本部
夢、いりませんか
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/28 07:30
- 完成予定
- 2016/07/07 07:30
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/06/28 02:19:41 -
相談用
最終発言2016/06/28 03:20:11
オープニング
●
僕は家を出た。家だけでなく、社会からも脱出した。夜道を歩くだけ。電灯の明かりと家から漏れる明かりしかなくて、それ以外に人気はあんまりない。子供の頃、この道は怖くて一人じゃ通れなかった。
いい加減うんざりしていたのだ。一人暮らしをしようにも手続きをために区役所にいって、なんやら儀式みたいな事をしなければならない。外国にいこうにも、なんだってんだパスポートって。面倒くさい。七面倒くさい。
このままじゃ本当の意味での自由なんかもらえないと思った。何千年も前の原始時代に帰った方が、今より何倍もマシに楽しく暮らせるに違いないとな。
いやだって、都会の夜空を見てみろよ。星が見えればラッキーだ。
今は夜道を歩くだけ。電灯の明かりと家から漏れる明かりしかなくて、それ以外に人気はあんまりない。子供の頃、この道は怖くて一人じゃ通れなかった。
僕はもうこりごりだった。手続き、福祉、保険、法律……そんなもの全て勘弁だ。
僕は大人じゃない。まだ高校生であり、一人で生きていくには何もかもが足りないと大人はいうだろう。その時に使えるQ&Aはもう揃っている。
Q.家はどうするの?
A.公園があるだろ。
Q.お金は?
A.原始時代に金なんてねえよ。
Q.悪い人に襲われたらどうするの。
A.子供扱いするんじゃない。
Q.どうやって生活していくつもりなの。衣食住は?
A.服なんて今のが着られればそれでいい。食? それは――考え中だよ。
掃き溜めで食事を探すのは少し抵抗がある。自分でも自分が情けないと思いもする。社会を出る覚悟があるなら、甘ったれた事言えないんだとそれくらい分かってる。でもやっぱり抵抗があるだろ。
大雑把な計画を立てて家を飛び出した今夜だが――ああもう、じゃあどうすりゃいいんだよ。社会に大人しくしたがってろって言うのは嫌だ。だからといって汚物を食べるのも嫌だ。
なんだよ……八方塞がりかよ。
家を飛び出したのはもれなく、親子喧嘩だ。家を出てけって言われた、だから出てった。それだけの事だ。行く宛は考えてなかった。公園でいいやと思っていたが、良く考えれば今日は寒い。
天気まで僕の邪魔をするのか。昨日は暖かかっただろ?
風邪を引いて家に帰るのは面倒だ。仕方なく、携帯を使って一晩泊めてくれる友人を探した。十何人かいる携帯のリストの中に片っ端から電話をかけて、ようやく一人見つかった。
「マジか! すげえ助かった……ありがとよ」
「気にすんな。親と喧嘩した時、家に居づらいって気持ちは俺も分かるからさ」
「感動するな。もう愛してるレベルで」
「きもいぞ。そういや夕飯は?」
「いや、まだ」
「あー……一応俺の所の親はうちに来なさいって言ってるから、飯もここで食うといい。あ、ただ、お前の所の親には一言言うってさ」
「う、うん。まあそうだよな」
「そこは我慢しろよ。お前はただうちにきて泊まるだけでいいからな」
本来なら、僕は泊まる事すら許されないんだろうよ。大人はみんなこう言う。大人しく家に戻って謝罪しろって。だっつん――友人の親はその類の大人とは少し違ってるという事だ。
少しは気持ちが分かってくれてるって事なのか? いや、なんか深く考えるのが面倒くせえ。
って所でさっそく僕はだっつんの家まで歩いていく事になった。
「やあやあそこの君!」
ちょっと僕はビビった。後ろから声をかけられて振り返れば、ピエロみたいに派手な髪とマスクを被った女がいたんだ。服もピエロっぽく華やか。派手という言葉は、この女のためにあるもんだともいえる。イメージカラーを言うとすれば、ピンクか?
「な、なんですか」
「ウチはみんなに夢を届ける魔法の芸術家! キョッキョだよ! 知ってるかな?」
「いや、知らないんですが。……急いでるんで」
怪しい宗教の類の連中か。時間の無駄だな。急いでだっつんの家にいこう。
「ちょっと待ったぁ! 君、親と喧嘩して飛び出してきたでしょ?」
誰だってそんな事を言われたら足を止めるだろ? なんで知ってんだよ。
「図星だね! それで家を飛び出して、ふむふむ、友達の家に向かう所だったかな?」
「占い師の人ですか」
「半分正解! でもウチは夢の芸術家だから。――ウチに任せればね、なんでも願いが叶うんだよ。これは本当にね?」
「……いえ、急いでるんで」
「無料で夢を提供するよ! 君は家を飛び出して、その後どうするつもりだったんだい? 家なんかない、食事もまともにとれない、睡眠だって。人間って楽な方に行こうとするのが自然だから、君はどうにでもなると思っているだろうけど、……無理だよ?」
「何とかしようと思っているんで。……お金もないんで」
「ああ安心して! ウチは宗教とかそんな類じゃないよ。お金も取らない。ただただ、夢を提供するだけ。魔法を。暇つぶしにはなるよ?」
確かにまあ、面白そうだとは思った。声から察するに、この人は結構美人だろうし。……っていうか、場合によっちゃこの人、頼れるんじゃないか? 話を聞く限り、家とかも貸してくれるんじゃ?
「あまり時間はかからないですか」
「勿論! 君の自由だよ。ウチはただ夢をプレゼントしてあげるだけ」
「……じゃあ夢、ください」
暇つぶしになればいいか。友人の家には後で電話しておこう。少し遅れるとな。
●
ここ連日、老若男女の行方不明事件が相次いでいた。警察の調べでは何一つ犯人像が出てこない。高名な探偵をもってしても、動機、犯人の年齢予想が分からないのだ。
各地で行われる行方不明事件。警察はついに、リンカーの助力を求め始めた。犯人が従魔や、愚神の可能性も秘めていたからだ。
「そういう事で調査する人達を使って全国を回らせてみたんだけれど、愚神と思われるライヴス反応があったの。それも、行方不明になった被害者の現場の近くにね。だからこの事件の犯人は愚神っていう所に行き付いたのよ。拠点となるでしょう場所も特定されてるわ。ただ、その場所っていうのが海の下だから、そこから先は不明点が多いの。その不明点をあなた達に解明してもらうわ」
海の下に沈んでいる愚神の拠点。リンカー達に任されたのはその拠点の調査と、愚神の排斥だ。
●
ここはどこだ? 僕はどこにきてんだ。
少し眠ったと思えば……。なんだこりゃ。このベッド、フカフカだな。
「お目覚めですか、ご主人様」
僕の事か? メイドさんみたいな人が突っ立っている。……美人だ。
「ここ、どこですか」
「ここはご主人様の住まわれる家ですよ」
「ここが? 冗談だろ。なんだってここが」
――夢を無料で売る。そんな事を言っていた女がいた。という事は、本当に夢を売ってくれたってのかよ。
おいおい、マジかよ。最高じゃねえか。
「今日の朝食は?」
「一流のプロの作ったステーキでございます。ご主人様のオーダーメイドです」
マジかよ。
解説
●目的
愚神拠点の調査と、そこに住んでいる愚神の討伐。
●拠点について
日本海の下、光のない深海の下にある真四角の施設。外部からの圧力に耐えられるよう、非常に強い素材に強力なライヴスを注入している。
建物はドーム状になっている。足場が安定せず、左よりに傾いている事も特徴。
施設内は三つの部屋で構成されている。入り口から入ってすぐ右の部屋には愚神の部屋。人間の子供の部屋のように玩具等がたくさん置いてある。
向かって左の部屋は裏口に通ずる部屋となっており、人間を地上からここに運ぶための装置をしまう場所となっている。
入口から入って正面の部屋は通称創作室で、そこに行方不明の人々が連れ去られている。広々とした空間で、人間が横に一列に並んで頭に箱のような物を被せられ、拘束されている。室内は薄暗く、不気味な雰囲気を演出している。異様なほど殺風景。
●夢の芸術
キョッキョが全ての犯人で、愚神である。キョッキョは現実に疲れた人々につけこみ、夢を無料で売るという文句で人々を行方不明にする。
人を勧誘した後、手短にある家を使って人を睡眠状態とする。(その家が、坂山の行方不明になった被害者の現場の近くにライヴス反応、という言葉に通ずる)睡眠状態にした後、拠点に連れ込むのだ。
連れ込まれた人々は箱を被せられる。箱の中には人間の脳神経を全て作り変える空気が充満している。五感、全てが現実の物とは違う物となる。彼らに見えているものは、自分の望んだ世界である。
●キョッキョについて
愚神に戦闘力はない。しかし、箱の中の空気を少しでも吸った途端、五感の機能は失われる。ガスマスク等を装備してもあまり意味を成さない程。
夢を見させられた後、本体を倒すか、夢の世界を壊すと現実に戻る。夢の世界は、その夢を構成する中核を破壊すれば崩壊させることができる。
夢を見ているエージェントが、一番愛すもの。それが中核となる。
マスターより
※当MSはアドリヴ成分が多めです。
夢というのは多種多様あるかと思います。一番多いのがお金の有り余る生活をしたい、だと思いますが、私も同じです。プールのついた豪邸をかって、庭園を設けて古風の城に似た造りにするのです。それでいてホームシアター、馬力の強い車等も持っていたら文句なしですね。勿論、実際にそういう生活をしてみれば慣れてしまって、更に高みを目指すのでしょうが。
その夢というのは、持ち続ける事に意味があるんだと思います。実際、子供の頃に小説家みたくなりたいと無意識ながら思い続けていて、実際にその道を歩み始めているからです。
ところで、エージェントの皆さんの夢とは、なんでしょうか?
リプレイ公開中 納品日時 2016/07/04 20:41
参加者
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/06/28 02:19:41 -
相談用
最終発言2016/06/28 03:20:11