本部

緊急招集 特効薬を作り上げろ

鳴海

形態
ショートEX
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
12人 / 4~12人
英雄
12人 / 0~12人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2018/06/07 09:10

掲示板

オープニング

●病状

 春香は床に伏せっていた。その体の奥から響く疼き。
 まるで金を鳴らすように心臓が脈打つたびに重たい振動が全身を駆け巡る。
 その衝撃にうなされ春香は思わず目を開いた。
 春香のひとみが真っ赤に染まっている。
 それは明らかな従魔化の傾向、姿形が変わることはない。
 ただ、その命は確実に人類の敵として変貌しようとしていた。
 その症状を見て医者は語る。
 薬で症状を抑えてはいるが、それでももって3日。
 制限時間、従魔化。それはかつてリンカーたちが直面したことのある状況。
 ここで失敗すれば春香は従魔となってしまう。その瀬戸際で……リンカーにはいったいどれくらいの事が出来るだろうか。
「私を、殺して」
 そううなされる春香の目尻から涙がこぼれた。
「手遅れになる前に、おねがい」
 その願いを君たちは聞き届けるのだろうか。
 
 
● 薬の開発に必要なもの。
 かつてリンカーたちは従魔化の症状を抑えられる薬を完成させました。
 しかしそれは従魔化の進行を止めるだけであり、従魔化を改善することはできない薬でした。
 その薬が今回春香にきかないそうです。
 確実に症状は進行しつづけ、ひょっとしたら今にも変わってしまう状況です、そんな状況の中で皆さんにしてほしいことは完全なる従魔化改善薬の開発。
 そして春香を元気づけることです。

 ここではまず薬の開発に必要なアイテムについて説明します。

・愚神ミラルタの結晶
 愚神ミラルタの結晶は霊力を遮断する造りになっているようです。グロリア社で水晶の研究が続けられている今、サンプルさえあればその構造を解析、薬に応用することが可能です。

・ドロップゾーン探索『永久の華』の確保。
 ドロップゾーンでも特に危険なエリア『プラネタリア』に存在する華を確保してきてください。
 これはBDというヴィランズからもたらされた情報ですが。
 全てはその鼻からDという組織の野望は始まったそうです。
 その花は膨大な力を与えるとともに不死にするという伝説をもちます。
 この花によってADは愚神の力を保存する力を得て、その永久の華の力の劣化バージョンがワイスキャンセラーだそうです。
 従魔化を止めるためにはぜひ欲しいサンプルですが、その花を見つけられるのは強い欲望を抱く者だけだそうです。
 力が欲しい、何かをなせるだけの力が。
 そしてその花を見つけた者は例外なく花を口にしてしまう事でしょう。
 その花を見つける役と、花の食べることを阻止する役二人が必要でしょう。
 止める方法は、説得、物理、なんでもござれです。
 また、内部の従魔は強力です。デクリオ級従魔程度ならわらわらと湧くでしょう。

・膨大な霊力
 研究するための機材はAGW由来のものが必要となってきます。
 それを稼働させるための膨大な霊力を賄いきるためには、皆さんに命を燃焼していただく必要があります。


・実験体 竹近 彩名の協力
 彼女はすでに体が従魔化してしまった少女ですが、人間としての意識を保っています。
 かつていろいろありましたが、今は社会復帰に向けて頑張っているそうです。
 そんな彼女には酷な話ですが。実験体として協力していただくことが必須です。
 実験体になれば当然、苦痛を受けることになるでしょう、精神肉体両面で。
 さらにひどければ従魔化が進行する可能性すらあります。
 そしてH.O.P.E.関係者がこの話を持ちかけた時、彼女は怖い。と言って協力を拒否しました。

●春香という存在。
 春香はかつて内向的で大人しい少女でした。
 運動は得意でしたが、そこまで情熱を傾けるものではなく、勉強もできなかったので、自分をとりえのない、普通より下の女の子だと思っていました。
 しかしルネと出会い、別れ、春香には使命感が生まれました。
 何かをなさないといけない。そしてルネと一緒に誰かを助けられたことを誇りに思っていこうと。
 そんなことを思ったのです。
 けれど状況は変わりました。
 ルネの復活、従魔化。そして裏切り。
 いまだ状況は見通せず、誰が敵で味方すらも分からないこの混乱した状況で。
 春香もまた右往左往し。行くべき道を見失っています。
 春香は戦う意味を見失いました。
 自分が何のために戦ってきたか本当に分からなくなったのです。
 

● 彩名という存在

・竹近 彩名 十四歳
 Dという組織に肉体改造が施された少女です。
 体に従魔化の痕跡である鱗が生えているので。顔半分をマスクで隠して、常に長袖、長ズボンです。
 彼女は全身がハリネズミのように、灰色のとげとげといたパーツで覆われています。
 それを発射、もしくは叩きつけて攻撃するのが戦闘スタイルですが。命中精度が悪くねらったものに当らないようです。
 今回戦闘としては辛くないと思います、彩名の実力はそこら辺の従魔と対して変わらないので。
 ただ、防御力に秀でているようで、彼女の急所はことごとくガードされています。
 急所を何度も何度も攻撃しないと絶命には至らないと思います。





● 春香の意志。

 春香は意志が折れかけているようです。
 ココロが折れれば抵抗力は弱くなるものです。
 彼女の愚神に負けない意志を呼び覚ましていただくことで、時間的猶予は五日まで増えます。
 

●ケントゥリオ級愚神 ミラルタ

 自身を中心にドロップゾーンを発生させ辺りの生態系を作りかえる愚神です。
 その能力のほとんどをドロップゾーンのポテンシャルに割り振っているため戦闘力は高くありませんがとにかく巨大です。
 全長十七メートル。蛇の下半身に女性の上半身ですが、女性部分が人間の五倍程度の大きさを持つのでそれが海獣並みの大きさであるとわかっていただけるでしょう。
 防御力と攻撃力に秀で、その巨体を叩きつけて攻撃するのですが恐るべきはそのドロップゾーン。
 周囲1000SQの生態系を作り替え、周囲100SQの霊力を組み替えて無力化します。
 周囲100SQにいる限り若干のステータスダウンを受けるでしょう。
 さらに周囲10SQに接近すると体が水晶化します。
 特殊抵抗で一定時間ごとに判定を行い、失敗すると物理攻撃に対してダメージを多く受けてしまう状態。そしてスキル封印状態を受けます。
 このドロップゾーンを何とかできれば倒す手立てがありそうなものですが。

 ただ前回の愚神狩り作戦にて、ミラルタの行動範囲にトラップが仕掛けられました。
 その影響で現在、ミラルタは三割のダメージ、そして移動不可能のBSを追っているようです。
 トラップ装置が作用している限り移動ができませんが、それが持つのは3ラウンドと言ったところでしょうか。

解説


目標 春香の救済
 今回は下記の目標のクリアを目指していただきます。
・愚神ミラルタの結晶
・ドロップゾーン探索『永久の華』の確保。
・膨大な霊力
・実験体 竹近 彩名の協力

 もしひとつもクリアできなかった場合ほぼ確実に春香は従魔化。次回の戦闘相手は春香です。
 一つか二つクリアできると、従魔化が止まる可能性はありますが、それはわかりません。
 全てクリアできると大成功で。従魔化を完全に改善できる薬が完成します。
 全ての従魔化に悩む少年少女たちを救えるでしょう。
 
 またこの依頼は重体程度ならポンポン出る可能性がありますので。気を付けていただければと思います。

● 従魔化について。
 春香は一応従魔になりかけていますが。今までのペインキャンセラーの影響と同じく、まだ従魔となっているわけではありません。症状が進行し。最終段階まで進まなければ従魔にはなりませんのでご安心ください。

リプレイ

プロローグ
 
 H.O.P.E.拘置所ない。すみっこのスペース。薄暗くどんよりとしたそのスペースに隠れるようにその男性は舞い戻った。
 BD、かつて裏世界で暗躍し、従魔化のための薬。果ては人を愚神へと変えるための研究を行い、その念願、その成就の場に居合わせることができなかった男。
 しかし彼にとっては薬や組織の悲願はどうでもいい、何故なら彼は、自分が生きることが、最優先なのだから。
「こんなところでくすぶっていることを生きているというのかしらぁ?」
 そんな男に鉄格子の向こうから『榊原・沙耶(aa1188)』が言葉をかけた。
『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』が隣で無言のままに佇んでいる。
「ははは、哲学か…………そんなもの何の役にも立たない。私は、私の命を救うものしか信じない」
 告げるBDはやつれていた。その頬からはごっそり肉が堕ち、乾いた笑いと虚ろな視線は死者を思わせる。
 しかしこうして会話できるなら沙耶は聞かねばならないことがあった。
「ADは吹っ切れた様子だったのにねぇ」
 沙耶はBDの元を訪れる前にADの元にも訪れていた。彼は意外にあっけらかんとした様子で。BDの好きなようにさせてやってくれとだけ言った。
 ちなみに彼も拘置所からは出たくないそうだが、協力は惜しまないらしい。
 彼にはこの状況を好転させるために自分たちの協力は必要だろうとわかっているのだ。
「あなたの協力も必要よ、私たちの仲間が今。あなた達の薬で大変な目に合ってるの」
 沙羅が重たく告げた。その言葉をBDは関係ないと無視する。
「永久の華からすべてが始まったのですってねぇ」
 告げる沙耶の言葉にはBDは反応を示す。
「ああ、あれか、あれを発見したのは私だからなぁ」
 そう遠い日を懐かしむようにBDは告げる。
「あのドロップゾーンについておしえて、敵は? 場所は? なぜ定期的な確保ができていたの?」
「定期的な確保ができていたわけではないさ。一つ持ち返ってそのサンプルを丁寧にやりくりした。なくなれば私がとりに行った、それだけさ。そのためにもリンカー兵は必要だった」
「そんなむなくそわるい話を聴きに来たんじゃないわ。情報を出しなさいって言ってるのよ」
「特効薬が完成すればあなた達はずっとここに居られるわぁ、それは望むところなのではないかしらぁ」
 そう沙耶が目を細めて告げると、BDはその言葉に頷いた。
「そう、そうだな、ああ、そうだそれとだな」
「なに?」
「私たちから奴がかった人造従魔の数は10だった。どれも自己進化をテーマにした従魔たちで、従魔を捕食し能力を得る個体。敵対者の霊力を食らい自己成長する個体が。いた。だが撃破が確認されているのは六体」

「あと、四体の従魔がいるがこれが投入される時期は近いだろう」

 そう最後に言い残したBD、すぐに沙耶はBDから聞いた情報を仲間にとどけるべく早足で病室を目指す。
「沙耶。私たちは何を信じればいいのかしら」
 そう沙羅は表情を陰らせ告げる。
「何かを信じる必要なんてないじゃない? やりたいことをやれば、それで」
 沙耶の耳に『世良 杏奈(aa3447)』そして『ルナ(aa3447hero001)』の声が蘇る。
「春香ちゃんが従魔になっちゃうなんて絶対にイヤ!何としてでも助けなきゃ!」
「ロクトに注射されたってホントなの? ……ロクトは悪い奴なの?」
 ただそれは沙耶は違うと思っていた。 
 春香の従魔化は錯乱状態の所をルネが抑え、ロクトさんが抑制剤を打った…………。そうでなければつじつまが合わないようにしていた。
「ただ、グロリア社を信用はもうできないわね。これからは私たちでやっていきましょう」
 告げると沙耶はスマートフォンを取り出してH.O.P.E.の窓口にコールを。
「グロリア社。特にロクトさんの監視をお願いできるかしらぁ」
 H.O.P.E.への第二のスパイの件もロクト発信の情報。ワイスキャンセラーの管理もロクトだったらしい。
 となれば事情があったにせよ、何にせよ、警戒しないわけにはいかない。
「内通者がいる可能性は常に考えてちょうだい。これはH.O.P.E.の中でも限られた人だけの預かりとしてほしいものね」
 事態はこう着していた、張り詰めた糸のように解き放たれる時を待っている。


第一章 幕間の物語

『卸 蘿蔔(aa0405)』はその扉を何度目か分からないノックでもって触れる。
 その背後には『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』そして『レオンハルト(aa0405hero001)』が佇んでいた。
「遙華、何で姿を見せてくれないんですか?」
 告げる言葉は何度目だろう。
 その手の中のお弁当が徐々に熱を失って行っているのがわかる。
「ちゃんと食べてますか?」
 しかし扉が開けられることはない。クラリスが耳を扉に押し当てると、人が蠢いているような気配はあった。
「遙華…………」
 蘿蔔は泣きそうな顔を伏せてゆっくりと踵を返す。
 今はそっとしておいた方がいいのかもしれない。そう思った。
 対して『蔵李 澄香(aa0010)』は春香の元を訪れる。
 背後には『八朔 カゲリ(aa0098)』、彼は大漁の食べ物、そして大量の資料を持ってそこに佇んでいた。
 病室では沙羅が春香の手を握っていた。しかし体は見られたくないとのことで布団の中にある。
 そんな痛ましい雰囲気に一瞬足がすくんだが澄香は、見上げる沙羅の視線にぼろぼろの笑みで答えてそして春香のベットに腰を下ろす。
 腰のあたりに手を下ろすと春香の体が一瞬跳ねたがすぐに身を固くしてしまった。
 震えている。
 それが痛々しかった。
「血が出過ぎたからね」
 告げると澄香はお弁当のふたを開けた。
「食べる?」
 首を振る春香。
「ねぇ、春香。わたしね。すっごい悩んだし、迷った」
 やめてしまおうかとも思った。全部。
 あの日。ルネが崩れ落ちた二度目の日。ステージは取り繕ったけど、ぼろぼろで。
 自分たちの活動、努力、痛み。全部が否定されたようで。
 歌も。人も。信じることも、全てが怖くなって。全部諦めてしまおうか。
 やめてしまおうか。そう思った。
「でも、あの子に怒られて気が付いた。私たちが駆け抜けた日々は嘘じゃないって」
 告げるとばらりと印刷した資料を春香の顔のあたりに差し出す。
「みんな心配してるよ。私たちもだよ」
 それはモノプロのホームページで掲載していた。春香へ応援の手紙を書こうのコーナー。そこに寄せられた手紙の数々だった。
 それと共に食べ物を押し付けると澄香は立ち上がる。
「ここで終わったら、私『たち』じゃない」
 そこで春香は気が付いた。澄香も自分と同じ気持ちだと。
 けど、決定的な差も感じてしまう。
 なんで。何で彼女は立ち上がれるのだろう。
「立ち向かおう、春香。私たちならできる。だって…………」
「無理だよ!!」
 悲鳴交じりの言葉が澄香に叩きつけられる。
「無理だ! 無理だよ! もう私には何もないんだよ。昔みたいに私がどうなってもいいから、世界を守るだなんて言えないし、もう何も信じられない。無理だ。私は死んで、何も、何も残らない。何もできない、私は」
「本当に。そうかな?」
 告げる澄香の言葉はまるで歌うように、春香の心に響くことになる。
「私の体は歌でできてる。それはね、今まで謳った歌。そしてもらった歌ってことだよ」
「……………………なんで、なんでそんなに」
「春香とルネさんにもらった歌だよ、沢山の人にもらった歌だ。それに何より」
 歌が、好きだ。そう告げて澄香は笑った。
 誰も傷つけることなく。誰かの心に寄り添える。一緒にいられる。
 だから歌が好きなんだ。そう告げた。
 春香のすすり泣く声が聞える。
 そんな春香に沙羅は優しく告げる。
「春香さんも。ずっと手を握っていてあげたいけど、材料を集めてこないといけないから……。きっと完成して持ってくるから気持ちで負けちゃ駄目。周りを頼って。いつだって誰かは寄り添っている筈よ」
 そうタカナッシーを傍らに置いて澄香に続き部屋を後にする。
 部屋の外には少女が立っていた。壁に背を預け『ナラカ(aa0098hero001)』が立っている。
「なにも言わなくていいの?」
「もうすでに語るべき言葉は、ない」
 告げるナラカ。春香に対して『そうしていろ』そう告げた言葉に、思いに偽りはない。
 だからこそ、それ以上にかける言葉はない。
 しかし。
「今必要なものは私ではない、ただそれだけだよ。導いてくれる強い光ではない。燃えたつような試練でもない。春香に必要なのは」
「必要なのは?」
「どこにでも救いはあるという事実だよ」
 ナラカはそう言い切ると裾を翻して澄香の先を行く。
 やるべきことはわかっていた。
「なんだかんだ言って、信じてるんだね?」
「当然だろう?」
 そう言い切るナラカに頼もしさを覚えながら、澄香は彼女に追いついた。
「故に証明せねばなるまい。諦めない事の意義を光を示さねばなるまい。頭を上げて前へと進めるように、全く手がかかる子らだ」
 そう告げ向かった先はドロップゾーン、あまりに危険過ぎH.O.P.E.でも手が出し切れていない未開の地である。

   *   *

 航空機が列をなして飛んでいる。前方の航空機の気流を受けて安定して飛べるようにV字の隊列。その最後尾の一機に阪須賀兄弟は搭載されていた。
『阪須賀 槇(aa4862)』『阪須賀 誄(aa4862hero001)』はそれぞれPCの画面から各種装備を点検している。巨大拡声器、大型爆弾型AGW、そして天翔機。ただし宇宙で使う予定があったのでプロトタイプ。
「OK……接触まで五分、増倉切り離しまでカウントダウン」
 ミラルタの結晶とはその体表を覆う特別な物質。
 しかしそれを無傷で手に入れるのは無理そうだ。
「あーあー! マイクおk!」
 ミラルタ上空で円を描きながら飛ぶ戦闘機たち。眼下ではミラルタが拘束されて吠えている。
 巨大な愚神だった。
――OK、その罠を仕掛けたのは俺らですよっと。
 その声に反応してミラルタは叫ぶ。 
――俺らはミラルタの結晶を求めてる。ただそれが欲しいが為です。時にそれをくれるなら、すぐ引くけど?
 しかしあの愚神には言葉は通じないようだ。
「OK、交渉決裂だお。隊長よろしくだお」
 そんな槇の背後で『藤咲 仁菜(aa3237)』が震えていた。
 拭いきれない不安。
(私……ちゃんと守れる? ナイアさんもルネさんも守れなかった私が)
「……な。仁菜」
 その言葉に顔をあげると『リオン クロフォード(aa3237hero001)』が立っていた。
 そんなリオンが仁菜の頬を引っ張った。
「きゃー顔が伸びちゃうー!」
 そうぺちぺちとリオンの手を叩く仁菜。
「戦場でそんな顔しない! 守り手がそんな顔してたら、皆不安になるだろ。
そんな顔するなら俺主導で行くよ?」
 仁菜は思う。そうした方が楽かもしれないと。
 ここでリオンに任せた方が、前みたいに中から見てた方がいいのかもしれない。失敗したとしてもそれは自分ではない。
 でも。それでいいのか。
「……私が行くよ」
 仁菜の顔つきが変わった。
「いいの?」
 リオンの言葉に頷く仁菜。
「ここで逃げたらダメなの」
 そのやり取りに誄は微笑んで告げた。
――作戦開始するよ、仁菜さんバックアップよろしく。
 そして三機の戦術機からリンカーが放出された。
 戦闘を切るのは『煤原 燃衣(aa2271)』である。
 その背中には輝く銀のフレーム。天翔機。
 そのまま斧を振りかざす。
 その背後からナラカと『アイリス(aa0124hero001)』が追従した。
「すみませんね、こちらも、余裕がないんですよ!」
 点火爆撃炉機動、力をチャージ。
「《鬼神招》!!」 
 その落下の勢いを使いその脳天に
――一撃で葬る。覚悟は良いか。
 《虐鬼王斧》にて、斬撃。
 その間も結晶化は抑えられている、なぜか。
 アイリスのそしてナラカの貼る結界の力だ。
――水晶って赤原光夜さんの依頼で行った水晶が出来る泉は関連があるのかな?
『イリス・レイバルド(aa0124)』が問いかける。
 アイリスは着地するとその巨体を見あげた。
「たぶんそうらしいがね……まぁとりあえず攻撃しておこうか」
 レディケイオスを振りかざすイリス。
 それにナラカが合わせる。
 二人の斬撃が、衝撃がミラルタの体の中で衝突する。
「悪いが時間がないんだ……問答無用で死んでくれたまえ」
 その小柄な体を生かしアイリスは敵の足元へ身を滑り込ませそして盾で衝撃を与える。
 ミラルタは痛みに体を硬直させる。
 その好機を『魅霊(aa1456)』は逃さなかった。
「さあ、今回の依頼で私は何ができる? 私にあるのは殺す術だけだ」
 いつもと違うトーンで魅霊は告げる。その手で轟々とイフリートが燃えたっていた。
「なら、愚神を狩ろう。ミラルタを」
 魅霊はずっと考えていた。ミラルタが周囲の世界を変革する理由。
 敵は周囲をDZで自らの世界に変えていく。ということはだ、世界を変えなければいけない理由がある。
 変化した生態の、規則的な存在を魅霊は探していた。
 そんな魅霊に気をとられている好きにナラカがミラルタの背後に回った。
 ナラカはそのまま天翔機で上空からの攻撃。
 ミラルタはその攻撃で巨体が傾いだ。
「よし、今がチャンス!」
 燃衣が告げると槇が『応っ』と答えた。
 ヘリの上から狙撃を開始する槇。
 さらには絨毯爆撃。
 それに合わせて燃衣は敵の腹部に突撃。
 斬り、柄で突き。砕きえぐる《火乃銛》で対応する。
 その時ミラルタの拘束が解除された。
「隊長!!」
 敵の中腹に存在する燃衣を一気に結晶化の波動が襲う。ミラルタの事前調査では気付けなかったが、結晶化は指向性を持った波動で行われるようだ。
 つまりビームの様なものであるが。特殊抵抗が低い燃衣がそれを食らったらひとたまりもない。
 死んだ。
 燃衣は思った。
 しかし。
「ここだああああああ!」
 仁菜が上空からものすごい速さで落下し。その攻撃を遮った。
――仁菜さん! ナイス。
 誄が告げると槇は静かにミラルタの眉間を打ち抜いてその後頭部を地面に叩きつけた。
「隊長はなれないで!! やっぱりミラルタ……結晶化能力を選んだ人にかけられるみたい」
――仁菜さん! 動きやすいようにナビゲートを。こちらで狙撃してミラルタの動きをキャンセルするくらいはできるから。
 ダメージより行動妨害が優先。阪須賀兄弟らしいやり口である。
 そう思うと仁菜は不思議と笑っていた。
「行きます!」
 仁菜が鋭く告げる、仁菜でさえも集中していなければ結晶化してしまいそうな状況。
 その間に魅霊はミラルタの脚部、水晶がはがれ露出した部分に注射針を突き立てた。
「さて、ミラルタを殺す。どうやる?」
 魅霊の中ですでに答えは出ている。
「殺すには、力が要る。使えるものを使おう。ペインキャンセラーは、どうだ?」
 ミラルタが発狂したようにもがき始めた。
 その中で燃衣は削り取ったミラルタの破片を幻想蝶にしまい込むと左右に集結したナラカ。アイリスは交互に見た。
「ただもうネタは割れている」
 ナラカが刃を構えるとその刃の上に炎を這わせた。
「もう足は壊してある、であれば逃げるも抵抗するも難しい。私達には結晶化能力は効かない。あとは時間の問題だ」
 上空から狙撃する槇の発砲音をBGMに燃衣の瞳がギラリと光る。
「解体ショーです。時間をかけている暇はありません」
 吹き荒れる暴虐の嵐、表面の水晶を削り取り内側の柔らかい部分を引き裂いていく。
 天剱が輝きを増す。ナラカは真横にそれを構えると軽やかに飛んだ。天翔機の推進力で一気にミラルタの顔面へと距離を詰める。
「さぁ、遠慮はなしだ、愚神」
 その斬撃は二激でミラルタの装甲を吹き飛ばし。
「無理、無茶、無謀――総じて知った事か。元より愚神如きが我が物顔で目障りだ――」
 告げるナラカの四度目の刃でミラルタの顔面が吹き飛んだ。
「遍く闇を浄滅せしめん――勝つのは私と知るが良い」
 やがて露出したその核とも言える水晶をナラカが刃で砕いた時、ミラルタは大量の霊力となって空に帰る。
 一仕事を終えた仁菜は欠片を回収する手を止めてふと空を見あげた。そこには空から手を振る誄の姿がある。
 それに仁菜はぶんぶんっと手を振った。 
(誄お兄ちゃんはね、何とかしてやるからついてきなさいよって言ってくれた)
 今日戦えたのはきっとみんなのおかげ。そう胸に手を当てて仁菜は思う。
(全く……お兄ちゃんはずるい。強くならなきゃいけないのに、つい頼りたくなっちゃうじゃない)



第二章 永久の命と欲望と


 その森はうっそうと木々が生い茂る、しかし薄暗くない。不思議な森。
 いや、森というには木々も少なく歩きやすい。かわりに視界が通りやすく常に見られている気持ちになるのはのは気のせいだろうか。
 そんな森の中を突っ切る集団がいた『斉加 理夢琉(aa0783)』が先頭を務めるリンカー部隊である。
「御願い! フロストウルフ」
 理夢琉が命じると二頭の白銀の狼が地面を駆けて獲物に肉薄する。
 それは衝突すると氷のフィールドとなって、クマの様な従魔をその場に縫いとめた。
――余計な時間を食っている暇はない、走れ!
 その『アリュー(aa0783hero001)』で走り出す一行。
「絶対に持ち帰ってみせるから! まってて、春香さん」
 告げると走る理夢琉の隣を澄香と蘿蔔が並走した。
「蔵李さん、大丈夫ですか?」
 その言葉に澄香は頷く、真面目な顔を一転させ理夢琉に微笑みかけた。
「大丈夫、私の心は決まってる。無茶もしない」
――合理的に行きましょう。
 澄香の心は冷静だ。そんな澄香がペインキャンセラーの霊力を元にマナチェイサーを発動。か細い糸だがそれを頼りに全員を誘導していく。
 そんな澄香は走りながら思う。
「私はあの時、目を瞑ってしまった」
 自分に向かって告げる。
「すみちゃん?」
「もし動けたら違う結果だったのかもしれない」
 蘿蔔の声も聞こえないふりして。前に前に。
「私は、もうあきらめない、怖くても辛くても前に進む」
 告げると前方に両手を伸ばす、ハートや星と言ったポップでキュートないろいろが澄香の手に集約されるとそれはイカヅチの形となって前方に放たれた。
 眼前から迫りくる従魔たちを焼き払う。
「えええ! そんな大事にしちゃったらみんな来ちゃいますって」
 蘿蔔の突っ込みを無視して澄香は告げた。
「花は近いよ! みんな心の変化に気を付けて」
 それに思うのだ。
 もし、客席に被害が出ていたら。自分を応援してくれている誰かが血を流して倒れたなら。
 自分はもうアイドルとしては生きてはいけないだろう。
「私なら何度でも立ち上がれる、そう言う強さをあの子に。みんなにもらったんだ」
 そんな少女たちの奮起を前に『無月(aa1531)』は微笑んでいた。
――うれしいのかい?
『ジェネッサ・ルディス(aa1531hero001)』がそう問いかける。
「…………ああ、知らない間に頬が勝手に」
 しかし、そんな彼女たちのためにも何かをしてやりたいと思える無月である。
「背後からの追っ手は見えない」
「ふふふんふんふん、ふふふんふん」
 無月はもがもがと何事かを話すあんなに視線を向ける。
 彼女はなんと口にテープをふさぐことによって永久の華を口にすることを防ぐつもりのようだ。
「ふんふふふんふんふん」
「?」
 首を一同だったが、なんとなく無月は言いたいことを察した。 
「従魔がいるのか?」
 杏奈のマナチェイサーは周囲にいる従魔の影を捕えていた。
「だったら! 倒そう」
 その号令に理夢琉と蘿蔔はAGWを構える。
 まだすべてが打ち砕かれたと思いたくない。それを貫くためにも。
 ここからやり直し、もう一度みんなで笑いあうためにも。
「守られているばかりはだめだ」
 草の影から迫る従魔たち。それをまず杏奈が焼き払った。側面から迫る従魔を無月が止め。
 沙耶が蘿蔔のカバーに入る。
「たらちゃん。すみちゃんが!」
「私は」
 食らいつこうとする狼従魔の咢その口の中にわざと手を突っ込むように伸ばす。すると次の瞬間にはクラリスモードに変わっている。その腕には無粋なまでに大きいパイルバンカー。
――おいたがすぎますね!
 クリティカルヒットで吹き飛ばされる従魔。
 一同は散会。襲い掛かる従魔たちを追いたてるために理夢琉が氷の狼を野に放ち。沙耶の後ろに蘿蔔は隠れて敵を狙撃。
 杏奈はゴーストウィンドウを周囲に張り巡らせ敵を牽制。それと同時に一歩下がり、戸惑っている従魔たちを理夢琉に攻撃させた。
 次いで敵の動きが速すぎると判断すれば澄香は、アルスマギカからの砲撃をリフレクト。周囲に散らして従魔の足を止める。
「これで!」
 澄香はもう一度前例の霊力を前方に注ぐ。群がる敵を排除するため。かつて仲間を救うため、鋭く磨き上げた雷の杭を打ち放つ。
 サンダーランス。
「止まるわけにはいかないんだ!!」
 直後轟音と共に敵が吹き飛んで消えた。
 ここにいない相棒に、悲しい報告なんてできない。
「すみちゃん、今日はかっこいい路線です?」
 蘿蔔が問いかけると、振り返る理夢琉の頭もまとめてワシャワシャとかき混ぜる。
「みんながいてくれるからだよ」
 そうめらめらと燃えたつ森の、焼かれた土を踏みしめて魔法少女はその先に進む。一本の大樹の下。咲き誇る一輪の花。
 他の華はつぼみのようだ。今割いているのはこの花だけ。
「これが、永久の華ですか」 
 蘿蔔がため息を漏らす。うんざりするほどきれいなのだ。
「間違いなさそうね」
 杏奈が告げた。そんな杏奈の隣をふらりと、まるで夢に迷い込むような足取りで沙耶がゆく。
「食べちゃダメ!」
 理夢琉の声も全く聞こえず沙耶は華に歩み寄った。
 沙耶の脳裏に浮かぶのはかつてみた。光景。
 苦汁をなめさせられた。あの。
(永遠の命は、私の研究の命題)
 理性ではわかっている。こんなに簡単に永遠の命が見つかるはずない。
(けど少しでも可能性があるなら、研究に繋がるなら)
 非検体が自分ならだれが文句を言うのだろう。
(あらぁ? ちょっと待って、私が食べるより小鳥遊ちゃんにたべさせたほうが)
 そんな時である。無月がその手を取って下ろさせた。
「それを食べられてしまっては困る」
 沙耶が無月を見つめた、その目は冷えた空気を纏っている。
「君の望みはその華を食べる事か? 違うだろう。思い出せ、自分がなすべき事を、救いたい少女の顔を……」
 沙耶の拳に力がこもる。
――その華を食べたら君は一生後悔するよ! 春香君も懸命に戦っている、だから、君も負けちゃ駄目だ!
「永久の命で一生後悔するなんて、それはとても地獄よねぇ」
 そう告げる沙耶の口に小さな手が飛び込んでいた。
 それは蘿蔔の手である。
 ミカンの様な手がもぐもぐと咀嚼されると、ひゃいっと蘿蔔は悲鳴をあげた。
「お腹へってるんですか?」
――不老になっても年齢は変わらないと思います。
 レオンハルトの言葉に若干冷気が増した気がしたが沙耶は踵を返して手を振る。
「あらぁ、じょうだんよぉ。みんな怖い顔してどうしたの?」
 その間に無月はその花を手に取って大切に保管した。
「無月さんは大丈夫なんですね」
 そう問いかける理夢琉は華と無月を交互に見つめ落ち着きが無いようだった。
「強い欲望、か」
 告げると無月は微笑んだ。
「私とジェネッサは、懸命に生きようとする人間が、そして命ある者達がとても愛おしい。そして、彼らが幸せに生きているのを見ると私達はとても嬉しい」
 だからこそ、私達は皆を守ろうと思うのだ。
「今、助けなければならない子がいる。彼女達を救いたいという想い、それが私達の欲望だ」
 そう立ち上がる無月の背に、銃声が叩きつけらえた。どうやら従魔に発見されたらしく蘿蔔がバレットストームで当たりを薙ぎ払ったところだった。
「うう、トリガーがぬるぬるしますぅ」
――ちゃんと手を拭いて。ハンカチは?
「持ってきてません」
――出る前の確認は嘘だったのか!!
 そんな騒がしさを背に一行はドロップゾーンの端を目指して走り出した。
「私も強くなりたい」
 理夢琉は願う。
「ヘイシズの話が本当ならアリューの記憶にある光景と同じ。王を倒して歌を響かせたい、それができる強さが欲しい」
 そう誰にでもなく理夢琉は自分につぶやくのだった。

   *    *

 リンカーたちの活躍によって素材はそろった。
 ミラルタの欠片と永久の華、そしてワイスキャンセラー。
 あとはこれを組み合わせ想定できる通り、100以上の薬を作り上げるだけ。
 この作業だけで本来三か月かかる、それを数日に圧縮するためには。
「人の手を30倍増やしてきたわ」
 ロクトは告げる。グロリア社が誇る研究所、そして研究者をフル動員。
 その中には阪須賀兄弟もいる。
「やっとだお」
「ああ、兄者。次こそは絶対」
 そう子供たちの墓標に誓ってきた兄弟たちも研究に参加する。 
 前回のノウハウを元にチーム一つを与えられた。
「今回は時間さえあれば何とかなるってことがわかってるお。前より楽な戦いだお」
 そんな中リンカーは施設の中心。動力ルームに集められていた。
 そこには突別に設置されたポッド。そこには薬液が注ぎ込まれ、リンカーたちから霊力を搾り取る。
 その部屋に槇が入室すると燃衣は槇に頭を下げた。
「……ごめんなさい、隊長としてあるまじき言葉ですが……阪須賀さん」
 そして燃衣は仁菜を見つめる。
「仁菜さん、……皆さん。命を貸して下さい」
 燃衣は拳を握りしめる。
「共に燃やして下さい」
 今度こそハッピーエンドを掴むために。
「彼女を……皆を蝕むクソッタレな病を焼き尽くす為に……ッ!」
「OK!言われなくったってやるお!」
――隊長は時に仰々しいんですよっと。俺たちが揃って失敗したこと、殆どないで……しょっと!
 さっそく共鳴した阪須賀兄弟。槇は燃衣とハイタッチをかます。
「生命力のコントロールならまかせて!」
 実際この中でも断トツの霊力量を誇る仁菜が炉に入ってくれれば三日程度の霊力簡単に確保できるだろう。
 さっそく仁菜はポットに浸かると。その粘液の中から隣のポット、つまりアイリスやナラカに回復を飛ばす。
 二人はさすが歴戦の猛者というべきか。まるで温泉に浸かるようにくつろいでいた。
――私が元の世界通りのスペックなら従魔化なんて問題にもならずに治せるのだがね」
「でも今はない、ないものねだり」
「それを言うならば私も、神鳥の真威をもってすれば……おや。澄香はきいているのかな?」
 ポットの中ですでに干上がりそうな澄香である。花を取りに行ってからすぐにポットに入ったので仕方がないともいえる。
 そんな澄香や他のメンバーの面倒を見るのは理夢琉の仕事である。
「ああ、こんなにからからに……スポーツドリンク持ってきましたよ」
「ん……ありがとう。甘いものが食べたいんだけど、斉加さんいいかな」
「はい、どうぞ」
「あーんしてよ」
「はい、あーん」
 その時二つの殺意を感じて振り返る理夢琉だったがどこからその殺気が飛んできたかはわからなかった。
――ミラルタ戦後だというのに、負担を省みずに生命を燃焼させるか。らしいと言えばらしいがね。
 アイリスが感心したように告げる。
「お姉ちゃん、そろそろ」
――ああ、本気をだそうか。
 告げるとイリスが使っている溶液が金色にひかりだす。
 誓約を復唱、レートをあげることで霊力の底上げを測る。
 そして強く、そして只管に長く長く、長時間霊力を注ぎ込み続ける
「僕も負けていられないですね」
 告げると燃衣の溶液は赤く染まる。それだけではない、リンクバーストだ。
 それにクロスリンクを仕掛ける仁菜と理夢琉。そして槇。
「いっしょに頑張りましょう」
「みんな一丸になって、今度こそ」
 今度こそ悲しい結末を排除する。
 炉は高速で回り続けた。
 成分の抽出再現が高速で行われていく。
 失敗を恐れる必要が無いほどに資源は潤沢だ。
「ああ、そう言う状況か、いつも試練を貸してばかりでは示しがつかないしな。私もこの試練を突破するのに手を貸そう」
 ナラカまでリンクバーストする始末である。
「うわわわ、皆さんクラッシュには気を付けて」
 仁菜があわててかぶりを振る、その姿が愛らしく動力ルームには笑いがあふれた。
「頼りにしてますよ」
 そう燃衣が告げると仁菜は胸をはる。
「私がいて隊長を死なせるはずないでしょ?」
 そんな少女の姿に頼もしさを覚える燃衣だった。


第三章 少女と少女と少女

 研究開始から二日目。
 蘿蔔は懐かしの孤児院を訪れていた。その孤児院はかつての暗い雰囲気はみじんもなく、明るく子供たちは笑い合っている。
 それが嬉しくて蘿蔔は笑みを浮かべながら歩みを進めた。
 そんな孤児院のホールにて。彩名はひかりという少女と話をしている。
 蘿蔔を見ると彩名はそっぽを向いたが。光が席を外すと頬を染めながら。
 この間はありがとうと、ぼそりと告げた。
「ふふふ、素直になれるくらい回復したのですね、いいことです」
 その背後には理夢琉と無月が控えている。それだけで彩名は要件を察したはずだ。
「私を連れに来たのか?」
「違います、謝りに来ました」
 蘿蔔は頭を下げる。
「状況が状況とはいえ。彩名ちゃんにとてもひどいことを言いました。ごめんなさい許してください」
「な! そんな謝られることじゃ」
「断ったこと、後悔してるんだよね?」
 蘿蔔は顔をあげる。
「本当は公開させるような内容じゃないよ。もう一度研究所に来てほしいなんて言うべきじゃなかったと思います」
 沙羅が言っていたのだ。
 酷い。と。
『身を削ってまで助けた子を実験台にするだなんて、異常だわ。しかもそれを能力者に委ねるなんて……。
 力は多少強くても、心なんてまだ10や20の夢みがちな少年少女なのよ。超人じゃないわ。
 あまり傷付けないで欲しいわね』
 けど、それでも。
「それでも、私はお願いしないといけません。彩名さん助けてください。友達が苦しんでるんです、お願いします」
 そう頭を下げる蘿蔔の隣に立ち無月は言った。
「怖いな……」
 震えを隠すように自分の腕を抱く彩名。
「私も心苦しい。君一人に苦しみを押し付けることなんてできない。だから私も。私たちも同じ被験者になる」
 そんなことに意味はない。無月は従魔化被害者ではないのだから、そもそも実験にならない。
 けど、だからこそ。自分の気持ちを考えてくれているのだと彩名は思った。
「何が起ころうとも君の側には私『とボク』がついている、危ない実験をしようとしているなら私が身を以て守って見せる。だから信じてくれないだろうか」
「彩名以外の子は容態が安定してないから頼めなくて。代われるなら代わってやりたかったんだが、今から薬を飲んでも間に合わない」
 レオンハルトが静かに告げる。
「薬を飲むなんてダメだ!!」
 叫ぶ彩名。そんな彩名に蘿蔔は小さく告げる。
「彩名ちゃんは、守りたかったんだよね」
 蘿蔔は彩名をずっと見てきた。あの悲劇の研究所から。
 大切だったからこそ復讐を願うのだろう。
 護りたかったからこんなに悲しむんだろう。
「それって、研究が完成したら、他の、私みたいなやつ治るのか」
「治ります」
「私みたいに苦しんでる人がいる」
 蘿蔔は春香の背中を思い出す。
「います、だから、だからお願いします」
 全ての禍根に終止符を打つため、心の底から頭を下げる。
「いいよ」
 その言葉に蘿蔔は顔をあげた。
「私が怖がってるのバカみたいだ、私なんども助けられた。そう私助けられたって思えるようになったんだ。だから今度は私が助けたい」
 告げる彩名の目は力強い光に満ちていた。
「私もみんなみたいに強くなりたい」
 その言葉に蘿蔔は涙を浮かべながら微笑んだ。
「もう、なってますよ」
 告げるとレオンハルトが全ての手続きを済ませて車を回す。
「彩名ちゃんはきっと大丈夫。力を正しい事に使える。だから、これからできる大事なものを守れるように強くなろう」
 研究所に向かえばそこに槇が待っていた。
「おおう、彩名たん。お……おかえり?」
 イマイチ距離の掴み方がわからない槇に対して誄はいつも通り。
「そら怖いよね。俺らだって怖いよ」
「でも一緒に実験体になってくれるって人もいるし」
 そう彩名は無月の手を握った。素直に人を頼れるようになるのも成長である。
「もう一度、救えなかったら。俺らのせいで、悪化したら」
「その時は、その時、恨みもしないし。怒りもしない。けど私が誰かを殺す前にあんたが殺してくれよ」
 その言葉に槇は頷く。
「全部の責任、もつお」
「勿論実験は慎重を重ねるよ。彩名だって、助けたいしね」
 誄が告げる。
「この治療はそのための一歩だと思ってます。あの薬で苦しんでいる人たちを助けて欲しいのです…………お願いします!」
 そう蘿蔔が頭を下げるとそんな蘿蔔に抱き着いて彩名は耳元で一言。
 行ってきます。
 そう告げた。
 大規模な研究が始まる。
 先ず槇と誄は皮膚辺、血液採取から実験。
 次に健全なリンカー……この場合は無月、への皮膚移植テスト、今回は血清方面でアプローチ。
 段階的に大幅な変異皮膚移植や輸血で抵抗実験。
 パニッシュメントの解析と魂への作用も解析し薬に乗せる。
 霊力充填機も今一度構造を見直し再チェック、他人任せにしない。
「すげぇ、すげぇお、びっくりな速さでデータが出来上がってくお」
「ああ、でもこれは全部、積み重ねと、みんなの協力のおかげだ」
 あの時とは状況がなにもかも違う。いける。
 そう思った。
「とまるんじゃねぇお」
「兄者、それ志望フラグ」
「とまりませんよ……」
 そんな阪須賀兄弟のやり取りを聴いていたのは燃衣。兄弟は実験室にいるが声が聞こえるのは常にインカムをオンにしているからだ。暇で話し相手が欲しいらしい。
 のんきなものだ。
「なんだか力が湧いてくるんです」
「隊長?」
 槇が問いかける。彼には見えていないが燃衣のポットの中では変化が生じていた。
 朝焼け色の炎の羽毛を両手両足に纏い、背に炎の翼の様な物が小さく出現する。そして燃衣の特徴とも言うべき、呪われたような赤の瞳が『通常の人間の形状に戻った』
「キミは絶対に死なせはしない…………ッ」
 研究は最終局面を迎えようとしている。
「彼方ちゃん…………力を貸してくれッ!」
 その様子に感慨深げなネイ、一つため息をついて。こう告げた。
――良いだろう、俺の命も貸してやる。
「「重体? 生き残れば勝ちだ!!」」
 その後薬の完成が報告されたのは28時間後。誰もが寝ずの地獄の28時間だった。

第四章 反撃のための一歩

 ある夜。布団の中で震える春香の部屋に光が差し込んだ。
 先ほど沙羅が誰かと何かを話していたがその影響だろう。
「春香さん」
 その声はイリスだ。可愛い天使のような子。
 けれど今は誰にも会いたくなかった。
 だれにも。
(こんな私なんて、誰にも見せられない。死にたい)
 体は化け物に、心は脆く。裏切られ、裏切りに塗れ。間違ったあげく仲間は生死の境をさまよった。
 以前重ねた、操られての殺人とはわけが違う。自分の意志で選び選択した末の間違い。
 それは春香にとって許し難い罪となってのしかかる。
「春香さん」
「ごめん帰って」
「春香さん、お話をしましょう」
「お話?」
 顔だけイリスの声の方を向ける春香。
「私と? 何の?」
「大事な作戦とかじゃなくていいんです。他愛のない普通の話でいいんです。ただ、春香さんがどう感じてるか、どう思ってるか、聞きたかったんです」
「そんなの、もう関係ないよ、みんなには、私は死……」
「死ぬなんて簡単に言うな!!」
 イリスの叫び声がびりびりと部屋を揺らした。
「ごめんなさい、大きな声を出して。ボク反省したんです。最近は自分の考えを叩きつけるような強い言葉ばかりだったから、春香さんを追い詰めちゃったのかなって。でも反省できてなかったですねごめんなさい」
「イリスはね」
 アイリスの声が聞えた。
「家族を目の前で愚神に奪われているんだよ」
 今の春香はかつての惨劇をほうふつとさせる。だから、だからイリスも必死だ。
「だからこそ、まだ助かる命なら助けたいのさ。君はイリスの友達だろ?」
 告げると春香は小さな声でごめんっと、そう謝った。
「みんなで押しかけるときっと迷惑になるから、代表してテープを持ってきたんです。春香さんがいると思って、みんなでお話ししたんです。よければ聞いてください、そして感想をきかせてほしいんです」
 告げるとイリスは春香の返事もなくレコーダーの再生ボタンを押した。
「春香さん皆の命の声、ちゃんと聞こえますか……? 春香さんを助けたくて、皆こんなに必死になってるの」
 仁菜の声だった。暁として一緒に冒険したひびが蘇る。
 彼女には沢山、助けられた。
「だから春香さんも諦めないで。こんなところで負けないで……!」
「春香さん大丈夫。何があっても俺達皆仲間だよ」
 リオンの声が聞える、その声はいつだって優しくて。春香は布団の中で涙を流した。
「春香さんの言葉も思いも。受けとめられないほど小さいやつここにはいないよ」
「だから」
「だからちゃんと戻ってきて」
「春香さん。ルネさんの名前はルネ・クオリア。ルネは、ルネ・ガデンツァだったのかな」
 そう思い悩みながら、相手の気持ちをうかがいながら話すのは理夢琉。
 彼女はいつだって他人の気持ちに寄り添うことが上手だった。
「信じるって私が勝手に押し付けた気持ちだから、大丈夫。でも蔵李さんを傷つけ春香さんをこんな風にするなんて。ロクトさんはどうして……」
 理夢琉の悲痛な声。
 けれど、そう理夢琉は前置きをして話し始める。
「ルネと一緒に歌い楽しそうな姿を見れたのは嬉しかった。
 共鳴した春香さんとルネと一緒に希望を歌いたかったなぁ。
 蔵李さん、ルネさんと謳わせてくれてありがとうございました。私夢だったんです。それが夢でも幻でも」
「それは斉加さんが頑張ったからだよ」
 澄香の声が聞える。
「私、蔵李さんみたいになりたくて。蔵李さん達と並びたいと思えた時、希望を歌う事ができました
 ルネ・クオリアは私の中に生きています、だから歌を届けたいです」
 あの時聞いた、忘れられない本当の歌を、自分も歌い継ぎたい。そう理夢琉は言った。
 次の瞬間音質が変わる。
――私情を語りましょう。
 魅霊の声である。

――私は、ルネさんを取り戻すことを主眼としています。
 でもそれは、私自身がルネさんを好いているからではない。
 私は……。

――私は、澄香姉さんの笑顔を見たんです。
 ルネさんと再会した姉さんの。
 その、あまりにも幸せそうな顔を。
 私の内に燃えていた憎悪や怒りを滅ぼし、喜びへと還した―あの光を。
 ああ。ルネさんは、間違いなく澄香姉さんの希望なのだと。その時にようやく理解しました。

――私がこれから戦うのは、その希望を取り戻すため。
 まずは、未だガデンツァの手駒とさせられたままのルネさんを解放する。

 その上で、もう一度再会を実現するのだ。そう魅霊は心に誓う。

――そう決めたが故に、今の春香さんの姿はひどく哀しのです。
 貴方はルネさんと共に戦った。

――苦楽を共にしたはず。

――ルネさんは貴方の友であり、貴方はルネさんの友である。

――そう在りたいはず。

――もし貴方がその想いを忘れていないのなら、もう一度逢ってほしい。
 誰の幸せも存在しない運命より、誰かの幸せを掴める可能性を。

 そのテープをとった後、魅霊は一人壁にもたれかかって天を仰いだ。

「ああ、ごめんなさい。
 裏切りというのは、恐ろしいものなのでしょう。
 でも……私にはもうわからない。
 私は、愛する人の幸せが欲しくて仕方がない」
 そのためなら。
 何度でも傷つけられよう。
 そう魅霊は思う。
 何度でも裏切られよう。
 何度でも堕ちよう。

 そして。
 何度でも這い上がろう。
 何度でも歩を進めよう。
 何度でも追い求めよう。
 この先に、求めるものへ通ずる可能性があるなら。

――あなたは、どうですか?

 最後に封じ込められていた言葉に春香は顔をあげる。
「これからの時間、作っていきましょう」
 イリスは告げた。
「命は蘇らない、それは確かですから」
 言葉一つ一つを噛みしめるように
「ただ、ボクはいろいろな命の形に触れてたので、どこまでが死か、分かりづらかったですよね」
 そう苦笑いを浮かべるイリスが頭の中に浮かんだ。
「それでも、このままだと春香さんは死んでしまう。それは確かな生死の境界で、すごくいやです」
「でも、私従魔になったら」
「その時は介錯してやる」
 言葉が聞えた発したのはカゲリ。
「俺は否定しない。死にたいと思うことを否定しない。だから安心しろ」
 絶対の肯定者であるカゲリは春香を見捨てない。
「だが皆は良しとしないだろ。それは」
 直後春香の体がふわりと持ちあがる。犯人は無月。
「これを見てからにしてもらおうか」
「離して!」
 連行される春香。向かった先は実験室。そこでは彩名がベルトで止められており。
 そしてその体から従魔化の異常が全て取り除かれる瞬間が映し出されていた。
「成功だお」
 ぶかぶかの白衣を振り乱して彩名に飛びつく蘿蔔、涙を流しながら感謝を述べる彩名、奇跡の瞬間がそこにあった。
「春香ちゃんッ!」
 そんな春香の後ろで扉が開いたかと思うと燃衣が駆け寄って抱きしめた。
「うわ! セクハラだ!」
「ごめん……ッ……気付かなくて……ッ」
 そんな春香の言葉もきかずに涙をこぼす燃衣。
「……キミは絶対に死なせない。殺しなんて絶対にしない」
 燃衣は告げる。
「言った筈だ。ボクら、喪った者同士……《共に生きよう》って」

「キミが何を言っても、世界がどうなっても絶対に変わらないコトが一つある。ボク死んでも、キミの味方だ。それだけは絶対に変えてやるもんか」

「だから、春香ちゃんも頑張ろう。もし、春香ちゃんを癒すコトが出来れば……同じ病に苦しむ大勢の人を死から救えるんだ」
「うん、奏みたいだね」
 春香は告げる。
 その騒ぎを聞きつけて集まりだすメンバーたち。
「死ぬなんて怖いお? 本音いったら良いお!」
 目元のクマを隠そうともせずに槇が告げる。
「そうそう。それに春香さんは……ずっと行動で示してきた筈だよ。誰の為に戦ってきたのか」
 誄が言った。
「だから、俺たちここに居るんだよ」
 アリューが春香の頭を撫でて告げる。
「英雄ルネは『壊れて』消えた。
 その『死』は理夢琉の心に三本目の深い傷を刻んだ。
 自分より辛いだろう仲間がそれでも前を向くその背を追いかけながら自分の傷と向き合ってきた」
「うん」
「理夢琉が強い?
 強くなろうとしているだけだ、以前の春香がそうだったように。
 今頃トイレに飛び込んで泣いているだろうさ。
 皆が薬を完成させようと必死なのに泣き顔なんて見せられないって。
 まぁ、たった今完成したんだけどな」
 そう悪戯っぽく笑うアリュ。
「春香を救えなければ4本目の傷は理夢琉を壊すかもしれない。俺は理夢琉に君を殺させたくない、身勝手だと責めてもいい……従魔化と闘ってくれ春香」
 そう差し出された薬。副作用は発生しないと、胸を張って言うことはできない。成分的には安全だがどこで何が起こるか分からないのが霊力という分野だ。
「この前話し合うのが必要といったのに、話し合いが足りていなかったのはボクらもだった」
 イリスが告げる。
「ううん、私も、みんなとお話が足りなかった」
 そう告げる春香はいつもの春香の声音。
 ガデンツァ戦の前、春香の話を聴くこともできただろう、けどそれをしなかったのは、やはり何か心に引っかかっていたからなのだろう。
「賢い答えなんて出ない。それでも、だとしても、こんな理不尽を野放しにはしてられない」
 その言葉に頷いて燃衣は告げる。
「それに春香ちゃん。キミ、ヤラれっぱなしなんだよ? なんか腹立ってこない?」
「そうだね」
「…………《されば立ち上がって戦え》……この続きは、分かるよね?」
 燃衣の言葉に頷いて薬を飲む春香。効果が発揮されるまで数時間はかかるだろう。
 だが、その瞳に闘志が戻るのは一瞬だった。
「まず、澄香ちゃんに謝ってくる。その後erisuを探す」
「さがす?」
 イリスが首をひねった。
「いなくなっちゃったの。だからごめん、一緒に探して」
 告げる春香はまだ弱弱しかったが、確実に心は立て直された。
 もう怖くない。もう不安じゃない。みんながいる。
 春香はここで初めて、仲間を頼るということを覚えたのだ。
 仲間に自分の命を預けることを覚えた。
 間違えば正してくれる、間違う前に殺してくれる。間違わないように導いてくれる。
 だから、だから春香は自分にできることをしよう。
 そう思えた。

 エピローグ。

 クラリスはこのプロジェクト開始から何度目になるか分からない遙華の執務室へ訪問していた。
 グロリア社への法的攻撃を回避するため、初動でHopeとの折衝をこちらから申し出るよう提案。したかったのだが遙華は一行に出てくれない。
 ロクトも忙しく捕まらない、まるでクラリスを避けているかのようでもあるし。
 だからクラリスは遙華の執務室に踏み入った。しかし
 そこは伽藍のどうだった。
 遙華はいない。どこにもいない。
「なんで、遙華さんはどこに」
 振り返ると蘿蔔がフルーツバスケットを取り落す。
「遙華……そんな」
 彼女は拉致された。そう報告されたのはそれから数時間後である。




結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271

重体一覧

  • トップアイドル!・
    蔵李 澄香aa0010
  • 燼滅の王・
    八朔 カゲリaa0098
  • 深森の歌姫・
    イリス・レイバルドaa0124
  • 希望を歌うアイドル・
    斉加 理夢琉aa0783
  • 紅蓮の兵長・
    煤原 燃衣aa2271
  • その背に【暁】を刻みて・
    藤咲 仁菜aa3237
  • その背に【暁】を刻みて・
    阪須賀 槇aa4862

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 託された楽譜
    魅霊aa1456
    人間|16才|女性|攻撃
  • エージェント
    R.I.P.aa1456hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 夜を切り裂く月光
    無月aa1531
    人間|22才|女性|回避
  • 反抗する音色
    ジェネッサ・ルディスaa1531hero001
    英雄|25才|女性|シャド
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • エクス・マキナ
    ネイ=カースドaa2271hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • 世を超える絆
    世良 杏奈aa3447
    人間|27才|女性|生命
  • 魔法少女L・ローズ
    ルナaa3447hero001
    英雄|7才|女性|ソフィ
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
前に戻る
ページトップへ戻る