本部
真贋の距離
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 4日
- 締切
- 2016/05/18 22:00
- 完成予定
- 2016/05/27 22:00
掲示板
-
まとめ卓
最終発言2016/05/17 11:50:12 -
プレイング卓
最終発言2016/05/18 21:40:04 -
相談卓
最終発言2016/05/18 20:37:41 -
遙華にゃんに質問する卓
最終発言2016/05/18 20:47:06 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/15 13:05:57
オープニング
● 世界に響く歌
ここは公園、かつて『ルネ』が歌った、彼女の人生最初で最後のステージ。
ここに『三船 春香』は定期的に来るようにしていた、ここにくれば彼女の歌が聞こえるような気がするから。
だけど、歌は聞こえない。その涼やかな声も聞こえない。
その歌は、土に石に、水に人に、浸みこみ、この世界の救いの一つになったのに。
なのに、この世界からはあの音は全く響いてこなかった。
春香はあてもなく公園を歩く。
目をつむり、ただただそこにある現実を感じている。
彼女が守った、大気や水や、人々の笑い声を、ただ……。ただ。
失ってしまった痛みと、救うことができなかった苦しみ、これを春香は一生背負っていくそんな覚悟を決めたけれど。
春香はそんな思いを抱えていったいどこに行けばいいのか。まったくわからなかった。
「ねぇ、ルネ。私はどうすればいいのかな」
失い続ける自分の運命、それを嘆いて、歩みを止めても罪悪感という魔物に取り殺される。
それを恐れて歩んでみても、向かう先は虚無で。
「苦しい、くるしいよ。ルネ。わたし、あなたの歌がききたいよ」
ルネは、微笑んでくれた。
歌、うまいね。そう春香が言うと。
心から嬉しそうに、笑って見せてくれた。
そんな大切な存在はもうこの世に存在しない。
「ルネ……」
そんな春香の足元にボールがてんてんと転がってくる、それを同い年くらいの少女が追いかけてきた。
春香はそれをとって、少女へ差し出す。
「はい、転ばないでね」
少女は首を振った。
「わたしのじゃないの、あの人の」
そう少女が指をさした先には一人の青年が立っていた。青い衣に金色の髪。その青年は春香を見つめ、そして言った
「ガルマ・アーヴェンだ。会うのは初めてかな」
「え? たぶん、そうだと思います。」
そう手を差し出すガルマ。春香はおずおずとその手を取った。
「英雄を探していないかな?」
「え?」
またも唐突なセリフに春香は疑問符を浮かべる。
「英雄?」
「そう、英雄だ、君は能力者だろう、はぐれている英雄と契約すればまた戦える」
「私、別に戦いたいわけじゃない」
「では、どうしたい?」
「どうって」
「壊してしまいたいと思っているんじゃないのか?」
春香の顔からさっと血の気が引いた、その手を振り払おうとするも、繋がれた手はがっちりつかまれていて動かない。
「大切な物を奪った世界を、救われた癖にのうのうと笑みを浮かべる人間たちを。そして彼女を殺す原因となった愚神たちを、全て、全て壊したいのだろう?」
「違う!」
春香は反射的に叫んだ。
「私はそんなこと思ってない」
「思ってるよ」
「え?」
「君はこの子と同じ目をしてる。行き場のない怒りを誰かにぶつけたいだけの目」
そうガルマはとなりに立つ少女を見た。
「私もかつて、H.O.P.E.に大切な人間を殺された。お前の気持ちは十分にわかるつもりだ」
「違う、私は、私は、みんなのこと壊したいなんて思ってない!」
春香は首を振り、否定する。
ここで自分がこの言葉を肯定すれば、それは助けてくれた人たちへの、一緒に笑いあってくれた人たちへの。遙華への。裏切になるから。
だから春香は首を縦に振らない、けれど。
「私は一度も壊したいと思ったことはないよ。理不尽に家族も友達も奪われても、それでも私は生きてるし、そのことに感謝してる。何よりルネが守った世界だから。だから私は。私は……」
春香は感じていた、彼らの言葉がやけに胸に響く理由。それはきっと。
「だから私が、私が、壊したいのは」
「自分だ……」
そうつぶやいた春香、笑うガルマ。そして涙を流す少女。
次いで、ガルマの後ろから突如、燕尾服に身を包んだ人物が現れた。
そして、ああ、そして。
歌が聞こえた。高く、鋭く、優しい。歌声。
これは、これは春香が渇望した、あの歌。彼女のかつての相棒『ルネ』の歌。
「え、なんで? どうして」
突如春香の視界は暗転、体が傾いでいく。重力に引かれ、どこまでも、堕ちていく。
● 真作と贋作
突如。
世界は地獄に塗りつぶされた。空は赤く染まり。公園を覆う緑の芝生にはクリスタル状の楔が幾本も撃ち込まれ、人々は地べたに倒れている。
すべてはその、歌のせいだ。
「歌うな、あなたが、その歌を歌うな!」
水晶のように透き通った戦慄、この世界を憂う曲調、歌詞。
すべてが、全てが春香の覚えている。ルネの……『希望の音』だった。
だが、その歌は汚された、その歌にのせられて発された思念が、人々の体内から霊力を奪っていく。
それは全て、春香の目の前にいる愚神のせいだった。
その愚神は羊の頭を持ち、コウモリの翼をもつ。悪魔のような見た目を持つ愚神。
その愚神は自ら『レプリカ―レ』と名乗った。
「その歌は、みんなが希望って呼んだものなんだ、なのに。なのに!」
「そんなの、偽物だ、あの子の歌じゃない!」
「何を言ってる、君の脳内にある情報をもとに再構築したんだぞ、ならば本物以外ありえない」
「例えばルネをここに作り出したとしよう、そのルネはお前の脳内の情報から作り出されている、つまり、お前が思うルネがしそうなこと、お前が思うルネの言いそうなことしか言わない、それは結局お前にとっての本物だ」
「違う、それは偽物よ」
「何が違う? 本物と偽物の違いとはなんだ?」
春香は押し黙る
「それを主へ示して見せろ、ガルマリンカーたちが来るまで、人間どもを殺してまわれ」
「了解した」
春香はその命令に息をのんだ。
その時信じられない光景が、春香の目の前で繰り広げられた。
毒々しい輝きを帯びた幻想蝶。それを梓は掲げると、ガルマと少女は闇につつまれた。
悲しそうな少女の瞳が、春香の視線と重なる。そして。
噴出するように霊力が周囲に飛び散り。
そしてそこに立っていたのは。くすんだ青の鎧に包まれた剣士。
これは、これではまるで、英雄と能力者の共鳴のようではないか。
そしてガルマは自らの指にはまっていた指輪を外し、握りつぶした。
「こんな物には何の意味もない、単なる慰めだ。私は怒りを収めるつもりはない。私は私の怒りが解消されればそれでいい。」
「あなた、愚神じゃ」
「英雄、ガルマ・アーヴェンさ。お前たち悪しき人間を滅ぼす、正義の英雄」
その時、ガルマがその刃で横たわっている女性を突き刺した。
「やめて!」
「じゃあ! お前が死ぬか? であればお前はこいつらの死を感じられない、それはすなわちお前にとってここにいる人間は死んでいないことと一緒だなぁ!」
「あなた達の目的はなに? あなた達は一体なんなの?」
「…………偽物とはなぜ、この世に生まれてくるのだろうな」
レプリカ―レは春香の質問には全く答えず、逆にそう、問いを投げかけた。
春香は悔しそうに涙を流しながら、空を仰ぎ見る。
「助けて、ルネ」
その声をかき消すように、公園中に甲高い笑い声が響いた。
解説
目標 愚神すべての討伐
今回は単純に二体の愚神の討伐です。
戦場は広い公園です、芝生に特に障害物もありません。
なので依頼内容としては簡単と言えるでしょう。
ただ、この敵についてはいろいろと疑問点がある方も多いのではないでしょうか。
訊いて追及して、何がおこっているか、確かめていただいても構いません。
《デクリオ級愚神 『ガルマ・アーヴェン』》
疑似共鳴をやって見せたが、実際は共鳴というより少女を取り込み力を増幅しただけである。
少女に意識はなく、ガルマを倒せば解放される
〈特長〉
・愚神を回復することができる。状態異常回復三回 単体大回復三回 三体選択し中回復一回使用可能
・斬撃を広範囲にばらまくことが可能、至近範囲攻撃。
・物理攻撃力、物理防御力に秀でる反面、魔法防御が低め。
<語り>『ガルマ』
「闇に打ち勝てる光など無かったのだよ。少なくとも私達程度では、この闇を照らすことはできない」
「守れないよ、お前たちでは、英雄程度では」
「ただただ、許せない、この怒りを解消したい、H.O.P.Eお前たちは間違っている。.」
デクリオ級愚神『レプリカ―レ』
このグループのリーダー。理屈っぽくまた、言葉で惑わそうとしてくる。
<特徴>
・飛行能力を有し、両手から爆炎を放つ。また格闘戦にも秀でており、固い装甲を利用しての打撃戦を得意とする。
<語り>
「果たして、ここにいるすべてが贋作だと、あなた達に言い切ることができますか?」
「そして、あなたの隣にいる友が真作だと言い切ることができますか?」
「ほら、いま疑った、その程度だ、あなた達の信じる心なんて」
マスターより
今回のテーマは 真贋
本物と判断する基準とはなんでしょうか。
第三者が本物だと思えばそれが本物なのでしょうか。
そこに本物と全く同じ性能の偽物があったとしてどうやって見分けるのでしょうか。
このテーマでシナリオを描くのも三回目くらいでしょうか。
ただ、ここでいったんの問いかけは終了です。お話は第二局面に移行します。
そんなわけで。こんにちわ、鳴海です。
今回は今まではっていた伏線を一気に回収する回ですかね。
明確に決めていたわけではないですけど。物語を二章的なあれに進めるために必要な回です。
でも単純な戦闘ですし。気軽に参加をお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/05/30 14:30
参加者
掲示板
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まとめ卓
最終発言2016/05/17 11:50:12 -
プレイング卓
最終発言2016/05/18 21:40:04 -
相談卓
最終発言2016/05/18 20:37:41 -
遙華にゃんに質問する卓
最終発言2016/05/18 20:47:06 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/05/15 13:05:57