本部

調査

神無月夜の偶人刀

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
5人 / 0~6人
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2015/09/25 07:30
完成予定
2015/10/04 07:30

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オープニング

●神の無い月夜に

 日本という国は八百万の神が居る国である。八百万とはすべてのモノに神が居る、という考えのようで、よく日本人は無宗教と言われるが、生活に様々な神への儀式が当然の如く埋め込まれていて、無宗教ではないと私は思う。なにしろ、生活に自然に密着し過ぎていて、デパートやビルの屋上にまで神が祭られているのだ。
 ここもビルの屋上に建つそんな社(やしろ)のひとつである。
「神無月か……。ぞっとしねえなあ」
 同伴者の一人がぼそりと呟く。確か神無月は十月の別称。十月に日本中の神がどこぞに集まるため各地の神が居なくなる月だという。……確かに、ぞっとしない。
「早く仕事を切り上げて帰りたいねえ」
 私はそう呟き、同伴者はビルの扉を開いた────。
 そこは、美しい円を描く巨大な月と影の世界だった。スーパームーンと呼ばれる月より更に大きい、夜空がすべて月に飲み込まれたかのような巨大な白い満月。そして、それを背景に並ぶ黒い無骨な鎧姿と、本来、社のあったはずの場所に建つ巨大な屋敷。その屋根の上で市松人形のような少女が笑っているのが、やけにはっきり見えた。


●絶望と希望と

「なんだ、これ……」
 その言葉を何度呟いたことだろう。ようやくたどり着いた本殿の床下で、私はを膝を抱えてガタガタ震えていた。
 私がこのビルのオーナーから依頼されたことは、レベル1のミーレス級従魔に占拠された社から御神体である銅剣を回収することだった。しかし、扉を開けた途端、私は理解した。ここはもうすでに────ドロップゾーン化している。つまり、レベル3ケントゥリオ級以上の愚神が居る。愚神は……あの少女だろうか。ドアを開けた瞬間、連れの男は武者のような鎧姿の従魔に斬り捨てられた。私は、命からがら本殿まで逃げることができた。
『従魔は見た限り恐らく五体、武者の鎧姿で刀を振るう。愚神は着物姿の少女の形をしており、ドロップゾーンを形成できる最低ケントゥリオ級以上、それ以上の恐れもあり。能力は刀での攻撃と高い身体能力を確認。愚神はなぜか本殿へは入ってこないが、従魔は本殿の中に入ることができ、あちこち破壊されている。私は、本殿の、恐らく御神体が祭られている部屋の床下まで来た。ここでもうしばらく救援を待つ』
 震える手で、雇い主へメールを打って送信する。幸い、通信は使えるようだった。


●キリーからの情報

 メールには三枚の手書きの画像ファイルが添付されていた。

 一枚目『ビル』。
 窓は壁と同じ厚さではめ込まれており、八階建てのほとんど装飾の無いのっぺりとしたビル。中央入り口正面に八階までのエレベーター、右奥に屋上までの折り返し階段がある。
 各階には広めのテナントが三店舗ずつ入っているが、現在はビル自体が封鎖されているため、どの店も閉まっている。屋上直下の八階のテナントは最奥に横長に広がるイベントスペース、エレベーターを挟んで右にレストラン、左に本屋がある。イベントスペースには中央に鍵のかかった大きな観音開きの窓がひとつ、レストランは壁一面にガラスがはめ込まれている。
 エレベーターの裏には非常用の梯子が隠され、そのまま登ると天井を押し上げてドロップゾーン中央に出ることが出来るが、そこは従魔の輪の中心となる。
 なお、本屋の真上が本殿となるが、屋上がドロップゾーンと化しているため、天井を破り上階へ突破する方法は使えないと書かれている。

 二枚目『ドロップゾーン』。
 ビル中央入り口から右手奥に一階から続く階段があり、そこを開くと屋上の庭園へ出る造りになっている。二十メートルほど先に社があり、そこに五体の鎧武者姿の従魔が大きく円を描くようにじっと佇んでいる。
 社までの間には玉砂利が敷き詰められ、所々今は緑の桜の樹が植えられている。切妻造の大きな屋根の上に愚神が居り、侵入者に気付けば様子を見ながらゆっくりと降りてくる。

 三枚目『拝殿および本殿』。
 社は、短い階段のある正面の扉と本殿へと続く扉を持つ広めの拝殿と、石の間と呼ばれる石敷きの道、それを渡った先にある本殿で構成される。
 本殿は小さく、大人が三人入れるかどうかの空間しかない。本殿の中心に御神体である銅剣が納められている。また、その床下にキリーは隠れている。
 拝殿、本殿内には従魔は入って来るが、愚神は何故か入って来ず、一定時間で屋根へと戻ることが多いが、脱出しようとすると階段前に現れる。


●救出、そして、脱出ゲーム

 広い部屋に集められた能力者と英雄たちは、上品なスーツ姿の初老の老人から事の経緯を聞かされた。彼の持ち物であるビルの社から御神体を取り戻そうと荒事を専門にした何でも屋を五人雇った事、彼らのほとんどが愚神率いる従魔に殺されたこと。
「最初からHOPEの皆様にお任せすれば良かったのですが……。あそこに祭られた銅剣は我が家の宝でして、一族の手前、一刻も早く手元に戻したかったのです。本当に彼らには申し訳ないことをしました」
 老人────ビルのオーナーの依頼は『銅剣の確保』と『生存者一名の救出』。愚神及び従魔に対してはHOPEの対応を待つと言う。
「もちろん、倒しても構いませんが、危ないことをしてもその分報酬を上乗せすることはできません。一両日中にはHOPEからの討伐部隊が来る予定です」
 そう言って彼が提示した金額は一般の調査と呼ばれる依頼にしては高額のものだった。

解説

 アイテムとキャラクターの救出脱出が目的です。
 従魔五体はビルの入り口に配置されていますので、ドアから進入した場合は戦闘は避けられませんが、戦闘の途中で離脱することも可能です。
 キリーは愚神をケントゥリオ級以上と判断していますが、実際はレベル4トリブヌス級であり、戦闘したとしても勝利することは難しく、むしろ全滅の可能性すらありますので戦闘は避けてください。
 愚神は屋根の上に居るので、戦闘に加わるまでしばらく時間がかかります。
 また、脱出の際には愚神はビルのドアの前で待ち構えており、本殿内から遠目でもそれを確認することができます。
 生存者の居る床下へは御神体の部屋の床を剥がすと入れます。


●登場
キリー:生存者。何でも請け負う外国版よろずやの傭兵団一員。金髪の外国人成人女性(一般人に比べて喧嘩が強い、度胸がある程度)。能力者ではない彼女からの情報は断片的なもので、冷静なPCが居れば、その情報が全てではないと気付くことでしょう。
御神体:銅製の日本刀。殺傷能力は無い。
愚神:レベル4トリブヌス級。市松人形のような切りそろえた前髪とおかっぱ髪、朱色の着物を着た15、6歳くらいの少女の姿をしている。瞳は黒く白目が無い。御神体を真似た鋼の日本刀を持っており、高い身体能力を持つ。飛行能力は無い。
従魔:五体。鎧武者姿。動きは遅いが攻撃力は高め。連携を組んで戦うことはない。

マスターより

依です。よろしくお願い致します。
鎧武者姿の従魔はともかく、レベル4の愚神に勝利するのは難しいので、愚神から逃げて御神体を持ち生存者を助けて脱出してください。
皆様のご無事とミッションの成功を祈ります。

リプレイ公開中 納品日時 2015/10/03 20:29

参加者

  • 希望の守り人
    シールス ブリザードaa0199
    機械|15才|男性|命中



  • エージェント
    明日沢 今日人aa0485
    人間|16才|男性|命中
  • エージェント
    ユー・フワaa0485hero001
    英雄|16才|男性|シャド
  • エージェント
    言峰 estrelaaa0526
    人間|14才|女性|回避
  • 契約者
    キュベレーaa0526hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 危険人物
    メイナードaa0655
    機械|46才|男性|防御
  • 筋肉好きだヨ!
    Alice:IDEAaa0655hero001
    英雄|9才|女性|ブレ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • エージェント
    ツラナミaa1426
    機械|47才|男性|攻撃
  • そこに在るのは当たり前
    38aa1426hero001
    英雄|19才|女性|シャド

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