本部

【屍国】連動シナリオ

調査

【屍国】トンネル向こうは根の国底の国

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/03/13 22:00
完成予定
2017/03/27 22:00

このシナリオは5日間納期が延長されています。

掲示板

オープニング

●三島地区
「H.O.P.E.です! この先、従魔が発生ており危険です、引き返してください!!」
 曇り空の下、肩章が付属した白いコートが眩しい。
「わかりました。ご苦労様です」
 そう答えると赤世は窓を閉めた。
「はー……死ぬかと思った。警察じゃなくてH.O.P.E.かよ」
「免許不携帯って免停だっけ……じきに警察も来るんじゃないか」
「従魔って例のゾンビだろ? そんなところに一般の警察が来るかな」
 そう言って、赤世は隣の友人を見た。
「ていうかさ、オマエが急に眠いとか言うから運転代わったワケで、そのオマエが偉そうなこというなよ」
「だるくてさ……っていうか、偉そうって言えば、あのH.O.P.E.も偉そうだったよな。英雄が居るだけの一般人のくせしてさ」
「まあなあ、俺だって英雄さえ来てくれれば……」
「……俺、まだ例のゾンビ見たことないんだよね。あのテレビもリアルタイムじゃ見逃しちゃったし」
「あ?」
「いい抜け道があるんだよ。ちょっと行って動画でも撮って来ないか? 動画サイトにUPしたら結構来ると思うんだ」


「検問かしら」
「うーん、良く見えないけど封鎖してるみたいだね」
 ファミリーワゴンの後部座席で幼い少女の激しい泣き声が車内に響く。
「こら! 静かにしろ!!」
「だって、ハルカがあ」
「車では静かにしろって言ってるだろ、お兄ちゃんだろ!」
 ドリンクホルダーから缶コーヒーを取るとユウジはそれに口を付け────。
「ん、あの車、脇道入って行ったな」
「あんなところに道があるの?」
「地元のナンバーだったし、きっと抜け道があるんだ」
「やめてよ、そういうの」
「大丈夫だって。行ってみよう」
 赤世達が乗った白い軽ワゴンカーが曲がった小道を加持一家の赤いミニバンが追うように曲がる。



●隧道(はかみち)
「おい、もうこの先トンネルしかねーぞ。トンネルの中で化物に会ったら逃げ場ねーし、引き返そうぜ」
「こっちじゃないのかもなあ……って、ヤバイ、警察じゃねーか……」
「見つかる前に中入るか……待避所でUターンできるだろうし、なんかあったらH.O.P.E.が止めるだろ」
 そのまま赤世たちは他の車両に会うこともなく、いつも通りにトンネルの中を進む。
「もうちょっと行ってみるか?」
 すでにいくつかの待避所は通り過ぎたか、従魔もエージェントの姿も見えない。
「こっちじゃなかったんだろうなあ……」
 赤世はため息をついた。友人の澤近はさっきからずっと助手席でスマートフォンを弄っている。
「法皇トンネルってさあ、ちょっとアレだよな……」
 古い一車線のトンネルである。対向車とのすれ違いは待避所を使わねばならない。暗く狭く単調なだけでなく、かなり長いトンネルだ。独りで黙って運転していると退屈なだけではなく、少し怖くなる。
 いや、それだけではない。
 ここは出ると有名な心霊スポットでもあるのだ。
 このトンネルを抜けるといるはずの無い、誰かがいる。

 法皇トンネルの入り口には『法皇隧道』と書かれた古い銘板が刻まれている。
『そう言えば、隧道って墓穴に通じる道のことなんだぜ』
 昔、澤近が言ったことが脳裏を過る。
『墓地へと続く墓道のことを言うらしい。棺を埋めるために────』
 ────じゃあ、箱車(ハコ)に乗って隧道を過ぎたら、俺たちは根の国へ行くってわけだ。
 そう言ったのは、誰だ。

 柄にもなく掌に嫌な汗が滲む。
 ────大体、ネの国ってなんだよ。
「おい、ちょっと音楽変えてくれないか?」
 しかし、赤世を無視して澤近はスマートフォンに夢中だ。
「おい!」
 赤世が声を荒げた瞬間、ふっと────車内が少し暗くなった気がした。
 澤近のスマートフォンがスリープモードに変わったのだ。
「なんだよ……寝てるのか?」
「……」
 もう少し走れば次の待避所がある。
 赤世はそこでUターンして戻ろうと思った。
「……?」
 最初は、トンネル内の照明のせいかと思った。
 力無く頭を垂れている澤近の髪の間から覗く首筋の、異様な青白さ。
「おい……」
 具合が悪いのだろう、そう思うのに、赤世の声はなぜか震えていた。
「さわ────」
 澤近がむせって身体を折り曲げた。
 その瞬間、乱れた髪から切り取ったように一部だけ青白くなった澤近の肌が見えた。

 ────新型感染症に感染すると肌が部分的に青白くなり、やがて全身に────死に至り────……。

 そんな話を聞いたのは、いつだったか、誰からだったか。
 もう覚えていないけれど、もしかしたら、澤近から、だったかもしれない。
「う、うあああああああああああああ」
 アクセル、急ブレーキ、スピン、衝撃。
 バン! と膨らんだエアバッグがぐったりとした友人の身体を大きく跳ね上げた。。
 衝撃を吸収したエアバッグが縮むと、肌の色が一部変わった澤近がゆるゆると赤世に手を伸ばした。
「う……あかせ……」
「は、あああ、やめろおおおおおおおおお!」
 赤世はフロントドアポケットに放り込んでいた緊急脱出ハンマーを掴むと、その柄を友人だったモノに叩きつけた。事故の衝撃で緩く開いていたらしい助手席のドアが開き、赤世は必死でソレを車外に蹴り出した。
「────う、おわあ」
 震える手でドアを閉じロックをかける。ドアの向こうで澤近が崩れ落ちるのがわかった。
「ごめん……ごめん……」
 べちゃ……べちゃり……。
 震えながら顔をあげた赤世の目の前にフロントガラスいっぱいに張り付いた……。
 トンネル内に短くクラクションの音が響く。
 歪んだ車体から外の音が流れ込む。
 トンネルを通る風の音。
 そして獣が唸るような────亡者の怨嗟のこえ。
 ……そして、車内を侵食する、吐き気をもよおす腐臭。
 ひしゃげたボンネットの向こうに、ヘッドライトに照らされた、ぼろぼろの、腐乱した、大量の死体。
 砂糖に群がる蟻のように、フレームの歪んだ白のワゴンに這いのぼる、ゾンビたち────。
「……あか……せ……」
 掠れた友人の声が聞こえた気がした。
 赤世の瞳からゆっくりと涙が零れ落ちた。



●オペレーターより作戦エージェントへ
 愛媛県四国中央市。
 かつて金砂町と呼ばれた場所で無数のゾンビが発生。
 H.O.P.E.から派遣されたエージェントが道路を封鎖、ゾンビたちを撃退。
 しかし、全てを撃破することは叶わず、一部のゾンビが山中に逃げ込んだ。
 ゾンビたちは国道三一九号、法皇トンネルに潜入し松山自動車道方面に向かっている模様。
 松山自動車道にゾンビが侵入した場合、物流に極めて悪影響が予想される。
 エージェント数名の乗ったミニバンがゾンビの間を抜けて法皇トンネルを走行中。
 法皇トンネル出口ではエージェントたちが到着次第、封鎖予定。
 ────……また、トンネル内には何台かの民間人が乗った車両の存在が報告されている。

解説

目的:ダイナマイトを届けトンネルを封鎖せよ
トンネルの旧金砂町側はH.O.P.E.別動隊によって封鎖予定
トンネルを抜け松山自動車道側(三島地区側)へダイナマイトを届けトンネルを塞ぐ


●一般人 放置すると混乱して車外に飛び出し極めて危険
・A車(軽ワゴン):赤世:車内で混乱状態、外には発症し負傷した澤近がいる
・B車:加地(かじ)一家:ユウジとハルナ、小学生のユウタ、三歳のハルカが同乗
※エージェント車とB車は3列7人乗りのミニバン


●法皇トンネル
全長1,663m/幅4.5m/高さ4.7m ※1車線、車両のすれ違いが出来ないため待避所有


●PC情報
・トンネル内の状況 ※矢印は進行方向
至・旧金砂町 ←→ 至・三島地区
ゾンビ→ エージェント→ ゾンビ→ ←一般人車両が二台?
※ゾンビは2隊に別れており、恐らく20体ずつ(増える可能性有、殲滅は難しい)
※至・金砂町側は暫くすると閉鎖される
※至・三島地区側はPLたちが脱出した時点で封鎖予定
※A車のクラクション音は聞こえてる


●PL情報
これまでに新型感染症に感染したエージェントは確認されていない。感染しないという情報もあるが、真偽は不明。

・トンネル内の状況
至・金砂町 ←→ 至・三島地区
ゾンビ→ エージェント→ ゾンビ→ (待避所・A車事故現場)ゾンビ→(待避所)←B車(待避所)

※エージェントの車はA車の事故現場を通過できない
※ゾンビ退治を優先した場合、A車の赤世は車外に飛び出す
※B車はゾンビに遭遇(ゾンビをはねる)するまで状況を知らない
※ゾンビをはねたB車はしばらく止まった後、ユウジが車外に出る
※B車は待避所でUターンできる
各車両の距離は正確には解らないが、移動力の高いPCが全速移動すればB車にある程度早く着くことができる
ただし、全力移動中は攻撃も回避も行うことはできない
全力移動:ルール>戦闘マップ頁ムーブ(移動)項参照

マスターより

エージェントはトンネルに少し入った場所からスタート、A車事故現場まで車で移動。
ダイナマイトは幻想蝶に収納、卵大のものが複数入ったトランクケースです。
トンネル出口には爆弾設置が得意な専門家が居ます。

ゾンビはすべてミーレス級であり、詳細なステータスは【屍国】特設ページのものと同じです。
物攻E 物防F 魔攻F 魔防E 命中F 回避F 移動F 抵抗F INT F 生命D


屍国にお邪魔します。
ホラーは読んだり観たりするのは苦手なんですが、
書くのはまた別なのでたくさんゾンビを書こうと思います。
宜しくお願い致します。

こちらはフィクションとなっており、実際の法皇トンネルの周辺事情とは異なります。

リプレイ公開中 納品日時 2017/03/24 21:21

参加者

  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • エージェント
    ツラナミaa1426
    機械|47才|男性|攻撃
  • そこに在るのは当たり前
    38aa1426hero001
    英雄|19才|女性|シャド
  • ハートを君に
    GーYAaa2289
    機械|18才|男性|攻撃
  • ハートを貴方に
    まほらまaa2289hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • エージェント
    天宮城 颯太aa4794
    人間|12才|?|命中
  • 短剣の調停を祓う者
    光縒aa4794hero001
    英雄|14才|女性|ドレ
  • 我らが守るべき誓い
    ソーニャ・デグチャレフaa4829
    獣人|13才|女性|攻撃
  • 我らが守るべき誓い
    ラストシルバーバタリオンaa4829hero002
    英雄|27才|?|ブレ

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