本部

広告塔の少女~ロミオは砂漠を越えて~

鳴海

形態
ショートEX
難易度
普通
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
7人 / 4~12人
英雄
7人 / 0~12人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/03/09 18:36

掲示板

オープニング

● 悲劇を救って
 
 これはとある砂漠と町と人の物語。
 悲しい悲劇の物語。
 憎しみの始まり。
 かつて砂漠で挟まれた街と街がありました。
 この町はとても仲が良かったそうです。 
 ちょうど等距離にオアシスがあり、開拓時代はその水を分け合ったりして生きていたそうです。
 そんな中、両国の仲のいい国王様がそれぞれ同じ時期に子供を産みました。
 Aの国には男子。
 Bの国には女子です。
 二つの国は元気な子供が生まれたことを喜び合い、たたえ合いました。
 二つの国はそのまま栄え豊かになると同時に、王子と王女もそれぞれたくましく、美しく成長していったのです。
 しかし、ある時、お互いの国のお姫様と王子様が共に自殺してしまいました。
 それはお互いの国の王が結婚に反対したためです。
 王子はその反対に抵抗するために、姫と婚約していた騎士と一騎打ちをして、殺してしまいます。
 犯罪者として追われる王子。その手を取る姫。二人は追手をやり過ごしつつオアシスをめざし、そしてその場で命を断ちました。

 けれど、この結婚に反対したのは政略結婚だとか。王様が仲たがいしたからというわけではなく。
 二人は実は血のつながった兄妹。それどころか双子だったのです。
 
 これは悲しい悲しい行き違い。
 二人はもともとAの国で生まれた双子。しかしBの国の王には子種が無かった。
 なので秘密裏にBの国には妹が送られ、子供という事にして育てられたのです。
 しかし本来であれば、王族以外の人間を世継ぎに据えるなんてあるまじき行い。国民が許すわけもなく、許してくれたんだとしても。諸外国が認めるかどうか。
 それを恐れて、王子と姫には言う事は出来なかったのでした。


● その結果。

 国民に愛された王子と、国民に愛された王女は命を絶ち。
 その悲しみを国民たちはそれぞれ向こうの国に押し付けました。
 そこから些細なすれ違いが続き、やがて戦争状態に。
 しかし。
 それはもうくだらないという声が大きく上がるようになりました。

 前回、そのAの国、Bの国の間にあるオアシスでライブをした影響です。
 その結果争いにつかれていたAの国とBの国は和解のために歩み寄りたいと意志を示したのです。
 しかしどうしたらいいか分かりません。
 そんな中、リンカーが行っていた劇にするといいのではないか。
 という意見が採用されました。

 よって皆さんには上記の、二つの国をめぐる悲しいお話を劇にしていただきたいと思っています。
 それもハッピーエンドという形で。
 お互いの国の行き違いがうまく解消されるハッピーエンド。
 全てが丸く収まる、夢物語でもご都合主義でもいい。
 そんな物語が皆。見たいそうです。

●配役について
 必ず必要となる役職は下記です。

・A国国王
 A国の国王です。王子と姫の実の父親であり、その秘密に苦悩する一人の親です。

・A国王子
 王子です。頑固で意地が強く、実力もあったと言います、将来を有望視されていました。

・B国国王
 姫を譲り受けたB国の国王です。彼は後世ずっと、自分にきちんと子供を作る能力があればと嘆いていたと言います。 

・B国姫
 お姫様です、絶世の美女でしたが、盲目的に王子に恋をしていたと言います。

・姫のいい名づけの騎士
 B国随一の戦士です。姫のことを好いていますが姫が王子の事を好いていることも知っています。

・兵士・民衆
 いわゆるモブですが、最後の場面で王子や姫を追い詰める役割を負います。

・その他必要だと思われる配役。
 今回の任務はシナリオ改変が推奨されています。
 なので、改変したシナリオに合う配役を作ることが許されます。
 たとえば語部の吟遊詩人。
 たとえば、全ての元凶である愚神。

 また、改変内容によっては姫や王子と言った主要の役職を増やして構いません。


● 特に演出を考えてほしいシーン

 特に力を入れてほしいシーンは下記の通りです。
・王子と姫の逢瀬のシーン
・王と王が本来仲良しだというシーン(チェスやポーカーやってるシーンはどう? とは遙華のお話し)
・騎士と王子の戦闘シーン
・ハッピーエンド


●歌について

 今回は二曲必要となります。
1 王子と姫の逢瀬の曲。
 姫と王子が逢瀬を重ねるシーンで必要となる曲です。
 この曲は基本的に姫と王子以外の人間が謳うことを想定されています。
 一人の人間が、演技と歌両方に十分な文字数を割けないと思われているためです。

2 物語のED
 これは、この物語全体をテーマとした曲で。
 オアシスを舞台にPV撮影したものをEDで流すつもりです。
 バンドメンバー、歌い手。歌詞、振り付け、演出など募集します。
 テーマは終戦。
 争いを放棄することをテーマにしてほしいそうです。
 最悪作る人がいなければECCOがやるそうです。

3 ECCOの歌。

 ちなみに劇のOPとなるべき曲はすでにECCOが作成中らしいです。
 ただECCOも曲作りに悩んでいるので。彼女と一緒に言葉を交わしながら作ってみるのはいかがでしょうか。
 彼女は皆さんの今回の物語に関してのイメージを聴きたがります。
 答えてあげると彼女の歌に影響を与えるでしょう。
・ この物語を一言で表すと?
・ 誰が悪いと思う?
・ 自分が王子や姫ならどうした?
・ 歌詞で使えそうなフレーズない?

解説

目標 悲劇を喜劇に彩る

 今回は歌サイドとシナリオサイドで作業が分割されそうです。
 兼任ももちろん可能ですが、文字数と相談と言ったところでしょうか。

● シナリオサイドについて
 お話しの流れは『悲劇を救って』のこうにある物語をだいたいなぞる形にはなると思います。
 けれど、どこかでこの物語をハッピーエンドに変える必要があるので、どこかしら手をくわえなければなりません。
 なので台本改変はどのようにキャラクターを変えれば、物語を変えればハッピーエンドになるかどうかを考えていただきたいのです。

 もともと配役によって、役柄が指定されていると思いますが、それを変えてしまって自分の思う幸福なキャラクターに変えてしまっても構わないのです。
 またシナリオの流れを簡単に分割すると。

起 オアシスを中心に二つの国があった。二つの国は仲がよく、同時期に二人の国王は子供を持った。
承 その子供たちは交流の間に恋心を抱くようになった、王たちはそれを心配していた。
転 両国の王が集められ王子と姫がお互いの愛を告白する。
 しかし反対される。
 王子は姫と婚約していた騎士をうち倒し、オアシスまで馬で逃げる。
結 二人はやがてオアシスにたどり着く。しかし王子と姫は逃げられる場所がどこにもないことを知って、姫と悲劇の死を遂げる。 
 
 となりますが、この台本を書き換えて、ハッピーエンドにしていただきたいと思います。
 これは王子。姫役の人が率先して台本書き換えを行っていただけるとスムーズかと思います。

 

● 歌について

 また、今回の劇は半分ミュージカルみたいなもののため。
 自分の歌を作って、演劇の最中に挟み込んでも構いません。
 その場合、本来の配役に囚われず好きな配役を作り演じても構いません。

リプレイ

プロローグ

 一時帰国!
 ECCOは砂嵐吹きすさぶ異国から、慣れ親しんだ母国へと帰ってきた。
 見事オアシスの撮影許可を取り付けて、そしてその国から持ち帰った悲劇の物語を受け継いで。
 その次の日からさっそく舞台政策の作業に戻った。
「ECCOさんが望んだ二つの国の和解の為、引き続き参加させて頂きますの」
 『エリーヌ・ペルグラン(aa5044)』はそう意気込むと会議室の硬い椅子の上で両手を握りる。その隣で『カートゥス(aa5044hero001)』がにやにやと何事かを思う。
(やー、エリーヌ?絶世の美女を演じるには、背と胸が足りてない気がするんだけど……エリーヌの『お姉様』だったら文句なかったんだけどなぁ)
「何か言いましたの、カートゥス?」
「……イエ、ナンデモナイデス」
「んふふふ、今回もよろしくなぁ、エリーヌン」
 変なあだ名でエリーヌを呼びながら、ECCOは上機嫌に笑った。
 あたりを見渡し舞台作成メンバーを確認した。
「うーん、物語の構成、役の割り振り、歌とやることが多いですね」
 『黒金 蛍丸(aa2951)』がそう資料を眺めながら頭を唸らせる。その目の前に『詩乃(aa2951hero001)』がお茶を置くと、会議が始まった。
「役職に穴が開くかも」
「それについては任せてほしいっす」
 『高野信実(aa4655)』がそう告げた。
 彼が担当するのは舞台監督。舞台知識や音響照明については勉強済み。緊張しながらも頑張ると意気込みを語る。
 さっそく真実は舞台美術の設置指示、音響照明のきっかけ合わせ、スケジュールなどを発表していき、それをメンバーは自分の資料に書き込んでいった。
「そして肝心の脚本っすけど」
「ふむふむ、この物語をハッピーエンドになる様に二次創作すれば良いのね」
 『世良 杏奈(aa3447)』がその悲劇をひも解きながら口元をおさえる。その膝の上で『ルナ(aa3447hero001)』があんなに難しい内容をかみ砕いて説明してもらっていた。
「一番良いのは、王子様とお姫様が結婚するって終わり方よねー」
 その言葉に信実はうんうんと頷いた。
「やっぱり俺は……幸せな終わり方が好きだなぁ」
 そう涙ぐみながら脚本の結末の部分を再度読み直す。
「そうね…………。それの、ハッピーエンドの障害になるのが『2人は双子である』って事。ならそれを無くせば……、お姫様は実は養女だったっていう設定はどう?」
「いいと思います」
 告げたのは蛍丸。
「それにもう一月になることがあって」
 蛍丸は役柄の騎士について語り始める。
「彼にも救済を与えたいんです。例えば姫の侍女が実は騎士を慕っていて、騎士を追いかけ王子との決闘を止めるだとか、話の流れによって変更がかかりますが騎士と侍女が結ばれるような展開はいかがでしょう」
「なるほどなぁ」
 ECCOがふむふむと頷いた。
「騎士が姫と王子の仲を取り持つために王に意見するシーンなんてどうでしょう。
 付き合いたいという想いはあっても、誰かの幸せのため、夢のために諦めるような騎士の精神を前に出していけば絵になるかなって」
 そう蛍丸は自分の胸にある思いを押し殺してそう告げた。
「衣装については理夢琉ちゃんにお願いする予定なんよ」
 そうECCOが『斉加 理夢琉(aa0783)』を紹介すると、『アリュー(aa0783hero001)』と共に理夢琉が頭を下げる。
「はっはい。よろしくお願いします」
「なんで緊張してるんだ?」
 アリューが首をひねる、そんなアリューは放っておいて理夢琉が口を開く。
「歌い手の衣装はオリジナルで私が作ります」
「うん! よろしくね理夢琉!」
 そうルナが理夢琉の膝の上にダイブしながら告げると、その頭を理夢琉が撫でた。
「民族衣装は初めてですけど、頑張ります」
「そのために専門家の手配もしてるからね」
 そう告げたのは遙華だった。実はいた遙華であった。
「今回は民族衣装やタブーなどに詳しい専門家を日本に招いてあるの、あとは監督と理夢琉と専門家の相談で仕事を進めてちょうだい」
「はい!」
 理夢琉が元気良く告げる。
「あとはエンディング以外の曲にも関わらせていただいてます。よろしくお願いします。」
 アリュも今回シンセサイザーやドラムでの楽曲制作に参加させてもらっている。BGMや効果音も作るというのだから気の入りようが違う。
「過去のお話は悲劇だった でもこれからは……歌が絆をつなぐ力になれば良いなって」
 そう理夢琉が告げるとECCOは頷いた。
「せやなぁ、うちらがかかわったのも何かの縁やし、そこは温かい物語にしたいなぁ」
 そんな話し合いを嬉しく効きながら『ロゼ=ベルトラン(aa4655hero001)』は遠い空に思いをはせた。
(ネイリちゃん観てる? アタシはココで、アナタの幸を祈るわ)
 次に会うのは舞台が完成したときになるだろう。それまでは自分の役を全うしよう。そうロゼは思う。
 次の日からは忙しい日々だった。全ての作業工程が完了したときは一種の感動すら覚えるほどに。
 ではそんな風に作られた劇を今から皆さんに楽しんでいただこう。
 タイトルは『蜃気楼と恋物語』。

第一章

 舞台の端でカートュスは語る。視界が白んで観客席が見えなくなるくらいの強烈な光、その中でも彼は臆することなく物語を語る。
「オアシスを中心に二つの国があった。二つの国は仲がよく、厳しい環境の中でもお互いに励まし合いながら生きていた。同時期に二人の国王は子供を持った、そこから物語が始まるのだった」
 舞台上には風よけのローブを羽織った男『晴海 嘉久也(aa0780)』が扮する国王『アクバル・マシュド』。
 その姿は『エスティア ヘレスティス(aa0780hero001)』との共鳴姿。オーラを抑え、髭と年齢相応の老化メイクを施したその姿を鏡越しにみたとき、思わず晴海はほうと唸ったという。
「彼はかつては『太陽王』とも呼ばれ…………」
 カートュスは朗々と語る。
「国の財政の為に出向いた傭兵としても剛腕で鳴らしていたという古くから続く豪族の末裔」
 その立ち姿は豪気。背に鋼鉄がはいっているのかと思わせる背筋の伸び方、表情には優しみもあれば厳しさも感じさせる深い顔立ち。
 その腰には刃、しかし左腕には小さな赤子が抱えられている。
 布でくるまれた赤子は、その腕の中にすっぽりと二人入っているように見えた。
「彼の采配からこの悲劇は始まったのだ」
 『オペラ(aa0422hero001)』が演じるアクバル王国王妃『ラナー・マジュド』の声が壇上に響いた。

「ああ、なんて可愛らしいお姫様でしょう!ほらこの辺り、あなたに似ているのじゃなくて?」

「うふふ、昔のあなたを思い出すわ。あの頃は泣いてばかりだったのに、もうお母様になるのね」

 赤子の鳴き声が響く。赤子の鳴き声が二つ、会場にしみいるように。
 そして灯りは徐々に落ちていき。月日が流れた。
 次に部隊の上に登場したのはエリーヌ。
 彼女が演じるB国の姫は可憐な美少女として描かれた。何不自由ない王宮での生活で我が儘に育ってしまい…………求める者すべて、自分の欲しいものはすべて何がなんでも手に入れないと気が済まない。
 対して王子役は『九重 陸(aa0422)』。
 この物語は王子『アシュガル・マジュド』とアクバルが謁見する場面から始まる。 
 二人は日課である剣の稽古を行っていた。アクバルは片手でアシュガルをいなしているのにもかかわらず、アシュガルは両腕で剣を握り汗がほとばしるほどに激しく剣を撃ちつけている。
「この光景に城内の、特に国王の若かりし日を知る従者たちは驚いたものでした」
 昔あれほど苛烈だった国王が、現在は比較的落ち着いた性格になり、国政自体は閣僚達と協力して良好に治めている。
 どれもこれも息子が生まれてくれたおかげだろうと。
 ただ、従者たちは知っている。物騒な外見とは裏腹に細心であり、滅びた国を見て来ている為に妃及び王子達の幸せと両国の繁栄を強く願う一面を持つのだと。
 そのためこの後もB国へ赴き外交にいそしむらしい。
「父上! もう一勝負」
「ははは、今の御前ではどれほど剣を振るおうと私には届くまい、精進しろ」
 そう言って背を向ける国王にアシュガルはいらだちと不満がこもった視線を向けた。
 二人の国に同時に生まれた命は同じように成長し反抗期を迎えようとしていた。
 世に背を向け思い通りにならないことにいらだちを覚える二人。
 二人が出会うのは、こんな出来事があったからである。
 それは、父に連れられファジュルとの会談のためファジュルに足を運んだ時の事。
「ファジュルは女王に支配される国だった」
 その女王は良くも悪くも無駄のないクリーンな国政、そして険しい言動から『鉄鋼の女王』と国民から呼ばれ敬愛されていた。
「しかし根は繊細な女性。幼少期は同い歳のアクバル王国の王妃、その側で泣いてばかりだった」
 アイシャ姫を厳格に躾ける一方、念願の娘だからか『不自由無いように』と称し、必要以上に物を買い与えてきたのだったが、それが裏目に出た。
 そのためアシュガルはファジュル、国城の通路でこんな声を耳にすることになる。
「あなた、買い物の荷物持ちをするですの!」
「ああ、こまります、ひめさま、姫様」
 そう二人の侍女(理夢琉と遙華)を引き連れて足早にアシュガルへと向かってくる女性がいた。
 彼女こそこのファジュルの姫であり、女王の頭痛の種である。
「しかし今は、アクバル王国の国王様がお見えになられておりまして、今は城下に出向かれない方がよい気が」
 侍女が告げると姫は振り返って告げる。
「わたくしは一人で何でも決められますの!」
「これは女王様からの願いで…………」
「母上も、いちいち指図しないで欲しいですの!」
 そう侍女たちを振り切る姫『アイシャ』をカートュスが解説する。
「王女の暮らしはとても恵まれたものでした」
 女性の開設は丁寧なところが彼の良いところである。かわりに男は雑だが。
「しかし幾ら欲しいものを手に入れても、自分の幸福が満たされることはありませんでした」
 それを見送る王子。その頬は桃色に染まっていて。
「……何故なら、自分の出生に大きな引っかかりを感じていて、皆腫れ物のようにその話題には触れたがらなかったからです」
 そんな姫を追いかけて王子は姫へと声をかける。
「きみがアイシャ姫だね」
「そう……だけどあなたは?」
「父上と女王陛下が話しておられる間、退屈だろう。その、良かったらだが……少し私と話さないか」
 その言葉で誰か理解したアイシャは目を細めて笑い、差し出された手を取った。
 そんな二人が恋に落ちるのに長い年月はかからなかった。
 一方そのころ。王様たちの会議室では。
 ファジュル女王演じるロゼとアクバル演じる晴海がチェスをしていた。
 初めて壇上に上がった女王の名前は『ナスリーン・ファジュル』。
 オペラ演じる王妃『ラナー・マジュド』に甘えるようにそばにいて、それでいて盤上からは目を離さない。鋼鉄の女王である。
 そんなナスリーンのチェックの声で場の緊張した空気が和らぐ。
「ああ、よい息抜きになりました」
 そう告げるとラナーにしなだれかかるナスリーン
「あなたは不妊症と教育で疲れ切っているのだわ。少し休んだらいかが?」
 ラナーが告げるとナスリーンは首を振る。
「いえ、それはできないわ。だってあの子は一日としてじっとしていられない」
 深いため息をついて、ナスリーンは言葉を続ける。
「血は繋がっていないと言えど、あの子はワタシの真の娘よ。これまでも、そして今も、そう育ててきたのだから」
 そうナスリーンの声が震える。涙をこらえているのか、そのか弱い肩をラナーはそっと支えた。
「ふむ、やはり皆に知らせた方がいいのでは」
 告げたのは王。しかしその言葉に首を振るアクバル王国王妃。
「大丈夫。ナスリーンの事はわたくし、よく知っています。悩み事は、二人で分かち合いましょう」
「ここで言う悩み事とは……」
 壇上で時が止まり、スポットライトを浴びる語り手。
「王子と姫の問題でした。あの二人の出生の秘密を知るのはここにいる三人だけ。しかしその秘密は国を揺るがすほどに大きな問題だったのです」
 それは国王が傭兵として戦地に立っていた時の話。
 最後の依頼先で滅亡した王国の最後の王女を保護した。
 それを養女としてアクバルは向かいいれるつもりではあったのだが。 
 ナスリーン、つまりファジュル王女にに乞われてその後継者として贈った経緯がある。
 同時に彼女への追手を防ぐため『王子の妹』として扱うが今の所は刺客も現れずに杞憂に終わっている。
 それが現在の状況だった。
「ただ問題は、アイシャが血のつながりに疑いを持ち始めたということです」
 ナスリーンは不安げに告げる。
「私があの子を思う気持ちに、血など関係ないというのに」




第二章

 そして場面は王子と姫乃逢瀬に戻る。
 不安げな姫に寄り添う王子。
 実際問題アイシャは女王の実子でないことに薄々気づいている……。だが、アイシャ自身そのことを相談できる相手が身近におらず、行き場のない感情は周りに歪んだ圧力として発散させるしかなかった。
 だが今、目の前に話せそうな人物がいる。二人は庭先の木の下に座って話をした。と言ってもアイシャがほとんど一方的に話していただけなのだが。
「王子様……わたくし、自分が本当にお父様達の子供なのか、信じられなくなる時がありますの」

「どんなに高価な宝石を側に置いても、皆に褒め称えられても……それが、泡沫の夢のように感じてしまうんですの」

「王子様は……アイシャの不安、理解して頂けますの?」
 その言葉にアシュガル王子は言葉を返す。
「半分も分からない」
「……? もう!」
 一瞬呆けた顔をしたアイシャだが、すぐにそうむくれると、その感情変化がとても面白くて、アシュガルはお腹を抱えて笑いだす。
 その笑顔につられてアイシャも笑った。
「あなたは笑っているほうがいい、素敵だ」
 その言葉にアイシャは頬を染める。
「いったい、な、何なんですの、人をからかってばかり」
「本気さ」
 そう告げるとアシュガルは立ち上がり、観客席を一瞥した。
「きみは笑っていておくれ」
 そう告げると曲が流れだし、それに合わせてアシュガルは舞台の真ん中へ。
 曲名は『それが君の笑顔なんだ』。


―― 君の笑顔が翳るとき
   小鳥は歌をやめるだろう
   夜空の星は輝かず
   花々は色を失うだろう
 
―― 君が笑ってないと
   世界はつまらない  
   全てに光を与えるもの
   それが君の笑顔なんだ

 そして熱い視線を送る王子、その視線にほだされたように、ぽーっとアイシャは王子を見つめた。
 その時である、二人の間に割って入る鎧姿の人物が一人。それが。
「あ、こちら、紹介するわ……」
 それはオペラが演じる騎士『アリ・ムフタール』であり。
「私の、いい名づけ」
 波乱の種でもあった。



   *   *


 月日は長く過ぎ、王子と姫はお互いの国を行き来するようになった。
 子供たちは交流の間に恋心を持ち始め、鋼鉄の女王はそれを心配していた。
 その恋物語に介入する一人の騎士。
 その騎士は姫乃いい名づけだというが、その騎士もまた、大きな秘密を抱えてこの場に入るのだった。
 そのナレーションの後場面は転換。
 騎士の寝室となり、そのベットの上に横たわるオペラはアリという人物を演じている。
 だがそれは世を忍ぶ仮の名前。
「私の本当の名は『アリア・ムフタール』」
 騎士は女だった。肌着となった彼女のボディーラインは柔らかく確かに女性の体つきだった。
「私は女で有ることに耐えられなかった。だがそれ以上に耐えられないのは」
 古い考えと男尊女卑の実家である。そこを飛び出して頼ったのが騎士団長を務めている友人だ。
「だから私はここにいる、実力だけでのし上がってそして」
 性別を偽り騎士になった。剣の腕は男性顔負けで、騎士団随一と謳われる。女王の覚えもめでたい。
「嗚呼、自由! 何と素晴らしい響きだろう。今こそ、私は自由なのだ!」
 そう腹の底から気持ちよさそうに声を出すアリア。しかし。その自由を脅かす問題が一つあったのだ。
「私は、女王に忠誠を誓うが、それでも受け入れられない願いが一つあった」
 そう、それは姫アイシャとの縁談の話。
「私はどうすれば」
 それと同じ言葉を吐く者がいる。
 王子だ。
 王子も悩んでいた。
「私はどうすれば」
 日課の稽古の時間、王が来るまで頭を悩ませて過ごす。
 愛している。あの姫を愛しているのだ。
 しかし許嫁がいる。しかも父もあまりいい顔をしない。
「父上」
 そう、剣を手に姿を見せた父に駆け寄るアシュガル。
「今日は少し、本気をだそう」
 告げた父の目はギラリと光っていた。
 小一時間打ち合った後、王子は地面に横たわる。
「父上! 私を殺すおつもりか!」
 そうアシュガルが思うのも無理はなかった。アシュガルは父直々に、幼い頃から王族に相応しい教育と礼法を叩き込まれた。剣術もその一つ。
 その教え方はスパルタと呼ぶのにふさわしく、王自身は王子にあまりいい感情は抱かれていないと思っている。
「お主、アイシャを気に入っているようだな」
 そう王は問いかけると、アシュガルはそっぽを向いた。
 その反応からやはりと、察すると王は無情に言葉を続ける。
「アイシャ姫に関してはあきらめろ」
 王が告げるとアシュガルは弾かれたように視線をあげた。
「それはなぜ」
「もちろん、彼女のファジュル王国のためだ」
 ファジュル王国の『希望』という立場を考えての事で、彼女の事情と動向も併せて将来を不安視しているからである。
「お主こそ、一時の気の迷いで姫に接することは許さん」
 告げるとアシュガルは火を突きつけたように反論した。
「私がアイシャを想うことを、気の迷いなどと……父上といえど聞き捨てならん!」
 振り上げる刃、それを軽くいなす王。
 再び稽古が始まった。
 しかし先ほどとは違い苛烈に攻める王子。
 ただ王も引くことはできない。
「アイシャ姫はファジュルの『希望』だ。一時の気の迷いでその希望をファジュルの民から取り上げてしまう罪深い事をしてしまうのか、それは許されることではない」
 切り上げた刃で、アシュガルの刃が飛び、木のたもとに突き刺さる。思わず王子は倒れ伏した。
 そして王は王子に何も言わない。ただ、立ち去る背中で語れぬ真相を腹に『今は待て』と語るのだった。



第三章 舞台裏の話

 時は一度遡り舞台政策の話。 
 台本が出来上がり、配役も決まったリンカーたちは各々練習のためにH.O.P.E.から貸し与えられたホールに集っていた。
 そんな中ECCOと杏奈がお話をしている。
「脚本の流れはこうよ。
 A王の元にA王子が誕生した。一方、長く子供を授からなかったB女王はB姫を養女にとった。
 A王妃とB女王は旧知の仲であり、お互いを祝福し合う」
「ファジュルは女王やねんな、おもろいわ。みんなで考えたん?」
 頷く杏奈、そして楽譜とにらめっこするルナ。
「うーん、めっちゃかわええ、お持ち帰りしてええ?」
 告げると杏奈はルナを抱きかかえて悪戯っぽく言った。
「だーめ、それでね。
 子供たちは交流の間に恋心を持ち始め、B女王はそれを心配するの。
 一方、王族に連なる家の娘、騎士Bは女子禁制の騎士団に入り、めきめきと頭角を現していった」
「娘! 騎士が、俺の騎士を女の子にしやがった」
「ん?」
「ごめんな、ちょっとしたネタなんよ」
 その後、ファジュルの姫はファジュルの女王に恋心を打ち明けるが、女王は反対。アクバル王国の王子と姫は双子なのだと教える。
 女王はアクバル王国の王妃に気持ちを打ち明け、王妃は口裏合わせに協力する。
 女王は姫と騎士の縁談を進め、王子は騎士に決闘を申し込む。
「そこらへんは大筋の流れとおんなじやんな」
「でもここからが違うのよ。
 決闘の最中に剣を捨て、正体を明かす騎士。どうぞ処罰をと望む彼女に女王は寛大な処遇を与える。
 彼女の勇気に心打たれた女王は、王から真実を聞いた王子の説得もあり、結婚を許す。
 ファジュルの王家は、新たに養女となった騎士が継ぐことになる……ってお話し」
「あとは、アイシャ姫は実は王子とは違繋がっていないって設定も入れたよな」
 そう告げて現れたのはカートュス。その愛くるしい姿にECCOはひと目でメロメロになった。
「やーん、いつみてもかわええ、おもちかえりしてええ?」
「申し出は嬉しいけどね、年頃の女の子が男性をホイホイ家にいれてはいけないよ」
 そう紳士的な対応を返す。するとECCOは小さく微笑んだ後で、カートュスと。
 誰かを探すようにあちこちふらふらしていた蛍丸に声をかけた。
「なぁなぁ、台本の感想聴いてええ?」
「え? あ、はい、何でしょう」
 呼ばれてECCOの近くに正座する蛍丸。
 告げるとECCOがハンディーカメラを二人に向けて回した。
「これはどうするんですか?」
「歌作るときにつかうんよ」
 するとECCOは一つ一つ問いかける。
「この物語を一言で表すと?」
「あなたのことを想い慕っています」
「誰が悪いと思う?」
「誰も悪い人はいないんじゃないかなと、僕は思います」
 その言葉にはカートュスも反応した。
「そりゃアイシャ姫は我が儘放題振る舞ってたけどさ……こんな目にまで遭う謂われはないと思うよ?」
「せやんな、誰が悪いって話でもないなぁ、ごめんなぁ」
 そう優しく微笑むとECCOは流れた髪を指ですくって戻しながらまた問いかける。
「自分が王子や姫ならどうした?」
「王子や姫の心境は分からないけど騎士なら姫のしたいことのために諦めたと思います」
「歌詞で使えそうなフレーズない?」
「恋が叶うことを願うのは罪ではない」
「深い言葉やんな」
 告げると満足そうにECCOは立ち上がり、背筋を伸ばす。
「じゃあ、戦ってくるわ!」
 それが舞台裏のちょっとしたひと時の話。
 場面はそして、舞台に戻る。

   *   *

 それは物語が動き出す前夜の話。
 ついにアイシャは女王に恋心を打ち明けた。
 騎士様と結婚することはできない、あの国の、あの王子様と結婚したい。
 その言葉に女王の顔は青ざめた、何故なら二人は、だって二人は。
「なりません」
 告げる女王の声は震えていて、そして。
「それだけは許せません」
 姫は母のそんな強い否定の言葉を聞いたことがなかった。
 次の日から王子は姫にあえなくなる、尋ねて行っても門前払い。
 王子は思ったことだろう、全てを決断する時が来たと。
 姫か国か。選ぶべき時が来たのだと。

第四章 そして誰も死なない終りへ
 
 その夜、警備を突破する者がいた。その報告が遅れたのは王たちが会談をしていたためである。
 女王から緊急と壊れて。アクバル王国の王と、王妃はすぐに馬で向かった。
 そこで待っていたのは疲れ果てた女王。
 女王は二人を一瞥すると告げる。
 姫が王子に、恋心をと。
「二人は強大であるのに」
 そこで、王は一言女王に謝罪の言葉を述べて、真実を話す。彼女の出生の秘密を。
「そんなことが……」
 ショックを受ける女王。しかしその胸に生まれた混乱をかみ砕いている暇はない。
 王子が王の間に到着した。
「女王陛下、何故謁見の機会をいただけないのでしょうか」
 その王子の背後から女性の声が聞えてきた、慣れ親しんだ美しく繊細な声。
 アイシャ姫の声に、王子は振り返る。
 ただし、姫と王子の間を遮るように騎士が立っていて、こちらに剣を向けていた。
「女王陛下。水を葡萄酒の瓶に入れたら、葡萄酒になるという事がありましょうか。姫様が私の妻になろうと、親子の絆に変わりはありません」
 告げる王子の声に、女王は首を横に振るばかり。
「私は彼女を守るように仰せつかったみ、奪いたくば」
 告げるとアリは真剣をもってして、王子へと向き直る。
「私を倒してみよ」
 それに対して刃を抜く。今までの衛兵を屠ってきたときとは違い。本物の刃だ。
「決闘の結果は結果、それを罰する事は誰にも出来ぬ、両人……決着をつけよ」
 国王が高らかに告げる。その言葉に頷いて二人は刃を交えた。
「やめてほしいですの! アシュガル様!」
 次いで響く姫乃説得の声を剣戟が遮った。
 それは踊るような武闘だった。
 振り下ろされた刃をそらし。反撃に絡め捕ろうとするとターン、追う切っ先をそらしてアリは半歩踏み込んだ。刃の端を頬にうけ。血が床に飛び散った。
 姫の悲鳴が聞こえる、けれどアシュガルは止まらない。
 その刃を跳ねのけ、大きく左に回り込み、体重を乗せた斬撃。
 それをそらすアリ。だがまだだ。腰の回転を生かして横なぎの一撃。
 体勢が崩れたところで、刺突を放つ。
 その攻撃を肩で受けたアリ。布がはじけ地肌が露わになっている。
 危機感を感じたのかアリはいったん距離をとって。
 何事かを思うように目を瞑る。
 するとアリは剣を放り投げ、そして女王に向けて顔をあげた。
「女王陛下。お耳に入れねばならぬ事がございます。このアリ……いいえ、アリア・ムフタール、姫様と夫婦になる事は出来ません」
「いったいなにを」
 女王の言葉を肯定するように場が困惑の空気を帯びる。
「私はずっと陛下を騙しておりました。どのような罰も、当然の報いとして受け入れます」
 告げると胸当てを外す。
 露わになったのは確かに女性らしい体のライン。
「そんな、では……」
 女王が何事か告げようとしたとき、アクバル王国の王はそれを遮り告げた。
「勝負あり、だな」
 告げると王は言った。
「この一件こちらで預からせてもらおう。ゆくぞ、二人とも」
 そう王が二人の歩みに並ぶより早く、鋼鉄の女王は娘の手を取った。
「ワタシは一国の長である前に、1人の母親なのです……そして貴女は世継ぎ以前に、ワタシの娘なのです!」
「ごめんさい、お母様。愛しているわ」
 告げるとアイシャはその手を振りほどいて、王子の後ろにつき、歩き去る。
 それを見つめながら、女王ナスリーンは涙を流す。
「アイシャ、愛しているわ……ワタシのアイシャ、幸せにおなり…………」


 その後王子と姫はアクバル王国の跡継ぎとなる。
 跡継ぎのなくなったファジュルは代わりに騎士が幼女となってその家を継いだ。
 二人の家に少し、禍根はあったものの、幸福そうな娘を見る母の眼差しが、その禍根を長くは残さずに。
 いつまでも永久に永久に。二つの国は幸せであったという。

 そしてロゼは、その喉から壊れそうな繊細な歌声でメロディーを。
 それに音楽がついてくる。
 徐々に暗くなるステージ、その両端から少女が二人躍り出た。
 理夢琉とルナ。
 二人は声、響、重ね。輪唱のようにロゼの歌を追いかけた。


―― 音を混ぜて 崩れた壁
   静かなほど 空が綺麗
   線の向こう 前を向こう
   進めばほら 空はひとつ

―― 銃を放せばあなたを抱けるよ
   ようやく逢えたよBrother
 
 ルナが手を伸ばして高く声をロゼに重ねる。

―― 鎧を脱いだら鼓動を聴けるね
   待たせてごめんねSister

 理夢琉が軽やかな声を重ねハーモニーを響かせる。

―― 涙一滴 風に舞い
   認め合う勇気に変わるよ

 ルナが勇気に変わるよと。言葉を重ねれば。
 理夢琉がそれを変えようと、答えるように旋律を乗せる。

―― 好きと一言 それで良い
   見つめ合い夢を語ろう

 ルナが夢を語ろうと言葉を乗せれば。
 理夢琉が夢を明日へとトーンを上げて音の調和をもたらす。

―― ずっと…………

 寂しげな声。音は潮の音のように引いていき、ステージから灯りが消える。 
 拍手が巻き起こった。


 エピローグ

 舞台が無事成功したのち、遙華はあてがわれた執務室で書類の管理、金銭的な帳簿など、雑務に追われていた。
 そこに蛍丸が入出する。
「あら、どうしたの? 蛍丸」
 その表情が暗いことに気が付いて、あわてて遙華は蛍丸に歩み寄った。
「どうしたの? なにかあった?」
「すみません、実は言っておかないといけないと思って」
 そう告げて切り出したのは。彼女への想い。
 恋人との仲を壊さないような配慮や気遣いは気疲れしてしまうこと。
 2年以上遙華と関係を積み重ねているのだから遠慮などをしないで欲しいこと、積み重ねた時間をなかったことにされているようで悲しい、やめて欲しいということ。
 そして、気遣われ遠慮されるよりも詩乃のように恋心をぶつけてくれた方が嬉しいこと。
「そう、気を使わせてしまったのね。ごめんなさい」
「想いはきちんと受け止めます、だから、大丈夫です、遙華も素直に言ってください」
「そうよね、蛍丸はそう言う人だったわね。優しくしてくれてありがとう。でも私本当に、蛍丸への恋心はもうないのよ」
 遙華は瞳を覗き込んで告げる。
「以前にも、言った通り私は今恋愛に裂いている時間もないから、以前よくしていただいた方にも、それで嫌な思いをさせてしまったわね。それはすごく深く反省している」
 少し怯えながらも、けれど好いてくれているんだという気持ちは確かに受け取っていた。そう遙華はあの時の事を思い出す。
「あなたに恋していたことも否定しない。けれど、明確にあの時と気持ちが違ってしまっているの。あの時の様な恋心はもうわかないし」
 告げて、遙華はデスクに戻ると書類を束ねながら告げた。
「今は友達と遊ぶことしか考えられないわ」
 そう温泉採掘企画の書面をふらふらと振った。
「あなたに気をもませてしまったことは、もう一度謝るわ。ごめんなさい。けれどお友達として仲良くしたいことも本当だから。嫌いにならないでくれると嬉しいわ」
 しばし、執務室が静寂に包まれる、窓越しに人の作り出す喧騒が聞えた。
 その日は月の明るい夜だった。
 その空のように二つの国の人々が晴れ渡った心で生きていけることを遙華は願う。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 無名の脚本家
    九重 陸aa0422
    機械|15才|男性|回避
  • 穏やかな日の小夜曲
    オペラaa0422hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • リベレーター
    晴海 嘉久也aa0780
    機械|25才|男性|命中
  • リベレーター
    エスティア ヘレスティスaa0780hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • 世を超える絆
    世良 杏奈aa3447
    人間|27才|女性|生命
  • 魔法少女L・ローズ
    ルナaa3447hero001
    英雄|7才|女性|ソフィ
  • 特開部名誉職員
    高野信実aa4655
    人間|14才|男性|攻撃
  • 親切な先輩
    ロゼ=ベルトランaa4655hero001
    英雄|28才|女性|バト
  • 淑女修行中!
    エリーヌ・ペルグランaa5044
    人間|14才|女性|攻撃
  • 猫被りフェミニスト
    カートゥスaa5044hero001
    英雄|10才|男性|ソフィ
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