本部
- 形態
- イベント
- 難易度
- 難しい
- 参加費
- 500
- 参加人数
-
- 能力者
- 25人 / 1~25人
- 英雄
- 24人 / 0~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- 締切
- 2016/11/25 09:00
- 完成予定
- 2016/12/04 09:00
掲示板
-
まとめ卓
最終発言2016/11/22 20:36:01 -
プレイング卓
最終発言2016/11/22 23:32:04 -
相談卓2
最終発言2016/11/24 20:53:24 -
相談卓
最終発言2016/11/24 18:32:11 -
質問卓
最終発言2016/11/24 14:58:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/22 20:29:48
オープニング
●アヒル
ザッ、シャカン。
ザッ、シャカン。
土を突き、掻き出すシャベル。
わずかにも崩すことなく刻み続けられるリズム。
「まだ掘っているのか」
色褪せ、ところどころがねじれ、よれたロングコートを着込んだ男がぽつり。
ザッ。
「同じ闘争にのぞみ、死んでいった奴には、生き残った奴から敬意を払われるべき権利があるものと考えます」
シャカン。
髪も肌も新雪のごとくに白い――アルビノの少女はシャベルを振るうペースを落として男へ答えた。
「埋めるべきものはもう、欠片も残ってはおらんぞ」
「だとしても。生き延びた小官に払える敬意はこれだけですので」
固く、生真面目で、音のか細いメゾソプラノ。
彼女が穿っているのは、先の雪原の闘争でエージェントに倒された20の従魔の墓穴だ。
「……死んだ後に残るものは空の骸だけであろう。もっとも、我ら愚神と従魔はたいがい骸すら残さぬものだが」
男のしゃがれたバリトン、そして薄灰の面には、死への畏怖も嫌悪もない。あるものは達観。ただそれだけだ。
「闘争に身を置く以上、結末は生きるか死ぬかだ。そうして生き続けた今、自分はここにいる」
少女は凍土に突き立てたシャベルの柄を握り締め、低く語る。
「小官は遠くない未来、闘争の中で死にます。そのときには隊長、貴官が――」
男は左手で少女の防寒コートの胸ぐらをつかみ、引き寄せた。
「リュミドラ・パヴリヴィチ」
「はい」
胸ぐらをつかみ上げられ、宙づりにされながら、少女――リュミドラは応える。
「貴様の任はなんだ?」
「敵を撃つことであります」
「貴様の敵はなんだ?」
「群れを脅かすものであります」
「貴様は灰色狼ではなく、白アヒルだ。アヒルに狼の真似ができるか?」
リュミドラは赤瞳をまっすぐ男の薄青い瞳へ向けた。
「努めます。命尽きるそのときまで」
それは男が期待した言葉ではなかったが――男はリュミドラを放し、苦い笑みを浮かべる。
「鳴かん程度の覚悟はあるか。せいぜい努め、任を果たせ」
リュミドラに生き抜けとは言えなかった。
彼が言ってしまえば、彼女はただのアヒルに成り下がる。せめて狼の振りをさせてやり続けるのが上官としての情であろうし、それに――
彼の葛藤を知ってか知らずか、リュミドラは無表情を保ったままうなずいた。
「群れの一端として務め、お与えいただいた任を完遂します」
●5時48分
ノリリスク郊外に経つ最新鋭のライヴス発電所。
火力発電所の老朽化を理由に建設が決まったこの施設は当初、多数の住民が詰め寄せ、反建設活動を繰り広げたものだ。曰く、得体の知れないエネルギーの安全性を信じることなどできやしない。
しかし、稼働した発電所が造り出したエネルギーはノリリスク全域を十全以上に満たし、今や都市の生活すべてを支える存在となっている。なくてはならない存在――あって当然の恩恵として。
シベリアの夜は長い。もっと南であれば、夜はとっくに白んでいるはずのこの時刻にあって、ノリリスクはなお夜闇の内にあった。
発電所から100メートルの距離を置いた高台で、伏射姿勢をとったリュミドラがスコープを巡らせる。
拡大されて映し出されたものは、各10体の人狼が成す3分隊がそれぞれ配置につき、合図を待ち受けている様だ。
彼女はスコープを発電所の正門脇にしつらえられた警備員詰め所へ向けなおし、息を止め、鼓動を鎮め――引き金を静かに引き絞った。
ズグン! ほぼ2メートルに達する銃身の内、刻まれたライフリングで超回転を加えられた12・7mm弾が夜気を力任せに引き裂き、自らの発した爆音と衝撃とを置き去り、飛ぶ。
ラスコヴィーチェ――スラヴ神話に語られる森の守護霊にして狼の友――の銘を刻んだアンチマテリアルライフルの一撃が、詰め所の壁ごと内にいた警備員たちをまとめてぶち抜き、タルタルステーキに変えた。
それを見た人狼どもが一斉に散じて駆ける。
第1分隊は駆けながら敵を撃ち、ひと息にのど笛に喰らいつき、迷わずに心臓を引き裂いた。
第2分隊は第1分隊の支援を行いつつ、仕込みを終えていた爆薬で送電線を切断する。
すぐさま高台を駆け下りたリュミドラは、第3分隊とともに第1分隊がこじ開けた門から内へ。対テロリストを想定し、細い通路が複雑に絡み合う通路へと踏み込んだ。
甲高い警報が鳴り響く中、警備の一団――警戒体制下にあるノリリスクの各所にHOPEから派遣されたエージェントたちがリュミドラの行く手を塞ぐ。
横路へ彼女が跳び込んだ次の瞬間、銃弾が通路を埋め尽くした。上も下も余さず掃射して逃げ道を封じてくるあたり、さすがに練度が高い。
そして、これだけの弾を当てられていて穴が空くどころか傷ひとつ残さないとは、さすが重要施設の建材は頑丈だ。
リュミドラは弾倉を差し替え、薬室へ新たな弾を送り込む。
通路を押し包む発射音に紛れて、こちらへ歩み寄ってくるリンカーの足音が届く。あと3歩。2歩。1歩――ここだ。
リュミドラが銃口だけを通路に突きだして撃ったのは弱装弾。
通常の弾よりも火薬量を減らしたその弾は、当然破壊力を大きく減じるものではあったが……
壁に到達した弾が、それを貫くことなく弾け、通路を跳ね回る。
跳弾。
それこそがこの発電所で争うため、リュミドラの選んだ戦術であった。
仲間の死骸を盾になお抵抗を続けようとするエージェントが、人狼の手榴弾で吹き飛んだ。
「制圧後、分隊は一時解散。作戦どおりの配置につけ。工作班3名は速やかに発電炉の回収を」
指示を飛ばしながらリュミドラは胸中でカウントする。
今日を生き延びた後、掘らなければならない墓の数を。
●緊急出動
ノリリスク警戒の支援を目的に派遣されたHOPE東京海上支部所属エージェントたちの部屋へ、彼らと同じ支援要員である礼元堂深澪(az0016)のアナウンスが襲い来た。
『ライヴス発電所が従魔群に襲撃受けてジャックされたよ! 従魔の指揮をとってるのは、シベリアのドロップゾーンで遭遇が報告されたヴィランの“リュミドラ”!! 出動できる人はすぐ発電所に向かって! ライヴス発電炉を壊されたり盗まれたりしちゃったら、大変なことになっちゃう!!』
解説
●依頼
30体の従魔群を殲滅し、制圧された発電所を奪回してください。
●状況
・敵の目的はライヴス発電炉の奪取です。
・発電所は外部への送電線が切断されていますが稼働中。発電炉が停止しないうちは灯の心配はありません。
〈発電所簡易地図〉
アイウエオカキクケコサシスセソ
A□□■□■リ□□□□□■□炉□
B□□□□■□□■■■□扉□3□
C■■■□■□□□□■□■■■■
D■□□6□□■■□4□□□□□
E□□■□■□■■■□■■■■□
F□■■□■□□■□□6■□□□
G□□□□4■□□□■□□4□■
H□■■□■■□■■■■□■■■
I□□■□□□□□□□□□□□□
J■侵■■■■■■■□■■■■■
□=通路(幅・高さ2m、長さ10m) ■=壁(破壊不能) リ=リュミドラ 炉=ライヴス発電炉 侵=発電所入口 扉=発電炉室の出入口 3・4・6=人狼の位置と数
●リュミドラ
・武装はアンチマテリアルライフルとメギンギョルズ。
・アクティブスキルで判明しているのはテレポートショット×5。
・移動力は10。
・彼女の跳弾攻撃(射程5マス/通常射撃は11マス)は1~4回跳ね、複数人に複数回当たる可能性があります。
●人狼
・デクリオ級従魔。
・武装はアサルトライフル、手榴弾、爪牙。
・移動力は15。
・統率がとれており、互いに連携します。
・簡易地図に記された人狼は基本的に、エージェントが発電炉室へ到達するまでは1マス以上移動しません。また、数字はそこにいることが判明している従魔の数(計27体)となります。
●備考
・移動力は五捨六入で計算。移動力の一の位が1~5なら1マス、6~10は2マスとなります。
・タグ分けはしませんが、チーム戦を推奨。
・成功条件はあくまでも従魔30体の殲滅となります。
・従魔の配置には意味があります。
マスターより
電気石八生(でんきいし はちお)と申します。
本シナリオは【絶零】連動シナリオの1本で、ノリリスクのインフラをめぐる攻防戦となります。
従魔群はデクリオ級ですが、群れとして連動する厄介な連中。リュミドラさんもいやらしい戦術を用意して待ち受けております。難しい闘争となりますが、それを撥ね除けるプレイングで対抗していただければ幸いです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/12/03 15:27
参加者
掲示板
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まとめ卓
最終発言2016/11/22 20:36:01 -
プレイング卓
最終発言2016/11/22 23:32:04 -
相談卓2
最終発言2016/11/24 20:53:24 -
相談卓
最終発言2016/11/24 18:32:11 -
質問卓
最終発言2016/11/24 14:58:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/22 20:29:48