本部
俺を貫けシューメイカー
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 5人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/12/03 19:00
- 完成予定
- 2016/12/12 19:00
掲示板
-
相談用スレッド
最終発言2016/12/02 21:16:00 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/30 22:14:02 -
質問卓
最終発言2016/12/01 22:25:31
オープニング
●その日全てを失った
――二年前――
『怒りも哀しみも あなたには力をくれるだろう でもその力はいつか あなたを壊してしまう』
空っぽのライブハウスで、真面目そうな青年の響かせるドラム、金髪の男が唸らせるベースに合わせて、少女がギターを掻き鳴らしながら叫んでいる。まだまだ上手とは言えないかもしれない。ただその言葉には力が篭っていた。英雄として戦い続ける彼女が、その中で得てきた感情を叩きつけているのだ。
『彗星に魅せられていなくならないで 極星のようにずっと一緒にいて 強く輝いて消えるより ずっとそばで 見守っていて……!』
彼女がハスキーボイスを強く張り上げ、フェンダーの熱い旋律を鋭く断ち切る。同時にドラムもベースも素早く音を絶った。ライブハウスに、彼女達の放った熱の残滓が音の余韻と共に漂う。
「……ふぅ。まあ、よくなったんじゃないか、霧江」
『ホントに? 良かったぁ……』
少女――澤木霧江は、相棒であり、恋人でもある真江行弘の言葉にほっと胸を撫で下ろす。金髪の男はベースをスタンドに立てかけ、ちょっと肩を竦めた。
「ま、大きなところでライブするにはまだまだだがな」
『うん。雅人、もっとギター教えてね』
霧江は力強く頷き、キラキラした目でベース――城井雅人を見つめる。
「俺はリンカーじゃないから、お前らに付き合ってると体力持たないんだがなぁ……ただでさえオッサンって年に片足突っ込んでるのによ」
『そんな事言わずに。私達が上手になったら雅人も嬉しいでしょ?』
「……はいはい。わかったよ」
『行弘も頑張ろうね!』
「ああ。まずはここを満員にしてやろうな」
『うんうん!』
スレンダーなスタイルで革のジャケットが似合う、ハスキーボイスのパリッとした美少女。それが霧江だったが、ひとたび緊張を解くと子犬のように人懐っこい。この世を彷徨い途方に暮れていたところを助けてもらって以来、行弘の事は特に慕っていた。行弘の趣味であったロックに彼女もハマるのはそう遅い事ではなかった。
「じゃあな。最近は治安が良くないんだ。いくらお前達がリンカーとはいえ、油断はするなよ」
「ええ、わかってます。最近この街のヴィランと戦ったばかりですからね。気を付けますよ」
「それを聞くと、お前らもHOPEなんだなあって思うぜ」
練習を終え、雅人と行弘達は別れる。行弘達は横に並び、夜の街を歩いた。二人きりになって互いに気恥ずかしいのか、手を繋ぎ合ったりはせず、言葉を交わし合う事もなく、ただ黙々と、二人でいる事の幸せを噛みしめながら繁華街を歩いた。二、三のカップルとすれ違ったが、まだ彼らのように街中で手を繋いで歩くような気にはなれなかった。
『ねえ、行弘。最近パートナー同士で結婚した、っていう人がいたよね』
「そういえば居たねぇ……英雄と能力者が結婚できるんだ、って、まあ先例はいっぱいあるけど、改めて聞くと驚いたよ」
『うん。それでね、行弘。思ったんだ。私達も、いつか――』
ガラスの砕ける音、弾ける炎。二人の幸せな会話は遮られた。上部を吹き飛ばされた工事用の足場がぐらつき、一気に二人に向かって降り注いできた。人々が悲鳴を上げて逃げ出していく。しかし根元に立っている二人には到底避けられなかった。
「――!」
突然の事に、行弘は何も考えることが出来なかった。ただ共鳴すればよかった。生き埋めになったところで、共鳴しておけば何の問題も無かった。しかし行弘はただ隣の少女を救う事で頭がいっぱいになってしまったのだ。
『うわっ』
行弘は素早く霧江を突き飛ばす。同時に大量の鉄パイプが行弘に向かって降り注いだ。
『行弘? 行弘!』
霧江が振り返ると、鉄パイプの中に生き埋めとなり、意識を失くした行弘の姿が真っ先に眼に飛び込んできた。彼女の頭が真っ白になる。油断するなと言われていたのに。しかし、いきなり、こんな形で報復が訪れるなど誰が予想できるものか。
「さようなら」
『あ……』
背後から襲い掛かったヴィランの振るう刃が、彼女の背中を貫く。霞む視界の中で、彼女はただ、自らの胸に咲いた紅を見つめている事しか出来なかった。
●帰ってきた復讐鬼
――現在――
「……頼む。真江行弘を止めてくれ」
君達の前には、かつて行弘と共にバンドを組んでいた男、城井雅人がいた。酷く憔悴した顔で、君達の顔を見渡している。
「あいつは、あの事件で霧江……自分の英雄を失ってから、何もかも棄ててどこかにいなくなってた。それが帰って来たんだ。どこの何ともわからん英雄と契約を結んで……いや、あれは英雄ですらないかもしれない……」
誰かが尋ねる。それで、真江行弘はどうしたのかと。
「復讐すると言っていた。あいつから霧江を奪い去ったヴィラングループ、ヤクザな組織、全部殺し尽くすと……頼む。あいつの目……それだけで終わるとは思えなかったんだ……」
「ひぃ……」
地下の違法カジノは、既に血みどろの惨状を呈していた。彼方此方に鮮血の徒花が咲き、死神のような黒い装束に身を包んだ一人の男が、紫色に輝く二本の刃をもって一人の男に向かい合っていた。男は既に英雄を引っぺがされて消し去られ、腕も一本持っていかれて情けなく地面にへたり込んでいた。
「苦しいか。霧江の苦しみはこんなものでは済まなかったぞ」
「あ、うあ……」
「悔しいか。腹立たしいか哀しいか。だったら、突き付けてみろ。俺のこの心の臓に、刃を突き立ててみせろよ。霧江にやったように。俺も殺してみせろ!」
血の涙を流す目を見開き、行弘は短刀の切っ先を自分の胸に向けたまま、ずいと男の前へと迫る。そのまま残った左腕を掴み、自分の手の上から短刀を握らせる。
「どうした。突けば終わりだぞ。やれないのか」
「ば、ばけもの……」
「下らない。こんな下らない奴に、俺は、霧江はしてやられたのか! 死ね。もう一刻の猶予もやらん。死んでしまえ!」
行弘はヴィランに深々と紫の刃を突き立てる。男はブルリと震え、そのまま動かなくなった。亡骸を蹴倒し、行弘は紺色に瞳をぎらつかせて叫んだ。
「殺してやる……ヴィランは、ヤクザは、全部殺す! 俺がこの手で、ムラサキに染めてやる!」
「……そうか。それが君の心か」
その影で、黒いインバネスコートに身を包み、山高帽を目深に被った存在が一つ。逃げ出すでもなく、手を出すでもなく。彼はただ行弘の背中を見つめていた。
●戦闘開始
アジトから、蜘蛛の子を散らすようにヴィラン達が逃げ出してくる。近くのビルの上からエージェント達はその有様を見下ろしていた。中には悲しい復讐鬼がいるに違いない。息を詰め、彼らは戦いのため動き出した。
解説
メイン:復讐心に憑りつかれた元能力者を止めろ
サブ:元能力者から事の顛末を聞き出せ
登場敵
真江行弘(さなえ ゆきひろ)
ヴィランによる不意打ちで恋人としても愛していた英雄を失ってしまった元エージェント。全てを棄て失意のうちに隠遁生活を送っていたと思われたが、突如としてヴィランもヤクザも構わず殺戮しつくす復讐鬼と化して帰って来た。
脅威レベル:デクリオ級相当
クラス:ドレッドノート?
ステータス:物攻S、生命A、回避D、他B
特性、武器など
復讐
彼の復讐心は最早無差別に向けられ始めている。たとえ既に、仇は討ち果たしたとしても。一度でも彼に対して攻撃を行ったPCに対して発動し、与える最終ダメージ値が、(1+成否に関わらず被弾PCが真江に攻撃を加えた回数/2)倍となる。
小夜左文字
彼が愛用してきた短刀型の特注AGV。本物のソレが悲しい逸話を帯びたように、彼の握る小夜左文字も今や復讐の紫炎に燃えている。回避に失敗したPCに与える最終ダメージ値を2倍にする。
江雪左文字
彼が愛用してきた日本刀型の特注AGV。本物の持ち主が主家を救えなかったように、紫に輝くその刃は彼の心を救えない。防御時の補正を無効化する。
スキル
彗星斬
一気呵成の強化版。復讐対象のPCに命中した場合は、再攻撃を三度行う。シナリオ中3度まで使用する。
彗星砕
一撃粉砕の強化版。復讐対象のPCに命中した場合は、武器を故障させる。シナリオ中1度だけ使用する。
Tips
・周辺環境は夜の晴れた歓楽街。深夜も回り、人の気配は少ない。
・ヴィランが逃げ惑っている。この際お灸を据えてやるのも手。
・OPにおける真江の言動に注目。
・探索すれば、PC達は周辺に真江以外にも強大なライヴスの持ち主がいる事を感じ取ることが出来る。
マスターより
ガレージロック大好き影絵企我です。
復讐に燃える強力なリンカーとの戦闘です。気付く人は気付かれるかもしれませんが、あるシナリオのちょっとした続きというかなんかそんな感じです。前回参加している必要は全くないですが。
アドバイスとしては、戦えば戦うほど行弘の精神は壊れていきます。彗星に魅せられているのです。そしてムラサキにも。プレイングを押し付けるつもりはありませんが、選択は大事です。
リプレイ公開中 納品日時 2016/12/11 13:54
参加者
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最終発言2016/12/02 21:16:00 -
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最終発言2016/11/30 22:14:02 -
質問卓
最終発言2016/12/01 22:25:31