本部
【屍国】絶望を導者
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/08 07:30
- 完成予定
- 2016/11/17 07:30
掲示板
-
質問卓
最終発言2016/11/03 21:46:00 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/04 04:41:16 -
作戦相談卓
最終発言2016/11/07 19:36:22
オープニング
●包囲
まるでお堂全体が揺れているかのように壁を叩く音が響く。
お骨になって安置されていたはずの墓から這い出してきたゾンビ達が壁を叩く音。
絶望へと誘うノックだ。
ここに居る者は皆ゾンビ達から逃げ出してきたのだ。
だが、この場所に逃げ込んだのは誰もが間違いだったと思っている。
どこまでも走って逃げるべきだったのだ。
こうして囲まれてしまえば逃げる場所など無いのだから。
まだ壁は持ちそうだが、いつかは壁を崩されゾンビ達に喰い殺されるだろう。
逃げてくる途中で見た人達のように。
浮かび上がって来る凄惨な光景を頭を振って追い払い
「救援はまだなのか!?」
何度目かも判らない言葉を市川 旭はスマホにぶつける。
市川のスマホはH.O.P.E.に通報して以来繋がったままである。
もうすぐ着く。
返ってきたのはさっきから何度も聞いたのと同じ内容だった。
スマホを投げ出したくなる衝動を我慢してお堂の中を見回す。
今ここに居るのは二十三人、しかも無傷の者はたった五人で他は逃げてくる途中でゾンビに襲われ怪我を負っている。
一応、応急処置は看護師だという二村 優理が行ったが、まるで毒でも含まれているかのように怪我をした者の症状は急激に悪化している。
「ホント、どうなってんだよ」
呟いて市川は自分の指先に目を向ける。
その手は驚くほどに青白く、まるで人形のように血の気が無い。
この肌の変色は指先だけでなく体全体に広がっていて、今もじわじわと目に見える速度で徐々に広がってきている。
市川は妙な疲労感にズルズルと背をつけて座り込む。
その疲労感はここまで走って逃げてきたことによる物だけではなさそうだ。
見上げる頭上には阿弥陀如来の姿が見える。
「どうぞ」
かけられた声に視線を向けると二村が饅頭とお茶のペットボトルを差し出していた。
「お供え物だったんですけど、仏様も許してくれると思います」
まだ二十代だと思われる彼女の顔にも疲労の色は濃く、本来は健康的な色をしているはずの頬は市川と同じように一部が青白く変色している。
「ありがとう」
そう言って受け取った市川の隣に二村も腰を降ろす。
金佛阿弥陀如来坐像の正面であるこの場所からは締め切った入り口が正面に見える。
比較的新しいこの善楽寺のお堂の造りは意外に頑丈で扉はまだまだ持ちそうだ。
「座るともう立ち上がりたくなくなりますね」
何気ない二村の一言はきっと本心だ。
市川が何か言おうと口を開きかけた時、お堂の内部に悲鳴が響いた。
●救援
「見えました!」
ヘリのパイロットが指差す先にあるのは四国八十八霊場 第三十番札所 善楽寺。
普段は参拝客で賑わう境内を今はゾンビの群れが覆い尽くし、避難者達が隠れているというお堂をゾンビ達が壊そうとするように叩き続けている。
「どうします? あの中には降りられませんよ」
パイロットの言う通り、境内に降りるのは不可能と思ってよかった。
『屋根を破って直接中に入ってください』
H.O.P.E.のオペレーターからの指示が届く。
避難者の中には一刻を争う怪我人もいるとの事で時間を掛けられないと判断したらしい。
提示された作戦はお堂の屋根を破り中に侵入して遭難者をヘリで吊り上げて救助するというものだった。
一度に吊り上げられる人数、それにヘリの収容数には限界があるので何度かに分けて救助する必要があるが、外からゾンビを倒していくよりは早いとの判断だった。
『作戦の判断自体はエージェントの皆様に……』
いつものセリフを言いかけてオペレーターが突然言葉を切る。
『中にゾンビが現れたそうです! 考える時間はありません。すぐに行ってください!』
オペレーターの叫び声がヘリのキャビンに響いた。
●絶望
響いた悲鳴に市川も二村も疲労感を振り払って立ち上がる。
悲鳴を上げた女性は市川や二村と同じようにまだ動ける状態の人だった。
彼女も怪我人の世話をしていたはずだ。
その彼女の顔は恐怖に引き攣り金縛りにあったかのように硬直している。
ゆらりと何かが立ち上がった。
それはゾンビであった。
腐った顔の肉がベロリと剥がれ落ちて弾けるように眼球が破裂する。
目から流れ落ちる腐汁はまるで涙のように爛れた頬を伝っていく。
そのゾンビが着ている服には見覚えがあった。
一番重傷だった男が着ていた服だ。
そのゾンビが女性に襲い掛かり、女性の首筋にゾンビの歯が喰い込む。
食い千切られた首筋から噴水のように血が吹き上がり女性が後ろ向きに倒れる。
女性が床に倒れた音が合図だったかのように悲鳴が連続して起こった。
パニックになり右往左往と逃げ惑う人達の中で市川は動くことが出来ず倒れた女性から目を離せずにいた。
もう生きていないと思われる女性の体全体が市川の指先と同じ青白い色へと変色する。
そして見る間に腐敗していく。
すぐにゾンビと変わらぬ外見になった女性がゆらりと起き上がる。
女性のゾンビが柱に掴まる男性へと目を向ける。
男性は足を怪我しており上手く動くことが出来ない。
女性のゾンビが男性に手を伸ばす。
必死に逃げようと後退った男性がバランスを崩して尻餅をつく。
「ダメだ!」
咄嗟に叫んで近くにあった燭台を掴んで走る。
ギリギリで間に合った。
女性のゾンビの手が男性に届く前に燭台で殴り倒す。
倒れた女性のゾンビを無視して転倒した男性を助け起こしてその場を離れる。
男性の傷口に巻かれた包帯は赤く染まり滲み出した血が市川の服を汚していく。
再び悲鳴が上がる。
慌てて視線を向けるとさっきと同じように誰かが腐敗していく姿が見える。
服装からすると女子高生だ。
確か、寺の前で見た事の無い若い男の僧侶と話していた少女だ。
彼女は皮膚の色は誰よりも変色が早く気分が悪いとは言っていたが、怪我を負ってはいなかった。
慌ててお堂の中を見渡すと二村が怪我人に肩を貸して最初の男のゾンビから逃げている姿が目に入る。
「何がどうなってるんだよ!」
思わず叫んでいた。
抱えていた男性がこちらを向いたように思い市川も視線を向ける。
視線の先、ほんのすぐ近くに腐った顔があった。
腐臭が市川を包む。
咄嗟にゾンビへと変わった男性を突き飛ばす。
その反動で市川自身も足がもつれて尻餅をついてしまう。
女性のゾンビと男性のゾンビが揃って市川に迫る。
立ち上がる時間も惜しく必死に這って逃げた市川の視線の先にいつの間にか落としたスマホが目に入る。
縋りつくようにそのスマホを手に取り助けを求めた。
「早く! 助けてくれ! ゾンビだ!」
解説
●目標
・無事に生きて帰還する事
●状況
・お堂の外のゾンビは数えきれないほどです。
・どこにどう降りるのかはPC達次第です。
・最初の一人目のPCが中に入った時にゾンビへと変化していく様子に遭遇します。
何人目の犠牲者かは、いかに迅速に突入できたか次第です。
●お堂の中
・明りは充分にあるので視界の不安は無いとしてください。
・広さは十五メートル四方の正方形で天井までの高さは五メートルです
・中央に五メートル四方の台座が有り台座含めて高さ四メートルの阿弥陀如来像が有ります。
●別動隊
・すでに後続の救援は手配されていますが到着には三十分かかります。
・三十分耐えさえすれば、外のゾンビは別動隊が引き受けてくれるので逃げ出せるでしょう。
●避難者
・まともに動けるのは市川と二村だけです。
・他の人達は動けない訳ではありませんが一人で逃げられるような状態ではありません。
●ゾンビ
・死んだ者はゾンビとして蘇ります。
・怪我人もいるので時間と共にお堂内部のゾンビの数は増えていくでしょう。
マスターより
こんばんは、みなさま。
ゾンビゾンビゾンビですが、またゾンビです。
先月からゾンビしか書いていない気がします……
そして、この手のパニック映画は苦手です。
正直後味が良い事は多くないので。
今回は人の死が前提のシナリオですが、出来れば二人を無事に救い出してあげてください。
それと、お堂内部はシナリオ用に改変してあります。
具体的な数字はヒントでもあるので上手に使ってください。
リプレイ公開中 納品日時 2016/11/12 07:25
参加者
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質問卓
最終発言2016/11/03 21:46:00 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/04 04:41:16 -
作戦相談卓
最終発言2016/11/07 19:36:22