愚かだね――」
『ッ! ――リヤアァンッ!!』
 リヤンとレティのやりとりをどこか他人事のように聞きつつ、静香は体を覆う黒いライヴスに身を任せた。
(――ごめ ん  な   さ    )

 数分後。
 静香のメモに気づいた職員に知らされ、現場に到着したエージェントたちは2つの人影を発見した。
「――ぅぁあ゛あ゛ア゛ア゛ァッ!!!!」
「やあ。ちょうど終わったよ……ね、レティ?」
 満足そうなリヤンの横で血涙を流し絶叫するレティに歯噛みし、武器を構える。



 ――静香が残した書き置きが、床に落ちた。


  彼の傍にいきます

  ごめんなさい

  さようなら
           』



解説

●目標
 愚神リヤンの討伐
 邪英レティの撃退

●登場
・リヤン
 信一に憑依したケントゥリオ級愚神
 かつて異世界で『狂黒』と呼ばれた魔導師だったようだが、当時の記憶はない
 最大射程20sqの魔力球を自在に操る卓越した魔法技術を有するも、前回受けた傷で消耗中

 能力…魔法・命中・特殊抵抗↑↑、物理・回避・生命力・イニシアチブ↓

 スキル
・シェーヌ…常時発動、高い魔法技能による高速攻撃、通常攻撃のみ攻撃回数×1D6
・ウブリ…射程0・範5、魔攻-50、命中+60、灰白色のオーラでライヴスを侵蝕、特殊抵抗判定勝利→BS封印
・?
・?

・邪英レティ
 リヤンの干渉により邪英化(ケントゥリオ級相当)
 かつて異世界で『狂紅』と呼ばれた力を暴走させられ、理性が薄まり会話は困難
 徒手空拳が主体の狂戦士

 能力…不明

 スキル…不明

・佐藤 信一
 リヤンに憑依されたH.O.P.E.職員
 ライヴスの9割以上を喰われつつ自我はまだ残っている模様

・碓氷 静香
 信一と恋人関係にあるH.O.P.E.職員
 信一のいない絶望感に堪えきれず、レティの反対を退け自ら敵の手に堕ちた

●状況
 場所はとあるテーマパーク内の屋外ステージ
 静香の指示を受け、社長が事前に園内アナウンスを行い無人状態
 戦闘に必要な空間はあるが、近くに屋台や飲食用のイスと机などが配置されたまま

 静香の残されたメモから事態を知った職員からの連絡で出動
 PC到着時にはすでにレティは邪英化しており、リヤンとともに襲ってくる
 レティはリヤンの指示にかろうじて従い、PCの声はほとんど届かない

マスターより

 信一さんに続き、静香さんとレティさんも邪英という形で敵対することとなりました
 リヤンに騙された社長さんは、私のシナリオでちょくちょく登場したお節介オヤジです
 おそらく戦闘の余波でテーマパークは一部壊されるでしょうが、諦めてもらいましょう

 今回も敵の能力に不明な部分がありますが、どうもレティさんの戦い方は危険がともなうようです
 思い詰めて暴走してしまった静香さんですが、なるべく助けてあげてください

関連NPC

  • 腕時計が繋ぐ誓約と絆
    佐藤 信一az0082
    人間|25才|男性|-
  • 腕時計が繋ぐ誓約と絆
    碓氷 静香az0081
    人間|21才|女性|攻撃適性

リプレイ公開中 納品日時 2018/11/27 21:27

参加者

  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • その背に【暁】を刻みて
    東江 刀護aa3503
    機械|29才|男性|攻撃
  • 優しい剣士
    双樹 辰美aa3503hero001
    英雄|17才|女性|ブレ
  • 絆を胸に
    五十嵐 七海aa3694
    獣人|18才|女性|命中
  • 絆を胸に
    ジェフ 立川aa3694hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 希望の守り人
    マオ・キムリックaa3951
    獣人|17才|女性|回避
  • 絶望を越えた絆
    レイルースaa3951hero001
    英雄|21才|男性|シャド
  • 特開部名誉職員
    高野信実aa4655
    人間|14才|男性|攻撃
  • 親切な先輩
    ロゼ=ベルトランaa4655hero001
    英雄|28才|女性|バト
  • …すでに違えて復讐を歩む
    アトルラーゼ・ウェンジェンスaa5611
    人間|10才|男性|命中
  • 愛する人と描いた未来は…
    エリズバーク・ウェンジェンスaa5611hero001
    英雄|22才|女性|カオ
  • ほつれた愛と絆の結び手
    志羽 武流aa5715
    人間|23才|男性|回避
  • ほつれた愛と絆の結び手
    志羽 翔流aa5715hero001
    英雄|23才|男性|ブラ

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