本部

【神月】連動シナリオ

戦闘

【神月】霧の中の暗殺者

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
7人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/05/20 12:00
完成予定
2016/05/29 12:00

掲示板

オープニング

●  私がやらなけば、誰がやるというんだ
 午後、昼下がり、閑散とした時計塔前にその男はいた。遥か先の土地に思いをはせるように空を見ていた
「所長……」
 そんな初老の男に、二十代前半の男が声をかける。
 彼らはそろって同じ制服を着こんでおり、その肩にはH.O.P.E.のロゴが刻まれていた。
「本当に行くのですか?」
「ああ、遺跡から出土した遺産。博物館に展示された礼装。全てが短剣、そしてその彫金、模様全てが酷似しているとなれば……。調査しないわけにいくまい」
「しかし所長、今H.O.P.E.から非常警戒態勢が発令されています。仲間がもう、四人も殺されているんですよ」
 そう青年は目に涙を浮かべ、所長に詰め寄った。
「だが、これは世界の一大事の可能性がある。エステルと言ったか。あの子のもたらす情報いかんによっては、あの剣一本でこの世界が危険にさらされることもあるのだぞ」
「娘さんはどうするんです。今年やっと卒業だって、言っていたじゃないですか」
「家族より、優先しなければならないこともある」
「所長……。僕たちまだ、あなた達がいないと、何も」
 そう青年が目頭を押さえると、その所長は彼の肩をたたいた。
「君なら大丈夫だ。私の教えを十分に吸収した。他のメンバーもだ。私が教えることはないよ、だから私が行くんだ」
 そう所長は傍らの鞄を手に取り青年へと背を向ける。
「家族が、君たちが生きている世界のことだ。私には引くことはできんよ。私しかやれないのだ。ならばいくら危険でも私が」
「せめて、護衛が付くまで待ってください」
「飛行機が来る。もう行かねば」
「所長!」
 青年は自分の無力をかみしめ、灰色の空を見つめた。
 心なしか霧が出始めた。もしこの霧で飛行機が飛ばなければ、全てが丸く収まるのに。
 そう青年は願った。

● ジャックの故郷は綺麗か
 今回はグロリア社のプレイベートジェットで現地に飛んだ。
 オペレータは手が足りないのでなぜかロクトが務めている。
 だがロンドンに降り立ったリンカーたちは早速信じられないものを目撃する。
 ロンドンの町はすっぽり濃霧で覆われていたのだ。
「なによ、これ」
 ロンドンの街中に降り立ったロクトは唖然と周囲を見渡す。
「ドロップゾーン? こんな形で街中に、しかも突然」
 その直後ロクトはコンクリート上に塗られたような血の跡があるのを発見する
「行きましょう。何が起こっているか把握する必要があるわ」
 霧はロンドン塔のへ向かって進めば進むほど濃くなっていくようだった。
 もはや指先しか見えない、そんな白闇のなかでロクトは聞きなれない音を聞いた。
 それはまるでガラスを打ち鳴らすような甲高い音。
 そして、何か重たいものを引きずるような音。
「これを見て……」
 そうロクトは突然走り出す。
 その先には、建物の壁、その一面が赤くペイントされていた。
 その正体は濃霧のせいで遠目でからでは判然としない。だが近づいてみればすぐにわかった。
 それは、調査官のうちのひとりだ。
 彼は磔にされていた。胸のあたりから引き裂かれ、その血で手元に文字が書かれていた。
 『This way, please(こちらへおいで)』
「なめた、真似を」
 ロクトは眉をひそめる、そこにはご丁寧に矢印まで書かれていた。
 それをたどり歩くと突如霧の晴れた公園に出る。
 その中央には少女が佇んでいた。噴水の縁に腰掛け。たおやかな笑みを浮かべている。
「やっと、たどり着いたか。遅かったではないか」
 ロクトはその少女の姿に息をのんだ。水晶のように透き通った見た目。それはまるで……。
「我が栄光ある名はガデンツァ。讃えよ。よい、許す、そちらが我を崇めることをゆるす」
「あなたが、この一件の黒幕?」
 水晶で削り出された足を地面につけるとカツンと涼やかな音が響いた、ガデンツァと呼ばれる少女はロクトを真正面から見つめ、にやりと笑った。
「そうさな。黒幕、この一件を仕組んだのは我じゃなぁ」
 そうガデンツァが指を鳴らすと、マネキンのような従魔が噴水の中から現れる。その腕に抱えられていたのは、調査官の一人、最年少の青年『ヨシュア・ゴードン』だ。
「まさか、そちら程度のために、我が駆り出されるとは、全く屈辱的な話ではあるが。まぁ仕方がない」
「仕方がない?」
「オーダーには答えよう」
 まるで目の前のリンカーを気にせずガデンツァは言う。
「遊んでやる」
 そう言うと乙女は噴水の中に飛び込んだ。それに従魔も続く、その場にはゴードンだけが残される。
 あわてて彼の元へ駆けるリンカーたち。
「これは、ゲームじゃ」
 突如として、その空間にガデンツァの声が響き渡った
「遺産の調査官、それらを殺しつくすのが我の務め。しかしそれだけでは簡単すぎる。そもそもこの町ごと吹きとばせばよいだけだ」
「そんなことがあなた程度にできるの?」
「…………よい、我は一度の無礼は許す、二度目はないぞ小娘」
 そう殺気の混じった声でガデンツァは言った。
「まず、この町に数体の従魔を放つ、奴らには死んだ調査官と同じ見た目をさせておる」
 ガデンツァは語る、ゲームのルールを
 その従魔を探し切り、殺せればリンカーの勝ち。
 さらに、この町の中でガデンツァを見つけ出せてもリンカーの勝ち
 負ければ直ちにドロップゾーンを解除するという。
「検討を、祈るぞ、ははははははは」
 そう笑い声を残し、去るガデンツァ。同時に公園を霧が覆い始めた。
「所長が、空港に……」
 そう呻くのはゴードン
「彼が行ったのは?」
 尋ねるロクト。
「二時間前程度」
 ロクトは記憶を漁る。確か二時間ほど前から霧がかかり、飛行機は飛ばなくなっていた。つまり所長は空港にいる。
「すれ違いになったみたいね……。ただ、この案件、厄介なことが多いわね」
 霧の中で疑心暗鬼に満ちたゲームが始まる。

● 作戦会議
「そんな、エリシュ……ああ。お前まで。これで、これで五人目の犠牲が」
「ごめんなさい、私の力不足よ。でも今は死を悼んでいる暇はないの、対策を考えないと」
「仲間たちのところに行って、救う、それだけだ」
「そうなるとただ問題点は、はたして調査官が私たちを信用するかしら」
「どういうことだ?」
「ゴードンがいれば、話は早いと思う、私たちの話に耳を貸してくれるかもしれない。けど彼らは、私たちとかつての仲間の姿を持つ従魔。どちらの話を聞いてくれるかしら、みんな、聞いて頂戴」
 ロクトは意気消沈する皆に声をかけた。
「現状、このゾーン内では方位磁石、電子機器。GPS等使用不可能よ」
 さらに一般人は方向感覚も狂わされ。簡単に迷ってしまうだろう。
 一般人はこの霧のせいで町の外に出られない。警戒して建物の中に立てこもっているようだが、派手な戦闘は被害を生む可能性がある
「現在の私たちが守るべき調査官、もともとの総数は九人。死者は五人、生存者は四人。これから生存者を救いに行くわ」

解説

目標 デクリオ級従魔二体の撃破
   もしくはガデンツァの発見

<目指す場所>
1 空港
 一般人が大量に押し寄せ避難所となっている。所長は空港内の14番ゲートに向かうと言っていたので、その周辺を探せば見つかるでしょう。
 時計塔を中心に北側に存在

2遺跡調査局
 H.O.P.E.のもつ物件、二階建ての何の変哲もない一軒家だが、対従魔用のトラップが複数仕掛けられている、引っかからないように注意。
 時計塔中心に南側に存在

デクリオ級 従魔『マリオネット』
・特長
 見たものの姿形、そしてDNAがあれば本人の性格までコピーできる。
 一定以上のダメージによって変装が解ける。
 また、AGWを奪い強化する力を持つ。倒せばAGWは返却される。
 初期装備は苦無とアサルトライフル。

愚神 ガデンツァ
 あらゆる情報が謎に包まれている愚神。
 こちらの情報が逐一伝わってるらしい。
 ただし、ロクトが感じたところによると戦闘力は極めて高く危険らしい、万全な状態以外の戦闘は避けるようにとのこと

<研究員について>
 現在生存している研究員は四名

・『ヨシュア・ゴードン』
 若手調査官。臆病だが仲間のためなら危険を冒せる。今回はPCに同行する。

・研究員二名
 遺跡調査局に引きこもっている、愚神襲撃の恐怖におびえ正常な判断ができない、リンカーたちを敵の差し向けた従魔だと思う。
 説得方法を考える必要がある。
・所長
 飛行場にいる。
 彼は冷静だが、自分のチームメンバーのことを信用しやすい傾向にある

 死亡した調査官には暫定的にアルファベットを振るとわかりやすいでしょう。
 死亡した順からA。B。C。Dとし、OPにで壁に貼り付けにされて死んでいた彼はFとします。 

マスターより

今回のテーマは疑心暗鬼です。

 疑いが疑いを呼び、疑惑が疑念となって脳を甘い鎖で縛りつけるのです。
 人は考えることが大好きな生き物ですからね、そういう状況の方が脳は喜び、どんどんどつぼにはまっていきます。
 今回はそんなシナリオを目指してみました。

リプレイ公開中 納品日時 2016/05/28 00:37

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • いつも笑って
    九十九 サヤaa0057
    人間|17才|女性|防御
  • 『悪夢』の先へ共に
    一花 美鶴aa0057hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 希望を胸に
    アンジェリカ・カノーヴァaa0121
    人間|11才|女性|命中
  • コンメディア・デラルテ
    マルコ・マカーリオaa0121hero001
    英雄|38才|男性|ドレ
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命



  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト

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