本部

超人的ハンティング

saki

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 6~10人
英雄
0人 / 0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/09/27 19:11

掲示板

オープニング

狩り(ハンティング)――それは、生死を賭けた戦いである
 
●生徒会室にて
とある学校の生徒会室に、男女数人が呼び出された。
彼らの服装とまちまちの年齢を見れば一目瞭然であるが、彼らはこの学校の生徒ではない。彼らは、HOPEに所属する能力者である。
そんな彼らを呼びだしたこの学校の生徒会長は、どことなく草臥れた感じであった。否、疲れ切っているという方が近いかもしれない。
「わざわざ別の学校まで来てくれて、ありがとうございます」
誠実さが窺えるような会長は、困った風に笑みを作ると、「今日は皆様にお願いがあって、お呼びしました」と言った。
「現在、この学校では狩りがちょっとしたブームになっています。どちらかというと、バイト感覚で従魔を狩る生徒が多いのですが、学校側としては、少なからず社会に貢献していることもあるし、容認しています。しかし、三日前から不祥事が生じました」
そこで言葉を切った会長に続けるように、副会長が「生徒が戻って来ないのですよ」と続けた。
「己の力を弁えている方や、圧倒的な実力を持っている方は良いのですが、少々勘違いされている方もいらっしゃいます。今回は後者方々で、まぁ、一般的に見ると彼らは調子に乗っているというか、ちょっとやんちゃな方でしてね。それで問題を起こすことも多々あったのですが、そんな彼らは「ちょっと狩りに行ってくる」と言って家を出たきり、帰ってこないのですよ。それで心配になったご家族から学校に連絡があり、行方不明であることが知れました」
「そう、そしてそれが二日前のことです。居なくなったのはいつもつるんでいた3人組。だからこそ、ご家族からの連絡も遅くなってしまったのでしょう。それにより、今は少しではきかないくらいの問題になってしまっています」
そこまで言うと、重い溜息を吐いた。生徒が行方不明なのだから、生徒会長としては当然のことなのかもしれないが、とても参っているようにも見える。
「そこで、HOPEに依頼をさせていただきました。どうか、彼らを探しに行ってください。彼らのご家族は大事にしたくないと言うし、学校側からしても、評判を傷つけることはしたくはありません。そこで、皆様の御力を何卒お貸しください」
その言葉に異を唱える者は居なかった。
依頼されたからというわけではなく、身の危険に晒されている少年達を放っておくことなどできないからである。
「あぁ、良かった。これで今日は安眠できそうです」
ほっとしたような表情を浮かべると、生徒会長は「では早速、今、生徒達の間で流行っている狩場についてお話しさせていただきます」と言った。
生徒会長は、「こちらの山です」と地図を指差した。
「こちらの山は生徒達の間ですと、従魔のレベルはそれ程高くなく、絶好の狩場になっています。しかし、それは麓の方です。奥の方へ行くと少々強力な従魔が出るようです」
「彼らの強さから見て、麓の従魔との戦闘であれば余裕でしょう。現に、これまでに何度も麓の従魔退治には出ていたようです。しかし、今回に限って戻って来なかった。それはつまり、調子に乗った彼らが奥の方へ足を踏み入れたと考えることが妥当だと思われます」
容赦のない言葉である。会長とは違い、苛立ちを前面に出している副会長は斬り捨てるかのような口調であった。
「一応付け加えておくのなら、副会長の弟さんがその内の一人なのですよ。それでますます頭にきているような感じです」
「本当に、愚弟はいつも迷惑ばかりかけて。もしも見つけたら、喝を入れてください。尤も、戻ってきてからも一発はいれますが」
「と、まぁ、そんな訳です。それで、今回の依頼ですが、行方不明の生徒の捜索と保護ということになるのでしょうか。彼らの安否についてはもう二日経っているので、状況がどうなっているのかが解りません。ですが、どうぞよろしくお願いします。親御さん方はもしもということを考えてはいるようですが、そうならないように願うだけなのがもどかしいですね」
力なく笑った生徒会長に頷いた。
「あぁ、矢張り皆さんはとても心強いです。本当に、よろしくお願いします」
「彼らは少し尖ったところがあって、それで周囲からも少し見放されぎみです。それが、大人達からしての今回の大事にしたくないということに繋がっています。確かに愚弟とその友人は目に余るところもありますが、それだけで見捨てて良い存在などではありません。これからのことはきちんと言い聞かせますので、皆様にご迷惑をおかけしますが、どうかよろしくお願いします」
頭を下げた生徒会長に続き、あれだけ悪態を吐いていた副会長も頭を下げた。口では何とでも言えるが、心配であったのだろう。それがあの罵詈雑言というわけだ。
二人に声をかけると生徒会室を後にし、早速行方不明の生徒達の捜索へと向かうのであった。

解説

・目的
→行方不明になった生徒達の捜索、救援、保護

・補足
→行方不明の3人は、山の奥に生息する獣魔ソードウルフの縄張りに足を踏み入れてしまった。
→麓にはデスラットや夜雀の姿が見かけられるが、目的はこれらの討伐ではないので、戦わなくて大丈夫です。
→まずは闘いよりも生徒の探索を優先とすること。刺激をすることにより、身を隠している3人に危険が及ぶ可能性があり。
→山という地形を生かし、日常道具でも上手く使えば罠を仕掛けたり、移動するのにかなり有効。

リプレイ

●生徒会室にて
 生徒会長の話を聞き、依頼の内容を確認した所で東海林聖(aa0203)は「会長さん、地図とかはないのか?」と話しかけた。
 それを聞き、九字原 昂(aa0919)も「それから、生徒達の活動範囲も教えてください」と続ける。
 二人に要望され、会長は副会長に指示し、人数分の地図を持って来させた。そして、その内の一枚を机に広げる。
「これが今回の話に上がっている山ですね。生徒達は専ら、見通しの良いこの辺りで狩りを行っているようです。そして、そこから奥に入った所からがソードウルフの縄張りになっています。
あと、東に行くと切りだった崖になっていて、そこから十数メートル程の位置に隣の山が見えます。因みに、こちらの方はあまり従魔の存在は確認されておらず、比較的安全な場所ではありますね」
 渡された地図を一瞥しながら、アルヴィン・キング(aa0550)が「取り敢えず、ソードウルフの縄張りまでは全員で行き、そこから二手に分かれるのはどうでしょうか?」と口を開いた。それを聞き、片桐・良咲(aa1000)が「ボクはそれで良いと思うよ」と同意した。そのことに全員異論はないようで、誰からも反論の声は上がらなかった。
「では、仮に一つをA班とし、 東海林さん、片桐さん、モニカさん達三人をチームとし、もう一つをB班として七瀬さん、九字原さん、僕の三人でいかがでしょうか?」
「賛成」とモニカ オベール(aa1020)からすぐに声が上がる。七瀬・竜(aa0102)も「バランスも取れているようだ。異論はない」と頷いた。
 あっ、ねぇねぇとモニカは声をかける。
「あたしの山装備持ってきていい? 常に準備してるからすぐだよ」
 それには誰も異論はないようで、「山に行くのですから、それなりに準備をした方が良いと思います。一時間後に山の麓に集合ということでいかがでしょうか?」という九字原の言葉に、一行はそれぞれ準備をすることとなった。

●山の麓にて
 約束通り一時間後、六人全員が時間通りに集合した。
「みんな、準備はできたよね? ボクは、もしもの時用にライターと連絡用の花火に、あと、気分が落ち着くようにあったかいお茶とか色々用意したよ」
「あたしも、役に立ちそうな物持って来たから期待していてね。山での救助はあたし専門だから、任せて!」
「僕は、もしもの時の為に笛も持ってきましたので、こちらは一応みなさん渡しておきますね」
 特に荷物を持て来ている三人はそれぞれの持ち物のことを話し合っていた。他の三人も勿論救助に必要な物をきちんと準備しているから準備万端である。
「一応確認したいのだが、連絡手段は大丈夫か? 連絡を取り合いながらの方が効率は良いと思うのだが」
「それなら大丈夫だろう。さっき確認したら、其々のチームにスマートフォンを持っている奴がいるようだぜ」
「そうですね。チーム内で別行動を取ることはないと思うので大丈夫では? それに笛もありますし、いざという時はこれを使えば、少なくとも居場所はわかりますよね」
「そんなことよりも、時間が勿体ねぇ。早く行こうぜ。二日も経っているんだし、急ぐのに越したことはないだろう」

●山中にて
 最低限の戦闘をこなし、地図に示された縄張り近くまでやって来た。成程。ここぞとばかりに木につけられた爪痕が己の存在を誇示しているようである。
 ソードウルフは群れで動く。それを警戒し、この付近では他の従魔の姿はないのだろう。
「では、前もって決めたように、ここで二手に分かれます。捜索を円滑に進める為、なるべく連絡は取り合いながら進みましょう。まだスマートフォンは使えるようですが、何時圏外になるかも判りませんし、その時は他の連絡法でお互いに伝えましょう」

●山中にて(A班)
「おーい」
「誰かいるか」
「いたら返事をして」
 其々が声をかけながら進んでいく。ソードウルフと遭遇する可能性はあるが、生徒が何処にいるのかわからない以上、声を出してこちらの居場所を知らせるべきだと考えたのである。
「ったく、何処にいるんだよ」
「そうだね。これだけ捜しても見つからないね」
「取り敢えず、大分地図にはチェックが付いてきたし、きっともう少しだよ」
 その言葉の通り、地図の大分が印で埋められている。仮にこちら側にはいなくても、B班側にいる可能性もあるのだから仕方がない。

 少しすると、急に東海林が立ち止まった。
「何か、聞こえなかったか?」
 その言葉に片桐とモニカも立ち止まり、警戒しながら耳を澄ますが、何も起こらない。
 顔を見合わせると、警戒は解かないまま、音のした方へと足を進めた。そして、二股になった巨木の間に蹲るようにした少年を発見した。
 捜していた内の一人である。
「一人か? 他の奴らはどうした?」
「俺は怪我をして動けなくなって、二人とはぐれてしまって……」
 少年は、嗚咽の合間にそう言った。見ると、片方の足が明らかに不自然な方向に曲がっており、骨折しているのは明らかであった。
「足、ちょっと見せてね」
 モニカが手早く応急処置をしていると、片桐が少年にあったかいお茶を差し出した。
「疲れたでしょう? 飲むと落ち着くよ」
 それで完全に緊張の糸が切れ、少年はぼろぼろと泣き出した。
「取り敢えず、一名確保ってことで連絡したらどうだ?」
「うん、そうだね。……って、ここ、圏外みたい」
「まぁ、随分と奥まで来たから仕方がないか」
「ボク、花火持って来たから、それ打ち上げてみるよ。そうしたら場所解るだろうし」
 片桐は持参した花火を空に打ち上げた。
 まっすぐと上がったそれは狼煙となり、ある程度距離があっても確認できそうなものであった。
「まぁ、後はあっちからの反応を待ってからの行動か?」
「あたしもそれが良いと思う。ここからあんまり離れたら、折角上げた意味がなくなっちゃうし」
 これからのことを話し合っていると、茂みの奥から音がした。
 しかし、明らかに殺気立ったそれに、「来たぜ。さっさと倒すか」と武器を手に身構えた。

●山中にて(B班)
 A班とは逆に、こちらの班は極めて静かである。
 音を殺し、注意深く周囲を見回し、警戒のまま進んで行く。敵をおびき寄せない為、静かに行動することに決まったのである。
 そして、岩陰など身を隠せそうな場所を抜かりなく確認し、効率的に捜索範囲を進んでいく。
「大分進みましたね」
「そうですね。残す所も少ないですし、大分場所が絞れてきましたね」
 そう話していると、「見つけたぞ」と九字原が戻って来た。

 九字原の案内で岩の亀裂まで行くと、身を寄せ合うようにして二人の少年が居た。
「行方不明者二名発見。衰弱しているようですね」
「大丈夫か?」
「三人だと聞いていたのですが、もう一人は?」
 尋ねると、少年は泣きながら首を振った。
「気が付いたら、はぐれちゃって」
「でも、怖くてここから動けないし、ずっと隠れていたんだ」
 嗚咽を漏らす二人に、九字原は経口補水液を渡した。
「怪我はないのか?」
 水を一息に飲んでいた二人は頷いた。
「俺達は大丈夫。けど、あいつは……」
「もう一人は怪我をしているのか?」
「うん。それで逸れたんだと思う」
「成程。もう一人が無事に保護されていると良いのだが」
 しんみりとした空気を払拭するように、「取り敢えず、連絡をとりましょう」とスマートフォンを開いた。
 しかし、画面に映るのは圏外の文字。山深い為に電波が届いていないようである。
「笛でも吹きますか?」
 先にアルヴィンが配った笛を九字原が指すが、「あまり大きな音を立てると、ソードウルフが集まる可能性がある。仕事としてうけたんだ、傷なんかつけるつもりはないが、それでも危険な可能性を排除することに越したことはない」と七瀬は首を振った。
 その言葉が尤もである為に、否定をすることはできない。
「しかし、向こうに連絡が取れないとどうにもなりませんよ」
 額を突き詰め合わせていると、突如大きな音がした。
 山中ではあまりにも場違いな音のした方向を見ると、花火が上がっていた。それを見て、片桐が花火を持って来たと言っていたことを思い出した。
「身を隠しながら、合流しましょう」

●山中にて
「よし、片付いたな」
 ソードウルフとの戦闘を終えて満足そうに東海林は呟いた。
「戦闘があったのか?」
 そこにB班と少年二人も合流し、全員が集まった。
「うん。けど、一体だけだったし、ボク達には余裕だったよ」
「けど、それは斥候ですよね。ということは、本隊が来る場合もあります。彼らは群れで動きますから」
「そうだね。あたしも早く下山した方が良いと思うな」
 レインジャケットを腰前で結び、怪我をした少年を背負ったモニカも頷いた。
「しっかり捕まって。でも戦えなくなるからあんまりぎゅーてしちゃだめだよ?」
「……っと、そうこう言っている間に第一陣が到着ってか?」
 その言葉の通り、何時の間にか周囲には十数体のソードウルフが集まっていた。
「このまま撤退するのにも、目の前の敵を蹴散らさなくては難しいですね」

「「「「「「リンクドライブ」」」」」」

 六人の声が響き渡る。
 それぞれは武器を構えるその姿は、一瞬で別人へと成り替わった。
 ブレードマスタリーによって強化された、七瀬の鋭い一撃が敵を襲う。
 閃光。
 居合の速さでもって、ソードウルフを文字通り真っ二つにした。
「負けない」
 東海林もソードマスタリーによって強化した大剣が、敵を薙いだ。
 旋風が巻き起こった。
 尋常では考えられない速さで大剣が振り下ろされ、切っ先にいた敵は勿論、周囲のものもまとめて吹き飛ばした。
 そこを大きな口を開けて襲ってくるが、絶妙な角度から放たれた銃弾が敵を屠る。
 今までの姿から考えられない口調で、「敵を休ませんな, 波状攻撃で仕留めんぞ」と言うと、アルヴィンの銃口から次々と弾丸が発射されていく。
 モアドッジにより、極限にまで研ぎ澄まされた回避感覚により、敵から攻撃を受けるぎりぎりの距離で敵を交わし、九字原の攻撃が敵を抉る。
 「俺にその程度の攻撃は効かない」と言うその様は正に、無駄など全くない効率的な動きであった。
 彼らが前衛で大きく動けるのも、後衛からの援護があるからだ。
「俺は、やるべきことはキッチリやり遂げなければ気がすまないんでね」
 その言葉の通り、片桐は冷静に敵へボウガンマステリーで強化されたクロスボウを打ち込んでいく。正確無比とはこのことだ。
 更に、人を一人背負ったままでもまるで危なげのないモニカからも援護が入る。
「ワシからすれば、この程度のこと、朝飯前だ」
 貫禄さえも感じさせる姿で、的確な射抜きが容赦を与えない。
 戦闘はものの数分で完了した。それだけ、この場にいるメンバーの能力が高いのである。
 リンクを解き、元の姿へ戻る。しかし、またすぐに身構える。
「わっ、早い。第二陣が来たの?」
 その言葉の通り、木々の隙間からこちらを狙うようにして数十対の目がこちらを睨んでいる。
「そんじゃ、とっととずらかるぞ」
 東海林は持って来た棒と布で素早く少年を背負い、七瀬も無言でもう一人の少年を背負った。
「殿は僕が努めます」
 九字原がそう言い、一行は少年たちを守りながら、走り出した。


 走り出したのを見て、当然、ソードウルフも追ってくる。六人だけなら簡単に逃げ切れただろうが、今はこの少年達を守ることが優先である。
 どれ程走っただろうか。
 地図で確認などしている暇もなく、どの辺りを走っているのかなどという感覚などない。
「崖だ」
 先頭を走っていた七瀬が立ち止まった。
 切りだった崖がそこにはあった。
 迂回しようにも、ソードウルフはすぐ背後に迫っている。
「どうする? ここでやるか?」
「ここで敵と交戦するのはあまり得策ではないと思います」
「そうですね。背後から襲われる心配はないですが、万が一ここが崩れでもしたら大変です」
「それじゃあ、どうするの?」
 その空気を払拭するように、「大丈夫」とモニカが言った。
「ちょっとだけ時間を稼いでもらっても良い? あたしに任せて」
 ザックからロープを取り出すと、片方を手近な木に結び、もう片方を弓に結びつけた。
「これで向こうの木に括り付ければ、後はカラビナを使えば、ショートカットできるから」
 自身満々なモニカに、一同は顔を見合わせて頷いた。
「解りました、お任せします」
「敵が来るぞ」
 距離を詰めてきたソードウルフが再び襲い掛かってくるのを仕留めながら、その間にモニカは向こうの木に矢を引っかけた。
「まず、あたしが向こうに行って、完全に固定してくるから」
 それなら最初に行くのは危険ではないのかという言葉が出る前に、モニカはカラビナを使って実にあっさりと向こうの山へと飛び移った。そして、きっちりとロープを結んで大きく手を振って合図を出した。
「よし、じゃあ、僕達も行こう」
 モニカが人数分持って来たカラビナを使い、次々と向こうの山まで移動をして行く。
 その間に時間を稼いでいるのは、殿を買って出た九字原である。彼が確りとその役目を果たしているから、他のメンバーは危なげなく向こうまで行けたのだ。
「こっちはみんな無事に着いたから、九字原君も早く」
 急かす声に踵を返し、九字原もカラビナを使って向こうへと移動しようとした。
 しかし、ソードウルフも馬鹿ではない。
 ロープが結んである木に体当たりをして倒したのである。
 支えを失い、九字原はあと少しという所で宙へと投げ出された。
 そして間一髪。
 ほぼ反射的にロープを掴んだ。
 それを見て他のメンバーはほぅっと息を吐きながら、力を合わせて彼を引き上げた。
 流石にソードウルフも、崖を渡って追いかけてくることなどできないようである。
 それを見て、再び詰めていた息を吐き出した。

●下山
 会長が言っていたように、隣の山には従魔の姿など全くなく、一行は少しだけ緊張感を保ったまま山を下り始めた。
 漸く一息吐けた所で、「これに懲りたら自重することだね。でないと……今度は山の養分になるよ」と九字原は少年達に軽く脅しをかけた。それに追い打ちをかけるように、七瀬も「副会長から喝を入れるように言われているんだが」と続けた。
 それを聞き、一人の少年が「うぇ、姉ちゃんが」と顔を顰め、他の二人ももう絶対に無謀なことをしないと約束をした。

 そして暫く進めば麓に着き、そこには会長と副会長の姿があった。
「心配でしたので、見に来ました」
 安堵の表情を浮かべた会長とは裏腹に、険しい顔をした副会長は駆けよるなり、少年達の顔を思い切りはたいた。
 ぱんっと渇いたいい音が響き渡る。
「馬鹿」
 その先の言葉は続かないようで、顔をくしゃくしゃにした副会長を前に、少年達は泣き出した。
 その姿を眺めてから一行は顔を見合わせ、誰ともなく拳を合わせ、任務の完遂を祝った。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • エージェント
    アルヴィン・キングaa0550

  • 九字原 昂aa0919

重体一覧

参加者

  • エージェント
    七瀬・竜aa0102
    人間|18才|男性|攻撃
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • エージェント
    アルヴィン・キングaa0550
    人間|18才|男性|攻撃

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避
  • 楽天家
    片桐・良咲aa1000
    人間|21才|女性|回避
  • 雪山のエキスパート
    モニカ オベールaa1020
    人間|17才|女性|生命
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