本部

急募、秋の新メニュー!

犬熊

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
7人 / 4~8人
英雄
7人 / 0~8人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/11/23 19:53

掲示板

オープニング

 喫茶『ノワール』の店主、藤堂 拓磨は悩んでいた。
 夏に販売した季節限定メニューが好評だった為、一部の客の間で秋限定メニューを望む声が出始めたのだ。
 とはいえあの時新メニューを考案したのは臨時で雇ったアルバイトのスタッフ達であり藤堂ではない。
 その為秋限定メニューを作ろうとしても夏季限定メニューに匹敵する案が思い浮かばなかったのだ。
「どうしたもんかなあ」
「そりゃ決まってますよ店長、募集しましょう!」
 そう進言するのは夏の出来事の後アルバイトとして雇われた日野 祐介、客足が増えたことでこうして長期スタッフを雇う余裕も出てきたのだ。
「新メニューをか? それともバイトをか」
「いっそこんなのはどうですか? 新メニューの試作会&試食会を開くんです。事前に必要な材料は連絡してもらってこちらで用意、もしくは持参してもらうとかで」
「ふむ、面白そうだな」
「当日は厨房を開放して作ってもらった料理をお客様に試食してもらい、そこで好評だったら新メニューとして採用すれば間違いないですよ!」
 後日、店の入り口には試作会&試食会のお知らせが貼られた。

解説

●秋の試作会&試食会のお知らせ
秋と言えば食欲の秋、にも関わらず私共スタッフ一同恥ずかしながら秋の新作メニューが思いつきません!
そこでどうか皆様の知恵をお貸し頂けないでしょうか。
新メニューの試作に興味がある方は気軽にスタッフまでお声がけ下さい。

●補足
当日の調理はお店の厨房を開放して行います。
必要な材料は事前に連絡して用意してもらったということにして構いません。
事前に仕込みが必要等、持参したい場合は持参も可能です。
新メニューとして採用するにあたりあまり高額な食材を使用する場合採用出来ない可能性もあります。
描写の流れはまず試作希望者が調理、その後試食希望者と一般人の客を招き試食会を行うことになります、
試作希望者が他の参加者の料理を試食することも可能です。

今回のシナリオは試作はボランティア、試食は無料提供となるので報酬は発生致しません。

●人物
藤堂 拓磨
喫茶『ノワール』の店主で年齢は30過ぎの一般人。
得意料理はカレー、今回は怪我はしていない。

日野 祐介
20代、学生のアルバイト。
好きな物は甘いもの。

リプレイ

●秋の料理試作会
 試作会&試食会当日、喫茶『ノワール』の厨房には今日の主役である料理人達が集まっていた。
 以前ここで臨時アルバイトとして働いていたアンジェリカ・カノーヴァ(aa0121)もその一人、前回と同じく英雄の八十島 文菜(aa0121hero002)も連れている。
「店長さんお久しぶり♪ 今度もどんと任せておいてよ!」
「今回もよろしくお願いしますえ」
「ああ、こちらこそよろしく頼む。秋にぴったりな料理を期待してるよ。ああそれとこっちはこの前雇ったバイトの……」
「日野 祐介です。よろしくお願いしますね」
 藤堂に紹介されたのは華奢で人当たりの良さそうな青年だった。
「こちらこそよろしく。あ、お兄さん文菜さんの胸ばかり見ないようにね!」
「え、いやいやそんな見てませんて!」
 慌てて目を背ける祐介を見て文菜は微笑むのだった。

 試作側のボランティアとして参加したアンジェリカと文菜は早速調理に取り掛かった。
「ボクはお菓子を作るけど文菜さんは?」
「うちは食事系の物を作りますえ」
「そっか、完成品を楽しみにしてるね!」
 アンジェリカは事前に家で作ってきた梨ジャムとパートフィロと呼ばれる小麦等で作った薄い生地を取り出した。
 梨は食感が残るように賽の目切りにした物を使い、ボールを取り出すとその中で梨ジャムとヨーグルトを混ぜ、それをパートフィロで優しく丁寧に包んみこんでゆく。
 手際良く生地を包み終えるとアンジェリカはそれを熱した油で揚げ始めた。
 あたりに漂う甘い香りが食欲をそそる。
 その匂いに早速祐介が釣られて来た。
「んー、甘い良い匂いがするね」
「これでまだ完成じゃないんだよお兄さん。仕上げに粉砂糖を振りかけてっと」
 見た目にも美味しそうなデザートが早速完成。
 パートフィロは春巻きの生地程油も吸わないようで見た目にもサクサク感が伝わってくる。

 一方文菜の方はというと、鶏もも肉や人参、それにしめじや舞茸等の食材を食べやすい大きさに刻んでいた。
「アンジェリカはんはもう出来たんどすか?」
「事前に家で材料作ってたから、包んであげるだけだったしね」
「それはお味が楽しみどすな♪」
 等と会話している間にも文菜は調理を進めていく。
 牛乳等も用意していることから察するにどうやら作っているのはクリームシチューのようだ。
 シチューを煮込んでいる間に文菜はパイ生地も作り始めた。
「シチューのパイ包み焼きだね♪」
「そうどす♪」
「ほう、随分しゃれた物を作るじゃないか」
 横で視ていた藤堂も興味津々のようだ。
 後は出来たシチューを器に入れその上からパイ生地を被せ表面に卵黄を塗りオーブンで焼くだけだ。
「これは完成が楽しみですね」
「ああ、シチューを仕込んどけばあとは生地を被せて焼くだけだしメニューに入れても良いだろうな」
 祐介と藤堂の言葉に文菜とアンジェリカも満足そうだ。

●魅惑のアップル
 御神 恭也(aa0127)と英雄の伊邪那美(aa0127hero001)の料理のテーマはアップル。
 藤堂に用意してもらった紅玉を前に伊邪那美は呟いた。
「う~ん、アップルパイなんて何時でも食べられると思うけど?」
「シロップ漬けにされたリンゴを使用すればな、この時期なら生のリンゴが手に入るんだ」
 そう言いながら恭也は用意されたリンゴを一つ一つ確認していた。
「わざわざ紅玉を用意して貰ったんだ。普段食べてる物よりも味は良くなるはずだ」
「紅玉って、あの酸っぱいやつ? あんまり美味しくないと思うけど……」
「既に盗み食いをしたのか……この種は香りが強く、煮崩れもしにくいからこういう調理に向いてるんだ。甘みは砂糖を足すから問題はない」
 恭也は伊邪那美に説明しながら調理を開始した。
「紅玉はこういう風にくし形切りに、煮る時は砂糖とレモン汁を加えて火が通り過ぎないようにだな……」
 さらにパイ生地も小麦粉から練って作る本格派だ。
「……結構面倒くさい作業が多いんだね」
「今回は生地から作ってるが、手間を掛けられないなら冷凍パイ生地があるからそっちを使うのも手だな。下手に作るよりそっちのが美味いからな」
「ふ~ん、恭也はあんまりそういった物は使わないよね」
「俺は……凝り性なだけだ」
 出来上がった生地を型に嵌め、その中に先程煮たリンゴを並べる。
 余った生地は細く切り、それを並べたリンゴに格子状に乗せたらさらにその上から卵黄を塗ってオーブンに入れた。
「あとは残った紅玉の皮を煮出して、そのお湯で紅茶を入れればアップルティーも完成だな」
「剥いた皮を取っておいてると思ったら、そうやって使うんだ……」
 オーブンから取り出したアップルパイは見事な焼き加減でお店で売っていても違和感のない出来栄えだ。
「さて、一つは出来たな。作り方は教えたんだし残りは伊邪那美がメインで頑張れ」
「えっ!? ボクが作るの?」
「基本的な調理の仕方は教えてあるんだ。後ろで見ててやるから作ってみろ……と言うかいい加減人に作らせるのは止めろ」
「うぅ~、頑張る……」
 ぎこちない手付きではあるが恭也に習ったやり方で伊邪那美も調理を始める。
 恭也は手を出さないものの一応怪我をしないようにとその様子背後から見守っていた。

●パンプキンスイーツ
 秋らしいスイーツということで豊浜 捺美(aa1098)はかぼちゃプリンを作ることにした。
「店長さん、料理は何人分くらい作ればいいですかなの」
「まあ材料はたくさんあるから大きめの器で何個か作って貰えれば足りるんじゃねえかな。手が足りないなら祐介に手伝わせるぜ」
「ありがとうなの♪ 料理頑張るなの!」
 用意されていた材料はかぼちゃ、牛乳、砂糖、卵、それとバニラエッセンスにゼラチン。
 かぼちゃはラップで包みレンジで加熱してからスプーンで中身をくり抜いてゆく。
「祐介さんも手伝って欲しいなの」
「もちろんです。もしメニューに採用されたらレシピ覚えないといけないですしね」
 祐介がかぼちゃをくり抜いている間に捺美は鍋に入れた牛乳に砂糖、ゼラチンを溶かし、さらに卵とバニラエッセンスを混ぜてプリン液を作りあげた。
 くり抜き終わったかぼちゃの身はフードプロセッサーで滑らかにし、それに先程作ったプリン液を混ぜたら後は耐熱皿に流し込みオーブンで焼いて冷蔵庫で冷やすだけ。
 今日はオーブンを使う料理が多い為、オーブンは常にフル稼働だ。
「へえ、随分手際が良いな。うちで雇いたいくらいだ」
「家で練習してきた成果ですなの」
 試作一つ目が完成すると捺美はそれを味見用に取り分け藤堂と祐介に差し出した。
「予め作っておいて冷蔵庫で冷やしておけば注文されてもすぐ出せるなの」
「作りおき出来るってのは確かに利点だな。ふむ味も悪くない」
「美味しいですねこれ。採用しましょうよ店長」
 絵入りの分かりやすいレシピのメモを見て説明を聞きながら味見をする藤堂、ふんわりとした食感にかぼちゃの優しい甘みが癖になる味だ。
「さてと、残りの分も頑張って作るなの!」
 二人の反応も上々、捺美は張り切って作業に戻るのだった。

 今回用意した材料の中でかぼちゃは特に多めに用意されていた。
 それは捺美以外にもかぼちゃを使用した料理を作る者達がいたからである。
 海神 藍(aa2518)と英雄の禮(aa2518hero001)はかぼちゃとサツマイモを使ったモンブランのようなケーキを作るようだ。 
「腕が鳴るね。始めよう」
「助手は任せて下さい!」
 藍は早速土台となる生地を作り始めた。
 粉末状のアーモンドを入れたベーシックなアーモンド生地だ。
 禮はその間にかぼちゃとサツマイモの皮を剥くお手伝い。
 厚めに剥いたサツマイモの皮は小さなもみじ型に抜き、バターで揚げて砂糖をまぶした。
 どうやら後でトッピングに使うようだ。
 揚げている間に皮を剥いたサツマイモとかぼちゃはレンジで加熱、爪楊枝で刺し火の通りを確かめる禮。
「もう良さそうですよ兄さん。柔らかくなりました」
「よし、潰していこうか」
 柔らかくなったかぼちゃとサツマイモはそれぞれ潰して裏ごしし、鍋に生クリームとバター、砂糖と一緒に入れて混ぜかぼちゃとサツマイモのクリームを作る。
 香り付けにかぼちゃの方にはラム酒を、サツマイモの方にはメイプルシロップを加えた。
 藍は香ばしく焼きあがった土台の生地の上にココアを混ぜたクリームを絞り、その上に先程作った二種類のクリームを互い違いに絞ってゆく。
「そういえばなんでココアにしたんですか?」
「ここに少し苦味を加えた方が全体のバランスが良い気がしてね」
「なるほど、二種類のクリームで色味が違うときれいですね」
「さてと、仕上げにこれを……」
 藍は最初に揚げておいた紅葉の形のサツマイモの皮をクリームの表面にいくつか貼り付けた。
 藍はそれを禮に差し出し。
「とりあえず一つ試食してみてくれ」
 禮は促されるまま一口、かぼちゃとサツマイモの甘みが口の中いっぱいに広がりココアのほろ苦さが程よいアクセントになっている。
「うん、美味しいです!」
「よし、禮のお墨付きも出たし完成だね。そういえば名前はどうしようか?」
「あ、わたし考えてきました! 秋の山、名付けてMont Fall(モンフォール)です!」
 レシピは完成、二人は残りの時間で出来る限りたくさんのモンフォールを作るのだった。

●秋の試食会
 試食会が始まる前から店内には客達が集まっていた。
「甘味とは素晴らしいものです。異論は認めません!」
 サービスの紅茶を飲みながら始まるのを待つのは捺美の英雄の汞(aa1098hero002)だ。
「秋の新作メニュー……ふうん、季節ごとに色んな料理があるのね、日本っていう国は」
「ああ、此処の喫茶店で料理イベントの試食ができると聞いてな、是非レミアにも美味しい料理の数々を食べて貰いたいと思ったんだ」
「今日はどんな料理を食べさせて貰えるのかしら。こないだ梨園で食べた梨も美味しかったけど……楽しみだわ」
 狒村 緋十郎(aa3678)と英雄であり最愛の妻でもあるレミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)も試食会の噂を聞いて駆けつけていた。
 夫である以前にレミアに全てを捧げる下僕であるという緋十郎、喫茶店の扉をくぐる時も、レミアが椅子に腰掛ける時も常に彼女をエスコートするその姿はまさに主従関係そのもの。
「さてと、だいぶお客さんも集まってきたことだしそろそろ始めるかね」
 ついに始まる秋の試食会、まず出てきたのは文菜の作ったきのこのクリームシチューパイ包み焼き、そして藤堂が用意していたきのことかぼちゃのカレーだ。
「店長いつの間にこんなの作ってたんですね」
「任せっぱなしじゃあれだからな」
 早速レミアの元に料理を運ぶ緋十郎、当然自分の分も忘れない。
 レミアに楽しんでもらいたいのはもちろんだが、自身も今回の料理を楽しみにしていたのだ。
「これはシチューのパイ包み焼きという物らしい。こっちはきのことかぼちゃのカレーだ。どうだレミア、美味いか?」
「春夏秋冬、四季折々の自然の恵み……ええ、悪くないわね。特にこのパイ包み焼き、パイのサクサク感とクリーミーなシチューの相性が良くて気に入ったわ」
「……そうか、良かった。レミアに喜んで貰えて、この緋十郎、本望だ……ッ!」
「そのシチューのパイ包み焼きは文菜さんが作ったんだよ! 良ければこれもどうぞ♪」
 お客の反応を見て回っていた文菜とアンジェリカ、差し出したのはアンジェリカの作った梨ジャムの甘春巻だ。
「ほうこれは美味い! ほら、レミアも食べてみないか」
「あら梨ジャム、この前の梨園を思い出すわね。ん……ほんと、美味しいわね」
 デザートの甘春巻きもレミアは気に入ったようだ。
「どの料理も、工夫が凝らされていて、作った人の真心が伝わってくるようだ。実に美味い……ところでこの喫茶店には、酒は置いてない……よな?」
「わたしもワインが欲しくなってきたけど……さすがに置いてない……わよね」
「置いてないと思うよ? あ、店長!」
「悪いな、酒は扱ってないんだ。その代わり紅茶や珈琲なら出せるぜ」
「いや、これ程に美味い品々を食していると……どうしてもビールか何か、欲しくなってきてな……。まぁ、無理を言うのも無粋というものだな」
「まぁ良いわ、美味しい料理の数々に免じて許してあげる。お酒はまた夜にでも、別のお店に行きましょうね緋十郎」
「うむ……そうだなレミア。マスター、もし良かったら、コーヒーでも淹れて貰えんだろうか。あぁ、いや、先にレミアに紅茶を頼むッ!」
「あいよ。少々お待ちを、その間に他のスイーツも味わってみてくれ」
 そう言って藤堂は珈琲と紅茶を淹れに厨房に戻るのだった。

 その頃調理を終えた捺美は客として来た汞と合流して試食会を楽しんでいた。
「このモンフォールというケーキ、とても美味しいです」
「かぼちゃとサツマイモのクリームの自然な甘さがとっても美味しいなの」
 甘いもの大好きな女子二人はどうやら今回のスイーツを制覇するようだ。
「ココアのほろ苦さも良く合っています。この生地は確か手作りなんですよね。凄いです」
「今度作ってみようかななの」
 汞が次に取ってきたのは伊邪那美の作ったアップルパイだ。
 恭也が作った物と比べると見た目は少し歪んでいるが味の方はというと。
「このアップルパイ美味しい。甘酸っぱいリンゴとサクサクの生地が癖になりますね」
「このアップルティーも良い香りなの」
 伊邪那美の作ったアップルパイの評判は上々、その様子をカウンターから眺めていた恭也もどこか満足そうだ。
「失敗作があれば責任持って処理するつもりだったが……どうやら俺の考え過ぎだったようだな」
「どうしたの恭也?」
「なんでもない……そうださっきかぼちゃプリンを取ってきたんだ。食べるか?」
「うん。実はボクも甘い物食べるの楽しみにしてたんだ」
 喜ぶ伊邪那美の顔を見て恭也も優しく微笑むのだった。 

「捺美のかぼちゃプリンは安定した美味しさで好きです」
「そう言ってもらえると嬉しいなの」
「かぼちゃは秋が旬だからね。きっとお客さん達も気に入ってくれてるよ思うよ」
 どうやら祐介は休憩時間らしく、捺美達と同じテーブルに着いてかぼちゃプリンを味わっていた。
「店長もさっき色々味見してたけどどれも気に入ったみたいだね。捺美ちゃんの料理の手際も褒めてたよ」
「あ、ありがとうなの。とっても嬉しいの」
「おっとそろそろ休憩終わりだ。二人も楽しんでいってね」
「そうさせてもらいます」
「お疲れ様ですなの」
 祐介を見送り二人はアンジェリカの作った甘春巻きも味わうのだった。
「これもサクサクで中はとろっとしてて美味しいなの」
「これで全部のスイーツを制覇ですね」
 全てのスイーツを味わい尽くした二人は、食後に紅茶を頼み幸せの余韻に浸るのだった。

 捺美達と同様に藍と禮も調理を終えた後、試食会に参加していた。
「あぁ……しあわせ」
「いろんな発想があるものだね。今度真似してみようかな」
 アップルパイを味わう藍とかぼちゃプリンを味わう禮、どちらも甲乙付け難い程美味である。
「ケーキは至上にして至高。平等たるもの。みんなでおいしく頂くのです」
「……ケーキは神か何かかい?」
「食べるとみんな笑顔になるんです、素敵な物じゃないですか?」
 あたりを見渡せば確かに、来店した客達は皆食事を楽しみどこもかしこも笑顔が溢れている。
 そんな二人のもとにやって来た藤堂、珈琲を持っているところを見るとどうやら休憩のようだ。
「今日は来てくれてありがとう。助かったよ」
「いえ、私も禮も良い経験が出来ました」
「兄さんと料理出来て楽しかったです」
「楽しんでくれて何よりだ。二人の作ってくれたメニューも採用させてもらうよ。もちろんメニューの名前も禮ちゃん発案のモンフォールとしてね」
「やりましたね兄さん!」
「お役に立ててなによりです」
「また暇な時は遊びに来てくれ。サービスさせてもらうよ」
 そう言って席を離れた藤堂は常連客としばし会話した後再び仕事に戻るのだった。

「今日はすっかりご馳走になったな……」
 食後の珈琲と紅茶を楽しむ緋十郎とレミア。
「……ごちそうさま。色んな料理が食べられて、今日は楽しかったわ。作ってくれた人達に感謝しないとね」
「ああ、ご馳走様でした」
「緋十郎も、誘ってくれて、ありがとう……ね。って、ちょっと……今のは主としての労いの一言よ。なに顔を真っ赤にしてるのよ緋十郎……こっちが恥ずかしくなるじゃない……」
 レミアからの唐突な感謝の言葉に緋十郎は感無量のようだ。
 嬉し涙すら出そうな表情で顔は熟れたリンゴのように真っ赤になっている。
「ほら、緋十郎……約束でしょ。お酒が飲めるお店に行きましょう」
「あ、あぁ……そうだな。そうしよう」
 幸せいっぱい噛み締めて、緋十郎達は喫茶『ノワール』を後にするのだった。

●後日談
 喫茶『ノワール』秋の料理試作会&試食会は無事大成功に終わった。
 その後期間限定メニューとして発売されたシチューのパイ包み焼き、甘春巻き、アップルパイにアップルティー、かぼちゃプリンとモンフォールはどれも好評で順調に売り上げを伸ばしていった。
 店長の藤堂はこのようなイベントを定期的にやっても良いかもしれないと思ったとかなんとか、祐介の時給も少しアップしたらしい。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 希望を胸に
    アンジェリカ・カノーヴァaa0121
    人間|11才|女性|命中
  • ぼくの猟犬へ
    八十島 文菜aa0121hero002
    英雄|29才|女性|ジャ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避
  • 本領発揮
    カール シェーンハイドaa0632hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • つむじ風
    豊浜 捺美aa1098
    人間|16才|女性|回避
  • エージェント
    aa1098hero002
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 捻れた救いを拒む者
    ヴィーヴィルaa4895
    機械|22才|男性|命中
  • ただ想いのみがそこにある
    カルディアaa4895hero001
    英雄|14才|女性|カオ
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