本部
闇に這いずる怯懦の刃
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/23 15:00
- 完成予定
- 2015/11/01 15:00
掲示板
-
健全な相談卓
最終発言2015/10/23 00:45:57 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/22 14:38:33
オープニング
●ただ一人の生存者
東京都内、S町二丁目。 表通りには胡乱気な飲み屋やスナックが立ち並び、深夜にも関わらずショッキングピンクのネオンライトに照らされている。
「アイタタ……いけないわね、ちょっと飲みすぎちゃった」
翻って、その光も届かない薄暗い路地裏。そこで彼女は立ち止まり、眉間に指を当てて俯く。
早く家に帰ってシャワーを浴びよう――そう思い、彼女が顔を上げた時だった。
「えっ?」
狭い路地裏の数m先、つい今しがたまで誰も居なかった場所に、誰かが……否、何かが立っていた。
粘土細工で人を不器用に真似たような、アンバランスな輪郭が小刻みに揺れている。
楕円形の球体を複数繋げたような、ずんぐりとした胴体部。比するに不自然なほど細長い、昆虫を思わす三対六本の不気味な腕……あるいは足。その先端はカミソリのように鋭い。
発する音は呼吸音だろうか? 凶悪な口許から漏れ聞こえる不規則で荒いそれは、目の前の物言わぬ何かが異常な存在である事をハッキリと告げている。
(まさか、例の連続殺人事件の……!?)
彼女が思い至ったのは、ここ最近町を騒がす物騒な事件。
刹那。その何かはまるで虫のように路地壁を這い、彼女へと踊りかかった。
●心臓抉り
「依頼だぜ」
H.O.P.E.本部にて、心なしか顔色の悪い中年の事務員が説明を開始した。
「発端は、数週間前から断続的に発生していたS町二丁目の連続殺人事件だ。……この事件は愚神や従魔ではなく人間による犯行だと断定されててな。警察で捜査が進められていたんだが」
「アタシ見たのよ! アイツは絶対に人間なんかじゃなかった。あの恐ろしい牙……あれは悪魔よ!!」
ただ一人の生き残りである依頼者が吼えるように叫んだ。
夜の商売らしい華美な衣装に身を包んだ彼女をなんとか宥めつつ、中年事務員は努めて平静を装いながら言葉を続ける。……なんだか顔色が悪いのは依頼者の顔が近いからだ。
「被害者は全員女性で、いわゆる……そう、『接客業』に従事していたらしい。犯行時刻はいずれも深夜、被害者が一人でいる所を鋭利な刃物のようなもので心臓を抉られて殺害されている。で……ここが妙な点なんだが、この被害者達にはライヴスを奪われた様子が無いんだよ。H.O.P.E.のプリセンサーもライヴス反応を確認出来なかったしな」
他者に目撃されないように、か弱い女性ばかりを狙い、しかもライヴスを奪うでもなく殺害する。
心臓を抉るという猟奇性はともかく、人間を己の糧としている従魔・愚神の犯行にしてはイレギュラーな部分が目立つ。
「それでな……どうしてこの依頼者だけが犯人を目撃して生存したか、なんだが」
「あのクソ野郎、ぶちっとちぎれて逃げたのよ!? それで路地壁を虫みたいにすばしこく這いずり回ってね! 思い出しただけでホント気持ちワルいわッ!!」
そこで依頼者――いかがわしいスナック従業員にしてドレッドノートの相棒を持つ能力者、源氏名マリアが激昂した。黒人特有のしなやかな筋肉が憤怒を代弁するかの如く盛り上がる。
「ちょ……頼むから落ち着いてくれって! マジで、マジでマジで!」
マリアを必死に宥める中年事務員の顔色はすこぶる悪い。マリアの顔がとても近いのだ。
●二つの危険
短いティーブレイクを挟んで中年事務員が説明を続ける。先程よりも更に顔色が悪いのは怒声に怖気づいたワケでなく、マリアに太ももを撫でられているからだ。
「その、なんだ。お前らも気付いたと思うが、ボブ――」
「マリアって呼んで?」
「――マリア、さんの目撃情報を連続殺人事件と関連付けるには二つ矛盾がある。一つは過去の事件でプリセンサーに確認できなかったライヴス反応が、今回の事件では確認出来た事。そしてもう一つは、従魔がマリアさんの『顔』を牙で襲おうとした事」
ハッとした表情を見せるマリアを横目に、中年事務員は事件の資料を広げながらエージェント達へと言葉を続ける。
「恐らくは連続殺人犯『心臓抉り』とは別の脅威として、二丁目には従魔が潜んでる。まあなんとも、間の悪い事だがよ……」
「なんてこと……!? ンモーとにかくどうにかしてちょうだい! ○○の○○野郎どもがアタシ達の街に潜んでると思うと心底○○・○○だわ!」
資料を見比べて苦笑する中年事務員の横で、マリアはFワードを連発しながら憤る。……彼女がここまで激昂する理由は、従魔がもたらした生理的嫌悪感だけではない。
彼女は自分を受け入れてくれた二丁目と、そこに住む人々の事を愛しているのだ。そして今、それらを守れるのは他ならぬエージェント達しかいない。
「お願いよ。犯人連中をとっちめてくれたら、お店でうんとサービスしたげるから」
果たしてサービスして頂くかどうかは、今は置いておくとしよう。考え込んでいた中年事務員が軽く頭を振って君達へと言葉を投げた。
「従魔のヤツはうまく誘い出すか、あるいはねぐらを見つけ出すってとこか。逃げられないよう、分裂能力には注意しろよ。『心臓抉り』は……ヴィランや愚神の線は正直無いが、放っとくわけにもいかんよな。ちっとばかし力を貸してやってくれねぇか?」
マリアの熱っぽい視線に気付かないフリをしながら、中年事務員はエージェント達をいかがわしく華やかな街へと送り出した。
解説
●虫の従魔……デクリオ級従魔。先端が刃物のように鋭い足を六本持ち、強靭な顎を持っている。壁をすばしこく這い回り、狭い路地裏であろうと不自由無く動く。
自身の生存を最優先にして行動し、危険を感じれば即座に逃げ出そうとする。攻撃を受けると千切れて分裂し、新しい顎と足が生えるため油断は禁物。
プリセンサーによれば暗闇の中でしか動けないらしい。
●心臓抉り……二丁目の連続殺人事件の犯人。その名の通り、被害者の心臓を抉り取って殺害してきた。
警察は能力犯罪者でもなければ愚神でもないと断定しており、捜査が続けられているが状況は芳しくないようだ。
●被害者……三名の華やかな若い女性達。いずれも『接客業』に従事。全員が鋭い刃物のようなもので心臓を抉り取られ殺害されている。
他に目立つ外傷は無く、争った形跡も無し。金品についても手付かずのまま放置されていた。
犯行時刻は一様に深夜で殺害現場はいずれも路地裏の人目に付かない薄暗がり。
●マリア……本名ボブ。黒人。好きなタイプは中年男。フローラルな香水と華美なドレスを愛用。
ドレッドノートの相棒を持つリンカーにしてスナック従業員。お店ではNo.2の人気者。
虫の従魔による攻撃を共鳴して防ぎ、反撃に出ようとしたが逃げられた。
S町住人達との間に太いパイプを持ち、彼女を通してS町住人へ直接戦闘に関わらない範囲での協力や情報収集を求める事も可能。
●S町二丁目……妖しげなバーやホテル、風俗店等が猥雑に立ち並ぶ青少年の色々に好ましくない地区。住人は人種性別その他諸々に寛容。
近年人口の流入が激しく、廃ビル・廃屋・廃工場等に住み着く怪しい人種も少なくない。
マスターより
青少年の色々に配慮し、極めて健全なシナリオをお届けします。こんにちわ、ゆあーです。
マリアさんは戦闘については素人なので従魔討伐には同行できませんが、情報収集の手伝いをしてくれます。
未成年お断りの怪しいお店でも、情報収集のためなら入っても大丈夫! なので、平和な二丁目を取り戻すために色々と頑張って下さい。
それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/28 21:20
参加者
掲示板
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健全な相談卓
最終発言2015/10/23 00:45:57 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/22 14:38:33