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きっとこれは悪夢ではなくて
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最終発言2018/05/17 20:54:17 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/05/16 03:07:13
オープニング
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――――――――――――――。
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誰もがヒーローになれるわけではない。
とある少年は、数人の同級生から殴られながら、そう思った。
いつだって、世界は開かれていると思っていた。何にだってなれるし、どんな人生だって歩める。少なくとも先生や両親はそういっていたし、テレビに出てくる偉い学者やコメンテーターだってそんなことを言っていた。
だけど、現実はそうではなかった。今の僕はほんの数センチしか体格が違わないサッカー部の男子から殴られて蹴られて、下卑た笑いを押し付けられている。すべてが違っていた。僕の人生の中で、輝いているものは――少なくとも今は――どこにも見えなかった。
こいつらを、見返してやりたい。
もっと強くなって、こいつらを見下し返してやりたい。
けれど……と、少年は同級生たちが満足して帰った後で、夕暮れ時の空を見上げながら思う。
そんなことができるのだろうか?
自分の家は裕福なわけではない。ジムに通うとか、塾に入るなどということはとてもではないが望めないだろう。仮にそれがかなったとして、果たしてうまくいくかどうかもわからない。
では自分でトレーニングするか。それはできない。何かしようとすれば絶対に彼らの目についてしまう。彼らのネットワークは広大で、自分の考えなど及ぶべくもない。見つかったら何をされるか……。
八方塞がり。そんな単語が少年の頭をよぎる。
結局、自分は何にもなれないのか。ただ生まれた星が悪かっただけで、テレビの中で活躍するリンカーになれないのか。誰からも尊敬されるような存在には、なれないのか。ただ運が悪かっただけで。
――――いやだ。
いやだ、いやだ、いやだいやだいやだ!!
強くなりたい、見返したい。見下して、同じところまで引きずりおろしてやりたい! あいつらなんかよりもはるかに尊敬されるようなヒーローになりたい!
それすら叶わないのなら――こんな世界、滅んでしまえばいい!!
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――――? ――――――――!
●
「いたぞ、あの男の子だ!」
少年が気が付いた時には、周囲を警察に包囲されていた。
彼らは皆一様に殺気立っていて、何人かはちらちらと気がかりそうに少年の足元に目を落としていた。少年が何の気なしに視線を追ってみると、そこには彼を散々痛めつけて醜い欲望を満たしていた同級生が、血だらけになって転がっていた。
ああ。
ついに、やったのか。
「相原祐樹君。君には同級生を暴行した容疑がかけられている。おとなしくこちらに来てくれ。そうすれば我々は何もしない」
……?
なぜ、彼らはこちらをにらみつけているのだろう。
「……だめです。動きません」
「落ち着け。もう少し様子を見るんだ」
まるで、僕が。
ヒーローに倒される、悪役みたいじゃないか。
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――――――――!!!!
●
「撤退! 撤退だ!!」
「容疑者が逃走! こちらは容疑者の攻撃で被害甚大、応援を求む! 繰り返す――!」
●
「今回君たちに対処してもらいたいのは、この愚神だ。ああわかっているぞ、見た目にはただの中学生の男の子にしか見えないし、愚神の反応なんて計器の誤差レベルでしか検出されていない。けれどな、ただの男子中学生が拳銃と警棒で武装した警察官三名、さらに応援に駆け付けた十五名を難なく叩きのめして重傷を負わせることができると思うか?
特殊犯罪事例として警察庁からH.O.P.E.への通報が入り、こちらで解析と調査を行った結果、この少年を暫定的にだが愚神と認定した。……そう殺気立つな、続きがある。
彼は愚神に感染している可能性が高い。つまり、彼自身が愚神というよりは愚神が彼の体を動かしているということだ。反応が非常に微弱なのもそのせいだろうな。愚神は少年の神経や血管、組織に浸透してほとんど同化している。そこから漏れ出ている愚神の反応しか拾えなかった、というわけだ。
少年は現在、近くの支部を目指して進路上にある障害物をすべてなぎ倒しながら直進している。到達されればどんな被害が……パンデミック的な意味で起こるか予想がつかない。ライヴスを介した攻撃であれば少年に影響はないだろうから、支部に辿り着かれる前に動きを止めてくれ。最終防衛ラインを支部前の公園に設定する。そこでなんとしてもケリをつけろ。
あと、下手に近づくなよ……と言いたいところだが、遠距離からの接触ほど感染が高くなる予測が出ているほか、最終的には直接愚神を体外に叩きだす必要がある。充分に注意してくれとしかこちらからは言えない。
それでは、幸運を祈る。哀れにも愚神に罹患した少年を止めるんだ」
解説
目的:デクリオ級愚神『インフェクト』の撃破
登場人物
『インフェクト』
・デクリオ級愚神。実態不明、全長などの物理的ステータスはすべて不明。
・対象一体を狙って肉体の支配権を奪取する能力を持つと思われる。肉体の支配権が奪われた対象は攻撃性が増加し、パラメータの上昇補正がかかる(PL情報:全パラメータ+50、洗脳(3)付与)。一度感染すると三ラウンド感染状態が続く。
・接近戦を行う際二分の一の確率で、遠距離から攻撃(少なくとも『インフェクト』の視界に入らない範囲から)した場合四分の三の確率で『インフェクト』に感染する。感染による戦況の混乱を避けるため、極力接近戦を行うこと。
・感染した少年は、非常に大きな精神的心労を抱えていたことが確認されている。愚神はこれに付け込んだ可能性が高いが、確定はできない。充分に注意すること。
(PL情報:能力者あるいは英雄の『闇』、つまり両親との死別や後ろ暗い過去を強制的に突き付けられることになります。どう対処するかがカギになります)
少年
・『インフェクト』に感染した少年。いじめを受けていたとされる。
・自己肯定感が極めて低く、現実に対する憎悪とヒーローへの憧れと諦めを持っていたと語られるが、詳細は不明。
公園
・『インフェクト』の近くの支部前にある大きな公園。障害物が乏しく、中央に噴水がある以外は木々がまばらに生えているだけ。
・この公園を突破されてしまうと支部に到達されてしまう。『インフェクト』の侵攻をここで阻止すること。
リプレイ
プロローグ
相原少年…………いや。インフェクトの来訪は迫っていた。
その歩みを止めることはどんな大人にもかなわず、足止めも、それどころか……よろめかせることもままならない。
当然だろう、外見は少年でも霊力の力を授かりし愚神。
愚神認定された存在『インフェクト』としてH.O.P.E.に定義されている今回の討伐対象である。
そんなインフェクトは荒い息をつきながらぎらつく瞳で逃げ惑う人々を見た。
(こいつら、誰も僕を助けてくれなかったくせに)
支離滅裂な怨嗟が少年の身を包む。
彼らがなにをしたわけではない、彼ら単体という意味では。
ただ、社会は少年の存在を無視した。少年の悲鳴を聞き逃した。それどころかなかったものとしようとした。
だれかは見ていたはずなのに、誰かは理不尽な暴力に気が付いてくれると思ったのに。
そんな自分への陰湿ないじめを見て見ぬふりをしておいて、自分たちがその暴力の脅威にさらされた時こんなにもあっさりと逃げ惑う。目に涙を浮かべて悲鳴をあげて。
それが滑稽なような。身勝手なような気がして。
少年は矛先を変えようかと振り返る。
しかし、すぐにインフェクトは思い直す。
今優先すべきは彼らではない。もっと根底にある、もっと罰するべき存在。
少年をいじめていたいじめっこたちではない。だって、もうすでに少年をいじめていた者達はもう……。
少年は拳を振り上げる。
その拳で空へ車が舞って、少年が通行したその後ろに落ちた。
道路の上では無数の車が無数に乗り捨てられている。
それらすべてを乗り越えていかなければならないのが面倒臭い。
「うっとおしいな!」
告げるインフェクトは無造作に右手で車を払った。
紙ふぶきのように空中を舞う外車。それが別の車と追突して巻き込まれ、連鎖して転がる複数の車体、それが逃げ惑う市民の背中に着地しようとしたとき。
『紀伊 龍華(aa5198)』が現れそれを受け止めた。
当然生身ではそんなことはできない『ノア ノット ハウンド(aa5198hero001)』と共鳴済みである。
H.O.P.E.の到着だ、間に合ったのだ。
歓声が上がる、安堵の声。それに少年は歯噛みする。
「報告にあった通りに支部へ向かって一直線…………か」
『GーYA(aa2289)』が暗い表情を隠さず告げた。公園から真っ直ぐ少年に向かって歩みゆく。背中に大剣を背負って。轟々と燃えたつ炎のカーテンを払って。少年へと接近していく。
『まほらま(aa2289hero001)』は念話でGーYAに語りかける。
――前の任務では愚神が赤ちゃんを依り代にしていたのよねぇ。
「愚神は人間に憑依しその命を喰うんだ、なんにも残らなかった……救えなかった」
――相原祐樹くんはまだ意識を残してる、まだ救うチャンスはあるわ。
「全部喰われる前に引き剥がして愚神だけ倒す方法を考えなきゃな」
インフェクトはそんなGーYAを一瞥するとにやりと笑って視線を小脇の車に向ける。
その車のとびらを無造作に引きはがし。それをまるでフリスビーのように投げる。するとGーYAに到達する前に『海神 藍(aa2518)』がそれを空中で切断した。
トリアイナ……いや黒鱗と命を打たれたそれを振り、切っ先を地面に突き刺して勢いを殺すと藍は着地。
両断された鉄の破片がバウンドして転がるが、それはGーYAがさらに細かく砕いた。
藍はGーYAの隣に立つと二人は相原少年の目の前に立ちはだかる。
「はは、かっこいいな、ヒーローってところか?」
嘲笑う相原少年。
「こんなところにヒーローはちゃんといるのに。俺のところには来なかった」
その言葉に眉根をひそめる二人。少年の言葉の痛々しさ、および表情の邪悪さに事態の深刻さを知る。
「何の為に向かってるかは謎だがな。此処でくい止めろってのが依頼だ。熟すしかねェ」
様子を見ながら告げる『ヴィーヴィル(aa4895)』彼は観察者。まだ手は出さない。
――……YES.マスター。
『カルディア(aa4895hero001)』の言葉を共に敵の背後へ。
「不服か?」
――……乗っ取られた相原少年は、何を望んでいたのか、興味があるだけです。
「あ、その辺りは本人サンに聴くしかねェな。まだ、ガキがガキである間に、な」
「聞ける状態なの?」
ヴィーヴィルにそう『恋條 紅音(aa5141)』が問いかけた。続々と現れるリンカー。すでに少年は包囲されている。
「本部の話じゃまだ、完全じゃねぇって言ってたな」
ヴィーヴィルの言葉に希望を見たのか紅音は張り切って武器を取り出した。
「オッケー。ほとんどって事はまだ完全な同化じゃないんだね。じゃあダメって決まったワケじゃない! 必ず引剥がす!!」
――なぜ支部へ? まるで討伐されたいみたいです。
『禮(aa2518hero001)』は相原少年にも聞こえるようにそう問いかけた。
藍は相原少年へと歩みを進める。
「本当に憎いのは、自分自身なのさ」
藍の言葉、禮は少年の胸の内を想像して……次いで理解を示せず首を振った。
それも仕方ないのだろう。禮は、世界を愛しているから。
だが藍は少し理解できた……だって。
(私は……世界を憎んだことがある)
世界とは結局、自分の瞳に映るものだ。
「……さて、彼の思いを受け止めに行こうか」
多分今の彼に必要なのは、想いを吐き出すことだろう。
そして時は動き出す、インフェクトは無理やり包囲網を突破するように突貫。リンカーたちは全員が矛先を相原少年に向ける。
第一章 闇
『魂置 薙(aa1688)』は踊りかかってきたインフェクトの膝蹴りを錫杖で捌いた。
その動きに一瞬驚きをみせる少年だったが素早く体制を立て直し姿勢を低く。
左右にステップを踏んでフェイント、追撃の蹴りを薙は錫杖ではじいた。
回転するように少年は体を持ち上げて伸び上がるようにストレート、それを避けて薙は腕を錫杖で打ち上げる。
拳を上に伸ばす形で動きを止めた少年。その表情が薙には不遜に見えた。
「H.O.P.E.の者です。君を、助けに来ました」
「助けに来た? 僕を?」
相原少年は複雑に表情を歪ませ、感情を抑えるように顔面に手を這わせる。
悶える相原少年。
「もう…………」
次いで口にしたのは呪詛。
「いまさら、いまさらいまさらいまさら。いまさらだ!! もう遅いんだよ! ヒーロー様」
迫る少年、その腹部を捕えるように藍は黒鱗を振るった。バットのように振りかぶり、少年を地面に転がす。
後ろに吹き飛びながら、少年は転がりながらも飛び上がり。靴のかかとを削りながらも着地。そこへGーYAが切りかかる。
大剣を避け少年はGーYAの側面へ。放った蹴りをGーYAは両手をクロスして受け止める。
そのGーYAを蹴り飛ばすと距離を放されてしまった薙に少年は再度視線を向けた。
たった二足で十メートルの距離を詰め相原少年は薙に殴り掛かった。
その行動にヴィーヴィルは歯噛みする。少年に言葉をかけた。
「戦闘……するのか? 其れがアンタの意志ってヤツか?」
ピュリフィケイトソードを携え、相原少年に切っ先を向ける。
「しゃあねぇ、か」
切りかかるヴィーヴィルの一撃を避け『茨稀(aa4720)』に拳を叩き込む。
その拳に錫杖を合わせると恐るべきことに薙の錫杖が押され返されそうになる。
その勢いを殺すために手の中でくるりと錫杖を回転させ半歩下がる。そのまま錫杖を振り上げると相原少年はぴたりと動きを止める、鼻先をかすめる錫杖。
その動きに『エル・ル・アヴィシニア(aa1688hero001)』は感心した声を漏らす。
「ぐ…………」
その時、薙の眼前になにかがちらついた。
それはかつての記憶?
「くっそ」
悪態をつきながら錫杖を振るう薙だがそれをインフェクトは適当に捌いてくる。命中すれば愚神と分離させられるかもしれないのに。こんな軽いダメージでは効果は期待できない。
魔剣を使うか。
一瞬よぎる想い。ためらっているわけではない。
だってこいつは、愚神だ。
「退けよ!」
その時相原少年は踏込みタックルするようになぎを吹き飛ばす。
追撃の掌底。それを庇った少女がいる。
「今度はあたしが相手だ」
紅音が立ちふさがる、彼女を中心として藍や茨稀が展開する。
だが相原少年はにたりと笑ってその手を地面に当てた。すると。
「吹っ飛べ!」
コンクリートの地面が脈打った。まるで巻き上げられる木端のように道路がはがれ上方に霊力の嵐が吹き荒れる。
「逃がすか!」
それでも食らいつこうとする紅音は相原少年の足を踏み自分の足ごと、躊躇無く刃を突き立てた。
「あああああああ!」
痛みになれていない相原少年は悲鳴をあげる。
だってそうだろう。足の骨ごと貫かれて、血もこんなに出ているのだ。
「これでその身体は進めない。その身体にいる意味も無い! ……さぁその身体から出ていくんだ! 今すぐ!!」
「&%W&%&?」
相原少年ではない声が紅音の耳に届いた。その時相原少年の瞳がグルンと回転し、紅音を見る。
「僕に触ったな? 僕を傷つけたな? あいつらみたいに」
血が凍りついた。
思わず悪寒に身を震わせ、紅音はその場から遠ざかる。
胸に、心に何かが入ってくる?
「近付いちゃだめだ!」
そうも言ってられない。第一防衛エリアは破られた。相原少年は公園に差し掛かろうとしている。
それを抑えるべく薙と茨稀、薙は背後から電光石火の一撃。
その一撃を受けて公園内に吹き飛んだ相原少年。噴水に頭から突っ込むとはじかれるようにそこから脱出。
――来るぞ!
『ファルク(aa4720hero001)』の鋭い叫びをうけ、茨稀は錫杖で敵を迎え撃つ。
錫杖「金剛夜叉明王」それは人間の生命に害なす者を弾く力を持つ。
「サポートする!」
GーYAが相原少年の攻撃を大剣の腹で捌くと茨稀はその影から相原少年の側面に回る。
茨稀は錫杖を叩きつけるも。不穏な気を感じていったん後退。
「逃げるな!」
GーYAは素早く足をかけインフェクトを転倒させると、その首元に大剣の刃を突き立てる。
「これで大人しくなったな」
告げた瞬間、相原少年の体から黒い何かがあふれだしGーYAの体を押し上げるような勢いでまとわりついた。
その隙に相原少年は脱出。
だが眼前に立ちはだかるのは茨稀である。
「遊んでるのかよ」
茨稀は攻撃しない、ただし前に出ようとする相原少年のステップに合わせてぴったりとして移動して先に行かせない。
苛立つ相原少年。
その背に浴びせられる烈風波。
GーYAが息も絶え絶えに刃を振るっている、額には脂汗。それが髪の毛をはりつけている。
あの症状は紅音にもみられた。
嫌な予感がする。
相原少年に、迫る茨稀は錫杖の石突で足をからめ捕ると再びその場に相原少年を引き倒した。
その相原少年に歩み寄りながら『ウォルター=レクター(aa5215hero001)』は告げる。
――いじめっ子に仕返し出来たんだろ? だったらこのままで良いんじゃねぇか?
『ジキル=ハイド(aa5215)』は首を振った。
「馬鹿言うな、明らかに過剰な反撃だろ。それに、自身の力でも無いし、それに呑まれてちゃ意味がない」
次の瞬間、黒い煙のようなものが相原少年からわきだし茨稀の体に絡みつく。
「過剰? 過剰だって? それはあいつらの事を知らないから言えるんだ」
それをきっかけに相原少年から闇が噴出した。
「なにも知らないくせに」
さらに闇は強くなる。
「なにも知らないくせに」
ハンドスプリングで起き上がる相原少年。しかしその背後から茨稀が迫る。
二人に分裂。ジェミニストライクだ。
それにジキルは合わせる。エヴァンジェリンでの一撃。
「なにも…………」
「知らないくせに」
その時ジキルの背後で霊力が吹きあがった。
驚いて二人は攻撃の手を止め振り返る。そこには。
そこには相原少年と同じ闇を噴出させながら立ち上がろうとする紅音。とGーYAの姿があった。
第二章 闇
「明日になれば 病気が治る?」
そう教えてくれたのは誰だろう。
それは病室で、名前は知ってるけどよく知らない白衣の人達が変わるがわる入ってきて、同じような言葉をかけて去っていく。
大丈夫、心配する必要はない。
君はきっとよくなる。
わたしたちを信じてほしい。
大丈夫。
明日になれば 病気が治る?
なぜそんなことが言える。根拠は? 本当に?
本当によくなるんだよな?
わからない。問いかけてもみんな嘘みたいな笑顔で、その言葉を押し付ける。
その言葉に嘘を感じて、GーYAは胸を押さえて空を見た。
「この薬を飲めば 走っても苦しくならない?」
夢見ていた、みんなと一緒、同じように遊び、笑いあう、その瞬間を。
病院の外を走り回る子供たちに自分を重ねて見たこともあった。けれど。
「嘘だった」
何かが零れ落ちる、胸から、瞳から? それは失望か。
「良い子にしていれば 笑っていれば…………夢が叶う?」
GーYAは見下ろしていた。
かつての自分。泣いて泣いて、いつか、必ずよくなる、そう信じるしかなかった自分自身。
「嘘つき、嘘つき、全部嘘だ!」
大人は優しい嘘で騙して俺を生かそうとする。
「どうせ死ぬのにさ」
「あの時はさ、何のために生きてるか分からなかったんだよ」
そう相原少年の手を取るGーYA。泣きじゃくる相原少年の手は冷たかった。
「同情の眼差しで見るのはやめろ!」
そう手を振りほどく自分自身。
もしかしたら今の自分はかつての自分が嫌う『大人』になってしまったのかもしれない。
子供心は複雑だ。そしてそれはきっと彼にも言えることだろう。
「生かされてるって感覚が強かった。だからいつ死んでも構わないと思ってたんだ。けれど今は違うんだ」
GーYAが語りかけているのは幼い日の自分ではない。
振り返ればそこには相棒がいた。
ずっと自分を見守ってくれている人。
大切な人だ。
英雄まほらま。
彼女が英雄だったからこそ今、こうして戦える、生きていける。
「あの時の俺は絶望の檻の中で相原と同じだった」
たった一つ違うことがあるとすれば。それは彼に手を差し伸べたのが愚神で。
自分は英雄だった、ただそれだけのこと。
「もし、もしもまほらまが愚神だったなら……」
その言葉をまほらまは指を一本たてて、しーっという合図でかき消した。
言わずともわかる。彼が思っていること、彼女が言いたいこと。
全て伝わっている。だからGーYAはその仕草に頷いてGーYAはまほらまに並ぶ。
「そうだな。生きていれば相原も俺も希望を見つけられるはずだから」
だから救いに行こう。彼はまだ終わっていい人間ではない。
* *
暗い闇に支配されるGーYAを小気味よく眺めながら少年は藍の一撃を回避する。
GーYAにトドメをさそうと走り出すとその行く手をジキルが阻んだ。
「退け!」
膝蹴りを空中で受け止めるジキル。ジキルは全身をみしみし震わせる少年の膂力に驚きながらその攻撃の勢いをそのままに少年を引き倒し、地面に叩きつける。
起き上がる少年。その少年は驚くべきものを見る。闇が薄い。
「何でそれを振り払えるんだ!」
目の前を遮るジキルを殴り倒そうと拳を振るっていた相原少年。
その視線は続々と立ち上がるリンカーたちに向けられている。
相原少年は驚きを隠せずにいた、闇の誘惑、それは絶対のはず。
なぜなら自分が囚われた闇だ、そんなもの誰もが囚われなければおかしい。おかしいのだ。
だけどGーYAはわずかな没頭のあとすぐに自分を取り戻して見せた。
闇を自力で振り払ったのだ。
「なんで、なんで」
戸惑い、そして否定。
そうでないと困る。闇を振り払えたのは何かの間違い。
そうでなければ少年は困るのだ。
だって、振り払うことが不可能だから自分は彼らを手にかけて、そして今ここにいるのだから。
「強いて言うなら、君を助けるためにだ」
GーYAは汗まみれの表情で笑う、次の瞬間何かがはじける音がして。軽やかに紅音が相原少年の目の前に膝をついて着地した。
「そんな、あんたも」
――無駄だよ。紅音にその類の精神攻撃は効かないんだ。……寧ろ強くなる。奮起する。闇は紅音を強くする。
告げたのはヴィクター・M・メルキオール(aa5141hero001)。
(闇に呑まれた子を、闇を己の力にする子が励ます……か、これも面白いね)
そう状況を眺めるヴィクターなぞつゆ知らず。紅音は立ち上がると高らかに告げた。
「そう……アタシの家族は愚神に襲われて死んだ。死んだんだ。けど!
だからこそ!
アタシはこれ以上、愚神や暴力を使う人のせいで悲しむ人をこれ以上増やしたくないんだ!!」
真っ向から相原少年を見すえる紅音の視線に相原は視線を逸らした。
茨稀もそう、闇を振り払って立ち上がる。
認めていないのだ、茨稀自身が愚神と言う存在を認めていない。
だからその手を借りて強くなることも認めていない。
愚神は家族と自身の左手を奪った存在、それは報復するに足りる者たち。
愚神さえ居なければ……と言う強い意志の許、日々存在している。
その茨稀からすれば愚神の誘惑など唾棄すべきものだ。
そんな自分にはない強さを見せつけられ相原少年は目をそらさずにはいられないのだ。
後ろめたさが常にあった。
「何であんたらは、そんな風にいられるんだ。僕は変わったのに、あいつらをぶちのめすために変わったのに!」
「普段の自分と違うっていうのは、自覚あるかな?」
そう静かに問いかけたのは薙だった。振り返りざまのストレート。それを腕をとる形で止めて薙は視線で少年を射すくめた。
「今、君は愚神と判断されている。愚神は僕の、人類の敵だ」
「アンタらも敵だ、僕はずっと一人で耐えてきた。少しくらいいいじゃんか、仕返ししたって。だってあいつらも、みんな僕にひどいことを」
その言葉をジキルは真っ向から否定する。
「君、確かにイジメられた仕返しは出来たかも知れない。
けどこのまま暴れていたら君はそのいじめっ子と大差ない。
いや、より悪い存在かもしれない。
君は正義の味方に憧れているんだろう? だったら 自分の中の悪を頑張って追い出してみなよ」
その言葉を薙が継いだ。
「それは自分で強くなってするべきだった。もし君に力を求める理由があるのだとしても、愚神だけは頼ったらダメだ」
「あああああ!」
叫び声をあげて殴り掛かってくるインフェクト。そう認定された相原少年。
少年は霊力をただ放出してリンカーたちの視界をふさぐ。
ジキルをタックルで吹き飛ばし、後ろから動きを止めようと迫る薙を振りほどいた。
暴れて息をつく少年、生唾を飲み込み立ちあがって前に進む、公園をまず抜けなければ。
花畑をつっきって前に、けれど何度でもリンカーは立ちはだかる。
藍が踏み込む、刺突。それを見切って避けて少年は身をかがめて潜り抜けようとする。
右フックで藍を吹き飛ばそうとする。その腕を藍が槍の柄で絡め捕り、衝撃で前につんのめった相原少年の腹部に薙は拳を叩き込んだ。
その拳から闇が侵食してくる、それでも。
――乗せられるな。愚神の手の内だ。
エルの声に頭を振る。
「わかってる、わかってるけど……!」
愚神を倒したい、その欲求が薙の体を満たしていく。
異変に気が付いた藍は薙の体を引きはがし代わりに相原少年を抱きしめる、するとその体を冷たい衝撃が貫いた、藍は歯噛みしてそれに耐える。
「なんで…………」
あっけにとられる相原少年。
その時相原少年は見た。
藍のイメージが流れ込んできたのだろうか。
家族を喪いこの世界を憎んだ日々、それが実感を伴って相原少年の脳内で再生された。
世界が塗り替わる、少年の眼前に構築される見知らぬ光景。
たった一人俯く誰か。それが若き日の藍であると気付くのに時間はかからなかった。
「ああ、みんな、居なくなって……どうして、なぜ!」
がらんどうの家。生活の痕跡、しかしひどくそれは冷め切っていて、自分の生活外のエリアにはどんどん埃が積もっていく。
こんなことになるくらいなら、取り残されるくらいなら。
ああ、死んだのが私ならずっと良かったのに。
その言葉に俯きかけた藍。だが相原少年は光を見る。
「落ち付いてください、兄さん! わたしがいます!」
トリアイナ”黒鱗”を振りかざす少女、その切っ先から聞こえる潮騒が全てを巻き込み渦となって、闇を晴らしていく。
「僕も、助けてくれる人が欲しかった。英雄に、ヒーローに助けてもらいたかった」
――ヒーロなんてどこにもいませんよ。
禮が柔らかく語りかける。
――私も結局、殺すしかなかった。
禮は思い出す、あの戦い。あの海を。
「沢山殺したの?」
少年は思わずそう禮に問いかけた。白昼夢だとわかっていても問いかけざるおえなかった。
――ええ、海が赤くなるほどに、たくさん、たくさん殺しましたね……。
殺した者たちにも、それぞれ物語があったはずなのに。
「僕と同じだ」
「まだ君は間に合う」
藍が告げた。
その時だ。相原少年はその手に握っていたナイフを藍の腹部に突き立てた。
力は弱い、傷も浅い、けれどこれは相原少年なりの決別のあかしなのだろう。
愚神を宿したというのに少年の体はか細く見えた。
そんな少年の肩へ藍は手を沿える。ナイフで刺されていたにも関わらず藍は相原少年を気づかって見せた。そんな藍の腕を振り払うと相原少年は今まで以上の霊力を体に纏わせた。藍を睨みつける瞳にかつての力はもうない。
「禮。この冠が何の証か忘れはしないだろう?」
弾かれたように離れ藍はそう問いかけた。勲章宝冠に触れるその仕草に禮は言葉を返す。
「はい。絶対助けて見せます」
嵐のように吹き荒れる黒い風。
それは徐々に形を成す。途惑う少年の体から芽吹くように何かが姿を現そうとしていた。
「こんなことしたくなかった。あんなことしたくなかった」
少年は気持ちを漏らす。
「誰も傷つけたくなかった。でも怖かった僕はこのままなのかって、悪いのはあいつらなのに、僕はずっと誰にも助けてもらえないままなのかって」
リンカーたちは少年を囲うように陣形を整える。全員が少年の出方をうかがった。やがて出現するそれを確実にとらえるために。
「みんなは誰かに助けてもらえたんだね。僕は違った。僕は間違ってしまった。僕はもうだめだ」
ウイルスを伴った愚神本体。
あれだけを滅することができればきっと相原少年は助かる。
「私は君を止めなければならない。先達としてね」
ジキルが藍に触れた。その体の病を癒しそして全員で相原少年に刃を向ける。
ジキルのクリアレイに合わせ、藍は幻影蝶を発動。
光の幻影が愚神本体にまとわりつき、愚神の力を削ぐ。
「落ち付け。君は悪じゃない。…………よく耐えたね」
藍は深呼吸して相原少年に告げる。
「ヒーローとは悪を倒すものではない。皆を救うものだ」
次いでジキルはライブスフィールドを展開。
次の瞬間リンカーたちが動いた。
愚神の力を抑え込みにかかる。
「アアアアアアアアアアアアアアアア!」
少年の絶叫。魔導愚神。
「確かに世界は残酷だ。神に祈っても届きやしないし、奇跡など起こりもしない」
相原少年の攻撃になっていない拳を、藍は黒鱗でさばく。
「だが、泣き叫ぶ者を放っておかないくらいには、優しいものなんだよ?」
相原少年は藍に肉薄、その体を血まみれの拳で押し飛ばすように走りだし、それを遮ったヴィーヴィルを血に濡れたナイフ脅す。突破口をそこに見出した。
「そこをどけ!」
しかしヴィーヴィルもただ黙っていみているわけではない。
自分を中心に武装を展開。それ自体を射出して相原少年に放った。
削り取られるような暴虐の嵐。
しかし相原少年は血まみれになりながらも止まらない。
少年は駆け寄り、とまらずヴィーヴィルに刃を突き立てた。
「アンタが間違っている訳じゃない。だが、血が多過ぎた」
そのナイフは刺さることはなかった。その手を取ってヴィーヴィルは告げる。
「絶望するには早すぎる。ヒーローに憧れてるンだろ? ヒーローと言う、自身に」
「僕は…………」
「其の想いが在るなら、それはもう、憧れじゃねェ」
告げて相原少年の肩を掴み、真っ向から瞳を覗く。
その言葉に素直に頷けなくて、相原少年は闇を送り込む。
「そう言うことはもう聞きたくないんだよ、お前も、こっち側にこい!」
その攻撃をきっかけにヴィーヴィルを全力で捕えようとする相原少年。
だがそれもまた、無意味となることも知らずにいた。
ヴィーヴィルは耳元で声を聴く。
それは愚神の声だ。
コノ少年ガダメナラ、オマエヲ。
その言葉に頷き、ヴィーヴィルは身をゆだねる。最後の戦いだ。
そんな確信があった。
第三章 結論
ヴィーヴィルは何かを見ていた。
それは、全ては走馬灯のように、くるくる、くるくる、と、廻っている様な……。
景色。
それにヴィーヴィルは見覚えが無い。
前後不覚、五里霧中。
ただ、闇に飲まれれば見える景色もあるだろう。
すぐに気が付くことになる。
これは自分の作り出した光景ではない。
これは自分の記憶にない光景。
これは誰かに魅せられている光景。
ウイルスを通じて誰かの闇が自分に流れてきている。
そうだ。これは相棒のカルディアの記憶だ。
証拠にカルディアの声が聞こえてくる。
――私の存在は世界に在るだろうか。それすらもただの妄想だろうか。
どこからともなく、彼女の不安げな声が聞える。
ヴィーヴィルは顔をあげる。何かが見える、何だろう。逆光になっていてわからない。
ヴィーヴィルの顔に光が降り注ぎ、ひどく眩しい。
――消えてしまいたい願望は、夢だろうか。
声が聞えた。それはヴィーヴィルがよく知るあの声。
――何もない私は、私すらも無いのだろうか。
その光景もやがて開ける。一つの終焉が導かれる。
闇など伴わない。それは夜明けのようにヴィーヴィルの目には映った。
――やはり空は青く……眩しかった。この儘、終わりなのだろう。
急に眩しさが消えた。誰かが居る。声が聞こえる。手を差し伸べられる。
カルディアは…………その手をとった。
同時に相原少年もその手を取っていた。
全てが砕け散る音共に愚神の音が少年から離れていた。
少年もまた闇を決別することができたのだ、それは紛れもなく、リンカー全員が呼びかけ続けたその力。
「この手を取れるのならば、お前はもう、ここに居る誰よりも、強い」
現実世界に戻ってきたのだ。目の前には真っ赤に染まる相原少年。その泣きじゃくる姿を抱きしめてヴィーヴィルはもだえ苦しむ愚神から距離を放した。
そう、俺よりも……だ。小さくつぶやいた言葉をカルディアは聞き逃さない。
(あの時……そう、マスターは私に「いきたいか」と聞いていた……)
カルディアは思い出す、自分も彼に救われたこと。
だが戦いは終わっていない。
その愚神に意志は有るのだろうか。それとも自身の存在、その危うさゆえの本能だろうか。
愚神はまるで翼を広げるように相原少年の背に集まると、黒い花のように実体を作り、相原少年を引きはがそうと地面に蔓を伸ばした。
それは大きく広がると蔓を太くしあたりにウイルスを散布する装置となり果てる。
「いやだ! 嫌だ」
もがく相原少年。恐怖で身をすくませている。だがもう愚神に好きにはさせない。
少年の視界を遮るように背が見えた。茨稀の背が。
「「偽りの力は、アンタの本当の力じゃない……。選ばれた、等と思っているのか?」」
茨稀とファルクは声重ねて問う。
「「違う……そいつらは全てを焼き尽くす。蹂躙、する……アンタは。アンタの本当の心は……。世界を消したいのではなくて。変えたいんじゃないのか?」
「変えたい!」
その言葉に頷き茨稀は走る。
その蔦を、放たれるウイルスの塊をかいくぐり前に。
GーYAが襲いくる波のような蔦の塊を大剣で絡め捕って切り捨てた。ジキルは怯んだ愚神の蔦を手に取って引っ張り動きを封じる。
その隙に茨稀は側面に回り込む。
のた打ち回る愚神。蔦が地面を叩く。舞い上がる土煙。身を竦めたくなるような轟音。
上空から藍が切りかかる。
「見ろよ……」
ヴィーヴィルが少年に告げた。
「ヒーローはちゃんとくる。遅くなってすまなかったな」
やがて茨稀はその根のたもとに茨稀はたどり着く、ありったけの力を込めた繚乱を。
爆ぜるようにその根のすべてを吹き飛ばされた愚神。
傾いでいく花、蔦が千切れたことで大地からも霊力を摂取できなくなった。そのか弱い存在は体を維持できない。
光が愚神の全体を包んだ。そして地理になるようにぱらぱらと消えようとする愚神。
だが最後にとその蔦の一本を少年に伸ばす。その一撃を薙が錫杖でもって叩き伏せた。
反撃にと紅音が駆け抜けざまに一撃を加える。
その一撃をもってして愚神はその身全てを光に転じた。
その光景をあっけにとられて眺める少年。その少年に歩み寄り紅音は手を差し伸べる。
「大丈夫! キミは愚神にとり憑かれて色々しちゃったけど……今は生きてる!
生きてたらやり直しだってできる!
キミは負けなかったんだよ!
生きててくれて良かったよ。……ありがとう!」
泣きじゃくり紅音に抱き着く相原。
それを眺めながら茨稀はつぶやいた。
「……彼は。彼と俺は……。道を違えただけの鏡写し、なのかもしれないですね」
そう告げる茨稀の頭をファルクがクシャリと撫でた。
何も言わぬ彼の気遣いが嬉しかった。
「違えさせねーよ、お前は。この俺が、な!」
茨稀はファルクを見あげると不服そうな表情を見せる。
「相変わらず……根拠のない自信の固まり、ですね……」
そう茨稀は溜息をついた。
エピローグ
今回の愚神騒動で公園は相応のダメージを負ってしまった。
その修復作業のためにも大量の人員が必要となるが、問題は少年の体調である。
本当に愚神の脅威が去ったのか。それもふくめて愚神の干渉を受けたリンカーたちの体調調査が必要だ。
戦うだけがH.O.P.E.ではない。
戦闘後事後処理のH.O.P.E.隊員が来るのをリンカーたちはその場で待つ。
野次馬があたりに詰めかけているのが見えた。
先ほどまで逃げ惑っていたというのに安全だとわかると手の平を返すようだ。
そんなざわめきの中禮は藍に寄り添って休んでいた。
「…………兄さんの言ってること、少しわかった気がします」
藍は酒を呷る。
「彼も、立ち直れると良いんだが、な」
告げると穏やかな風が二人を包んだ。
もう何があっても負けない、そんな二人を祝福するかのように。
担当: 鳴海
結果
シナリオ成功度 | 普通 |
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