本部

カーテンコール★リンクブレイブ

ガンマ

形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
25人 / 1~25人
英雄
21人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
4日
完成日
2019/04/03 16:17

掲示板

オープニング

●全ての絆へ

 いつかどこかの、どこでもない場所、どこかにある場所。
 現実かもしれないし、夢かもしれない、そんな場所。

 スポットライトを浴びるのは大きな舞台だ。
 並ぶ客席、万雷の喝采、紙吹雪、並ぶ花束。

 遂に物語が終わる。
 絆で紡いだ、勇気と希望の物語。
 苦痛と絶望に晒されながら、それでも進み続けた“英雄”達の物語。

 嗚呼、遂にカーテンコールだ。

 楽しい時ほど、あっという間だ。

 ここには皆がいる。
 ここでは皆が主役。

 さあ、舞台の真ん中へどうぞ。
 最後に相応しい一言をよろしく頼もう。

 え? ここはどこ? 何これ? なんだってこんな状況?
 まあまあ、そんなヤボなことは言いなさんな。
 同じナニなら踊らにゃ損、なんて言葉もあるだろう。
 細かいことは気にしない。一月一日や四月一日に似た経験をしただろう?

 幕が下りたら全部終わり……なんてヤボなことも起きはしない。
 幕が下りても、客席が空になっても、台本が『了』で締めくくられても。
 君達の戦いは、日常は、絆は、確かな本物――本当の時間を過ごした、現実だったろう?
 だから皆の物語はこれからも、現実として、ずっとずっと続いていくのだ。

 そう、だから、ひとつひとつ思い返して欲しい。
 なんてったってこれでラスト。
 言いたいことは山ほどあるかも。あるいはちょっとしか思いつかないかも。
 それでもいい。後悔がないならそれが一番!
 ただ、一つだけ約束して欲しい――カーテンコールは、みんな笑顔で!

 さあ、カーテンコール!
 君達の存在を、刻み込め!
 

解説

●目標
カーテンコール。最後の挨拶をどうぞ。

●状況
 初夢やエイプリルフールでこそないけれど、大体そのようなアレと近しいアレとお考え下さい。
 大きな舞台。
 ひとりずつ(あるいは示し合わせた仲間と共に)(英雄と同時参加の場合は、基本的に英雄と一緒に)舞台に上がって、最後の挨拶(カーテンコール)をしましょう。

▼プレイングテンプレート
*挨拶
舞台に上がってから発言する、貴方を象徴する一言。
リプレイで最も印象に残っている自分の台詞か、いつもの決め台詞をお願いします。

*一言
終わる物語に向けて、貴方の想い。
成長したと思うこと、印象に残っていること、楽しかったこと、宿敵との戦いのことなど。
そして、これからどう生きていくのかの簡単な後日談。
必要ならば舞台上でハリボテなどの大道具やらを指定できます。

/以上

※注意!
「ここはどこ?」「何この状況?」等のプレイングはカット対象です。
客席にいる・挨拶後に客席に行く、演出担当など裏方に回る、はNG。
全員、舞台で挨拶をしてもらいます。挨拶後は舞台袖で待機です。
潔く流れに身を委ねるのがクールです。
多少メタな表現も許可しますが、基本的にPCとしてのロールプレイングをお願いします。

▼NPC
 ガンマのシナリオに登場したNPC(登録、非登録含む)を指定すれば登場させることができます。(生死問わず)

※注意※
 「他の人と絡む」という一文のみ、名前だけを記載して「この人と絡む」という一文のみのプレイングは採用困難です。
『具体的』に『誰とどう絡むか』を『お互いに』描写して下さいますようお願い申し上げます。
 相互の描写に矛盾などがあった場合はマスタリング対象となります。 リプレイの文字数の都合上、やることや絡む人を増やして登場シーンを増やしても描写文字数は増えません。
 一つのシーン・特定の相手に行動を絞ったプレイングですと、描写の濃度が上がります。

リプレイ

●永遠の喝采を 01

「さぁさ! 全ては大円団! キミ達にはどんな出会いがあった? どんな出来事があった?」

 舞台に現れた振澤 望華(aa3689)は、元気よく両手を上げた後、片手を腰に、もう片手は人差し指を立てて顔の横に、皆へと問うた。
「良いものも辛いものも、全ての出会いや出来事は君達の糧となるだろう。君達はそれらを糧にすることができるのだ」
 唐棣(aa3689hero001)はいつも通りの様子で、付かず離れず望華の傍ら。
 落ち着き払った彼と対照的に、望華はまるで教育番組のお姉さんのような物言いで言葉を弾ませた。
「キミ達は嬉しかった? 悲しかった? 私は楽しかった! とっても楽しかった!!」
「右に同じく、愉しくはあったな。恐らく、得難い経験であっただろう」
「私達は輪のひとつとなり、連なっていく。これにて全ては幕引きでございます」
 望華は服の裾を軽くつまんで、まるでドレスの時のような華麗なお辞儀をして見せる。隣では唐棣も、それに倣って品よく一礼をした。尤も望華は、顔を上げるやイラズラっ子のようにウインクを一つ投げかけたが。

 ――光は煌く。拍手は鳴り止まぬ。

 背筋を伸ばし、唐棣は光を見据えた。
「次にまたどこかで相見えるかも知れぬし、もうどこぞでも会うこともないかもしれぬ」
「だけれども! また会えることがないとしても! 私は皆にこう言おう!!」
 全ては堂々と高らかに――まるで「やっほー!」と呼びかけるように、望華は片手を高らかに上げた。
 その顔は、これまでの一番の、元気ハナマルな笑顔で。

「とってもとっても楽しかったよ!! また、一緒に遊ぼうね!!」

 そう言って、唐棣の手を取ると二人で手を上げ、そしてお辞儀を。
「とゆわけで! 望華と唐棣でしたー。お次の方、ろっくんろーる!」


 ――君は何かを残せましたか。
 ――君は君らしくあれましたか。

 フィアナ(aa4210)はルー(aa4210hero001)と共に並んで、拍手とスポットライトがさんざめく舞台の上、情景を静かに見渡していた。
 白いドレスに、白いタキシード。合わせた礼装、手には八本の白い薔薇。

 例えば花舞う春に変化を感じ。
 真夏の海には紅い花を想い。
 秋の祭りに狼たちの笑い声が耳を擽り。
 凍てつく冬に雪原の大戦を思い返すだろう。
 一巡り、一巡りする度に、それでもなお美しく世界を照らすことだろう――。

(いつかそれが、誰かの道標になりますように)
 フィアナは一度目を閉じて、数秒……瞼の裏で光を感じながら、ゆっくりと目を開けた。

「……たくさんの、言葉は、不要、よね」

 ふ、と唇に笑みを浮かべた。
 隣にいてくれるルーと、そっと手を繋ぐ。光であれ、希望であれ――結んだ誓約を思い返しながら、二人は笑みを交わした。
 今日までありがとう。
 そして、これからもどうぞよろしく。
 光であれますよう。希望としてあれますよう。
 願いを込めて――手を掲げた。

「ありがとう、ござい、ましたっ……!」
「ありがとうございました」

 最後に、優雅に一礼を。
 さあ、カーテンコール!


「いえーい! フルオープンパージだぜー!」
 颯爽と舞台に現れたのは虎噛 千颯(aa0123)だ。テンションのままに上着を脱ぎ捨て、上半身裸になって、丸めた上着を客席に放って。
「たくさん……そう、たくさんの思い出があるけど、この場で全部を言うことはできないけどさ。俺ちゃんは、白虎ちゃんの公認ゆるキャラを目指して頑張ってきたけど、最後まで、非公認で終わっちまうのが心残りなんだぜ……」
 そう肩を竦めるも、表情はキリッと、親指を立てて見せた。
「でも、俺ちゃんは楽しかったんだぜ! だから、俺ちゃんは普通の駄菓子屋の店主に戻るんだぜ! 子供にも妻にもたくさん心配かけたから、これからはその分、たっくさん甘えさせてやるんだぜ!
 この物語は一旦、終劇するけど……俺ちゃん達の物語はこのあともずっと続いていくんだぜ! みんなが忘れなければ……みんなが想い続けてくれれば、カーテンコールのその先で! 俺ちゃん達の物語は紡がれ続けるんだぜ!」
 スポットライトに負けない満面の笑顔だ。
 千颯はブンブンと客席に手を振った。
「だから――これからもよろしくっっ!! 俺ちゃんでしたッ!!」


「ジーヤと――まほらまです」
 GーYA(aa2289)は英雄と共に舞台に上がり、お辞儀をした。
「俺はこの世界に在ることができて、本当に良かったと思う。……まほらまも、たくさんの縁を築けたことがすごく嬉しいって」
 そう言って、思い返すのは英雄と共に過ごしてきた日々だ。
「特に印象に残ってるのは……やっぱり【神月】で門の向こうへ行って死にかけたことかな。救出に来てくれた皆のお陰で、この世界で生きることができた。自分の愚かさで誰かが死んでしまうかもという恐怖……。叱って貰えたことや、気にかけてもらえたこと……本当に、ありがとう」
 改めて、ジーヤは仲間達に深く深くお辞儀をした。
 そして頭を上げると、
「あ、これからの話? 俺はH.O.P.E.の異世界担当に所属するよ。それから結婚して……六年目に唯我と維咲、男女の双子に恵まれる。
 人工心臓も仁科さんが作ってくれたものに交換して……いつか、異世界ワープでヘイシズの世界へ。異世界の人々と絆を繋げる為にまほらまとの力を使って、旅をしていく」
 真っ直ぐに前を見つめる。そしてジーヤは共鳴をすると、絆武器である聖剣「ブレイブリンカー」を高く掲げた。
「この手の温もりと実感を離さない、守るために強くなる!」


「――俺の身体を使え」
 次いで舞台に上がったのは狒村 緋十郎(aa3678)だ。
 傍らにいるのはヴァルヴァラ、なれど、この世界の彼女ではない。彼のオーダーメイドによるイフの存在だ。ここは曖昧な世界なれど、仮想で現実を上書きし改変確定することは叶えられない。その旨については了承願いたい。
「……嗚呼。白くて小さくて可憐で……本当に……綺麗だ」
 満身創痍の男は呟き、そして愛を語り始める。
「【共宴】でヴァルヴァラと再会できたこと……共に過ごせたこと……嬉しかった。あの三ヶ月……俺は本当に幸せだった。いや、無論今も……この上なく幸せだ。
 【狂宴】は見事な策だった。レガトゥス級でも殺せなかった俺を死に至らしめたのだからな。ヴァルヴァラの手柄だ」
 そして、続けられる言葉は“この世界”では事実ではない、イフの物語である。
「今後は……ヴァルヴァラと共に氷結地獄で罪を償う。地獄の底だろうとヴァルヴァラと一緒に居られるなら本望だ。何万年後か分からぬが、もしいつか贖罪の終わる日が来るなら……その時は……なぁ、ヴァルヴァラ。俺の子を……産んではくれぬ……だろうか」
 返事は、吹雪くような笑みと共に、男が創り上げた理想へと消える。


「我ら、魔術師は意思を貫くもの。遺志を受け継ぐもの。
 想いの果てに理想を描き、想いを糧に力と成すもの。
 故に、深き夜をが訪れようと暁に至るまで我らは歩み続ける」
 構築の魔女(aa0281hero001)は、辺是 落児(aa0281)との共鳴姿で現れた。
 ゆっくりと――見渡すのは、遂に終幕を迎える物語。ハッピーエンドを祝福するような光に、魔女は目を細める。その表情は嘲笑のようにも見えた。
「皆々様、愚かな愚かな英雄……いえ、愚かな愚かな人間の悪足掻きを嗤ってお楽しみ頂けたでしょうか? この腕から願いは零れ落ち、この心から愛しき記憶は過ぎ去り、偽りたるこの身に帰る場所はありません。そう、たった一つの願いの為、足掻き、隠し、求め、嘆き、歩みを進め……そうして辿り着かぬまま彷徨うそのような物語にございます。
 敗者は手を伸ばし、敗者は天を仰ぎ、敗者は朽ちて忘れ去られる。優しい忘却の闇がこの身を浚い消えるまで、私はこのまま歩み続けることでしょう。……さぁさ、英雄に祭り上げられた死者を悼むのならば、どうか嗤って物語をお楽しみくださいませ」
 いつか異世界同士の移動が可能になろうと、英雄はどう足掻いても英雄のまま――愚神の王に創り出された影法師。この世界において、英雄の居場所はない。英雄は、異物だ。この世界でも、元の世界でも。
「は――はは。あはははははははは――」
 喉を逸らして笑った。いっそこんなところ、愚神になって破壊し尽くしてしまおうか。そうとすら思った。だがここはここであってここでない場所、手にしたライヴスソウルは砕く前に塵となり、呆気なく、涙のようにこぼれ落ちる。
 そして、魔女の姿は煙のように消えた。



●永遠の喝采を 02

 スポットライトが煌く――六つの影が舞台に伸びる。

「東京海上支部の素盞嗚命と奇稲田姫、迫間央とマイヤ・サーアよ」
「K県K市の区役所窓口から半休申請して挨拶に参りました」
 マイヤ 迫間 サーア(aa1445hero001)と迫間 央(aa1445)と手を繋ぎ、客席へ一礼を。

「斬るも忍ぶもお任せを! 忍生まれのサムライガール、不知火あけび只今参上!」
「攻め抜くことで守り抜く! 正義を以て世界を駆ける……希望を失うことはない!」
 不知火あけび(aa4519hero001)は片刃の直刀「雪村」を、日暮仙寿(aa4519)は守護刀「小烏丸」を手に構え、自らを示した。

 友人らに続くのは藤咲 仁菜(aa3237)、緊張を深呼吸で飲み込んで……
「守護する“盾”の藤咲 仁菜と――」
『リオン クロフォード!』
「二人で一枚の“盾”です。半人前で弱虫な私達だけど、二人一緒だからここまで来れました」
 仁菜はリオン クロフォード(aa3237hero001)と手を繋ぎ、客席へと頭を下げた。

 大きな拍手が六人を包む。
 誰から話したものか。三組は互いを見やった。ここはリンブレらしく、イニシアチブ順にするとしよう。
 というわけで、マイクを握ったのは央だ。

「王との戦いも終わり、愚神対応が、ヴィランやイントルージョナーへの対応と変わったことで……まぁ、やってることは変わらんのですが、人権だの他世界との外交だので政治的に面倒臭い話になってきまして、役所にリンカーは必要か? 警察や自衛隊に人材を集めるべきでは? みたいな話も出て、非常に落ち着かない日々を過ごしています」
 情勢の変化、というものがダイレクトに表れるのが行政というものだ。ルールが変われば書類が変わり、対応が追加され……等々、お役所仕事も楽じゃない。央は苦笑と共に肩を竦めた。
「今までも、社会の中でリンカーの立場が少しでも良くなるよう、敢えて役所に籍をおいていたところなのですが……妻である自分の英雄と、リンカーやっていくのが、最終的には今の自分には一番大事なので……」
 そう言って、央はマイヤと視線を交わす。穏やかな、そして世界で一番特別な眼差しがそこにはあった。
 それから央は仙寿を見やると、彼に会話を振った。
「そうだな。仙寿、役所に在籍し辛くなったら、H.O.P.E.にポスト用意してくれたりしない? 国内に限るけれど、自治体とのパイプとしては有用だと思うよ」
「未来の法務部エースのご高配に期待するわね」
 マイヤがくすくすと微笑む。ならばと仙寿は言葉を引き継いだ。
「央が来てくれれば心強い。日本の公的機関の現状について誰より詳しいし、地方自治体とのパイプも欲しい。その時は相方としてよろしく頼む。……王との戦いの時みたいにな」
 仙寿と央はH.O.P.E.シャドウルーカーの中でもエースであろう。仙寿は戦いの日々を思い返し――マイクを握り直した。
「……正義とは何か? 考えたのはトールとの戦いだ。“その正義を以て、世界を駆けろ。それがこの世界そのものの希望だ”――本当は戦いに正義も悪もない。どちらの信念が強いかどうか。自らが誰かを救う刃であると信じる覚悟と、それを貫く力を示す……戦いってのはそれだけなんだと思った。自分自身の正義を信じて戦うんだ」
 そして、仙寿とあけびの覚悟を貫く戦いはこれからも続くのである。剣ではなく、ペンを以て。
「俺はこれから大学で法律を勉強する。卒業したら、H.O.P.E.の法務部門に所属するつもりだ。教育部門を兼任して、この世界を護るために力を尽くしたい」
「私も仙寿と同じ大学に行くよ! 仙寿を支えていくんだ、これからもずっと」
「……将来的には法務部責任者を目指す。法で人々を守り、未来を担う人材を育てていく。あけびとの出会いは奇跡だった。そんな出会いがこれからの人々にもあれば良い――その力になりたい」
 仙寿とあけびは視線を交わし、笑みを浮かべた。それから、仁菜達を見やる。
「仁菜、リオン。お前達には……そして皆にはたくさんの可能性があるんだ。もし迷った時はいつでも力になる。抱く意志は違えど、同じ“守護する者”として。これからもよろしくな」
「はいっ! 仙寿さんも、迷った時はちゃんと頼ってくださいね!」
 守りたい気持ちはきっと一緒だから。仁菜は弾むように頷いて、次いで一呼吸の後に客席へ顔を向ける。
「私は――仙寿さん達や迫間さん達みたいに、将来のことはまだ、決まってないです。きちんと学校に行って、大学まで進みたいなぁってなんとなく考えてるくらいで……きっと決まってないことが、私は幸せなんだなぁって思います。今まで生きるために、前に進むために戦場に立つという道しかなかったけど。今はたくさんの道があります」
 ひとつひとつを思い出しながら。それから仁菜は、隣に立つ大切な大切な仲間達を見渡した。
「戦場でしか一緒に居れないと思っていたリオンとも、迫間さんや仙寿さん、あけびさんとマイヤさんに背中を押してもらって、ずっと一緒に居れるようになって――色んな道をリオンと選んでいけることが嬉しいです」
 仁菜がはにかむ。リオンはそんな恋人の手を、優しく握った。温かな体温を、互いに感じ取りながら。
「絶望から始まった俺達だけど、ちゃんと幸せを掴めた。だから、これからどんな状況になっても皆で前を向いて進もう! 大丈夫! だって俺達、皆で王だって倒せたんだ! 大抵のことはなんとかなる!」
 いつだってリオンは仁菜の味方だ。眩しいほどに、少年は微笑んだ。
 央はそんな二人の笑んだ横顔に目を細める。戦うことを強いてしまった大人の一人として、仁菜達が自分で道を選べる環境になったことが嬉しかった。
 すると央の隣で、マイヤが仁菜達に優しい笑みを向けて。
「リオン君と式を挙げる時には呼んでねぇ」
「し、式って! まだまだ先の話で……!」
 途端に仁菜は首まで真っ赤になってあわあわした。結婚をしない発想はないようで、それが伝わると流石のリオンも照れ臭そうに含み笑った。
 甘酸っぱいなぁと央は微笑ましい気持ちになりつつ――改めて、前を見据える。
「と、まあ。この世界の英雄とリンカーが社会で生きる為に、これからもマイヤと頑張りますよ」

 そう締め括って――
 一列に並ぶ六人は隣の者と手を取り合い。
 今一度、深くお辞儀をするのだった。



●永遠の喝采を 03

「『また』が繰り返されるように」

 秋津 隼人(aa0034)は深々とお辞儀をした。拍手を受け止め、スポットライトを浴びながら、凛と顔を上げる。
「死に場所を、求めていました。死ぬ為に、生きて、戦っていました。俺は生かされてきた人間だから……この命は、誰かの為に使われるべき、そうしなくてはならないと」
 かつての隼人は、自分なぞ軽い人間だと思っていた。価値がないから、使い潰さねば人並み以下だと信じていた。
 だがそれも、もう過去の話。
「……今では思います。そんなのは独り善がりだ、と。
 かけがえのない出会いがあって、忘れられない別れがあって、また戻って、『生きたい』と思ったんです。大切な人達と、いくつも、何度も、したいことが溢れて――」

 『また』会おう。
 『また』ここに来よう。
 『また』これをしよう。

「――繰り返し、分かち合いたいと思いました。だから俺はこの世界で、精一杯、これからも生きていきます」
 隼人はようやっと辿り着いたのだ。自分はここに居てもいいんだ、ということに。自己の存在の証明に。
 眩い光に目を細め、彼は微笑む。心からの笑みを、花束を抱えて。
「今はただ、感謝の言葉を。――ありがとう」


「元々色々持ってなかったと思うんすけど。でも、色々と大切なものを手に入れられたと思うんすよ」
 ――君島 耿太郎(aa4682)、『【いつか】新たなる旅路』にて。

「お前の絶望さえも打ち払わんが為に、俺という英雄は最後まで希望の味方であろう」
 ――アークトゥルス(aa4682hero001)、『【狂宴】Gnosticism』にて。

「君島 耿太郎っす!」
「アークトゥルスだ」
 揃って舞台に上がった二人は、客席へ一礼する。耿太郎は心からの感謝を伝えるように、アークトゥルスは品良く優雅に。
「まずは――全ての戦友達、そして舞台裏の、客席の皆さんに感謝を!」
「俺達がこれまで戦ってこれたのも、全ての人間の助けあってこそだ。心よりの感謝を申し上げる」
 二人は舞台をぐるりと見渡し、ここにいる全ての者に感謝を伝えた。
 そして振り返り語り始めるのはの過去のことだ。
「俺達は能力者になるのが遅くて……王様を倒すまで二年とちょっとっすかね? でも最初の挨拶のとおり、いろんなものを貰ったんっす。本当にありがとうございましたっす」
 二年、なれどその濃度を一つずつ話していると、いくら時間があっても足りない。けれど、どんなことも彼の糧だった。懐かしむように一度目を閉じて――それから耿太郎は、これからのことを語り始める。
「王さんとはこれからもずっとH.O.P.E.でエージェントやって、異世界にも行ってみたいなと思ってるんで、やっぱり……」
 耿太郎は隣の相棒を見上げた。二年前より、少しは背が伸びて目線も近くなっただろうか? そんなことを思いながら――

「『俺達の戦いはこれからだ』」

 二人で笑んで、声を揃えた。
「言ってみたかった! 打ち切らないっすよ! ありがとうございましたっす!」
「今一度、ありがとう」
 そして、二人は客席へと再び一礼を。


「改めまして、琥烏堂晴久こと、ハルちゃんです☆」
「兄の為久です」
 次いで舞台に上がったのは琥烏堂 晴久(aa5425)と琥烏堂 為久(aa5425hero001)だ。
 しばし客席へお辞儀や手を振った後、晴久はマイクを手に語り始める。
「エージェントになってから約一年半……だけど、もっと長く居た気がしてる。そう思えるくらい、濃い時間を過ごせたんだと思う。出逢ってくれたみんなのおかげだね!
 正直に言うとさ、この期に及んでも全然終わりって感じがしないんだよね。緞帳が下りたって、ボクらの生活は続くんだもの」
 目を閉じて、一度だけ深呼吸――瞼を開くと、晴久は笑顔で未来のことを語った。
「まだ先の話だけど、ボクは家業を継いで当主になる。エージェントと兼業だから忙しくなるんだよ。もちろん兄様とはこれからもずっと一緒にいるんだよ!」
 嗚呼、全てを語るには惜しいことに尺が足りない。
 だから挨拶だけを手短に――最後の言葉には感謝を込めよう。
 晴久は為久と視線を交わした。頷き合うと、次の為に始まりの言葉を繰り返そう。会場全てに届く声で……。
「ありがとう。楽しかった」
「いつかまたどこかで会った時は、気軽にハルちゃんって呼んでね!」
 晴久は女性仕草で、為久は男性仕草で、丁寧に一礼をした。
 さあ、次の者に挨拶を譲らねば。名残惜しむように手を振りながら舞台袖にはける――その最中、立ち止まったのは為久だ。
 おもむろに振り返った彼は、右掌を面にかけて……それを外し、素顔を晒した。物語が始まって以来、初めてのことだった。役柄を守るなら着けたままでもよかった。だけど、馴染みにも顔を見せないのは少々寂しさがある――そう思うほどに、いつの間にか晴久以外へも親しみを覚えていたのだ。
(……随分、変わったものだな)
 それだけ絆を紡いできたことを為久は自覚する。
 穏やかな笑みを浮かべる青年は、手にした面を胸に当て、最後に一礼を。


「その首、ここにおいてけやぁぁぁ」
 イン・シェン(aa0208hero001)との共鳴状態、リィェン・ユー(aa0208)は【極】と銘打たれた巨大屠剣を手に舞台に登場した。鬼神のような強化外殻を身に纏った彼は、轟と剣を一振るい――彼らしさを表した。
 そして共鳴を解除。リィェンとインの二人になって、改めて客席へ一礼を。
「とりあえずお疲れさん。この世界ではいろんな人と出会ったし、いろんな人と別れてきたし、武器や装備を作ったりと、今までに経験してこなかったようなことができたな。
 とはいえ、なかなか思うようにいかないことも多かったけど、最後の最後で目標にしていた小隊【BR】でのMVPもとれたし、俺的には楽しめたぜ」
 正直終わっちまうのが惜しいくらいだ。リィェンは少し肩を竦めてみせて、言葉を続けた。
「でも、俺らのいるこの世界は、目にすることができなくなっても――俺たちはリンクしてるんだから、寂しがるなよ。……俺も俺で、当面は、ジャスティン会長を“お義父さん”と――」
「つまらんのじゃ、これが最後じゃぞ。今ここでそちが言わねばならんことがあるじゃろう」
 言葉に割り込んで、リィェンを肘で突っついたのはインだ。インにガスガスされて、リィェンは眉尻を下げる。
「いや、最後だからこそしっかりとだな……」
「そんなことは普段からしっかりしてる奴らに任せれば良いのじゃ」
「あぁ、わかった……わかったよ。まったく」
「うむ……では、そちの想いをこの世界の記録に刻むのじゃ!!」
 びし、とインが扇子で彼方を示す。リィェンは溜息を噛み殺すと、頭をガシガシ掻いてから――乱れた髪を整えると、限界まで息を吸い込んで。

「俺はテレサ・バートレットを愛してるぞぉぉぉぉぉ!! 彼女を幸せにするのはこの俺だぁぁぁ!!」

 それは、全身全霊の宣言だった。


「……あー、ものすごい大声だったな」
「マイクがハウリングしていましたね」
 相棒の宣言にそんな感想をこぼしながら、次に舞台に上がったのは赤城 龍哉(aa0090)とヴァルトラウテ(aa0090hero001)だった。とまあ、次は自分達の番だ。二人は共鳴をすると、煌く剣を構えて。

「招かざる客はお引き取り願おうか。その妄執、叩き斬らせて貰うぜ!」

 銀甲冑を纏う戦士が凛々しく謳う。それは王の腕を叩き斬った時の台詞、世界の命運を左右する大一番の時の言葉だけに、強く印象に残っている言葉だ。
 納刀と共に共鳴解除。英雄と共に客席を見渡し、龍哉は言葉を紡ぎ始める。
「俺はエージェントになってから今まで、常に強さを追求してきた。個人の武勇を磨くのはその最たるものだな。次に頼りにできる仲間を得ることか。
 まぁ、依頼でよく一緒になってた割に交友申請を出してなかったとかいうのもままあったんで、十全にとはいかなかったが」
 苦笑を浮かべる龍哉の目は、懐かしむような、そして誇るような色を帯びて、細められる。
「そうした中で俺が誇れるものと言えば打撃力だな。堅牢な護りを打ち破り、打倒できるだけの威力を叩き出す。俺を見出した英雄、ヴァルがドレッドノートだったのも一因か。
 手前味噌になるが、ここ一番で俺が頼みとする力は、愛剣ブレイブザンバーと共に様々な局面で事態を切り拓くことができたと自負している。
 ……だが、これで満足して立ち止まってる暇はねぇ。俺はこれからも歩み続ける。武の頂を目指してな」
 思い返す数多の戦場。そしてこれからも、数多の戦場が彼を待っているのだろう。
 だからこそ彼は、これからも、ずっと。

「――赤城の流儀は波濤の如く。大波小波、時には津波。寄せては返し、変幻自在に穿ち、突き、崩すぜ!」
「我が名と盟約において、折れぬ闘志に勇気の加護を、ですわ」

 戦士と、戦乙女は、凛然として笑うのだ。



●永遠の喝采を 04

「戦うアイドル、りむるん! 私の歌をきいてください!」

 音楽と共に舞台に現れたのは、アリューテュス(aa0783hero001)と共鳴した斉加 理夢琉(aa0783)だった。
 歌い上げるのは、【終極】大規模作戦で皆の背を押す為に歌った応援歌――のショートバージョンだ。
 歌い終わりと共にくるりとターンすれば、その姿は二人に別れる。
「理夢琉でーす」
「英雄のアリューテュスだ」
 改めて一礼。それから、理夢琉はこれまでの日々を振り返る。
「私達はルネさんと出逢い、ガデンツァと戦い。そして勝利した。数え切れないくらいの悲しみや苦しみをもたらした愚神に心が折れそうになった時、支えてくれたのは頼もしい仲間達でした。
 アイドルの先輩達に憧れアイドルを目指して――決して退かない戦う背中を追って強くなろうと、がんばりました。大規模で歌えたこと、その歌で皆の背中を押すことができたことは、私にとって誇りです」
 真っ直ぐに前を見据え、理夢琉はそう言った。
「それで、これからの話だけど! 私はアイドルをしながら理夢琉ブランドを立ち上げて、ゲームの主題歌やアニメ曲、演劇にも力を入れて、スターを目指します!」
「俺は――ロクトへの想いが恋だと気がついた。告白しようと思う!」
 無表情がデフォルトだったアリューテュスだが、その時の彼はこれまでになく感情というものを表情と声に滲ませていた。
「受け入れられるか玉砕するか、そこでまた世界は分岐するのだろう。……理夢琉ブランドのウエディングドレスを着たロクトの隣に俺がいる“いつか”――誰かの隣にいる彼女を祝福し、理夢琉との縁を深め……共に歩む“いつか”――」
 未来はどうなるか分からない。物語はずっと続いていく。
 その先が良きものでありますように――願いを込めて、理夢琉はマイクを掲げた。
「それじゃあ、皆でリンクブレイブテーマソング! 声を揃えて、いってみよう!」

 ――ミュージック、スタート!

 楽しいひと時が一瞬のように……
 音楽もまた、歌えば消える。
 だけど思い出として、残り続ける――。

 雅・マルシア・丹菊(aa1730hero001)と共鳴したアル(aa1730)は、理夢琉と共に歌を歌った。
 そして音楽が終われば、また新しい音楽を。
「テクノポップアイドル・アル、歌います!! 聴いて下さい――『騎士の歌』」

 遠くで聞こえる唸り声 獣たちの襲来
 もう迷ってる暇はない 立ち向かうのが使命
 機械仕掛けのこの街で僕ら出会った
 守りたいと思う理由はそれだけで十分だろう

 命がけの戦いに足は震えて
 それでも
 僕は英雄になりたい
 気高き心、胸に宿して

 僕は希望を示す盾
 未来を掴むための剣
 暗闇に身を囚われたなら貴方を導く歌になろう
 僕は嵐に挑む櫂
 前を見据える羅針盤
 暗闇に身を囚われたなら貴方を導く歌になろう

 I will sing forever.
 僕は戦い続けるよ
 The Symphony makes me brave.
 貴方といれば、僕は勇敢でいられる

「……聴いてくれてありがとう! この曲はボクなりのリンカー像なんだ」
 特徴的なテクノボイスの歌が終われば、サイバー風の舞台衣装の彼女は自らの喉に手を添えた。
「声を失い、音の世界から閉め出されたことから始まった、ボクの人生……とある英雄の死から始まった、愚神による歌の脅威。ことが解決した今でも、愚神の歌の残骸は残り続けてる……今はその影響が濃く残った国を巡ってライブをしてるんだ。王との戦いすら放り出してね」
 でへへ、と頭を掻いて苦笑する。
 そして今一度――ライヴスの中にいる英雄との絆を強く感じながら――スポットライトを浴びるアイドルは、眩しい笑顔で皆を見渡した。

「一度失った全ての音に、恩返しし続けるよ。ずっとずっと――歌い続ける!」

 ありがとうございました、とお辞儀をした。
 一人のアイドルが退場すれば、また新たなアーティストが舞台に現れる。リリア・クラウン(aa3674)と伊集院 翼(aa3674hero001)だ。
「三人揃ってマカロンズ! 思えば色々あったよね~」
「ああ、そうだな」
「なので! 今回はそれを歌にしてきましたっ。それではボク達の歌を聞いてください♪」
「曲名は道標だ」
 マカロンズは、リリアと二人の英雄によるバンドである。
 ギーター、ベース、ドラム。ライブ用のスピーカーが、リリアの元気いっぱいな声を皆に届ける。

 依頼を受ける合間に、いつも一緒に曲をアピールしていたこと。
 もちろん任務も頑張った。皆で一緒に力を合わせて――力不足なところもあったけど、知恵と勇気でカバーして。どんな修羅場も潜り抜けて、つらいことも大変なこともあったけれど、ここまで来れた。
 そんな日々での一番の思い出は、互いに結婚した婚約者と一緒に屋台を出したり、お店で一緒に働いたりしたことだ。
 リリア達は、これからずっと愛する人と共に生涯を過ごしていく。幸せにすること、幸せになることを、メロディに込めて誓った。
 そして愛する人と共に歩んでいきながらも、マカロンズは超有名バンドになるのだと、力一杯誓い上げた。

 これからどうなっていくのだろう。
 きっといろんなことがある。
 それでも、愛と共に、勇気と共に、希望と共に、夢を目指して歩いて行こう。
 愛と勇気と希望と夢。それこそが、マカロンズにとっての道標なのだから。

「――マカロンズでした! これからも、応援よろしくねーっ」
「今までありがとう。そして……これからもよろしく」

 そして、音楽が止んだ舞台――
 現れたのは御剣 正宗(aa5043)とCODENAME-S(aa5043hero001)だ。
「正宗だ」
「CODENAME-Sです」
 二人の挨拶は至って普通に、シンプルに。
「思えば色々とあったものだな……」
「まったくですね、正宗さん」
 雑談のように、二人で振り返るのはこれまでの物語だ。
「ボクはえすちゃんに命を救われた。その上に衣食住を提供してくれた。ボクが生きていられるのはえすちゃんのおかげだ……。改めて、ありがとうえすちゃん」
「どういたしまして。こちらこそ――貴方の英雄になれたことで、H.O.P.E.で色々と活動できたり、色々なことを知ることができましたから。いい経験になりました。ありがとうございますね」
「共鳴して、二人で一緒に戦ったり……話し合ったり、悩んだり、たまには大喧嘩もしたこともあったが……それでも、なんだかんだ、仲良くやってこれた」
「ええ、それはもう」
「ボクもえすちゃんも、お互い違う人と結婚してる。えすちゃんはアイドルで、ボクはファッションデザイナー。これからは違う道を進むことになるが……」
「困ったときは一緒に助け合いましょう、契約か……どちらかの命が尽きるまでは」
 これまでありがとう。そしてこれからもよろしく。
 正宗とエスは視線を交わし、固い握手を交わした。確かな友情と確かな信頼が、二人の間には存在している。
「えすちゃん、どうかお幸せに」
「正宗さんも、どうかお幸せに」
「これからもよろしく。仲良くやっていけると……嬉しい」
「こちらこそ。ずっとずっと、仲良く楽しく、生きていきましょうね」



●永遠の喝采を 05

「私、知りません……」

 舞台の上、卸 蘿蔔(aa0405)が呟いた。
 これが、蘿蔔がこの三年間で最も言った台詞だろうから。
 スポットライトが蘿蔔の隣を照らす。そこにはレオンハルト(aa0405hero001)がいた。乙女は英雄を見やると、静かな笑みを浮かべて語り始める。
「私……レオと会うまでは、あんまりお外出たことなくて。本当に……毎日が、初めてでいっぱいで。辛いことともあったけど、思い返せば……幸せだったと、思います」

 ずっと夢見てた“友達”ができたこと。
 学校にも通えるようになったこと。
 脅されてアイドルになったこと。
 初めてファンだと言ってくれた友達が、消えてしまったこと――。

「……でも、一番印象に残るというか、嬉しかったのは……戦えたこと、でしょうか。
 こんな私でも誰かの役に立てるんだって、それで。愚神の被害で苦しんでる人もいるのに……ダメだなって、分かっては……いるのだけど」
 愚神達も彼らなりに苦しんでいることも知った。守りたかった人が犠牲になって、泣いたこともあった。
「でも。それでも、嬉しかった」
 大変だったことは数えきれない。でも、それも全部、今の蘿蔔を形作るピースだから。
 たくさんの思い出、たくさんの絆。なんだか目元が熱くなる、けれど。ここで蘿蔔はハッと気付く。
「……はっ。思い出に浸ってたらレオの話す時間がなくなっちゃいました!」
「いや……いいよ別に。それだけ充実してたってことだろうからさ」
 レオンハルトは優しく笑って、ちょっとだけ肩を竦めてみせた。蘿蔔は笑みをこぼす。
「うん! でも、ここまでこれたのはレオの――お兄ちゃんのおかげです。一人じゃ無理だった……だから、私と会ってくれてありがとう。これからも、私と一緒にいてくれますか?」
「ああ、もちろん」
 二人は手を取り合った。眩く輝く絆を感じながら――繋いだ手を掲げ、客席へ深々とお辞儀を共に。
 蘿蔔とレオンハルトの物語は、これからも続いていく。「私にも、何かできるかな」――だからこそ、できることを、ひとつずつ探していこう。そんな日々を、ずっと。


「いつか世界一の歌姫になる者、アンジェリカだよ!」
「我がマスターと神の名の下に悪を断ずる。マルコ・マカーリオだ」
 アンジェリカ・カノーヴァ(aa0121)はスカートをつまんでお辞儀を、マルコ・マカーリオ(aa0121hero001)は伊達なお辞儀を。
 さて、何から話そうか。「そうだなぁ――」とアンジェリカはマイクを片手に、自分達の物語を語り始める。
「印象に残ってることと言えば、やっぱり最初の大規模作戦かな。マルコさんがグリムローゼにキスしたお陰で彼女を逃がしちゃって。あれは本当に皆に申し訳なかったよ」
 ジロリとマルコを睨む。彼は少し肩を竦めるも、
「俺は本当の彼女と決着をつけたかったんだ。だから、すまないとは思ってるが後悔はしていない」
 そう言ってのける。「またそういうことを」とアンジェリカは溜息をついた。
「文菜さんが『詳しい話を聞きとおすな』って言ってたよ。ほっぺたつねられても知らないんだから……ていうかグリムローゼもいるんだっけ」
 見渡せば、舞台袖でニヤ~っとしている愚神がいる。からかうようにマルコに投げキッスをしてきた。
 が、アンジェリカがその投げキッスを阻むようにムンと胸を張って間に立つ。
「駄目だよ、マルコさんと文菜さんは結婚してボクのパパとママになるんだから。そして3人で“歌って踊って戦える世界一の歌姫”になる為に邁進するんだよ。
 ……そして、故郷クレモナでお世話になったシスターや孤児院の皆を招いて、盛大な凱旋コンサートを開くんだ!」
 言葉終わりに、アンジェリカがスカートをひるがえしてくるりと回れば――その背景は豪華なコンサートホールの書き割りで彩られた。
「その日まで、物語は終わってもボク達の戦いは終わらないよ!」
 アンジェリカが両手を掲げる。その二つの手を、二人の英雄が優しく握った。
 家族という絆で結ばれた三人は、掲げた手を下ろしながらお辞儀をして――眩しい笑顔を浮かべながら、客席に手を振った。


『エージェントの時鳥 蛍です』
 舞台に上がった時鳥 蛍(aa1371)は、タブレットPCの合成音声でそう自己紹介をするも……緊張した手でタブレットを下ろすと、か細い声でこう言った。
「よ、よろ……しく……です」
「毎度おなじみ第一英雄グラナータッス!」
 その隣でグラナータ(aa1371hero001)が、元気いっぱいに挨拶を。
 蛍は深呼吸をしてから、タブレットPCに自分の言葉を打ち込んでいく。
『わたしは大きく変われたと思います。英雄、友達、親友……感謝しても足りないくらいです。ある意味、敵の皆さんにも大きく変えてもらうことになりました』
 弱い自分が嫌だった。でも自罰からは何も生まれなかった。逃げずに向き合い、踏み出す勇気こそ大切だったのだ――それが、蛍が傷から得た答え。少女は隣の英雄を、そして仲間達を、敵を見渡して。
『この場を借りて感謝の言葉を……ありがとうございます。ずっとこのまま、変わらないままだと思ってましたから』
 言葉が終われば、ペコリとお辞儀を。
 それから、グラナータが言葉を続ける。
「俺……自分はあんまり変わってないッスね。でもそういうのも悪くないと思うッスから」
『グラさんはそうですね』
「あと! しんみりした感じッスけど、まだこれで終わらないッスからね! 俺たちの物語はまだまだ続くッスから」
『ですね、まだ脅威は去ってません。グラさんにもキリキリ働いてもらいましょう。共鳴ですよ』
「そこ変わり過ぎじゃないッスか!?」
 なんて言いながらも――共鳴だ。
 現れるのは柘榴の騎士。気高き黄金聖剣コールブランドをひゅるりと振るえば、煌く軌跡が星のように。
 そして蛍は掲げる聖剣に誓うのだ。もっと、強くなろう。これからも成長していこう。「強くならないとダメだから」じゃなくって、「もっと強くなりたいから」――。


「象徴……象徴……あっ」
 次に舞台に上がった木陰 黎夜(aa0061)だが、緊張した様子で挨拶の言葉を考えて……隣のアーテル・V・ノクス(aa0061hero001)と目が合う。そう、二人のいつもの言葉があった。
 ならば呼吸を整え、二人で一緒に。

 ――木陰黎夜、アーテル・ウェルペル・ノクスと共に、お前を討ち落とす。

「……これは、相手の命を奪う時の言葉。撃つという攻撃方法――討つという武器を使って、傷つけたり殺したりする意味合い。……相手の命、尊厳すら落とす……そんな意味を合わせた、“殺す”を使わない言葉」
 いつもの宣言の真意を、少女はそう明かした。
 思い返せば、実に数多の“奮闘”があったものだ。
「……うちは、男の人がどうしようもなく、怖かった……。でも、みんなに関わってく中で、そんなに怖くないって、思えるようになった。近づけなくて、しゃべることすら怖いって思ってたうちが、握手することができるようになったのは、すごく成長したことだと、思ってる」
 隣のアーテルを、そしてここにいる異性の知人達を見渡し、黎夜は穏やかに微笑んでみせる。
「長くなったけど……その……みんなに、感謝。ありがとう」
 感謝を口にするのは照れ臭い、それでもしっかり告げながら、黎夜は丁寧にお辞儀をした。
 言葉を続けるのはアーテルだ。
「俺はずっと黎夜の物語を見守ってきた。後ろについてきたあの子が、いつの間にか前に進んでいたのを見た時は、嬉しくもあり寂しくもありだったが。……黎夜に近づく為に女性口調で話していた私に、素の口調でって言ってくれたことが何より嬉しかったことかもしれないな」
 懐かしむように目を細め、アーテルは口元に笑みを浮かべていた。
 黎夜はそんな彼を見上げ、そして、前を真っ直ぐ見澄まして。
「これからも、アーテルたちと戦っていく」

 ――あなたと一緒なら、きっと大丈夫……。うちは、戦える……。だから、力を貸して、アーテル……。
 ――安心しろ。俺は共にいる。力を貸そう。生き残る為の力を。

 いつか交わした言葉を思い返しながら。アーテルは、黎夜と共に前を向いた。
「それじゃあ、」
 そして、声を揃えよう。

 ――またどこかで。


「どうもこんにちは! 大宮朝霞です! こっちは私の英雄のニクノイーサです!」
「どうも」
 次に舞台に現れたのは、大宮 朝霞(aa0476)とニクノイーサ(aa0476hero001)。
 さて何から話そう。マイク片手に、朝霞は客席を見渡して。
「私からの一言か。改めて訊かれるとちょっと恥ずかしいわね」
「だが、この舞台に上がらない選択はなかった。そうだな、朝霞?」
「そうね。ひとつ確実に言えるのは、私はこの“リンクブレイブ”が大好きだった、ということ。だから、関係者の皆さんには感謝してるわ」
「最後は綺麗にまとめようってことか。大人になったな、朝霞」
「まったく後悔や思い残しがないわけじゃない。でも、私達は私達の物語をやり切ったわ。ねぇ、ニック?」
「そうだな。俺も、もう一人の英雄も、いまこうしているのは朝霞のおかげだ」
「これからも、正義のヒーローとしてこの世界を守っていくつもりだから!」
「朝霞はもう少し大学の講義にも顔を出すべきだがな」
「……」
「単位一つ守れなくて世界が守れるか」
「うぐっ」
 痛い所を突かれると、流石の朝霞も冷や汗が浮かぶ。防御貫通攻撃である。
 とまあ、気を取り直して。朝霞は改めて、客席と相棒とを見比べると。
「それじゃあ、最後はいつものヤツで締めくくりましょうか?」
「……やはりやるんだな。まぁ、いい。これで最後だ。キッチリ決めてやるさ」
「そうこなくっちゃ。いくわよ、ニック! 変身! マジカル☆トランスフォーム!!」

 物語が始まった時から、ずっと変わらないお決まり。
 物語としての変身はこれで最後。だけど、この先の物語では、これからもずっと。

 ――ビシィ!

 白いマントを翻し、ふわりと揺れるフリルたっぷりのスカートは絶対防御。
 リボンが揺れるブーツでステップを踏んで、ハートを飾った魔法のステッキをくるくる回し。
 ピンクのバイザーの奥から、可愛らしくウインクを。
 きらきら、ハートのエフェクトをまといながら――

「聖霊紫帝闘士ウラワンダー……華麗に参上!」

 決めポーズからの、共鳴完了。
 聖霊紫帝闘士ウラワンダーは、元気いっぱいに手を振った。

「ありがとうございましたーっ!!」



●永遠の喝采を 06
「ふふーふ、決め台詞! やっぱりこうでしょ。――世界の意味を、新しい物語を見つけにいこう!」
「罪には罰を、正義の断罪を――」
 舞台に上がった木霊・C・リュカ(aa0068)の挨拶に続いたのは、第二英雄……ではなく、指で眼鏡の形を作ったオリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)だった。「ふはっ似てる!」とリュカは笑った後、相棒の背をポンと叩く。
「オリヴィエの決め台詞は? 男の子なんだし一つくらいあるでしょー?」
「……背中は任せろ、必ず守る」

 そんな二人と共に舞台に並んでいるのはガルー・A・A(aa0076hero001)、そして小さな両手で花束をいっぱいに抱えた紫 征四郎(aa0076)だ。少女はにっこりと微笑むと、いつもの台詞を響かせる。
「征四郎の剣は、誰かの明日を守るために!」

 さて何を話そう。ひとまず、リュカは客席を見渡して。
「エネミーとか観客席にいそうだよね、お兄さん見えないけど」
「怖いこと言うな」
 オリヴィエが肩を竦めた。名前を一際呼んでくれる声援が聞こえた気がしたが。
 ここには皆がいる――それは仲間だったり、敵として登場した者だったり。
 なれど、これから続いていく世界から大きな脅威は去ったことは確かだ。しかしイントルージョナーを始め、きっとこれからも違う脅威が現れることだろう。ヴィランも潰えることはないだろうし、世界に正義と悪はきっと等量だ。
 そう、世界はまだまだ終わらない。あらゆるドラマで満ちている。
「……うん、だから、身体が動く限りはまだ物語を見に行くよ」
「相棒だから、な。最後まで付き合うさ」
 ごつん、と二人は拳を合わせた。

 次の言葉は征四郎に。
 スポットライトに目を細め、少女は語り始める。
「……征四郎の物語の最初は、とってもとっても悲しくて、力が足りなくて、戦うのは怖くて、生きる為に、役に立つ為に、なんとか歩いてきたのです。
 たくさん、手を貸してくれる人がいた。泣いてもいいと言ってくれた人が、子供のように甘えさせてくれた人が、隣に立って戦ってくれる人が、背を追いたいと願うほど強い人が、一緒に立ち上がってくれる友達が……ずっと、手を離さないでくれた人が」
 過去を辿る言葉は、“今”に到達する。悲劇から始まった出発点、傷を負って、悩み抜いて、進んで進んで――“今”、少女は心からの笑みを浮かべて。
「征四郎はとても、しあわせでした。だから、これから返していけるかわからないけど、これだけは言わせてくださいね。……ふふ。ありがとうございました!」
 ぺこりと丁寧に頭を下げる。
 ガルーはその隣で、たまに客席へと手を振りつつも征四郎を見守っていた。
「――、」
 あまり、語ることは多くない。
 いろんなことを迷ったり迷わなかったり、多分これからも同じようにするんだろう。
 だけど、一度死んだ身としては余りある幸せと、自身の間違いを正すだけの時間と、多分、失って戻ることはなかったであろう愛情に――ガルーは穏やかに微笑んで。
「……明日への希望に、感謝をしよう」

 いろんなことがあった。
 辛いことも。悲しいことも。
 楽しいことも。幸せなことも。
 未来は、世界は、これからも続いていく。

 ――喝采とスポットライト。

 リュカは隣にいる親愛なる共演者へ、深々とお辞儀をした。それから、征四郎の手を握る。
「始まりも一緒だったから、せっかくなら終わりも一緒がいいなって」
「……! はいっ、喜んで!」
 最初に出会った時より、少し大きくなった掌。近くなった目線。リュカと征四郎は手を繋ぎ、絆を紡ぎ、未来を見る。
 その隣ではオリヴィエが、ガルーの袖をくいと引いた。
「……最後まで、一緒にいれるとは、思ってなかったが。……ありがとう。これからも、よろしくな」
「おうさ。……よろしく」
 ようやっと見つけた、ようやっと辿り着いた、平穏。ガルーはオリヴィエの掌を握り締めた。
 リュカとオリヴィエは、そんな互いに目をやって笑み合う。
「ふふーふ、フィナーレだ。物語の終わりを、見届けにいこう!」
「フィナーレで、エピローグで――プロローグでもある。……ふっ、ははっ。ああ、忙しいな!」


 ――カーテンコールが終わる。
 皆が、舞台に列をなして並ぶ。
 紙吹雪が舞う、光が瞬く。
 絆を紡いだ勇者達は手を取り合い、そして高く掲げた。


「世界に彩りをくれて、ありがとう。色々あったけど、幸せだった。
 戦いや喪失の痛みも、お酒の味も、はしゃいだ日々も、穏やかな時間も、全部全部……きっと、これからも幸せだ!」

 リュカが笑顔で締め括った。
 これまで共に戦ってきたリンカー達、見つめてくれた観客達、そして、物語の綴り手に。



 ――ありがとう!




『了 ――THANK YOU FOR PLAYING!』

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 挑む者
    秋津 隼人aa0034
    人間|20才|男性|防御



  • 薄明を共に歩いて
    木陰 黎夜aa0061
    人間|16才|?|回避
  • 薄明を共に歩いて
    アーテル・V・ノクスaa0061hero001
    英雄|23才|男性|ソフィ
  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 希望を胸に
    アンジェリカ・カノーヴァaa0121
    人間|11才|女性|命中
  • コンメディア・デラルテ
    マルコ・マカーリオaa0121hero001
    英雄|38才|男性|ドレ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命



  • 義の拳客
    リィェン・ユーaa0208
    人間|22才|男性|攻撃
  • 義の拳姫
    イン・シェンaa0208hero001
    英雄|26才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • コスプレイヤー
    大宮 朝霞aa0476
    人間|22才|女性|防御
  • 聖霊紫帝闘士
    ニクノイーサaa0476hero001
    英雄|26才|男性|バト
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 暗夜の蛍火
    時鳥 蛍aa1371
    人間|13才|女性|生命
  • 希望を胸に
    グラナータaa1371hero001
    英雄|19才|?|ドレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 銀光水晶の歌姫
    アルaa1730
    機械|13才|女性|命中
  • プロカメラマン
    雅・マルシア・丹菊aa1730hero001
    英雄|28才|?|シャド
  • ハートを君に
    GーYAaa2289
    機械|18才|男性|攻撃



  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • 家族とのひと時
    リリア・クラウンaa3674
    人間|18才|女性|攻撃
  • 歪んだ狂気を砕きし刃
    伊集院 翼aa3674hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御



  • リンクブレイブ!
    振澤 望華aa3689
    人間|22才|女性|命中
  • リンクブレイブ!
    唐棣aa3689hero001
    英雄|42才|男性|ジャ
  • 光旗を掲げて
    フィアナaa4210
    人間|19才|女性|命中
  • 翡翠
    ルーaa4210hero001
    英雄|20才|男性|ブレ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 希望の格率
    君島 耿太郎aa4682
    人間|17才|男性|防御
  • 革命の意志
    アークトゥルスaa4682hero001
    英雄|22才|男性|ブレ
  • 愛するべき人の為の灯火
    御剣 正宗aa5043
    人間|22才|?|攻撃
  • 共に進む永久の契り
    CODENAME-Saa5043hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 奪還屋
    琥烏堂 晴久aa5425
    人間|15才|?|命中
  • 思いは一つ
    琥烏堂 為久aa5425hero001
    英雄|18才|男性|ソフィ
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