本部
【屍国】 夕暮れの町を彷徨う遺体
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/17 07:30
- 完成予定
- 2016/12/26 07:30
掲示板
-
相談卓
最終発言2016/12/16 19:55:30 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/12/12 12:19:19
オープニング
●狼が出た
「狼が! 狼が出たんだ! 助けてくれ!!」
始まりは、ある日の夕刻近くに入った101番への通報電話。
「落ち着いて。今はどちらから掛けていらっしゃいますか」
「そんなことどうでもいいだろ?! すぐに来てくれよ!」
彼はやや年配の男性で、慌てているのかその話は要領を得なかった。
「狼が、何匹も……血が、血が!」
ようやくそこが徳島県内のK町で、近くの駅名も聞き出しはしたが、あまり意味の通らないことを繰り返すばかり。
野犬の群れでも出たのだろうか、と急行した警察官が見たものは――
血塗れで徘徊する、虚ろな目をした死体たちの姿だった。
●窓の外
近所の犬が異様に吠えるのを、御薗 夕紀子(みその ゆきこ)は夕飯の支度をしながら聞いていた。
しかし、そんなことには構っていられなかった。まだ小さな子供を二人も抱える主婦としては、子供達の大好きなテレビアニメの放映時間である夕刻の時間だけが、唯一食事作りに専念できるのだ。とにかく、手早く済ませてしまわなければ。アニメのエンディングが流れて、子供達が母親のエプロンに纏わりついてくるまでに。
「うわああああああああっ!!」
それでも、突然に尋常ならざる悲鳴までが上がったのを聞けば、何事かと確認せずにはいられない。
玄関を出て門扉越しに外の通りを窺うと、日の暮れた路上には真っ赤な血溜まりと、その中に倒れている……人型のもの。近所の犬は、狂ったように吠え続けている。
「ひっ……!」
それは、人間の死体だった。
首のあたりを惨たらしく切り裂かれて、あきらかに絶命していた。
夕紀子は反射的に踵を返す。
(犯人は? まだこの辺りにいるかもしれない! 子供達を守らなければ!)
玄関を施錠し、家の中に駆け込む。
リビングには、お気に入りのアニメ番組を食い入るように見つめている子供達の姿があった。
(通報しなければ! 110? 119? それとも――)
ポケットからスマホを取り出して番号を入力しようとするが、手が震えてうまく行かない。
「ママぁー……」
子供達の不安げな声に顔を上げると、窓の外には人影がある。
それは、さきほど血溜まりに倒れていた死体と、同じ服を着たものだ。
首元から流れた血で服を真っ赤に染めて、夕紀子の育てている花の鉢植えを掲げ持っていた。
ビシッと音がして、リビングの掃き出し窓に亀裂が走る。素焼きの植木鉢が振り下ろされたのだ。
「ハルキ、ナツミ、こっちへ!」
子供達を強引に引き寄せるようにして、リビングを後にする。
ガシャン! と窓ガラスの割れる音が、引き戸の向こうで響いた。
(逃げなければ! でも、どこへ?)
外には、人を殺すようなモノがいる。
アレも外から侵入しようとしている。
引き戸に適当な棒をつっかえ、テーブルをはじめとしてありったけの家具でリビングとの通路を塞ぎながら、夕紀子は懸命に頭を働かせた。
●動く遺体
「K町の駅前通りで人々が襲われ、ゾンビ化するという事件が起こった。現場に急行してくれ」
招集を掛けたエージェント達を前に、H.O.P.E.職員は早口でまくし立てた。
「複数の通報によれば、彼らはオオカミのような獣に襲われたということだが、警察が駆けつけたときには確認できなかった。代わりに確認されのは、『歩く遺体』だ」
頚動脈を咬み千切られ、多量の乾いた血をこびりつかせながら、遺体となった人々が歩いていた。
見た目にも致命傷であることは明らかであり、何より拳銃による攻撃が、何の効果もなかったということだ。
「おそらくは新型感染症による遺体のゾンビ化だと思われる。遺体は人間を見ると攻撃し……噛みついて来るそうだ」
死体が動き、生きている人間を襲う事件は、四国では飽きるほど報告されている。
「今回の『歩く遺体』は、そのほとんどが獣の鋭い牙によって喉笛を咬み裂かれ、出血した状態で歩いている。現場の警察官の報告によれば、その皮膚はどす黒く変化し、腐敗したかのように崩れ始めている」
職員はホログラムを操作し、地図を表示した。
「現場の道路は、既に警察車両が封鎖した。『動く遺体』たちは、封鎖区域内の路上を彷徨っている。警察の到着までに噛みつかれた被害者も多数いるが、それは救急隊が収容済みだ」
いまのところ彼らの運動能力は一般的な人間並みで、物理的な障害物があれば避けるか引き返す。警察側は順次封鎖区域を狭めて取り残された住民を救出しようと試みてはいるが、『動く遺体』には通常武器が効かないので困難を極めている。
「人間並みの運動能力を持っている以上、施錠されていない敷地内に入ることも可能、窓を割って家屋内に侵入することも可能だ。そのような事態の発生もある。君達は現場に急行して、まず窓の割られた家屋の住民の安全を確保してくれ。そして不幸にして事件に巻き込まれた人々に、一刻も早く安らかな死を」
解説
●成功条件
何らかの獣に襲われ、死体ゾンビと化した人々の撃破と、封鎖区域に取り残された人々の救出。
●敵情報
死体ゾンビは一般人レベルの運動能力、独力で移動困難なレベルにまで切り刻んでようやく撃破。
一種の憑依状態であり、撃破後は五体満足の遺体に戻る。
●現場状況
警察は400m×300m程度の住宅地区画に死体ゾンビを追い込み封鎖。道路以外のルート、例えば住宅の塀を越えたりして封鎖区画外に出ようしても物理的に阻止している。エージェントの個人敷地への立ち入りはあらかじめ許可されている。
取り残された住民には戸締りをして外に出ないよう通達。現場の地図はエージェント達に配布され、スマホを所持していればスマホにも送信されている。
現在死体ゾンビの侵入が報告された御薗家は封鎖区画のほぼ中央。位置情報は配布済み。
撃破後の遺体は防護服着用の救急隊員が収容する。
感染症対策のための熱風殺菌装置も後から到着する。事件解決後は殺菌措置を受けてから帰宅。
●照明
事件が夕刻に起きたので、長引けば日暮れが予想される。
警察もサーチライトを用意しているが、希望に応じて照明器具の貸し出しが受けられる(プレイングに書いてください)。
●御薗家
リビングの窓を割られて死体ゾンビに侵入されたことをスマホで警察に通報。自力でバリケードを築き、家にいた母親と未就学児二名が二階の鍵の掛かる寝室に避難中。リビングには雨戸があり、侵入したゾンビを排除できればそれを閉めることで一応の再閉鎖ができる。
●PL情報
死体ゾンビは全部で60体。武器の所持はなし。統率されておらず、人間(能力者含む)を見つけると噛みつこうとする。
暗闇でも行動に変化なし。
マスターより
狼がー! 狼が出たんだー! 本当なんだー! 信じてくれー!
桜淵トオルです。
ニホンオオカミは明治時代に絶滅したそうですね。
狼の目撃証言も気になるところですが、まずは死体ゾンビを撃破せねばなりません。
あとは寝室で震えている母子三名のこともよろしくお願いします。
舞台はまた徳島! 何者かが市街地に繰り出そうとしている模様。
リプレイ公開中 納品日時 2016/12/25 09:59
参加者
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相談卓
最終発言2016/12/16 19:55:30 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/12/12 12:19:19