本部

絶望を運ぶ船

茶茸

形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
8人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/06/21 15:14

掲示板

オープニング


 どこまでも広がる大海原。天候が良く波も穏やかだ。
 甲板に置かれたテーブルセットでお茶を飲む少女の姿は若草色のドレスを着ている事もあり、どことなく優雅な雰囲気がある。
 ただし、相席しているのが白衣を着た冷たい表情の男で、更に黒づくめの大男が控えていなければだが。
「ふふふ。みんな元気いっぱいね。やっと培養槽から出られて喜んでいるのかしら」
 楽し気な少女―――愚神ディー・ディーがカップを置くと傍に控えている大男が茶を注ぐ。
 対して白衣の男はコーヒーカップを傾けながらつまらなそうな顔をしていた。
 年の頃は三十前後の若い男だが、温かみの欠片もない顔つきと冷淡としか言いようのない目をしている。何故か白衣の腕に抱き付いているぬいぐるみは可愛らしいが、それを差し引いてもその男の持つ雰囲気は緩和されていない。
「あまり時間を掛けるな。面倒な事になるぞ」
「どう言う意味かしら?」
「H.O.P.E.が渡航計画を知ったらしい。追跡して来るぞ」
 男にそう言われてディー・ディーは首を傾げた。
「ジャミングがあれば誤魔化せるんじゃないの?」
「特定のライヴスを探知する方法と、キャンセラーを開発したらしい。まだ試作品だが装置も完成している」
「まあ、それは大変ね」
 言葉の割に焦った様子なく、ディー・ディーはぽんと手を打つ。
「じゃあ今度はその人たちでテストをしましょう。参考になるわ」
 無邪気に言うディー・ディーに、男は小さく溜息を吐く。
「素材は少ない。数は控えろ」
「ええ、わかってるわ。―――あなた達、そろそろ戻ってちょうだい。素材はちゃんと集めて来てね」
 テーブルの上にある通信機に呼び掛ける。海中の様子を見るために繋げたタブレットの画面には海底へと沈んで行く船と、その周囲で乗組員”だった物”を回収する背や腰に何かの機械を装着した兵士やワニや鮫に似た異形が映っている。
「テスト前に調整をしたいわね。中に戻りましょう」
 ディー・ディーがそう言うと、白衣の男が手元のリモコンを操作する。
 すると機械の動作音が響き甲板が下へとずれる。と同時に上部が大きな物に覆われやがて甲板が見えなくなった。
 ややあってそれはゆったりと海の中に入って行く。
 その姿は甲殻に覆われた鯨に似ていた。


「改造従魔やRGWの研究開発に携わっていたと思われる研究者の足取りが掴めました」
 糸目と八の字眉のうさんくさい笑顔が特徴のはずのタオ・リーツェン(az0092)が、閉じていてもうっすら赤い光が漏れる目をスクリーンに向ける。
 改造従魔とRGWは【森蝕】でH.O.P.E.との決戦の末壊滅したラグナロクの戦力として用いられていた。
 そのラグナロクの『研究所』の調査を進める中、改造従魔・RGWの研究開発に関係していると思われる愚神ディー・ディーが現れ、リオ・ベルテ国内で起きたレジスタンスによるクーデター騒動中には研究開発を行っていた科学者・技術者の中に元ギアナ支部に所属していた研究員『D.D.』がいる事も判明した。 
 そして過日、主犯の一人と思われる愚神ディー・ディーと、それが率いる所属不明の兵士―――RGW兵とでも言うべきか―――に襲撃されたレジスタンスの生き残りから提供された資料を元に、ついにその足取りが掴めたと言う。
「資料によると、リオ・ベルテ国内でレジスタンスが活動し始めた時期から『工場』や『研究所』の移転が計画されていたようです」
 移転先は北米が中心であり、資料と時期を照らし合わせると機材の運搬はほば終了してしまっている。
 だが受け入れるにも場所を取りかつ管理が難しい物。『素材』として集められた人間や、被検体・実験体の移送はまだ完了していない。
「移送ルートは陸路ではなく海路です。大西洋沖に出てから海上で、複数の船に隠蔽しやすい程度に小分けして運ぶ予定らしいですね」
 輸送計画は事細かに記されており、どの船に何を積むかも記載されている。
 タオはその中の一つを拡大した。
 各船の責任者の名前が記載されているその欄の一つに『D.D.』と言うイニシャルがあった。
「D.D.……リオ・ベルデ国内で研究開発を主導していたと思われる研究者は、大西洋沖にいます」
 タオはD.D.こと本名デイモン・ダイアー。ギアナ支部の元研究員であるその男の足取りを並々ならぬ執念で探っていた。
 漸く復旧した研究室も研究も全て他に任せて飛び出そうとするので改造従魔やRGWに関係する依頼に関わる事を禁止すると言う案も出たが、そんな事をすれば余計面倒な事になるのは明らかだった。
 特に、今回はこれまで存在を臭わせていても表に出てこなかったD.D.を補足するチャンスなのだ。
「輸送計画のルート上の海域に、プリセンサーが従魔と愚神の出現を予知しています」
 従魔は超大型。形状は鯨によく似ているが全身は甲殻に覆われており各部に突起がある。
 そして愚神の方は若草色の髪に同色のドレス―――愚神ディー・ディーだった。
 他にも鰐や鮫に似た者、黒づくめの何かの影があったと言うが、タオが気にしたのは超大型従魔の方だ。
 上部が甲板のようになっており、そこに愚神ディー・ディーと、もう一人白衣を着た若い男がいたと言う。
「愚神ディー・ディーとD.D.は無関係とは思えません。D.D.の年齢を考えると”若い男”と言うのが引っ掛かりますが、かと言って別人であるとも考えにくい。もしディー・ディーに憑依された事で……いえ、失礼しました」
 タオは小さく頭を振った。
「プリセンサーが予知した超大型従魔が船としての機能も持っているとしたら、体内が船倉になっているのでしょう。運ばれている被検体はそこに捕らわれていると思われます」
 ですが、とタオは間を置いて言った。 
「D.D.の船が何の備えもなしでいるとは思えません」
 【森蝕】ではプロジェクター型やジャミング装置、その後も特定のライヴスの波長に干渉してそれを持つ者だけに指示を送れる装置も発見された。
「そこでエージェントの皆さんが持ち帰ってくれた実物と研究資料を基に探知機とキャンセラーを開発しました。これを皆さんが乗る船に搭載します」
 向かう場所は大西洋沖、バミューダトライアングルと呼ばれる場所だ。
 探知機とキャンセラーは同行するタオが操作する。エージェントは愚神と従魔の対応に専念して欲しいとタオは言う。
 被検体として捕らわれている人間がいると思われる「船」、その周辺にいる複数の従魔と黒い影、愚神ディー・ディーとその近くにいると思われるD.D.、対応しなければならない物は多い。
 救出か、討伐か、捕獲か。目的を絞って作戦を立てなければ、二兎を追う者は一兎も得ずと言う結果になりかねない。
「必要な器具等があればこちらで可能な限り用意します。充分な作戦と準備を以て、任務に当たって下さい」

解説

●目的
・『船』に捕らわれている人々の救出
・従魔等の撃破
・愚神ディー・ディーの撃破
・D.D.の捕獲

●状況
・大西洋沖/早朝4時頃/晴れ
 バミューダトライアングルに入り、海中にいる『船』を探索。作戦次第ではこちらから奇襲を掛ける事もできる
 海中の明度は低めのため『船』がいると思われる水深部で物を見通すには暗所と同じ対処が必要になる
 敵は愚神ディー・ディーを除いて全員が水中・暗所に対応していると推測され、何の対処もなしに戦えば不利
 想定される戦闘場所は「水中」「水上」「船上」の三つ。なお必要な機材や乗り物はある程度は提供可能。プレイングに記載して下さい
 提供可能か分からないものは掲示板等で相談できます

●敵
・『アーマーホエール』×1
 ケントゥリオ級/超大型
 全長30mのシロナガスクジラに似た形状を持つ超大型従魔。甲殻に覆われ高い防御力を持つ
 戦闘機能も有する『船』として使用されている
・「拡散ビーム」:(使用者を中心に周辺6m)
 体の各所に付いた突起から放つ魔法攻撃

・『イプピアーラ』×8
 デクリオ級(水中)/中型
 鰐や鮫に似た形状の上半身と手足を持つ異形の従魔
 水中においては非常に高い敏捷性を発揮するが、地上では能力が落ちミーレス級になる
・「噛み付く」:(近接単体)
 傷口からの出血で『減退』効果
・「体当たり」:(近接単体)
 水中でのみ『ノックバック』効果

・『RGW兵』×6
 アクアユニットを装備した兵士。能力はバランス型
 水中より地上戦を得意とする
・「サブマシンガン」:(射程30m)

・『愚神ディー・ディー』
 『船』の甲板でD.D.と思しき男と戦況を見ている。ある程度戦況を見た後撤退する予定
 なお彼女の側に控える大男は戦闘には基本参加せず彼女とD.D.の護衛を行う

・『D.D.』
 戦闘能力があるかどうかは不明
 戦闘には参加せず『船』から基本的に離れない。ディー・ディーと共に撤退する

リプレイ

●まだ見えぬ敵
 海は穏やかだった。
 バミューダトライアングル。度々不可解な事故が起きる事から魔の三角地帯と呼ばれ創作物でも怖ろしい場所と取り上げられた海域だったが、明るい陽光を照り返す海面に異常は見られない。
『クロちゃん! ライヴスヴィークル格好いいデースね! 私にも運転させてくだサーイ!』
 陽光に負けない明るいシェルリア(aa5139)が響く。
 ただしそれは彼女に共鳴しているクロノメーター(aa5139hero002)にしか聞こえない。
「後にしてくださいシェルリア。貴女に任せると一瞬で沈みます」
 黒づくめの特殊部隊か暗殺者を思わせるクロノメーターはパートナーの希望を断りつつ、後方の船と仲間のやりとりが行われている通信機に耳を傾ける。 
『渡航計画とプリセンサーの情報から計算した接触予測地点まで後800mです』
 聞こえてきたのは後方の船でジャミング装置のキャンセラーやレーダー等を見ているタオ・リーツェンの声だ。
 そこにライヴスヴィークルに乗りながらモスケールの探知結果を見ていた弥刀 一二三(aa1048)の声が続く。
「今んとこ異常はあらしまへん。タオはん、そっちはどうなっとります?」
『キャンセラーはすでに稼働しています。探知可能距離に目標が入れば反応あるでしょう』
「レーダーの結果が共有できないのが不便だな」
 そう言うキリル ブラックモア(aa1048hero001)の声はくぐもっている。
 彼女は自分のやる気向上のためだと一二三に買わせた菓子を頬張っていた。
 一二三のため息の重さからそこらの物とは桁が違う高級品だったに違いない。
「いーなー! ピピも食べたい!」
『この仕事が終わったらね』
 通信機越しに咀嚼音が聞こえていたのか声を上げたピピ・浦島・インベイド(aa3862)を、すかさず音姫(aa3862hero001)が抑える。
「じゃーくじらさんガブガブする!」
 そう言ってガバっと開いたのは、ピピと音姫が共鳴した鯱スーツのような姿―――ではなく、鮫の着ぐるみだった。精巧な造形、元々泳ぎが得意なピピが着ているせいか動きも良い。実にリアルだ。
『ピピちゃん、くじらさんもいいけど……回りに他の敵もいるからね、なるべくそっちの方も対応してあげて 』
 まだ敵の姿が見えていない事もあり、音姫はやる気があるに越した事もあるまいと自分を納得させた。
「さて……向こうが仕掛けて来るのが先かこちらが先か……」
 アウグストゥス(aa0790hero001)と共鳴し白銀に変じた髪が靡く。
 黛 香月(aa0790)がライヴスヴィークルを操りながら周囲を警戒していると、ライガ(aa4573)の強気な声が耳に入る。
「ハッ……水上、水中戦か……面白い、俺様の力量を以てすれば、どうって事ねえな」
 ALブーツで海を駆けるライガは敵が来るのを今か今かと待ち受けていた。
 今回の任務を受けるに当たり、エージェント達はそれぞれに標的を決めていた。
『全部やりたいけど、腕は二本。出来る事を見極めるの、大事。忘れないで』
 背に青い翼を生やした雨宮 葵(aa4783)は、燐(aa4783hero001)の言葉に頷く。
「分かってるよ。私は私に出来る事を全力でやる」
 ライガのように敵の撃破を担当する者もいれば『船』に囚われている人々の救出や、愚神ディー・ディーと、今回初めて姿を捉えられた『D.D.』を気にする者もいる。
 しかしあれもこれもと手を出して戦力が分断され過ぎればどちらも満足に達成できず、何よりも捕らえられた人々を救う事ができなくなる。
「『任務を遂行し、罪なき命を守り抜く』」
『だね』
 風代 美津香(aa5145)の言葉にアルティラ レイデン(aa5145hero001)の言葉が重なる。
 一見すると彼女の姿は何一つ変わっていないが、アルティラの心は美津香の想いと同じ物だ。
 携行したイメージプロジェクターの存在を確認するように触れる。これが彼女が取る行動の要になる。
「”彼等”はまだ無事でいるといいけど……」
 十影夕(aa0890)は誰にともなく呟いた。
 彼が考えているのは『船』に囚われている『素材』として連れてこられたり、被検体・実験体となった人々の事だった。
 愚神ディー・ディーとD.D.が行ったと思われる数々の実験やその結果である従魔等を知っている。
 人が人でなくなり目を背けたくなるような有様に代わり果て、無残な最期を迎える有様を。
「俺は皆が希望を見つけて進んで行くことを願いたい。だから、望まない人を作り変えるなんて許さない」
 その時、通信機からザリザリと雑音とやや聞こえ辛くなったタオの声が聞こえてきた。
『ジャミング効果範囲に入ったようです。皆さん気を付けて下さい。キャンセラーが有効である事は証明されましたが、あちらのジャミング装置の方が効果範囲が広い事も判りました』
「つまり、向こうに先制される可能性があると言う事か」
 迫間 央(aa1445)の言葉にタオが「微妙な所ですね」と返す。
 タオが乗っている船のレーダーは複数の種類を揃えており、一二三のモスケールもある。それらを掻い潜る隠蔽能力がない限り発見できるだろうが、未知数な部分があるので確実な事は言えないらしい。
『確実な事を言えないのは相手側も同じはずよ』
 央の金の瞳と黒髪の一部の青みがかった色に名残を残し共鳴したマイヤ サーア(aa1445hero001)は冷静である。
 人命救助の必要性がある事からH.O.P.E.が使用する高速船を出してもらいそれに乗っていた央だったが、いよいよかとアサルトユニットを起動させ海上に降りた。
 その背に無事を祈る操縦士達の声が届く。彼等は万が一に備え待機しなければならない。
『前方200mに反応あり! 従魔です!』
 まだ雑音が混じる声はタオが乗る船のレーダー手のものだ。
 最初の報告から航行速度や位置情報が立て続けにエージェント達に届けられる。
 一二三のモスケールにも接近して来るライヴスのマーカーが現れていたが、より後方にある反応が目を引いた。
「ようやく、見つけた」
 ”それ”の報告に真壁 久朗(aa0032)はセラフィナ(aa0032hero001)と共に今はまだ静かな海を見詰めた。
 彼が愚神ディー・ディーと接触したのは一度ではない。
 しかし接触する度に、その後判明して行く事実を知る度にその存在を見逃す訳には行かないと感じる。
『まだほんの足掛かりだったとしても、ですよね?』
「……ああ。全部突き止めて、壊す」
 接近して来る従魔とRGW兵、その背後に漂う『船』の中に愚神ディー・ディーと、数々の非人道的な行いをしてきた研究者D.D.がいる。
 久朗は水中に場所を移す仲間にライトアイを掛け、自身もライヴスヴィークルから水中へと潜る。
 暗い海の中、鮫や鰐ににた異形の従魔と後方に見えるRGW兵。
 そして今いる位置からでも巨大と分かる従魔の『船』が見えた。

●水中戦
「水の中はねー、ピピだってスッゴい得意なんだよー!」
 いくら自由自在に動くAGルアーと言えど目標が見えなければ狙えない。水上から水中に場所を移したピピが、浦島の釣り竿とAGルアーを駆使して見事引き寄せた従魔に飛び掛かる。
「その鼻っ柱へし折ってあげる!」
 カチューシャを構えた葵が狙うのは『船』の鼻先。
 水中であってもAGWの威力は変わらない。水を切り裂き『船』を狙うロケット弾の嵐だったが、RGW兵がアクアユニットと思われる器具を盾にして『船』を守った。
 代償としてアクアユニットらしき物は破壊されたが、RGW兵は慌てず下がり後方で銃を構える。
 どうやら水中に留まるだけならアクアユニットが破損しても問題ないらしい。
(別に呼吸を確保できる装置がある? それとも従魔みたいに最初から水中でも問題ない?)
 夕は思考を逸らしかけたが、急いで我に返るとピピと葵の方に集まってきた従魔に向けてフラッシュバンを使う。
 暗い海の中を眩く照らすライヴスの閃光は、見事突撃してきた従魔の目を眩ませた。
 フラッシュバンの効果範囲外では別の従魔が久朗に襲い掛かる。
 従魔の大顎はその腕を食い千切る勢いで噛みついたが、久朗はうろたえず槍を突き出した。
「肉を切らせて骨を断つ、という言葉を知っているか」
 白銀の髪と頬を赤い靄に染めながら、久朗の深海の青をした左目が光る。
 至近距離で突き出された槍に腹を貫かれ、従魔はもがきながらも穂先から逃れて距離を取った。
 海面の光は遠く水中は暗いがライトアイの効果を受けた目には問題なく見通せる。
 しかし、水上では問題が起きていた。
「チッ、流石に見えないか」
 水上ではライガが舌打ちする。
 水面は日光を眩しく照り返し、逆に水中は暗く見通す事ができないのだ。
「焦るな。従魔どもならともかく『船』の図体はでかい」
 声を掛けて来たのはアンチマテリアルライフルを担いだ香月だった。
 本来なら地面に据え付けて使用する物を、ライヴスヴィークルの上と言う不安定な場所で構えている。
「なるほど」
 その意図を悟ったライガもアンチマテリアルライフルを担ぎ上げた。
「水ン中にいる奴は『船』に近付くんじゃねえぞ! 近くにいる奴は気合いで避けろ!」
「安心しろ。『船』以外には当てん」
 二人が放った弾丸は『船』の硬い装甲に阻まれたものの、衝撃を受けた『船』とそれを察したRGW兵達の注意を引く事となる。
『二人とも気い付けておくれやす! RGW兵がそっち行かはった!』
 モスケールの表示を見ていた一二三からの警告に、ライガと香月は望む所とばかりにライヴスヴィーグルのグリップを握る。
 水面に頭を出た瞬間を狙い撃ちにせんとするがRGW兵が装備したアクアユニットは高い推進能力を持っているらしい。勢いよく真下から迫る気配を感じ、二人は回避せざるを得なかった。
「……ハッ、射線が開けてる内に祭りを始めるとするか 」
 水飛沫を上げて飛び出してきたRGW兵がアクアユニットの上に立つ。
 真っ向から撃ち合う姿勢にライガの口元が吊り上がり、空中に幾つものライフルを召喚する。
「貴様らがRGWなる紛い物をいくら作ろうと、我々には勝てぬということを思い知らせてやる……!」
 香月が抜き払う「飢狼」と銘打たれた刃が日を照り返しぎらりと光る。
 一気呵成に仕掛けた香月に続き、ライガが召喚したライフルが火を噴いた。
『クロちゃん、クジラもサメもワニも見えまセーン!』
 一方、タオが乗っている船の近くにいたクロノメーターはじっと眩しいくらいの水面を見下ろす。
 シェルリアの言う通り『船』は愚か他の従魔も水上からは確認できない。クロノメーターはライヴスヴィークルのエンジンを止める。
「……良いでしょう。私は、私の為すべき事を為すだけです」
 水中に潜ったクロノメーターはイメージプロジェクターを起動し、暗い海中の景色をその身に纏う。
 近付いてじっくりと見れば違和感にも気付くだろうが、暗い海はそれを誤魔化すに十分だ。
 狙いを定めて撃った狙撃銃の一撃は従魔の鱗を突き破る。
 すでに他のエージェント達に深手を負わされていた従魔はその一撃がとどめとなり息絶え―――。
 水中で鈍い音と共に爆散した。
『クロちゃん、爆発したデース!』
「……まさか、死んだら自爆するのでしょうか」
 クロノメーターは冷静にそれを見届け仲間に伝える。
「RGW兵も爆発するみたい……」
 丁度後方のRGW兵を倒した葵が、爆散し小さな欠片になって漂う光景を見ていた。
 その威力から考えると近くにいれば巻き込まれてダメージを負うのは確実だ。
「キリルも周囲警戒しとけや! 近くで爆散されたら手間や」
 共鳴し髪も目の色もキリルと半々にした色合いになった一二三が襲い来る従魔をライヴスブローで叩き落とし、距離を取る。
『と言いながらも撃破は躊躇わないか』
「減らせるもんは減らさなやろが!」
 水中での従魔の素早さはかなりの物である。加えて従魔は致命傷を負わないよう一撃離脱を繰り返し、RGW兵がそれを援護する。数を減らさなければ苦戦するだろう。
『苦無だけであの装甲を崩すのは難しそうね』
「ならば標的を変えるだけだ」
 マイヤにそう返し、央は潜伏を続けRGW兵の背後に近付く。
 本来なら『船』の甲殻の隙間に苦無「極」の衝撃を打ち込み破壊する予定だったが、ライガと香月の攻撃でヒビ一つ入らなかった事と甲殻が幾重にも重なり隙間から破壊するなら相当な根気と時間が必要だろう。
 そして、そこまで時間に余裕はない。
 央はRGW兵に向けて英雄経巻を開き、白く輝くライヴスの光を叩き込む。
 突然の眩い光の攻撃をまともに受けたRGW兵だったが、央が追撃する前に近くにいた別の二人がすかさずフォローに入った。
(状況判断と行動が早い。十分な知性と思考能力があるようだ)
 物事を正確に理解できると言うなら、これはRGW兵に対して動揺を与える事ができるだろう。
 央は先程伝えられた情報にそう確信する。
「装甲の破壊ができなかったのは残念だが、注意を引きつける役には立ったようだ」
 どん、と。腹に響くようなくぐもった爆音と衝撃派が海中に響く。
 見上げれば『船』の上部から黒い靄が上がり装甲が激しく損傷した事が分かる。
 エージェント達の集中攻撃を受け『船体』に大穴を開けられた『船』がゆっくり浮上して行った。

●戦場は船の外と中へ
『よっしゃ、大穴開けたったで! 潜入や!』
 一二三の通信に『船』への潜入を目指すエージェントから応と返って来る。一二三自身も目的を同じくする央と操舵室を目指し、久朗が続く。
『船に潜入するなら気を付けて下さい。船にレーダー機能を遮断され内部が調べられません』
 そこにタオが警告を送って来る。
 船の外装にステルス塗料か何かが施されており内部ならモスケールが使えるかもしれないがタオがいる場所からは探知できないようだ。
『美津香さん、気を付けて行きましょう』
「分かった。いよいよだね」
 敵との戦闘が始まってから身を潜めていた美津香も警告を受け取り、敵の目に触れないよう慎重に『船』の内部に侵入する。
 その姿はイメージプロジェクターによってRGW兵と同じ姿を纏っていた。
「捕まった人たちを頼んだよ」
 四人を見送った夕は『船』の上部に立つ。従魔やRGW兵が海面へと上がって来るのを感じながら武器を狙撃銃LSR-M110に持ち替えた。
 海面に上がっても従魔の泳ぐ能力とRGW兵のアクアユニットは有効だが、エージェント達の方も水中ではその機能を活かせなかったALブーツやアサルトユニットの機能が発揮できる。
「手を焼かされた分のお返しだ!」
 人の目では捉えきれない早撃ちが従魔とRGW兵を襲う。
「それじゃこっちは派手にやるよ!」
 葵は潜入した仲間のもとに敵を行かせまいとあえて目立つよう声を張り上げた。
「今回『船』に穴を開けた華麗なるリンカー雨宮葵だよ! もう一発開けられたくなければ全力でかかっておいで!」
 葵はにっと笑った。
「怖いなら、大人しく捕縛されてもいいけど?」
 口上への返答はこれまで戦闘に参加していなかった『船』からのレーザー攻撃だった。
「ハッ、今更慌てても遅いんだよ!」
 ライガと香月がライヴスヴィークルを狩り、RGW兵と激しい水上戦を繰り広げる。
「貴様も所詮船ならば体内に海水という余計なお荷物まで抱えて航行することは出来んだろう? 水に潜れぬ貴様などただの的も同然だ」
 二人は「飢狼」と「ウルフバースト」、二つの牙を以て残ったRGW兵を凌ぎ『船』が持つ唯一つの武器を破壊して行く。
「んー、毒効かない? やっぱりこのくじらさんって前倒したよねー?」
 『船』から射出されるレーザー攻撃を受けながらも、ピピは周囲を泳ぎ周りレーザーの射出口の破壊に勤しむ。 首を傾げたのは毒の如く対象を蝕む攻撃が効かなかった事と、以前相手にした敵と重ねたからだ。
『多分似てるけど違う個体……でも対処は前と同じ感じでも大丈夫なはず、倒せなくてもとにかく逃げられない程度にはもう少し時間稼ご!』
 音姫もピピが思い浮かべる敵に心当たりがあるが、この『船』は倒すよりも逃がさない事が重要だ。
『クロちゃん、サメがピピさん追いかけてマース!』
「見えています」
 騒ぐシェルリアに短く返し、クロノメーターは狙撃銃のサイトを覗き込む。
「すべて撃破します」
 ピピを背後から襲おうとした鮫型従魔は頭に風穴を開けて水に沈んで行く。
 やや間があって、水の中で何かが爆発する音が聞こえた。

 『船』の内部には穴が開けられたと言うアナウンスとサイレン音が響いているが、今美津香がいる場所は誰も行き来していない。もしかすると穴の処置に人手が割かれているのかも知れない。
 潜入した四人はまず一二三のモスケールで見たライヴス反応から船のあちこちに少数の塊が散っている事、『船倉』の最下層に近い場所に大きな反応が二つある事を参考に二手に分かれた。
「船内の案内図でもあればいいんだけど」
 美津香は白で統一された清潔感はあるが無機質でもある廊下を走る。
「ん?」
 廊下の先に何かが見えた。ガラスのように透明な壁と仕切り……いやこれは扉だろうか。ドアノブはなく自動開閉式と考えられる。
 もう一度周囲を確認してから扉に近付くと「ビビー!」と音が鳴る。
『認証エラー、IDガ確認デキマセン』
『侵入者発見、侵入者発見、速ヤカニ排除シテクダサイ』
 しくじった!
 廊下に響く警報に踵を返すが、先程まで誰もいなかったはずの廊下の奥から足音が聞こえる。
「脇道はなかった。……もしかして壁に似せた扉があった?」
 その懸念を肯定するかのように、ガスマスクにコート姿のRGW兵が美津香の前に現れ閉鎖空間に銃の音が反響する。耳が痛くなるほどだったが、それ以上に美津香は自分の体を傷付けて行く痛みを強く感じた。
「そう簡単にやられてたまるか!」
 しかし美津香が一人撃つ間にRGW兵から倍の攻撃が集中するのだ。廊下は一本道で遮蔽物もない。瞬く間に美津香は傷を増やし体力を消耗して行く。このまま戦えばいずれ力尽きる時が来るだろう。
「助けに来たぞ!」
 それを遠ざけたのは美津香と分かれ操舵室を目指したはずの三人による総攻撃だった。
「みんな、別の所に行ったんじゃ……」
「説明は後だ。まずはここを片付ける」
 幸いと言っていいのか美津香の排除のために来たRGW兵士は四人。同数となったエージェント達なら負けない相手だった。
「俺達が行った方向は……」
 RGW兵を全て倒し、一旦廊下を戻る事にした四人。
 美津香から何があったか聞かれた三人は分かれてからあった事を説明する。
 そちらでもやはりID認証な扉に阻まれたらしい。
「後はそちらさんと似たようなもんどす」
 肩を竦める一二三と他二人にも先ほどの戦闘のものではない負傷が見られた別のRGW兵と一戦交えたのだ。
 楽勝とは行かなかったが、三人組であり回復手段も持っていた事が幸いした。
『いつまでも逃げ切れるものでもあるまい。此方に協力するなら、その後処遇について便宜を図ってやるぞ?』
 戦闘不能まで追い込んだRGW兵に央が持ち掛けた提案への返答は自殺だった。
 その体は外にいた従魔やRGW兵がそうだったように狭い廊下で爆散し、他に倒れていたRGW兵も巻き込み廊下が崩壊したと言う。
「戦闘中に見えたんだが、連中にはナンバリングがあった。IDを要求される場所には認証機器らしい物がなかったから……」
 美津香はそれを聞いて思いついた事を言った。
「IDは各個体ごとの生体認証かもしれない?」
 それに対して三人は頷く。そこまで分かった所で一二三がモスケールの表示を見て美津香が取り囲まれている事に気付き、救援のために駆け付けたと言う訳だ。
『みんな聞こえてる?! 甲板に愚神と、例の白衣の男が出てきた!』
 突然通信機から葵の声が響く。それを聞いた一二三がモスケールの反応を急いで確認すると、大きなライヴス反応を示していたマーカーの一つが甲板に移動していた。
「いつの間に……!」
 全力移動で甲板まで駆け戻った四人が見たのは『船』の上部が取り払われ明るく照らされた甲板と、外に残った従魔とRGW兵を一掃した仲間達。
 そして彼等に武器を向けられているにも関わらず平然としている愚神ディー・ディーと白衣の男。
 背後に控える黒づくめの大男よりもそちらの方に目が行った。

●邂逅
「……二人揃ってる所を見るのは初めてだな。……“デイモン・ダイアー”、で間違いないか?」
 久朗の問いに答えたのはディー・ディーの方だった。
「そう言えば彼とは初対面ね。私の共同研究者のD.D.よ」
 呑気に紹介するディー・ディー。彼女はベールから覗く口元に笑みを浮かべ、D.D.は感情の読めない顔でエージェント達を睥睨している。
「ハワード・クレイ、ケイゴ・ラングフォードの名に聞き覚えは? お得意様、或いはスポンサー、とか」
 向こうから喋りそうにない雰囲気に、まず久朗が反応を窺ってみる。
「スポンサーはたくさんいるみたいだけど、詳しくは知らないわ」
 ディー・ディーの方はあっさりそう言うが、D.D.は無反応だ。
「かわいい人魚たちが残念だったね? スポンサーの印象も悪くなるんじゃない?」
 夕が視線で背後に広がる海を示す。
 そこには乗り手を失ったアクアユニットが幾つか浮いているだけだ。従魔もRGW兵も、倒されると例外なく爆散して文字通り海の藻屑と消えた。
 口を開いたのはD.D.の方だった。
「それなりに良いデータが取れた。よくやったな」
 一瞬、エージェント達は何を言われたか理解できなかったが、ディー・ディーは理解していた。
「この人が労うなんて珍しいのよ。良かったわね」
 ミシリと何かが軋む音が聞こえた。
 それはエージェントの誰かが武器が軋む程握り締めた音か、通信機の向こう側でこの様子を見ているタオが拳を握り締めた音か。
「純粋な探究心か崇高な思想とやらか、理由はどうでもいいが、お前等を血眼で追っている奴は俺だけじゃないぞ」
「まあ怖い。それじゃこうしましょう」
 ディー・ディーが大男の一人を呼びつけタブレットを起動させる。映っているのは牢屋を思わせる薄暗い室内で身を寄せ合っている老若男女だった。
「折角集めたんだけど、思ったほどいいのがなかったわ」
 ディー・ディーは頬に手を当てて溜息を吐く。
「適当に混ぜて何かの材料にしようかと思っていたんだけど……」
「H.O.P.E.のエージェントとあろう者が人命を疎かにするのはいただけないな?」
 ディー・ディーとD.D.、二人の台詞が示すものに、エージェント達は飛び掛かろうとしていた足を止める。
「余裕な顔してる割にはこすいマネするんだね」
 葵の挑発にディー・ディーはくすくすと笑う。
「ごめんなさいね。戦いは専門外なの」
 言い終わるとほぼ同時に船が揺れた。
 何事かと構えたエージェント達にD.D.が言う。
「船倉の一部を切り離した。ついでに言っておくとそちらに推進機能はないぞ」
 どう言う意味か察したエージェント達に戦慄が走る。
「ピピ行ってくるねー」
「俺も行く!」
「急ぎましょう!」
 泳ぎを得意とするピピが海に飛び込み、夕と美津香も後を追う。
 それを確かめもせずエージェント達に悠々と背を向ける二人を、控えていた大男が守りながら下がって行く。
『待て……!』
 通信機からタオらしき声が聞こえたが、すぐに周囲の人間に止めらたらしい声と取っ組み合う音の後通信が切られた。
「……今は救助が先や!」
 その慌ただしい音を切っ掛けに意識を切り替えた一二三は二人が消えた扉を睨み、苛立ちを振り払うように海へと走った。
「首魁の首は取れず、か」
 戦闘では勝ったものの、消化不良とばかりに呟いた香月も人手が必要だろうと海に飛び込む。
 船倉を一部切り離したと言う事は空気の供給も断たれている可能性も高い。
「ハッ……まあせいぜい命拾いした事を喜んでるといい」
 ライガもここに至っては戦闘よりも救助を優先するべく甲板から飛び降りる。
『クロちゃんクロちゃん! エマージェンシー! 急ぐのデース!』
「落ち着いて。わかっています」
 大慌てするシェルリアを宥めつつクロノメーターも後に続く。
「タオ……は駄目そうだな。誰でもいい、救助用の船をすぐ呼んでくれ」
 タオのいる船に通信を繋いだ央は聞こえて来る騒ぎに頭を振り、手の空いている職員に連絡を頼む。
 救助のため潜った海の中、『船』が潜行し暗い水の彼方に姿を消して行くのが見えた。

 切り離された船倉は『素材』として囚われた人々の他、被検体になった者も幾人かいた。
 彼等は既に改造従魔やRGW兵にも使われている物を埋め込まれていたが、進行は軽度。これまでエージェント達が集めた資料とサンプルの解析が進んでいた事もあり、処置次第では「人」に戻れる可能性がある。
 これから厳しい闘病生活を送る事になるだろう。
 『素材』扱いされた老若男女は主に戸籍の存在しない、あるいは戸籍があっても身よりもおらず行方不明になったとしても探す者がいないと者ばかり。彼等の対処は専門の機関に任せる事になるだろう。

「―――なるほど、我がニューヨーク支部の管轄内にいる可能性があると」
 後日、H.O.P.E.ニューヨーク支部の一室。
 バミューダトライアングル内で起きた一件について報告を受けているのは金髪碧眼の堂々たる体躯の男だった。
 彼の名はエルヴィス・ランスロー。
 ニューヨーク支部長、現場で培われた戦闘能力と驚異的な運で幾度も死線を切り抜けてきた叩き上げであり、元警官や芸能人が多いエージェント達に背中で語る男。
『元はギアナ・インカ支部に関わる案件ですが、今後はニューヨーク支部と協力して行きたいと……』
「任せろ。愛する我が国に救う悪党は残らず叩き潰してやろう!」
 力強く請け負うエルヴィスの一言で、ラグナロクから始まりリオ・ベルデ、そして北米へと、この一連の事件の舞台は移り変わって行く。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 此処から"物語"を紡ぐ
    真壁 久朗aa0032
    機械|24才|男性|防御
  • 告解の聴罪者
    セラフィナaa0032hero001
    英雄|14才|?|バト
  • 絶望へ運ぶ一撃
    黛 香月aa0790
    機械|25才|女性|攻撃
  • 偽りの救済を阻む者
    アウグストゥスaa0790hero001
    英雄|25才|女性|ドレ
  • エージェント
    十影夕aa0890
    機械|19才|男性|命中



  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • お魚ガブガブ噛みまくり
    ピピ・浦島・インベイドaa3862
    獣人|6才|女性|攻撃
  • エージェント
    音姫aa3862hero001
    英雄|6才|女性|シャド
  • 風穴開けて砕け散りな
    カナデaa4573
    獣人|14才|女性|命中



  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783
    獣人|16才|女性|攻撃
  • 広い空へと羽ばたいて
    aa4783hero001
    英雄|16才|女性|ドレ
  • エージェント
    シェルリアaa5139
    人間|19才|女性|命中
  • エージェント
    クロノメーターaa5139hero002
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 鋼の心
    風代 美津香aa5145
    人間|21才|女性|命中
  • リベレーター
    アルティラ レイデンaa5145hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
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