本部
支配種の饗宴
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/07/12 15:00
- 完成予定
- 2017/07/21 15:00
掲示板
-
【相談】裁きの刃と救いの手
最終発言2017/07/12 12:47:55 -
質問用スレッド
最終発言2017/07/12 08:53:19 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/07/09 18:28:48
オープニング
●竜の不遜も姫には甘く
あるところに美しい娘がいた。娘は裕福な市長の家に産まれ、古き良き雰囲気を残す街とともに市長や住民の自慢のひとつであった。
娘が屋敷の庭でお茶を楽しんでいると、庭先に男がやってきた。男は身の丈ほどの竜頭の杖をつき、夏にもかかわらず分厚いコートを着ていた。
娘はその男を不思議に思ったが、上品な上着を纏い杖の他に何も持っていない男が強盗や浮浪者には見えなかった。それにもし彼が客人なら失礼があってはいけないと考え、娘は丁寧に挨拶した。
「ごきげんよう。どちらさまですか?」
男はフードを目深に被ったまま、優しい物腰で娘に尋ねた。
「お嬢さん。領主……ああ、いや、市長は在宅かな? 私は、うむ、この街のことで話があるのだ」
娘はその男に見覚えがなかったが、歴史ある街を誇りに思う父が冗談めかして領主を名乗っていることは知っていた。そして娘の父は覚えきれないほどの友人と親戚と仕事仲間がいた。
「お父様はお仕事に出られました。日をまたぐと仰っていましたし、帰りは遅いと思いますけれど……」
「ふむふむ。それは結構。私の仕事もやりやすいというものだ」
男は杖をついて娘へ近寄った。頭巾に隠れた顔は若く、難しい話をするときの父よりも鋭い目がぎらついていた。
「ここはよい街だ。人は栄え、土地も豊かだ。私はここが気に入った」
男が杖を掲げた。コートの袖がまくられ、筋張った若い腕に鱗のようなものが見えた。
「すべてもらう」
男が本性を現した。暗い霧とともに、その背中や影から邪悪な獣が染み出してきて解き放たれた。トカゲやコウモリに似た怪物が唸り声を上げて庭中を飛び、走り回った。そこかしこで使用人たちの悲鳴が聞こえた。
「私はずっと探していたのだ。私の庭にふさわしい場所、私の餌食にふさわしい人間たちを。この街はすばらしい。今日から私のものだ。お前たちはその糧となるのだ。まずはお前とこの家の人間を頂き、そして街中の人間を追い立てる狩りを始めるとしよう」
今や猛禽の鉤爪のように危険な男の指が娘の顔に迫った。
「まあ、もったいない!」
娘は咄嗟に大声で叫んだ。男は手を止め、睨みつける娘の顔を覗き込んだ。
「あなたはたくさんの人間を食べたいのでしょう? それなのに今すぐにわたくしの街を食べてしまうつもりでいる。なんてもったいない!」
「何だと? それはどういうことだ」
「お父様はこの街に移民を考えています。何百人、何千人、もっと多くの人間たちを受け入れるつもりなのです。なのに、あなたがわたくしやこの家の者を食べ尽くし、街の人まで残らず食べてしまった。きっとお父様は人々を守ろうと危険な街から出て行ってしまうわ。数え切れない人間たちを連れて!」
嘘だ。そんな話は誰も聞いていない。娘は少しでも時間を稼ぐために思いつく限りの作り話をした。身振りをつけて大げさに演技し、涙が出ないよう力を込めた顔から虚栄と恐怖を見抜かれてしまわないよう祈った。
男は顎をさすってしばし考えていた。やがて意地悪で恐ろしい笑みを浮かべて、娘を指さして言った。
「いいだろう。お前の父親が戻って来るまで待つとしよう。それはいつになる予定か?」
「それは……たぶん、明日のお昼だわ。ひょっとしたら、話し合いが長くなってもっと遅いかもしれないけれど……」
「そうか。では明日の日暮れまで待ってやろう。それまでにお前の父親が戻らねばお前を食い、この街も食ってやろう。お前や街の人間が逃げたり、助けを呼んだり、嘘をついていたとわかったら、すぐに我が眷属を放ち、捕まえて、お前と街を食ってやろう」
男は屋敷の中へ入って行った。玄関から一人のメイドが外に放り出され、たちまち無数の魔物が群がった。
娘はへたり込んだ。悪鬼どもが娘のそばへ集まったが、襲いかかってはこなかった。見張られているのだ、あの男は自分で食べるつもりなのだ。娘は涙を流した。日常と平和は突然に破られた。男が異形とともに放った霧が屋敷の空を覆い尽くし、辺りは夜のように暗くなった。
男は愚神だった。それが何者で、どれほど悪いもので、そして誰の力なら倒せるかも娘は知っていた。今はただ、あれと戦える勇者が街の異変に気づいてくれることを願うしかなかった。
●急くは英雄ばかりなり
「愚神が街を襲うという事件が予知されました。今回はその、少し危険な任務になります」
あえてそう前置きをしてから職員はエージェントたちに話した。
「場所はヨーロッパです。古い街並みが保存されている都市部を愚神の率いる従魔の大群が攻撃しようとしています。愚神は従魔を呼び出す能力に長けています。現在市長の家を占領してドロップゾーンを展開し、一晩かけて従魔を増やして翌日の夕方に街へ繰り出すつもりのようです。皆さんは愚神が市長の家にいる間に強襲し、これを撃破してください」
通常、こういった依頼は一般人を避難させる手順が予測される。だが今回は住民が避難を開始すると無数の従魔が放たれることまで予知が及んでいる。そのため今夜、住民の寝静まった夜間から夜明けにかけての作戦が提案されたのだ。
「市長の家についてですが、小高い丘の上に立っている広い屋敷になっています。敷地内へは愚神のドロップゾーンの影響によって正門以外からの侵入は困難です。そして明日には召喚された従魔すべてが街へ放たれることになります」
職員は現地の地図などの資料を手渡した。上空から見た街の写真には大勢の人間が映っていた。
「屋敷の中に生存者がいれば可能な限り保護してあげてください。愚神が現れてまもない今なら生き残っているひとがいるかもしれません。ただ屋敷は従魔の巣と化しています。激しい戦闘に備えてください。また愚神は本体の階位も高いようです。従魔の召喚以外にも強力な力を秘めているかもしれません。厳しい戦いになると思われます。どうかお気をつけて」
解説
●目的
愚神とすべての従魔の撃破。生存者の保護。
●現場
小高い丘にある市長の家屋敷。丘の上から街が見渡せる。
ドロップゾーンの影響により、塀を越えるなど正門以外の場所から敷地内へ移動することはできない。正門から屋敷までは広い庭になっていて、召喚された従魔が点在している。
愚神、生存者である市長の娘と数人のメイドが、それぞれ屋敷のどこかにいる。屋敷の主な部屋は、居間、書斎、寝室、食堂、地下貯蔵庫、応接間である。
●愚神
人型愚神。ケントゥリオ級。
強い力を持ち、人間を捕食すること自体を楽しんでいる。美しい街に栄える人間を好み、従魔を放って人間を追い立て狩りをするような大量虐殺を目論んでいる。
従魔の召喚を得意としている。本体の戦闘能力は高くないようだが……?
・従魔召喚
トカゲ型従魔一体とコウモリ型従魔一体を召喚する。
・従魔強化
自分を中心とした一定の範囲内に存在する従魔の攻撃力が上がる。
・攻撃魔法
短射程単体魔法攻撃。命中した相手にBS:翻弄を付与する。
・ドラゴン変化
シナリオ中に一回使用できる。
全長約5mのドラゴンに変身する。物理攻撃、魔法攻撃、移動力、イニシアチブが上昇し、近接単体物理攻撃のドラゴンクロー、長射程範囲魔法攻撃のドラゴンブレス、飛行能力を得て、他のすべての能力を失う。
●従魔
すべての従魔が噛みつきなどの基本的な近接単体物理攻撃を持つ。
・トカゲ型従魔
ミーレス級。命中が高い。短射程単体魔法攻撃の炎を吐く。
屋外に三体、室内に一体存在する。
・コウモリ型従魔
ミーレス級。回避が高い。飛行能力を持つ。
屋外に二体、室内に一体存在する。
・ウシ型従魔
デクリオ級。生命力が高い。通常攻撃に軽度のBS:減退を付与する。
屋外の正門と玄関前に入口を守るように一体ずつ存在する。
マスターより
どうも、長男です。
ドラゴンが好きです。題材として、生物として、仲間にするのも挑みかかるのも好きです。
竜退治といえば財宝と若い娘、ダンジョンとはびこる魔物、そして街を恐怖に陥れる強力なドラゴン!
今回はそんな古典的なドラゴン退治を楽しんでいただきましょう。
皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
リプレイ公開中 納品日時 2017/07/17 20:06
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【相談】裁きの刃と救いの手
最終発言2017/07/12 12:47:55 -
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最終発言2017/07/12 08:53:19 -
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