本部
深海の、瓦礫這いずる鯨の王
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/10/06 09:00
- 完成予定
- 2016/10/18 09:00
このシナリオは3日間納期が延長されています。
掲示板
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/10/06 07:22:17
オープニング
●幸福な記憶
リングピローを持った白いドレスの愛娘が、何度も何度も隣の少女を見上げながらヴァージンロードをちょこちょこと歩く。まだ幼い娘を隣でしっかりとサポートしているのは淡いブルーのドレスを着た少女だ。娘を導く彼女は、三歳の娘と比べてとても大人でしっかりとして見えた。
隣の青年を見上げる。
いつもの笑みはどこへやら。むっつりと不機嫌さを隠そうともしない。
「────ライラはこういうものは嫌いだと言っていたろ」
僅かに唇を動かして、彼は彼女に聞こえる程度の小さな声でそう言う。
別に嫌いとは言っていない。ただ、彼が嫌そうだったから、「ワタシの世界にはそういう習慣は無かったんじゃないかしら」と言っただけ。
「そうね、でも、こうなったら仕方ないわ。腹を括りましょう?」
ワタシがそう言うと、彼は『こうなった』元凶たちをチラリと軽く睨んだ。
●零れ落ちる悪意
どこからか、歌声が聞こえる。男の低い歌声と、女の細い歌声と、笑うような子どもの歌声。
それらが脳裏を這いずって、うまく、考えられない。
「────ライラ」
灰墨信義(az0055)は、自分の妻であり英雄であるライラ・セイデリア(az0055hero001)の細い両肩を掴んだ。
「だから、ワタシはあなたが嫌いなのよ」
ライラは、信義を真っ直ぐに見つめながら言う。
「信義、あなたは誰も信じられない。ワタシを信じるのは『誓約』があるから────とってもか弱くてとても脆いんだわ」
────そう言うライラは見開いた瞳から大粒の涙を流していた。
真っ暗な空間に青白い仄かな光が相手だけを浮かび上がらせている。
ゆらゆらと揺れる互いの髪はまるで水中のよう。でも、そこに満ちているのは水ではなくて、悪意。
「あなたが嫌い、誓約なんて結ばなければよかった────」
細い指で唇を押さえるのに、言葉を止めることができない。溢れ出す悪意の言葉は彼を傷つけるとライラが思っている言葉ばかり。真顔で自分を見つめる信義はいつものように見えるけれど、その瞳の光で彼が傷ついているのがライラにはわかる。
なのに。
なのに────。
彼女の脳裏には、楽しかったあの結婚式の情景が壊れたように何度も何度も繰り返される。
────こわれる。
ライラは悟った。
このままでは自分の心は壊れてしまう。そして、大切なパートナーの心も。
口から零れるこの悪意を自分の心の言葉として受け入れるか、それとも、もう心を閉ざしてしまうか。
いつもは饒舌な信義は、まるで何かが喉につかえたかのように途切れ途切れに口を開くだけ。
ならば、もう────ライラは覚悟した。
────誓約を解こう。そうすれば、ここから出られる気がする。
ライラが覚悟を決めた時、信義の両手に力がこもった。そして、口を開く。
「…………例え乗り越えがたい試練があったとしても、例え治らぬ病に侵された時も」
ライラは目を見開いた。
「互いが、互いを”信じる”────」
信義の口から、途切れ途切れに絞り出されたそれは彼らの『誓約』の言葉。
その言葉は不思議とライラに微かな力を与えた。
もう一度、信義の瞳を見れば、その瞳にはちゃんと力が宿っていた。
────そうね、もう少し、頑張って耐えなければ………。
●解れかけた絆
「────わかりません」
たくさんのコンピュータ機器が並んだ部屋。
床まで伸びた長く真っ直ぐな真緑の髪。ラボコートをしっかりと着込んだ彼は簡易テーブルに置かれた紙コップに口を付けた。
「たくさんのライヴスが必要で、それを『ライヴスリンカー(能力者)』が邪魔するのならば、まず先にライヴスリンカーを駆除した方が結果的に早くたくさんのライヴスを集められるような気がします」
コップに満たされた水を飲み干すと、テーブルのペットボトルから紙コップへと水をそそぐ。
「でも、能力者は単なる人間です。なら、彼らはライヴスリンカーたらしめる『リライヴァー』を排除すればいいのでは」
コップの半分だけ飲み干すと、彼は奥で絶え間なくキーボードを叩き続ける老人へと顔を向けた。
「それに、無事に事を運びたいのなら────彼らの目の前に決して姿を現さなければいいのでは。そう、思いませんか? 真央老人」
名を呼ばれた老人は振り返りもせず、やつれた顔でただただキーボードを打ち続けていた。
解説
目的:脱出
(以下PL情報)
ステージ
1)円筒形の柱型の水槽
二人の人間が入って余裕がある程度、天井は高く見えない。水が満ちている感覚は無いが、水中のように動ける。
2)瓦礫
水槽から脱出したリンカーが放り出される空間。必ず共鳴状態となる。水槽と同じ水中のように動ける。
地面は瓦礫。砕けた珊瑚の山の上に従魔が居る。従魔は動けないがバブルネットを出して攻撃してくる。
敵:盲目の鯨王
目の無い傷だらけの醜い白鯨のような姿をしている。
巨体でその場から動くことは出来ないが、鉄をこすり合わせるような音を出してバブルネットで攻撃してくる。
HPがあり、1m以内の敵には胸びれや身体を動かして攻撃する。
・バブルネット:従魔を中心に半径1m~3mの間に攻撃力のある泡が地面から湧き出る。大きさによって攻撃力は違うが、放出される泡の流れに捕らえられると攻撃を連続で喰らった挙句高い位置から地面に叩きつけられ大ダメージを受ける。
特別ルール
・リンクレートの低い順から水槽からは脱出できる
・鯨王への攻撃は各攻撃力は関係なく、共鳴後のリンクレートの高さ=攻撃力となる(魔法を使っても)
・時間制限があり、ある程度(8R程度)で倒せないと鯨王は去る(エージェントたちは解放される)
・エージェントたちはなぜそこにいるのか覚えていない
・装備品以外のアイテムは使用できない
(特別ルール・水槽の中のみ)
・英雄は相手が嫌がり傷つける事(だと自分が思っていること)、普段思っている事と逆の事を口走ってしまう
・英雄は沈黙することはできず、常に話し続ける(喋れない英雄もここでは言葉のような形で意思を伝えられる)
・能力者は単語か誓約内容しか口にできない
・英雄は召還されてから一番幸せな記憶がずっと脳内に再生される
・誓約を解けば、そこで目が覚める
※お願い
RP主体のシナリオになります。
英雄の幸せな記憶・罵り内容と能力者の反応を必ずプレイングにお願い致します。
マスターより
この依頼の記憶は最後にはほぼ忘れます。
特に、最後の従魔との戦いと閉じ込められたことは確実に忘れます。
後味の悪いシナリオをしたい方向けです。
基本的に悪夢の中の出来事だと処理して頂ければと思います。
このシナリオにおいて事件の何かが解決することはありません。
ライラが思い出している結婚式描写はシナリオ『紫陽花の庭で、誓いのまねごと』の描写されなかった結婚式の一幕です。
このシナリオは『きみがすき。(修羅場編)』『きみの嘘がきみを殺す』と関連がある可能性があります。
けれども、上記のシナリオを読まなくても参加には全く問題はありません。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/10/17 19:01
参加者
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最終発言2016/10/06 07:22:17