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広告塔の少女~お着替えで視聴率を~
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/03/25 12:27:32 -
相談卓
最終発言2018/03/25 14:40:43
オープニング
● アイスフェアリーズ
「うふふふ、全て凍てつかせてあげるわ」
氷の天使が舞い降りた、とある都市部。突如出現した愚神は途轍もなく弱かった。
「えーん、何でですの」
その愚神はけ躓いて泣いていた。背中にある美しい羽はお飾りとばかりに何の役にも立たず、足元の段差に愚神は転んだ。
泣いてた。
「私愚神なのに~」
午後の陽気、晴れ渡る空に春の訪れを感じる、そんな昼に似つかわしくない白と水色の少女。
流れる髪は背中まであり、薄く広がった四枚の翼は水色。衣装もフリルの凝ったワンピースであったが、それが育ちかけの彼女の体を覆っている。
そんな少女が泣いているという光景は少なからず人間たちの心を煽った。
確実に愚神。だが脅威ではなさそう。
そんな思いに突き動かされ、逃げ惑っていた人間達が彼女の元に戻り始めた。
「だ。大丈夫かい?」
少年がそう手を差し出すと、少女は転じて笑顔になる。
「うん、ありがとうもう大丈夫、えへへ」
そう笑う少女が少年の手を握った矢先、それは起こった。
周囲に広がる凍気、しかしそれは人を凍らせる程度の出力もなく、代わりに少年の衣装を凍らせた。
「え?」
次いで、バシーンという硬質な音と共に、少年は丸裸になった。
「ええええええ!」
「わああああ! ごめんなさーい」
あわてて謝りだす愚神の少女。しかしその少女は空に飛びあがるとふふんと笑った。
「でも、私達愚神だし、人を困らせるのがお勤めよね?」
私達? その言葉に住民たちは首をひねる、その矢先である。
空から雪の結晶が降り注ぐがごとく。
氷の少女が何体も舞い降りはじめた。
「うわ、何だこれ」
それと同時に住民たちの衣服が凍りはじめる。
「うふふ、みんなの霊力いただくね」
告げると、脆く儚く住民たちは丸裸になった。
砕け散り舞う氷の破片。
それはとても美しい光景だったそうな。
●愚神について
今回相手にしていただく愚神はスノウフェアリーズ。
軍団で一体の愚神です。
その数は50にも及ぶようですが、個体の能力は残念ながら並の従魔以下です。
具体的には新人リンカーに対しても、装備が充実していれば。あるいはブレイブナイト等防御力に自身のあるクラスであればダメージがほぼほぼ入らない程度に。
しかし彼女等には厄介な能力があります。
それが衣服凍結能力です。
霊力が通っていたとしても体温が一定以下の衣服はたちまち凍って砕けます。
不思議と肌着は大丈夫です。体温で温められるからでしょうか。
もはや今回の依頼で服をはがれないことはありえない。
そう判断したH.O.P.E.はグロリア社に助けを求めました。
すると。
「服が破れるなら、服をたくさん用意すればいいじゃない」
遙華はそう告げました。
皆さんは衣装をチェンジしながら戦っていただくことになります。
あ、あとこの依頼派手で見ごたえがありそうなのでテレビ中継されています。
肌着は絶対氷らないものを支給しますので、ぜひお着替えしながら戦闘を楽しんでみてください。
皆さんの衣替えが見事であれば、視聴率も上がり遙華はウハウハです。
今回は戦闘で活躍する以外にも、多くの視聴率を稼いだリンカーもMVPになります。
●衣装の種類
では今回重要となる衣装について説明します。
取りそろえる衣装は古今東西なんでもあります。
ただ、ひらひらした衣装は凍ります。
布の薄い衣装は凍ります。
しかし安心してください。
皆さんの衣装が破れても、フィールドにお着替えエリアが多数あるから大丈夫です。
戦闘フィールドは二キロ四方の四角いエリア。この中に等間隔で十個、御着換えボックスが存在します。
衣装が氷ったならここで好きな衣装に着替えてください。
今回相手にする愚神もビジュアル的に可愛いので、こう、攻撃を加減してあげると服だけ破れるかもしれません。
***下記PL情報*************
しかしこの愚神人間社会になれているようで、この愚神も衣装が破れると御着換えするようです。
衣装によってテンションが上下する用です、なので衣装ルームの衣装をあらかじめ調整しておくことで、任意の衣装を着せることができるでしょう。
また、ノリがよくておバカなので、いろいろ話をふると乗ってくれるかもしれません。
*********************************
解説
目標 愚神を倒し切る。
●スノーフェアリーズについて。
主な攻撃方法は接近戦による表決攻撃ですが、レベルの高いリンカーにとっては冷たい風に吹かれた程度でしょう。
ただし、敵は50体存在し、それを刈り尽くすのはなかなか難しいことでしょう。
そしてドジッ子なので、攻撃をかなりの確率でミスします。
あとはライヴスを伴う水を瞬時に凍らせることができるので。そんな水を入れたバケツを持ってうろついている可能性があります。
一体程度であれば問題ないかと思いますが。何体ものバケツ攻撃を受けると、行動阻害を受ける可能性があります。
場合によっては氷像にされてしまうかも。
ついでに敵が100SQ以上離れている場合。つまり自身の周囲100SQに誰も敵がいない場合。空中にとどまって氷の華に転じようとするようです。
これに何の意味があるか分かりません。
● 視聴率について
視聴率については、衣装の傾向を絞ることで上げることができます。
たとえば、チャイナ服やボディースーツと言った生地の薄いお色気よりな衣装だと、男性の人気が。
普通にファッションとしてカッコいい、可愛い衣装であれば、女性の視聴率が。
コミカル、アニメチックな衣装だと子供の視聴率が上がります。
なるべく幅広い視聴率を獲得できるようにしましょう。
また視聴率は、リンカーたちのセリフや、戦闘内のドラマ。等でも上下します。
つまり見どころがあるかどうかですね。
リプレイ
プロローグ
「……衣服を凍らせて、裸にする……あぁもう!」
『楪 アルト(aa4349)』はご立腹であった。
「なんで最近はいつも今なのばかりなのよ!! なんでそもそも……ほんっと! みんなバカばっか! いいよ! やりゃあいいんでしょ!! やるよ!!」
マネージャーに無理やり連れてこられてしまったのか、それとも早とちりか、しかしこの後彼女を更なる不幸が襲うことを彼女はまだ知らない。
黙々と戦闘用衣装に着替えていく。
「絶対に凍らない肌着って何で出来てるんだろう?」
そんな中ピラピラした肌着を持ち上げて『鴉守 暁(aa0306)』が告げた。
『キャス・ライジングサン(aa0306hero001)』はその言葉に頷く。
「寒地で売れそうなネーミングデスネー」
「それはともかく本日の御召し物はキャスに合わせてみましたーカウガールガンマンー」
「ヒューカッコイー」
ポージングを決める暁をもてはやすキャス。
これなら男性受けも女性受けも狙えるだろうと思っての衣装チョイスである。
「では、行きましょうかね。英雄憑依」
告げると二人は解け合う。
「我等傭兵」
――任務開始。
一気に戦闘区域に解き放たれるリンカーたち。
道路を疾走しながら『世良 杏奈(aa3447)』はインカム越しに告げた。
――遙華ちゃん! 戦ってる時のルナの写真をたくさん撮って、後で私宛に送ってちょうだい♪
ええ、解ったわ。
――色んな格好したルナを見てみたいの!
今回は『ルナ(aa3447hero001)』主体の共鳴で戦いに出る杏奈である。
この戦いでリンカーたちは大いに目立つことだろう。世界は今リンカーへの注目度を高めている。
そんな中のメディア依頼だ。
『御手洗 光(aa0114)』が逃すはずがなかった。
「目立つことなら此処を逃す手はありませんわね」
そうみんなを誘って参加しようと声をかけた結果光の周囲には仲間たちが集まっている。
『廿小路 沙織(aa0017)』もその一人。
「光様に連れて来られたのですが……これは、なんというか酷い愚神が……」
そう街中の様子を眺める沙織、彼女の瞳はすでにフェアリーズを捕えている。
「えーっとつまり、服を剥ぐ愚神が出たから、お着替えしながらやっつけろ、ってコト?」
『ヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)』がそう首をかしげた。
「……面白そうじゃーん♪ たっぷり見せつけちゃおーね、沙織?」
「このまま放ってはおけません、しっかり退治しませんと」
そう沙織が告げると『レイア・メサイア(aa0114hero001)』が同意した。
「わぁい、レイアちゃん楽しみなのですぅ」
戦いが始まろうとしていた。
第一章 氷結する衣装。
アルトはその歩みにまかせるままに敵陣中央に現れた。
「はぁ! 遠慮しろだと! なにさらにバカな事まで言ってやがんだよ!」
開く砲塔。その両目は激情と裏腹に、冷静に目標をロックオンする。
「相手は愚神だぞ! 視聴率!?」
次いで殺到するフェアリーズ。その冷気はアルトの衣装の端々にしみいってくるが、アルトはそれを気にしない。
「それだけのためにあたしんらは脱がされなきゃなんねーって言うのかよ! ばっかじゃねーの!!」
銃口が火を噴いた、貫録の仁王立ち。
マズルフラッシュが昼間なのに眩しく。怯んだフェアリーズ達のひらひらの妖精服が破けていく。
「ひやあああああん」
フェアリーズ達の悲鳴を無視して、アルトは銃を乱射しつづけた。
これにはたまらないとフェアリーズの一体が胸元を抑えながらアルトに手を伸ばす。しかしアルトも身軽である。
その服の袖に少しふれられただけでするりと逃れそのまま跳ねる。跳ねまわりながら目についたフェアリーズは片っ端から撃っていた。
(こ、こうしろって言われたから……仕方なくこういう戦い方してるんだからなっ!)
ではこうしろと言った本人は誰か。
それは決まっている。
ロクトである。
インカム越しにロクトの指示が飛んだ。
「そこで振り返ってニッコリ笑顔」
それに従い、アルトはポーズを決めると視聴率が増したらしい。ロクトからお褒めの言葉をいただいた。
「ちくしょー、なんだってこんな」
そんな飛び跳ねるアルトを捕獲しようとフェアリーズは肩に足を乗せて梯子を作って妨害してきた。
「おいおいおい!」
勢いがついてしまったため、避けられない。
それを切り崩して倒したのは『春月(aa4200)』である。
「って……あん?」
しかし、春月だと気が付ける者は多くないかもしれない。
「目指せガ〇ャピン!」
「そうなんだ……」
『レイオン(aa4200hero001)』が茫然とつぶやく通り春月は全身キグルミに包まれている。黄色い、もこもこした。見ようによっては電気ねずみや、大きな鳥に見えるかもしれない。
そんなキグルミ。
(話ができる相手とあまり戦いたくない。でも困らせてるから、やめてもらわないと!)
そんな思い一心で春月は刃を振るう。
「おいおい、なんだよあれ」
そんなキグルミ戦士にアルトは気をひかれてしまう。だってあんなに重そうなずんぐりむっくりな体なのに、機敏にバク中したり、壁を走ったりして攻撃を避けフェアリーズを切り捨てていくんだもの。
しかも装備がカジキとマグロ。
これで面白くないはずがない。
「ふふふふ」
そんなアルトの背後でフェアリーズの笑い声がした。
振り返るとバケツを持ったフェアリーズ。ばしゃーんと水をかけられたときにはすでに遅い。衣服が凍りつき始め動くと砕けた。
衣装大破である。
「ちくしょおおおおおお!」
最寄りの更衣室に、こぼれそうな胸を覆いながら走るアルト。
中から先約の暁が出てきてアルトと入れ違いに戦場に立つ。
「あんぜんだよ」
「ありがとよ! 女軍曹!」
カウガールから着替えた暁が次に選んだのはタンクトップに鉄板の仕込まれたブーツ。スカーフにゴーグル、ベレー帽、それらすべては迷彩柄。
「普段着で着れるミリタリーって格好良いでしょ?」
そうカメラに向かってポージングすると視聴率が増えたらしい。
ただ、暁も前半遊んでいたわけではない。
暁は罠をはっていたポジションに戻るとその狙撃ポジションに伏せ、ライフルで目標を狙う。
そこには衣装ボックスが存在し、中からはなんと着替えたフェアリーが現れた。
そのフェアリーは少し恥ずかしそうな仕草をした後。
暁に射抜かれていた。
ぴちゅんと軽い音がしてはじけるフェアリーズ。
「ん~ うまくいかないな」
次は羽根及び胴を狙おうと心に決めた暁である。
「掠めるように狙えばいい感じに当たるはず」
ただ、そんなところで狙撃していれば狙われるのは定め。
ビルの屋上に陣取っていたのだが階段が騒がしくなってきた。
その音に反応して武器を火竜に持ち替える暁。
来たらぶっ放す気満々である。
「近づくと危ないよー」
扉が開いた瞬間うち放つ暁、阿鼻叫喚のフェアリーズである。
これで服も溶けるはず。そう考えての行いだった。
対してアルトのお着替えが済んだ様子。
「ってなんでこんな格好で戦わなきゃいけねーんだよ!! ばっかじゃねーの!!」
パンツが見えない方がおかしいミニスカセーラーである。
カメラが執拗にローアングルを責める。
それに気をとられ、スカートを抑えるとフェアリーズに攻撃されるものだから、ガトリングは片手持ちにせざるおえなかった。
思わずヒールでカメラを踏み抜くアルト。
「おー、やっちまったぜ」
遙華の鳴き声がインカムの向こうから聞こえた。
「ちょっとは春月を見習いなさい」
噂の春月はクルリクルリを回るような可愛らしいぬいぐるみダンスを披露しつつ。
フェアリーズ達を牽制していた。
「あいつ、なんであたしの近くにいるんだ?」
「氷像になるのは寒そうだし遠慮したいから。単独行動は避るって言ってたでしょ?」
首をひねるアルトである。
あまり戦いたくないと思っているわりに、特に手加減はしない春月。
フェアリーズを容赦なく足を引っ掛け転ばせるとカジキを叩きつける。
そして起き上がりざまにパニッシュメント。フェアリーズを一人吹き飛ばした。
「おうおう、派手にやってるじゃねーか」
そんな春月が活躍している間に衣装をチェンジしてきたアルト。
前開きポンチョにハイネックである。
「ん……まぁ、悪くねーが……なんか丈足りてなくねーか?」
ハイネックは胸ギリギリまで。いわゆるヘソ見せスタイル。体のラインがなまめかしく出て、布はわりかし多いはずなのに、どきんとする組み合わせである。
「はい、そこでジャンプ」
突如タックルしてきたフェアリーズ。それを跳び箱のように回避しようとすると。
その、たわわに実った果実が、重力に逆らって上に持ちあがり、震えながら、布地も持ち上げて。天を突くように、布を引っ張り。
そして、見える、見える、肌いろの果実の一部。
したち……。
そこで残念ながら映像が途切れた。
第二章 狂乱
ルナの周りには沢山のカメラが設置されていた。
「え? 杏奈これどういう事?」
それに杏奈は答えない。ただ。
「目の前のフェアリーズに集中なさい」
そうとしか言ってくれない。普段と違う杏奈の様子に恐怖すら感じるルナであるが。
一度アルスマギカを構えれば戦闘のスイッチが入った。
「いっけーーーーー」
飛び跳ね、ひらひらのスカートを翻して攻撃、近づかれれば走って距離を取り反撃。
飛んだり跳ねたり回ったり。その様子をカメラは激写していく。
次の瞬間ルナは滑り込んでフェアリーズの背後をとると、どこかに持っていくつもりだったのだろうか、フェアリーズのバケツをひったくるとルナは笑う。
「それ面白いわね! アタシにもやらせてー!」
叩きつけられる水。周囲のフェアリーズは一瞬で衣服を失った。
「じゃあ、一緒に着替えに行こうか」
なぜかぞろぞろと更衣室に入っていくルナ。そしてフェアリーズ。
かっこう……と時間が過ぎると、ルナが堂々と登場した。
先ずはセーラー服。しかしただのセーラー服ではない。
いわばそれはセーラー服で戦う戦士の衣装。
色は眩いレッド。
他のフェアリーズは色違いの同じ衣装に着替えさせられ。全員でルナの指示した決めポーズをとる。
「薔薇に代わってお仕置きよ」
しばしの無言。次いで。
「着替えがあるとは分かってても、服が無くなるのはやっぱり恥ずかしいわよー!」
振り返りざまのルナの攻撃でフェアリーズ達は消し飛んだ。
「さぁ、次は何にしようかな」
そしてルナが見つけたるはフェアリーズと同じような水色の妖精の衣装。
「そういえばアンタ達の氷攻撃、服だけ凍るだけで身体まで届かないじゃない! アタシが本当の氷攻撃を教えてあげるわ!」
そう揚々とルナは戦場までかけていくのだった。
「アタシが氷の女王様よ!!」
* *
そしてカメラは別のグループを映し出す。
それは『紫 征四郎(aa0076)』と『木霊・C・リュカ(aa0068)』のコンビ。
いや、征四郎と『オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)』のコンビだ。
二人は歴戦のコンビネーションでフェアリーズをまったく寄せ付けない。
征四郎が前でリュカが後ろ。
征四郎は時に刃で敵を弾き、リュカに迫る敵を切りとばし。
オリヴィエは絶対の信頼を持ってヘッドショットすることに従事した。
まるでそれは武闘でも踊っているかのように華やかで決まっている。
それもそのはず。
「ハルカ! どうですか、似合ってますか?」
「ええ、ばっちりよ。征四郎」
二人は軍服姿でそろえているためである。
征四郎は軍刀を思わせる刀を振るい。
オリヴィエはゴーグル越しに敵の動きをじっと見つめている。
――魔法少女の格好する?
そんなオリヴィエにリュカが問いかけると、オリヴィエはため息交じりに告げた。
「視聴率がた落ち」
「大丈夫ですオリヴィエ! 何せ銃器も刀も格好良いですから!」
そう征四郎はフェアリーズ一体を切り伏せるとオリヴィエと背中を合わせた。
「さあ! どなたからかかってきますか! 私はいつだって、全力全霊! です!」
「良いだろ。……女子受け? 知らん」
オリヴィエはLSRに装備を持ち帰ると征四郎の後ろからスコープを除いた。
その様は確かに一つの軍隊のよう。統率のとれた動きも武装も男心をくすぐるのである。
次いでオリヴィエはカメラがこちらをきちんと移していることを確認するとダンシングバレットの弾丸を撃ち放つ。それは跳弾してフェアリーズの足元をすくい、別の射撃では転ばせ一歩も前に動かせないうちに撃ち滅ぼしていく。
熱を上げる銃口。それの陰炎を見つめてオリヴィエは告げた。
「……ふ。対象、オールクリア」
視聴率が上がった瞬間だった。
「ひゃあ!」
次いで上がる征四郎の悲鳴。
オリヴィエが視線を向けると征四郎がずぶぬれである。
それどころか服の端から凍りつつつある。
「上か」
オリヴィエがスコープ越しに屋上を見ると一対のフェアリーがバケツを抱えてくすくす笑っていた。あいつがやったことらしい。
まさか真っ先に自分へクリアレイを使う羽目になると思わなかった征四郎。
氷漬けは阻止したが服がダメそうだった。
「わ、わ! ガルー! 服が…………!」
――ああもう動揺すんな、俺様に代われ!
『ガルー・A・A(aa0076hero001)』が告げると二人は手近な更衣室へと急ぐ。
次いで二人が登場したのは中世ファンタジーを模した衣装だった。
旧弊風のオリヴィエ。そして騎士風のガルー。
――コンビ物は女性にきっと受けがいいよ!
「特定の層向けすぎないか?」
いや、リュカの言ったことは正しい。二人の戦士が肩を預け合い、戦いに臨む姿は確かに一部の女性に受けた。
「おい、嫌な視線を感じるぞ」
「気のせいだろ?」
オリヴィエの言葉にガルーが返すと、ガルーは大剣を振りかざし敵の中央に切り込んだ。
オリヴィエは翠のマントをなびかせながら金色の鎖を引き寄せる。弓に矢をつがえると、ガルーの動きに合わせて放った。
「……宛ら、エルフみたいだな。この格好だと」
「ね、ね、ガルーちゃん見て! 私達お揃いね!」
そのはしゃぎようにガルーは小さく笑うと、大剣を背負って振り返る。
――オリヴィエ達のあのような姿は少し新鮮ですね。
征四郎が告げた。
「数が数だからな、さくさくやるぜリーヴィ」
「ああ、合わせてやる」
告げるとガルーの突撃をオリヴィエが後ろからサポートする形で矢を放つ。
(姿はリュカちゃんだけども、中がリーヴィだと何かもやっとするしな…………)
ガルーの矢が脇から襲いくるフェアリーズを射抜いた。
「いい腕だな、相変らず」
――弓矢のいい点の一つは、音が出ない所だからな。
二人はそう顔を見合わせた。
実を言うと、二人の実力だとこれ以上衣装を変える機会がなかった。
それ故にロクトから極秘の指示があった。
「え~ それってヤラセなんじゃないの?」
リュカが抗議の声を上げるがスポンサーの頼みなので断れず、最後の一着に着替えることになる。
これはとっておきのとっておき。
リュカとガルー主体のタキシード姿だ。
まるで画面に花が咲いたような煌びやかさである。
「ふふーふ、待たせたねぇ。いざいざお兄さんの登場さぁ!」
告げるリュカが抱える銃はへパイトス。しかし、単純に撃って終わりにするつもりはない。
後ろから迫るフェアリーズの足を回し蹴りで払って銃身で腹部をひっかけ、そのままくるりと回転させてフェアリーズを地面に叩きつけると、トリガーを絞る。
「さて、いい加減ダンスも仕舞いにするぜ。1人ずつとは言わねぇ、まとめて相手してやるよ」
対してガルーも少し着崩した風の正装、純白のタキシードである。
いや、着崩した風に見えたのは彼がすでに大剣を振り回しているからであった。
「お前さんばかり良い格好はさせられねぇな!」
告げると、ガルーは次々とフェアリーズを屠っていった。
「じゃあ、二人で勝負といこうか」
そうカメラにリュカはウィンクを投げるとバレットストームで弾丸を嵐として放つ。
それに負けじと敵陣へ切り込んでいくガルー。
結果。
「ふふーん、派手に決まった」
「まぁこんなもんか」
ガルーは大剣を地面に突き立て逆ピース。リュカはすまし顔の流し目でカメラに映る。ただし、激しい戦闘で二人の服はもうない。
「下着以外パージでのフィニッシュでも気にしないのだ」
リュカが告げると征四郎が叫んだ。
――気にしてください!!
あまりの出来事に征四郎からのタイム命令が飛ぶ。
二人はおずおずと戦闘区域を離脱。
「タオル、タオルください!」
共鳴を解いても衣装はぼろぼろのままのため、全員がてんやわんやになっている中。
ガルーはオリヴィエの姿から目をそらしている。
「ほらリーヴィ、いいから隠せ」
放り投げられたバスタオルをオリヴィエは戸惑いながらも受け取った。
「全く、ひどい事件だったね」
そうリュカはバスタオルを女の子まきしつつ、告げるのだった。
第三章 視聴率増し増し
可愛い子好きという同好の士、愛に誘われる形で参戦っ!
そう、堂々と戦場に姿を見せたのは光である。
何とも緊張感のないことに自らの恋人最有力候補生『天之川・希望(aa2199)』を小脇に抱いて連れてくると共に、どさくさに紛れに、後輩である沙織までも巻き込む形で依頼に参加した。
「うふふふっ♪ さぁ皆様、これもまた人助けですわっ♪」
「ハハァーン? 視聴率狙いとかそういうのボク超得意ですし!」
そう小脇に抱えられたまま楽しそうに告げるのは希望。
「あざとくきわどく魅せてあげましょう! もちろん共演者の愚神さんにもしっかり肌見せしてもらいますからねっ」
一瞬フェアリーズの背筋に悪寒が走った瞬間である。リアルに全員がビクンとしていたので間違いない。
「あ、ここはオフレコですよ!」
そうカメラに向かって舌を出す希望だが、もう遅かった。
「カメラが回ってるとこではキャワユイ可憐な感じでいきますからネ!」
その希望の様子を見て、やっと状況を理解し始めた『狼谷・優牙(aa0131)』。
内容を確認し騙されたんでは、と思うも時既に遅し。
「はわ!? こ、こんな依頼だったなんて!? うう、楽しい依頼なのかな、これ」
帰りたい、そう思うも『小野寺・愛(aa0131hero002)』がそれを許さない。なぜなら愛は光の同好の士だから。
つまりエロエロだいかんげー。というわけで。
代わりに状況を余り良く理解してないのはレイアであり、依頼に対するモチベーションは一番純粋である。
――とっても楽しそうなのですぅっ♪ レイアちゃん、頑張るですぅっ♪
そんな大騒ぎの光一座であるが、すでにフェアリーズに囲まれている。
「さっそくピンチ!」
即座に共鳴する光とレイア。
その服装は爆乳巨尻なセクシーボディとは対照的に、体の表面をなめるひかりはなだらか。凹凸は皆無、それでも可愛いゴシック&ロリータに変身だ!
白黒の典型的なゴシックロリータである。
最初から飛ばしていく光とレイアである。
そんな変身中に攻撃しないセオリーを守ってくれたフェアリーズを片っ端から射抜いていくのが愛。そして希望。
「くっ、自分で剥いておいてなんですけどこの子カワイイ…………すごい逸材では?」
希望はやけにフェアリーズを剥いていくのがうまかった。
「負けてないですし! ボクだってカワイイですし! おすし!」
またスパーンとフェアリーズを脱がすと更衣室に向けてお尻を叩く。
「愚神でさえなければお友達にもなれたかもなのに…………残念ですっ!」
愛はそれを横目に敵を射抜いていく。
「数だけは多いのが厄介ですね~。ですがその分、衣装は色んな物を用意したので安心ですよ~♪」
火竜にて敵を薙ぎ払うと共に。
「これだけいると射撃だけでは対応しきれませんね~。なら、私の剣技を魅せますよ~?」
後ろから迫るフェアリーズには《白鷺》/《烏羽》 で対応。フェアリーズ一体を十字に切り裂くと炸裂するように服が破れ誰かさんに負けないくらい名だからかなボディーラインが露わになる。
「ええ? なんで。あ、そして愛の着物も」
いつの間にか袴が凍り破れている。スリットからちらりちらりと見える下着は計算なのか。
太ももが光を反射して眩しい。
やはり徐々に脱がせていくのがいいんだよな。
そうフェアリーズ達が頷いている。
それと共に徐々に愛の服も破れていくそれを見て『アニマ(aa2199hero001)』はしみじみ思った。
「春先とはいえ、薄着になってしまうのは困ってしまいますねぇ…………。着替えは自由とのことですから、なるべくあったかい格好をしたいです〜」
とか言いつつも、主である希望の服はもう破れていた。
スカートはほぼ意味をなさず、腰に巻いたバスタオルのようにだらりと垂れさがっているのみ。激しく動けず、戦いにくそうだがそれは視聴者の興味を強く引いた。
そのうちフェアリーズの一体が希望の胸をタッチする。揺れる胸。その跳ね返る重みに耐えきれず衣服胸部がはじけ飛んだ。
「きゃあああああ!」
胸を押さえて座り込む希望。そのまま腕で胸を持ち上げつつも、体をひねって背後のカメラを潤んだ瞳で見た。
しかし、これらはすべて演技である。
「光ちゃん!」
そのまま希望は同じくズタズタに服を引き裂かれた光へ歩み寄る。
二人はフェアリーズの集団の真ん中で、くっころ三秒前の女戦士のようにフェアリーズを見渡した。
そんな二人に希望をもたらしたのが沙織だ。
彼女は衣装替えを素早く終わらせて二人を助けに来た。
「お待たせしましたわ」
振り返ればそこにはブレザーに身を包んだ沙織が立っていた。
しかし。スカートがスカートが圧倒的に短い。純白の下着が見えそうである。
太ももが露出されているし、風が吹けばパンツも見えそう。上着も、飛んだり跳ねたりすればおへそが見える微妙なライン。
それもそのはず、彼女の規格外なボディーが生地を引っ張っているのだ。
もはや、凍らなくとも衣服がはじけてしまいそうである。
そんな沙織とバトンタッチして希望と光は衣装をチェンジ。
希望はブレザーの女子制服。ミニスカ。萌え袖の正統派。しかしあっという間に服は破れ。パンツとブラにひん剥かれてしまう。
ただ、なぜか靴下だけは脱げなかった。へたりと座り込むと、ソックスに締め付けられた太ももがなまめかしく主張する。
光はピンクのガチロリータである。
「さぁさぁ、わたくし達の雄姿をご覧遊ばせっ♪」
――わぁいっ! 色んな服が着れて、レイアちゃん感激なのですぅっ」
それもすぐにフェアリーズに捕まって布の一枚一枚を凍らせられるという嫌がらせを受けた。
「いや! ちょっと!」
まぁ、その嫌がりも計算ではあるが。
その可愛らし見た目と、破れることで現れる豊満ボディとの対比で異なる客層の受けを狙うスタイルなのだ。
そうやって再び敵に捕らわれた希望と光を助けるのが愛の役目である。
彼女はいつの間にかチャイナ服に着替えていた。
フェアリーズを蹴り上げれば白い下着がもろに目立つ。
しかもレースである。光と希望は「おおっ」と尊敬の声を漏らしていた。
「服がダメになってまだまだありますからね~。幾らでも着替えちゃうのですよ」
そう光と希望を更衣室に送り出す愛である。
次いで登場したときには希望はフリフリスカートに大きなリボンのアイドルコス風であった。ヒラヒラ衣装からの服破損大胆露出のギャップがすごい。
「やぁんっ☆ 見ちゃだめえっちぃ!」
そうカメラにサービスカットを送ると身を震わせてくしゃみを一つ。
「ぶぇくしょぉいっ! うぅ、思ったより地味に寒っ!」
そのままフェアリーズを含めたコスプレ大会は長く続いたとか。
エピローグ
戦闘区域内に放送が流れる。
それは遙華の声であり、その声は戸惑いに染まっていた。
「すごく驚きなことに、あんなにあったコスチュームがなくなったわ。作戦終了。早急にフェアリーズを倒して頂戴」
それを聴いていたアルトと暁。二人は究極に突きつめた衣装に着替えていた。
アルトはサイバースーツ。その豊かなボディーラインを見せつけるかのような衣装である。
「なんであたしのばっかこんなんばっかなんだよー!!
発散しきれなかった思いが周囲に爆炎となって放射される。
暁は水兵さんだった。
ブランドはできるだけ統一し、高級感、本物感があふれる実に完成度の高いものになった。
最後に暁はカメラ目線でウォーキングを披露。
オンエアーの際には解説も入れるらしい。まめなことだ。
そんな二人をはじめとしてリンカーたちはどんどん撤収作業を進めていく。
そんななか羞恥で動けない少女がいた。
それが優牙。
彼女は内心戦闘中も辛かったのだ。羞恥心が爆発しそうだった。
そんな優牙の反応を愛は楽しみつつ戦っていたのだ。
戦闘後、共鳴前に下着姿だと共鳴解いた後も優牙はなぜか下着姿。
「何か酷い事になってた気がしますが、これで終了かな? ……ふぇ?」
あわてて体を隠してへたり込む優牙。
「み、皆さん、服はなるべく気をつけて……はわわわわ!?」
「あらあら、これはいい絵ですね~ シャッターシャンスですよ~」
そんな優牙を写真に収める愛は楽しそうだった。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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