本部
飛べぬなら、歌えぬなら
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/22 19:00
- 完成予定
- 2016/12/01 19:00
掲示板
-
仮プレイング卓
最終発言2016/11/18 18:42:50 -
【相談卓】
最終発言2016/11/21 23:55:01 -
【質問用】
最終発言2016/11/21 18:42:15 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/17 20:36:59
オープニング
● 翼をもがれた小鳥
『金張 透歌(かなはり とおか)』は延命装置に繋がれていた。
喉に刺さる管、点滴、心電図。その足は切断の処理が施され、多数の内臓を失ったその体は、小鳥のように軽い。
そんな彼女が、なぜ彼女がここまでの大けがを負ってしまったか。
それはとある愚神『ストレンジャー』の討伐任務で起こった事件がきっかけだ。
当初はデクリオ級の愚神を十人で倒すという簡単なミッションのはずだった。
しかしだ突如ストレンジャーは変貌した、能力、姿、性格すらも元のストレンジャーとかけ離れた存在に進化した。
その結果。
討伐班十人は彼女を残して全滅した。
少女はすべてを失った、それは物理的な物以外にも、精神的な物もそう。
つまりは、絆。彼女にはあるべきはずのものが欠けていた。
それは彼女の罪の証だった。
●歌奏でられぬ小鳥。
それはストレンジャーの討伐任務の時の出来事。
透歌は森の中の大岩、その背に隠れていた。
「一息おいて、責めるわよ。……リンクバーストいけるわよね、まさかこんな任務で使うことになるなんて思わなかったけど」
透歌は水晶を手でもてあそびながら告げた。
――いや、承認できかねる。
そう告げたのは彼女の英雄『デアトラテ』
――ここまで来てしまえば我々が単独で挑んでも勝ち目は薄い。であれば次点で我々がすべきことはこの脅威をH.O.P.E.に伝えることだ。
彼は影の英雄だ。誰かの陰に潜みながらもその場で最善のことをしてきたがために彼は国を救った、そんな英雄が進言している策だ。
ここは彼の指示に従うべき、それは透歌にもわかっていた。
しかし。
「だめね、それには従えない」
透歌は告げる。
「私は多くの仲間を奪った愚神をここで野ばなしにできない」
――契約を違えるつもりか? 『人の命を救うこと』そんな単純明快な契約、それは我々が生き残ることこそ、その道につながる、そうとわからないお前ではないだろう?
「甘いわね、デア」
――なに?
「私がここで引けば、何の手傷も追わせられなければ、反撃の準備を整える間もなく、ストレンジャーは町を襲うわ」
そう透歌は告げた。この先十キロほどの地点に人口一万人程度の町がある。
そんな街中で十人のリンカーを壊滅させられる愚神が暴れれば被害は相当なものになる。
「それだけは、それだけは阻止しないと。お願いデア、力を貸して」
その結果、ストレンジャーに手傷を負わせ、撃退には成功した。ただし。
透歌は体の大部分を失い、そしてデアトラテは邪英化した。
● 水晶の歌声
「そうか、私……全部なくしたんだ。守るために」
そう色を失い、石となり果てた幻想蝶を眺め透歌はぽつりとつぶやいた。呼吸器を外し状態をおこす。
彼女は深夜二時に目が覚めたデアトラテとの最後の瞬間を反芻しながら、目覚めると病室には彼女一人きりだった。
「そして自分の命すら、尽きようとしてるのね」
透歌は数の足りない指を見つめる。限界を超えて体を酷使するとこうなるという現状がなんだかおかしくて、不思議と笑いがこみあげてくる。
そんな透歌が異音に気が付き、顔を上げると、いつの間にかテレビの電源がついていた。
そこに映し出されていたのはニュース映像。
こんな時間になぜ、そんな違和感すらも抱く隙なく、透歌は映像に引き込まれていた。
そこに流れているテロップ、それは『H.O.P.E.戦闘員、愚神取り逃がす』と名打たれていて。
「嘘……」
その報道は透歌の心を砕くには十分な威力を秘めていて。
『これはH.O.P.E.の采配ミスではないですかな?』
『ええ、敵戦力の見極め、情報収集の甘さは今回の被害を拡大させた要因と言えるでしょう』
『近隣への被害が心配されますな』
『そもそもなぜあそこで、生き残った隊員は戦闘を続行したのでしょう、増援を待つべきではなかったのか、そう思います』
透歌は拳を握りしめた。でも反論はできない、自分は敗北者だからだ。
だがそんな彼女の膝の上にスマホが投げられた。そこには様々な意見が寄せられるコミュニティサイトが表示されていて。
『透歌さん、重傷で搬入。機械化手術を受けるんだってね、いいね能力者様は任務で失敗しても、すぐに機械化されて』
『そりゃ、ポンコツとはいえ戦力だしな』
『よわっ』
『戦闘で森林地帯が削られたから、土砂崩れの対策もしないとだね』
『仲間の隊員かわいそう……』
「なんで、なんで。私こんなに頑張ったじゃない。デアも命をなげうって、護ったのに……」
そう透歌は失意の淵、その手の中にある悪意を受信する箱、それを壁に投げつけた。
その時である。壁に激突したスマホはキィンと甲高い音を鳴らし、そして空中で静止した。
「おうおう、煮えたぎる怒りじゃのう。ずいぶんとため込んでおるようじゃ、それは理不尽な現実へかの? それは自分をここに追い込んだ運命に? それとも愚神か……」
病室には怪しい光が舞っていた、水晶を通して光が散乱し、まるで水の中にいるような光の揺らめきが病室全域に映し出されているのだ。それが。
「綺麗……」
透歌には美しく見えた。
「お主にはもう、何もない」
「私には何も……」
「他者を守りすべてを失った、じゃが誰もお主に感謝はしていない」
「感謝、していない……」
「私は全力でみんなを守ろうとして、それなのに……」
透歌は奥歯を噛みしめた。
「どうする、いや、どうしたい?」
水晶の乙女、ガデンツァは問いかける。
「私は……私は許せない」
透歌は瞳を潤ませて、震える唇で唱えた。
呪詛を。救ってしまったものへの呪詛を。
「わた。私は、あんなに、がんばって。みんなが生きられるようにって」
ガデンツァは頷きながらその言葉を聞いている。
「嫌がってるデアも無理やり。私がたきつけてっ。わたしがあんなこと言わなかったら彼も消えることなんてなかったのに。邪英化なんてしなかったのに」
「許せぬか?」
「許せない。私は、わたしは……」
「では、わらわと契約を結ぼう」
「え?」
ガデンツァは微笑んでその指先で透歌の頬をなぞった。
「わらわと契約を結び、そして人間どもに報復するのじゃ」
そう謳うように告げると、ガデンツァは一歩引いた。
すると地面から沸き立つように、ゴシックロリータに身を包んだ、水晶の少女が現れる。
ルネである。そのルネは透歌の手を取った、その手が交わりそして。
「邪神共鳴」
そしてルネと透歌は同じ音を鳴らして、そして一人の愚神となった。
解説
目標 『金張 透歌』の撃破
下記情報についてはガデンツァよりあらかじめもたらされている情報である。参考にしてほしい。
『金張 透歌』 デクリオ級愚神相当の戦闘力。
【能力】 ソフィスビショップに相当する魔法攻撃主体型。
【特徴】 広範囲への同時攻撃が可能であり、弾幕的に周囲に魔法を放つ破壊の化身である。
《ソニック・アンポゼッション》 メインの攻撃、周囲に風の弾丸をばらまく、自身中心型の攻撃、命中した対象は後ろに弾き飛ばされる。
《バッドラック》 対象を呪い、運を下げる。行動が悪い結果を引き起こしやすくなる
《ファイアーフラワー》 真正面に魔力弾を放つ、この魔力弾は命中すると爆発しさらに小さい魔法弾となって周囲のPCを追尾する。
《シンクロニティ・デス》 自害技。この技は透歌の命を奪うためだけに存在する。
【目的】 透歌自体の目的は、自分で守ったものを自分で破壊しようという、そう言う復讐心。
彼女の怒りを鎮めるのか、問答無用で鎮静化するのかは任せたいと思う。ただし彼女の心境を理解しなければ後味の悪い思いをすることになるかもしれない。
【鳥かご型ルネ】
体の部分が大きく膨らんだルネ。子供を五人程度収容できる。
二足歩行だが、足は遅い、攻撃手段を持たないが。敵の攻撃に対して平気で子供たちを盾にする。
命中が高いキャラクターは頭を狙うとよい、頭を破壊されれば拘束がとける上に、子供たちを盾にしにくい。
● 戦闘フィールドについて
戦闘は街中の交差点で行う。四車線の道路が交差しているため戦闘フィールドとしては五十メートル四方は期待できる。
周囲は幅の広い歩道を挟んでビルが立ち並んでいる
また、建築物に被害が出ており、周囲には火の手が上がっている。
またここには鳥かご型ルネが数体設置されており、中には幼い少年少女が五十人程度囚われている。
マスターより
こんばんは! 鳴海です。
これを書いているときは夜です。夜はとてもいいですね、一部の人が元気になり異様な空気が世の中に流れる気がします。
さて、そんな話はおいておいて。
今日は激情をテーマに一本OPをお届けします、肉体の大部分の奪われ、英雄もなく戦う手段すら奪われた少女は何を思い、何を見ているのでしょうか、彼女の激情はどこからやってきて、どこに向かうのでしょうか。そんな作品です。
ではよろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/11/29 15:00
参加者
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最終発言2016/11/18 18:42:50 -
【相談卓】
最終発言2016/11/21 23:55:01 -
【質問用】
最終発言2016/11/21 18:42:15 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/17 20:36:59