本部
【幻灯(番外3)】正義の値段
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 8~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/01/28 07:30
- 完成予定
- 2018/02/11 07:30
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
緊急作戦相談所
最終発言2018/01/27 21:26:43 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/01/27 18:57:06 -
質問卓
最終発言2018/01/27 17:39:24
オープニング
※現在展開しております【幻灯】の番外ストーリーです。シリーズ本編に参加されているPC様は参加不可となっておりますので、その旨ご了承いただけますようお願いいたします。
●17:23
部下と共にその島へと踏み込んだテレサ・バートレット(az0030)が見たものは。
撒き散らされた海賊たちの骸と、そのただ中に立つ長身痩躯のアフリカンであった。
「遅かったね」
振り向いたアフリカンが静かに笑む。
凄絶な血臭に目眩を感じながら、それでもテレサはアフリカンへ踏み出し――かけた足は、1ミリだって動いていない。体が全力で拒否しているのだ。あの男に近づくことを。
『テレサ、あれ……やばいアルよ』
テレサの内よりマイリン・アイゼラ(az0030hero001)が警告した。いつもの明るさは欠片もない、か細いばかりの声音で。
「テレサ・バートレット。こんなお嬢さんに特務エージェントやらせるとかお父さん、親馬鹿だねぇ」
「あなたは」
声が震える。それを悔しいとか情けないと思う余裕すらなかった。歴戦の特務エージェントであるはずの彼女が、獅子を前にした小娘のようにすくんでいた。
「この島に監禁されてた海賊全員、監視役の海賊に殺されたよ」
アフリカンは尖った肩をすくめ。
「3時間57分。僕がH.O.P.E.に連絡を入れて、君がここへ来るまでの時間だ。演者に開演を待ってもらうには長すぎたね」
『ラウラ・マリア・日日・ブラジレイロの部下が囚われている場所を特定した。救助を頼む』と座標データが本部に届いたのは約4時間前だ。
テレサの行動は迅速だったはずだ。たとえ最悪の結末が訪れたらしいことを見届けることすらできず、こうして立ち尽くすよりないのだとしても。
「君はすぐに飛び出すべきだった。ひとりでもね」
したり顔のアフリカンに、テレサの部下であるドレッドノートが跳びかかる。
「全部おまえがやったんだろう!?」
ドレッドノートの疾風怒濤が三度空を切り、まっすぐ崩れ落ちた。三撃にそれぞれ拳を合わされ、肝臓、鳩尾、こめかみを打ち抜かれたのだ。
これが東京海上支部のエージェントを幾度となく打ちのめしたという、魔法のようなカウンター攻撃か。
「僕は見てただけさ。監視役を殺したのはサービスかな」
チームは一斉にアフリカンの包囲攻撃を開始したが――あらゆる近距離攻撃はくぐり抜けられ、遠距離攻撃はすり抜けられて、ひとりひとり急所を拳で打ち抜かれ、昏倒する。
“長い戦いの歌”……通称ソング。元マガツヒの客分にして現在は『OO』なる未確認組織に籍を置くという、個として最高の域にある暴力の化身。
「大丈夫、殺してないよ。H.O.P.E.とは話し合いもできてないしね」
ひとり残されたテレサの眼前に、笑みを湛えてソングが立った。
「……あたしたちは、悪を赦したりしない」
絞り出した言葉が強がりでしかないことを、テレサ本人が誰よりも知っている。それでも言わなければならなかった。だってあたしは――
「ジーニアスヒロイン」
思うよりも先に、唱えるつもりだったワードを口にされる。
「そのポケットへ詰め込んだ正義、いったいどれくらいの価値がある?」
硬直したテレサの耳元にソングは唇を寄せ。
「君の正義は、安い」
離れた。
「報告しておいてよ。捕虜の救出は失敗。ただしジャンク海賊団の一党は無力化したって」
遠ざかっていく背中に、一発の弾丸を撃ち込むこともできなかった。
●20:42
ジョアンペソアの裏路地にある酒場。
人目の届きにくい隅の席に座したソングはピンガをなめて。
「夢を叶えてほしい。これが彼らの伝言だよ」
向かいのラウラ・マリアへ告げた。
「世話かけたね」
ラウラ・マリアは表情を揺らがせることもなく、ただうなずいた。
先の会談で泥を塗られた幹部が、その体面のため彼女の部下を殺すだろうことは悟っていた。
それでも彼女が動けなかったのは、より多くの――彼女が支援するサンパウロのストリートチルドレンを盾に取られたからだ。
元は彼女もストリートチルドレンのひとり。弱者がどれほど容易く強者の悪意に殺されるものか、十二分に思い知っている。
言い訳をするつもりはない。自分が大切な部下見殺したことを。しかし。
「あんたはあたしの敵だ。次会ったときには、殺る」
ソングはショットグラスの中身を干し、立ち上がる。
「今すぐでもいいんだけど、ちゃんと相手してほしいしね。……今回の黒幕は僕らが抑えた。君は少なくとも、明日の朝までは自由だ」
かくて独りとなったラウラ・マリアはグラスを置いた。
「行くかい」
『ようそろ、だな』
内から答えた英雄ジオヴァーナがライヴスを燃やす。
死者に贖うため、行く。
己とジオヴァーナに報いるため、行く。
奇しくも今日は日曜日。例の鏡面体が口を開けるまでもう少し。
ラウラ・マリアは左右に佩いた日本刀の柄頭を押さえ、歩を早めた。
●21:59
ブランコ岬の灯台。
螺旋階段を登るラウラ・マリアはふと頭を下げ、飛び込んできた弾丸を避ける。
「H.O.P.E.の番人が、ひとり」
上の誰かにあえて聞こえるように言った。ひとりで止められるって、本気で思ってんのかい?
「この灯台はH.O.P.E.の管轄下にあるわ。一般人を危険へ近づけさせるわけにはいかない」
頑なさをごまかすために感情を押し殺した、女の声。
一気に抜き放った日本刀を両手に携え、ラウラ・マリアが跳んだ。手すりを伝い、壁を蹴り、体を宙で転じ、次々撃ち込まれる銃弾をかわしていく。
『あたしたちだけじゃ抑えらんないアルよ!!』
上からラウラ・マリアを撃つジャックポットの内より英雄が叫んだ。
「あたしがパパからもらった正義にかけて、海賊を見逃したりしない! 危険区域に行かせもしない! “長い戦いの歌”を、絶対捕まえる!!」
ジャックポット――テレサが食いしばった歯の隙間から言い放った。
「本音はそれかい。旦那もめんどくさい置き土産しこんでってくれたもんだ」
かくて呼び出された日本刀が豪雨となって降り落ちる。壁に、階段に、そしてライトを取り巻いて突き立った刃が共振し、太い音色を奏であげた。
激しくシェイクされたテレサの内臓が引きちぎれるが、それでも。
「行、かせない……!」
バレットストームが灯台の内を跳ね回り、ラウラ・マリアへ殺到した。
「ち!」
防御も回避も放棄、ライト目ざして駆けるラウラ・マリア。そして。
女海賊の伸べた手ごと、銃弾がライトを撃ち抜いた。
「!?」
砕けたライトからあふれ出す、黒。
共に傷ついたテレサとラウラ・マリアは避けることもできぬまま、黒に飲まれて消えた。
解説
●依頼
1.ドロップゾーンに飲まれたテレサ・バートレットを救出してください。
2.謎の従魔4体を倒し、情景を脱出してください。
●状況
・ジョアンペソア支部より東京海上支部へ緊急連絡が入り、「テレサ・バートレットがドロップゾーンに飲まれた」旨が伝えられました(ラウラ・マリアについての言及はありませんが、予想は自由)。参加エージェントはそれを受けて緊急出動します。
・灯台へ至るまでの過程に障害はなし。
・灯台の内は黒に満ちており、どこから侵入しても同じ情景の内に放り込まれます。
・エージェントが行く情景は、3年前の『ブランコ岬防衛戦』において、東京海上支部からの増援が到着し、海から攻め寄せた愚神と従魔群を押し返し始めたその瞬間となります(お手数ですが、『【幻灯】痕(http://www.wtrpg0.com/scenario/replay/5088)』のオープニングと解説をざっとご確認ください)。
・この情景内に、その場にいなかったはずの新種のケントゥリオ級従魔が4体現われます。
・戦場のどこかにいる傷ついたテレサを探して保護してください。
・テレサはラウラ・マリアの捕縛を頑なに実行しようとします。
・ラウラ・マリアと共闘するも敵対するも自由です。
●謎の従魔
・ドレッドノート、ブレイブナイト、ジャックポット、シャドウルーカーをそれぞれ模しているようですが、詳細は不明です。
・4体を倒すまで脱出不可。
●愚神
・上半身は褐色の女、下半身は蛸というスキュラ型。
・最後方に位置し、自分からは攻撃しません。
●備考
・魚人(ミーレス級従魔)600の相手は、基本的に増援がします。
・ラウラ・マリアは情景内で「見る」ことができませんでした。
・脱出後、灯台の外でソングと会合し、ラウラ・マリアは彼の手を取ることになります(彼女の捕縛は可能。そうすると彼女は物語から退場します)。
マスターより
お疲れ様です、電気石八生と申します。
こちらは【幻灯】本編のクライマックスへの導入、そして新しい物語の先触れとなっております。
よろしければご参加の上、ご確認いただけましたらば幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/02/05 17:27
参加者
掲示板
-
緊急作戦相談所
最終発言2018/01/27 21:26:43 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/01/27 18:57:06 -
質問卓
最終発言2018/01/27 17:39:24