本部
【屍国】願い聞叶者
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/11/01 07:30
- 完成予定
- 2016/11/10 07:30
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/10/28 08:28:30 -
救え!その命を!
最終発言2016/10/31 03:38:42
オープニング
●母と子と
「とりあえず、応急処置だけです」
包帯を巻き終えて一ノ瀬 藍は救急セットを片付ける。
「すまないな」
そう応えて二司 巌は包帯を巻いた腕に視線を向ける。
すでに新しい包帯には赤い血が滲み、包帯から覗く指先は驚くほど青白く変色している。
「病院で手当てを受けられればいいんですけど」
そう言って一ノ瀬は窓の隙間からそっと外を伺う。
四国の山間に位置するこの町にH.O.P.E.の職員である二人が訪れたのは最近四国を騒がせているゾンビ型従魔に関連する調査の為だった。
そのゾンビ型従魔が今は町中に溢れている。
「病院は一番最初に襲われたらしいからな」
能力者ではない二人の調査はこの地の幽霊伝説とゾンビの関連性についてで、直接ゾンビ型従魔と対峙する予定はなかったのだ。
「支部への通報と派遣要請は済んでいる。すぐにエージェントが派遣されるだろう」
住民に避難を促しながら走り回った疲れか二司の呼吸は荒く座り込んだまま動こうとしない。
「やつら、どこから出て来るんですかね?」
一ノ瀬の言葉に二司は首を横に振る。
「従魔がどこから来るかなんて考えても無駄だ。奴らは異世界から来るんだから」
ゾンビ型従魔の数は次第に増えているように見える。
人を探してフラフラと歩いていたゾンビ達が動きを止めた。
「まさか……」
さっきまでに何度か見た光景だった。
ゾンビ達の視線が向いた先に人の姿が見える。
子供を抱きかかえた母親が追いかけてくるゾンビから逃げている。
だが、その行く手を塞ぐようにゾンビ達が立ち塞がった。
「まだ逃げ遅れた人がいたのか」
二司が鉄パイプを杖に立ち上がる。
「先輩!」
出て行こうとする二司を一ノ瀬は思わず引き留めていた。
ゾンビ達は強くはない。
ダメージを与えることは出来なくても一般人である二司でも攻撃を当てて怯ませる程度は出来る。
だが、倒せなければゾンビ達の数は減ることなく増え続ける。
次第に囲まれることが多くなり、とうとう二司がゾンビに噛みつかれることになった。
幸いその時は何とかゾンビを引き剥がしてここに逃げ込むことが出来たが、今外にいるゾンビ達の数はその時よりもずっと多い。
「エージェント達が到着するまでは俺達だけがこの町にいるH.O.P.E.なんだ」
分かっていても一ノ瀬は手を離せなかった。
「誰か! 誰か、助けて!」
声が響く。
母子は完全にゾンビに囲まれていた。
娘を守るように腕の中に抱きかかえて母親が助けを求める声を上げる。
その声に反応したのは別の通りにいたゾンビ達だった。
人の気配に魅かれてぞろぞろとゾンビ達が集まって来る。
「一ノ瀬」
二司の声よりも先に一ノ瀬は手を離していた。
「こっちだ、化け物ども!」
隠れていた場所から飛び出して行った二司が声を上げゾンビの注意を引きつける。
寄って来るゾンビを鉄パイプで殴りつけて二司は母子の元に向かおうとするが、ゾンビ達の数は多く前に進むことすら難しい。
母親の悲鳴が響き、娘の泣き声が重なる。
ゾンビが母親に襲い掛かる光景を一ノ瀬はただ立ち尽くして見ていることしかできなかった。
母親は覆いかぶさるように体の内側に泣き叫ぶ娘を隠してゾンビ達の攻撃を受ける。
まるで獣が獲物に食らいつく様にゾンビ達は母親に噛みつきその肉を喰いちぎっていく。
「おぉぉぉぉぉぉ!」
雄叫びが響く。
血まみれになりながら二司がゾンビの群れをかき分けて母子の元にたどり着く。
もうそんな力など残っているようには見えないのに二司は鉄パイプを振り回して母親に覆いかぶさるゾンビ達を打ち払う。
母親の姿も二司と同じくらいボロボロであった。
だが、その腕の中の娘はまだ元気に泣いている。
母親は二司の方に娘を押し出す。
必死に母親の側にいようともがく娘を強引に二司が抱き上げる。
「一ノ瀬!!」
血を噴きだすように二司が叫ぶ。
そして、最後の力を振り絞るように女の子を一ノ瀬に向けて放り投げるとそのまま地面へと倒れ込み動かなくなる。
「先輩!」
慌てて女の子を受け止めて一ノ瀬が声を上げる。
その声に魅かれるようにゾンビ達の視線が一ノ瀬の方を向く。
腕の中の女の子がもがき抜け出しゾンビ達の向こう側に見える母親に駆け寄ろうとする。
必死に掴まえた女の子の服は母親と二司の血で真っ赤に染まっていた。
「ごめんなさい!」
誰に何を謝っているのかもわからぬまま一ノ瀬はそう叫んで女の子を抱え上げるとゾンビ達から逃げるように走り出す。
その腕の中で女の子は母親を求めて泣き叫んでいた。
●救援
「何とか降りられないのか!?」
その声にヘリのパイロットは首を横に振る。
眼下の町はゾンビに埋め尽くされている。
そしてゾンビから逃げるように走る一ノ瀬の姿が小さく見えている。
町の上空から一ノ瀬と二司の姿を見つけられたのは偶然だった。
だが、助けることは出来なかった。
例えそのまま飛び降りていたとしても間に合いはしなかっただろう。
それ程までに遠く小さな姿だったのに何故かはっきりとその光景が見えたような気がする。
手の中の通信機が小さな音を立てる。
「一ノ瀬!」
ようやくつながった通信に慌てて声をかける。
「その立体駐車場に入れ! 屋上で救助する!」
今、一ノ瀬がいる場所の近くでそこが唯一ヘリが近づける場所だった。
走り疲れて息が上がる一ノ瀬の応えは無いがそのまま目の前の立体駐車場に入る姿に少しだけ安堵する。
その駐車場にはゾンビの姿は無いが、一ノ瀬達を追いかけるゾンビ達も駐車場へと集まって来る。
町中のゾンビがここに集結するのも時間の問題だった。
ヘリは駐車場の屋上へと移動するが、疎らに止まった車がまるで嫌がらせのようにヘリの降りられる空間を塞いでいた。
スロープを駆け上がって泣き叫ぶ女の子を抱えた一ノ瀬が姿を現す。
その足元はふらつき今にも倒れそうに見える。
そして、一ノ瀬のすぐ後ろをゾンビ達の集団が駆け上がって来る。先頭のゾンビの手は今にも一ノ瀬の背に届きそうだ。
だが、上がってきたゾンビの集団はそれだけでは無かった。
女の子の泣き声に魅かれた別の集団が反対側のスロープからも姿を現す。
「今のままヘリを降ろしても再び離陸は出来ません」
ヘリにもしも何かあれば全員の命に係わる。
無事に逃げるためにはヘリを傷つける訳にいかなかった。
「何とか二人を守ってゾンビを排除してください」
解説
●目標
・一ノ瀬 藍と子供を救出する
●ゾンビ型従魔
・体型体格は様々です。
・数が多いので囲まれて掴まると振り払うのはかなり困難でしょう。
●立体駐車場
・三階建て立体駐車場です。屋上部分含めて四層構造になっています。
・一辺五十メートルの正方形で北側と南側に昇降用のスロープがついています。
・現在屋上の駐車スペースには二十台ほどの車が有ります。それぞれバラバラに停まっており現在はヘリが着陸できる空間はありません。
・駐車場西側には人用の昇降階段があります。
●通信
・耳につけるタイプの通信機が各自に支給されています。
・ヘリとの通信、一ノ瀬との通信どちらも可能です。
●ヘリコプター
・輸送用のヘリで武装は積んでいません
●シナリオ開始位置
・ヘリに乗った状態です。降りるには飛び降りるしかありません。
・立体駐車場の屋上内ならば好きな位置に飛び降りることが可能です。
・共鳴状態ならば飛び降りでダメージを負うことはありません。
OP登場人物
●一ノ瀬 藍
・H.O.P.E.一般職員
・女性 十九歳(新人)
・OP時点で無傷
●二司 巌
・H.O.P.E.一般職員
・男性 ベテラン社員
・生死不明
●三葉 海
・娘 五歳
・今の所、泣き止む様子はない。
・OP時点で無傷
●三葉 恵美
・母親
・生死不明
※OPの状況は上から見ていたので知っているものとします。
諸々の事情により降りても助けに行くことは出来ない状況でした。
子供の名前は一ノ瀬が聞きだしているのですぐに分かります。
マスターより
みなさまこんばんわ。
ゾンビに追われるとなぜか皆、上へ上へ逃げて屋上に追い込まれるそうです。
不思議ですね。
今回はヘリがすでに来ていますので脱出は出来そうですが、一ノ瀬 藍と三葉 海の無事は皆さま次第です。
二人にこれ以上つらい思いをさせずに済むようによろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/11/05 11:57
参加者
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最終発言2016/10/28 08:28:30 -
救え!その命を!
最終発言2016/10/31 03:38:42