本部

戦闘

水の神と守護者と

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/09/20 07:30
完成予定
2016/09/29 07:30

掲示板

オープニング

●壊れた絆
 直径三十センチメートル程の丸い石が浮き上がる。
 その周りに水底から湧き上がるように盛り上がった泥が集まり人のような形を現していく。
 泥で出来た……神。
 二日前、島に雨が降り始めた。
 乾季の時期とはいえ雨が降ることもある。最初は誰も不思議に思わなかった。
 だが、雨が降っていたのはこの小さな島の上だけであった。
 誰かがこう口にした「神の怒り」だと。
 島の中央に小さな山が有る。
 その山の頂上には澄んだ水を湛える泉が有り、島に恵みの水をもたらしている。
 そこに祀られているのが水神だ。直径三十センチメートル程の自然に出来たとは考えられない程の丸い石。
 島の者は全員その神を崇め、その神を中心に生活を送っている。
 島の民にとってその神はこの島そのものであった。
 だから、こうなるのではないかと予感はしていた。
 パートナーであるシュロの誓約は守る事だ。
 その対象は、この島。
 共鳴は起こらななかった。
 守るべき対象に刃を向けることにシュロは迷ったのだ。
 たとえそれが従魔であると分かっていても。
 五メートルほどの大きさまで巨大化した泥の神が拳を振り上げる。その拳が振り下ろされるよりも先に呆然と立ちすくむシュロを連れて山を駆け下りた。

●降り止まない雨
「すまないな、急いできてもらって」
 水上機から雨が降り続く桟橋へと降りたエージェント達を二人の男が出迎えた。
「俺は、セト。英雄だ」
 そう名乗った男の側に立つのがパートナーである能力者だろう。肩を落とした大きな体はどこか萎んで小さく見える。
「こいつは、パートナーのシュロ。島民は全員避難させたから島には俺達二人しかいない。とりあえず屋根のある場所へ行こう」
 そう言うとセトは先に立って歩き出す。
 太平洋にポツンと浮かぶ地図にも載らないような小さな島、僅かな島民が暮らすだけのこの島に現れた従魔を倒して雨を止めるのが今回の任務だ。
 その従魔は島の中央に有る小さな山の上に居るらしい。島のどこからでも見えるその山は豊かな木々に覆われている。
 セトが案内したのは高床式になった板張りの床と草屋根だけの建物だった。
 四方に壁は無く、吹き込む雨に縁側は濡れているが屋根はしっかりしているようで全員が座れるくらいは乾いた場所が残っている。
「この雨のせいで島には何も残っていない。もてなしは勘弁してくれ」
 そう言ってセトは頭を下げる。いつの間にかシュロは姿を消していた。
「今日で雨が降り始めて一週間になる。山の上の奴がこの現象を引き起こしているのは間違いない。本来なら俺達も戦うべきなんだが、悪いが今回は無理だ」
 セトのその言葉には悔しさが滲んでいる。
 この海域の近くに有る大規模なドロップゾーンの影響かこの島には海から従魔がやってくることがある。二人は今までずっとそういった従魔からこの島を守ってきたのだ。
「山の上に居るのは泥人形みたいなやつだ。頂上にある湧き水の泉に祀られていた御神体に従魔は憑依した」
 普段は澄んだ水を湛えたくるぶしぐらいの深さの浅く広く広がった泉は今では茶色く濁って足首くらいまでの深さになっているという。
「俺が確認した限り、攻撃は左右の腕のみ」
 そう言ってセトは自分の両拳を顔の前に持ち上げて見せる。その腕に包帯が巻かれているのが見える。
「もちろん、リンクしてない英雄相手に他の力を使うつもりが無いだけかもしれないが、雨を降らすなんて大規模な力を使ってるんだ。他に何か力があるとも考えにくい」
 セトの言葉に疑問の声が上がる。リンク出来ない事は依頼を受けた時に聞いている。さらにリンクしていない英雄だけともセトは自分で言っている。
「偵察くらいは出来るさ」
 包帯の巻かれた腕を隠すように降ろして肩をすくめて見せるとセトは言葉を続ける。
「おかげで重要な事も分かった。泥人形の体は幾ら切っても突いても効果は無いが、その代わりAGW以外の攻撃も通用する」
 そう言ってセトは外に置かれている普通のスコップを示して見せる。
「試しにスコップで泥人形の体を掘ってみたらあっさりと泥を削ることが出来た。その穴はすぐに塞がったが、戦闘中は新しい泥を補充することは無かった。もっとも、戦闘後には補給したようで今は元の大きさに戻っているがな」
 一度山の上に視線を向けてからエージェント達に視線を戻してセトは話しを続ける。 
「恐らくだが従魔が憑依した御神体、直径三十センチメートルほどの真球の石だが、これを破壊しない限り倒すことは無理だと思われる。その石が体の中のどこにあるのか外からは分からないんだが……」
 エージェント達の向こう側に視線を向けてセトが言葉を切った。つられるように動いたエージェント達の視線に少したじろぐように足を止めてシュロが手にしていた色とりどりの果物を床に降ろす。
「今の俺にはこんな事しかできないが、食べてくれ。どうせこのまま雨が続けば痛んで落ちるだけだ」
 そう言ってシュロは雨に濡れている縁側近くに腰を降ろす。
「俺だってH.O.P.E.のエージェントだ従魔に憑依された器物は従魔を倒せば元に戻る事くらい聞いた事が有る」
 突然話し出したシュロの言葉に全員の視線が集まる。
「頭で判っていても体が動かないんだ。水神様はこの島の守護者だ。この島の恵みは水神様が俺達に分けてくださったものだ。島で採れる魚も、その果物も」
 シュロはそう言って取ってきた果物に視線を向ける。
「俺はその水神様を守る守護者になりたかった」
 シュロは雨に霞む山へと視線を向ける。
「自分でもふがいないと思う。だけどもう俺達はあんた達に頼るしかなんだ。このまま雨が続けば島の民は生きて行けない。頼む、俺達を救ってくれ」
 そう言うとシュロは深々とエージェント達に頭を下げた。

解説

●目標:水源の従魔の撃破

●従魔
・泥で出来た五メートル程の人型の中に潜む三十センチメートル程の真円の石。
・従魔は泥の体の中を移動しています。
・攻撃は泥の体の左右の腕でのパンチのみ。攻撃時腕の先は岩のように硬くなるので注意が必要であるが、硬化しているおかげで受けも可能である。
・PL情報:斬撃打撃共に泥の中を通過するので多少の泥を削る程度でそれによる部位切断は不可能です。切断する場合は両側の接点を完全に無くしてください。

●地形
・頂上の泉は、大きさが直径十五メートルほどの歪な円形で、深さは十五センチメートル程でほぼ均一です。
・泉の底や周囲の地面、林の中の地面は雨でぬかるみ滑りやすくなっています注意してください。
・雨による視界不良はありません。
・PL情報:戦っていると気付きますが、従魔は泉の外へ出てきません。泉の外にはすぐに林が広がっています。

●道具類
・今回水上機の大きさのせいでそれぞれリュックに納まる以上の大きさの物は島へ持ち込みできませんでした。
・島は海の漁と山での採集で生活しています。島での生活に必要な道具は残されたままです。セトとシュロは必要ならば自由に使ってくれていいと言っています。
・島には電気もガスも無いので電気製品は使用できません。

●雨
・雨は普通の雨ですが、長雨により山は水分を含み地面も緩くなっています。すぐに何か起きるわけではありませんが、シュロの言うように雨が続けば島に住めなくなってしまうでしょう。

マスターより

はじめまして、今回初OPを発行させていただく明といいます。読みは「あき」でお願いします。
いろいろと面倒そうな能力者と英雄の状態ですが、気にせず泥人形を壊してください。
彼らは彼らなりに今後の事を考えているでしょうから。

リプレイ公開中 納品日時 2016/09/24 10:05

参加者

  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163
    機械|22才|男性|回避
  • 分かち合う幸せ
    隠鬼 千aa1163hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド

  • 氷月aa3661
    機械|18才|女性|攻撃
  • 巡り合う者
    シアンaa3661hero001
    英雄|20才|女性|バト
  • エージェント
    ライ・シャムロックaa4442
    機械|26才|男性|命中
  • エージェント
    BA-03 シャードaa4442hero001
    英雄|27才|?|ジャ

掲示板

前に戻る
ページトップへ戻る