本部

悲しくないもん。楽しむもん!

橘樹玲

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/12/15 18:53

掲示板

オープニング

■スケジュール
 黙々とつ上に向かっているかと思いきや、時折カレンダーを手に取り「いや……じゃが……」と悶々とするものがいた。しまいには机に突っ伏して、彼の耳と尻尾が垂れてしまう。
「うぅ……やっぱり嫌じゃー! わしもクリスマス満喫したい!」
 腕を組み考え込む。
「しかしなぁ……皆暇かのう。とりあえず送っておけば良いか」
 仕事を放り出して何をやっているのやら。彼は携帯端末を取り出し、真剣な眼差しで画面を見つめ何かを打ち込む。
 しばらくして彼はにかっと笑う。
「よーし! 後は返事を待つのみじゃな!」
 満足したのか、彼は鼻歌交じりにまた仕事に取り組むのであった。

■メール
 平日のお昼過ぎ。携帯端末が震えメロディが流れる。画面には「一通のメール」と表示があった。送り主は知り合いのエージェントである。件名には招待状と書かれていた。
 本文を確認する。
「やあやあ! 元気に過ごしているかの? さてさて、もうすぐクリスマスじゃが……同じく仕事のやつもいるんじゃないかってことで、クリスマス前にクリスマスを満喫しようぜという感じで遊園地のお誘いじゃ! どうじゃ! イベント期間中じゃし、何も当日だけでなくともよいと思うのじゃ! 良い返事を期待しておるよ」
 そのように書かれていた。

解説

●目的
仕事でクリスマス当日の予定が埋まった人みんなで、クリスマスイベントを満喫する!

●遊園地
・千葉県にある某遊園地。そこは、ネズミをメインとした、リス、アヒルなど様々な動物たちの暮らすテーマパークになっている。
アトラクションは、大体あるが、「観覧車」はないので注意。
・二つのパークが隣接しているため、どちらに行くかはみんなで決めたいところである。
海がテーマになっているパーク:ショーがメインでアトラクションは少なめだが雰囲気を楽しむのにはいいだろう。夜のイルミネーションは素敵である。
国がテーマになっているパーク:アトラクションがメインで、ワイワイ楽しむのにおススメである。こちらも、イルミ―ネーションや装飾もクリスマス仕様になっている。
どちらもおすすめだ。
・この時期は、クリスマスイベントが開催され、パーク内が華やかに彩られている。

リプレイ

 午前三時。昨晩は早めに就寝し、早朝の寒さに体を震わせながら寝床から起きだしてくる。時計を確認し、支度を済ませると。皆に連絡を送る――
「おはようさん。もし、まだ寝ておったらすまぬな。今日はよろしくなっと」
 相方を起こし、軽く胃に物を入れ自宅を出る。
 午後五時十分前。最寄駅から電車が出発した。皆と待ち合わせの夢の国を目指して――

 そして、午前八時前。ぎゅうぎゅう詰めになりながら、今日遊ぶメンバーと共にゲート前の列に並ぶ。
 聞きなれた音楽がメインエントランスを流れ。鼻歌交じりに開園の時を待つ。

「さあ! 思いっきり楽しむぞぃ」

 さあ、開園の時間だ。
 ゲートが開かれ、人の流れに沿って、今、入園する。

■INパーク
 ゲートをくぐると、そこはもう夢の国。何匹ものキャラクターたちがお出迎えをしてくれていた。
 華やかな装飾、楽し気な音楽に包まれ、目の前には大きなオブジェクトが置かれている。
 入園すると同時に、お客さん――ここでは「ゲスト」と呼ぶのだが、一斉に目的地へと走っていく。
『わ~い、ゆうえんちもふ~! たくさんあそぶもふ~!』
 入園するなり、目を輝かせる幼子が三人。目に見えてはしゃぐ者も何人かいる。
 むすび(aa0054hero002)はあたりをキョロキョロと見渡す。一緒になって、白詰草(aa0088hero002)と、ピピ・ストレッロ(aa0778hero002)もキョロキョロとしていた。
『おいしいものたべられるもふ? もふ?』
 白詰草は漂ってくる甘い香りに興味津々のようだ。
『ゆーえんち、だぁー♪』
 ピピはぴょんぴょん飛び跳ねる。
『……ほう、中はこんな感じなんですね。あれはいったいなんでしょう? あっちにも色々ありますね』
 意外にも、あまり興味をなさそうだと思っていた、不破 雫(aa0127hero002)もうずうずしている様子が伺える。本人ははしゃぐような人間でもないなどとは言っていたが。
『前から来てみたかったんだ! 今日はいっぱい遊ぶんだよ!』
 烏兎姫(aa0123hero002)の瞳もキラキラしている。そんな彼女を見て、虎噛 千颯(aa0123)も優しい笑顔を浮かべている。
「……□□?」
『えぇ、いいかもしれません。皆さん、良かったらオブジェクトの前で一枚写真撮りませんか? カメラを用意してますのでお撮りしますよ』
 辺是 落児(aa0281)がカメラを構え、構築の魔女(aa0281hero001)が提案してくれる。
「お、いいね! でも折角だから、何枚かは皆で撮りたいな!」
 従業員――ここでは「キャスト」と呼ぶのだが、そちらにお願いして全員で記念撮影しようと、皆月 若葉(aa0778)が提案を重ねる。
「それなら、帽子を買ってからの方が良いんじゃないか? お店もすぐ近くにある事だし、記念撮影ならなおさらな」
 「俺は買わないが」と付け足して、御神 恭也(aa0127)が言う。
「そうですね……むすびの分も買わなきゃいけないからそっちの方が嬉しいです」
 ちゃっかり、白いもふもふ帽子をかぶっている多々良 灯(aa0054)。
「私も買おうと思ってたんです! シロちゃんとお揃いで」
 「ねー」と清原凪子(aa0088)と白詰草が顔を見合わす。
「俺ちゃんも、先にお土産は見ておきたいって思ってたんだぜ」
 うんうんと首を振る虎噛。
「ふむ……それならば、最初はお店でちょいと買い物をするかのぅ」
 それでも良いかと、剣太が構築の魔女に尋ねると、彼女は「ええ、もちろんです」とにっこり笑う。
 そのやりとり聞き、玲は小さくガッツポーズをしていた。

■もふもふの布教
 入り口から入ってすぐにある、お店が集まっているエリアで皆で最初に買い物をすることにした。その中で特に、園内で持ち歩ける人形や帽子などのアイテムが多数売っているところだ。
 開園直後にもかかわらず、ゲストで賑わっている。
「むすびはどれがいい?」
『もふはいっしょのがいいもふ~』
「これと一緒か……あるかだろうか」
 多々良とむすびはお揃いのがないかと探す。高いところのは、背が届かないむすびに代わって。
「どっちがいいかな……クマさんと、ウサギさん。そうそうパーク限定のぬいぐるみも買わないと……」
『どっちもかわいいもふ! まようもふー!』
 清原と白詰草の二人は、色々手に取り試しているようだ。どれも可愛くなかなか決められないらしい。もちろん、パーク限定のぬいぐるみも忘れずに。
「雫も帽子を買うのか?」
『私は……買わないです』
 明らかに買いたそうな目で眺めているのだが――あくまでクールを装う様だ。
 その横で、買わない者、まだ買っていない者への布教が始まる。
『ケンタは、今日は……クマさん! レイはこれがきっと似合うんだよ!』
「おう! こっちのパークと言ったら、この熊じゃな!」
『あ……ありがとう!』
 ピピが剣太に茶色い熊の帽子、玲にはピンクの熊の帽子を手渡す。
『ボクはこれがいいんだよ! ワカバも!』
「俺もつけるの? りょーかい」
 皆月がピピからお揃いの緑色の猫の帽子を受け取る。
「うーん……じゃあ、御神はこれだね。せっかくだから不破さんもどうかな?」
 犬の帽子と、鼠の帽子を二人に手渡す。
「いや俺は……」
 受け取った御神は困惑し多様な反応をするが、着けたそうにうずうずしている不破をみて諦めをつけたようだ。
「……二人で着けるか」
『しょ、しょうがないですね。皆月さんがそういうならば……』
 しょうがないと言いながら、受け取ってすぐに着用した。
「……落児たちもつけるだろう?」
 道連れだと言わんばかりに、二人にペアの鼠のカチューシャを手渡す。
「―□……□□?」
『折角だから私達もつけましょうか?』
 辺是の表情はわからないが、構築の魔女は皆に合わせるといった様子で受け取ったカチューシャを付け、辺是もそれに合わせ耳を付ける。
 そこに、買った土産を宅配で送るための手続きを終えた虎噛と烏兎姫が合流する。
「な……それ……ぶはっ! いいね、恭也ちゃん、落児ちゃん! 似合って……くくくっ」
 普段は絶対そんなことを自らしないだろう二人がキャラクターものを身に着けているのを見て、虎噛は笑いが堪えられないようだ。腹を抱えて笑っている。
『みんなも着けたんだねー! ほら、やっぱりパパも着けようよー!』
「これは俺ちゃんも着けるしかないなー!」
 皆の様子を見て、二人はすぐに兎のカチューシャと、オレンジ色の虎の帽子を買ってきた。
 一時の買い物を終えた一行は、オブジェクト前に記念撮影をしに戻るのである。

「はいっ、チーズ!」

 キャストさんに頼んで撮影してもらった写真の中には、冬季限定のもふもふをあしらったキャラクターグッズを身に着けた十四人が写っていた。

■もふもふに囲まれて
 記念撮影をした後は、いくつかのアトラクションを乗ったりして過ごしていた。
 現在の時刻は十時過ぎ、ちょっと早いが11時過ぎのショーに合わせてお昼を食べようということで移動をしている最中である。
『パパ! ボクあの子と一緒に写真撮りたいんだよ』
「そんなに慌てなくても大丈夫なんだぜ」
『がおーちゃんのゆるキャラとはまた違う感じなんだよ』
「これが商業用キャラクターか……ゆるキャラとはまた別のベクトルだが見習う所もあるんだぜ……」
 烏兎姫に腕を引っ張られ、虎噛と二人はキャラクターグリーティングの方へ歩いていく。
「もふもふ……」
 多々良も何かに引っ張られるようにふらふらと着ぐるみの方へと歩いて行った。そんな様子を少し拗ねたように結びもついていく。
『もふの方がもふもふもふよ~! もふりたかったら、もふをもふればいいもふ~』
 彼の気を引こうと、周りをちょこちょこ動き回る姿は何とも可愛らしい。
『清原さん達もお写真どうですか?』
 構築の魔女が皆の楽しんでいる様子を写真に収めていく。
「あ、お願いしてもいいですか!」
『ピピちゃんもいっしょにとるもふ~?』
『うん! ほら、ワカバ! いこ!』
「はーい」
 四人で楽しそうに、着ぐるみを囲む。その様子を不破は見ているだけなのだが――
「ほらほら、お主たちも一緒に撮るぞ! 構築の魔女さんや頼んでもいいかの?」
『ちょ、ちょっと剣太さん……』
 剣太につられ戸惑う不破の頭に、御神がぽんっと手を載せる。
「……誘ってもらったんだ。せっかくだからな」
 玲を含めた四人で着ぐるみを囲む。
『とりますよ! はいっ、チーズ』
 構築の魔女の持ってきたカメラに、思い出がどんどん詰まっていく。
「……□□――」
『ええ。楽しそうですね』
 カメラ越しに、構築の魔女はにっこり笑った。

 キャラクターたちに一度お別れを言った後、目的地へと向かっていく。
「お昼はどこで食べるんだっけ?」
「んーと、俺ちゃんが予約したキャラクターにあえるレストランだぜ」
「夜は多々良にびゅっへを予約してもらったから、準備はばっちりだぞい!」
「……ビュフェな」
 そんな会話をしながら、人ごみの中に消えていった。

■お肉は別腹!
 ご飯を食べ終わりお腹が膨れたところで食休みの散歩がてら、園内の雰囲気を楽しみつつショーを見る場所へ向かう。
『しろちゃんとわけっこもふ~。おいしいもの、たくさんたべたいもふ~』
 両手にポップコーンのバケットとチュロスを持ち、トテトテと後ろから歩いてくる。
「それだと食べづらいだろ……」
 多々良がむすびのバケットを肩から掛けなおす。彼の手にもスパイシーチキンレッグが握られている。熱々のお肉からスパイシーな香りが辺りに充満する。気を付けないと今にも肉汁が垂れてしまいそうだ。
『あまくておいしそーもふ! むすびちゃんとわけっこもふー!』
 むすびと白詰草の二人は仲良く二人でわけっこする。こちらは冬季限定、チョコレート味だ。こちらも甘い香りがしてよだれが垂れてしまいそう。
「うふふ……美味しく食べるのが一番だものね」
 清原は二人の様子をニコニコしながら見つつ、ホットチョコレートの温かさを堪能する。一口飲んでホッと一息つく。白い息が出るのがなぜか楽しく感じた。

「よかった……売ってた。これこれ、これが食べたかったんだよ!」
『ワカバはボクとはんぶんこだよ!』
 皆月とピピは餃子の形のホットドックのようなものを仲良く二人で半分こ。念願の物を買えたので彼は嬉しそうだ。
 ピピも小さく分けたソレをもらってニコニコしながら頬張った。
『私はミルクティー味にしてみたんです。キョウも食べますか?』
 不破にポップコーンを一つもらい。口に運ぶ。
「……甘いな」
 その反応に『当たり前です』なんて突っ込まれたり。
『剣太さん……少し買いすぎじゃないんですか?』
 誰よりも買い込んでいる剣太に構築の魔女は苦笑い。
「お、そうかの? よかったら、辺是と構築の魔女もどうかの? 美味しいぞ!」
 持っていた食べ物の中の一つ、骨付きソーセジを手渡す。
『……もぐもぐ。ごっくん』
 玲も剣太に負けじと持ちきれないほどの食べ物を買い込み、それを堪能した。一人で食べていたかと思いきや、他の者に無言で差し出す。それが彼女なりの優しさなのだろう。
 さっきまで、お昼を食べたのにもかかわらず、皆食べ歩きを楽しんだ。これはまた別腹とでもいうのだろう。

 そんな中、食べ物よりもショーを待ちきれない様子の烏兎姫。鼻歌交じりに一足先にと進んでいく。
『パパ! 早く早く! ショーが始まっちゃうよ!』
「はいはい。急がなくてもまだ時間はあるんだぜ」
 楽しんでいる彼女を見て、虎噛は優しい笑顔を彼女に向けた。

■Amazingly fun Christmas
 パークの中央に広がる海を模した場所がある。その正面の鑑賞エリアで十四人は始まる時を待っていた。
「よくこのようないい場所をとれたな……」
「……それは……サンタさんの贈り物じゃよ」
 御神の問いに剣太は「しぃー」と口の前に指を立て、ニコッと笑った。ショーを楽しみにしている子供たちには聞こえぬ小さい声で。

「レディース、アンド、ジェントルマン! さあさ、始まるは――」

 華やかな音楽と共にスピーカーから声が聞こえてくる。それと同時に海の中を大きなケーキやクリスマスツリーを模した船が登場する。
 胸が躍る音楽に合わせ、ゲスト皆で手拍子をする。

 タンタンタタタッ! タンタンタタタッ!

 段々と場の空気が温まり、パンッというクラッカーの音と共にピョンッとキャラクターたちが登場する。
 丸い海を円を描くように船が回ってきて、段々と赤い服を着た様々なキャラクターたちが正面に近づいてくる。
 音楽に合わせ踊っているキャラクターたちを見ていると、自分たちも一緒になって体が揺れてしまう。
『すごいんだよー!』
『もふもふがいっぱいもふー!』
『いっしょにおどるもふー!』
 年が近くすっかり意気投合した三人は一緒にお尻を振って踊っている。
「凄いな……」
「クリスマスって感じで楽しいです!」
 多々良と清原はショーの虜に。
「あはは……三人とも可愛いね」
 皆月は小さなダンスを楽しんだ。
『凄いですね……こんなに華やかなんですか……』
 不破が小さく呟いたのを聞き、御神は満足そうに頷くのである。
「……□□?」
『ええ、実際のイルカやシャチはいませんでしたが、それを模したキャラクターたちは可愛いですね。こんなに大きな機械――船がここを動くのはどういう構造なのでしょう?』
 構築の魔女は、ショーに使われている機械の構造に興味津々のようだった。
 キャラクターたちのダンス、途中に登場したサンタ、そして楽しい音楽を堪能する時間はあっという間に過ぎていった。
 ショーの虜になる同僚たちを見て、企画者の彼は満足そうに笑みを浮かべる。それを見た相方の彼女も満足そうに静かに笑うのであった。

■輝く夜のちょっと前
 時刻は午後七時過ぎ。空はすっかり暗くなる。しかし、パーク内はイルミネーションが輝きだし、昼間よりも明るさが増していた。
 パーク内を流れる音楽には鈴の音が混ざり、昼同様華やかなのは変わりないがどこか寂しく感じる。
 シャンシャンシャンッという鈴の音と、ゲストの声、BGM――全部合わされば大きな音のはずなのに静かに感じるのは終わりが近づき寂しく思うからなのだろうか。
 開園時からこの時間まで遊ぶと流石にみんな疲れた様子。でも、笑顔は絶やさずに。最初よりもゆっくりと昼と同じで丸い海の正面へと歩いていく。
 お店が混む前にと土産を両手いっぱいに抱えた六人。虎噛と一緒で宅配便を使うべきだったと、ちょっと後悔しつつも満足そうな笑みを浮かべる。

「ちょっと買いすぎたか……」
『もふもふがいっぱいもふー!』
 多々良とむすびは、家でお留守番中の愛犬へ。予定よりちょっと多めに買って。
「家に帰ったらどれから食べよう……」
『シロはクッキーがたべたいもふ!』
 清原と白詰草は自分用のお土産も買って。
「今度は家族みんなで泊りがけで来ような!」
『うん! 今度はみんなで来ようね!』
 宅配便を使った虎噛と烏兎姫の二人は手ぶらで家族の事を思って。
「さて、皆の土産はこんな物か……」
『妥当な感じですね』
「自分の小遣いからなんで、あれこれ言うつもりは無いが……自分の分が多すぎないか?」
『気のせいです』
 御神は家で待つ相方と友人たちに。不破は自分用をいっぱい買ったようである。
『えへへ! かわいいんだよ!』
「クマさんとお土産、色々買ったね」
 皆月もお留守番している相方と友人たちに。ピピはクマのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめトコトコ歩く。
 剣太と玲も色々買ったが、あまりの量に一時ロッカーに預けてきた。
 ただ一つ、小さい袋は預けずに。
『それは預けなくて良かったの?』
 そう聞かれても彼はにっこり笑うだけ。袋の中身を知る者は彼ただ一人、秘密なのである。
『何を買ったんだか……』
 実は中身を知っている彼女は誰にも気づかれないよう静かに笑うのであった。

■the last brightness
 時刻は午後八時前。一時的に園内を流れる音楽が静かになり、イルミネーションの明かりも薄暗くなる。
 ドキドキ、ワクワクと胸をときめかせ、今か今かとその時を待った。

「ほーっほっほっほ……」

 突然、お爺さんの笑い声が聞こえてきて、パッと丸い海に電飾で作られた大きなツリーが現れる。

 ――シャンシャンシャンッ……

 段々と鈴の音が聞こえ、次にポップで華やかな音楽が流れ出すのだった。

『うわー! サンタさんだよ!』
「ふふ……そうだね」
 大きなソリの形をした船に乗って、赤い服のお爺さん――サンタが現れる。それを嬉しそうにピピは見る。
『すごーい! すごいよ、パパ!』
「おう……キラキラで凄いんだぜ」
 次々に現れる船に烏兎姫は大はしゃぎだ。
『きらきらもふ……』
『ぴかぴかもふ……』
 むすびと白詰草は眠くなってしまったようで、トロンとした目で夜に輝くキラキラを眺めていた。
「……帰りはおぶって帰るようだな」
「ふふふ……二人ともお疲れですね」
 多々良と清原もキラキラ輝く世界を楽しむ。
『すごい……凄いですよ! キラキラしてます』
「なあ、もしかしてだがあれで隠しているつもりなのか? どう贔屓目に見ても、目を輝かしてイルミネーションに見入ってるとしか思えんのだが……」
 興奮を隠せていない不破の様子を御神が剣太にこっそり耳打ちする。
「……□□―」
『配置や色の変化……デザインと楽しませる工夫が各所に見られて素晴らしいです』
 構築の魔女は夜のショーでも技術的部分に目が行く様子。もちろん撮影も忘れずに最後のショーの――輝く世界の時間を楽しむのであった。

 華やかで、キラキラで、楽しい時間はあっという間に終わり、キャラクターたちを乗せた船はどこかへと帰っていく。
 サンタさんも高らかに笑い、キャラクターたちと共に帰っていった。もしかしたら、まだ渡していない子供たちにクリスマスプレゼントを渡しにいったのかもしれない。
 船の光で輝いていた丸い海は、薄暗くなり園内の光と星の光で照らされて穏やかな光がゆらゆらと揺れている。
 園内を流れる音楽は閉店を知らせる曲に変わり、段々と人数が減っていく。
「楽しかったね」
 いつのまにか寝てしまった、幼子三人は抱っこされスヤスヤと寝息を立てていた。
 出口の方へ向かいつつ、口々に別れの挨拶をする。
「そうじゃ……忘れる前にこれを渡しておかねばのう」
 企画者である彼は皆に小分けされた袋を渡す。中には冬季限定遊園地のマスコットキャラのキーホルダーが入っていた。
「一人寂しく過ごしそうだった、わしと遊んでくれてありがとな! 楽しかったぞ!」
 にかっといつもの笑顔を見せる。

 今日の思い出を握りしめ、電車に揺られ皆それぞれ自分の家へと帰っていく。
 華やかな時間は終わったけれど、輝く日々は終わらない。今日の思い出を胸に、キラキラ輝く休日は終わりを告げるのであった。
 次はどこへ行こうか――そんなことを思いつつ……

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • もふもふには抗えない
    多々良 灯aa0054
    人間|18才|男性|攻撃
  • もっふもふにしてあげる
    むすびaa0054hero002
    英雄|10才|?|バト
  • しっかり者のお姉ちゃん
    清原凪子aa0088
    人間|15才|女性|生命
  • 回れ回れカップ
    白詰草aa0088hero002
    英雄|8才|?|ブレ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 久遠ヶ原学園の英雄
    不破 雫aa0127hero002
    英雄|13才|女性|シャド
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 共に歩みだす
    皆月 若葉aa0778
    人間|20才|男性|命中
  • 大切がいっぱい
    ピピ・ストレッロaa0778hero002
    英雄|10才|?|バト
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