本部

焼肉を守りたい

アトリエL

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
12人 / 4~15人
英雄
12人 / 0~15人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/10/30 19:17

掲示板

オープニング

 その事件はまだ終わってはいなかった。
「よし、これで完成だな!」
 とある商店街の一角。そこにマンガ肉はあった。
 少し前、とあるリンカー達の活躍によって討伐されたマンガ肉を……まあ、有効利用したのが好評だったことからその商店街では折角なので名物として扱うことに決めたのだ。
「うん。どこからどう見ても立派なマンガ肉だ」
 骨と肉。当然こんなものが巨大なサイズでそのまま存在するわけがない。
 従魔マンガ肉は加工済食用肉が従魔化したものであり、このマンガ肉はそれとは別で加工済食用肉をいい感じに成形して似たような形にしただけの食用肉である。
 イベントではこのマンガ肉を囲っての焼肉パーティが催され、その締めとしてこのマンガ肉を調理し、適切に処理しておしまいである。
 イベント後にスタッフが適切に処理する予定である。
 繰り返す。イベント後にスタッフが適切に処理する予定である。
「……ぐきゅるるる」
「……ふぉっふぉっふぉ、相変わらず食欲に忠実よのう……」
 そのマンガ肉の前にいるのは焼肉リンカーとその英雄。
「イベントが終われば処理イベントが終われば処理……」
「……って、聞いておらんのう……」
 以前従魔マンガ肉との戦闘時には能力者側の意識……まあ、食欲だが……に飲まれていた老人の姿をした英雄は溜息を吐く。以前従魔と戦った功績から、スタッフとして招かれたのだが……イベントが終わるまで理性が持つのだろうか?
「ああ……なんかいい感じの匂いまでしてきやがった」
「いや、本当になんか匂っておるのう」
 そう思って老人が振り返れば、そこには巨大な手の形をした従魔クローブがいた。

解説

 と言うわけでマンガ肉を守りましょう。
 敵は従魔クローブ……グローブじゃありませんよ?
 周囲の敵に味付け……もとい、釘を打って攻撃してきます。適度な味付けはいい感じのスパイスになります。
 釘には標的の動きを止める効果と、ライヴスを奪い去る力があります。
 イベント会場の建物の中には焼肉リンカーくらいしかいませんが、外では一般人がすでに何人か動きを止められています。一般人は早めに救助しなければ昏倒……場合によっては死亡する危険もあります。
 死者が出た場合には残念ながらマンガ肉によるイベントは中止となり、今後も行われなくなる危険があります。
 焼肉リンカーは物理特化で直情型です。
 巨大な手の形をした従魔を見たらマンガ肉をなんとしても守るために手段を選ばなくなる可能性があります。
 なので、イベントのスタッフとして参加するリンカーとしては適切に処置してください。

リプレイ

●お肉を食べたくて……
『マンガ肉は、俺(我)の浪漫』
 カトレヤ シェーン(aa0218)と王 紅花(aa0218hero001)はビルの屋上でイベント会場を見下ろしていた。その背に負うは悲願。そして、目の前にあるのは望んでやまなかった理想。
「待ちに待った時が来たのじゃ。多くの同志達の夢が無駄で無かった事の証の為に、我らの理想を掲げる為に、マンガ肉成就の為に! 商店街よ、我は帰ってきたのじゃ!」
 ビル風に煽られ、衣服がたなびく中で、紅花は帰還を宣言する。
「ねえ、ママ。あれ……」
「しっ、見ちゃいけません。指差しちゃいけません」
 そんな親子の会話など聞こえないほどに陶酔していた。
「巨大まんが肉……こ、これロマンだよね?」
「ふふ……本来骸一党は風魔一族の中でも黒死玄翼に属する闇の家系。少しHOPEに飼いならされ過ぎ申した」
「じゃあ?」
「うむ、麟殿」
『全てのマンガ肉を我らが手に!』
 そして、骸 麟(aa1166)と宍影(aa1166hero001)も同様にビル風に煽られながら哄笑する。
「ママ……」
「見ちゃいけません」
 そして、こちらもまた同じようなやり取りをされていた。
「……この肉ってなんの肉?」
「たぶん、知らない方が幸せなことだと思う……」
 一方地上ではイベントの案内状を見ながら流 雲(aa1555)とフローラ メイフィールド(aa1555hero001)がそんな会話をしていた。
 案内状には成型肉と書かれている。詳しく調べれば食欲が失せる人もいるかもしれないが、そんな一般的なものと違い牛肉をベースにして形を整えたものであり、加工などの工程は最低限しか行われていない。スタッフ限定処理と言っても、安心して食べられることが証明できなければイメージアップではなくダウンに繋がるからこそ、イベントスタッフも気を使っているのだろう。
「肉だ!! タダ肉が食えるぞ!!」
「飯代浮くから良いかも知れないッス」
 齶田 米衛門(aa1482)にスノー ヴェイツ(aa1482hero001)は半ば無理やり連れてこられたのだが、任務で食費が浮くのであれば良いんじゃないかと考えていた。食費に困った学生のバイトの感覚と同じである。
「お肉♪ お肉♪ ふたたび~」
「……伊邪那美、帰ったら説教だ」
 満面の笑みを浮かべ、嬉々として現場に向かう伊邪那美(aa0127hero001)に御神 恭也(aa0127)は説教を宣言する。こちらも半強制的に依頼を受け、同行させられた身分である。もう何が起きても……というか、何が起こるか予測が簡単に出来るからこそ、説教の覚悟も完了していた。
「白虎ちゃん! またマンガ肉だぜ! 少年男子の憧れだぜ!」
「いや……今回は従魔では無いぞ?」
「白虎ちゃんは何もわかってない……」
「は?」
「マンガ肉……それがあるだけが浪漫なんだよ!」
「そんな浪漫捨ててしまえ」
「もう白虎ちゃんは食べなくていいんだから!」
 虎噛 千颯(aa0123)と白虎丸(aa0123hero001)が向かっているのはイベント会場。
「白虎丸さんは、俺と同じく苦労人枠か……」
 恭也の他にも合計十数名のリンカーが呼ばれており、現金ではない謝礼も暗黙の了解で約束されていた。
「さてと、ミニコミ紙のお仕事っと……」
「ミニコミ紙?」
「うん、うちの部署でも広報媒体が必要だって部長が騒ぎ出して」
「ST-00342は御園に深く同情する」
「ありがとエスティ、でも良いの。取材費昨日の飲み会で使い果たして、しょうがないから近所の商店街のイベントの取材でお茶を濁そうなんて事は全然考えて無いからね」
 そんな中で、穂村 御園(aa1362)とST-00342(aa1362hero001)はイベントスタッフとしては呼ばれていない。もちろん取材の申し込みという形で許可を取ることは忘れていないが、目的はあくまでもイベントの取材であり、警備ではない。
「……なんか雰囲気が変な感じじゃな」
「終わったらお肉のイベントに参加できそうだからだと思うよ」
 カグヤ・アトラクア(aa0535)の疑問にクー・ナンナ(aa0535hero001)はそう答える。妙な雰囲気のリンカー達が多く集まるこの場は奇妙なライヴスに包まれているような感覚すらあった。
 だが、変な雰囲気はこの場に集まったリンカー達の熱狂だけではない。周囲から聞こえるのは情熱的なリンカー達の叫びだけではなく、助けを求める悲鳴も混ざっていた。
「カトレヤ、同志達が!?」
「急いで、助けに行くぜ」
 紅花に指し示された先には従魔に縫い付けられ動けない人々の姿。それを見たカトレヤは二つ返事でビルから飛び下りる。連れ添うように飛び下りた紅花の姿と重なり、リンク完了すれば自由落下の物理的なダメージなど無いに等しい。……そこに偶然残っていた従魔クローブの釘が無ければ。
「ま、この程度なら肉を食って精をつければ、どうってことないだろう」
「本当に大丈夫かの……?」
 靴に刺さった釘を引っこ抜き、涙をこらえながらカトレヤと紅花は救助活動を開始した。
「大丈夫ですか? いま救助しますからがんばってください」
 佐倉 樹(aa0340)も目の前の一般人の救助活動を行う。警備が任務だが、人命救助は人として行うべき最低限の行為だ。
「イベントが無くなるのだけは阻止したいしな!!」
 そんな裏事情もあるにはあったが、米衛門も救助活動に勤しむ。
「俺ちゃん達が来たからにはもう安心だぜ! なんてってたって瘉し系ですので♪ そう……俺ちゃん瘉し系ですから♪ 称号にもなる位の癒し系ですから!」
 そう言いながらイベントエリアとなっているレストラン街へ千颯が足を踏み入れると、そこには釘に固定された一般市民の姿が散見していた。

●従魔クローブ再び
「うわ……気持ち悪い……この従魔本当に頭が痛くなります。今から帰ろうかな?」
「エステル見て、通行人の方が……」
「仕方無いですね。良い香りがしてお腹が空くのが何とも忌まわしいですが……」
 下手に刺激して被害が広がる可能性も高いこともあり、エステル バルヴィノヴァ(aa1165)と泥眼(aa1165hero001)は巻き込まれた通行人の救助をしつつ、従魔クローブの後を追いかけた。
「再び従魔クローブが現れました……」
「うむ、と言う事は取り逃がした愚神が付近に存在する可能性も高いな……求めるものが見つかるかもしれぬ」
「はい、異界のライブズにさらされたクローブ、是非とも手に入れたいものです」
「そっちか!? ……いや、それ程の物か? 主よ、本分を忘れぬようにな?」
「勿論です。焼肉……クローブも良いですが、本命は胡椒でしょう。奴なら出して来る可能性は十分にあります」
 石井 菊次郎(aa0866)とテミス(aa0866hero001)もその事実を知り、目的はさておき、従魔クローブの痕跡を辿る。
「あれ? 動けない? ……って、負け続けの野球部の幽霊!」
 取材中に動けなくなった御園が見たものは従魔クローブ……グローブではない。一般人であれば自力で引き抜けないそれも御園がリンクすれば問題なく抜ける。
「よいしょっと……抜けましたよ。あの野球グローブどう思いますか?」
「通常であれば煮込まなくては本来の風味は引き出せないのですが……さすが異界の力を持つスパイス、只事では無い香りを放っています」
 御園が自力で脱出する隣で救助活動していた菊次郎は抜いた釘にライヴスを籠めた一撃を叩き込めば手に残るのは極微量のクローブ。形状は釘のままで香りはそのままだがサイズは一回り以上小さくなっている。
「マンガ肉……マンガ肉うううぅぅぅぅぅッ!!!!」
「千颯……くどいぞ! 癒し系だろが、卑し系だろうが知らないが口を動かく暇があれば手を動かせ」
「白虎ちゃん最近俺ちゃんに対する扱い酷くない?」
「気のせいだ。比較的に変わっていないはずだ」
「そうかな~……?」
 などと言いながらも千颯と白虎丸は釘を引っこ抜きながら目標地点であったイベント会場へと急ぐ。幸いまだ意識が混濁し始めているような被害者は殆どいなかったが、当たり所が悪かった者もまれにいた。そうした人をケアレイで治療しつつの移動だが、その速度は決して遅くはない。
 それは彼等二人の怒りがそうさせているのだろう。その怒りの方向性は全く違う気もしたが。
「無事でいてくれ」
 カトレヤはイベント会場の方角を見据え、そう呟いた。その言葉が向けられているのが一体何に向かってなのかは言わぬが花である。

●平和なイベント会場?
「焼肉イベントの警備の仕事か……なんか後で良い事有りそう」
「久方ぶりに頑張っておると思ったらだらしの無い顔……大丈夫かの?」
 都呂々 俊介(aa1364)とタイタニア(aa1364hero001)は恭也達と共にイベントスタッフとして会場入りしていた。
「このお肉! 確かに守らせて頂きます!」
 イベント会場でスタッフに向かって俊介が宣言すれば、苦笑と共に頼むよと帰ってくる。スタッフには不思議と危機感はないらしい。
「不審人物はっと……なんかみんな怪しい……」
 警備中になにやら怪盗からの挑戦状が届いていたので不審人物を探そうとすれば、むしろ普通の人の方が少ないようにすら感じられる。警備にあたっているのはリンカーも多く、同行する英雄は異世界の出身者だ。その異質な部分が怪しさだとすれば、全員疑うことになるのも必然である。スタッフがそれほど警戒していないように見える点も不審な部分だが、依頼主を疑っても仕方はない。
「マンガ肉ううぅぅッ! 逢いたかったぜええぇぇッ!!」
「うわ! 離れない……ちょっと、止めて下さい! くすぐりますよ!」
 同じ警備担当のはずの焼肉リンカーがマンガ肉の展示を見た瞬間に駆け出したのを止めるのも一苦労……というか、配属場所間違えてないだろうか、このイベントスタッフ。そんなこんなの警備であったが、ここまではまだましだったと思い知ることになる連絡が入った。それはHOPEからの緊急連絡であり、あまり思い出したくない相手が現れたという情報だ。
「え? 従魔クローブ? よりキモさがグレードアップ? ……て、言うか僕こいつダメなんで」
「逃げるで無い!」
 逃げようとする俊介をタイタニアが押し留める。警備員が真っ先に逃げ出しては何のためにいるのかわからない。
 刻一刻と迫る従魔の影に怯えながら、イベント会場のリンカー達は迎撃準備を急ぐのだった。

●従魔クローブ撃退戦
「ふーむ、状況がよくわからんから、普通に従魔退治するかの」
 カグヤは周囲の被害状況を確認し、そう判断した。
 救助活動は確かに必要だ。しかし、多すぎても意味はない。釘は多少手間取るが問題なく抜ける。であれば、その元凶を先に叩いて被害者を減らす人員も必要不可欠という判断だ。
 同様の判断をしたのか、単純に距離が短かったのか、従魔クローブがイベント会場について間もなく、リンカーも姿を現していた。
「お取込み中済みません、特集今日の輝くエージェント様! の取材なんですが宜しいですか?」
「イベントが! 開催されるまで! 俺ちゃんは! 皆を庇う!!」
「そのセリフこの間も使わなかったか?」
 御園の取材に答えながらも千颯と白虎丸は平常運転だった。イベントスタッフの避難の為、身を盾にしている。そこにあるのはただ偏にマンガ肉への思いだけだ。ちょっとくらいはスタッフへの心配も含まれているかもしれないが。
「飯の前に適度な運動しねぇとな! 行くぜ、弟よ!!」
「わがっだ、飯代浮くんなば行くしかねぇべな……へば、いっちょ行ぐが!!」
 米衛門とスノーは従魔クローブの前に立ち塞がる。焼肉リンカーは従魔クローブを挟んで反対側で威嚇していた。すでに人を捨ててるようにも見えるが、平常運転である。
 一方を攻撃し、反対側から仕掛けようとするリンカーにも威嚇をかねた一撃を放つ。多対一の戦いに対する戦い方を学んだかのような動きだ。
「前回の肉の塊よりは敵らしい行動を採るな……しかし、これや肉の塊を作った奴は何を考えているんだ?」
 恭也は敵の釘をかわしながら、接近するタイミングを見定めていた。時折イベントの他のスタッフに釘が飛んで行きそうなこともあり、それらの迎撃を行っているため、中々間合いを詰めきれない。
「オラオラァ!! こっちだこっち、もっと来いやぁ!!」
 米衛門が陽動に動いてくれているので被害は少ないが、決め手にかけているのもまた事実だ。
 そこに一般人の救助活動を終えたリンカー達が合流する。
「この従魔は動くことと釘を撃つ事を同時には出来ません! タイミングを計って攻撃すれば対応できます」
 エステルは会場に飛び込むと同時に叫んだ。それだけでリンカー達の動きが目に見えて変わった。
 それまでの戦いである程度動きは見慣れている。
 カグヤはクリスタルファンで釘を打ち払いながら間合いを詰め、マビノギオンで生み出した剣を射出する。狙いは移動と攻撃に用いている指……これを破壊することで移動を封じ、或いは移動速度を落とす狙いだ。
「今の一撃凄かったです! 打撃力の秘密を読者に大公開!」
 直後に御園が乱入し、追撃のタイミングを逃した。
 貫かれた指はまだ動いていたが、バランスを崩したのか従魔クローブが転倒する。しかし、その直後……従魔クローブの身体が浮かび上がった。
 従魔はその集めたライヴスによって等級が変わる。それはすなわち、ライヴスを集められる状況があれば進化する可能性を秘めていることでもあった。尤も、それだけのライヴスを一瞬で集めたとは考えにくいので、この場合はすでに進化した状態でその能力を使う必要がなかったから使っていなかっただけなのだろう。
「え? 改良されてる? ……まずい! 下がって!!」
 エステルの警告が間にあった。自由に動ける状態となった従魔クローブは方向転換と同時に釘の射出を行ってきたが、リンカー達はその攻撃を辛うじてかわす。
「うわ! 今の攻撃危なかったですね? 感想をお一つ!」
「イベントの為……いや、マンガ肉の為なら俺ちゃん多少のキズ位平気!! そう……全てのマンガ肉食いたいッ!!!」
「千颯よ……本音が漏れておるぞ」
「そう、全てはイベントの為! イベントを無事迎える為ならどんな苦行すら耐えてみせるぜ!」
 御園のインタビューに律儀に答える千颯と突っ込みの白虎丸はしっかりと盾としての役目を果していた。取り残されていたイベントスタッフの一般人と御園を庇う中で、肉への攻撃はしっかりと調整している。香辛料は使いすぎても駄目なのだ。
 そんな状況であっても……いや、だからこそなのかもしれないが焼肉リンカーはマンガ肉の方へと向かおうとしていた。それを恭也と従魔クローブと戦いたくない俊介が押さえに回る。
「ねえねえ、おじいちゃん。ボク達が従魔を倒すまで大人しくさせて貰えないかな?」
「無理じゃのう。会話くらいならともかく身体の優先権は完全に奪われておるわ」
 伊邪那美に焼肉の英雄(語弊あり)はそう答えた。英雄を完全に支配化におけるほどの能力者と言えば聞こえはいいが、実体はただの食欲魔人である。
「リンカー相手にどれだけ通じるが判らんな……」
 説得が駄目ならと、恭也は物理的な手段に転じた。すなわち、ワイヤーによる拘束である。
 だが、それもリンカー相手にはそれほど長くは続かない。ワイヤーが限界を越えて悲鳴を上げ始めたその時、一陣の風が焼肉リンカー目掛けて飛び込んだ。
「パパー!」
「俺はまだ高校生だああああああああああぁぁぁッ!!!」
 腰に纏わりつくシルミルテ(aa0340hero001)を焼肉リンカーは振り回す。腕が自由であれば振りほどくのは簡単であったかもしれないが、ワイヤーはまだ切れてはいない。この状況下では振り回して振りほどく努力しか出来なかった。
「パパ! 従魔倒すお仕事がんバッテネ! 倒したらお肉食ベヨウね!」
「いや、人の話聞けよ?!」
 しかし、ここで聞いてしまっては作戦が根幹から崩れてしまう。意外な真実は気がつかなかった振りをして、そのまま計画続行する。
「パパ、もしかシテ、おナカ減っテルの……? じゃア、ワタシのオヤツ分けテアゲル」
「いいから肉を食わせろおおおおおおぉぉぉッ!!!」
 なんだかんだと纏わりつくシルミルテを振りほどけず、焼肉リンカーは絶叫した。
「そのポーズ決まってますね! かっこいい! 御園憧れちゃいます! 練習は毎日どれ位?」
「こんな練習しててたまるかああぁぁッ!!!」
 ほぼ簀巻き状態の姿を御園に褒められるが、焼肉リンカーにはその取材を拒む手段もない。
「ねえ、恭也あの従魔にお肉を攻撃させない?」
 手空きになったところで伊邪那美はそんな提案をする。
「後できっと美味しくお肉を食べられると思うんだけど」
「……真面目にやらない様なら討伐後、直ぐに帰還して肉抜きにするぞ」
「不詳伊邪那美、粉骨砕身の精神で従魔と戦います! ……だから、お肉抜きは許して~」
 伊邪那美の提案を半ば強制的に却下する恭也だが、二人の会話は周囲に筒抜けであった。リンカー達は互いに顔を見合わせ、攻撃を誘導し始める。その中には拘束されたままの焼肉リンカーも含まれていた。
「お肉抜き回避の為、倒れろ~」
 伊邪那美は真面目に攻撃する振りをしている。しかし、他の面々が攻撃を加えなければ簡単に倒せはしない。
「オールスパイスでも良いですが、クローブの香りは肉の味の深みを引き出すようです……ふむ、これ位で十分かな?」
「ST-00342は緊急提案する。あの従魔の行動は容認出来ない。街の人々のイベントを守るのだ」
「いい感じに味付けしてくれたならもうさっさと退場願うぜ!」
「肉だ! もう待てねェ……!! 一気に片を付けるぜ相棒!!」
 菊次郎とエスティの判断を受け、千颯と米衛門は討伐の時がきたことを知る。そう、全てはこの時のために。
「俺ちゃん達はこれからマンガ肉を満遍なく余すとこなく堪能させてもらうからな!」
「素直なのは良い事だが……ここではせめて建前を使って欲しかったぞ……」
「建前で腹が膨れるかー!! 俺ちゃんもう直ぐにでもマンガ肉食べたいんだ!!」
 そう叫んだ千颯に白虎丸はその意識すらも奪われる領域の力の高まりを感じ……気付けば、従魔クローブの姿は消えてなくなっていた。

●怪盗現るッ?!
「この秘宝……他の者に渡す訳には行かないのです!」
 従魔クローブが倒れ、後にはクローブの小瓶が残される。それを手にし、菊次郎は確信した。
 今回の一件にはあの愚神も関わっていると。
「という事はシェフが若しかしてここに?」
「見ているのですか? ならば香りの可能性を確かめる為全ての力を『肉』に注ぎませんか?」
 御園の呟きに反応するように菊次郎がそう叫んだ。同時にエステルは会場の周囲に視線をめぐらせ、愚神の存在を見つけ出そうと試みる。
「邪魔はさせません……至高の味試したくは無いのですか? あなたの食への探求心はその程度のものなのですか!!」
 しかし、愚神は現れない。
「胡椒! 最終的には胡椒なのです! 野性と文明の双方のダイナミズムを具現化させるにはこの大胆さが必要なのです」
 叫び、訴えかけるその声はイベント会場に響き渡り……そして、消えた。
「挫けません……こんな事で挫けたら彼女に申し訳が立たない」
 菊次郎は膝をつきながらもその手に握り締めた小瓶は離さない。
 それを見守る中、イベント会場の照明が唐突に落ちた。その直後にスポットライトが照らし出したのは一つの影。
「貴商店街の所有する肉の宝は一商店街が持つには貴重すぎるものである。よって、我等が預かり適切に処理させて頂く。全てのマンガ肉を我等が手に! そう、我が名は怪盗デッドボディッ!!」
「すごく頭が痛くなって来ました……本当になんと言うか、気が狂いそう」
「エステル、それは……冗談にならないわ」
 その声を聞いた途端にエステルが放ち始めた負の波動に泥眼は飲み込まれそうになった。
「また怪人物だよ……」
 俊介は頭を抱え、呻く。この場にまともな人間はいないのだろうかと不安になっていた。
「ついに見つけたぞ! 我らが悲願、肉の宝だあ」
「やはり、早々に始末しておくべきでした……ヴィラン共に死の報いを!」
 怪盗が飛び出すがその前に立ちはだかったエステルのクリスタルファンが一撃を受け止める。
「笑止、我が大義を阻むか? 骸霧散遁!」
 怪盗の放つ一撃を慣れた様子で防ぐエステル。それはヴィランへの憎悪のなせる業か。
「つーか、邪魔すんじゃねえええええええええッ!!!」
「むう、焼肉リンカー! 巨大まんが肉は我らのもの。貴様などに渡す訳にはいかん!」
「それは流石にワシの正義も刺激されるのう」
 そこに乱入するのは焼肉リンカー。その姿は狐憑きと呼んでも差し支えない。どうやら英雄の意識が僅かながら復活しているようだ。英雄の意識を繋いでいるものは正義感。そんな英雄の相棒である彼も食欲さえなければまともなリンカーなのかもしれない。
「遠慮なく叩き潰す」
 淡々と語る樹の目はマヂだった。元々リンカーの活躍によって企画されたイベントである。この場にリンカーがいることはイベントのことを少しでも調べればわかることだ。
 ならば、ここに乱入する者とはすなわちリンカー或いはヴィランとしての適性を持つものであるのは間違いない。そうでないのならば最初からここに現れようとすら思わないはずだ。
「なんか皆本気何だけど」
「これも修行でござる」
 怪盗から二つの声が聞こえる。やはり英雄を宿した存在だ。
「これでも喰らえ! Oージービーフの魅力を疾くと知れ!」
「もちろん喰らってやるぜッ!」
 どこから取り出したのかお肉を投げつけるが……焼肉リンカーの鉄壁の前には三秒ルールすら必要性を失っていた。
「従魔は尖兵といったところじゃったか」
「本命はヴィランの怪盗か。従魔をどうやって誘導したのかしらねぇが上等だあぁッ!」 
「え? 従魔?? 知らないよ! ち、違うオレはヴィランじゃない!」
「ということはあの愚神の影でしょうか」
 焼肉リンカーは英雄共々火がついているし、菊次郎の目までマヂになってきた。
「これはシャレでは済まなくなって来たでござる……」
 怪盗の英雄がそれに気付いた時にはすでに引くに引けない状況であった。しかし、ここで引かねば命が危険、ヤバイ、マヂ死ぬ。というか、悩んでる間に全員から猛攻を受けている気がする。フルボッコモードである。OP曲でもあったら流れてそうな勢いだ。
「む? 奴の影が? 奴には問わねばならぬ事がまだあるのです」
 逃亡する怪盗を菊次郎とエステルが追う。しかし、怪盗を名乗るだけあって素早く追いつくことが出来ない。
「安らかなる世界の為に!」
 エステルは素早く携帯していたスナイパーライフルを取り出す。躊躇なく棹桿を引いて装弾し、銃床を身体にぴったりとくっつけた。照星と照門を標的に重ね合わせ、引き金を素早く引く。撃ち出された弾丸は真っ直ぐに標的に突き刺さるかに見えた……が、焦って引き金を早く引いた際に僅かにそれたのか、直撃はしていない。
「……取り出すのに時間が掛かりすぎました」
 狙撃に必要な時間は一般的な訓練を受けたものでも3秒は掛かるという。エステルが要した時間は銃の取り出しからの一連の動作を考えれば神懸り的に速いものではあったが、最初から手に持っている場合と比べれば圧倒的に遅い。
「ふ……惨めな姿……積悪の報いですね。因果応報の正しい使い方はこうですよ?」
 身体のあちこちに傷を負いながら遠くへと逃げ去る怪盗の背に向けて、射殺すような視線を向けた後、エステルはイベント会場へと戻るのであった。

●女神爆誕
「マンガ肉を愛する者として忠告するぜ。マンガ肉の扱い方が間違ってるぜ」
 カトレヤはイベント会場の修繕をするスタッフ達全員に聞こえる声で呼びかける。
「マンガ肉は鑑賞物じゃない、食べ物だ」
 それは真理。揺るぎようもない現実であり、事実である。
「マンガ肉を目当てに集まる者は、鑑賞したいんじゃない。食べたいんだ」
 それを突きつけられたスタッフの間に動揺が走った。
「イベント後にスタッフで処理するなんて、とんでもないぜ。イベントのメインにして、このマンガ肉を囲って皆に振舞うべきだ」
 しかし、だからといってどうすればいいのかはわからない。イベントではマンガ肉を振舞うことなど考えていなかった。それはつまり調理法や機材なども準備できていないことを意味する。
「そうだな、せっかく加工済食用肉をいい感じにマンガ肉の形に整形したのだから、この形を崩すのはもったいない。あぶり焼きにして、シュラスコ風に振舞うのはどうだ」
 その提案を聞き、実現可能かどうかの審議と必要な機材の洗い出しが始まる。
「マンガ肉の形状的にあぶり焼きに適してるし、皆の前で調理も出来る。目で楽しみ、香りで楽しみ、舌で楽しむことが出来るぜ。それに、食べ方もいろいろ工夫出来るしな、どうだ」
「美味しく頂かないとBPOがうるさいですよ」
 カトレヤと俊介の言葉に迷っていたスタッフも動き出した。言い訳があれば動けるのは人の性だろうか。
「んー、クローブがあることだし、これで肉の臭みを取ってから、肉自体も細かく砕いて他の食材と混ぜ合わせれば、お肉が嫌いな人でも食べられるよね」
 クーの提案を受け、スタッフが再び駆け回り始めた。イベント内容の急な変更ではあったが、それを実行するだけの魅力があると判断されたからだろう。
 色々あって荒れた会場だったが、元通りに直すよりは企画自体を変更して即興アレンジを加えるには好都合だった。

●平和な食事風景?
「やっぱり、お肉は皆で食べるものですね」
 一般人も交えてのマンガ肉の処理を前にエステルは天使のような笑みを溢す。
「また勝手に変な依頼を受けた事等に関する説教は帰ってからにするが、普段良くやっている事に対する対価だ。ゆっくりと味わうと良い」
 恭也は肉の塊を少し(キロ単位)もらい、それに香辛料が馴染んだ肉を金串に刺してあぶり焼きをしたシュラスコを作ると伊邪那美に渡……ると同時にそれが消える。伊邪那美の頬が少し膨れていることからすると、一瞬で口の中に放り込んだらしい。
「そのお肉美味しそうですね? ……あの? えーと、あ、食べるのに忙しくて……ですね!」
 御園のインタビューに伊邪那美は恭也から追加でもらった肉を少し分ける形で答える。
「このお肉美味しい! ほんのり甘い香りがして何とも言えないですね! お味の感想は?」
「やっぱり、お肉は最高だよね~」
 御園に向けられたマイクに向かって満面の笑みで伊邪那美は答えた。
「焼き肉、良いなぁ……やっぱシンプルに焼いた方がウメェだろ!!」
 米衛門は味付けされた肉が焼ける行列待ちに加わるのが待てずにシンプルな焼肉を頬張る。
「にっくだ肉~♪」
「はしゃぎ過ぎてワシの分、忘れねぇでけれよ?」
「安心しろ弟よ…お前の分はもうないぜ!!」
「なん、だと…!?」
 米衛門が示した大皿には一切れも肉が残っていない。スノーはそれを目の当たりにして、膝から崩れ落ち絶望した。その頭上を追加の肉が通り過ぎたことにすら気付かないほどの絶望っぷりである。
「労働ノ後のお肉ハ美味シイネー」
「従魔から守り切ったお肉でのBBQです。この機会に是非どうぞー」
 シルミルテが肉を頬張る横で樹はスタッフとして仕事をしていた。味付けは各スタッフ毎に違うため、その列の長さもまちまちだが、樹の担当している行列も途切れることなく続いていた。
「樹にモ分ケテ進ぜヨウ」
「うん、ありがとう」
 シルミルテはそれを見て、代わりに肉を取ってきては樹の口へと運ぶ。
「パパー! パパにモあげルー」
「そろそろそのネタは勘弁してあげなさい」
 お礼を言われて嬉しかったのかシルミルテは焼肉リンカーのほうへも向かっていった。樹の声が聞こえているのかいないのか。とりあえず、焼肉リンカーの高校生宣言が再び木霊したことだけは間違いない。
「ふむ……肉は好きではないので近くで待っている。クーは楽しんでくるといいぞ」
「はーい」
 カグヤはクーにそう告げると会場の外へと向かう。
「あの、食べないんですか?」
「肉より魚派じゃ」
 スタッフに声をかけられ、カグヤはそう答えた。
「普段は食事を作る側だけど、誰かが作った料理もいいものだよね」
 クーはそう言いながら一人で肉を食べる。
「マンガ肉とか齧りつきたい」
 小さなマンガ肉にかぶりつくがクーはそれがあんまり美味しいと思えなかった。
「一人楽しむより、いっしょの方がいい」
 そう呟きながらクーはお土産にそれを二人分手にとってカグヤの元へと向かう。後で御園のインタビューに答えた時、美味しいと答えていたその理由はクーにもよくわからない。
「……あぁ……少年男子の夢……マンガ肉……」
 千颯はマンガ肉を食べる! ひたすら食べる! かつて味わったあの味を思い出したかのように無心になって食べるその姿は他のイベント参加者達の胃袋をも刺激する。
「あ、白虎ちゃんは一般人の相手お願いね~」
「はぁ……仕方ない……一般人の対応はしてくるでござるよ」
 勢いを増した一般人はスタッフの対応が必須。それを即座に察知した千颯は白虎丸の方を向く手間を惜しむほどの勢いで肉を喰らいながら、懇願した。
「白虎ちゃんモフりたい人は好きにしていいよ~」
「!!? またでござるか!」
 そして、千颯の一言にきら~んと目を輝かせた一般人の群れに飲まれ、白虎丸は盛大にもふられた。そう、ここには前回の事件の放送を見てそれ目当てで集まったものも潜んでいたのだ……。
 白虎丸はその後……無駄にトリミングされ、ふわもこになった姿は下手な愛玩犬よりもキュートだったとイベント関係者が語っていた。
「クローブのいい匂いが……なんと言うか複雑だわ」
「エステル、それは……」
 堕天使の如き笑みを浮かべるエステルに泥眼は近くにあった肉の切れ端を皿に乗せ、手渡す。
「ポン酢でシンプルに食べるのが一番美味しいです。色々と味を加えるのが本当に正しいのかしら?」
 マイ調味料一式からゆず胡椒とカボス酢を取り出し、エステルは肉を頬張った。その顔に無邪気な天使の笑みが戻る。
「初めて一人で作って見たんだけど如何かな?」
「普通だな」
 上目遣いでおずおずと尋ねる伊邪那美に、素直な感想を返した恭也の足が踏みつけられる。
 能力者も英雄もイベントを楽しんでいるようだった。
「今度ノ、売リ文句? は従魔モ嫉妬スル美味シサとかでドー?」
 シルミルテのコメントがミニコミ誌に掲載されたとかされなかったとか。
「俺は、この商店街をマンガ肉の聖地にしてみせるぜ」
「マンガ肉を愛する同志達よ、やるのじゃー!!」
 もはやマンガ肉の聖母と化したカトレヤとその英雄の言葉に会場は聞き取れないほどの歓声で答えるのであった。
「縁の下の力持ちって大変だね。もうこりごりだよ」
「まったくでござる」
 そんな大盛り上がりの会場の隅っこで怪盗と戦闘して負傷したといって現れた包帯塗れの麟と宍影はOージービーフをもきゅもきゅするのであった。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218
  • 深淵を見る者
    佐倉 樹aa0340
  • 真実を見抜く者
    穂村 御園aa1362

重体一覧

  • 捕獲せし者・
    骸 麟aa1166

参加者

  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218
    機械|27才|女性|生命
  • 暁光の鷹
    王 紅花aa0218hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 深淵を見る者
    佐倉 樹aa0340
    人間|19才|女性|命中
  • 深淵を識る者
    シルミルテaa0340hero001
    英雄|9才|?|ソフィ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 愚神を追う者
    石井 菊次郎aa0866
    人間|25才|男性|命中
  • パスファインダー
    テミスaa0866hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 悠久を探究する会相談役
    エステル バルヴィノヴァaa1165
    機械|17才|女性|防御
  • 鉄壁のブロッカー
    泥眼aa1165hero001
    英雄|20才|女性|バト
  • 捕獲せし者
    骸 麟aa1166
    人間|19才|女性|回避
  • 迷名マスター
    宍影aa1166hero001
    英雄|40才|男性|シャド
  • 真実を見抜く者
    穂村 御園aa1362
    機械|23才|女性|命中
  • スナイパー
    ST-00342aa1362hero001
    英雄|18才|?|ジャ
  • 真仮のリンカー
    都呂々 俊介aa1364
    人間|16才|男性|攻撃
  • 蜘蛛ハンター
    タイタニアaa1364hero001
    英雄|25才|女性|バト
  • 我が身仲間の為に『有る』
    齶田 米衛門aa1482
    機械|21才|男性|防御
  • 飴のお姉さん
    スノー ヴェイツaa1482hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 温かい手
    流 雲aa1555
    人間|19才|男性|回避
  • 雲といっしょ
    フローラ メイフィールドaa1555hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
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