本部

男女混浴・裸のつきあい!!

一 一

形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
24人 / 1~25人
英雄
24人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2018/03/17 21:03

掲示板

オープニング

●混浴は好きですか?
「――ってことなんだけど、どうだい?」
 いつぞやの社長から話を聞き終え、佐藤 信一(az0082)はパンフレットを見る。
「……今度は健康ランドですか」
 この社長は昨年夏頃、エージェントにお化け屋敷のモニター依頼をした人物だ。
 信一も同行しており、その時の様子を思い出す。
 …………。
 うん、いろいろ酷い目にあった。
「また変わり種な施設じゃないでしょうね?」
「いやいや、佐藤君? さすがにお化け屋敷とリラクゼーション施設は区別するよ?」
 思いっきり疑惑の目を向ける信一に、社長は笑って反論する。
 一見すると人の良さそうな笑みだが、やや享楽的な人柄を知れば胡散臭さしか覚えない。
「実はそのお化け屋敷が結構好評でね? エージェントの人たちからの意見が大いに参考になったから、お礼がしたいと思ったんだよ。日頃からたくさん大変な仕事をしているエージェントさんたちに、感謝と労(ねぎら)いを込めてリフレッシュしてもらおうと思っただけさ」
「…………『新設』する健康ランドで、ですか?」
「あ、ついでに利用した感想もくれるとありがたいね」
 信一の手にあるパンフには、デカデカと『3月オープン!』と書いてある。
 つまり前回同様、無料招待という名のモニター依頼というわけだ。
「厳密には、社員やバイトスタッフの家族とか、広告や建設なんかでお世話になった関係者を対象にした、身内対象のプレオープンって形だね。期間は金土日の3日。好きなときにきてくれていいよ。入浴道具も一通りそろってるから手ぶらで大丈夫だし、何なら宿泊も可能だね」
 3日も実施するのは、24時間営業を行うに当たってスタッフの接客や設備の動作確認などをする意味合いが強いらしい。
 すぐ趣味に走る部分に目をつむれば、意外と社員教育や施設運営はまめに行う、よい経営者なのかもしれない。
「それにさぁ、彼女さんと一緒に温泉を回れば、もっと仲良くなれるかもよ? 日本人なんだから、裸のつきあいは基本でしょ!」
「それ、普通は男女では使わない言葉ですからね? そもそも、入浴時は水着着用厳守ですから、裸じゃないですし」
「服より露出度が上がるし、混浴気分を味わえるって意味では問題なし!」
 親指を突き立て、バチコーンとウインクをかます社長に、信一はがっくり肩を落とした。

●水着はmust(マスト)ですが何か?
「――というわけで、エージェントの方にお声掛けをしているんですよ」
 結局、信一は社長から渡された招待券とパンフレットを提示しつつ、受付にきたエージェントに話を広めていた。
「先方からは『モニターはついででいい』といわれてますので、英雄の方やご友人とゆっくり過ごす機会にはちょうどいいのではないでしょうか?」
 招待券をその都度提示すれば、3日間入場無料で利用できるためお得はお得だ。温泉は源泉から引いた天然物で、疲労回復や関節痛の改善など効能も期待できる。その他、サウナやマッサージや飲食店などなど、設備も充実していて楽しそうだ。
「あ、それと入浴は更衣室で水着に着替えてから許可されるのですが、水着は持参でも構わないそうですよ? ……まあ、無料で貸し出しされるものもやたらバリエーションがあるので、手ぶらでも大丈夫だそうですけど」
 社長にカタログを見せられ、水着メーカーと提携でもしてるのか? と信一が呆れるほどの種類があった。オープン以降は持参すれば値引き対象とする予定らしいが、今回に限っては気分の問題になるだろう。
「お時間と興味があれば、僕に言ってくれればこちらをお渡ししますよ。招待券は先着順ですので、全員にとはいきませんが」
 そう締めくくってエージェントに手を振った信一は、後ろから近づいた碓氷 静香(az0081)に振り返る。
「私も招待券を頂きました。温泉は初めてなのですが、信一さんの前では裸の方がいいのですか?」
「ぶっほぉ!?」
『こら静香! 何はしたないこといってんの!!』
 静香からぶん投げられた突然の爆弾発言に信一は吹き出し、レティ(az0081hero001)も慌てて注意する。
「? 依頼者様から『佐藤君との裸のおつきあいって大事だよ!』というメールを頂いたのですが、何か間違っていましたか?」
「……あんの人は~っ!!」
『信一! 今度会ったら殴るわよ、そいつ!!』
 純粋無垢な静香の反応に、信一はお節介親父の顔を思い浮かべて頭を抱え、レティはセクハラ親父への天誅を心に決めた。

解説

●目標
 健康ランドでリフレッシュ!

●施設概要
 温泉
 近くの源泉から天然温泉を直接引いているため、割と本格的
 岩風呂・砂風呂・ジェットバス・電気風呂・薬湯など、たくさんの種類がある

 サウナ&水風呂
 サウナは数種類ほど用意されており、近くに水風呂が設置されている
 初心者向けから玄人向けまで、幅広いニーズに対応(脱水症に注意)

 マッサージコーナー
 筋肉の凝りをほぐしてリラックス
 スタッフ全員が按摩マッサージ指圧師の国家資格を有しており、意外と本格的
 基本的に施術者は男性には男性が、女性には女性がつくが要望次第では……?

 ゲームコーナー
 ゲームセンター的な区画が用意されており、割といろいろ遊べる
 レトロゲームから最新筐体まで、社長の好みで雑多に並べられている
 中でも卓球台は人気で、額に玉を食らって吹っ飛ぶ人がよく見られる

 飲食店
 和食・中華・洋食・エスニックと、こちらも何故か無駄に種類豊富
 酒類は心臓病のリスクなど健康面から配慮し、全店舗で取り扱っていない
 その代わり、コーヒー牛乳やフルーツ牛乳など風呂上がりの定番飲料は充実

 フィットネスクラブ
 健康的な汗をかいてから入浴するのもおすすめ
 インストラクターが若干名勤務し、運動に関する様々なアドバイスをしてくれる
 あくまで一般人向けのため、運動量的にリンカーでは物足りないかもしれない

●その他
 施設は都心からやや離れた関東郊外にある
 移動手段はバスや電車など、公共交通機関の最寄り駅から徒歩で行き来できる
 駐車場も完備で都心からのアクセスも良好のため、日帰りでの利用も可能
 1日数時間程度の清掃時間を除けば、1日中入浴可能

 以下に該当すると入場制限を受ける
・泥酔状態
・皮膚疾患がある
・薬物中毒者
・保護者がいない18歳未満の夜間滞在
(刺青・外国人を理由に断られることはないが、問題を起こせば追い出される)

リプレイ

●チケット配布
「健康ランド――スーパー銭湯に近いあれ、でしたか?」
「ロ……」
 モニター招待券を受け取る構築の魔女(aa0281hero001)の横で、辺是 落児(aa0281)が首を傾げる。
 ちなみに、おおまかな健康ランドとスーパー銭湯の違いは利用料金であり、健康ランドの方がやや高め。その分、サービスや交通の便がよかったりする。

「日々の戦いのダメージは、確実に身体へ蓄積しているもの……こういう機会は利用しないとね、央?」
「そうだな――マイヤの言うとおり、のんびりするか」
 療養目的でマイヤ サーア(aa1445hero001)から参加を勧められた迫間 央(aa1445)は招待券を受け取る。

「温泉か~、気持ちよさそうですね」
「ではせっかくだし、一泊していきましょ」
 パンフを受け取った都呂々 鴇(aa4954hero001)は興味津々に眺める。
 弟分の反応に微笑み、新城 霰(aa4954)は信一から招待券を受け取った。

「偶にはゆっくりするのも良い、か」
 依頼を探しにきた御神 恭也(aa0127)も、パンフに目を通して参加を検討。
「温泉旅館も良いですが、健康ランドも違う楽しみがありますよね」
 後から合流した不破 雫(aa0127hero002)が乗り気な反応を見て、恭也は招待券も持ち帰った。

「成程……、じゃあお兄さんたちももらうよ」
「……妙に意気込んでないか?」
 変にきりっとして招待券をもらう木霊・C・リュカ(aa0068)に、オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)は訝しげに相棒を見やる。
「刺青でも気を使わなくていいってのは良いな」
「みんなで温泉、とても楽しそうなのです」
 広い風呂が好きなガルー・A・A(aa0076hero001)は銭湯や温泉だと断られやすい条件がクリアされて素直に喜び、紫 征四郎(aa0076)も4人で楽しめそうだと非常に乗り気だった。

「役得も多いモニター依頼は歓迎だ。食事と温泉で命の洗濯といこう」
「……ん、有料部分が多いけど、お得はお得」
 最近は仕事で忙しかった麻生 遊夜(aa0452)とユフォアリーヤ(aa0452hero001)は、1つのパンフを共有し話し合う。
「三泊したい所ではあるが、やはり一泊が限界かね」
「……ん、長く家は、空けられない。お仕事もある」
 孤児院のことも考えて予定を決め、遊夜は招待券を手にしょんもりするユフォアリーヤの頭をなでた。

「シンイチ殿、健康ランドへの招待状を頂き感謝する」
「こ、混浴なのは、どうしてですか?」
 こちらもモニターを引き受けたリーヴスラシル(aa0873hero001)だが、混浴という言葉に月鏡 由利菜(aa0873)は戸惑う。
「確実に依頼主の趣味ですね。以前に依頼で関わってからの知人ですが、一般人とは感性がズレてるおっさんなので、機会があれば本人に聞いてみますね」
「そ、そうですか……」
 にこやかだが割とトゲがある信一の答えに、由利菜はどこか引き気味だった。

「なあなあ! たっきゅーってなんだ!?」
「何だ、興味あんのか? じゃあアタシとやってみるか?」
「やるーっ!!」
 ただキトラ=ルズ=ヴァーミリオン(aa4386)は温泉以外の施設に注目。パンフから額に卓球の球を食らってのけぞるおっさんの写真を指で示したキトラに、イフリート=ドラゴニア(aa4386hero002)は元気なキトラの反応を見て招待券をもらった。

●金曜日
 こうして招待券が配られ、プレオープン初日。
「ドールっ、こっちよー」
「あーはいはい」
 元気なフィアナ(aa4210)の声に答えるドール(aa4210hero002)は気怠げ。
「みんなでお出掛け、わくわくねー」
「ったく、何で俺まで……」
 友人と過ごす休日が嬉しいのか、フィアナのテンションは高く楽しそう。
 逆にドールはフィアナに半ば無理矢理連れて来られたため、実にテンションが低い。
「たまにはのんびりとしないとね」
「ですね。紀伊さん、今回はよろしくです」
「誘ってくれてありがとう。こちらこそ、よろしく」
 フィアナのやや後ろに氷室 詩乃(aa3403hero001)と柳生 楓(aa3403)が続き、振り返ると紀伊 龍華(aa5198)がぎこちなく頷く。龍華にとっては初めての温泉や旅行であり、心中は不安と期待が半々でやや緊張気味。
「……よろしく」
 その隣、やや遅れて返答したマナ・シェンデルフェール(aa5198hero002)はいつも通り眠そうな半眼。とはいえ一生で初の温泉から好奇心が勝ったようで、抱えた枕の上でマナの視線はあちこち動く。
「温泉か、そういえば久しぶりだな。下見にもなるし……今度連れて来るか」
 途中で偶然フィアナたちと出会った東海林聖(aa0203)は、この場にいない恋人と前に行った温泉旅館を思い出し、玄関をくぐって施設内を見渡す。
(温泉、美味しいごはん……温泉卵とか、あるかな)
 その隣で、小腹を空かせたLe..(aa0203hero001)が食べ物を探して施設内をキョロキョロ。
 すでに温泉より食い気が勝ってるようだ。

 次第に人が集まり活気づく中。
「蘿蔔はゆっくり休むと良い。最近ずっと忙しかっただろう」
 レオンハルト(aa0405hero001)は宿泊スペースにそれぞれの荷物を置いた後、持ち出した仕事を広げた。
 今日は卸 蘿蔔(aa0405)の発案で恋人の八朔 カゲリ(aa0098)と英雄のナラカ(aa0098hero001)を含めた4人で一泊する予定である。
「レオンは行かないのです?」
「プロダクションの仕事が溜まってるから……」
 早速温泉に、と思っていた蘿蔔に対し保護者として参加したレオンハルトは完全に仕事モード。その実、自身の腹部にある大きな傷跡を気にして遠慮が半分、実際に仕事を片づけたい気持ちが半分だ。
 4人から3人行動になった後、更衣室の手前でカゲリのみ進路を変えた。
「カゲリさんも来ないのですか?」
「俺は適当に時間を潰しているから、楽しんできてくれ」
 思わず蘿蔔が呼び止めると、カゲリが指さしたのはマッサージコーナー。より目を凝らすと、指圧ではなくマッサージチェアに指先が固定されている。
「……そんなおじいちゃんみたいな」
「まあ、覚者は人付き合いが苦手であるからな。此方は此方で楽しむが良かろうて」
 気乗りしていない様子のカゲリに少し残念そうな蘿蔔を、ナラカが背を押し更衣室へ促した。
「……施設に入る前に聞きたかったのですが、此処が混浴だと知っての人選ですか?」
 やや時間を置き、今度は更衣室の前で雫が恭也を横目で睨む。
「知っていたが、水着着用なんだから特に問題は無いだろ?」
「キョウに行くか尋ねられた時に混浴だとは聞いてませんでしたが?」
「水着は必須だと伝えた」
 招待券をもらった日、説明を聞いた恭也は『混浴だから水着』、別行動のためパンフだけを見た雫は『健康ランドだから水着』という、情報のすれ違いが発生していた。
「……なるほど、やはりキョウはむっつりだと再認識しました」
「解せぬ」
 結果、風呂は男女別と思っていた雫は持参した水着を胸に抱いて距離を離し、不可抗力で警戒された恭也の眉間にはしわが集まった。

「温泉色々あるわ、どうしよう、かなぁ」
「滑ると危ないから足下も見ようね、フィアナ」
 色んな種類のお風呂を前に、髪を高い所でお団子にしたモノキニ姿のフィアナがあちこちへ視線を向ける。次にビキニを着た詩乃が、せわしない背中へ苦笑混じりに注意。
「……意外と、人が多いな」
「女の人がいっぱいなの」
 ラッシュパーカーを羽織りフードを目深にかぶった龍華は、他の客を観察するワンピース型の水着を着たマナの一言に気後れする。
「週末とはいえ平日の午前中ですから、来場者に偏りがあるみたいですね」
 そこへタンキニを着た楓が登場し、ビビる龍華を前へ促した。
「みんな水着だし、一緒に入るか?」
「(ぐぅ)……ヒジリー、生卵ある……?」
「ここの温度じゃ温泉卵は無理だろ……」
 さらに聖が楓へ声をかけ、お腹を鳴らし食い気に負けたルゥが追いつく。
「ドール、早くっ」
「わぁーったから引っ張んな」
 最後尾だったドールは戻ってきたフィアナに手を引かれて入湯した。
「ぽかぽかねー」
「…………」
 首まで浸かったフィアナはすぐにふやけた表情に。ドールは少し離れて浴槽の縁に腰掛け、足湯状態でぽわーんとしたフィアナを眺める。
「その足は温泉に入っても大丈夫なの?」
「大丈夫、ですけど、あんまり見ないでいただけると……」
 一方で、温泉を楽しんでいたマナは楓が義足とわかる球体関節をガン見。好奇心が刺激されたらしく、熱心に刺さる足への視線に楓は恥ずかしそう。
「あらら、見てみなよ龍華。楓の顔が君みたいに真っ赤だよ?」
「お、温泉のせい、だから……」
 防戦一方の楓を面白がる詩乃に近づかれ、龍華は視線を逸らして距離をとる。パーカーで体温上昇が早く、水着の女性陣への羞恥心で龍華の心身は休まる気配がない。龍華のウブな反応により、詩乃のにやにやも止まらない。
「ナラカさん見て見て……水鉄砲! えーい」
 すると、聞いたことがある声と名前に反応して視線が自然と向く。
「むおっ!?」
 そこには白いワンピース水着の蘿蔔が、薄紅ワンピース水着なナラカの顔面へ温泉水鉄砲を命中させた姿が。
「――ほう、蘿蔔よ。私に挑むと?」
 瞬間、顔を拭って静かな闘志を燃やしたナラカが、両手でお湯をがばりと掬い上げた。
「え、別に挑んだわけで――ぶわっ!?」
「ヒジリー、壁」
「は? ――ぶえっ!?」
 容赦も大人気もない連続の反撃は蘿蔔のみならず、近い位置にいたルゥと聖をも巻き込む。
 なお、被害者は2名。

「……? 少し騒がしいですね?」
 あれから恭也の行き先を確認し、バッティング対策をして温泉を回っている雫は、近くの湯船からバシャバシャと上がる喧噪を聞き小首を傾げる。

『ふぅ~』
 そんなやりとりから遠い別の場所では、霰と鴇は2人並んでお湯に身を沈ませまったり。両者ともにぬるま湯好きの長風呂なため、なかなか次の風呂へ移動しない。
「温泉に浸かってみると、自分が疲れていたのが良く分かるな……」
 同じ湯船では恭也が肩を回し、実に平和な入浴だった。

「ルゥさんと一緒ならばお店全部回りましたよね。どうでした?」
「あー、オレらも真っ先に風呂だったからなぁ」
 ナラカとの戦い(?)を終え、蘿蔔は聖たちと一緒に別のお風呂へ向かう。
「楓さんの水着可愛いですね。カタログのやつです?」
「そうですよ。種類が多すぎて悩みましたけど」
 道中、蘿蔔が水着に話を移すと、楓が答えてから水着談義に。その際、女性陣の上気した肌に妙な気まずさを覚え、聖はさりげなく目線をそらす。
「? どうした、のー?」
「い、いや!」
 だが、そちらには同じ寮に住むフィアナのぱっくり開いた背中が。視線に気づき振り返って小首を傾げるフィアナもどこか艶っぽく見え、聖は慌てて頭を振った。
(わかる、わかるよ東海林さん)
 詩乃にさんざんいじられた反動か、集団から少し離れた位置からそれを見た龍華は、フードの奥から聖への仲間意識を抱く。
「(にぱぁっ)」
 また、フィアナは聖の後ろにいたドールと目が合い笑顔。
「……めんどくせぇ」
「っ!?」
 たまたまドールの隣で呟きを拾った人見知りの龍華、軽くびくつく。
「しかし、温泉とはよいものだな。次はあれに入るとしよう」
『ふぁ~』
 上機嫌で先頭を歩くナラカが一行の舵を取り、そこにいた先客の霰と鴇が何度目かわからない至福の息をこぼす。
「少し、眠くなって来たか……」
 同じく長湯でとどまっていた恭也は、心地よさに微睡んできた。
「次は薬湯につかりたい」
「そうね~」
「……(ぶくぶく)」
「って、それは沈んでるって言うのよ、鴇ちゃん!」
 先に脱力しすぎたのは鴇。頭まで湯に沈んだところで、霰が慌ててサルベージ。
「……(ドポン)」
「御神さん!?」
 後を追うように恭也も意識を手放し、ちょうど目撃した楓が助けに入る。
「風呂で寝るなんて危ないな――」
「……(こぽこぽ)」
「マナっ!?」
 ぼんやりと2件の入浴事故を見ていた龍華は、隣の水面が小さく泡立つのを確認。急いで救出すると、本日3件目の被害者は安らかな表情で爆睡している。

「……次は薬湯に行きましょうか」
 再び騒々しくなった外野を気にせず、雫は1人で温泉のはしごを楽しんだ。

「……迷惑をかけたな」
 温泉で溺れかけた後、恭也は眠気覚ましをかねて友人たちと飲食店に来ていた。
「かなりお疲れのようですね」
 時間も頃合いだったため、恭也も加えた食事会の席で浴衣を着た楓は苦笑を漏らす。
「疲れた体にはごはんが一番よ。私は、冷たい麺が良いな。ざるそば――といきたいところだけど、珍しいメニューがあったらそっちに惹かれちゃう。どうしようかしら」
「冷麺も美味しいし、ざるラーメンも良いですよね」
 一緒の温泉に沈んだ仲(?)として一行に加わった霰は笑みを向け、鴇とメニューを真剣に睨む。
「おしゃれにトマトの冷製パスタも良いわね、これにしましょ」
「ボクは冷やし担々麺を」
 霰と鴇の注文に触発され、メンバーもそれぞれ食事を選んでいく。
「ほい」
「?」
 続々と料理が机に並び、ふとドールがフィアナの前に牛乳を置く。
「お前はチビだから飲んどけ」
「?!」
 次いで、にっと悪戯っぽく笑ったドールに目をむき、フィアナはぷくーっと頬を膨らませた。
「(もぐもぐ)」
「(もっしゃもっしゃ)」
 人見知り気味な龍華はにぎやかな食事の中で聞き手に徹し、マイペースでベジタリアンなマナは黙々と野菜サラダをもしゃもしゃ。
「……辛い!」
 冷やし担々麺に苦戦する鴇は頻繁に水へ手を伸ばす。
「ココナッツジュースで辛さを中和したい……」
「それじゃあ、ついでにジンジャエールにティラミスもいただくわ」
 辛味に弱いと判明した鴇は涙目で追加注文。その流れで霰もデザートを頼み、食事は和やかに進む。
「家でも風呂が長ったな……どれだけ待つことになるのやら」
 食休みで雑談を楽しんでいると、恭也がなかなか姿を見せない雫にぼやき始めた。

「あ~、癒されますね~」
 当の雫は現在、温泉から上がりマッサージコーナーで肩のコリを中心に全身をほぐされていた。合流にはまだ時間がかかるだろう。

「では不破さんが来るまで、勝負しますか?」
「――いいぜ、やるなら勝つ!」
 そこで楓から、負けた方が珈琲牛乳を相手に奢る本気の卓球勝負の誘いがあった。負けず嫌いに加え卓球は熱くなるタイプの聖、目に獰猛な光を宿す。
「行くぜ、千照流――不弾!」
「っ!?」
 試合は序盤、聖が優勢。高速スピンがかかった球が楓側の卓上で不規則に跳ね、反応と対応が遅れる。同じフォームから繰り出される予測困難な球は、身体能力だけで捉えるには厳しい。
「ファイトー」
 私服に着替えた詩乃から応援が飛ぶ。
「簡単には、負けません!」
 中盤以降は楓の返球も増えて得点を稼ぐことができたが、最初に開いた得点差は大きかった。終盤まで粘ったが、ついぞ楓は聖の技を破れず終わる。
「ふぅ――お見事です、聖さん」
「っしゃあ! 珈琲牛乳ゲット!」
 聖はラケットを掲げ、勝利宣言とともに珈琲牛乳(数百円)の味をかみしめた。
「(もぐもぐもぐもぐ)」
 ただし、試合中もずっと(食卓の)狂戦士化していたルゥの食事(数万円)は続いていた。
「(ごっくん)……まだまだ体の使い方が甘いね、ヒジリー」
 そして、ルゥの口から辛口のコメントがこぼれ、無邪気に笑う聖にふっ、と笑みを漏らすと、ゆっくりと席を立っておかわりを注文しに行った。
 試合に勝って勝負に負けた気がしないでもない。

「――ふぅ、気持ちよかったです」
 同時に、施術を終えた雫が上機嫌でマッサージコーナーを出る。
「…………」
 その背中をマッサージチェアに背を預けるカゲリがちらと見やり、無言で目を閉じた。

「俺たちはここで失礼する」
 夕方、雫と合流した恭也は宿泊スペースにいた一同へ挨拶をして帰って行った。
 夜はカゲリやレオンハルトに加え、霰と鴇も一緒にお泊まり会のような状態に。雑魚寝部屋の一角で楓が持ってきたトランプなどで盛り上がる。
「(すぴー)」
「私もそろそろ寝ようかな」
 するとすぐ、睡眠欲旺盛なマナが脱落した。気づいた霰がマナを布団に運ぶと、自身もごろ寝。
「はい、私はあがりです。次はフィアナさんですよ」
 参加者を募って始めた七並べで楓が手札を出し切ると、フィアナが難しい顔で手札を見る。
「む~、……パスなのよ。誰かがいじわるして、出してくれないのよ」
「ほい」
「ドールっ!?」
 順番が変わった瞬間、妨害がドールによるものと発覚。フィアナはその後、パスで残った手札を消費しきれずビリに。
 楽しい時間はすぐに過ぎ、次第に全員の睡魔が強まった頃合いに就寝した。
(……眠れない)
 しばらくして、女性が多い場所で落ち着かなかった龍華が起き出し、こっそり部屋を抜け出す。
(ボクも探検に行こうかな)
 続けて鴇も目を開け、気になった『健康ランド24時』を楽しむべく夜歩きに出た。
「…………」
 さらに深夜の時間帯、カゲリが音もなく立ち上がり更衣室へ向かう。
「(ほら、言われた通りに起こしてやったぞ)」
「(ありがとー)」
 すると、社畜よろしくずっと仕事をしていたレオンハルトが蘿蔔を小声で起こす。熟睡するメンバーを起こさぬよう後を追う蘿蔔を見送り、レオンハルトはまだまだ残る仕事に戻った。
「カゲリさん」
「……寝ていたと思ったんだがな」
 上下とも黒い、膝丈のトランクス型水着とジャケット型のラッシュガードを着たカゲリは温泉に浸かり、水着に着替えた蘿蔔を見上げる。
「隣……良いですか?」
「ああ、構わない」
 静かな水音が響き、無人だった温泉は2人を受け入れ波紋を広げる。
「今日は無理に誘っちゃって、すみません。でも来てくれて……嬉しい、です」
「別に、構わないさ。アイツも楽しんでいただろうし、お前も疲れを癒せたなら十分だろう」
 昼間の様子から退屈させたかと不安だった蘿蔔に、カゲリの返答は素っ気ない。
「――それに、こう言うのも偶には悪くないだろうさ」
 だがそれは普段と変わらないカゲリでもあり、蘿蔔の表情は自然と綻ぶ。
「で、ではまた来ましょうね……その、次は、二人で――」
 温泉にまた、波紋が広がる。
 夜の淡い照明が2人の影を1つに照らす。
 蘿蔔の声に返答はなく、されど影は1つのまま。
(邪魔しちゃ悪いよね)
 たまたま温泉を遠目で見た鴇は、静かにその場を去る。ゲームコーナーにあったレトロゲームの内、特に好きなスマートボールで遊んだ後、施設内の散策をしていた途中だった。
「~♪」
 すると、小さく透き通る声を拾った鴇はふと外へ足を向ける。こっそり覗けば、月光を浴び夜風で黒髪を揺らす龍華の背中があった。
「~♪」
 気づかれないよう鴇はぴょこんと狼耳を立て、龍華の心地よい歌声に聞き入った。

●土曜日
 翌日、早朝。
「甘酒が楽しめそうでよかったですじゃ」
「問い合わせた職員の微笑ましそうな顔が気にはなったがの」
 水筒に入れた甘酒をちゃぽちゃぽして笑う天城 初春(aa5268)と、信一に甘酒の取り扱いを確認した時を思い出して不服そうな辰宮 稲荷姫(aa5268hero002)が到着。
「は! これはナラカ様に卸殿、奇遇ですの!」
「むぐ? ――おお、息災そうで何よりだ。汝らも温泉にてりふれっしゅか?」
「色んな温泉があって楽しいですよ。私たちはもうすぐ帰っちゃいますけど」
 すぐに更衣室へ向かおうとした途中、初春たちは朝食をとるナラカたちと遭遇。テーブルに近寄って挨拶を交わし、蘿蔔の言葉に少し残念そうな表情となる。
「牛乳、飲む? 大きくなるの、よー」
「それ俺が渡したやつだろ」
 すると、横合いからフィアナがひょっこり顔を出し、稲荷姫に牛乳を差し出した。フィアナ含む女性陣が軽く朝風呂を楽しんだ後、昨日の反応を見て面白がったドールが再び購入したのだ。
「でも、私より小さい子、よー?」
「……ワシは英雄で、こんななりでも齢は2700歳弱なんじゃが」
「まぁ並べば姉妹にしか見えませんからの」
 首を傾げるフィアナに子供扱いを受けた稲荷姫はため息をつき、初春も苦笑を隠せない。
「そいつじゃなくて、やるなら隣にいる小さい方にしとけ」
 一方、フィアナに疑問顔を向けられたドールは牛乳の行き先に初春を指さした。
「かく言うおんしとて、見目相応の齢ではあるまい?」
「――さぁな」
 すると稲荷姫から含みがある視線が飛び、肩をすくめるドール。実年齢と外見年齢が違う者同士だと、意外にわかるのかもしれない。
「……俺たちも誘ってくれて、ありがとうございました」
「楽しかった、の」
 牛乳を一気飲みした初春たちと別れた後、食事を終えたタイミングで龍華とマナが感謝を告げる。どちらも若干眠たげではあるが、浮かべる表情は柔らかい。
「こちらこそ、紀伊さんたちが来てくれて楽しかったですよ」
「マナはともかく、どうして龍華まで眠そうなのかは気になるけどね」
 楓が同じように笑顔を浮かべる横で、詩乃がからかいを隠さない含み笑いを龍華へ向ける。おおかたの事情は察していたのか、さっと顔を逸らす龍華に詩乃の笑みはさらに深くなった。
「俺たちも一緒に騒げて楽しかったぜ。ありがとな」
「(もぐもぐもぐもぐ)」
「ルゥ待て! まだ食う気か!?」
 続いて聖も感謝を述べ、いつの間にか朝食の二回戦をしていたルゥも口をもぐもぐさせながら頷く。聖はそこで相方の暴走に気づき、さらに追加注文しようとしたルゥを(物理的に)押さえ込む。
「うむ、私も温泉というものを気に入った。次に機会があるならば、覚者とも仕合に興じたいものよ」
 ナラカは一番印象深かった温泉のぶっかけあいを思い出してうんうんと頷く。
「風呂場で何をしていたんだ、お前は?」
「あ、あはは……」
『仕合』のことは初耳だったカゲリはナラカに呆れた視線と声を向け、けしかけた側の蘿蔔が気まずげに乾いた笑いを小さくこぼす。
「……蘿蔔、そろそろここを出た方がいい。仕事の打ち合わせが迫っている」
 そこでスケジュール帳と時計を確認したレオンハルトの言葉で一行は席を立ち、それぞれ帰宅していった。

「到着だ!」
「おい、いい加減説明しろ」
 エントランスで拳を振り上げたミツルギ サヤ(aa4381hero001)の後ろ、ここまで強引に連行されたニノマエ(aa4381)はジト目で睨む。ニノマエが別件の依頼終了手続きをしていた隙に、サヤが信一の話に二つ返事で応じた結果が今だ。
「とにかく行くぞ!」
「はいはい」
 好奇心全開なサヤの背に、ニノマエは苦笑を浮かべる。
「健康ランドなんて入る機会がないから、なんだか新鮮だね」
「娯楽施設といっても、賭け事はできないみたいだよ。残念」
 施設内を物珍しそうに観察するアリス(aa1651)とAlice(aa1651hero001)は、同じデザインのワンピース型水着で案内板の前にいた。
「これも一応仕事だし、適当に入ってみる?」
「そうだね、じゃあ岩風呂に行ってみようか」
 依頼の要望には極力応える姿勢はそのまま、黒い水着のアリスは赤い水着のAliceに従い岩風呂へ向かう。
「っかぁ~! いい湯じゃ!」
「お初、少しは恥じらいを持たんか」
「~♪」
 そこでは初春が脇をおっ広げて岩にもたれかかり、オヤジ臭さ全開で大声を上げていた。稲荷姫が呆れてたしなめるが、初春は気分良く鼻歌まで歌いだす。
「見なよ、わたしたちと一緒だよ」
「あれを一緒と言っていいのかな?」
 広い湯船の端で湯にいたAliceとアリスは、初春と稲荷姫の水着……水着? をじっと見つめる。
 というのも、初春が黒で稲荷姫が紅色と配色が似ているのに加え、上半身がサラシで下半身が褌姿と非常に目立つのだ。ちなみに、サラシ+褌は女性用レンタル水着の中にはない持参品である。
「砂風呂や電気風呂やらはまた今度だな」
「むぅ、残念……でもこの子が大事、仕方ない」
 そこへ、遊夜がユフォアリーヤの手を取って入ってきた。妊娠6か月目で目立つお腹を愛おしげに撫でるユフォアリーヤは、黒のホルターネックマタニティスイムウェア。隣に付き添う遊夜は黒いサーフパンツだ。
「お、元気な子がいるな」
 岩の縁に座り泉質の確認もかねて遊夜たちは足湯を行い、2曲目の鼻歌に入った初春を見やる。
「……ん、この子も負けてない」
 胎動するお腹をさすり、子どもへの母性が日々強まっているユフォアリーヤも優しく見つめた。

「ねぇオリヴィエ、ちょっと共鳴しない?」
「邪な考えが明け透けすぎて絶対しない」
 一方、柄物のサーフパンツをレンタルしたリュカの真剣な眼差しには、同じくレンタルで黒いサーフパンツを履いたオリヴィエの厳しい眼光が叩きつけられていた。
 理由? 若い女性の声が多いからかな。
「ちぇー。でも、いつもは温泉に行くとせーちゃん一人だけ別行動だったから、新鮮で楽しいね」
「ひゃ、そ、そうですね! 普段はみんな男湯ですし!!」
「どうした、征四郎?」
 すげない返事に口を尖らせたリュカだが、すぐに表情を明るくして征四郎へ話しかけた。が、持参した女児用ワンピース水着の征四郎は、レンタル品の青いサーフパンツを履いたガルーの影に隠れてしまう。
 直前までは4人での温泉を楽しみにしていた征四郎が、急に気恥ずかしそうな態度になってガルーも首を傾げる。
「リーヴィ、背中流してやろうか?」
「それ以上近づいたらタワシで背中洗うぞ……!」
「ってなんだよおい、威嚇すんなって」
 それから入浴前に体を洗っている時、ガルーはオリヴィエに近づくとあからさまに警戒されて怯む。
「……どわぁ!?」
「――ふん」
 一度では諦めず、ガルーがこっそり背後へ回り込もうとしたところ、オリヴィエの手から飛び出した石鹸が足の裏に滑り込み転倒した。(※危ないから良い子は真似しないでね)
「ってぇ……。照れ、てんのか?」
 あえなく失敗したガルーは、そのままリュカを温泉へ導くオリヴィエの背中を複雑そうに見つめる。
「混浴って言うと何だか特別感あるけど、つまりは温水プールみたいなもんだもんねぇ……」
「そ、そうですね!」
 お湯にふわふわとたゆたうリュカに、征四郎の声は変に上擦る。それからもどこか固い雰囲気のまま、4人は温泉を回っていった。
「意外と人が多いな」
「それだけ大勢の人を招待したんでしょう」
 別の場所では、黒いサーフパンツの央と白いクロスモノキニのマイヤが歩く。
 央は金曜日まで役所の仕事をこなし、土曜日の今日電車でここを訪れていた。日帰りで温泉を存分に楽しもうと、央はまず事務仕事で酷い肩こり解消のためジェットバスへ。
「あ~、思ったより気持ちいい……」
「そうみたいね」
 ぶくぶく泡立つ水流に緩む央の表情を、傍らにいるマイヤがおかしそうに見つめる。
「お、迫間さんも来てたのか」
「麻生さんにリーヤさん、お疲れさまです」
 しばらく体をほぐした後、央は次の薬湯へ向かう道中で遊夜と遭遇した。
「あまり話し込むとお邪魔になりそうですね」
「お互い様だろう?」
 しっかり握られた2人の手を指した央だが、遊夜から似たような笑みを返される。
「……ん、らぶらぶ」
「ふふっ」
 ユフォアリーヤが示す先、央の腕を抱きしめべったりと寄り添うマイヤが艶やかに微笑む。触発されたユフォアリーヤも遊夜にぴたっとくっついた。
「今日はいつもより上機嫌?」
「央が前に、私を隣に連れていたら自慢できるって言ったでしょう?」
 軽い挨拶で遊夜たちと別れ、央がマイヤに尋ねると肩にコツンと重さが加わった。
「私も、婚約者を見せびらかして自慢したいと思って」
 艶然と上目遣いをするマイヤの言葉は続く。
「央の隣は私の特等席。反対側はあの娘達に譲るけれど……今日は二人きりだもの」
 絡めた腕をほんの少し引かれ、普段より笑顔の多いマイヤに央は少し驚く。そして、マイヤのリフレッシュにもなっていると安心した央は、ここに来てよかったと相好を崩す。
「……ん、しゅわしゅわ」
「炭酸泉は37度~38度が理想、今のリーヤには最適だな」
 他方、目を細めて狼耳をピコピコ動かすユフォアリーヤは炭酸泉にいた。血行促進などの効果があり、妊婦の入浴にも適した温度のため遊夜が勧めたのだ。とはいえ長湯は禁物と、10分程度で温泉から上がる。

『んぐんぐ、ぷは~~っ!』
 冷えたフルーツ牛乳を右手に、腰に左手を当てた初春と稲荷姫は本日2本目の湯上がりを満喫していた。2人は温泉に2時間、休憩に2時間を目安に温泉を回り、気づけば時刻は昼時だ。
「うん、美味い」
 薬湯の後にサウナも利用した央もコーヒー牛乳で一休み。
「風呂後にお酒が無いなんて聞いてなくない……」
「これはこれで良いけどな。リュカちゃんは肝臓休ませた方が良いよぉ」
 賑わいだした飲食店では、リュカがフルーツ牛乳、ガルーがコーヒー牛乳を傍らに置き食事をとっていた。料理の内訳はリュカがおつまみ系でガルーが和食系中心と、セレクトにお酒への意識が透けて見える。
「ところで、最近オリヴィエに面白いくらい避けられてない? 笑っても良いところ?」
 リュカはぐいっと瓶を空にした後、ガルーに先ほどのやりとりも含めたオリヴィエとの関係について聞く。
「ぐ……やっぱ避けられてんのかな……避けられてんのか……」
 改めて指摘されたガルーは首をがくんと落とし、重いため息を吐く。
「ダメなところっぽい? なら、こんな時こそ飲もうよ、ガルーちゃん!」
 リュカは思ったより重症っぽいガルーを励ますように、2本目の瓶を掲げた。
「リュカちゃん……」
 少し傷ついたような顔だったガルーは、礼を込めて自分の瓶とかち合わせ一息に飲み干した。
 雰囲気は飲み会だがノンアルコールである、念のため。
「うむ、美味じゃな」
「甘酒もうまうまじゃ」
 ちょっとしっぽりしている大人たちの近くで、かなり健啖らしい稲荷姫と初春は時折持参の甘酒も飲みつつ大盛りざる蕎麦(各5人前)の山を崩している。
「ああ、のんびりですじゃ」
「ゆったりまったりじゃの」
 あっという間に食べ終え、初春と稲荷姫は休憩スペースに転がり昼寝を始めた。

「気になったから、来てはみたけど」
「知ってるものはほとんどなさそうだね」
 ところ変わって、普段着に着替えたアリスとAliceはゲームコーナーにいた。
 アリスたちが真っ先に思い浮かべるゲームはルーレットやトランプなどだが、ここはゲームセンターに近い場所。今まで無縁なゲームばかりで、物珍しそうな視線で中に入る。
「いかにオリヴィエが相手でも、負けませんから!!」
「負ける要素が見当たらない」
 すると、レースゲーム筐体から威勢のいい声が聞こえ、アリスたちはそちらへ足を向けた。見ると、ハンドルを握って啖呵を切った征四郎の隣で、負けじと鼻を鳴らすオリヴィエがシートに座っている。
「引き離すのです!」
 スタートの瞬間、飛び出したのは征四郎。アクセルは常に全開で、時々コースアウトもする荒っぽい運転はスピード狂のそれ。
「操作が雑だ、征四郎!」
 対して、オリヴィエはミスの少ない技巧派といえるが、征四郎のような思い切った加速がない。
『お~』
 その後ろで対極的なレース運びをアリスたちが見守り、気づけば最終ラップに。
「ここなのです!」
 ゴール直前のカーブで、先行する征四郎はギリギリを狙うコーナーテクを見せた、が。
「あっ!?」
「――残念だったな」
 きわどいコースが災いし、壁に征四郎の車体が接触して減速。その隙に一定速度のオリヴィエが追い越した。
「も、もう一度なのです!」
「何度やっても同じだ」
 負けず嫌いモードの征四郎がオリヴィエに再戦を要求したところで、アリスたちは別の場所へ。
「ここは」
「卓球台?」
 次にアリスたちが目にしたのは、小気味よい音を響かせる卓球コーナー。
「……ん、ホカホカ」
 見学者もいて、更衣室で髪を整え私服に戻ったユフォアリーヤは壁に背を預け尻尾をふりふりしている。
「うむ、やはりこれがなくては」
「……ん、定番だねぇ」
 そこへ戻った遊夜からフルーツ牛乳を受け取り、ユフォアリーヤたちは視線を白熱する卓球へ。
「いくぜキトラ! これがアタシのヘル・ブレイズ・サーブだ!」
 すると、ポイントからして接戦を演じている台から気迫の声が上がる。自然と大勢の視線が集まる中、球を軽く上へ放ったイフリートが瞳をキラリと輝かせ、大気ごと殴りつけるようなサーブを打ち出す!
「説明しよう! H・B・Sとは! ものすごい摩擦がかかりなんか炎が出る、返球不可のサーブである! 尚、アウトコース!!」
 外野から飛び込んだ謎の解説とともに、獄炎を纏った(っぽい)球は破壊衝動のままに卓球台の外へ獲物を求めて飛翔。
「――ぐえっ!?」
 返球も制御も不可能な球は、たまたま通りかかった1人の額を穿ち、キトラへ1点を献上する。
「キトラもいくヨー! えーい!」
 サーブ権が移り、今度はキトラが球を直上へ。見よう見まねの動きはどこかたどたどしいが、インパクトの瞬間だけはイフリートにも劣らない鋭さを発揮する!
「えーいとは! ものすごいサーブである! 尚、アウトコー ず っ !?」
 しかし、キトラのサーブはルールという束縛を嫌い、明後日の方向へ旅に出た。与えられた運動エネルギーを消費した刹那の旅の終着点は、謎解説をしていた壁際のおっさんの額の中心。
「あー! またおいつかれちゃったヨ!」
 パタン、とスコアが同点となって悔しそうなキトラへ、イフリートが力強く言い切った。
「これが卓球だ!」
 違います。
「温泉で身体を温めた後は、卓球で勝負だ。おまえと決着をつけてやろう(ゴゴゴ)」
「……何の決着だ」
 そんな世紀末卓球が行われている横の卓球台に、背後に揺らめく炎を背負ったサヤが風呂上がりのニノマエを引っ張って陣取った。
「汗をかいたらまた湯につかれば良いしな!」
「まあいい、やるなら相手になる」
「フフッ、負けはせん!」
 やる気満々のサヤに呆れつつも、ニノマエに退く気はない。
「せっかくだし、わたしたちもやってみようか」
「いいよ。たまにはこういうゲームも悪くないね」
 さらに、アリスとAliceも空いた卓球台に移動しラケットを握る。
「ストームエッジ!」
 カッ!!
「よっ」
 コッ。
「ウェポンズレイン!」
 カッ!!
「ほっ」
 コッ。
「お、良い勝負だな」
 技名を叫びスマッシュで速攻をかけるサヤと、球威がなく緩慢に見えるカットで打ち返すニノマエの打ち合いは意外と続き、見学の遊夜も感嘆の声を上げる。
「負けた方がソフトクリームをおごる! 今決めた!」
「唐突だな、っと!」
 ルールを追加したサヤはリズムを崩そうとするニノマエの返球に食らいつき、試合を優勢で進める。
『…………』
 カッカッカッカッ――
 他方、黒と赤のアリスのところは無言のラリーが続く。拮抗した実力で速度がどんどん上がり、徐々に音の間隔は短くなっていた。
(っ、ここだ!)
 リードを許した状態で中盤、ニノマエは『見極めの眼』で勝機を見る。
「食らぇ――っでぇっ!?」
 反撃の一打はしかし、予想外の方向からきた球を額に食らって失敗。
「あ、ごめんネー!」
 完全な不意打ちに体を起こすと、キトラが満面の笑みでニノマエに謝っている。
「フフン、油断大敵だぞニノマ――エ゛ッ!?」
 さらに広がったリードにご満悦だったサヤも、ニノマエ同様後ろへ倒れた。
「おっと、わりーわりー」
 今度はイフリートがニカッと笑ってサヤに謝罪した。アウトコース卓球は未だ健在らしい。
『…………』
 カカコッカカコッ――
 なお、アリスたちの台にも飛んでいた危険球はラリーに加わり、もはや2球のジャグリングになっている。
「あと1点だ!」
「……おまえそんなに卓球好きだったのか?」
 なんやかんやでマッチポイントのサヤのサーブを、ニノマエは苦笑しつつ打ち返す。
「終わりだ! ライヴスキャスター!」
 瞬間、サヤは豪快なスマッシュを射出!
「えーい!」
 ほぼ同時に、キトラの殺人サーブ(?)のかけ声が!
「やらせたり――」
「――しないよ」
 さらに、ほぼ無言だった黒と赤のアリスが横から飛来した凶弾(?)に反応し、ちょうど両方の手元にきた球を同時に打って迎撃!
「は? ――あ゛っ!?」
「……あ、飛んでった」
 結果、4つの球が奇跡的に空中で出会い、軌道をそろえてニノマエの顔へ直撃。衝撃で吹っ飛ぶニノマエに、ユフォアリーヤが目を丸くして見届ける。

「――あ゛っ!」
「大丈夫?」
 同時に、マッサージを受けていた央も似た声を上げ、マイヤの笑みを誘った。

「それ見ろ。さすが私!!」
 ゲームと物理、両方の意味でニノマエを倒したサヤは大いばりで勝利宣言をした。
「なるほど……」
 奇妙な幕引きを見届けたアリスの呟きの後、Aliceが納得して頷いた。
「これが卓球ってゲームなんだね」
 だから違います。

「――くそっ」
 そして、もう1つの戦いにも終止符が。
「勝ったのです!」
 ゴール直前で追い抜かれたオリヴィエの悪態に、温泉でのぎこちなさも忘れて征四郎が諸手を上げる。
「――楽しそうだな」
「だねぇ」
 最終戦績が拮抗してわいわい騒ぐ子ども2人を、迎えにきたガルーとリュカが微笑ましそうに見ていた。

 時刻は夜8時。
「うん、冷たくて美味い!」
 激戦の後、サヤは飲食店前でニノマエおごりのソフトクリームをかみしめた。
「まあ、のんびりはできたしいいか」
 真っ赤に腫れた額をさすりつつ、ニノマエも自分の分を一口パクリ。
「食後にもうひとっ風呂、行きますかの」
「むぐ、少し休憩を挟んでからじゃな」
 他方、昼寝から目覚めてからも2時間サイクルで温泉に入っていた初春と稲荷姫は、大盛りカツカレー(各5人前)を大口で頬張った1時間後、褌で温泉へ突撃。
『くかーっ』
 最後の風呂上がりに残った甘酒を飲み干して余韻に浸り、初春たちは宿泊スペースで爆睡した。

「――すぅ」
 そして、帰宅後の央もまた深い眠りの中にいた。就寝前、元々人体の理解が深いマイヤの提案で行われた見様見真似のマッサージが本職に違わぬ腕前で、央があっさり落とされたのだ。
「……おやすみなさい」
 安らかな寝顔に笑みを落とし、マイヤはそっと央に布団をかけて横になる。
 珍しく幻想蝶の外で過ごした夜。
 一組の布団の中、昼間に捕まえた腕を抱く。
 ――くすっ。
 心地よい温もりに、不思議とまた、笑みがこぼれた。

●日曜日
 そして、翌日。
「たのしかったですの!」
「また来たいものじゃな」
 早朝に朝風呂と朝食(鮭定食各1人前)も楽しみ、健康ランドを満喫し尽くした初春と稲荷姫は施設を後にした。
「モニターとかそういう面倒事は俺がやっておくから、ゆっくりと羽を伸ばしてくるといい」
「お、いいの? なら思いっきり遊んでくるけど」
 そんな少女2人とすれ違い、ディオハルク(aa4472hero001)と逢見仙也(aa4472)は逆に健康ランドへ向かう。
「ああ、ただしマッサージで担当に美人を頼むとか、そういう変な事はするなよ? 後、褌はやめろ。水着ならなんでもいいかも知らんが、風呂場で使うのはよろしくない」
「えー?」
 まさかさっきの少女が褌+大食いで話題だったとはつゆ知らず、ディオハルクの小言に仙也が口を尖らせた。
「さて、どのような施設か楽しみですね」
「――ロロ」
 程なくして構築の魔女と落児も到着したが、他の参加者とスタンスが異なる。
「温泉の利用は他の方もメインでされるでしょうし、私たちは施設そのものの利便性を確認しましょうか」
 構築の魔女は健康ランドをがっつり調査する気だった。事前にパンフ等も見ず、先入観を排除して客観視に努めるなど徹底している。
「ふむ――動線的には動きやすいですが、案内板がお年を召した方にはちょっと不親切でしょうか? あぁ、足元とかに順路の表示とかがあってもいいかもしれませんね」
「(さらさら)」
 入って早々、方々へ視線を光らせる構築の魔女。気になったことを独り言のように口にしていき、こぼれた指摘は落児がメモしていく。
「契約初期と比べると、ユリナ単独でも随分身のこなしが器用になったな」
「小さい頃は、ブレイブナイトのような運動量の多いクラスは無理だと思っていたくらいですから、今でも信じられませんね」
 その後、構築の魔女が向かったフィットネスクラブではリーヴスラシルと由利菜がルームランナーを利用していた。
「月鏡さんたちもいらしてたのですか……なるほど、ウェアも貸し出しているのですね」
 お互いに軽く会釈した後、構築の魔女は由利菜たちが着るウェアをまじまじと見つめる。
「手ぶらで来た方のためだそうです。せっかくなのでお借りしました」
「では、私もお願いしましょうか」
 由利菜の説明に数度頷き、構築の魔女はインストラクターにウェアを借りる。
「思ったよりも広くて本格的ですね……装置の説明があるのもありがたいですし」
「(さらさら)」
 着替えてからエアロバイクにまたがる構築の魔女は周囲の観察を続け、落児は要点をまとめる。
「それでは、私たちはこれで」
 汗ばむ程度の運動をこなした由利菜たちは、構築の魔女へ挨拶をしてフィットネスを終えた。
「いやん、いらっしゃぁ~い」
「チェンジで」
 と、由利菜たちが通り過ぎたマッサージコーナーから、野太い声と感情が消えた仙也の声が漏れた。
「なぁによ~、ご要望通りの美人さんでしょ?」
「どこがだ、ゴリラ!」
 ガチムチ巨体の髭面角刈り大男がバチコーン☆と放ったウインクに対する仙也の返事は罵倒。
 仙也が女性の施術師を指名したらこうなったのだ。
「あらやだ、ちょっと体を虐めすぎじゃない?」
「ディオ……あ~、オレの英雄の特訓と称したしごきがな」
 口論の末、仙也はそのまま漢女(おとめ)と雑談しつつマッサージを受けている。
「勉強はともかく、実戦の方がマシなくらい手加減抜きで仕掛けてこられる時もあるからな~」
「体は大事にね、色男」
 バキッ! ゴキッ! と音が響き、気づけば仙也の疲労はかなり軽減された。
「さて、次は飲食店に向かいましょうか」
「ローーロ」
 いっぽう、構築の魔女はあまり汗をかかない程度に運動を留めてフィットネスクラブの査察(?)を終え、落児とともに飲食店へ移動する。
「色々種類があるのと、収容人数が多そうなのはいいですね。あとは……顧客の需要によっては、手早く食べられるお店などへの出店交渉やスペースの確保も検討すべきでしょうか」
「(さらさら)」
 全体を見回った後、構築の魔女と落児はそれぞれ別の店で注文。食べ物の受け渡しや整列などが視覚的にわかりやすいかをチェック&メモ。
『(ごくっ)』
 その際、従業員たちの間で構築の魔女たちは『人事決定権を有する本社幹部』など、誇張された憶測が広がっており、飲食店に走った緊張は凄まじかったという。

「へぇ、競泳用水着もあるんですね」
 レンタル水着のカタログを見る双樹 辰美(aa3503hero001)は、背後から切実な圧力を感じて振り返る。
「……これを着ろと?」
「それ以外は却下だ!」
 少し呆れた声音の辰美だったが、東江 刀護(aa3503)は断固として譲る気配がない。数少ない例外とはいえ、女性に強い苦手意識を持つ刀護に露出が高い水着姿の辰美はまだ無理らしい。
「気持ちいいですね……」
「うむ、いい湯だ」
 結局は辰美は競泳水着を了承し、刀護たちは早速温泉に浸かる。日頃の依頼や鍛錬でたまった疲労を癒す機会と、1日使ってリフレッシュする予定だ。
 と。

 スッパーン!!

 突然出入り口の扉がものすごい勢いで閉まった。
「うひゃあ♪ オフロの遊園地だネー♪」
 さらにその付近で上がった快活な声で多くの視線が集中。
「っ!?」
 その中の1人だった刀護は、すぐに顔を逸らした。
「……お前、水嫌いだったんじゃねえのか?」
「楽しいと忘れちゃうネ!」
 見れば、黒地に赤いアクセントが入った丈が長めのボードショーツを着た麻端 和頼(aa3646)が、声の主である華留 希(aa3646hero001)に呆れていた。
 その希、一見すると体にタオルを巻いただけの格好で、来場者(特に若い男)はつい水着の存在を忘れて凝視する。刀護の戦意喪失も無理はない。
「結構広いね!」
「ほぼプールだよね! 夏は遊べなかったから社長に感謝だよ♪」
 続けて、腰の両サイドと胸のフロントに幅広のリボンをあしらった、緑のリボンビキニなルー・マクシー(aa3681hero001)と、上が白いキャミソールで下がフレア付き花柄ショートパンツのタンキニな五十嵐 七海(aa3694)が笑顔で現れた。
「あれ? 希、水着は?」
 合流したルーがすかさず希へ疑問符を浮かべると不敵な笑みが。
「――ジャーン☆」
『おぉっ!?』
「どう? ビックリしたかナ?」
 瞬間、希がバサッ! とタオルが取り払うと、中は布地が少ない薄紫のバンドゥビキニ。わざと裸に見せる悪戯の成功で、希はご満悦。
(ちょっと、子供っぽかったかな……男の人って、ああいうのが嬉しいのかな)
 ふと、七海は露出も控えめで体の線も隠れる自分の水着に不安を覚える。七海から見ればセクシーな希の水着姿も、流れるようなラインが綺麗なルーの水着姿も魅力的だ。
(余所見されたら、寂しいな――)
 恋人の反応が不安で顔を上げられない七海だが、そっと肩に誰かの手が。
「可愛いな。七海によく、似合ってる……」
「っ!! ……ぅ//」
 瞬間、耳元に降ってきた和頼の照れたような声に、七海は別の意味で顔を上げられなくなる。
 温泉に入る前から上気した顔を、和頼から変に思われたくなくて。
 だから、七海の水着姿に見惚れた和頼の顔が紅潮していたことも、七海は知らない。

 ――ギロッ!

 で、和頼は恥ずかしがる七海を引き寄せ、周りの男性へ彼氏アピールとガンを飛ばす。
 効果は覿面で、男たちの目は一気に四散した。マジ怖ぇ。
「///」
「悪戯が過ぎるぞ、ルー?」
 そこへ、スパッツタイプの水着で顔が赤いテジュ・シングレット(aa3681)が、サーフパンツ姿のジェフ 立川(aa3694hero001)に促されて登場。
 実は希たちが現れる前の『スッパーン!!』は、ジェフから『プールの認識で良い』と教わるまで混浴を知らなかったテジュが、『男湯に女性?』と混乱してやったもの。
「ルー、本気で慌てた、っ」
「ごめんてばぁ」
 今もまだ動揺が抜けないテジュに、反省の色が無いルーはクスクス笑う。
 ちなみに、以下が着替え前のテジュとルーの会話である。

『風呂で水着なのか?』
『絶対着なきゃだよ!』
『混浴……とは、何か特殊なのだろうか』
『昆布のおだしの入ったお風呂があるよ!』
『そう、なのか……?』
『~♪(どんな反応するか楽しみだなぁw)』

 以上、テジュの災難でした。
「あれ? 何だか空気が重い?」
「気のせい、にしては妙だな」
 プチ騒動の少し後、フレアトップにフリルスカートと上品な印象のビキニ姿の不知火あけび(aa4519hero001)と、シンプルな膝丈の水着を着た日暮仙寿(aa4519)が温泉内の雰囲気に首を傾げた。
「仙寿様は細身なのに腹筋すごいね!」
「まぁ、鍛えてるからな……お前は腰回り細いよな。普段和服だから気付かなかった」
 それから何となく、あけびと仙寿はお互いの水着姿に照れを見せる。
(流石、剣士だなぁ……)
 あけびは、仙寿の少年らしい線の細さとは裏腹のたくましさに。
(胸も結構……っ)
 仙寿は、あけびの和服に隠れた少女らしい丸みを帯びた身体に。
 去年も見た筈の姿は、しかし両者の抱く印象はどこか新鮮で、共に歩んで得た成長が垣間見えるよう――
「そ、そろそろ温泉行こう!」
「あ、あぁ」
 同時にすっと視線をそらし、あけびと仙寿はぎこちなく歩き出した。
「つ、次は薬湯に行くぞ」
「こちらです」
 しばらくして復活した刀護の要望に、辰美は筋肉痛と関節痛に効く薬湯へ誘導する。

「気持ち良いね~」
 さて、先ほどの一悶着から温泉を巡っていた七海たちは岩風呂にいた。
「きもちがいいな……」
 少し離れた位置には、テジュが大きく息を吐き出す。水着だ、プールや海水浴場と同じだと、自分に言い聞かせてようやく落ち着いたようだ。
「――風呂での一杯がたまんねえな」
「程々にしておけよ?」
 テジュと並び、こっそり持ち込んだ熱燗を喉へ流し込む和頼にジェフが苦笑する。
「和頼って、二人の時は普段と違うの? 優しい?」
「どんなカンジ?」
「えっ//」
 楽しそうにおしゃべりする女性陣は、ふとルーの質問から恋バナへ発展。ルーと希に詰め寄られ、七海の頬に赤みが増す。
「……ぎゅっとか」
「ソレから? ソレから?」
 小声でうつむく七海に、希がさらに追求。
「……ちゅっ、位だよ//」
「なるほどネ~w」
「和頼ったら果報者~w」
 最後は両手で顔を覆い隠した七海の両側を固め、進展具合は順調と判断した希とルーは和頼へにま~と笑みを送る。
「和頼は七海に夢中か――どうだ、ジェフ? 湯上がりに……」
「そうだな」
 さらに、テジュがジェフを煙草に誘う会話もどこかむず痒い。
「そ、そろそろ出るか……」
「う、うん……」
 結果、聞こえた会話と集まる視線に赤面した和頼は七海を連れ、4人から逃げるように退散した。
「あ、カメラ置いてきちゃった」
 そんな面白……かわいい2人にルーのカメラ魂がうずいた時。

 パシャ!

 カメラを隠し持っていた希がシャッターを切り、にっこりピース。
「希! グッジョブ!」
「じゃない。場所を考えろ」
「大丈夫♪ 他の人は撮ってないカラ♪」
 用意とタイミングがいい悪友へルーが親指を突き立てるも、ジェフからは苦言が。ただ希も配慮はしたようで、データに第三者は映っていない。
「(で、他には?)」
「(コレとかは売れるカモ♪)」
 しかし、こそこそと離れたルーと希は悪い笑みで別のデータを見る。
 被写体は和頼・テジュ・ジェフの3人。男同士の密着や裸に見えるトリック写真で、技術力が無駄に高い隠し撮りだった。
「こら」
『あっ!』
 が、ジェフは隅に移動した希とルーに気づき、画像に気づくとカメラを没収し不名誉な画像を消去。
「臨時収入~」
「金銭より名誉の問題だ……むしろ女子同士、キワエロで撮ったらどうだ?」
 希の懇願も虚しく、ジェフはため息混じりの言葉とともにカメラを返すと、希とルーの目が光る。
「女同士――ソノ手が!」
「面白そう! 一緒に撮って!」
「冗談だ! 頼むから唆されても乗るな!」
 躊躇なくポーズを決めた2人に慌てたジェフは、強い語気で再びカメラを奪う。
「自分で言ったクセにー! ふえーん! 今年の春服ー!」
 そして希、まさかの号泣。
「……希、マジ泣きだよ?」
「……もっと自分を大事してくれ」
 ルーの気まずげな顔に、ジェフは思わず天を仰いだ。

「生き返るな……」
「アマゾンでの大規模作戦、大変だったからね」
 ちょっとした修羅場が広がる岩風呂とは別。仙寿とあけびも温泉巡りでゆっくり薬湯を楽しんでいた。
「時間を忘れそうです……」
「違いない……」
 他にも辰美や戦略的撤退をした刀護がいる。
「何故男女混浴の温泉では水着を着なければならないのだ? 私には不思議でならない」
「こ、ここは家ではありませんよ、ラシル……」
(っ!?)
 そこへリーヴスラシルと由利菜の登場し、辰美以外の女性の水着を想定できてなかった刀護は身構える。
「いつ見ても瑞々しいな、ユリナの肌は」
 混浴に抵抗がないリーヴスラシルは紫ベースで露出度が高いビキニ姿で、堂々とした様から大人の色香漂う文句なしの美女といえる。
「……ラシルにはかないませんよ」
 対して、水着でも混浴は恥ずかしいのかおどおどする由利菜。が、ローズレッド系の水着は大人びた雰囲気のビキニで、羞恥とスタイルのギャップから色気が凄まじい。
「ふぅ……」
「…………」
 ちら、と隣の辰美を見た刀護は、温泉から上がりたいが上がれない葛藤で口を真一文字に結ぶ。
 こちらの都合で競泳水着を強要した負い目もあり、『辰美に最後まで付き合う』と決めていた刀護。もはや心身を追い込む根比べである。
「由利菜にラシル! やっほー!」
「アケビ殿にセンジュ殿、奇遇だな」
 そこであけびが由利菜たちに気づき、リーヴスラシルたちも同じ湯船に入る。
「俺たちはそろそろ、別の温泉に行く」
「そうか。では、よい休息を」
 しばらく雑談し、薬湯から上がった仙寿たちをリーヴスラシルたちが見送った。
 途中、至る所で目に入るカップルから『自分達もそう見られてるのか』と、仙寿はふと思う。
「そういえば……お前は師匠が初恋なんだよな。今はどうなんだよ?」
 気づけば、仙寿はあけびにそう尋ねていた。
「どうって?」
「今も、その……」
「一つ言えるのは」
 言葉に迷う仙寿を見て、あけびは先に温泉へ身を沈めて笑う。
「お師匠様は家族で、大切な人だって事だよ」
(そして、元の世界で敵対していたあの人とどうなったのか、記憶にはない……)
 仙寿へ偽りなく答えるも、あけびは心中で拭えぬ寂しさと不安に目を伏せる。
「今は仙寿様の方が心配」
 ただ、その憂いは表に出さず。
「心配?」
「うん。私がついててあげないとね」
 次の瞬間にはからかうように仙寿を見やり、あけびは笑った。
(対等には、まだ遠い、か……)
 仙寿もまた、あけびの言葉で実力への信頼は足りないのだと自覚する。
(――強くなろう)
 仙寿は改めて決意を胸に刻み、あけびの隣へ歩を進めた。
「最後まで付き合ってくれるのは嬉しいですが、のぼせるまで浸からなくても……」
(女の体に参ったからあがりたいと言えるか!)
 ちなみに辰美に合わせたがためのぼせた刀護は介抱されながら本音を飲み込み、休憩室でダウンしていた。

 その頃、仙也はレンタル水着で温泉にきたところディオハルクと再会。
「おすすめの風呂教えて」
「打撲、裂傷、神経痛にいい薬湯があったぞ」
「何? この後全部コンプリートする気?」
 すでに色々試したディオハルクの話からちょっと不穏な気配を覚える仙也。
「仙也、来てたのか」
「ディオハルクも」
 温泉を一通り回った仙寿とあけびも、仙也たちへ声をかける。
「温泉はまだだけど……褌以外で水に入るのがものすっごい違和感あって、落ち着かん」
 仙也は仙寿たちからも温泉情報をもらうと微妙な表情でぽつり。
「褌? お前いつも褌なのか?」
「さ、流石にここでは水着なんだね!」
「先に釘を刺しておいた。こういう場所でしか言わんが、多少は慣れろ」
「へーい」
 目を丸くする仙寿とあけびの反応を予想していたディオハルクの念押しに、仙也からは気の抜けた返事。
「後、変な事はしてないな?」
「覚えてる限りでは――」
 さらに、ディオハルクから別行動中のことを聞かれた仙也は漢女との出会いを話す。
「仙也らしいな」
 エピソードに苦笑が漏れる仙寿へひらひらと手を振り、仙也は1人で教えられた温泉へと歩いていった。

「利用は刀護さんだけです。マッサージする方ですが、女性の方でお願いします――できればスタイルのいい綺麗な人を」
 さて、マッサージコーナーに体の凝りが酷い刀護を連れてきた辰美は、受付でこっそり注文を追加した。
「それでは、私が施術を担当しますね」
 結果、仙也とは違い本当にグラマラスな美人が登場。
「何故だ!」
「苦手を克服するためです。修行と思って、マッサージされてください」
 思わず抗議する刀護だが、辰美はそれを一蹴する。
「気持ちいいですか?」
「う、うむ……」
「本当はダメなんですけど、社長に相談したところ『苦手克服なら協力してあげて!』と言われまして。内緒ですよ?」
(男にしてほしかった……辰美の奴!)
 積極的に話す女性の施術により、刀護の肉体疲労は和らぐが精神疲労はむしろ増す。やけに長く感じる時間の中、刀護は複雑な気分で全身をマッサージされていった。
「あ”あ”あ”あ”♪」
「あ”ぁ~あ~」
「あ゛ぁ゛ぁ゛♪」
 また、希・ルー・七海はマッサージチェアで三者三様の楽しそうな声を上げる。
「温泉なのに気が休まらないのも、な」
「長い戦いだった……」
 男性陣も一服した後でマッサージ機にいるが、ジェフとテジュはガチ泣きの希をなだめて気疲れした様子。
「和頼、いいかな?」
 と、途中で七海は和頼を誘い飲食店でアイスを購入。
「ん~! 和頼もどう?」
 湯上がりの体を冷やす甘みに七海は満面の笑みをこぼし、スプーンを和頼へ差し出す。
「ユリナも大胆な衣装が苦手という割には、よく着ている気がするが?」
 と、和頼が返事する前に女性――リーヴスラシルの声が聞こえた。
「ラ、ラシルがセクシーな衣装を完璧に着こなせて、私が着られないなんて、女のプライドが許さないというか、その……」
 テーブルの対面には普段着に戻った由利菜の顔には赤みが差す。
「私だって、ラシルみたいに美しくありたいですから――」
「ユリナ……」
 そこから顔を上げた由利菜にリーヴスラシルは小さく笑み、由利菜の向上心を尊く思う。
「……(じー)」
 その様子を何気なく見ていた和頼が不意に腕を引かれ振り向くと、七海から『私を見て』というジト目が突き刺さる。
「七海以外、見えてねえよ――」
 かわいい嫉妬に嬉しくなった和頼は七海の肩を抱寄せ、そっと口づける。
「ん、良かった……他を見ちゃ、イヤだよ」
 不意打ちに驚いた七海だが、安心したように和頼へ体を預けた。
 軽く触れるようなキスは、温泉のように温かく、アイスのように甘かった。

「ん……」
「――すぅ」
(そ~っと、エイ♪)
 パシャ!
 他方、マッサージチェアの刺激でうたた寝をしていたテジュとジェフへそっと近づき、希は不意打ちで撮影。
「(コレで許してアゲルネ♪)」
「(希、僕にも撮らせて!)」
 小声で泣かされた仕返しを告げた希は、快くルーにカメラを渡す。その後、テジュとジェフの寝顔は消された画像と同じ分だけ記録された。
「休めたか?」
「うんまあ」
 帰り際、ディオハルクの問いに仙也は生返事。またこの後にあるだろう特訓と、ついでに印象が濃すぎる漢女の言葉を思いだし、仙也は思わず苦笑した。
 来場者にはオープン記念のフェイスタオルが配られ、エージェントたちの休日は過ぎた。

●後日
『効率化や最適化等、実施後に分かる部分もあることを踏まえ、現時点における施設の致命的欠陥や不都合はないと思われる』
 後日、届いた中で一番手が込んだ落児と構築の魔女の報告書を、社長が真剣に読み込んでいた。
「ふ~む……今度別の施設でも視察を頼もうかな?」
 総評まで読み終え、的確な指摘を受けた社長は落児たちへ個別に依頼しようかと本気で考える。

『っ!?』
 従業員の方は正体不明の悪寒に襲われたとかいないとか。

「――ん?」
 すると、社長の個人電話に『佐藤 信一』から着信が。
「もしもし佐藤君? どうだった、彼女さんとの温泉」
 面白半分ではあるが世話を焼いた手前、お節介の結果が気になる社長は信一の答えを待つ。
『……急に仕事が入って、行けませんでしたよ。ちなみに、静香さんからは『フィットネスクラブの設備充実が急務』、レティちゃんからは『セクハラオヤジ殺す』って伝言をお預かりしてます』
「へ、へぇ~」
 が、不機嫌ダダ漏れで底冷えするような信一の声に、さすがの社長も笑顔がひきつったという。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 久遠ヶ原学園の英雄
    不破 雫aa0127hero002
    英雄|13才|女性|シャド
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • これからも、ずっと
    柳生 楓aa3403
    機械|20才|女性|生命
  • これからも、ずっと
    氷室 詩乃aa3403hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • その背に【暁】を刻みて
    東江 刀護aa3503
    機械|29才|男性|攻撃
  • 優しい剣士
    双樹 辰美aa3503hero001
    英雄|17才|女性|ブレ
  • 絆を胸に
    麻端 和頼aa3646
    獣人|25才|男性|攻撃
  • 絆を胸に
    華留 希aa3646hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 絆を胸に
    テジュ・シングレットaa3681
    獣人|27才|男性|回避
  • 絆を胸に
    ルー・マクシーaa3681hero001
    英雄|17才|女性|シャド
  • 絆を胸に
    五十嵐 七海aa3694
    獣人|18才|女性|命中
  • 絆を胸に
    ジェフ 立川aa3694hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 光旗を掲げて
    フィアナaa4210
    人間|19才|女性|命中
  • 裏切りを識る者
    ドールaa4210hero002
    英雄|18才|男性|カオ
  • 不撓不屈
    ニノマエaa4381
    機械|20才|男性|攻撃
  • 砂の明星
    ミツルギ サヤaa4381hero001
    英雄|20才|女性|カオ
  • 四人のベシェールング
    キトラ=ルズ=ヴァーミリオンaa4386
    人間|15才|女性|攻撃
  • 四人のベシェールング
    イフリート=ドラゴニアaa4386hero002
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 悪食?
    逢見仙也aa4472
    人間|18才|男性|攻撃
  • 死の意味を問う者
    ディオハルクaa4472hero001
    英雄|18才|男性|カオ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 闇に光の道標を
    新城 霰aa4954
    獣人|26才|女性|回避
  • エージェント
    都呂々 鴇aa4954hero001
    英雄|16才|男性|シャド
  • 閉じたゆりかごの破壊者
    紀伊 龍華aa5198
    人間|20才|男性|防御
  • エージェント
    マナ・シェンデルフェールaa5198hero002
    英雄|11才|女性|カオ
  • 鎮魂の巫女
    天城 初春aa5268
    獣人|6才|女性|回避
  • 天より降り立つ龍狐
    辰宮 稲荷姫aa5268hero002
    英雄|9才|女性|シャド
前に戻る
ページトップへ戻る