本部

【終極】終りが来る前の

鳴海

形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
18人 / 1~25人
英雄
16人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2018/11/02 09:11

掲示板

オープニング

● 沢山の思い出。追悼

 水晶の歌姫は海に消えた。
 その歌はセイレーンが奏でる旋律のごとく沢山の人を惑わせたけれど。
 彼女の存在もまた、暗黒の犠牲者と言わざるをえない。
 そんな彼女も今は永遠の眠りと押しては返す潮騒の音、その狭間にいる。
 もうこの世界に手出しすることはできないだろう。
 君たちは一つの脅威を取り去ったのだ。
 であれば。あと残るのは王というその存在。
 全てを闇で飲み込み、支配し数々の悲劇を生み出してきた。
 この世界に顕現して数十年。
 時にはきえなくていい命が涙を流して消えていった。
 地図から一つの町が滅んだこともある。
 海から。宇宙から、異世界から侵攻し英雄たちの世界を蝕んだ。
 疲弊し、何度戦いをやめようと。願い思ったこともあっただろう。
 けれど、今一度剣をとってほしい。
 そう、H.O.P.E.は世界に訴えかける。
 これが最後、ここが正念場。
 これからもっとひどい戦場もあるだろう。
 仲間を失うことになるかもしれない。
 けれど、これでやっと本当に終れるから。
「その前に英気を養いましょう」
 そうこの会の発起人である遙華はグラスを持ちあげ全員を見た。
「私たちは順当に勝ち進んでいる。このまま王も倒す」
 そしてグラスを傾ける。
「まずは私たちの勝利に、そしてこれから勝利する私たちに。乾杯」

● ここは豪華客船

 今回皆さんはグロリア社主催の祝賀会に招かれています。
 最近激しい戦いはありましたが皆で盛り上がって楽しもうという会は無かったので主催したようです。
 今回18時から出向し朝まで港に帰らないので船内に宿泊していただく形になります。 
 部屋は個人部屋、カップル向けの二人部屋。四人から六人の大部屋が用意されているので好きな物を選んでください。
 客船は三隻で。メインの大型客船はほとんどバーティー用です。
 眠たい場合は残り二隻の船にボートでうつることになります。
 この移動用ボートでどこかに出かけることも可能です。
 執着駅はガデンツァ操るDARKの残がい、その解体現場です。 
 あまりに膨大な霊力で組まれているために、ガデンツァが消えた今でも消えずに残ってしまっているのです。



● 戦いの手記?
 会場には皆さんの戦いを記録しようと何名かライターが紛れ込んでいるようです。 
 彼らは皆さんの戦いを書きとめて伝記や記事にしたいと考えているようです。
 もしよければあなた達の活躍を彼らに語って聞かせてあげてください。
 特に重宝される話題についてまとめます。

・もっとも辛かった戦い。
・仲間がいなかったら危なかったって話。
・今明かされる秘話。
・その愚神がいてくれてよかったと思える愚神、そのエピソード。
・これからの戦いについての意気込み。

 これについては皆さんから記者に話していただくことも可能ですが。
 NPCに関して同じ質問をしてもいろいろ帰ってくると思います。
 ききたいことがあれば聞いてみるといいでしょう。

● レクリエーションについて
 今回意図してか意図せずか分かりませんがいろいろ面白いイベントが起こるみたいです。対処は必須ではありません。

・ECCOと赤原光夜
 二人のアーティストが今夜のBGMを担当しています。
 彼女らに変わって歌やそれ以外の催し物を出してくれる人も募集します。

・人工知能エリザ
 今回の宴がエリザにばれてしまったようです。当然エリザはお留守番。そう思ったのですが、貨物データを改ざん。エリザパーツを分解して侵入、貨物室で体を組み立てようとしているようです。
 手伝うも、送り返すもよし。腕と足が無い状態で貨物室のアームを使って体を組み立てているので、煮るなり焼くなり好きにしてください。

・英雄も酔えるお酒 
 今回は食べ物や飲み物に力を入れているようです。
 目玉は英雄も酔えるお酒です。
 英雄はお酒に強い方が多いのですが、そんな人もばっちり酔えます。

・リンカー交流会
 今回皆さん意外に多数のリンカーが参加します。
 その中には駆け出しのリンカーも多いです。
 そのリンカーたちとの交流のきっかけとして。
 能力者レベル25以下のリンカーに向けたアドバイスなどお願いします。
 場合によってはレクリエーションとして、皆さんの誰かと、新人リンカー五人編成での戦闘訓練もしてもらいます。
 フィールドは船の上か、海上を選べます。
 細かいシチュエーションは皆さんが指定できます。

・鎮魂の儀式
 今回21時頃から大量の風船が空に上げられることになります。
 風船の中には発行する霊石が入っており空が明るく彩られることになります。
 この風船は、魂を鎮める儀式を参考しているので名前を書いて風船にぶら下げても良いでしょう。


● 皆さんに頼みたいこと。
 今回この豪華客船では、みなさんの活躍と苦労をねぎらい明日の活力を生むことが目的です。
 ただ、皆さんの手を借りないとどうしようも無く救われない人たちもいるようです。
 それがロクトです。
 ロクトは途中でグロリア社を裏切ってガデンツァにつきましたが、それはガデンツァをそばで管理するためでした。
 ただ、グロリア社の機密を持ち出したのでグロリア社には戻れないようです。
 そんなロクトが船の待合室でドレスに着替えているのですが。遙華と会う決心がつかないようです。
 どうか誰か二人をめぐりあわせてあげてくれないでしょうか。







 

解説



目標 祝賀会を楽しむ

 英気を養いましょう。
 と、まぁ遙華なりにレクリエーションをそろえてはいますが、実際それを利用するかは皆さん次第です。
 仲間たちと今後の戦いへの意気込みを固めるもよし。
 戦いを振り返って整理をつけるのもよし。
 シリアスな雰囲気になっていただいても構いません。

 内容が盛りだくさんなので全部やろうとはせず好みのイベントがあればそれに注力するとよいと思います。

リプレイ

プロローグ


「いらっしゃい、雨月。今日は来てくれてありがとう」 
 そう、夜を思わせるドレスに着替えた『水瀬 雨月(aa0801)』に遙華は声をかけた。
 雨月が視線をあげて見れば『橘 由香里(aa1855)』と話している最中だった。
『飯綱比売命(aa1855hero001 )』のたっての希望により油あげコーナーができているが、彼女はそこから動くつもりはないらしい。
 遙華は早足で雨月に駆け寄るとグラスをさしだした。
 グラスを打ち鳴らしてソフトドリンクを口に運ぶ。
「色々な事に区切りがついてきた感じかしら。本当に大変なのはこれからでしょうけど。まあ、今はこの時間を楽しみましょうか」
「ええ、そうね由香里、まずはおすすめの羊肉を御馳走するわ」
「あなた、私の話より羊の方に気をとられてるでしょ?」
 その言葉に小さく微笑む遙華。
 そんな遙華は見知った大きな背中を見つける。
「よう、お嬢。調子はどうだ?」
「今日はお招きに預かり光栄ですわ」
 告げる『赤城 龍哉(aa0090)』と『ヴァルトラウテ(aa0090hero001 )』
 龍哉はなれない正装が苦しそうだったが、ヴァルトラウテは銀色のドレスを見事に着こなしている。
「まぁとんでもない大一番が控えてる状態だが」
「まずはお疲れ様です、遥華さん」
 今日何度目の乾杯だろうか。ただこの音は何度聞いてもいいものだ。
 しばらくこの音色を聴いていよう、そう思う遙華だった。


● 若い世代の君たちへ。
 船内には穏やかな音楽と可憐な声が満ち溢れている。
 ECCOと呼ばれる歌手の歌を背景に、リンカーたちは穏やかな時間を過ごしている。
 と、思われた。
 だが人ごみの中から歓声が上がる。
 この客船の甲板は広い、其れこそ戦闘訓練を行うにはもってこいなくらいに。
 なので戦闘技術の勉強会と称して先ほどから組手が行われていた。
『リオン クロフォード(aa3237hero001 )』が上着を脱いで腕まくりをして、審判を務めている。
 その背中を『藤咲 仁菜(aa3237)』が座って足をプラプラさせながら眺めていた。
 淡いピンクのドレスがとても似合っている。
「うわ、その受け方痛そう」
 仁菜は耳をぴこんっとたてた直後に、しなっとたわませる。
 それくらいに目の前のリンカーたちの戦闘は大雑把で訓練なのに痛そうに見えた。
「全力なのはいいことだけどね」
 そう苦笑いを浮かべるリオン。その直後片方のリンカーの拳がいい角度でめり込んだ。
 もう片方のリンカーはふらつきながらも耐える。そのリンカーに追い打ちをかけようと飛びかかる少年リンカーだったが。
「そこまでです! これ以上は大怪我するのでやめておきましょう」
 リオンが間に入る、飛びかかるリンカーの拳を止めてやんわり威力を殺し。
 反撃しようと膝立ちになったリンカーの攻撃は手刀でそらす。
 次の瞬間素早く体制を立て直したリオンは、ふらふらになった少年リンカーの体を抱き留めて落ち着かせる。
「よしよし、よく頑張ったね」
 告げると仁菜がリオンの肩を叩く、治療のために二人を下がらせた。
「次はだれがやる?」
 勢いよく上がる手。
 その盛り上がりを見届けると『黄昏ひりょ(aa0118)』は再び海を眺めた。
 これまでの戦いを思うところはもう終わった。
 であればこれからの戦いをどうするかずっと考えていたのだ。
 自分は何のために戦い、何を大切にするのか。
「自分にとって本当に大事な物が何かのか」
 そう噛みしめるように告げたひりょは、大きな笑い声が上がったのを機にまた振り返る。
 船全体を見渡した。
 ここには友達と言える人も仲間と言える人もたくさんいる。
「俺に武勇伝などない。ただ、誰かの助けに応じただけだ」
 そう告げて星の海に視線を移した。すると背後から声。
「ガデンツァとの最終決戦に向かえなかったのは心残りだが……」
「今は皆様の無事を祝いましょう、ラシル」
 そうグラスを揺らしながら交流会に姿を見せたのは『月鏡 由利菜(aa0873)』と『リーヴスラシル(aa0873hero001 )』
 見れば新米リンカーたちが由利菜たちを見てひそひそと何かを話している。
 トップリンカーの一員なのだから噂もよく回るのだろう。
 そんな由利菜は交流会の中に見知った顔を見つける。
「あら、新人さんたちの中にまざって何をしてらっしゃるのでしょう」
 その人物は旅の剣士のようなマントを煽って新人リンカー相手に教鞭を振るっていた。
「おっと、それ以上はいけねぇな」
 剣のふりかた、攻撃の受け止め方。
 それらを少し間違えばすぐに体を痛めてしまう。
 それを淡々と教える男性に由利菜は声をかけた。
「赤城さん、ですよね?」
 その言葉に目の前の少年リンカーが息をのむ。
「あ~、隠しておくつもりだったんだがな」 
 マントはイメージプロジェクターの産物だったらしい。それを脱ぎ捨てると龍哉はニヤッと笑った。
「わー、赤城さんだ」
「月鏡さんもいる」
 新人たちが一挙に押し寄せる中、新米たちは二人に過去の戦闘体験をねだる。
 何か話をしてほしいということだと思ったが、パッとは思いつかないもので、由利菜は頭を悩ませた。
「そうですね、印象に残った戦い……」
 うーんっと思案して由利菜は告げる。
「全体で見たら……神月作戦でしょうか。あの出来事のあとにリディスと出会いましたから」
「新たなクラス、カオティックブレイドとの遭遇も印象深いな……」
 リーヴスラシルが頷き言った。
「相手の事情を知るほどに苦しくなったと言う点では、ヴィランのラグナロクやネウロイの狼達、あるエージェントの方を通じて信じることの脆さ、辛さを知ったという点では……ヴァルヴァラとの戦いの記憶が胸に痛みます」
「俺は、最近という事であれば、宇宙で戦ったことが印象に残ってるが」
 リンカーを始めた当初は宇宙にまでいけると想像していなかったからなおさらだろう。
「その作戦で作り上げた宇宙線は落されちまったんだよな」
 そう後ろ手に頭をかく龍哉。
「正直苦労して造った宇宙ステーションを落としてまで、というのはどうかと思う所はあったが……」
 そうこうしている間に見えてきた。
 海の向こう、地平線にかぶさるように巨大な建造物の残がいが姿を現し、それを指さし龍哉は告げた。
「撃破したとは言え、まだこの状態かよ」
「尋常な手段では足りなかったというところですわね」
 ヴァルトラウテが静かに告げた。
「衛星軌道上からレールガンで砲撃とかでも良かった気はするが」
「それをすると後でHOPEが衛星軌道上からの攻撃手段を持ったと、国際問題になるのでは?」
 まぁ、一応グロリア社管轄なのでH.O.P.E.に影響はなかったのだが……。どちらにせよ国際問題は不可避だっただろう。
「ま、勿体なかったが、これはこれで役割を果たしたと思うしかねぇな」
 その戦いのすさまじさを目の当たりにして新人リンカーたちは感嘆の声をあげるしかなかった。
「まったく、とんでもない敵だったな」
「それよりとんでもない敵がこれから異世界より現れるというのは、頭が痛い話ですわね」
 龍哉の言葉にヴァルトラウテが溜息で返す。
「そう言えば、他の世界と言えば」
 由利菜が思い出したように口を開く。その言葉はリーヴスラシルだけに向けられ周りの人間には聞こえない、だが由利菜は話し終えるとすっきりした面持ちでこう言ってのけた。
「今は無理でも……いずれ、私は行きます。やりたいこともできずに終わるなんて、そんなの嫌ですから」
 そう拳を握る由利菜。
「……分かった、何とか時間を取れないかHOPEと交渉してみる。……くれぐれも、リヴィアのようにはなるなよ」
 その時だ、当たり一面を淡い光が包んだ。見れば仁菜が皆の傷を回復するために祈っている。
 まるで星が落ちてきたような光景にヴァルトラウテは楽しくなってくるりと舞った。
 スカートが光を受けて煌き広がる。
「さて。そろそろ再開すっか」
 告げて上着を脱ぎ去ったのは龍哉。
「何人でもいっぺんにでも、かかってこい。俺は愚神になった気持ちで相手してやる」
 構えをとる龍哉。どんな方法での戦闘も許す代わりに本気である。
「臆するより先にどうすれば切り抜けられるか、だぜ。なに、1対5でもきっちり役割を果たせば何とかなる。俺たちもそうしてきた」
 その言葉に表情を引き締めるあたり、この先いいリンカーになる。
 そう予感して龍哉は一瞬微笑みを浮かべた。
「さぁやろうか!」
 直後共鳴、召喚するのは弓。
 ハードな戦闘訓練が始まる。

● いつもの女子会
 歓声の上がる交流会とは別の区画で、音楽と共にお酒を楽しむテーブルが用意されている。
 そこに集まっているのは『小詩 いのり(aa1420)』を中心に『蔵李 澄香(aa0010)』や雨月、『斉加 理夢琉(aa0783)』に由香里、遙華と年頃リンカーが勢ぞろいという感じである。
「祝賀会、かあ」
 グラスの中身を飲み干すといのりはそう感慨深げに告げた。
「思えば色々あったよね」
 思い返すのは、みんなと……それから澄香と一緒に駆け抜けた日々だ。
「ガデンツァに感謝するつもりはないけど、彼女がいなかったらここまで仲良くなれてたかどうか」
 思えば奇妙な縁だった。遙華ともガデンツァの案件がなければ単なるショップの御嬢さんくらいにしか思わなかったかもしれない。
「だからみんな、これまでありがとう。これからお付き合いがなくなるわけじゃないけれど、一区切りは大切だと思ってね…………」
 そんないのりの視線が完全に脱力している遙華に留まる。
 遙華は雨月の胸の中に頭を突っ込んで顔を伏せていた。むにゃむにゃと寝言みたいな声で何事か囁いている。
「大丈夫ですか? 遙華さん」
 アイスクリームを食べながら理夢琉が問いかけた。
「大丈夫、ちょっと疲れただけー」
 雨月はそんな遙華を片手に本を読んでいた。
「眠たいなら私の部屋貸す?」
 そう雨月がキーをちゃらりとぶら下げて見せると。遙華は首を振る。
「だって、この後夜通し遊ぶでしょ?」
 その言葉にいのりと澄香は、どうかなぁという意味の苦笑いを交わして見せた。
「っていうか、英雄がいるのに個人部屋?」
 遙華が問いかけると雨月は、会場内の食べ物を食いつくさんとしている『アムブロシア(aa0801hero001 )』 に視線を移す。
「たぶんその辺で寝ると思うから平気よ」
 そう肩をすくめる雨月に、ちょっと眠気が紛れたのか遙華が頭をあげる。
 その視線を捕えた理夢琉が一本の剣をさしだす。
「その前に、あのね、遙華さん。頼みたいことがあってね」
「バルムンク? どうしたの?」
「あのね、AIって一人分しか入ってないでしょ。他の子たちも入れたいんだけど」
「ほとんど戦闘補助として役に立たなそうな気もするけど、できなくはないわよ」
「本当?」
「ちょっと時間かかるけど、今度私の部屋に持っていらっしゃいな」
 告げると遙華はまた雨月にしなだれかかる。
「実は、私たちも話があってさ」
 澄香がそう遙華に語りかける。
「なに? 結婚でもするの?」
「相手はだれさ」
 澄香が笑って手を振る。
「いのりと」
 いのりの顔面温度が限界点を迎え、そしてポンッとはじける音がした。
「ちがうよ、アイドル活動の話」
 その言葉に遙華は真面目な表情に戻る、仕事モードである。
「王との戦いが終わったら、アイドルは引退するつもり」
「それはいのりも了承してるの?」
「うん、僕もね澄香と一緒に引退するよ」
 遙華の瞳が、それでいいのかと問いかけてくる。
「歌は好きで大事だけど、もっと大切なものが出来たんだ」
 もっと大切なものというのには、いのりは言及しなかった。
 それは、大切な人との時間や、彼女の選択に寄り添うことだが。
 さっきの話題のあとでは何とも言いづらい。
「元々、ルネさんの意思を継ぐ為の活動だったし、私も来年は二十歳だし」
「そうね、お互いもうそんなに歳をとったのね」
「TRVの死者が私の作戦の模倣なら、その責任を取る必要があるもの」
「それは違うわ」
 遙華が澄香の手を取った。
「ガデンツァは確かに私たちから学んでいた。けれどそれとあなたの行ったことは別よ。一緒に考えてはいけないわ。あなたは最後まで誰も殺さず世界を救った。そうでしょう?」
「最後にガデンツァを殺したよ」
 澄香はそう悲しみを宿した瞳で告げた。
「けど、それが落としどころなんだとおもう」
 よくも悪くも、大人になってしまった。
「それに私がそのまま居座るのも業界にとってよくない気もするよ。ガデンツァとの約束も、次世代に託すことができるから、大人しくバトンタッチする」
 澄香のその言い分にちょっとの疲れと言葉にはしきれない思いの数々を感じる。
遙華はきっと、そう言う事なんだろうと理解した。
「じつは、私もねグロリア社。やめようと思ってたの。だからちょうどいいわ」
 その言葉に反応したのは理夢琉。
「じゃ、じゃあ、うちの会社に来ませんか?」
 告げると遙華にパンフレットをさしだした。
「お父様が正式に社長になったの、今までの経営方針を変えたいから秘書として雇いたいって」
「秘書ね、ロクトの秘書姿を見てきてるからうまくいくと思うわ」
「うん、あとロクトさんも」
「ロクト? どういうこと?」
 その時、場の空気が氷りついた。
 理夢琉がいのりと澄香を見てみればあちゃーっという顔をしている。
「え? まさかロクトさんがいることしらない…………」
 その一言で完全に空気が破壊された。思わず顔を覆ういのりである。
「ロクトが! ここにいるの? どこに」
 詰め寄る遙華。ガクガクと揺らされる理夢琉。
「ありゅーはやくきてー」
「いったいどういうこと! いのりも澄香もしってたの?」 
 今までの眠気も一点、大暴れしだす遙華をなだめるために澄香はある言葉をつぶやく。
「遙華、あのさ、シロってどこにいるか知ってる?」
 遙華はしばらく考えたのち大声を上げる。
「あ! 忘れてた。蘿蔔!」
 蘿蔔の『私しりません』が夜空に木霊して聞こえる気がした。

● 密入船だ!
「おう、お前等! 生きててよかったな、最高だぜ!」
 ジャーンとギターがかき鳴らされる、それを見て理夢琉は盛大な拍手を送る。
 理夢琉はダッシュで会場内に消えてしまった遙華をひとまず見送って赤原に会いに来たのだ。
「それはこちらのセリフです」
 そうため息交じりに告げて見せたのは『メテオバイザー(aa4046hero001 )』
 楽屋裏で赤原を見ていた。
 観客席から理夢琉が何事かを叫ぶ。
「こっちのセリフです!」
 同じセリフだった。
「病み上がりなんですから」
 理夢琉が告げると壇上に希望の歌が流れる。理夢琉の手を赤原がとって壇上に上がらせた。
 やがて赤原の出番が終わると舞台袖に戻ってくる。そんな赤原にタオルとミネラルウォーターを手渡してメテオバイザーは声をかけた。
「襲われて大怪我をしたと聞きました」
「おう、あったな、そんなこと。傷みるか?」
 そう服をまくろうとしたのをメテオバイザーは静止する。
「生きててよかったです……あれから、お大事無いですか?」
「経過か? ガデンツァ倒す時に一緒に謳ったが、あの時は傷が開きそうでビビったな」
 その言葉にメテオバイザーは深いため息をつく。
「自分の命は大事にしてください」
「命より大事なものがあるだろうが」
「ありません、心配です、あなたのことが」
「おう?」
 赤原が首をかしげる。
「ありがとよ、俺のファンってことか?」
「ちがいます」
 そう即答されてちょっと落ち込む赤原。
「貴方には、またお洋服をお願いしますと言われましたから……」
 その言葉に僅かな寂しさがにじむ。
「次に作るお洋服が死装束とか……嫌ですから」
「…………」
 その言葉ににかっと赤原は笑うと告げる。
「実はよ、エリザと俺を含めてライブやるかもしれねぇんだ。そこで俺なり、エリザなり、衣装作ってみっか?」
「本当ですか?」
「都合がついたら来いよ、まぁこれからお前等忙しいみたいだからさ」
 そう赤原は沈没したDARKへ思いを馳せる。
「無理にとは言わねぇけど」
「これはサクラコにも相談しないと…………。あら? サクラコはどこに?」
 そうあたりを見渡すメテオバイザー。いつの間にか彼の姿は消えていた。
 さっきまで近くにいたはずなのに、はて。
 そう首をひねっている間にももう一つの物語は始まっているのだ。

   *   *

 彼を探すには少し時間をさかのぼる必要がある。
 パーティーの食材は適当にたべ、飲物も胸がいっぱい。
 催しものも興味が無いので『桜小路 國光(aa4046)』は客船の下層に降りてきた。
 こんな豪華客船次はいつ乗れるか分からない。参考までに見て回ろう。そうぶらついていると聞き覚えのある声が聞えた気がした。
「…………エリザか?」
 國光は声の反響音を頼りに歩いていくと、やがて機械の駆動音も聞こえるようになった。
 場所は貨物室だろうか。
 その空いている戸からこっそり中を覗いてみると……。そこには人間の上半身が置かれていた。その後ろ姿に國光は見覚えがある。
「エリザ?」
 ガデンツァの事もある、不審者を警戒していた國光はだったが、確認して思わず力が抜けた。
 見ればエリザは他の機械類を操作して手足を接続しようとしているようだ。
 体にはポンチョのようにぼろい布きれをかぶっているが隣には煌びやかなドレスも広がっている。
 その様子で全てを把握した國光である。
「……お手伝いしましょうか? お嬢さん?」
 その声に飛び上がりそうなほど驚くエリザ。
「ぴやわわわわわわわわわ!」
 首だけ180度回転し、背後を見るエリザ。一瞬の困惑、そして安堵。
「桜小路さんだ、びっくりした。驚かせちゃいやー…………って。もしかして怒ってます?」
 穏やかな笑みの裏に潜む冷気。
「その様子だと西大寺のお嬢さんには黙って付いてきたな」
 エリザは涙目になって『ひゃい』と頷くほかなかった。
「送り返したりしないで! わたしどうしてもパーティーに出たくて」
 國光は頭を振るとため息をついて機械に吊るされていたエリザの足をもぎ取った。
「ひゃあああああ」
「勝手な真似をしないなら。組み立て、手伝う」
 告げると國光はそこら辺のスパナを手に取った。
「あー、女の子のボディーを組立なんて言っちゃ」
 國光がエリザを見る。
「あ、なんでもありません。助けてください、お願いします」
 そうしょぼくれるエリザだが隣に座り國光は足の組み立てを開始する。以前にエリザボディーに関する情報は一通り頭に入れた。エリザの指示がありながらならなんとでもなるだろう。
「俺はどうやってここに来たと思う?」
「え?」
 突然の質問にエリザは首をかしげた。
「声が漏れてたからだよ、俺以外に見つかったらそれこそ強制送還だ」
 エリザは作業も忘れて國光に視線を注いだ。
「バレたら怒られるだろ? こっそりなら……」
 そう言っている矢先である、背後で金属が転がる音がした。
 振り返ればそこには雨月。そしてメテオバイザーが立っている。
「何をやってるの?」
 雨月は首をかしげた。
「パーティーに招かれなかったらしい」
 そう雨月とメテオバイザーに説明する國光。
「遙華には言わないで!」
 エリザが反射的にそう言った。
「まぁ他の人達もエリザと話したいでしょうし、いまさら見つかっても返されないんじゃないかしら…………来るのは時間の問題だけど」
 雨月は遙華の定時連絡を待っている間ぶらついていてここにたどり着いたのだ、雨月を探してきっと遙華が来る。
 そんな雨月の脇をすり抜けてメテオバイザーが歩み寄る。
「エリザさん」
 歩み寄るメテオバイザー。そのころにはもう足の接続は終わり腕だけになっていたが。
「いったんドレスを着せましょう、サクラコ」
「ああそうだな、俺もそれをどうしようか迷ってた」
 いったん國光が部屋を出ている間にドレスを着て、残りのパーツを接続、ここにエリザが再現された。
「ちょっと、エリザ!」
 そんな矢先、案の定遙華に見つかった。
 ただ、エリザの姿に感動した『麻生 遊夜(aa0452)』が、遙華より先に場の主導権を握る。
「…………ん、きてるとおもった」
 そう『ユフォアリーヤ(aa0452hero001 )』がエリザを抱きしめると、エリザはえへへと笑う。
「どうしてわかったの?」
「おとーさんセンサーだな」
 そう言って遊夜はわしわしとエリザの頭をなでた。
「……こんな所で何してるのかな、お嬢さん?」
「……ん、困った子……お留守番は、嫌だった?」
「だって、みんながすごいんだよ、楽しいんだよって言うから」
「どうやって乗り込んだの?」
 遙華が問いかける。
「荷物のデータを改ざんして、乗り込んだの」
 そんなことばかりしてると…………。そう誰しも思ったが、説教が始まればその流れでエリザが強制送還されかねない。
「相変わらず良い手際だなぁ」
「……ん、流石だよねぇ」
 そうユフォアリーヤくすくすと笑った。
「まぁ来ちまったもんは仕方なし」
「……ん、でも後で……ちゃんと謝らないと、ダメよ?」
 そのユフォアリーヤの言葉にエリザは遙華に頭を下げる。
「ごめんなさい」
「だめよ、今すぐ送り返す」
「ちょっと待ってほしい」
 そう國光が手をあげて発言を希望する。
「どうしたの?」
「西大寺はエリザが乗り込むかもしれないって考えなかったのか?」
「え、それは」
 言いよどんだ時点で國光の勝ちである。
「エリザの保護者は今、西大寺だろ? エリザ一人怒ってそれで解決はならないんじゃないか?」
「え、あ。そうね」
「エリザが今微妙な立場にあることも知ってたはずだ。しかもエリザにろくな護衛もつけずに送り返そうとしてる。むしろここにいた方が安全なくらいなのに……だ」
 ここには大規模作戦が開始できそうなほどにリンカーがいる。
 この場でエリザを拉致ろうなんて考える人間はいないだろう。
「そ、そうね、ごめんなさい」
 そう遙華を丸め込んだ國光を見つめるエリザ。その視線に気が付くメテオバイザー。
「じゃあ、お許しも出たからいくか」
 遊夜が告げるとエリザが聞きかえす。
「どこに?」
「変装してパーティに行くんだよ」
 にやりと笑う遊夜に幻想蝶からメイクアップアイテムを取り出すユフォアリーヤ。
「……ん、準備は万端……だよ」
「サプライズってことで、な?」
「……ん、バラすのは……最後、ね?」
 準備を整えたエリザは皆の輪にくわえられパーティーへと乗り出す。
 最後に國光が問いかける。
「楽しいか?」
 この場所は。
 その言葉にエリザは笑みを返す。
「はい」
「そうか……。よかったな」
 そう告げ光の袂へ向かうエリザを國光は祝福した。

● ほの暗い倉庫の中から

 実はだ、華やかなパーティー会場以外にも華やかではないパーティー会場が用意されている。
 それがこの豪華客船に用意された小さな一室。暗くてじめっとしている気がするのはロクトが電気をつけたがらないからだろう。
 ただ、電気をつけないのになぜロクトの表情がわかるかと言えばそこに『イリス・レイバルド(aa0124)』と『アイリス(aa0124hero001 )』がいるからだ。
 しばらく共鳴して光を送り込んでいたがロクトは考え込んだまま動かない。
 そんなロクトの調子が戻るようにとそばに『アリュー(aa0783hero001 )』が寄り添っている。
 そんな空間では『クラリス・ミカ(aa0010hero001 )』のぱちぱちとキーを叩く音ばかりが聞えてくる。
「お帰り、ロクト」
 とりあえずと、アリューが口を開いた。
「理夢琉の話を聞いて、父親が雇いたいってさ」
「ありがたいお話ね、けど私…………」
「俺はまたロクトのバーで酒を飲みたいがな。皆とワイワイやって……それならすぐに実現できるんじゃないか?」
 その言葉にロクトはひび割れたような笑顔しか返さない。
「そんなに遙華さんに会うのが嫌なんですか?」
 そうイリスが問いかけると首を振る。
「会うのがいやなんじゃなくて、彼女に迷惑をかけることが…………つらい」
「周りのひとの視線とかが問題だと思ってたらー……本人の後ろめたさが先にきちゃったかー」
 そうロクトらしからぬか細い声で答えるとアイリスが告げた、その言葉でロクトはより縮こまってしまう。
 そんなロクトに『魅霊(aa1456)』が声をかけた。
「お互い、死に損なってしまいましたね……ロクトさん」
 その言葉に『R.I.P.(aa1456hero001 )』が魅霊の口をふさごうとするが魅霊は抵抗した。
「ええ、そうね、あなたに殺されておくべきだった」
「私も思いますよ、殺し、殺されるべきだった。今でさえ、そう思います」
「じゃあ、なんであなたは生きているの?」
 ロクトの問いに魅霊は真っ直ぐ答える。
「来る平穏に殺しは不要。担い手も同じく」
 故に魅霊は……DARKの炉心で、『暗殺者 黒 魅霊』の焼却を実行に移した。
 もうすべてを終わらせる、その一心で。
「……でも駄目でした」
 こともあろうに、キューブを持ち込んで使ってしまった。ただ庇ってさえいれば形も残らず蒸発できたろうに。
「私を生かしたのだとすれば、それは私の欲望だけです。ただ一つ、そうそれがあれば生きていけると思わせるそれを、もう一度、もう一度見たいがために」
《澄香姉さんの笑顔を、もう一度見たい》その願いは再びかなえられた。
 生きて帰ってくることによって。
「結局、最後まで我欲を棄てられなかったんです。……貴女にも、憶えがあるのでは?」
 口をつぐんでしまったロクト。そんな彼女に『榊原・沙耶(aa1188)』が言葉をかける。
「終わった事は終わった事で、ロクトさんが今後どうするのか、それがまだ不明確だったわねぇ」
「ええ、でもそれは私が決めるべきことだったから」
「けれど決められず、こうしてドレスまで着てしまってる」
『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001 )』が厳しめに言葉を投げた。
「それがなにを意味しているか、あなたも分かるんじゃないの?」
「………ダメみたいねぇ」
 沙耶が言葉を続ける。
「じゃあ、状況を整理してみましょうねぇ。
 機密を持ち出した以上、グロリア社には戻れない。
 でもそうなると、遥華さんとは一緒にいられなくなるわ。
 誰とも誓約を結ばないのであれば、いずれにせよ近いうちに消える事になる」
「それはだめだ!」 
 アリューが言葉をはさんだ。ロクトの肩を揺さぶる。ロクトの反応はない。それを見てアイリスが告げた。
「グロリア社に簡単に戻れるわけではないとは思っていたけれど、精神的な問題も浮き出ているね」
 沙耶が言葉を継ぐ。
「完全に袂を別つか、遥華さんを連れてグロリア社から独立するか。どっちも茨の道だろうけど…………」
 沙耶は座り込んでロクトの目を見すえる。
「協力は惜しまないわ。ただ、カデンツァの研究資料なりエリザを持ち出せなかったりで、課題はかなりありそうだけどねぇ…………」
「なぜそこまでしてくれるの?」
 その言葉には沙羅が答えた。
「私たち、友達でしょ?」
 ロクトが顔をあげる。
「私は、友達には命も姿も、あげられるものならあげたいって思ってるから」
 その言葉にアリューも強く頷く。
「一度、いい加減二人で会ってみるしかないでしょう」
 沙耶がそう言葉を締めくくる。
「それにエリザにとってもあなたが必要だとおもってるわぁ」
 沙耶は言った。ちなみに沙耶はエリザが海上にいることを知っているようである。
「それとエリザの終末の音システムへの落とし込みは、落ち着くまでは難しいんじゃないかしらねぇ。本人がやりたがりそうにないしねぇ…………」
 だがゆくゆくは重要な戦力となる、そんな予感はしていた。 
 それをロクトには推し進めてもらいたい、そんな意味もある。
 その時だ、廊下の向こうから声が聞える。
「どういう風の吹き回しですか。パーティーなんて。柄でもない」
「んだよ。俺だってなぁ、その、こういう所に誘いたいと思う奴が…………」
 その声の主は『柳生 鉄治(aa5176)』及び『ブリタニア(aa5176hero001 )』
 二人はなれないパーティーに満を持して繰り出したのだが。普段のデートと違ってブリタニアはとても楽しそうだ。
(そうですか、鉄治もやっと素直になりましたか)
 今まで自分という女性がいながら、他の女性に目移りしっぱなしだった鉄治に対して、はらわたが三度ほど煮えくり返りそうな思いだった。
 ただ、今日は違う。
 鉄治は確実に自分を誘った。
 これでブリタニアにとって男とは自分に恋い焦がれるものだとやっと証明できたのだ。
 これが嬉しくないはずがない。
 ただ、その上機嫌もすぐに消え去ることになる。
「まぁ、ほら、なんだ…………俺は」
 何気なく、そう何気なくだ。
 扉を開けてしまった。
 こっちが会場に戻る道だと思ったのだ、実際は違い、パンドラの箱を開けることになってしまったのだが。
 何気なく開けたドアの先にロクトがいる。
 マジかよという表情で固まる鉄治。
 しかも視線は泳いでいる。正確には目のやり場に困ったのだ。
 スカートは短くてその奥が見えてしまいそうだし、前かがみになっているから胸がこぼれそうだ。
 表情もいつもの化粧と違うのか、アンニュイな雰囲気も相まってドキッとしてしまう。
 その情報を一瞬のうちにかみ砕いたものだから鉄治の脳はパニックを起こしてしまった。
「そうですか。どうぞご自由に。どうぞ心行くまでロクトを誘って」
 その鉄治の雰囲気を察したのかブリタニアはそう告げ踵を返す。
「お熱い夜でも過ごせばよろしいのでは?」
 完全にへそを曲げてしまうブリタニア。
 そんな中、鉄治は場を取り繕おうととりあえず話題を。
「なんだ、メガネはどうし…………痛ぇ!!」
 足を踏まれた鉄治、しかもピンヒールである。
(何を遙華まで…………じゃなくて、なんでそこでいきなり直球なんですか!!)
 そう小声で耳打ちするブリタニア。事情は知っていたようだ。鉄治もなかなかやばいワードを口走ってしまったとパニックを増していく。
 だが、もうこれはもうやるしかない。
 鉄治は腹を決める。
「め、めがねは」
 さらに言葉を続けようとする鉄治。その言葉にロクトはこう答える。
「楽しくパーティーしているんじゃないかしら。私はもう彼女と何の関係もないから」
 そんないじけた物言いに鉄治の頭の中で何かが爆ぜた。
「何だよ、こっそりでも誘ってやりゃいいじゃねえか。初めて会った時、『次はお姫様を誘えるようにしましょうね』って言ってたじゃねえか。会いたいなら、やるしかねえじゃん」
 目を見開くロクト。
「何ですか、鉄治のくせに…………」
 そうブリタニアが頬を膨らませる。
「さぁ、ロクトさん。こちら本日の一杯目はバハマだ」
 そうアイリスがトレイの上に載せて運び込んだのは可愛らしいお酒。
「ロクトさんは一度遙華にエッグノックを飲ませたいと言っていただろう? そのお返しが届いたのさ」
「バハマ…………」
 そう噛みしめるように告げたロクト。
 バハマの酒言葉は『もう一度会いたい』
「合わせる顔がないと思っても」
「問題を先にのばそうとしても」
 アイリスとイリスは謳うように言葉を重ねる。
「繋いだ契約が」
「積み重ねた歴史が」
 その言葉にロクトの顔がどんどん上がっていく。
「自然と引き合わせることだろう」
「それが絆」
「まぁ心の準備をするための愚痴ならいくらでも付き合うよ」
 そう告げた矢先である、クラリスが口を開いた。
「ロクトさん。あなたがもたらした被害はもうほとんどなくなっているんですよ」
 そう広げて見せたPCの画面にはロクトのもたらした被害の結果と。 
 その行動を持って得られた利益の相殺式が書かれていた。
 ロクトの離反によって受けた被害と、内部スパイで得た情報で防げた被害をH.O.P.E.の第三者と共に比較、法的な罰則と照らし、何とか情状酌量や温情が出ないかグロリア社に上訴。
「結果、あなたの行動は人類全体の利益となった、という結論をグロリア社が認めました」
 クラリスが丸め込んだのだ。その手腕見事である。
「いまは、TRV、DRAKでの犠牲者の遺族に対しての最大限の誠意と保障をする為、まずは財源確保を名目に繋いだ伝手も辿り、ロクトさんが社会生活を送れる状況を整えられるよう動いています」
 クラリスはPCを閉じると告げた。
「私たちを信じて、会いに行ってあげてください。まだあの子にはあなたが必要なんです」
 うちの子と同じように。
 そう微笑むクラリスに背を向けて、ロクトは走りだす。
「ありがとう、みんな」
 ヒールが邪魔で、それを脱いで。
 そんないつも優美に構えているロクトの姿がめずらしくて、おかしくて思わず一同で笑い合ってしまった。
「ああ、そう、最後に言い忘れてましたが、澄香ちゃんはともかく、わたくしはモノプロもプロデューサーも続けますよ?」
 まぁその言葉は今のロクトには届かないが。
 届かないとしても、もう一度言いに行けばいいだけか。
 そう思い直して一行はパーティー会場に戻ることを選択する。

● 残すべきもの、刻むもの。

 カメラは一人の少女を捕える。
 背はパーティーの煌びやかな明かりに照らされているが、その表情は海に向けられていて月明かり、星明かりのみに照らされる。
 少女の名前は仁菜。
 ガデンツァをめぐる戦いを戦い抜いた少女。
 そして王をめぐる戦いに挑もうとする者。
「あなたがあそこから生還できたのは、何故だと思いますか?」
 そう画面にテロップが出る。
 死んでもおかしくない戦いだった。だが生きて帰れた。実際ガデンツァの戦闘直後には四肢は動かなかった。リンカー生命が断たれたかとも思った、だが最後の最後で、傷が楽になった気がしたのだ。
 あれはいったい。
「えーっと……多分いつもです」
 物思いから返ると仁菜はカメラを振り返り告げた。
「私は攻撃が得意じゃないので、1人じゃ敵を倒せません。きっとジリ貧で負けちゃいます」
 あの時の光景を思い出すと胸に刻まれているのは仲間の姿。
「後ろにいるお兄ちゃんは決して攻撃を外さない。
 普段は……変態さんなとこもあるけど、やる時はきっちりやる人。
 前に立つ隊長は絶対攻撃を外さない。
 彼は仲間を守るために敵を倒す人」
「では、それがあなたの支えであり……」
 その質問に頷く仁菜。
「戦える理由。一緒に戦ってくれる仲間がいるから、帰ってこれるんですよ」
 今までも、これからも。
 仲間と一緒に戦う、そう胸に誓った。
 やがて記者が離れるとリオンが仁菜の前に姿を現す。
 今も少しずつ光になって消えゆくDARKの残がい。
 少し前まであの上で戦っていたのだ。命をかけて。
(……救済かぁ)
 リオンはガデンツァの姿を瞼の裏にみてため息をつく。
 皆が誰かを救いたいと言う真っ直ぐな気持ち。
 その真っ直ぐな強さに心うたれた。
(俺達は救済とは程遠い…………よな)
 俺達が誰かを守るのは。自分の心を救うための自己満足だ。
 そうリオンは思っている。
「リオン?」
「こんな俺達に救えるものがあるのかな」
 そう告げるリオンの背中は今にも泣き出しそうに見えた。
「私は救われてるよ、リオン」
 そうリオンの背中に手を当てて仁菜は願う。いつかリオンの心の傷も癒せますように。
 鎮魂の儀式の時間が近い、だから戻ろうと仁菜は提案した。
 温かい場所に帰ろうと。ここは寒いと。
 耳を揺らして小首を傾げて、そうリオンの袖を引くのだ。

    *    *

「姫乃、行ったみたいだよ」
 そう車いすの少女が曲がり角から姿を現す。
 彼女の名前は三浦ひかり。『彩咲 姫乃(aa0941)』の友人でありパートナーであり守るべき対象である。
「たく…………あいつしつこいんだよな」
 船内を走り回っている記者を嫌って姫乃は船内を移動しなくてはいけなかった。
 大人しく『メルト(aa0941hero001 )』にご飯をあげることもできない。
「話してあげればいいのに。みんな姫乃の話聞きたがってるよ」
「あ~、普通の話ならするんだがな、あいつナイアのこと聞いてくるから」
 その言葉で二人の間に気まずい沈黙が流れる。
「でも光には見て欲しかったんだよ、あれが全ての終わりの場所なんだって」
 うまく言えない。うまく言えないのだが、光は感じ取っていた、姫乃が言いたいこと。
 姫乃はそのまま光の車いすを押してパーティー会場に戻る。
 漏れ聞こえるのはECCOの歌。
 壇上の彼女に手を振って通過すると、メルトをパーティー会場のすみっこにおく。
 テーブルにも手が届く範囲だ。
 メルトはモリモリと食事を平らげていく。その直後ECCOの歌がやんだ。
「みろよ、ひかり」
 そう姫乃が指をさすと空に無数の光が上がっていく。
 歌が聖歌に変わる。謳っているのは『ヴァイオレット メタボリック(aa0584)』だ。『ノエル メタボリック(aa0584hero001 )』と共鳴して、楽器はなくその歌声だけを海上に、海に響かせる。
「「わたくしは、この世界から生まれた紫鏡と呼ばれた愚神を師と崇めしもの今宵の余興として聖歌を歌いに参りましたお聞き苦しいかと思いますがお聞きください」」
 声を重ねて告げるノエルとヴァイオレット。
 そのバックコーラスでECCOや理夢琉が入る。

――風となって過ぎたライブスよ。
  安らぎに満ちて眠りにつくことを祈る。

 その思いは犠牲になっていった人たちにのみ謳われるわけではない。
 愚神や従魔・従魔化実験の犠牲者、なども含んでいた。
 分かり合えることは決してないかもしれないけれど聖歌は世界各地のものを織り交ぜて、捧げるように謳う。

――ぶつかり合いも今は思い出。
  王へと向かうわれらの標は。
  あなたたちから得たのだから。



 その歌に合わせてひりょは受け取った光を空に返した。
 魂を乗せた船……を模した儀式。
 しかし鎮魂の思いはキチンとこもっている。
 今までの戦いの中で散っていった命、そして従魔となり戦う事になり手にかけるしかなかった人々にも安らかに眠ってほしい。 
 そうひりょは願っていた。
「この先も、笑顔で過ごせる日々を願って」
 その笑顔に過ごせる日々を願って、取り返したくてもがく少女もいる。
「姫乃?」
 二人で刻んだナイアの名前。
 姫乃はそれを空に返すことはしなかった。
 自分の部屋でパーティーが始まる前に書いた手紙。
 それを燃やして空に送る。
 まだ、語りたいことが沢山あった。生きたい場所もたくさんあった。
 誰かが死ぬってことがこんなに悲しいことなんて死ななかった。
「私はね、お父さんとお母さんがいない」
 姫乃の手を取るひかり。
「だからわかるよ。誰かとさようならするのは何度経験しても辛くて、痛くて、悲しいよ」
 その手を握り返す姫乃。
「手紙になんて書いたの?」
 そのひかりの言葉に、言うつもりはなかったが姫乃の口が勝手に動く。
 手紙の内容をぽろぽろ話してた。
「ひかりさ。覚えてるか? 
 一時期ガデンツァを倒して、アイドルを狙う奴がいなくなって今がひかりをアイドルにって思ってな」 
 頷き姫乃の話を聴くひかり。
「そしてアイドル活動推し進めてたら、――実は生きていた!だろ? 以前よりはとはいえ、アイドル関連のきな臭い事件もあったし気が気じゃなかったよ。
 ひかりをアイドルにって目標は順調にいったんだが。 
 何故か俺もアイドルにって流れになってな」
 気が付いたら姫乃は空に向けて話していた。いつの間にか星と月が明るい。
「それなりに充実してるし、楽しそうなひかりを見るとやる気も出るけどさ。王子様ってのは予想外だったなあ」
 その言葉にひかりがくすりと笑う。
「ヒーロー目指してたはずだったんだけどな」
 握りしめたのはお守りのネックレス、三つの星のペンダント。
「あいつ、最初はこんな風に笑わなかったよな」
 次いで姫乃は本物の月を見た。
 その背後で聖歌が終わる。するとひりょも姫乃もステージを振り返った。
 ヴァイオレットが頭をさげ、ノエルがマイク越しに告げる。
「すみませんでした。あまりにも、拙いものを聞かせしまいましたお恥ずかしい限りです」
 それをもって会場から割れんばかりの拍手が上がった。





● 再会



「レオー。あちらのお客さんからですってやってー」
 豪華客船にもともと備わっていたBARスペース、そこはなかなか繁盛していた。
 と言っても知り合いがごちゃっと入ってきているだけなので気楽なものである。
『レオンハルト(aa0405hero001)』がメインでスタッフをやっているが。『卸 蘿蔔(aa0405)』はすでにだらけて半分お客さんである。
 レオンハルトの最近さまになってきたシェイカー姿を眺めて蘿蔔がねだったのが。BARでお決まりのあれだった。
「お前客じゃないだろ」
 そうぴしゃりと言われてしまえば黙るほかない。暇な蘿蔔はスカートのすそをたらしながらお行儀悪く足を組み直す。
「あともうそれやった」
 その言葉に首を傾けると、小さな手がカウンターの下からにゅっと伸びてきて、グラスを掴む、するとその手はすぐに宙に浮かぶトレイにそのドリンクを乗せると。 
 ぴゅーっと走って行ってしまう。
「あ、イリスちゃん、アイリスちゃんだね~」
 そう蘿蔔は何かを話しながら先を急ぐ二人を見送った。
「……で、それを私たちが運ぶ、と」
「メッセンジャーだね」
 そんなこんなで出張BARカンタレラは盛況である。
「いらっしゃいませ」
 そう呼び鈴の音に反応した蘿蔔が体を起こすとそこには遙華と雨月が立っている。
「あ、お二人ともいらっしゃい」
 蘿蔔が案内しようとすると素早くレオンハルトが席を開けた。
「遙華をイメージしたノンアルコールカクテルをどうぞ」
「ありがとう、果物の香りがするわ。何が入ってるの?」
「グランベリージュースベースがベースだよ」
「あ、私も飲みたい」
「一口どうぞ」
 そう蘿蔔がクイッとグラスを傾け、腰に手をあて飲み干すと。
「おい、牛乳じゃないんだぞ」
 蘿蔔は見てしまった。扉の影にちらつく紫いろの髪。
 そしてよぎるのはイリス、アイリス、レオンハルトの不思議な行動。
 その時蘿蔔はすべてを察すると共にこの言葉を飲み込んだ。
(わたし、しらないです~)
 ただ胸の中で思い直し、遙華の肩を叩いて微笑みかける。
「どうしたの? 蘿蔔、酔ったの?」
「ロクトさんには会いましたか?」
 その言葉にしょんぼりと項垂れる遙華。
「あえないの、どこかにいるらしいけど、どこにもいないの」
 艦内を探したのだろう。ぶらぶら揺れる足を見てみると靴ずれが見えた。
 蘿蔔は絆創膏を取り出す。
「実はまだ会ってなかったの驚きでさ」
 会うタイミングはいつでもあったから。
「遙華、こんなになるまで探したんですか? あってどうするんですか?」
「そ、それは。私は……」
 その言葉に蘿蔔は後悔の念を覚えた。絆創膏をはり、遙華の華奢な足から手を放すそして遙華の視線をまっすぐ受け止めた。
「勇気出なくて、独りで考えて…………今になってごめんね。でも、どうしたいのか改めて聞きたいな」
「会いたいのは本当。でもそれがどうしてなのかはわからない。もしかしたら叩いてしまうかも、だからロクトは会ってくれないの?」
 蘿蔔は首を振る。
「そんなことはないですよ。むしろロクトさんも望んでるはずです。怒って、泣いて、言いたいこと全部ぶちまけて、ぶつかってみたらいいんですよ。ロクトさんが遙華を受け入れなかったことなんて一度もないはずです」
 告げるとレオンハルトが指をパチンっと鳴らした。
 次の瞬間照明が落ちる。
「何があっても私は遙華の味方ですから」
 その声を最後にBARから音が消えた。
 代わりに廊下に無数の人の気配。
 皆誰かを祝福しているようだった。
 声が聞える。
「言いたいことがあれば、自分で伝えるべきだ、そうだろう? ロクトさん」
 龍哉の声や澄香やいのりの声。
「「がんばってロクトさん」」
 沢山の声に背中を押されながら、ロクトはついにその一歩を踏み出した。
「遙華……」
「ロクト」
 ロクトは意を決したように告げる。
「ただいま、遙華。そして迷惑をかけてごめんなさい」
 大きな泣き声がBARカンタレラに木霊する。





● エピローグ

 催しも終わりパーティー会場は静けさを取り戻す、料理もお酒も参加者が残るまで提供されるらしい。 
 まだ眠れないリンカーたちは自室や会場でお話を続けていた。
 たとえばヴァイオレット。そしてノエルに囲まれるロクト。
「考えすぎると、オラみてぇに老けて……でなくて、後悔するだぁ」
「ままならねぇけんどよ。思考や行動を止めてはいかんぞ、おぬしの相方の変化を見ていたいだべ」
 遙華は泣きつかれたみたいで雨月の膝枕で眠っている。しかしみんながいるパーティー会場からは帰りたくない様子だ。
「あ、ロクトさんBARは続けるんですか?」
 蘿蔔が問いかけるとロクトはこう答える。
「うーん、私が表に立つ経営はむりかもしれないわね。ただ物件として手元には残ってるから、スタッフを集めて店は存続させたいわ」
「あ、だったらレオが」
「俺らの本職忘れるなよ」
「わかってますよ」
 告げると蘿蔔は膨らませ終った風船たちを空に上げた。
 鎮魂の儀式には遅れてしまったが。こういうことは気持ちが大事だ。
「蘿蔔はこれからどうする? 澄香との約束終わったけど」
 その言葉に蘿蔔は少し考えて告げた。
「ううん…………歌手は続けようと思う。私は希望にはなれないけど、絶望に寄り添って…………いつか光を見つけられるように…………その、頑張りたくて。だからできることは多い方が良いなって」
 それにアイドル活動も悪いことばかりではなかったのだ。
 たのしいこともあった。
「そうだ、ロクトさん今だから言える話ってあるか?」
「……ちょっと、気になる」
 その言葉に目を丸くするロクト。
「うーん、私はそうね」
 その言葉には跳ね起きた遙華が答えた。
「ロクトがいなくなってたら、私、グロリア社の海外支社を転々としようと思ってたわ」
「ほうほう?」
 遊夜が首をひねる。
「つまり、みんなとお別れ……」
「そんなの嫌です!」
 蘿蔔が遙華に飛びついた。
 それと同時刻。長く続いた交流会が終わったようだ。
 後半は魅霊がずっと見ていたようだが彼女はこう新米リンカーへの教導を締めくくる。
「手傷など、枷にはなり得ません。―絆を抱きなさい。それこそが、私達の真に誇れる力なのです」
 何を思ったのか、いつもの雰囲気とは違う魅霊を見あげる澄香といのり。
 小さく微笑んだ澄香はどことな嬉しそうだ。

「後世を担う能力者たちへ。私に挑みなさい」
 それはこの場の訓練だけでもなく、記録や、その存在にという意味。

―思うやもしれない。
 目も腕も一つずつ喪った、手負いが一人 負ける道理がない と。
 しかし、それは誤りだ。

―私の信を貫けと、激励しながらも寄り添う英雄がいる。
―自らの想いを綴った譜を私に託してくれた親友がいる。
―私達の生を認め、未来を託し眠りについた歌姫がいる。
―この命を拾い、今尚光を齎してくれる最愛の人がいる。

 そう、もはや魅霊は独りで戦いなどしない。
 その宣言は澄香を安心させるものだった。
「これより仕合う相手は即ち、今日までを生き、また明日を掴みに征く私達全員の絆である! 」
「これからは君たちの時代だよ、頑張ってね」
 ただ、次の時代を託すには大きな試練が待っている。
 王との直接対決。
 それに負ければすべてを失う。
 力の強いものはガデンツァのように利用されるかもしれない。
 ただそれでも挑まなければいけない。たった一つの夜明けをめがけて。
「生まれ変わらないなんて言ったけどさ、奇跡を信じるくらい良いじゃない?」
 澄香はそう遙華に問いかける。
 それは水晶の卵のこと。
 イリスとアイリスが遙華に問いかけた。
「結局卵ってどうなるの?」
「うーん、私は輪廻転生を信じてないから魂がどうこうってことは分からないけど。ガデンツァの水晶質を模しているなら、歌を与え続ければ何かは生まれると思うわ。それが悪か善かは」
 皆が決めることだ。
「これがボクが望んだ未来につながる一欠けらの何か、ってことなのかな?」
 イリスがいう。
「さてね、卵なのだし生まれてくるまではなんともね」
 アイリスが言った。
「でも卵かー……ルゥみたいだね、ルゥは種だったけどー」
「今のうちに子守唄でも用意するかね」
 そう理夢琉にアイリスが妖精の羽を一欠けら取って渡す曰く安産のお守りらしい。
「おっと、えりざ」
 そうこうしている間にエリザも充電切れらしい。ふらふらとその場に倒れ込んでしまう。
「さ、こっちおいで」
 そうエリザをお姫様抱っこする遊夜。
「……ん、エリザは真ん中……ね」
 今日は川の字で寝るらしい、腰が悪くなる前に自室につければいいのだがと遙華は心配した。
 そんな遙華の横でロクトと蘿蔔が何かを話している。
「最近の遙華の仕事ぶりがすごいんですよ」
「え? そうなの? 私がいない間もヘタレないで仕事してた?」
「へたれてることはたまにありましたよ、けれどそれが無いと遙華でないというか」
「ちょっと、それ、どういうことよ」
 そうブーイングを飛ばす遙華を笑い時が流れる。
 蘿蔔は思う、たぶん前のような関係に戻るには時間がかかる、けれど二人なら大丈夫。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • ほつれた愛と絆の結び手
    黄昏ひりょaa0118
    人間|18才|男性|回避



  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • LinkBrave
    ヴァイオレット メタボリックaa0584
    機械|65才|女性|命中
  • 鏡の司祭
    ノエル メタボリックaa0584hero001
    英雄|52才|女性|バト
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 胃袋は宇宙
    メルトaa0941hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • トップアイドル!
    小詩 いのりaa1420
    機械|20才|女性|攻撃



  • 託された楽譜
    魅霊aa1456
    人間|16才|女性|攻撃
  • エージェント
    R.I.P.aa1456hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 惚れた弱み
    柳生 鉄治aa5176
    機械|20才|男性|命中
  • 英国人も真っ青
    ブリタニアaa5176hero001
    英雄|25才|女性|バト
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