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新しい年ですね、巨大従魔を倒そう
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最終発言2018/01/11 12:28:42 -
ゴーダウナー退治
最終発言2018/01/11 17:11:21
オープニング
● 新春合神ゴーダウナー
世界はこたつ型従魔に支配された。
世界と言うと多少大げさで、日本一地域の数家庭だけだが。
世界は従魔に支配された。
その従魔に囚われた者は、こたつの中に引きずり込まれ。下半身を動かすことができず、さらにみかんにて栄養も供給される。もはやこたつからでなくても生きていけるように管理され。そして従魔に霊力を供給するダウナーと化すのである。
これはゆゆしき事態だ。
せめて三が日はいいだろう。大体の人が家にこもっている。
だがそれを過ぎてしまえば、社会が動き出す。世界は社畜を求める、彼らは働かなければならないのだ。
だから、ここにこたつ従魔掃討作戦が幕を開ける……はずだった。
しかしだ、ここで想定外の事態が発展する。
このOPの段階でこれほどまでに状況が二転三転してしまって申し訳ないと思うのだが。
彼ら従魔は奥の手を隠し持っていた。
それが合体。
各家庭に潜り込んでいたこたつたちは、君たちが接近したのに感づくと家庭から飛び出し。
路上でその体を何重にも組み合わせ、身長十メートルを超える、こたつロボとなった。
君たちはそれを唖然と見上げるだろう。そんな君たちの背後にはゾンビのようにこたつに依存してしまった被害者たちが立ち並ぶ。
「ああ、こたつ~」
「さむい、さむい~」
「みかんが、こいし~」
そんな町の人間たちの怨念を背にうけながら、戦えリンカー。頑張れリンカー。
本当の正月を取り戻すために、今日を生きぬくのだ。
● 戦況について
皆さんがゴーダウナーに出会うのは住宅地のど真ん中です。
道路は狭く、車が一台通れる程度の道にゴーダウナーは足をつけています。
この周辺には二階建ての家屋が乱立しており、高層マンションも近くに見えます。
四キロほど先に敷地10KM四方の公園があり、そこは比較的開けているので、誘導できる場合はそちらの方がいいでしょう。
ただ、問題はゴーダウナーの周りを一般人がふらふらしていることです。
ゴーダウナーに収容されてしまったこたつに未練があるようですね。
目を覚まさせてあげましょう。ちょっとしたショックで目が覚めるはずです。
解説
目標 合新従魔ゴーダウナーを討伐する。
今回皆さんには身長が10メートル以上ある従魔、ゴーダウナ―を討伐していただきます。
ただこのゴーダウナー。厄介なことに攻撃をすると。こたつ従魔がばらばらと散ってくるのでそれへの対処も必要となります。
・ゴーダウナーについて
10メートルを超える従魔。その出力は従魔のレベルとは比べ物にならない。
パンチとキックが基本的な攻撃ですが、範囲に優れる反面、命中力は下の下です。
当たらなければどうという事はないでしょう。
スキルは下記の通り。
ブレストバーニング
こたつの遠赤外線を束ねて発射する熱光線。
広範囲を数千度の炎で焼き払うことができる。リンカーへのダメージはさることながら、周囲への被害もそうとうなものです。
ただし、チャージから発射まで1ラウンド必要です。
みかんキャノン
みかんを束ねて発射する1000個以上のみかん塊です。ダメージは大したことはありませんが。みかん欲しさにゴーダウナーの周辺に人々がやってきてしまう事でしょう、気を付けてください。
・こたつ従魔について
こたつ従魔は四本の足に噴射口がついており、それでぶしゃーっと移動します。その体当たりで攻撃しますが、大抵のリンカーには脅威ではないでしょう。
ただ、ゴーダウナーの攻撃の仕方によっては無限に増え続けるので、対処が必要でしょう。一般人がまたこたつに囚われかねません。
リプレイ
プロローグ
こたつが合体して巨大従魔となるとは、これいかに。
軋み立ち上がる木製の体。その巨躯は天を突くほどに巨大で町に大きな影を落とす。
みしみしと音をたてながら蠢くそれは無理やりに形作られた従魔の集合体だろう。
名前をゴーダウナー、落ちた者達の楽園である。
「おいおいまじかよ…………このサイズの敵がこんな場所に出るかよ」
『リィェン・ユー(aa0208)』はその巨体を見あげてそうつぶやいた。
――全く勘弁してほしいのじゃ。じゃがだからといってのんびり構えてはおられんのぅ。
『イン・シェン(aa0208hero001)』が頭を痛ませ、ため息交じりに告げると、リィェンは武器を持ちなおす。
「だな。こうなったら速攻で片付けるしかねぇな」
――それにあのサイズならば例の新装備のテストにはちょうどいいのじゃ。
そんなリィェン達の前に『月鏡 由利菜(aa0873)』が登場する。ゴーダウナーを足元から切り付け、その勢いを殺しながらスライドしてきた。
「くっ、リィェンさんと望月さん、それに私だけ……! 華鈴、間に合ってください……!」
祈るように告げる由利菜、そんな彼女に『リーヴスラシル(aa0873hero001)』が声をかけた。
――他のエージェントも休暇だったり、別の依頼で忙しかったりするのだろう……私達で何とかするしかない。
全員を見渡す由利菜、そしてリーヴスラシルが告げる。
――少数とはいえ、ここのメンバーは精鋭が揃う。人数差は個々の能力で補えばいい。
その言葉に頷き由利菜はもう一度跳躍する。正月の安寧を乱す怪物を許すわけにはいかなかった。
第一章 巨大従魔を倒せ。
「出し惜しみはなしです」
由利菜は跳躍し降り注ぐみかんを避ける。民家の生け垣を足場に跳躍するとゴーダウナーの足に取りついてその側面を駆けのぼった。
そして神経接合スーツを起動する。
「モード・フォルセティ、起動!」
周囲にあふれる霊力。その勢いのままにゴーダウナー表面を走る結合部分、その境目を斬撃。
複数の従魔を分離させることに成功した。
――これは……破壊のライヴス出力が凄まじい速度で上昇していく……!
リーヴスラシルの戸惑いの声をあげた。
その真下でリィェンは敵の誘導に注力している。
――こうも住宅地のど真ん中じゃできることが限られ過ぎなのじゃ。できればどこか開けた場所に行きたいところじゃが。
ここで戦っていては被害は尋常ではないほど拡大するだろう。
リィェンはその様子を振り帰りながら、ぱらぱらと降り注ぐこたつ従魔を見ても思う。
あれほどの重量があれほどの高さから落下しても被害は大きい、幸い今のところ民家に直撃はしていないものの、ここでの戦いはさけたかった。
それを防ぐためには速攻と、そして開けた場所への誘導が必要不可欠である。
「この人数じゃそうもいかんだろう。それに逆に言えば向こうも動きが限られてるんだ。こうなったら読み勝つしかないだろう」
追いつかれる。そう思ったリィェンは反転し、まるで木を切り倒すように刃を叩きつける。
地面と平行にバットを振るように、するとその一撃はゴーダウナーの内部に届き、ゴーダウナーを跪かせた。
その好機にと、リィェンはゴーダウナーの全身に斬撃を加えていく。
結合部分が破壊されるたびに転がり出るこたつ従魔。それは四足の足が無事であればどこかへと去っていくのだが、あれは処理班がいるため問題ない。
立ち上がる前に削れるだけ削る。そう【極】と名打った愛剣を盾に、降り注ぐ従魔を弾くと返す刃で両断。まるで塵を払うように従魔を吹き飛ばしてゴーダウナーを見た。
何か様子がおかしい。
その時ゴーダウナーの胸部が光を帯びる。熱をため込み放射されようとした瞬間。
ゴーダウナーの天に向けられていた背。その背の直上にリィェンはジャンプして刃を叩きつけた。
エネルギー供給が途絶えたのか、熱は失われていく。
ばらばらとゴーダウナーの体から従魔が分離していく。
だがすぐに立ち上がるゴーダウナー。それを見たリィェンはまた攻撃を繰り返す。
追ってくるゴーダウナーの足を切り付け、従魔を確実に引きはがしていく。
「流石にこのサイズだけあって動きがゆっくりだが…………こいつは一発喰らったらヤバそうだな」
リィェンがそう告げるとイン・シェンが苦々しげに告げる。
――じゃったら食らう前に斬り捨てるのみじゃ。
その公園に誘導されていくゴーダウナーを由利菜は屋根の上から眺めていた。
負ったダメージは軽微。ただ、敵が大きすぎて手ごたえが無い。
「ただでさえ手数が回せない……ここは一気に決めます!」
告げる由利菜を見てリーヴスラシルは思う。
(普段よりユリナの闘争心が増しているのを感じる……ハイテンションだな)
そんな由利菜であったが公園方向に目を凝らすと次いで驚愕の表情で花壇あたりを見つめる。
「どうした、由利菜」
由利菜は無数に放たれるみかんをかわしながら告げる。
「あのみかんは……食べられるのでしょうか?」
――危険だな……あの砲台を破壊しないと、人々がみかんに釣られて従魔の近くに寄ってきてしまう。
顔面めがけて放たれるそれを、由利菜は刃で切り捨てる。
――狙いが甘い……!
「私とラシルは防御だけでなく、回避の特訓もしてきているんです……!」
次いで由利菜ははたりと動きを止めた。公園の方角を凝視している。
「いえ、あそこにいるのは」
告げると由利菜は民家の屋根を伝って走り、できるだけ公園の近くによると告げた。
「従魔をお願いします! 華鈴」
「承知……」
その子には脇差を帯刀した侍が佇んでいた。
彼女の名前は『御剣 華鈴(aa5018)』。相棒である『フェニヤ(aa5018hero001)』と共鳴すると、抜刀。舞い散る花びらを払い従魔に刃を向けた。
第二章 こたつを成敗
「あ~、大暴れしてくれるなぁ、もう」
そう『餅 望月(aa0843)』は言いながらこたつ従魔の被害にあった人々を救出していた。
従魔をひっくり返し、倒す。そして傷ついた人々を集め癒す。それの繰り返し。
やがてゴーダウナーは遠くなったが、従魔はぱらぱらとそのあたりに転がされていってしまったので、その後片づけも必要である。
「帰って御餅食べようね」
――お雑煮にしようね。
『百薬(aa0843hero001)』が告げると、気合を入れてもうひと頑張り。そう腕をまくる望月であった。
対して公園周辺の従魔は華鈴の担当である。
華鈴は実は今日非番であった。
せっかくなのでと華鈴はフェニヤと神社参りに行っていたところ、急に由利菜から連絡があり、従魔が暴れてることを知る。そのため呼び出され、現場に急行した。
「望月様、リィェン様。御剣華鈴とふぇにや、由利菜お嬢様のご命令により馳せ参じました」
そう群がる従魔をエクリクシスにて両断しながら華鈴は告げる。
――……ふん、我にとっては神社参りなど退屈でたまらぬ。戦ができるのなら歓迎だ。
告げる相棒に苦笑いを向けつつ華鈴は回転しながら斬撃を放った。
地面を滑るようなすり足、日本武術特有の動きである。
流れるような所作で迫りくるこたつ従魔の突進を防ぎ、打ち上げるとその従魔を両断。背後から飛びかかる従魔を回避する。
「ごーだうなー……? 珍妙な名と姿だが、油断するわけには行かぬ」
――奴が攻撃を受ける度、次々と雑兵が沸いてくるか……。少ない手数で仕留めねば泥沼になるぞ。
その通りだ、由利菜やリィェンの攻撃が苛烈になればなるほどに従魔の数は増していく、早いところ核となるべき部分を破壊しなくては。
――カリン、何故あの大物を狙わぬ。雑兵の処理ばかりでは退屈ぞ。
焦れたフェニヤがそう華鈴に苦言を呈する。
「……ふぇにや、厳しいことを言わせて貰う。今の我らの実力は、由利菜お嬢様やリィェン様に及ばぬ。況して、望月様は従魔の策に拐かされた者達の救出に全力であたっている。雑兵に集中できるのは我らのみ」
告げて華鈴は踏込み刃を振り下ろす。それは地面に当る寸前でぴたりと止まり、衝撃波と共に従魔を薙ぎ払った。
ばらばらと地面を転がる木材は瞬時に霊力へと変換されて空に昇る。
これで何体目だろうか。
倒しても倒しても湧いてくるあたり、徐々に焦りが募る。
華鈴はゴーダウナーを見た。見れば空に光の柱が立ち上る。
空を焼いて雲を溶かして立ち上る熱の柱はリィェンがそらしたものだ。
視線を地面に移してみると、ゴーダウナーが正座して空を見つめていた。
リィェンがネビロスの操糸にてゴーダウナーを捕縛しているのだが、それももう限界のようで、ゴーダウナーはあたり構わず地面で叩き、リィェンの動きを阻害しようとしている。
それに対して挑発的にわざとすんでのことろでゴーダウナーの手を避けるリィェン。
降り注ぐみかん砲は大剣を盾に防いでいた。
あちらは大丈夫だ。華鈴はそう確信すると目の前の敵に向き合直る。
公園、その長椅子に足をかけて飛び一閃。さらに切りおろし刃を振るって納刀。
そこで華鈴は一旦納刀して背後を振りかえって、飛びかかってくるこたつを袈裟切りに。
「兵法において、百の槍兵は一人の剣豪よりも脅威。ゆめゆめ忘れるなかれ」
次いで華鈴は左右に視線を走らせた。こちらに走って向ってくる従魔が三体。
ちょうどいい、そう華鈴は刃に力を込める。
「木・火・土・金・水……これぞ、五行相克の刃なり」
周囲に解き放たれる斬撃。それが無数の断末魔を引き裂くように拡散した。
その時である。華鈴の足元に影が落ちる。
見上げればこちらにゴーダウナーが倒れてくるところだった。
第三章 トドメ
その倒れくる従魔から華鈴は逃げなかった、隣に佇む由利菜が臆さずそれを見あげていたから。
「華鈴、急に呼び出してごめんなさい。……行けますね?」
告げると由利菜は華鈴の神経接合スーツをなぜた。華鈴は頷きその機能を解放する。
――ほう……これは面白そうな機能ではないか。
次いで動いたのは由利菜。
閃く斬撃はすべてを切り裂きすべてを破壊する。五度の剣撃。
全ての防御を引き裂き、破り裂き。弱所を露出させた上で穿ち切り裂く駿速の刃。
「フォルセティ・キャリバー!!」
その斬撃の威力は従魔の巨体を持ち上げるほど。
「お嬢様とらしる教諭に続く……! ふぇにや、超過駆動を起動する、合わせよ!」
――ふはははは、この時を待っていたぞ……!! 大物捕りだ!!
「地鋭の連撃、受けよ!」
放たれた斬撃は地面を撃ち砕く勢いの一閃。それに従魔の体が悲鳴を上げ、そして全体に亀裂が入る。
明らかに弱っている、今が好機リィェンは走った。
「これじゃ埒が明かねぇ、一気に決めに行くか。超過駆動モード……アクティブ」
リィェンは由利菜の動きを見越して、その体に力をため込んでいる。踏めば地面が砕けるような膨大な霊力をその身に受け。その刃に練り上げた気を通す。
その刃を天を突くように垂直に構えてそして。渾身の一撃と共に全ての霊力を解放した。
「こいつで終いだ……鬼の一撃喰らって逝けやぁぁぁぁ!!」
もともと亀裂の入っていたその体はその一撃に耐えることができずに、辺りに従魔をばらまいた。
まるで木端のように吹き飛ぶこたつ従魔たち。
だがまだ動こうとするゴーダウナーを横っ面に由利菜と華鈴が切り裂いた。
吹き飛ぶ従魔の残骸、ただそれは地面に衝突することなく霊力となって空に消える。
従魔の消滅を確認。
それを見届けてリィェンは地面に座りこんだ。
「流石に……今回はつかれたぜ」
――これくらいで疲れておるとは功夫が足りとらん証拠じゃ。大規模が始まる前に一度締め直す必要がある用じゃな。
イン・シェンが悪戯っぽく告げるとリィェンは手を振って答える。
「へいへい……それはとりあえず後始末してからだな」
そう立ち上がると望月の様子を見に町の中へと歩みだすリィェンだった。
エピローグ
最後の一撃は静かなものだった。
従魔はあのしぶとさから想像できないくらいに潔く霊力へと変わっていき。
リィェンはその刃を幻想蝶に収める。
そのリィェンの一撃を眺めていたフェニアは告げた。
「チャージラッシュと言ったか……。あれを修得すれば、我らも決定打を得られよう」
もっと訓練が必要だ、その言葉に同意して華鈴は頷く。
二人の戦いはまだこれからなのだ。