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【愚神共宴】連動シナリオ

【共宴】オアソビ

雪虫

形態
ショートEX
難易度
易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/03/19 15:52

掲示板

オープニング

●奇怪なるデート
「僕と一緒に遊園地に行ってくれませんか?」
 マガツヒ所属と目されながら『善性愚神』を名乗り出し、人類への降伏を宣言した愚神――パンドラは、エージェント達を前にしてそんな事を言い出した。パンドラが現れたと聞き、アメリカくんだりまで駆け付けた李永平は、当然そんなふざけた言葉を鵜呑みに出来るわけもなく。
「テメエ、何企んでやがる!」
「企んでなんてそんなぁ。僕は皆さんと一緒に遊園地に行きたいだけですって」
「だからどのツラ下げてそんな事を」
「えっと、『このツラで』、でええんですか?」
 永平に襟首を掴まれながらパンドラは『このツラ』を指し示した。ふざけているわけではなく、「聞かれたから答えました」とでも言わんばかりの態度だった。事情を知らない者から見れば、日本人の高校生がチンピラに絡まれている、と判断しても仕方ないようなシチュエーションだと言えた。
 しかしエージェント達は知っている。日本の学生服を着た、どこにでもいそうな少年姿のこの愚神が、エージェント達と度々矛を交えている事を。永平と花陣に呪いを掛け、そのために花陣の足は今も動かないという事を。永平は呪いを解くために、そしてケリをつけるためにパンドラを追っている事を。
 にも関わらずパンドラが『善性愚神』を名乗り出し、人類への協力を申し出などしたために、迂闊に手が出せないという奇妙な状況になっている。まさかこれが狙いなのか? パンドラは先日、森蝕と呼ばれる事件の最中、一時とは言えエージェント達と共闘した事がある。しかしそれにしても、パンドラを信用するに足る証拠としては不十分。有り体に言えばパンドラが何故『善性愚神』など名乗り出したかわからないし、信用など一切出来ないという状況だった。「所詮僕達愚神は、いいように使い捨てられるだけの駒でしかないかもしれない」「身の振り方を考えたい所」という言葉を零していたようではあるが……。
「僕は本当に本当に、皆さんと一緒に遊びたいだけですって」
「だったら俺達にかけた呪いを解きやがれ!」
「それ、前に聞かれたんで言いましたけど、『貰い物』なんで僕には解く事は出来ないんです。あ、でもでも、解く協力はするつもりですよ! 『貸し』に対する『報酬』として約束しましたし、僕は『善性愚神』ですから! でも、その前に僕とデートして下さい」
「……っの、マジでふざけ……」
「どうしてもダメなら、僕一人で行ってきますけど、それでも別にええですか?」
 その言葉に永平は黙らざるを得なかった。永平は今も自分は古龍幇だと思っている。が、愚神を野放しにしてはいけない事ぐらいは理解している。万一一人で遊園地に行かせ、そこで暴れられなどしたら……パンドラの事を信用した訳ではない、否、信用した訳ではないからこそ、このふざけたデートの誘いを断る事は出来ないのだ。
「……ナメた真似を……」
「僕、何か怒らせるような事言いました? 『ダメなら一人で行ってきます』、って言うただけですよ?」
 それに、皆さんと敵対してたのは永平はんだって同じでしょう? 永平はんは仲良くしてよくて僕はダメなんて、あんまりズルいと思いませんか?」
 目を血走らせる永平にパンドラはにこりと笑った。邪気も悪意も一切ない、そんな風にも見える笑顔で。面はないにも関わらず、腹の内など一切見えぬ表情で。パンドラは襟首を掴まれた状態でにこにこと微笑みながら、傍らに立ったままのエージェント達にも視線を向ける。
「それで、皆さんは? 僕と一緒に遊園地行ってくれますか?」
 エージェント達はしばし逡巡した末頷いた。パンドラを信用してではなく、永平と同じく「野放しには出来ない」と判断したという意味で。それをパンドラがどう思ったかは知らないが……あるいはなんとも思っていないのか、永平に掴まれたまま心底嬉しそうに笑った。
「良かった! 実は僕、電車の乗り方よく分からなくて……でもこれで迷わず遊園地に行けますね! それじゃあ皆さん、どうぞよろしゅうお願いします!」

解説

●やる事
 遊園地で一日遊ぶ

●遊園地
 アメリカ某所にある超大型遊園地。敷地も建物もアトラクションも客数も、フードもお土産もパレードも何もかもがビックサイズ。一日で全制覇するのは不可能に近いだろう
 パレードは19時から開始。いい場所で見るためには場所取りが必要。花火も上がる

●NPC(?)
 パンドラ
 トリブヌス級愚神。善性愚神を名乗っている。PC達と遊園地で遊びたがっている。アトラクションにいっぱい乗りたいし色々食べたいしグッズも買いたい。一日遊び倒す気しかない
 PC・NPCに攻撃行動は一切しない/PCから攻撃された場合は回避はするが反撃はせず、PCをなだめようとする

●NPC
 李永平&花陣
 パンドラに呪いをかけられ、花陣は足が動かなくなり車椅子を余儀なくされている。パンドラへの攻撃行動は取らないが目を離す気はなく、楽しむ気も毛頭ない。PC達がパンドラを監視してくれるならまかせる場合もあるかもしれない

●その他
・入場料はH.O.P.E.が必要経費として出してくれる/飲食等の買い物はゲーム通貨から徴収する/購入したものはアイテムとして配布しない
・NPCが何か買う場合基本はNPC自身がお金を払う
・NPCは特に要望がなければ描写はなしor最小限
・乗りたいアトラクションがあればプレイングで指定可(リンブレ世界でも不可能そうなものは却下する場合がある)
・使用可能物品は装備・携帯品のみ
・プレイングの出し忘れにご注意下さい
・英雄が二人いる場合は英雄の変更忘れにご注意下さい
・能力者と英雄の台詞は「」『』などで区別して頂けるとありがたいです
・パンドラが共闘を持ち掛けたシナリオは「【森蝕】モウシデ」

リプレイ


「いえー! 今日は盛大に遊び尽くすんだぜー!」
 虎噛 千颯(aa0123)は全力で天に拳を突き上げた。烏兎姫(aa0123hero002)も『遊ぶんだよー!』と元気に拳を突き上げる。
 天気は快晴。遊園地は広大。敷地も建物も以下省略も何もかもがビックサイズ。
 ビックサイズな入園口の前に立ち、永平は全力でしかめっ面をキメていた。千颯は永平にそろっと近付き、素早い動きで背後に回り胸筋を下から揉み上げる。
「……!!?」
「永平ちゃ~ん折角遊園地来たのにそんな渋面でどうすんの~?」
「な、何しやがんだテメエッ!」
 永平の肘が即座に飛んだが千颯はしゅっと回避した。血を昇らせる永平に千颯の悪びれる様子ゼロ。
「え? そりゃ雄っぱいハンターとしては永平ちゃんの雄っぱいの成長具合を調べないといけないからね!」
「おっ……いやンな事はどうでもいい! テメエまで何をフザけて……」
「パンドラちゃんに関しては『今現在』は警戒しなくても大丈夫でしょ。自ら『善性愚神』だって売り込みに来たんだぜ? 半信半疑の中で態々騒ぎを起こして自らの立場を悪くするなんてただの馬鹿だぜ? パンドラちゃん達が何か企んでるとしても動くのは今じゃないんだぜ~」
 飄々とした態度を崩さず千颯はチッチと指を振った。そのまま人差し指を自分の唇へ持って行く。
「あと、中途半端な警戒は周りの一般人に変な不信感を与えるんだぜ? ほらあそことか」
 言って千颯は人混みをさりげなく指差した。確かに二人のやり取り、永平の殺気だった様子にさえ視線を向ける者がいる。千颯は永平の肩に手を回し自分の方へ引き寄せる。
「というわけで永平ちゃんも一緒に遊ぶんだぜ~! あ、永平ちゃん」
「なんだよ」
「烏兎ちゃんに手を出したら殺すから」
 はしゃいだ口調から一転、おふざけ一切なしのガチトーンで言われ永平はバッと千颯を見た。千颯はにっと笑いつつ永平の肩をぽんぽん叩き、呆然とする永平を置きパンドラの方へ歩み寄る。
「パンドラちゃんには俺ちゃんが遊園地の極意を伝授してやるんだぜ! いいか! 今日は俺ちゃんの事を隊長と呼ぶように! 遊園地アトラクション全制覇なんだぜー!」
「本当ですか!? よろしゅうお願いしますね隊長はん!」
「正直に言うと……複雑……」
 さっそく千颯を「隊長」と呼ぶパンドラを眺めつつ、木陰 黎夜(aa0061)は首を傾げて心情を小さく零した。アーテル・V・ノクス(aa0061hero001)は腕を組み黎夜の言に声を返す。
『パンドラが善性愚神と自称しても不思議はないんだが、その言葉が額面通りであるか、か』
 いずれにせよ情報が少な過ぎて判断の下しようもない。パンドラの監視は怠らないが、遊園地を楽しんでも罰は当たりはしないだろう。まずは一応自己紹介と黎夜もまた愚神に近付く。
「宣言で、名乗ってはいるけど……一応……。木陰黎夜……」
「お名前呼んでもよろしいですか?」
「うん……一応」
「それでは、どうぞよろしゅう黎夜はん」
 パンドラは手を差し出したが黎夜はそれには応じなかった。男性恐怖症が一番の理由だが、そうでなくても握手には多分応じなかっただろう。
 パンドラは困ったように笑み、手を引っ込めようとしたが、横から男の腕が伸びパンドラの手を握り締めた。パンドラが顔を向けるとヨハン・リントヴルム(aa1933)が友好の笑みを浮かべる。
「パンドラ! 会いたかったよ、本当にありがとう!」
 愚神の右手に両手を添えてヨハンは感謝を口にした。それから、自分と傍らに控えていたパトリツィア・リントヴルム(aa1933hero001)の名を告げる。
「僕はヨハン・リントヴルム。こちらは妻のパトリツィア。美人だろう? 自慢の奥さんさ」
『もう、あなたったら……恥ずかしいです』
 パトリツィアは頬を赤らめ照れた様子で俯いた。いつもの実用重視の地味なメイド服ではなく、デートするに相応しい可愛いワンピースをまとっている。新婚ほやほやと言わんばかりの仲睦まじい二人の姿に、パンドラはぺこりと頭を下げた。
「どうぞよろしゅう。ほんまに綺麗な奥さんですね」
「ありがとう。パンドラ、君は僕にとっての希望だ、知り合えてとても嬉しいよ。呪いがヴィランズのものだって事は、ちょっと複雑だけど……それでも、君とは仲良くなれると思う」
「ほんまですか? 仲良くしてくれたら僕はとっても嬉しいです」
 好意を示すヨハンの態度にパンドラは満面の笑みで応えた。二人の手が離れた所で、ロゼ=ベルトラン(aa4655hero001)もまたパンドラへと握手を求める。
『アタシはロゼ。ロゼ=ベルトランよ♪ ほら、信実クンも』
「俺は別に……はい、高野信実っす」
 ロゼに笑顔で促され、高野信実(aa4655)は渋々口を開いた。よそよそしい態度だがパンドラに気にした風はない。
「パンドラです。どうぞよろしゅう」

『花陣チャーン』
 シルミルテ(aa0340hero001)は速攻で花陣に飛び掛かりにいった。うさ耳にシルクハットにファンシー眼帯に合成音声、遊園地のキャラクターと間違われても不思議ではない。
 が、お客様相手にパフォーマンスする遊園地のキャストではない。車椅子の上で花陣は腕を左右に広げ、飛び込んできたうさ耳をわしわしと撫でてやる。
『おお久しぶり。元気にしてたか?』
『ウン! 花陣チャンの車椅子押しテもイイ? お膝デごろごろシテもイイ?』
『おおいいぜ。どんと来い!』
 花陣の快い許可を受け、シルミルテはさっそくお膝の上でごろごろした。代わりとばかりに自慢のうさ耳をもにもにさせる。
「わ、遊園地だって!」
『……えぇ、そうですね。はしゃぎすぎて転ばないように注意して下さいね』
 メグル(aa0657hero001)の忠告に御代 つくし(aa0657)は「分かってるよ!」と笑顔を向けた。向日葵のような笑顔。だがまとう空気はどこかくすみ、屈託ないと言い切るには無視出来ない程の影がある。表面上はいつも通りだが、アマゾンでの護衛依頼以降、どこか噛み合わない会話が二人の間で続いていた。
「いつきちゃん、一緒にいてもいい?」
 つくしは「いつも通り」の笑顔を浮かべ佐倉 樹(aa0340)に問い掛けた。樹につくしの誘いを断る理由は当然なく。
「うん、いいよ」
「やった! 今日はいっぱい遊ぼうね!」

『おおー! アメリカの遊園地ってやっぱデカいんだな!!』
『スッゲー! こんな面白そーな場所とか初めてかも』
 エリック(aa3803hero002)とカール シェーンハイド(aa0632hero001)はほぼ同時に歓声を上げた。テンション上がりまくりな相棒にレイ(aa0632)はクールに釘を刺す。
「……ハメ、外すなよ? 普段でさえ外れ気味なんだから、な」
「(でも良いのかなあ、善性を名乗っているとしても愚神がこんなにも堂々といるなんて……)」
 パンドラの姿を眺めつつ世良 霧人(aa3803)は思案した。パッと見は完全に高校生、愚神とバレて騒ぎになる可能性はそんなに高くはないと思うが……。
『じゃあアニキ、オレ達パンドラと一緒に遊んで来るー!』
「えっ!? ちょっと待ってエリック! 僕も行くから!」
 霧人の懸念など一切介さずエリックは即行ダッシュをキめ、霧人は本気で慌てた様子でエリックを追い掛けた。ビックサイズでお一人様など迷子案件まったなし。贔屓(aa0179hero001)はパンドラの背後に回り込み、愚神の手にあるパンフレットを覗きながら声を掛ける。
『ねえ仮面の君、取り敢えず目標は全制覇でいいかい?』
「財布の余裕と時間的余裕を考えてからモノ言えこの野郎」
 贔屓とパンドラから距離を取りつつ始麻(aa0179)が苦々しく突っ込んだ。前回パンドラと共闘した時の事もあり、最早贔屓に引きずられて来ているような状況だ。反応はするが表情が死んでいる。お財布係あんど贔屓とパンドラのお目付け役が基本と言っても過言ではない。取り敢えず面倒な事が起こらないよう、それ以上に早く帰れる事を切実に願うばかりだ。
 一方贔屓は前回の事もあり、今回は公的に遊びに行けるというのが大変嬉しい様子である。事前準備という程ではないが、簡単に中の事は調べてきている。パンフレットを示し説明し、改めて愚神に問い掛ける。
『……と、いう訳で凄い量なんだけれど、君はどこから行きたい?』
『パンドラ、特に行ってみたいエリアとかあるか?』
 贔屓に続いてエリックも横から口を開いた。エリック的にはめちゃくちゃ広いし、とても全部は回れないと思っているが、パンドラの要望を叶えつつ、皆とどこに行くか相談しながら回った方がいいだろう。全制覇を約束する隊長もいることだし。
『君が行くというのなら僕はどこまでも。それだけ君に興味があるという事さ』
 贔屓が重ねてパンドラに尋ね、パンドラはむううと唸った。一瞬だけ悩み、ぐりっとリンカー達に瞳を向ける。
「僕、遊園地初めてなんでどこも興味いっぱいです。出来れば全部行きたいですので……隊長はんお願いします!」
「俺ちゃんに任しておくんだぜ!」


 遊園地の花形と言えばやはり絶叫系だろう。中でもスタンダードなジェットコースター、ビックサイズの遊園地ともなれば個数は両の手を超える。
 信実は涙目になっていた。ロゼに腕を引っ張られ渋々乗ったはいいのだが、叫んで涙目になっていた。時速140km越えの乗り物に括り付けられ振り回されて一体何が楽しいんだ!
 だが絶叫系否定派は今回は少数だったらしい。信実を引きずり込んだロゼはキャーキャー笑いながら満喫してるし、カールも『速い! スッゲー!』とテンションが一緒に加速している。一周し降りた後、ヨハンは上機嫌に胸を反らした。
「あははは! 思い切り絶叫するのも、気持ちいいもんだね! ほら、落ちてる時に写真撮ってたんだって。パンドラもばっちり写ってる」
「ほんまですー。すっごく速くて面白かったですね! もう一回乗りたいどす!」
「もう一回乗ったら全制覇は出来ないんだぜー」
「うっ、そうですか……じゃあ残念ですけど次に!」
 黎夜とアーテルはお化け屋敷を丁重にお断りした。
「うちは……いい」
『俺達は待ってるからみんなで行ってきてくれ』
 黎夜はホラーが大の苦手、アーテルはホラーは平気だがゾンビの類が苦手である。お化け屋敷以外でも、ホラー系アトラクションはご遠慮申し上げたい所だ。
 パンドラの監視は必要だが、二人ぐらい抜けた所で別に問題ないだろう。皆がお化け屋敷に入った間に、黎夜はポップコーン等を買い食いする事にした。皆で分けられるようにとビックサイズのものを買い、一同が出てきた所で合流しつつ勧めてみる。
「よかったら、食べる……?」
「ありがとうございます。それじゃあ遠慮なく」
 パンドラは礼を述べポップコーンを口にした。他のメンバーにも勧める黎夜にパンドラが首を向ける。
「黎夜はんは何か乗りたいものないですか?」
「それじゃあ……パンドラとコーヒーカップ乗りたいんだけど……いいかな?」
「僕とですか!? それはもう喜んで!」
 ちょうど空いていたようで、二人か三人で組を作ってコーヒーカップに乗り込んだ。巨大なカップに座ってきょろきょろするパンドラに、黎夜が遊び方を説明する。
「この真ん中のヤツを回すと……カップが回る……」
「僕が回してもええですか?」
「あんまり、回し過ぎないように……」
 嬉々としてハンドルを回すパンドラを黎夜は複雑そうに見やる。遊園地を楽しむのは目的の一つだが、パンドラの監視を忘れている訳ではない。コーヒーカップにパンドラを誘ったのも二人きりで話すため。
「裏切りとかに厳しいイメージあるから、少し意外だった……討ち落とすって……殺すって宣言した相手と遊園地に行くの、不思議というか、複雑というか……」
 パンドラに聞こえるよう若干声を強めつつ、黎夜は愚神に話し掛けた。周りの客達の楽し気な声が音のベールとなっている。
「”貰い物”については”報酬”で……。……どうして身体盗られたか聞いてもいい……? ゲーム世界のドロップゾーンで、衛生兵のお姉さんに埋め込んだ”何か”に関係ある?」
 パンドラの言っていた『研究所』の調査結果、それについては言わなかった。こちらが得た調査結果は伏せた上で、黎夜はパンドラへ問い掛けた。
「向こうさんが何を考えていたかは僕にはようわかりませんが、埋め込んだ”何か”についてはお答えしますね。あれは僕の『細胞』です」
 黎夜の表情が強張った。パンドラは黎夜の表情を見て首の辺りをかりかり掻いた。
「これも言っておいた方がええかもですね。僕は細胞を従魔や愚神に埋め込んで『壊造』する事が出来るんです。あの時埋め込んだ『孕兆』はその応用で……ただ、そのお姉さんが今も無事に生きているなら、細胞は取り除かれていると思うてくれてええですよ」
「信じる根拠は」
「細胞が残ってたら、そのお姉さんは埋め込んだその日に死んでいたはずですから」
 黎夜は彼女のその後の様子を思い起こす。クリアレイによって”何か”は完全に消失したと検査結果もきちんと出ている。だが研究所の調査結果で、パンドラ細胞は言動・人格崩壊、発狂をもたらす事が示されている。表情を険しくする黎夜にパンドラは困ったような顔をする。
「これは申し訳ない事をしてしまいましたね。でも、僕に言えるんはこれぐらいです。僕の言葉を信用出来ないなら、僕が何を言うてもあんまり意味ないと思いますけど」
 確かにパンドラの言う通り、パンドラ自身の保証など信用に足るものではない。クリアレイで消失したと精密検査の結果が出た。一年以上経過しても彼女は誇り高き衛生兵だ。それらを判断材料とするより他はないだろう。
 黎夜はふうと息を吐き、気持ちを切り替える事にした。パンドラが研究所について「知らない」と言っているのなら、これ以上聞いた所で何も答えはしないだろう。
「……ゲーム世界のドロップゾーンで、カメラ、もらってたよな……? 持ってたら、撮る……?」
「僕、実は人間の機械に弱くて、使い方分からないから大事に飾っているんです。持って来れば良かったですね、残念どす」

 アーテルはスマートフォンで黎夜とパンドラを撮っていた。切り込むのは黎夜の役目、自分は一歩引いて様子見だ。
 と、柵にもたれかかり、パンドラを睨んでいる永平に気が付いた。人がいないのを確認し、アーテルは永平へ歩み寄る。
『不躾なのは承知で聞いても良いですか?』
「なんだ」
『今の呪いの状態、どうなっていますか? 掛けられた呪いがどのようなものか、詳しく把握していないもので』
 変化がないならまだ良い。良くはないが、少なくとも変化があるより。永平はアーテルを一瞥し、愚神に視線を戻して言った。
「これと言った変化はないな。前みてえには力が出せない……そんぐらいだ」
 そうですかと呟いてアーテルは撮影へと戻った。愚神との共存に対して、黎夜は中立寄りの賛成だ。元々アーテルの為に戦っている。それ以外は収入と邪魔者の排除。平穏の邪魔でなければどちらでもいい。自分本位の考えと言われたって仕方がない。だから”自分に正義なんてない”。
 アーテルの方は中立寄りだ。今は地盤が整っておらず見極める時であると考えている。私情は身内の生に影響を及ぼさなければ良い。それ以外は黎夜の方針に従う心積もりでいる。
 黎夜は目の前の愚神を見た。中立寄りの賛成。だが、パンドラに対してはマガツヒであることの他に、狂化薬を使用したこと、そして呪いの付与に関して認めたくない気持ちがある。自分を見る黎夜へと、パンドラは笑い掛ける。
「もっと速い方がええですか? 遅い方がええですか?」
「パンドラの好きな方で……いいよ」


『パンドラ、オレとこれで勝負しないか? 負けたら勝った方に落書きされるっていう罰ゲーム付きで♪』
 サインペンを持ち出しながらエリックは看板を指し示した。ヨハンも顎に手を当てて、対戦型アトラクションの看板を覗き込む。
「乗り物で移動しながら的を撃つんだね。ねぇパンドラ、僕とも勝負してみる? ふふん、これでも射撃の腕には自信があるんだ」
『ふむ、私も邪魔させてもらおうか』
 罰ゲーム付き射撃勝負にナラカ(aa0098hero001)も参加の意を示した。性格は超然且つ俯瞰的で言動も古風な彼女だが、少女の姿で顕現した事で幾分引き摺られている部分もあるらしい。有り体に言えば一緒になって楽しんでいる。ジェットコースターもお化け屋敷もコーヒーカップも乗りましたとも。
『ボクもやりたいんだよ!』
「……うちも……」
 烏兎姫が元気いっぱい、黎夜がおずおずと片手を上げ、贔屓やカールも参戦希望。信実は辞退しようとしたが、『ほら信実クンも』とロゼに腕を引っ張られ渋々という顔をした。
「当然俺ちゃんもやるんだぜ! パンドラちゃんは俺ちゃん達リンカーに勝てるかな~」
「う、手強そうです。でも僕だって頑張りますよ!」
 かくしてくじ引きで順番を決めた後、一人ずつコースターに乗り込んでシューティングを行った。宇宙船に乗り宇宙人を倒すという設定らしく、隕石に隠れる宇宙人を皆次々と落としていく。
 結果はパンドラの惨敗だった。黎夜に言った「機械に弱い」は本当の事だったらしく、パンドラは悲しそうに両手のひらで顔を覆う。
『それじゃあ罰ゲーム。次のアトラクション行くまでそのままなー♪』
「うっうっ、悲しいどす」
 エリックは遠慮容赦なくパンドラの頬に渦を書き、他の参加者達も遠慮容赦なく罰ゲームに参加した。エリックとしてはとにかくパンドラと楽しく遊びたいだけであり、そこには打算も裏表も何も無い。が、あまりに自然にパンドラと接するエリックに霧人は驚かざるを得ない。
「(警戒心が無さ過ぎるのか、はたまた勇敢過ぎるのか……。まあ、楽しそうだしとりあえず良いか)
 しかしこうして見てると、パンドラもただの高校生にしか見えないんだよね……」

 八朔 カゲリ(aa0098)は遠巻きに愚神の姿を眺めていた。遊園地で共に遊ぶ事が目的――であり、ナラカは遊戯に興味深く惹かれているが、カゲリは全くと言って興味がない。
 影俐。彼は万象を“そうしたもの”と肯定する。
 我も人、彼も人。故に対等とは基本に置くべき道理であるが故に。
 彼にとって善性愚神が真実か偽りかは些事である。
 真実であれば行動で証明するだろうし、偽りならそれはそれで何時もの弄言であっただけの事。
 極論、果てるまで善性を騙れたなら客観的に真も同義であるのだから。

 ナラカ。彼女は普遍を見透すが故に万象を俯瞰している。
 遍く照らす善悪不二の光として。
 彼女にしてみれば善性愚神など嗤える話だが、然しそれが真なら笑える話でもあると感じている。
 彼女は善性愚神の在り方を俯瞰するのみ。
 信じているかと問われれば、どちらでもないしどちらでも良い。そもそもそんな事は重要ではない。
 今までの己を違え、新しい己を得んと進み行く。
 確かに信じられぬと言う過去はあろう。されど信じるに値するか否かは、これより先の行動にて証明される事だろう。
 因みに、巷良くある『愚神は絶対に殺さねばならない』と言う主張には憐れみを感じている。
 見目や言葉、或いは文化思想と、己と異なるものとは争わずにはいられぬ様は。
 成程、人の業である。
 愚神を駆逐すれば終わるのか――否、その手は何れ英雄にも及ぶだろう。
 英雄も愚神も本質的には同じであり、誰に何にとライヴスを依存しているかの違いでしかない。
 英雄も邪英を経て愚神へと堕するのだから。

 ――いつか、そして誰かが赦さねば、戦など滅ぼし尽くすでしか終わらぬであろうに。

 カゲリは監視の名目で遠巻きに愚神を眺め、ナラカは無表情に立つカゲリの姿を一瞥した。いかにも手持無沙汰といった風情だが、誘っても乗りはしないだろう。反発している訳ではなく、遊園地での遊戯に興味がないのは単に彼の気質である。
 一方ナラカはパンドラとは気さくに仲良く気兼ねなく楽しむ。サインペンを受け取ると、皆の所業に便乗しパンドラの額に一文字書いた。
「あ、何書いたんですか!?」
『生憎と鏡がないのでな。後で確認するが良かろう』
 古風な物言いに少女の遊び心を乗せ、ナラカはペンの蓋を閉じた。そう、今は楽しんで良い。気さくに仲良く接してよい。
 裏切りなど、あった時に考えれば良いのだから。
 

「僕サインペン落としてくるので皆さん待ってて下さいね!」
 パンドラはそう言い含めてトイレへと入っていった。エリックなどは『もう少しいいじゃねえか』とパンドラの制服を引っ張ったが、「次のアトラクションまでって約束どす!」とパンドラは断った。
「ごめん、俺ちゃんもちょっとトイレ」
 空いている事を確認し、千颯も皆に断ってからトイレへと入っていった。パンドラは早々に顔を洗ったらしく、既に拭き終わった顔を入口近くの千颯へ向ける。
「あ、隊長はん」
「パンドラちゃん楽しんでる~?」
「はい、どうもおかげさまで」
 パンドラはにこやかに答えそのままトイレから出ようとしたが、寸前、千颯が腕を伸ばしてパンドラを壁に押し付けた。いわゆる壁ドン状態で千颯は少年型愚神を見下ろす。
「パンドラちゃんが何か企んでるとか俺ちゃんは興味無いんだけど、もし、この先俺ちゃんの大切な人を傷つけたり裏切ったりしたら……その時はお前を殺す。例え地の果てに逃げたとしても必ず探し出して殺す。絶対に殺す」
 千颯は別にパンドラに対して悪い印象は持っていない。ぶっちゃけパンドラ自体にはあまり興味がない。なので現状については気にしてないと言い切れる。
 だが永平の事は別だ。釘差しと共に明確な殺意を一瞬向け、しかし一瞬だけの事で、すぐにいつもの調子で飄々とした笑みを浮かべる。
「覚えておいてな~。それじゃ次はあれに乗るんだぜ~!」
 先にトイレの外に出つつ千颯は次の候補を指差した。パンドラはその笑みに、目をにこりと細めて返す。
「ええ、ええですよ隊長はん」

『遅くなっちゃったんだけど、良かったら受け取って欲しいんだよ!』
 千颯がパンドラを追ってトイレへと入っていた時、烏兎姫は永平へとプレミアムショコラを渡していた。遅くなったバレンタインチョコ。永平は眉間に皺を寄せる。
「貰うのは構わねえが、お返しなんて持ってねえぞ」
『いいんだよ、受け取ってくれれば!』
 永平はチョコを受け取り懐へと仕舞い込んだ。戻った千颯がそれを見た。背後に般若を背負いつつ永平の元へ瞬間移動。
「永平ちゃん何してんのかな~」
「はあ!? 何もしてねえって」
「烏兎ちゃんに手を出したら殺すからって言ったよな~」
『パパ! 何してるの!』
 即座に烏兎姫が割って入り般若は子犬に退化した。父娘の攻防をBGMに、一同は次のアトラクションに移動する事になる。


『仮面の君。今度は僕と観覧車に乗ってくれないかい?』
 観覧車が見えた所で贔屓はパンドラに話し掛けた。何故か共鳴し始麻の身体を借りた姿で。外見は始麻だが贔屓が主導を握る時は瞳が緑、髪が黒へと変化するので、中身が誰かは知っている者であればすぐ分かる。
「もちろんええですよ。それじゃあさっそく乗りましょう!」
 パンドラは共鳴の件については一切気にならないらしく、嬉々として贔屓と共に観覧車へと乗り込んだ。席に座り、パンドラと向かい合った所で贔屓がゆるりと口を開く。
『これで良し。どうせ彼のことだ。止めかねないからねぇ』
 観覧車を選んだのは内緒話にうってつけだから。始麻の外見で目と口元に弧を描き、どこから聞こうかと悩みつつ偽りない心情を吐露する。
『いやあ、純粋に……、僕は楽しいと思っているよ。"この状況"を。まずはそうだな、愚神から共闘を申し出る程の敵。それを倒した後、僕らはどうなるのかな』
 顔が漸く仮面の下から見えたのだから、少しぐらい聞いてもいいだろうと贔屓は切り込んだ。パンドラは贔屓を見つめたまま済まなそうに眉根を下げる。
「すいませんけど、それは僕にも分かりません。何も変わらないのか変わるのか……それは倒してみないとなんとも」
『そう。後は……、――君はどうして、「それ」になったんだい?』
 どうして愚神になったんだい、贔屓はそう尋ねてみた。観覧車は昇っていく。贔屓は変わらず愚神を見つめる。
『ただの興味本位さ。何事にも理由が欲しいタイプでね、僕』
「それじゃあ貴方は、どうして『それ』になったんですか?」
 パンドラの返答に贔屓はわずかに目を見開いた。パンドラはにこりと笑い、さらに贔屓に問い掛ける。
「僕達は、きっと仲良くなれますね?」
 贔屓は答えず、座席に深く背を沈めた。目を笑みの形に細めたまま、観覧車が地上に着くまでじっと愚神を見つめ続ける。

「少し……話、いいかな?」
 パンドラが贔屓と観覧車に乗った後、樹は永平に声を掛けた。つくしは自分から離れた樹に反応するが、その手をシルミルテのうさ耳がホールドする。
『ダイジョブダよつくしシャン。チョットお話するダケダかラ』
「うん……わかってる。そうだね、ここで待ってようね」
 樹は永平を人気のない所へ連れ出した。永平は若干渋ったが、パンドラは他のリンカーに任せ樹についていく事にした。樹は周りに人がいない事を再度確認し、とても楽しそうな、悪戯っ子の微笑みを浮かべながら口を開く。
「ねぇ、永平……【今の君の望みは?】」
「……」
「と、いうのは少々冗談でね。じゃあ、君はソレを何故望んだ? 言葉にしなくてもいいから思い出してみて」
 それは樹が名乗った時に投げた問い。永平は顔をしかめ、樹は悪戯っ子の笑みを深める。
「さて、ここからはウチの【魔女の子】と【魔女の妹】の見解なのだけれども、キミの背中と、私のコレ。術者も術形式も違うかもしれない。けれど、おそらく『同じ理……システムを使っている』。今風にいうと『パソコンのOSが同じ』ってことらしいよ」
 包帯風眼帯を樹は指でコツコツ叩く。
「ここから先は玄人におまかせなんだけどね。……付き合わせてしまったし、今度は付き合う番なんだ。
 【君が全力を尽くすなら、私もそれを全力で手伝おう。だから『前』を見てごらん】」
 あの時と同じ言葉を繰り返し、樹は永平を覗き込む。そのまま、自分の意志も告げる。
「私は先に全力を尽くさせてもらうよ。やれる時でいいから、永平も全力でおいで。"大隊長"殿?」
 言うだけ言って、満足したと言わんばかりに樹は身を翻した。永平は一つだけ、その背中へと問い掛ける。
「その目、大丈夫かよ」
「もし永平自身のことだったら後悔する? 誇る?」
 樹はにんまり微笑って投げかけ半身の元へと戻っていった。シルミルテ達と合流した、その時、観覧車を降りたパンドラが樹達へと歩み寄る。
「まだ挨拶してなかったですね。今日はご一緒してくれて嬉しいどす」
『マガツヒの方ハどうスルのサ』
 シルミルテは両手を花陣の膝上に載せたまま、全力で舌をのばしてあっかんべーした。首を傾げるパンドラに、シルミルテはさらに問い掛ける。
『アナタにトっての善ってナニ?』
「皆さんと仲良うする事ですよ」
『モウ「遊んデ」クレなイナんて、嘘吐キ』
 シルミルテはもう一回全力であっかんべーし、それから右手でシッシッと追い払う仕草をした。かつてパンドラが向けてきた心地よい狂気を忘れてはいない。
 パンドラは困ったように首を傾げ、それから樹の方を見た。今回語るべき言葉はないし、パンドラに名乗るつもりもない。話す気がない事を感じ取り、パンドラは眉根を下げて微笑み、自分と遊んでくれるリンカー達の元へ戻ろうとした。その背を咄嗟にメグルが追う。
『すいません、お話いいですか? きちんとお話をしたことも無かったので』
 話し掛けてきたメグルに愚神は簡単に喜色を見せた。メグルを歓迎するように声を弾ませる。
「ええですよ。何か?」
『貴方はマガツヒと手を切ったのですか? あの組織がH.O.P.E.と手を組むなんて良しとするとは思えないのですが』
「実はまだ切れていないんです。マガツヒって怖い所なんです~。だから僕もなかなか言い出せなくて」
『共闘は貴方個人との話、マガツヒは関係ないということですか?』
「ええ。僕一人ではあんまりお役に立てないかもしれないですが、でも僕は皆さんと仲良うしたいと思ってるんです。ほんまのほんまに、心から」
 メグルは返答を貰ったことに「ありがとうございます」と述べ、パンドラへと背を向けた。その途中、永平の姿を認めたのでこちらにも声を掛ける。
『永平さん、お久しぶりです。劉さんの胃は大丈夫ですか? いえ、随分心労が溜まりそうな案件が舞い込んだなと思いまして』
 「胃は大丈夫ですか」の一言に永平は目を剥いた。メグルは即座にフォローを入れ、永平は視線を逸らす。
「色々大変みたいだな。俺もなんとか兄貴の力になりてえんだが」
 どうやら連絡は取っているらしい。メグルは少しホッとした。たまにでもいいから連絡を取っているのだろうかと心配していた。二人の間に親子のような関係性が見える気がするからかもしれない。
 つくしは樹の隣に立ち、パンドラの背を見送っていた。攻撃を仕掛けるつもりは無いが、どんな風に遊ぶのかは見てみたいと思っていた。
 そういえば、ちゃんと話したことも少ない気がするから。
 だが、つくしの関心はパンドラよりも樹の事だ。彼女に危害が加えられないように、彼女のやりたいことの邪魔にならないように、誰も彼女の邪魔をしないように周囲を見ている。
 見ることは、自分に出来ることだから。
 だからずっと気を張っていたのだが、やりたいことは終わったようだ。つくしはようやく気を緩め、いつも通りの笑顔を向ける。
「いつきちゃん、チュロス食べないっ? 遊園地の外にもあるけど、せっかくだし! あ、ポップコーンとかもいいよね!」
 いつも通り、笑顔で覆い隠せているかな? その気持ちさえ覆い隠す。樹はチュロスの店を見て、ふむと顎に指を当てる。
「そうだね、一緒に食べようか」
『花陣チャンも食べヨウ!』
 シルミルテがうさ耳で車椅子を押そうとしたが、さすがのうさ耳も車椅子は押せなかった。チュロスとかを買ってあーんしたり、樹やつくしが買ってきた甘いものや飲み物をわけっこしたり。
 普段通り笑って、普段通りお買い物を楽しんで、普段通り大切な友達との時間を過ごす。
 普段通り。


 レイは別行動を取り、気に入りの場所を見つけるまで敷地内を散策していた。基本的にはバンド活動の為、心惹かれた場所があればその場で作詞作曲し、一通り出来たら次の場所へ……という事を繰り返していた。
 とにかく種別を一切問わず様々なものを観察する。同行者達を含め、目の前を行き交う人々。近接のアトラクションを含めた建物の外観等、その場の雰囲気、聞こえてくる音楽や音、その場所を構成する、また時間ごとに変わっていく色。
 見たまま聞いたまま感じたままを曲や歌詞で表しつつも、更にもっと色々と思い出したくなった時に備え動画を回す。
 とは言えパンドラから完全に目を離している訳ではない。多少の距離は空けつつも、曲の為だけでなく、パンドラの様子もきっちりと記録している。依頼が終わった後にでも、今までと今日のパンドラをあらゆる面から比較するつもりだ。
『レイ、パンドラが一人になったけど』
 カールから連絡を受けレイは移動を開始した。どうやら昼食の話になったらしくフードエリアまで行ったのだが、人があまりに多過ぎてパンドラは流されてしまったらしい。パンドラはレイとカールを認めるとぱっと顔を華やがせた。
「よかった! はぐれてしまったんでどうしようかと思ってたんですー!」
 それが本当なのかわざとなのかは判断に苦しむ所だったが、パンドラが一人の時を見計らい、話し掛けたかった二人にとっては願ってもないチャンスだった。一応人のいない所に連れ出しつつ、他の仲間が来るまで会話を試みる。
「……お前、マガツヒのトコの……だろ。マガツヒは……今のアンタの状況をどう見て、どう対処してるんだ?」
「実は内緒で出てきたんです。バレたらものすごく怒られると思うんで、マガツヒの人に出遭っても内緒にしといて下さいね?」
 シーと指を当てるパンドラにレイは苦い顔をした。その時『そだ!』とカールが言い、レイが「……あ?」とカールを見る。
『パンドラと一緒にH.O.P.E.と協力体制取っちゃうとか? 古龍幇みたいに!』
「そんな簡単なモンじゃないだろ……」
『え? でもさーそしたら皆一緒で面白そーじゃん?』
「阿呆か……季節だけでなく、オマエのアタマもいつも通り春、だな」
 レイは小さく息を吐いた。対善性愚神にレイは懐疑を抱いている。カールは警戒心を抱かせることが少ない人当たりのいい青年で、誰とでもすぐに打ち解け楽しめる性格だ。楽しければそれで良し……だがそれでも戸惑いはある。
「……ところで、あの仮面は付けない、のか?」
『ああ! アレ、イケてるよな!!』
「どう言う心境の変化、だ?」
「皆さんと仲良くするなら顔見せた方がええかなと……でもイケてましたか? それじゃあ今度つけましょうかね? でもあれマガツヒのマークなんで……うーんどうしたらええんでしょう……」
 レイとカールに挟まれながらパンドラはうんうん唸る。その様も視界に収めつつ、レイは静止画用カメラを取り出す。出来れば色んな角度からの情報が欲しい所だ。
「写真……記念撮影で撮っても構わないか?」
「はい! むしろお願いします! 皆さんと一緒にいる写真がいっぱいあったら嬉しいです!」
「パンドラ……アンタは歌、好きか?」
「実はあんまり聞いた事なくて……でも、興味ありますから、いい歌あったら教えて下さい!」
『あ、いたいた、みんないたよ~』
 人混みから烏兎姫が現れ大きく声を張り上げた。声を頼りにリンカー達が集合し、霧人が疲れに肩を落とす。
「や、やっと見つかった……」
『仮面の君、疲れてない? 遊び倒すというのも体力が居るだろうし、無理は禁物だよ』
「僕はまだまだ元気ですよ!」
 パンドラは贔屓に返した後、「お二人とも、ありがとうございます」とレイとカールに頭を下げた。黎夜はふうと一息つき、傍らのアーテルに視線を向ける。
「それじゃあお昼……なに食べよう……」
『せっかくだし、ここでしか食べれないものを食べたいな』
「僕達も行こうか」
『はい、あなた』
 ヨハンはパトリツィアと手を繋ぎ、昼食を求めて気になる店へと歩を進めた。サンドやワッフル等の軽食系はもちろんのこと、オリジナルメニューを取り揃えたレストランも十分ある。カールも仲間達に続こうとした、所で、人混みに巻かれそうな花陣達の姿が目に入った。
『大変なら手伝うぜ?』
『お、いいのか兄ちゃん』
『まかしとけって~!』
 シルミルテ達にも笑みを向けつつカールは車椅子を押し込んだ。戸惑いはある。パンドラの観察も必要だ。
 が、ここは遊園地。心の赴くまま、思いっきり楽しむ事も重要だ。


『夜にはパレードやるのか、これは見逃せねえな♪ ……なあアニキ、適当な時間になったらパレードの場所取りしといてくれない?』
 スケジュールを確認しエリックは霧人にそう頼んだ。少し遅い昼食を終え、霧人はエリック達と別れ場所取りの為歩いていった。
「ちょっとトイレ行ってくるっす。ロゼさん、俺が戻るまで他のリンカーの人から離れないようにして下さいっす」
 信実はロゼに釘を刺してトイレへと向かっていった。他の人と離れないようにという事は、実質的に「パンドラと二人きりにならないように」という事だ。信実は基本人懐こい性格だが、愚神であるパンドラには珍しくよそよそしい態度。信実の姿が完全に見えなくなった所でロゼはパンドラに両手を合わせた。
『信実クンがゴメンなさいね、いつもはイイ子なのよ?』
「僕は全然気にしてませんよ。ロゼはんの事がきっと心配なんですね」
『ありがとねパンドラちゃん。信実クンはイイ子で……イイ子すぎてね、時々不安になるの。ココロを許していないんじゃないかしらって……もっと甘えていいのよって、言ってるんだケドね』
 妖艶なロゼの相貌にふと暗い影が落ちた。だがそれも束の間で、まるで母親のような瞳を少年型愚神に向ける。
『パンドラちゃんも、ココロを許して甘えてチョウダイ。アタシはアナタを信じてる。アナタを信じてくれる人は、きっともっと現れるハズよ』
「……ありがとうございます」
『人も英雄も変われるわ。愚神だって、過去に囚われずに変われるわよ。
 だってそうじゃなきゃ……アタシはいつまでも、娼婦のままだもの』
 信実に聞こえない場所で落とした言葉。パンドラはロゼを見つめ、口元に笑みを浮かべた。
「ロゼはんは素敵な人ですよ」
『……ありがとねパンドラちゃん』

 信実は拳を握り込んだ。信実はロゼと『ロゼを助ける』という誓約を結んでいる。「ロゼが信実を」ではなく『信実がロゼを助ける』。その誓約の元、ロゼの警護とパンドラの監視を行っている。トイレへ行く時でもない限りロゼの傍を離れはしない。
 ロゼはパンドラにちゃん付けする程好意を持っているようで、初めての遊園地を心から楽しんでいるようだ。
 だが、信実は楽しめない。ロゼの意思を尊重し、パンドラに接触する事自体は否定しないが、信実自身には理解出来ないモヤモヤが胸で渦を巻く。
 何故か、母が自分を置いて再婚相手と駆け落ちした日を思い出す。
「ダメだな。しっかりしなきゃ。ロゼさんの事は俺が守るんだ」
 パチン、と頬を両手で張り、守るべきロゼの元へと戻る。全員が揃った所で隊長、千颯が音頭を取った。
「それじゃあ次はあのジェットコースターに行くんだぜ!」
「えっ」
『やった! ジェットコースター面白くてスッゲー好きだぜ!』
 隊長からのお達しにカールが拳を突き上げた。どうやらジェットコースター等、体感速度が速い物がお気に召したらしい。
 一方、先程涙目になった信実は辞退しようと思ったが、ロゼにがっちりホールドされそのままズルズル引きずられる。
『信実クン一緒に乗りましょう! ポップコーンも食べましょう!』
 ロゼは信実を抱えて楽しそうに微笑んだ。ロゼが楽しんでいるのは遊園地が初めてだから、愛嬌のあるパンドラ少年と一緒だから、だけではない。
 大好きな信実が一緒だからだ。


『アニキ~!』
 パレード開始の少し前、一同は場所取りしていた霧人と現地で合流した。霧人のおかげで遮られずによく見えそうだ。黎夜やナラカ、烏兎姫は特に背が小さいので、買ったお菓子や軽食を手に最前列の方に陣取る。
「ほんと……すっごい近くで見れる……」
『これは特等席であるな』
『とってもわくわくするんだよ~』
『俺と一緒じゃ見えねえだろ、いい所で見て来いよ』
 花陣は車椅子の後ろにいるシルミルテへと声を掛けた。シルミルテは眉を寄せ、ぶんぶんとうさ耳を振る。
『花陣チャンも一緒に見ヨ~?』
『これじゃあどうせよく見えねえよ。この足が直ったら、その時また一緒に見ようぜ』
「お前らも行って来い。こいつは俺が見ておくから」
 永平が花陣の傍に寄り、樹やつくし、メグルにも見てくるように促した。四人は顔を見合わせたが、花陣が『いいから行けって』と手を振って、四人の事を送り出す。
「やあ李永平、花陣、久しぶりだね。元気ィ? ふふ、元気じゃない方が嬉しいんだけどさ」
 永平と花陣が人混みから外れた所で待っていると、ヨハンがいつにない上機嫌で二人に声を掛けてきた。 いつにない上機嫌で、いつも通り永平らへの敵意をむき出しで口を開く。
「宿敵が目の前にいるのに、おいそれと手を出せない気持ちはどう? 誰よりも苦しんでほしい奴が、仲間に囲まれて人生エンジョイしてるのを見る気分は? 僕の気持ち、伝わったようで何よりだよ」
「……」
「心を壊しながら生きてきた。何度も暴力に訴えたくなった、それもぐっと耐えてきた。一度下手を打てば全てが水の泡になると、必死に自分に言い聞かせて。すべてはたった一言……そう、『ざまあみろ』と言うために!」
『……』
「ふふふ。お前の悔しがる顔が見られただけで、今日まで生きてきた甲斐があったというものさ」
 黙したままの二人を見据え、ヨハンは淀んだ目に狂喜を浮かべて言い切ると、急に興味を失くしたように永平達から離れていった。パレードが始まり、色とりどりの光がヨハンの暗い瞳を焼いた。ヨハンは学生服姿の少年を見つけ肩を叩く。
「パレード見える? よかったら肩車しようか」
「本当ですか? お願いします!」
 高校生姿の愚神は、肩車される事に一切抵抗はないようだ。むしろわくわくとヨハンに肩車され、頭上で嬉し気な声を上げる。
「すっごくよく見えます! それに僕、肩車なんて初めてだから嬉しいどす!」
「喜んでもらえてよかったよ。これからもマガツヒには関わり続けるのかい?」
「その内お別れ言いにいかないといけないですけど、これがなかなか難しくて」
「……ふうん、そっか」
 パンドラを肩車しながらヨハンもまたパレードを眺める。闇に落ちるはずの空間で、鮮やかな光がくるくる回る。
「僕は今、希望に満ちている。幸せを感じている。ということは、きっと凄惨で残酷な絶望が、後からやってくるんだろうね。ああ、楽しみだよ」

 パトリツィアは少し離れた所でヨハンの事を見つめていた。移動時にはヨハンと手を繋いだりと仲睦まじい様子を見せていたが、ヨハンの胸をいまだ復讐の炎が焦がしている事は知っている。パンドラは危険な愚神だが、ヨハン共々願い続けて叶わなかった復讐が成しとげられるのなら嬉しい。
 古龍幇には見向きもせず、パトリツィアはヨハンを見つめ続けた。彼女が見つめるべきは主であり、夫となった男だけだ。
 パレードに合わせて花火が上がる。赤、オレンジ、緑、金、色とりどりの炎が華となって夜空に咲く。
 ロゼのため、少しでもいい場所を求めつつ、信実はパンドラの方を見た。一日監視し続けて、出た答えを口にする。
「俺はパンドラの……報告書での姿しか知りません。
 でも永平さんを見て、改めて決心したんす。人を傷付けて平気でいられる愚神は、信じられません」
 花火が上がる。鮮やかな光がくるくる踊る。ドンと大きな音が鳴り、賑やかな音楽と人々の歓声がその合間に木霊する。
 呟かれた全ての言葉は、遊園地の奏でる音に紛れて消えていく。


『みんなにお土産を買って行くんだよ! 永平くんも何がいいか一緒に考えて欲しいんだよ!』
 永平の手を引く烏兎姫の姿に千颯は血の涙を流した。烏兎姫にしこたま怒られたので止めに入る事は出来ない。なお血の涙は比喩である。そうでないと怖すぎる。
 店の壁に寄り掛かりながら始麻はハアと息を吐き、ふと窓の外に見える遊園地へと瞳を向けた。贔屓と愚神が何かしないか終始気を張り続けていたが、騒ぎという程不穏な事は起こらずに済んだようだ。
「……思ってた以上にデカいんだな。遊園地ってのは」
 思わずぽつりとそう漏らす。始麻もまた遊園地に来た事すら初めてだった。夜の遊園地は昼のそれとはまた別の姿を見せる。始麻の目に一瞬だけ灯った輝きは、遊園地の光を反射したものか、それとも。
『始まりの君、お財布貸してくれないかい?』
 贔屓の声に「面倒が来た」とばかりに顔を店へと戻した始麻は、その手に抱えられている物の多さに目を剥いた。
「おい! どんだけ抱えてんだお前! 金額見てねェなさては!?」
『買い物は豪勢に行かなきゃねぇ! ほら、持ち帰れるものは記憶とお土産だけだから!』
 入ってそう経っていないにも関わらず、贔屓の腕には零れそうな程大量のお土産が鎮座していた。どのお土産を買うか簡単に目途を付けていたのだ。恐るべき要領の良さである。
 始麻は額に手を当て天を仰いだ。どうやら彼の気苦労はもう少しばかり続くらしい。


「みんな十分楽しんだかな~? 帰るまでが遊園地だから気を付けて帰るんだぜ~」
 隊長、千颯の最後の言葉に者共は「おー」と手を挙げた。レイは帰る前にもう一度、遊園地をカメラに収める。
『いい曲出来そう?』
「……ああ、多分な」
 レイの返事にカールは口元をにんまり上げた。レイの音楽を聴くのはカールの楽しみの一つである。きっと遊園地のような素晴らしい曲を披露してくれるだろう。
『楽しみにしてるぜ!』
「……ああ」

「パンドラ」
 信実はパンドラを呼び止めると写真を数枚差し出した。見ればパンドラやロゼ、他の皆の姿もある。
「記念っす」
「ありがとうございます信実はん!」
「……いいえ」
 信実はそっけなく言ってパンドラから離れていった。幻想蝶の中には、今後のためにと残したパンドラの写真数枚がある。
 パンドラも写真を仕舞い再び歩き出そうとしたが、そこに霧人が駆け寄ってきた。霧人は「ちょっといいかな」と切り出した後、パンドラへと問い掛ける。
「以前、”愚神は捨て駒かもしれない”って言ってたみたいだけど、君はそのままで良いの?」
「よくはないですね。そうならずに済むなら、いいなって思ってます」
「もし”愚神を辞めて英雄になれる”としたら、君はなりたいと思う?」
「なれたら、きっと楽しいでしょうね」
 その声は平坦で、感情は読み取れなかった。霧人は「そっか」と言って、パンドラに祈りの御守りを渡す。
「これは僕らから。君にとっての幸せを願ってるよ」
『あ、アニキ抜け駆けだぜ! オレもパンドラに、これ!』
 エリックが横から一枚の紙を出してきた。見れば黒髪の少年の、とても楽しそうな笑顔が生き生きと描かれている。
『顔が分かったからやっと描けたぜ、お前の似顔絵♪』
 絵を描く事が大好きな、特に笑顔の似顔絵を描く事が大好きな青年は、絵の中の少年に負けないぐらい満面の笑みを浮かべて見せた。パンドラは御守りと似顔絵を手に、零すように呟いた。
「……ありがとうございます」

『つくし』
 メグルに呼び止められてつくしは両の足を止めた。振り向きもしない背中にメグルはそのまま語り掛ける。
『僕は貴方の隣を歩くと決めました。その誓いに偽りはありません』
「……うん、知ってるよ」
『隣を歩くということは、並ぶということです。前でも後ろでも無く、手を取りあえる場所に居るという事です。……それなのに、貴方は手を取らせてくれない。大丈夫だと言って遠ざけようとする』
「……」
『……そこまで、僕を信頼出来ませんか』
 つくしの声は聞こえなかった。何も言わなかったのかもしれないし、言ったがメグルの耳には届いていなかったのかもしれない。乾いた沈黙がしばらく続き、ようやく、つくしはメグルに振り返った。
「帰ろう」
『……』
「帰ろう、メグル」
 そしてつくしは正面を向き、メグルを待たずに歩き出す。メグルは踏み出せなかった。垂れ下がるつくしの手を取ることは出来なかった。
 つくしがどんな顔をしていたか、見ることも出来なかった。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 薄明を共に歩いて
    木陰 黎夜aa0061
    人間|16才|?|回避
  • 薄明を共に歩いて
    アーテル・V・ノクスaa0061hero001
    英雄|23才|男性|ソフィ
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 二律背反の龍
    始麻aa0179
    人間|24才|男性|攻撃
  • 二律背反の龍
    贔屓aa0179hero001
    英雄|28才|男性|ドレ
  • 深淵を見る者
    佐倉 樹aa0340
    人間|19才|女性|命中
  • 深淵を識る者
    シルミルテaa0340hero001
    英雄|9才|?|ソフィ
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避
  • 本領発揮
    カール シェーンハイドaa0632hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 共に在る『誓い』を抱いて
    メグルaa0657hero001
    英雄|24才|?|ソフィ
  • 急所ハンター
    ヨハン・リントヴルムaa1933
    人間|24才|男性|命中
  • メイドの矜持
    パトリツィア・リントヴルムaa1933hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • 心優しき教師
    世良 霧人aa3803
    人間|30才|男性|防御
  • フリーフォール
    エリックaa3803hero002
    英雄|17才|男性|シャド
  • 特開部名誉職員
    高野信実aa4655
    人間|14才|男性|攻撃
  • 親切な先輩
    ロゼ=ベルトランaa4655hero001
    英雄|28才|女性|バト
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