本部

怪人は日曜に現る

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
4日
完成日
2017/10/21 16:48

掲示板

オープニング

● その怪人は決まった時間に現れる。
 日曜日、とある住宅地真ん中の公園にて。
 まだ早い時間帯、八時頃にも関わらず少年が砂場で遊んでいた。
「おお、少年、君は日曜朝のヒーロー番組には興味はないのかい?」
 そんな初年の頭上に影が落ちる。少年は声と影に驚いて顔をあげた。
 そこにはがたいがそこそこ良い、白衣の男が立っていて、白々しい笑みをうかべている。
「子供は家でヒーローを応援している時間だろう?」
 子供はあわてて距離をとる何せ。知らない人だし、不気味だし。明らかに関わってはいけない人だったからだ。
「君はヒーローが好きじゃないのかな?」
 しきりにヒーロー、ヒーロー口ずさむのも耳に心地悪かったし、少年は思った、適当に答えて帰ろうと。
「おれ、そう言う餓鬼っぽいの見ないから」
 告げて家に帰ろうと荷物をまとめ始めた矢先。
 叩きつけるように男は告げる。
「素晴らしい! 君は見込みがある」
 その言葉に驚いてすっころぶ少年。
「そう、あんなものがたり、ダサい。夢物語だ。君たちの教育に悪い」
 告げながら男は少年ににじり寄ってくる。
「そう、そうだ、そんな少年を探していた、君のような、見どころある少年を!!」
「こっちくんな!」
 少年が叫んだ。
「さぁ、一緒に行こう、そして一緒にヒーローのいない世界を作ろう」
 その時であった。公園入口に終結した君たちがその蛮行を制した。
 


● グロリア社新技術
 時は少し逆戻りH.O.P.E.会議室。
「なんだかおあつらえ向きに、面白い敵が出たわね」
 モニター越しに遙華は告げた。
「今回の任務は日曜の朝だけに出る怪人を討伐することよ、簡単に思えるけど、ちょっとややこしいから話を聞いてね」
 先ずその怪人の戦闘スタイルについて。
「彼は自身をコザッキーと名乗ったわ」
 コザッキーは研究者のような白衣を羽織っているが、頭にボルトが突き刺さっており、どちらかというとフランケンシュタインのようだ。
 腕力が強く、彼を怒らせると遊具を引っこ抜いて武器にし襲い掛かってくるという。
「そしてここからが彼の特異性。なんと、この怪人、九時になると姿を消すのよ」
 遙華が参考に見せてくれた動画では、本当に九時を過ぎると煙のように消えてしまう映像が見えた。
 まるでもともとそこにいなかったかのように痕跡ごと消えてしまう。
「戦闘時間は短いわ。彼を見つけて、追い詰めてって考えると十分が、戦闘できる時間の限界点」
 けれどコザッキーはそこそこ強いことがわかっている。
 デクリオ級でも上位なのではないだろうか。
 しかも子供たちを人質に取ったりと卑劣なことを平気でする。放っては置けない愚神だ。
「そこで、あなた達にはそのコザッキーに対する対処方法を作ってもらって、その上でヒーローを演じてもらいます」
 遙華はいたく真面目にそう告げた。ふざけているわけではないようで画面にとあるヒーロー番組のポスターを映し出す。
「うちがスポンサーでやってるヒーロー番組が何本かあって、ヒーローブームをね、巻き起こしたいの。あなた達ぴったりじゃない。だから」
 次いで遙華は信じられない一言を口にする。
「今回は、みんな正義のヒーロを意識して戦ってみて」


● ヒーローいろいろ
 今回のシナリオはヒーローっぽさが大切です。
 遙華が提示した戦闘条件に、ヒーローっぽく戦うというのがありまして。
 これが一定値超えるとボーナスがあります。具体的には報酬が増えます。
 いろいろ考えてみてください。
 名乗りを上げて見たり、悪を糾弾してみたりです。
 そのヒーローっぽい行動ですが。行うのは簡単です、皆さんの胸の中の正義の心に聞くのです。

 皆さんはヒーローのどんな行動にしびれるでしょうか、憧れるでしょうか。
 敵を倒すだけがヒーローではありません。悪の道に走ろうとした人を繋ぎとめたり。
 ピンチから立ち上がったり、いろいろあるでしょう。
 自分が思う、カッコいいを演出すればいいのです。

 そこで皆さんは自分の思うカッコいいを演出するために、エキストラを雇うことができます。ある程度戦闘経験のあるエージェントですが皆さんのためにピンチを演出しようと。道端で転んでみたり、怪人に突っ込んでみたりします。
 子供から老人まで用意可能ですので言ってください、演技もできます。
 また、ヤラセなんて不要だぜ! という方はそれはそれでカッコいいと思いますので自分の正義を貫いてください。
 コザッキーという三下が不満ならば、悪役を雇うことができます。
 ただし、雇ったリンカーは皆さんよりはるかに弱いので、苦戦したりしのぎを削ったりというのを演出したい場合演技になります。


解説

目標 コザッキーの退治。
   +条件 ヒーローっぽく戦う

● コザッキーについて
 コザッキーは東京内のどこかに八時から九時の間に必ず現れている。
 ただ、どこに現れるのかは分からないので発見の報告があり次第急行することになるだろう。
 
 まず皆さんにはその急行するシーンから考えていただきたい。
 機動力確保のために。
 ヘリ、バイク、車、自転車。ローラースケートあたりなら用意できる。
 

 そしてコザッキーの戦闘スタイルについてだが。
 1格闘。
 2周囲にある物を自分の武器として振り回す。
 3手からレーザービームを発射しそれを受けた者から霊力を吸収する。
  飛距離は10SQ程度。固定ダメージ体力の一割を奪って自分の体力を回復する。
 4真っ黒な影法師のようなジャミーを複数召喚する。

 のどれかの行動をとってくる。

 ジャミーとは戦闘能力が低い人形戦闘員で、一回の召喚につき5~15体生成される。
 戦闘方法は格闘戦と、遠距離から攻撃してくる人物に関しては、足に火をつけロケットのようにすっ飛び頭突きをしてくる。
 コンクリート粉砕程度はできる威力だ。


●PL情報*********
 今回コザッキーが登場したのはOPにあったような住宅地のど真ん中だ。
 3方向を囲むのはマンモス団地。その公園から出れば80M四方の区画に建物が押し込まれた碁盤の目のような住宅地が広がっている。
 今回はここでの戦闘を行っていただく。
 状況としては。少年が今目の前で怪人に狙われている。
 早朝という事で人通りは少ないが、それでも避難は君たちの戦闘と同列で行われることになるだろう。
 さらに整備された住宅地を逃げ回るので。あらかじめ追い詰めるための連携を決めておかなければ取り逃がしてしまう可能性はある。
 街中での戦闘になるので被害も気にしてみてほしい。
 この情報は作戦開始直後に発覚するものとする。

*********ここまでPL情報


リプレイ

プロローグ

『晴海 嘉久也(aa0780)』は思い悩んでいた。
「ヒーロー……ね」
 そんな彼の隣に座り『エスティア ヘレスティス(aa0780hero001)』がコーヒーを差し出す。
「正直、我々はヒーローではなく、人知れず世の大難を退けるという『抑止力』が仕事のはずですが……」
「そうですね、でもたまにはこんな依頼も良いのではないでしょうか」
「まぁ、そうですね。それに、相手がヒーローである可能性もあるんで堂々とヒーローと名乗るのも正直気が引けるのですけど……仕事ですからね」
「でも結構乗り気でしょう?」
「う……それは言わないでください。エスティアさん……」
 それはH.O.P.E.内試着室、女子と男子のブースがパーテーションで別たれているだけの簡単な部屋だったが、そこに今回の作戦へと参加するリンカーたちがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。
「ヒーローみたいに格好良く、かぁ」
 『月鏡 由利菜(aa0873)』の採寸につきあっている『ウィリディス(aa0873hero002)』が小さく告げる。
「そうだ、聖女イピゲネイアとか、天使型アンゲルス・ストラはどうかな!」
「そ、それはエイプリルフールの称号じゃない。ここで使うのはちょっと……」
 そう胸周りを測られながら由利菜は苦笑いを鏡越しに返す。
「ほわっ? じゃあ、どうすればいいの?」
「……例えばですけど……」
 そう二人は任務で必要な衣装を見繕う。 
 コスチュームが指定された依頼は珍しい。だがそれは同時に羞恥との戦いであることを『海神 藍(aa2518)』は知っている。
(良かった、禮ならアレをやらされるところだった)
 だが今回はぬかりなく、相棒は『サーフィ アズリエル(aa2518hero002)』を選択してきた。これでかつての黒歴史、その封がとかれることはないだろうと藍は思っていた。
 だが。
「なるほど……シュヴァルツローレライの出番のようですね、にいさま」
 シュバルツ……ローレライ。その単語を受けてブリキの人形のように首を、ぎぎぎっとサーフィに向ける藍。
「……待ってくれ……どこでそれを?」
「ねえさまから聞きました。ECCO様のPVも視聴したのですが、素晴らしいと思います。ですよね、遥華様」
「ええ、そうね。演技に熱もこもってて素晴らしかったと思うわ」
 意外なところにファンがいて。藍は奇襲を受けた気分である。
(ああ、今日は知り合いも多いのに……)
 藍の額に冷や汗が滲んだ。
 そう今回はヒーローに扮して戦おうという企画、衣装着用からは逃れられない。
 だからせめて自分好みの衣装を着れるようにと、グロリア社から多数の衣装提供があった。イメージプロジェクターにもデータを反映させてある。
 その衣装は当然男性用と女性用で別れているのだが。何やら女性用の衣装を眺めているのが『キリル ブラックモア(aa1048hero001)』。
 少し不機嫌そうな彼女の周りを『弥刀 一二三(aa1048)』が行ったり来たりしている。
 そのキリルの隣に『華留 希(aa3646hero001)』がいて『麻端 和頼(aa3646)』は不穏な空気を感じ希の肩を掴んだ。
「おい、そっちには用はないぞ」
 そんな和頼を見あげて、希は口を開く。
「ヒーローとして戦うのが条件なんだネ!」
「お、おい希?」
 不敵な笑みを浮かべながら希はイメージプロジェクターのIPを操作。
 まずい、そうイメージプロジェクターを取り戻すも時すでに遅く。日曜女子向きアニメ服に早変わりしてしまった。
「希? 何考え……っ!」
「言う通り終わらせたら戻してア・ゲ・ル」
 そんな和頼を見てその背後から笑い声が聞えた。
「なんやのその恰好、むっちゃおもろいわ」
 一二三が腹を書かれて笑っていた。
「だが、お前が笑っていられるのも今の内だぞ」
 すまし顔のキリル。その不穏な一言に青ざめて一二三はこびたような笑みをキリルに向けた。 
「帰りに菓子買って帰りまひょな!」
 相変わらずキリルのやる気を上げるのに必死である。当然だろう。
 出なければまたあの魔法少女みたいな姿で戦う羽目になる。
 今回ばかりはシャレにならない。だから一二三も必死である。
「有名パティシエが××に店を開いたようだ」
「それは……ちょい遠いし、もうちょい近場で……」
「注文の多いやつだ。だったら……」
 キリルが一二三の手を取って即座に共鳴。
 流れるように光が一二三の体を覆い。その肌の上ではじけて布となっていく。
 たっぷり30秒変身シーンに費やした一二三は渾身の笑顔でカメラ目線。そのままポーズをとった。
「おお! やった! 男モードや」
 ただし、何故か服だけフミリルである
「ど、どういう事や?」
――すまない、これが精いっぱいだった……ケーキがあらかじめ二つあったなら違う結果もありえただろう。
「キリルーーー!」
 次いで和頼の笑い声が響き渡った。
「いや、私達はまだましなのかと思えてきたよ」
――何言ってるんですか! この衣装すごくカッコいいじゃないですか。
 そう和頼と一二三の前に姿を見せた『荒木 拓海(aa1049)』そんな彼は普通の姿をしていた。
「拓海! 俺らを裏切ったんか!」
「そうだぞ! 俺たちはこんな女でもきねぇような衣装着せられて」
「ま……待ってくれ今日は俺が主体じゃない。リサが主体だから仕方ないんだ」
『メリッサ インガルズ(aa1049hero001)』がきょとんと首をかしげるも、ひらひら衣装の男二人は涙目で自身の不幸を訴える。
「……今回どないなっとんや」
 一二三の悲しいつぶやきが妙にはっきり聞こえた。
 そんな騒がしい一行を尻目に『イリス・レイバルド(aa0124)』はいつもの調子で、『アイリス(aa0124hero001)』に髪を梳かされている。
「イリスは今日の作戦の内容を覚えているかな?」
「ボクたちはヘリから探して見つけたら急降下で急行だね」
「完璧だ。と言っても……何というかお馴染みな手段だけどね」
「ホントおなじみだよね」
「マジカル♪ドレスを用意できなかったのが残念だね」
「でも衣装は用意してるんだね」
「遙華さんが張り切っているそうなのだよ」
 そう二人でじっと視線を遙華に向けると何か勘違いしたのだろうか、顔を赤らめて去って行った。

第一章 出動

 日曜の朝早くから、町内会に響き渡るバルバルバルという飛行音。
 これがもう少しお昼に寄った時間帯なら子供たちの注目も引けたのだろうが。現在は日朝の時間帯である。おはようございます。
 そんなヘリの扉を開けて街並みを見下ろす影がある『名無騎(aa5428)』と『名無姫(aa5428hero001)』だ。
「どうだナナキ、見えるか?」
「見えるか見えないかと問われれば、見えそうな気になるがどちらかと言うと全く見えないな」
「つまり見えない。こちらは全く何も見えずだ」
 まぁそれはそうだろう。上空何百メートルの世界である。
「……猿も木から落ちる、ナイトの目にも節穴という名セリフを知らないのかよ?こっちだって必死に探してるんですがねぇ?」
「…………」
 そのヘリに同乗しているのは宇宙の賞金稼ぎ『ジュピター・ゴールド』……に扮した晴海である。
 晴海は地上班の報告があり次第突撃できるように待機していた。
 飛竜の大翼を広げ、滑空の際のイメージをしている。
「こちらルキア。南方面は異常なし、次はどこに行けばいい?」
 そうインカム越しに告げたのは『ルキア・ルカータ(aa1013)』。
「ヒーロー! ヒーローでありますよ! ルキア君!」
『レッドラム(aa1013hero002)』が声高に告げる。
「なーんかテンション高いなぁ、ラム姉……」
「それはもう、弱きを守り、強きを挫く。この服は勧善懲悪唯我独尊を誓った軍服でありますよっ」
「唯我独尊は違うんじゃねーかなぁ……」
「とりあえず、どこに現れるか分からないのでドライブしましょう。ささ、後ろに乗ってください」
 そう次の目的地を目指す。
 対して由利菜はローラースケートで町中を疾走していた。
 単身住宅地の隙間を縫うように探索を続ける。
――あたしは乗り物より、身体を動かす方が性に合ってる!スケートで爆走するよ、ユリナ!
 そうはしゃぐウィリディス、その声が微笑ましくて、由利菜は口元を抑えて笑った。
「私も長いエージェント経験で身体能力は上がっています。了解です、リディス!」
 力強い返事と共に加速。するとその耳に少年の声が届いた。
 戸惑いと恐怖の滲んだ声。
 間違いない、あれは誰かに助けを求める声である。
 由利菜は引き絞るように膝を曲げると、ばねのように伸ばして急加速、リンカー特有のハイスペック身体能力を生かして、ガードレールを飛び越えたり。ジャンプ台から橋の手すりに乗ったり、壁を走ったりして目的地に向かう。
 そこは公園だった。白衣の男と、砂場に横たわる少年が見える。
「ルキア様。敵です。変身です」
 そんな由利菜の視界に一足先にたどり着いたルキアの姿が見える。
「俺ニチアサよく分かんねーんだよなぁ。テレビある環境じゃなかったし。
というか何でラム姉はあんなに詳しいんだ?」
 そうルキアは相棒に言葉をかけながら悠々とコザッキーに歩み寄った。
「自分が軍服に袖を通したのも同じような信念でありましたから」
「あー、そうかよ。んでよぉ、コレ言わなきゃダメか?ダメか…」
「だめです!」
「ハズいなぁ……」
 ルキアはあたりに誰もいないか見回して、ポーズを決めて高らかに告げる。
「おいコザッキー! てめーの悪事もここまでだぜ! へ、変身っ……!」
 直後ルキアは共鳴。幻想蝶から『雪華』を抜いてきりかかる。
――おお、やってるよ由利菜。
「私達も行きましょう」
 ルキアを切り結ぶコザッキーだが、その視界の端に映ったシルエットに思わず視線を向ける。
 回答の上。夜であれば月がかかるであろうそのポジション。そこには由利菜が立っていた。
「我が名は月鏡由利菜、HOPEのエージェント!」
――あたしはユリナの大親友、風の聖女ウィリディス!
「「二人で『紅月の聖女』!」」
「紅い月に代わって、お仕置きです!」
 携えた槍を引き絞り。跳躍と共に打ち出すと、砂場の砂が大きく巻き上がった。
 由利菜はそのままおとこのこを抱えていったん戦線を離脱。
「ぬごおおおお! せっかく捕まえた小僧を! 許さん」
 ルキアの斬撃を回避しコザッキーは周囲に試験管のようなものをばらまいた。
 その試験管は割れるとキラキラ光り輝いて、黒塗りの戦闘兵士たちを量産する。
 これがジャミーである。
「く……多勢に無勢」
 そう由利菜が子供を抱きかかえながらじりっと後退すると。遠い場所からさらにバイクの音が聞こえてくる。
 そのバイクに乗っているのは可憐なセーラー戦士である。
「セーラー戦士リサ! で良いわよね?」
 きりっとカメラ目線はかかさないリサ。イメプロで淡緑の大剣およびフリッ可愛いミニスカセーラー戦士に変身している。
 だがそれがお気に召さない拓海。
「いや、ここはライダー系だろ!」
 一瞬で主導権をチェンジ。拓海主体のライダー風衣装へと早変わり。
「えー! 今日は私の番って言ったじゃない」
 また姿がセーラ戦士に戻る。
「いや、バイクにセーラー服はないだろう」
「新感覚で新しい」
「違和感しかない!」
 発言と一緒に姿を二転三転させる二人。そんな二人を不運な事故が襲った。
「あれ、変らない? 仕方ない…リサ?」
 そう体は拓海、服装はセーラー戦士のまま、姿が変わらなくなってしまったのである。
――そのままどうぞー私は中でフォローする。
 すねるメリッサ。
「リサー!」
 直後、前を見ていなかった拓海のバイクはジャミーに激突。大爆発を引き起こして拓海は飛んだ。
 だが拓海は自分のピンチをチャンスに変えられる男である。
 華麗に空中で回転して着地。
 そのままポーズをとる。するとなんと驚いたことに。左右に一二三と和頼が立っているではないか。
「お前たち……」
 拓海のため息に一二三が爽やかな笑みを返す。
「燃え上がる炎のシックスパック!キワ☆ファイヤー!」
 一二三がスカートを翻してポーズを決める。
――ホラ!
「ぐ……癒やしの獣のシックスパック! キワ☆ビースト!」
 薄く可愛らしい生地の向こう側で筋肉を躍らせる和頼。
 そんな二人を交互に見て、拓海は感極まる思いだった。
(毒を食らわば皿までや)
(赤信号も、お前らと一緒に渡るなら怖くねぇ)
 そんな二人の心の声が聞えてきた気がして。拓海の胸が熱くなる。
「付合ってくれるか……ありがとう! これで羞恥心半減、行くぞ」
 セーラ服を盛り上げる大胸筋、上腕二頭筋、そして背筋とカメラがクローズアップ。
「包容力溢れる愛のシックスパック!キワ☆プレッシー!」

「「「俺達、マッチョ☆キワ! 見参!!」」」

 三人の背後で、先ほど一二三がバイクでひき殺したジャミー達が爆発した。
――付き合ってくれたのカナ?
 希は三人の細マッチョ達が、薄くて可愛いそれぞれの衣装に身を包んでポージングを決めている。
 そんな光景に沢山、沢山言いたいことばがあったはずだが。
――イイヒトだネ!
 喉で渋滞したので、やめた。
 そんな三人を見てる、見てる、奥さんが見てる。助けられた子供も見てる。
「ヒーローはいるだろ! オレらじゃなく……格好良い奴もいるだろうが!」
 びしりと少年に指を突きつけ告げる和頼。
「……お前らも、いつかヒーローになれよ……誰かの、な……」
 そう爽やかな笑みを残して、和頼はコザッキへと振り返った。
 その時コザッキーが声を上げる。

「わああああああ! へんたいだああああああ」

 その言葉に少し傷ついたのか、三人の勢いが少し衰えるが。
 傷ついている暇はない。世界の平和を守るため、ヒーローは戦わなければならないのだ。
「お前の悪事はここまでや。コザッキー」
「くそが、俺達のうっぷん事この世界から消してやるぜ」
「成長途中な少年に考えを押し付けるな!」
「お、お前らも思春期に刺激的な物をさらすな! 少年が変な方向に目覚めたらどうす、ごほっ」
 直後、ローラースケートが腹部にめり込み、真横に吹き飛ぶコザッキー。
 あまりに衝撃的な光景が繰り広げられていたため、その少女の接近に気が付けなかったのだ。
 それはピンクを基調としたフリフリなシルエット。
 ハートをあしらった可愛い衣装、ウサ耳が付いたベレー帽つき。
 そんな少女のシルエットが、バク転しある程度距離をとるとコザッキーにゆったりと視線を向ける。
『卸 蘿蔔(aa0405)』が『ウォルナット(aa0405hero002)』と共鳴した新たな姿がそこにあった。
――さっきまでヘリに乗ってたよな?
「何のことかな?」
 そう告げると蘿蔔は何事もなかったように銃を構える。
「二兎を追えば二兎ともげっちゅー、電光石火の愛の使者! ピュアラヴィ!」
「ぐおおおおお、ふざけた奴らだ! 深夜番組がお似合いな色物集団な癖に!」
 その言葉にイラッとした蘿蔔。
 肝臓にダメージを負って顔を蒼くするコザッキーへと距離を詰める。
「ふふふ、この衣装私のお気に入りなんです」
 そう拳を握りしめる蘿蔔。
――やはりこっちの方が落ち着くな。
(んっ、変身ヒロインと言ったらこれなのです)
「うおおおお! くるなぁあああ」
 恐れをなしたコザッキーが再度ジャミーを生み出すと、その群の中にコザッキーは消える。
 襲い掛かってくる戦闘員たち。
「誰一人、傷つけさせません!!」
 本当の戦いが始まった。

第二章 ヒーローとは?

 ちなみに、周辺の避難勧告は拓海の到着を待っていた一二三、和頼の手によって行われ、徐々に徐々に人が少なくなりつつある住宅地。
 そんな人気のない住宅地の真ん中に金色の隕石が降り注ぐ。
 それこそイリス。
≪魔法少女は空を跳ぶもの≫であるという愛すべきお姉ちゃんからの教えを受けて今日は空から登場だ。
 アイリスの歌を羽から震わせ、着地寸前には羽を大きく展開して衝撃を和らげる。
 そんなイリスの衣装はいつもと違って空を思わせる、青い衣装と純白の翼だったが、全て金色のオーラに包まれていて色もうまく判別できない。
――まぁ、どれだけ配色に拘った所でオーラを抑えない限り何時もの黄金一色なわけだが。
「……イメプロがあるし」
 どーんと地響き鳴らして到着するアイリス、その衝撃でジャミーを数体吹き飛ばしたが気にしない、コザッキーへと振り返り、剣を構える。
 虹色のアクセサリが揺れた。
――魔法少女ルミナス☆イリス。
「空は邪悪を見逃さない!」
――光を武器に変えて戦うぞ。
「うおおおおおお! 幼女だ!」
 その時コザッキーを雄たけびを上げる。なんだか戦闘時に感じる悪寒としては別種の何かを感じ取り、イリスは身をすくませた。
「ななな?」
――来るよ、イリス。
 その言葉通り群がるジャミー。
「ルミナスブレード!」
 いつもの煌翼刃を振るい、ばしばしと敵をやっつけていくイリス。
「むさい男にバカリ相手にされ、そんな中現れた救世主。ルミナス☆イリスたん」
「きもいです」
 いつもは地面を走らせる光刃。それを矢の形状に加工して弓を引き絞る動作で放つ。
「シャイニングアロー」
 顔面にその矢を受けてコザッキーはもんどりうった。
 そんなコザッキーを名無騎が見下ろす。
「……誰だお前は?」
「お前こそ! だれだ!」
 コザッキーはあたりにビームを乱射。距離と取った名無騎に向かって指を突きつけながら立ち上がる。
「人に名前を聞く前に自分が名乗るのが礼儀でしょう?」
「悪の研究員に礼儀もあるか!」
「では、俺は名乗ろう。俺の名前は……名も無き放浪の騎士、名無騎。名前は既に無い」
――……………おい、"ノブオ"
 何か聞こえた。聞いてはいけない名前を聞いてしまった。
 そんな気がしてコザッキーはバツが悪そうに視線をさまよわせる。
「ノ、ノブオ呼びはやめろと言っている、個人情報漏洩は重罪だとわかってるのか?」
――余計な事してないで動け、初陣で舞い上がってるのか?
「俺がどうやって初陣って証拠だよロト、言っとくけど、イメトレで100回くらい死線を潜り抜けてるからお前の力とか」
「おおおおおお! しねえええええ!」
 公園に突き刺さっている街灯を引っこ抜いてそれを叩きつけてくるコザッキー。
――わかったじゃあ共鳴なしで。
「すいまぇんでした!」
 それを名無騎は切り払う。長すぎる敵の獲物に対してふりを悟った名無騎は、一歩近づきその長さを半分に。
 もう一歩近づいて、その長さをお玉程度の長さにしてやった。
 ダーインスレイブの刃がギラリとひかるが名無騎は刃ではなく拳で持ってコザッキーを吹き飛ばす。
「ぬおおおおお。さっきから顔ばかり」
――……動くぞ!
「お前ら全員、この魔剣が錆にしてくれる」
 公園という広いフィールドでのガチバトルが展開される。
 そんな公園が面している道路に、ジャミーが吹き飛ばされて転がった。
 その体は数秒悶えて力をなくすとさらさらとした砂に変わる。
 その悪を無に帰した張本人が、藍。いや……彼こそは。
「黒くなければ人魚でもない。やっぱり辞めた方が」
――”シュヴァルツローレライ・ヴァイスリッターフォーム”です。
「なんだそれ」
「名前です。こんなこともあろうかとねえさまと一緒に考えました」
「……黒なのか白なのかよく判らないな」
 そう彼こそがシュヴァルツローレライ・ヴァイスリッターフォーム。
 所々黒をあしらった、白騎士を思わせるその姿は……筋肉という鎧で全身を固めた筋肉ヒロインの中輝いて見える。
「藍がうらやましいよ」
 拓海は切ない顔で藍に背中を預ける。
「これもこれですごく恥ずかしいけどね!」
 二人は別々の方向に走り出す。交差する敵は皆切り伏せお互いの背中をフォローするように立ち回った。
「そこだ!」
 藍は跳躍。的集団の頭上をとると大剣を投げつけた。
 濛々とたちこめる土煙。
 その中にルキアが突っ込む。
 即座に武装を複製。空中漂う『雪華』をジャミー達へと降り注がせる。
「この剣は咎人を喰らう悪食の剣! 悪即斬の信念の元に! 断罪剣!!」
 次いで、上空にて無防備になっている藍へジャミーがロケット頭突きを披露する。
 その速度なかなかのものだったが藍はそれを真っ向から殴り飛ばした。
「剣が無ければ戦えぬとでも思ったか!?」
 そのまま空中で体制を崩したジャミーを蹴り飛ばして大剣まで飛ぶ。すかさず大剣を引き抜いて、ジャミー達へ必殺の剣劇をお見舞いした。
「意気込みは良し、だが相手が悪かったな…!」
 疾風怒濤で横切り、縦切り、刺突。十字を切る。
 ジャミーは解体され周囲に砂が舞う。
――いやー共鳴時は相変わらず奇妙な感覚ですなぁ。
 そう額の汗をぬぐいながら刃を振るうルキア。彼女を共鳴しながら見ていてレッドラムはぽつぽつと告げる。
――二人の感覚が混ざり合うというか、不思議な体験です。
「そうか?」
 戦っている最中はよくわからないルキアである。
 そう後方回転でビームを避けたルキア。その勢いで揺れる胸にレッドラムは一言添える。
――しかしルキア君は将来が有望でありますなぁ。大人ルキアモード。
「な、なんだよ。そこ触れるなよぅ……」
 そう照れながらも目の前のジャミーを三枚に下ろすルキアである。
 そのルキアを支援しようと和頼は弾丸をばらまく。
「開けたぞ!」
 和頼が叫ぶと、一二三と拓海が敵を突破しコザッキーに迫る。
「むさい!」
 コザッキーはセリフを吐くと手からビームを放つ、だがそれは拓海の盾にて防がれてしまう。
 肉薄する一二三、横なぎに斬撃をみまった。
「キワ☆ファイヤーブレード!」
「ぐおおおお!」
 斬撃を受けてもひるまないコザッキー。前に出て掌底一発一二三を吹き飛ばす。
「ファイヤー! 貴様!」
「研究職だからとなめるなよ!」
 そう白衣を脱ぎ捨てたコザッキー。その風体を見て拓海はすべてを理解した。奴も同志だ。
 筋肉を愛する者ゆえの鍛え方。コザッキーのインナーの下にはしっかりとしたマッスルが息づいていたのだ。
「うおおおおお! しねえええ!」
「おおおお」
 拓海とコザッキーの技の押収。そのあいだに入り一二三がコザッキーの拳を止める。
「キワ☆ファイヤーシールド!」
 盾を叩いた拳はピキリとひずみ、コザッキーが顔をしかめる。だがコザッキーもやられっぱなしではない。
「コザッキーイレイサー」
 放たれたレーザーは一二三の肩に直撃。かかとをすり減らせながら吹き飛ぶ一二三の体。だが。
「キワ☆ヒーリング!」
「おおきに、ビースト」
 仲間の支えがあって再び、一二三は剣を握ることができる。
「オレの心はこの程度で折れんッ!」
「このノリいつまで続くんだよ!」
 揚々と飛びかかっていく一二三を見送って和頼はそう悪態をついた。
 そんな言葉を希は聞き逃さない。
――ちゃんとしないト、動画撮って恋人に見せちゃうヨ♪
「やめろおお!」
 恐怖と共に前に進む和頼であった。


第三章 日朝にヒーローは現る。


「さぁ。これで大丈夫ですよ」
「ありがとうお姉ちゃん」
 由利菜はそう少年を公園から離れた大きな通りに下ろした。
 群がる雑魚敵など由利菜の敵ではなく、子供を抱えたまま脱出。
 これでいったんは大丈夫だろう。
「戦いが終わるまであまり近付かないでください」
 そう告げる由利菜。だが由利菜は騒がしさを感じて振り返る。
 するとそこには鬼の形相で全力疾走してくるコザッキーと。
 その後ろには三人のマッチョを極めた男たちが追いすがっている。
――あ~。衣装は可愛いね。
「そう言う、優しいあなたがすきよリディス」
 引きつった笑みの由利菜だが、コザッキーが由利菜の姿に気が付くと刃を構える。直後量産される雑魚的軍団。
――スィエラ、従魔の群れを吹き飛ばして浄化しちゃえぇっ!
 浄化の風纏う投げやりで、ひと薙ぎに粉砕する。
「げぇぇぇぇ」
 次いでコザッキーの目の前に躍り出たのは、ジュピター・ゴールド。
 指を回すよう『JG』と描きつつ。コザッキーの腹部を強打。
 そしてアッパー。次いで掌底。
「ごは!」
 目にも留まらぬ三連撃である。
 コザッキは震える足で立ち上がる。なんと頑丈な愚神だろうか。
 だがそんなコザッキーも年貢の納め時である。その体がまるで石になってしまったかのように動かないことに気が付く。
「つ、か、ま、え、たー!!」
 悪魔の笑みでコザッキーの背後に立つ蘿蔔ことピュアラヴィ。
「兎見て鷹を放つ、なのです。逃がしませんよコザッキー!!」
「ぐおおおお、何でどんどん集まってくるのだ」
 それはピュアラヴィがデスマークによって追跡しているためである。しかも鷹の目も飛んでいる逃げ出せるわけがない。
「くそおおおおう、倒されるなら、倒されるならあの幼女がいい。お前ではだめだ! 無駄に色気を放ちおって、男もいやだ! あああああああ」
「ボクのことですか?」
 愚神のラブコールにこたえ。イリスが氷の表情でコザッキーの前に立つ。
――では最後に歌をお届けしよう、タイトルは……まだ未定だ。
 直後翼から鳴り響くのはアイリスの歌。熱く盛り上がりにたけ。俗に処刑用BGMと呼ばれそうなほどに勇ましい。
 直後光の演出。これは由利菜による回復スキルである。
「降り注げ、生命の雨……ゾーエ・ヒュエトス!」
「仕損じたか……下っていろ、ここは我らに任せるがいい」
 控えているのはシュヴァルツローレライ・ヴァイスリッターフォーム。
「……さぁ、覚悟を決めろ」
 それは敵に向けた言葉か、自分に向けた言葉か……。
(ねえさまに聞いていた通り。なんだかんだでノリノリですね)
 霊力がその冷たい刃に集まっていく。
「怯えろ、竦め、その力を生かせず死んでゆけ!」
 その斬撃を渾身の力で叩き込む。上空に吹き飛ばされるコザッキー。
「今だ、仕留めろ!」
 するといつの間にか空中でマッチョ勢にコザッキーは包囲されていた。
「ぬおお、すまん許してはくれないだろうか。今までの数々の侮辱謝るから」
「いやや」
 三人は同時に動いた。
「「「Power collect!」」」
 浄化の一槍がコザッキーを貫き、風を纏った剣激がその体を打ち据え、そして渾身の斬撃がコザッキーを真下に打ち下ろす。
「ぬおおおおおおおお」
――イザ始まるとノリノリね。
 そうメリッサが笑みを含んだ言葉を送る。
「自分で自分は見えないからな」
 次いで近くのビルから躍り出るシルエット。
――失礼、準備は整いました。
『好事門を出でず悪事千里を行く』とはまさにこの事。
 我々が如何に評価されずとも些細な悪事も見逃しません!
 あ、我々の行いも評価対象でした。
 レッドラムの口上中ずっとルキアは刃を生成することに注力する。
――さぁ、正義の軍靴を鳴り響かせましょう。この音が貴方を裁きます。
 お覚悟を。
 ルキアはその複製した刃を束ねドリルのように連ねる、そのまま敵へと切りかかり。腹部を食い破る。
「ぬがああ」
 そのコザッキに対して名無騎は上空から振り下ろすようなライブスショットを送る。
「ダークパワーで……この死合は早くも終了ですねッ!」
「ジュピター・ライトニング」
 放たれたのはインドラの槍。それがコザッキに直撃するとコザッキーを大量のハートマーク光線が襲った。
「これで終わり、です……!!」
 そう振り返って決めポーズをする蘿蔔。
 ぐしゃりと背後でコザッキーが地面に落ちた。
「まだ死ねるか!」
「だったらこれで死ね」
 コザッキーに降り注ぐは黄金のオーラ。その光を刃と変えてイリスは突撃した。
「ウイングキャリバー!」
「ぐおおおおおおお、こんな袋叩きにしなくても」
 イリスが通り過ぎた後には金色の粒子と、奴の残滓である砂が残る。
 おめでとう。ヒーローの力によって今日も町の平和は守られた。

エピローグ
「さて、帰りましょうか」
 晴海が告げた。ヒーローは颯爽としていなくてはいけない。
「今回は…時間制限がきついのでいろいろと端折ってますけど……10分間しか出てこない従魔って本当は相当いやらしいものなんですよね」
 そんな中、由利菜は先ほどの少年の親御さんが来るまでは破壊してしまった町の修復に努めた。
「ヒーロー、或いはヒロインらしさというのは……。意識して出るものではないと思うのですよね。自然とそう言う気分になると言いますか……」
 由利菜のお話を少年は黙って聞いている。
 その由利菜の作業を手伝いながら名無姫は告げた。
「や、今回はありがとう。ウチのも初陣だったが何とかなったよ」
「……慣れ合いは不要です」
「……ソロは何かと辛いぞ、ノブオ」
「だからノブオ呼びはヤメロと……」
 そんな由利菜や名無騎は背後から暗いオーラが漂ってくることを感じていた。
「ヒーローである事が条件だったのに……後で遙華さんに謝ろう」
 そう肩を落として路上の隅で固まっているマッチョヒーローたち。
 さすがに変身は解いているが。アドレナリン失せるとあのテンション高く戦っていた自分たちを殴りたくなる。
――あら、最終的には見た目より行動でしょ? 身を呈し敵を引き付け戦う姿はヒーローだわ。
 メリッサが優しい言葉を皆にかける。
「……誤魔化された気しかしないが、良いか」
 告げると拓海は少年に歩み寄り、しゃがむ。目線を合わせて肩に手を置いた。
「何も見習わなくて良い……自分の意思で考え動ける大人に成ってくれ」
「あ~、恰好はあれだったけど、助けてくれようとしたんだよな。ありがとう。お兄ちゃん?」
「そこは自身を持って言い切ってくれ」
「……全員じゃなく、誰か一人のヒーローってのも格好いいぜ」
 そう和頼は少年に告げるとそっと人気ない場所へと移った。煙草に火をつけ、缶に指をかける彼の背中は煤けていた。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • エージェント
    ウォルナットaa0405hero002
    英雄|15才|?|シャド
  • リベレーター
    晴海 嘉久也aa0780
    機械|25才|男性|命中
  • リベレーター
    エスティア ヘレスティスaa0780hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 花の守護者
    ウィリディスaa0873hero002
    英雄|18才|女性|バト
  • ひとひらの想い
    ルキア・ルカータaa1013
    機械|14才|女性|生命
  • エージェント
    レッドラムaa1013hero002
    英雄|22才|女性|カオ
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 難局を覆す者
    サーフィ アズリエルaa2518hero002
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 絆を胸に
    麻端 和頼aa3646
    獣人|25才|男性|攻撃
  • 絆を胸に
    華留 希aa3646hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 守りの盾
    名無騎aa5428
    機械|24才|男性|防御
  • 我が剣に誓う
    名無姫aa5428hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
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