本部

【森蝕】連動シナリオ

【森蝕】異端者の名は『フレイ』

雪虫

形態
ショートEX
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 6~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/09/22 16:35

掲示板

オープニング

●異端の名
「足元に気を付けてくれたまえ」
 戸丸音弥(az0037)の案内を受け、エージェント達はアマゾンにある集落の一つを目指していた。
 今から行く集落は伝承と共に生きる先住民族達の村であり、ギアナ支部……というよりリンカーというものに強い不信感を抱いている。元々異世界の力という未知のものを扱うリンカー達に彼らは疑念の目を向けていたのだが、ラグナロクの事件……能力者至上主義を掲げるヴィランズの攻撃により、彼らのリンカーに対する敵愾心は二倍三倍にも膨れ上がった。今の所目立った衝突こそないが、数年前は「この森から出て行け」と石を投げられた事もある。
「元々僕らは『余所者』だからな。ましてや異世界の力を借りるリンカーだ。『悪魔と契約した異端の者』と、伝承と共に生きる彼らが思うのも仕方ない部分がある。……おっと、勘違いしないでくれ。英雄が悪魔だと……悪いものだと言いたい訳じゃない。英雄は僕らのかけがえのないパートナーだ……そうだろう?」
 自身もセプス・ベルベッド(az0037hero001)と契約するリンカーである音弥は、そう言ってふっと笑顔を見せた。その笑顔は、長年の住人達との壁に傷付いた、悲し気な笑顔だったが、次の瞬間にはいつもの暑苦しさを取り戻す。
「とにかく、今の僕らの任務は彼らとの関係を取り持つ事、そして彼らの安全確認をする事だ! 彼らが無事ならそれでよし、その上で何かあったら連絡してくれるように取り付ける! 石や棒を投げ付けられるかもしれないから、防御に関してはくれぐれも注意を……」
「うわぁぁぁあっ!」
 悲鳴が聞こえ、音弥は瞬時に駆け出した。エージェント達も共に走り出し、そして……
 赤。
 赤かった。正確には赤とオレンジの中間色が大気を焼き焦がし、その前を大小様々な黒い影が踊っている。泣き叫ぶ人。それを追う大きな塊。翼を負った女達が、宙に羽根を舞わせながら逃げ惑う村人達に告げる。
「足掻くな旧き世界の愚物共! これは救済の御心なり。汝らのような芥をも救おうという主の慈悲が分からぬか!」
「何を……しているんだ貴様らァッ!」
 共鳴し、アサルトライフルを手に駆け出そうとした音弥の前に、白い服をまとった影が一つ躍り出た。人形のように端正な顔。人形のように感情のない表情。人形のように美しい青年。
「君は……フレイ!」
「私の名はフレイ。ラグナロクの幹部をしております。こんにちは、エインヘリャル。本日はいいお日柄ですね」
 音弥の叫びに、フレイは淡々とそう返した。いいお日柄。炎が上がり、逃げ惑う人々を異形の者が追い回す、その光景を背にフレイは淡々とそう述べた。その瞳はエージェント達を見ていない。彼はただまっすぐを見ていた。そこに視線が固定されてしまっているとでも言うように、ただ、まっすぐだけを。
「私の名はフレイ。ラグナロクの幹部をしております。今回は……村人をここに招待するんだよ。早い話が誘拐だろ。誘拐じゃないよ、招待だ。みんな殺せばいいのに。これは救済。私の名はフレイ。ラグナロクの幹部をしております」
 フレイは語る。ただまっすぐだけを見つめたまま。エージェント達が武器を構えても、悲鳴が絶えず木霊しても、フレイは語る。
 誰のものかも分らぬ言葉を。
「異端。迫害。無知。恐怖。踏み入らぬ者は知ろうとしない。彼らは己の認識出来る世界だけを愛している。棒を手に追い回す者を救ってやる必要が? ……私はフレイ。ラグナロクの幹部をしております。一匹や二匹ぐらいなら、まあ、潰れても仕方ないかな」

●敵情報
 フレイ
 ケントゥリオ級愚神。一定ダメージを受けるか従魔が残り3体になると撤退するが、その際村人一人の拉致を試みる
・グリンブルスティ
 パッシブ。地上から10cm地点を浮遊するスノボーに乗って移動、足場の制約を受けない。スノボーを盾のように使い防御を行う。スノボーを破壊された場合物防・移動・回避が大幅に減少。スノボーを修復するのに2ターン要する
・ブローズグホーヴェイ
 アクティブ。赤い馬の幻影を召喚し、前方に横3×縦8sqの無差別攻撃
・アルフヘイム
 妖精型のライヴスを周囲に舞わせ惑わす無差別攻撃。1d6で判定を行い、勝利した場合対象に【減退(2)】【封印】【劣化(防御)】【狼狽】付与
(例:フレイが4を出した場合、3以下を出した者にBS付与)

 ヴァルキュリア×6
 デクリオ級従魔。翼で地上から50cm地点を浮遊し移動、足場の制約を受けない。二体一組で網(そこそこ丈夫)を持っており、そこにウールヴへジンの運んだ村人を入れる。網に村人が入っている状態で、PCに攻撃を受けると撤退を試みる。網を落とした場合は拾おうとし、網が破壊された場合は射程1~20sqの火矢を使って攻撃

 ウールヴへジン(山猿)×3
 デクリオ級従魔。全体的に体長3m程の山猿のようだが、よく観察すると人間の肌のようなものが見える。主に村人の捕獲に動くが、村人を「潰さない」とは言い切れない
・虫払い
 周囲にある瓦礫や人間を掴んで1~8スクエア先に投擲する
・虫穿ち
 前方5スクエアに突進する
・虫潰し
 腕を振り回し範囲5スクエアにあるものを攻撃する
・教架
 パッシブ。生命力が減る程攻撃力が上がる

解説

●目標
・従魔の撃破
・フレイの撃退
・村人を全員救出する
・村人達から聖域に立ち入る許可を得る

●NPC
 戸丸音弥&セプス・ベルベッド
 バトルメディック。アサルトライフル/禁軍装甲所持。ケアレイ/クリアレイ使用。指示がなければ村人の救出に動く

 村人×30
 リンカー自体に対する敵愾心が強く、現在恐慌状態。PC達をも拒絶し、手を触れられると暴れ出す
「お前らがこの森に来たせいだ! 災厄共が。触るな悪魔め!」

●集落
 密林に囲まれた小さな集落。40×40sq。集落の北西側に井戸がある。家は草木で出来ており、現在村の中央3×3sqが燃えている。ヴァルキュリアの攻撃で火が広がる可能性あり
 PC達の前にはフレイが立ち塞がり、その向こうに従魔、村人達がいる

●その他
・使用可能物品は装備・携帯品のみ
・NPCの描写は、要望がなければ必要最小限
・ギアナ支部に応援を呼ぶ事は可能だが、到着するまで15ラウンド以上かかる
・敵は全員ラグナロクのマークの入った服や布きれを身に着けている
・敵とまともな会話を行えるかどうかは不明

リプレイ

●開戦
 笹山平介(aa0342)の砲撃音が一瞬で大気を切り裂いた。アンチマテリアルライフル――全長141cmの大型銃器は猪の彫られたボード上を強かに叩き撃ち、衝撃音に合わせて真壁 久朗(aa0032)が距離を詰める。
「村人をここに招待する、と言っていたな。『お前』は何処か別の場所にいるのか?」
 久朗からの問い掛けに、しかしフレイは口を開こうとしなかった。久朗は瞳をわずかに細め、平介の弾の着地点へと神槍「トリシューラ」を繰り出した。狙いはフレイ本体ではなく、盾と移動手段を兼ねるスノーボードを破壊する事。フレイが無表情のままボードで久朗の槍を受け止め、その隙に他のエージェント達が脇をすり抜け移動を開始。フレイが首を動かすが、それより先にナイチンゲール(aa4840)が愛剣をかざし接近する。
「フレイ……!」
 緑がかった青眼で敵の姿を睨み付け、ト音記号の様な剣……「ジークレフ」と呼ぶ愛剣にライヴスをまとわせた。振り下ろされる刃。ボードと剣が接触する音。フレイが顔を持ち上げるが、その瞳は相変わらずたたまっすぐを見据え続ける。その感情の見えない瞳に、ナイチンゲールは奥歯の上に焦げるような味を感じた。

●接触
「棒を手に追い回す者でも助けるでしょ。従魔より弱いんだから」
 フレイからの問い掛けに、十影夕(aa0890)はそう答える。俺たちがどう思われてても、ラグナロクの好きにさせる理由はないから。
『わたくし、よくわかりませんけど。追われる女も悪くないかしら!』
 結羅織(aa0890hero002)は言葉を続け、心の内でこうも思う。事情をお話しされる音弥様が悲しそうでしたから、お力になりたいとも思うのです。
 そして共鳴。二つの意識が一つに混ざり、『世界』の境界さえ失せる。片側の髪の一部が結羅織の色と長さになり、髪飾りがついている以外はほとんど夕そのままの見た目。
 だが、雰囲気は普段の夕よりも格段に明るく可愛らしく。笑顔は屈託なく。
 攻撃性は激しく。
「お人形よりは猿と遊んだほうが楽しいかもね!」
 華のごとき笑みを撒きながら、夕は《白鷺》/《烏羽》を諸手に駆け出した。視線の先には今まさに村人に手を伸ばすウールヴヘジン。足だけでは埋まらない距離にいる敵に狙いを定め、純白の翼を持つ短槍を山猿の肩へと走らせる。
 直線に飛んだ白鷺は従魔の肩を穿ち抜き、山猿が濁った叫びを上げた――同時にレイ(aa0632)がヴァルキュリアを的に九陽神弓の弦を引く。ヴァルキュリアは二人一組で網を保持して行動している。網の取扱いにはそれだけの負荷が掛かる筈。また、網で手が塞がっている以上、敵に攻撃の余裕はそれ程ないと判断してもいいだろう。
 狙うのはあくまで片腕のみ。網を取り落とさせ、敵の行動を抑制する……紫の瞳が煌めいた、瞬間レイの放った神弓の矢が宙を駆け、偽りの戦乙女の腕に深々と突き刺さった。網を落とすには至らないが、ヴァルキュリアの腕がわずかにブレる。
 佐倉 樹(aa0340)は童話「ワンダーランド」を手に開き、もう片方のヴァルキュリアへと銀の魔弾を差し向けた。顔より下を狙った攻撃は戦乙女の胸を打ち、ヴァルキュリアは苦痛の表情でレイと樹に抗議を上げる。
「エインヘリャル、何故我々の邪魔をしようとするのです!」
『アレ、喋れるノ?』
 流暢な音の羅列にシルミルテ(aa0340hero001)は口を開いた。前回よりも活きを増したうさ耳が、樹の頭部でぴこりと動く。

「(私は、私達は己の認識出来る世界を愛している……守りたいから守るのだ)」
 愚神からの問い掛けに、海神 藍(aa2518)はそう思う。禮(aa2518hero001)と共鳴した姿は禮曰く彼女の可能性。海軍の礼装がごとき衣装をまとい、頭には小さな冠。戦士というには細い指で手中の得物を握り込む。
 まだ、この槍は折れない。
 だから。
「悪魔で十分だ……無辜の民を愚物だ芥だなどと称す、愚かな神など討ち滅ぼしてくれる!」
『行きましょう、この冠に懸けて』
 禮の声に頷き返し、藍はトリアイナ――銘【黒鱗】を掲げ従魔の前へ躍り出た。眼前には猛る獣。耳には逃げ惑う人々の声。三叉の槍を敵へと突き付け、『彼ら』は叫ぶ。
「何と罵られても、護ってみせよう。自分勝手に!」

「すいません、協力……お願いします! 出来れば山猿への攻撃と、村人達の避難誘導を!」
「承知した」
 音弥へと指示を出しその背中を見送った後、ニウェウス・アーラ(aa1428)は炎の盛る地帯へ足を急がせた。ライヴズジェットブーツの使用も考えたが、敵は仲間達が押さえている。これといった障害もない。ジェットブーツはもしものために残す事にし、ニウェウスは己の足だけを駆使して現場に辿り着く。
「よし、まずは消火を……」
「お前、何をしようとしているんだ!」
 終焉之書絶零断章を開くニウェウスの姿に村人達が足を止めた。空色のメッシュが入った白銀の髪。白と翠が基調の軍服。手には異世界を記した魔導書。燃え盛る炎を見つめる少女は、明らかなる『異端』の者。
「これ以上村に危害を加える気か? さっさと出ていけ、この悪魔め!」
 村人達は足元の石を取り、ニウェウスへ向かって投げ付けてきた。石はニウェウスの頬に当たるが、ニウェウスは立ち尽くしたまま避けも防ぎもしなかった。石と敵意を浴びながら、ただ村人達に訴える。
「危害を……加えるつもりはない……貴方達を傷つけない。私達は守るために来たの。ここの炎を消したいの」
「そんな言葉、信じられるか!」
「悪魔と、誹られてもいい……。それでも、貴方達を、守る!」
 ニウェウスは絶零断章を捲り、絶対零度のライヴスをレーザーに変え射出した。レーザーは村人達を越え、リフレクトミラーで乱反射され、燃え盛る炎の一端を一瞬にして零へと還す。
「……」
「ここは危ないから、安全な方へ逃げて。約束する。必ず守るから……」
 村人達は妨害を止め、ニウェウスに背を向けて従魔のいない方へ駆け出した。ニウェウスを信用しての事か、「敵わない」と判断してかは分からない。だが、少なくともこれで村人達を巻き込んでしまう事はない。リフレクトミラーを駆使しても、一度に消火出来る範囲は限られている。延焼を起こしそうな箇所を最優先し、着実に炎を消していく。
『絶対零度様々ぁ! これで、温度低下の影響が持続したらなー』
「贅沢、言わない。順に、一発で消していけば、いいだけの話……」
『マスター、たまに脳筋になってない?』
 ストゥルトゥス(aa1428hero001)からの疑問にニウェウスは沈黙を以て応えた。それが不本意故なのか、ニウェウス自身にも判断がつかない故なのかは分からない。不本意だと口を尖らせていたらいい。ストゥルトゥスはそう思う。それはニウェウスが感情を持っている証だから。
『マスター、大丈夫?』
「なにが」
『石、当たったよね?』
「大丈夫」
『……そう』

●防衛
 トリシューラを構えながら久朗は思考を巡らせた。北欧で邂逅した前回、異端者達に差し向けたパニッシュメントで得た違和感。純粋な従魔や愚神の類では無いという可能性。そこに、こちらが介入する余地もあるのではないだろうか。
 ナイチンゲールの攻撃から間を開けるような真似はせず、先程の攻撃箇所に再び槍を叩き込む。同時に遠方から灰堂 焦一郎(aa0212)の銃弾が飛来、ボードに着弾し破裂音を響かせた。
《戦闘システム・起動。システム・狙撃モード》
 ストレイド(aa0212hero001)を装甲として纏いながら、焦一郎は得物を調整する。彼の役割は狙撃手。まだ無事な民家の中でも最も高い屋根に乗り、そこから仲間を援護する。
「何者であれ、民間人を害する意図があるならば、排除致します」

「お三方、よろしくお願いいたします」
 久朗、ナイチンゲール、焦一郎に一先ずこの場を任せ、魔剣「カラミティエンド」に武器を替えて平介は走り出した。フレイの事も気になるが、現在進行形で村人を襲う従魔を優先すべきと判断。例え救うべき相手が、自分達に敵意を叩きつけてきたとしても。
「……我々の敵はあちらですから、武器を向ける方向さえ間違えなければ大丈夫」
『えぇ』
 柳京香(aa0342hero001)が静かに答える。手中の大剣を握り締める。レイと樹の元へ駆け、平介は二人へ声を上げる。
「すいません、下がってください!」
 武器にライヴスを集中させ、そのまま眼前のヴァルキュリアへ。重量と衝撃を高めた魔剣はヴァルキュリアをなぎ倒し、さらに加えた一撃は従魔の鎖骨部を粉砕した。
 ヴァルキュリアは目を見開き、次の瞬間塵と崩れる。相棒を倒され、網を保持出来なくなったヴァルキュリアは網を投げ捨て、火矢を取り出しリンカー達へその矛先を向けようとした。
「エインヘリャル、何故我々の邪魔をしようとするのデす!」
 従魔が矢から手を離す、直前、レイの九陽神弓が戦乙女の腕を刺す。体勢が崩れ、ガラ空きになった胴へと樹の銀の魔弾が跳び、腹を穿たれたヴァルキュリアは地面に落ちて消滅した。

「来るな、来るなぁ!」
 村人の一人が悲鳴を上げながら逃げ惑い、しかしその行動は全く無駄なものと言えた。猛進したウールヴへジンが村人をその手で掴み、獲物が苦痛の声を上げるのも構わずに締め上げる。そのまま、背後のヴァルキュリアが持つ網に放り投げようと腕を引き……
「悪いけど村人たちは返してもらうんだぜ!」
『お前達の好きにはさせないでござる』
 死角から、白虎丸(aa0123hero001)と共鳴した虎噛 千颯(aa0123)が斬り掛かった。全力移動の速度のままブレイジングランスの穂先を突き出し、ランスに宿った高熱は従魔の毛皮を黒く炙る。山猿は割れた声を響かせ、音弥がそのまま足止めようと援護射撃を行った。その隙に千颯が、落ちてそのままへたり込む村人へと声を飛ばす。
「こっちへ、急ぐんだ!」
「お前らがこの森に来たせいだ! 災厄共が。触るな悪魔め!」
 千颯の誘導に対し、しかし村人は拒絶を示した。地面の砂を指で掻き、千颯に必死で当てようと投げる動作を繰り返す。
 村人の無力な拒絶に、千颯は真摯な眼差しを返した。例え投げられるのが石であっても反撃しない。どんなに罵倒されようが自分がやると決めた事は曲げない。その決意をもって村人へと語り掛ける。
「何と罵ってくれても構わない。だから今は逃げてくれ」
 ウールヴへジンが体勢を整え、村人に突撃しようとした。村人は咄嗟に目を瞑るが、痛みも衝撃も襲って来ない。目を開けると飛盾「陰陽玉」を構え、3mはある従魔を千颯が押し留めていた。千颯は村人に背を向けたまま、しかし笑むように声を張る。
「大丈夫なんだぜ。俺ちゃん達が守るんだぜ!」
「さあ、今の内にこっちへ」
 音弥が村人を案内し、ウールヴへジンが千颯から離れる。周囲にはまだ逃げ場を求め、彷徨い惑う多数の住人。千颯は浮かべた笑みを引き、従魔を鋭い瞳で見据えた。
 
●対峙
 山猿は咆哮を上げ、地を蹴り飛ばし村人へ突撃しようと試みた。藍は長い裾を翻し、黒鱗を盾として従魔の猛攻を食い止める。
「キュウサ……ギュウザイ……ァァアアッ!」
「人の肌……。人を従魔化しているという話は真実か」
 間近で見る従魔の肌。その喉に、脇腹に、腿の辺りに、所々滑らかな人間の肌が見える。ウールヴへジンが腕を広げた、その動作に次なる一手が来ると察し、藍が周囲に警告を発する。
「攻撃が来るぞ、ここから離れろ!」
 藍が叫びを上げた直後、ウールヴへジンは両の腕を力任せに振り回した。巨体が繰り出す衝撃を槍で受け止め殺しながら、藍は記憶の底を探る。
「この動き、どこかで……? この従魔は初見の筈だが」
『これは……ヤマザルです! マガツヒの!』
「懐かしい話だね……だがなぜ今アマゾンの敵がそんな動きを……?」
 呟いた藍の脳裏に瞬時に一つの仮説が浮かんだ。ギアナ支部で説明されたラグナロクの思想を思い出す。
 ”異世界とひとつとなり、古き神々の世界と……”
「奴の……愚神の因子を埋め込みでもしたのか?」
『異世界と一つに”なる”のではなく、”させた”……!?』
「マガツヒめ……裏で手を引いたか」
 歯が軋むような痛みが走った。だとすれば対峙するこの従魔も犠牲者か?
『……せめて等しき死を、安らかな眠りを』
 禮の言葉に一つ頷き、藍はトリアイナの切っ先を向けた。ウールヴへジンは……人と従魔を繋いだ獣は何かを呟き牙を剥く。
「ラグナロク……シンナルゼガイ……ヲ、ォォオオッ!」

●追撃
 戻ってきた白鷺を手に夕は距離を詰めようとした。牽制は味方に任せ、とにかく一体ずつ倒すことに集中する。
 と、ウールヴへジンが夕に背を向け、近くにいた住民をわし掴みにして走り出した。後ろから追い掛け、再び白鷺を投擲するが、短槍を足に受けてもなおウールヴへジンは走り続ける。
「た、助けてくれぇッ!」
 悲鳴を上げる村人を、ウールヴへジンは直線上の網の中へと放り投げた。ヴァルキュリア二体が村人を確保、そのまま翼をはためかせ森へ運び去ろうとする。
 寸前、レイが樹や平介と駆け付け、急を要すると判断し九陽神弓を引き絞った。狙いは変わらず従魔の腕。瞬間的に反射神経を限界まで高め上げ――
「曲の途中で、席を立つのは感心しねえな」
 ファストショット。敵の虚を突く早撃ちはヴァルキュリアの左手を穿ち抜き、同じく非常事態と判断し夕が白鷺で右手を射った。樹がもう片方のヴァルキュリアへ銀の魔弾を叩き込むが、従魔は体液を零しながらギリギリの所で耐えようとする。
「エインヘリャル、何故我々の邪魔をしようとするのデ……」
 ヴァルキュリアが全てを述べる前に、その口上ごと打ち破るように死角から弾が従魔を撃った。村人の悲鳴を耳にし、やはり最優先事項と判断した焦一郎はフレイから狙いをこちらへ変えた。誤射の危険を考慮し、弾丸にライヴスを纏わせて軌道上から瞬間転移。死角からの銃弾はヴァルキュリアの腕にトドメを刺し、さらに四人の攻撃により零れた体液が指を濡らす。
 網は従魔の手から滑り落ち、しかし村人の手足を未だ絡め取ったまま。解放するには網を切ってしまうより他にない。平介がザミェルザーチダガーを取り出し村人の傍に跪く。
「武器の所持はお許しを」
 網を切って村人を自由にし、そのまま自身の背後へ誘導しようと口を開くが、音を発するより早く村人は平介達から離れようと足を動かす。
「近付くなこの悪魔共!」
「危ない!」
 ウールヴへジンが再び村人を捕まえようと接近した、そこに平介は身を割り込ませ、村人の身代わりとなって背に強烈な一打を受けた。骨が軋み、息が詰まる。だが、平介は必死に村人へと語り掛ける。
「護ります。必ず。ですから、出来れば私の背中から離れないで頂けますか」
「ギュウザイ……ゼガイ……ヒドヅゥ!」
「きみの相手は俺だよ!」
 潰れた声を漏らす従魔へ、夕が双槍と共に肉薄。寄り添うように体を近付け、漆黒の翼を背負う槍……《烏羽》を山猿の腹へと突き立てる。
「ほーら、暴れると中から出ちゃうよ!」
 体重をかけて侵入させ、全力で穂先を引き抜く。従魔は苦痛めいた声を上げ、眼前の夕を睨み下ろす。
 一方、網を壊されたヴァルキュリア二体は火矢を取り出し周囲に矢を向けようとした。その表情は凍り付き、口からは音の羅列が漏れる。
「エインヘリャル、何故我々の邪魔ヲ」
「邪魔ヲしようとするノでス」
『さて、邪魔をしたのは』
「どちらかな」
 カール シェーンハイド(aa0632hero001)と言葉を重ね、レイは神弓の先を向けた。これまでの動きから鑑みて、イニシアチブは自分達に分があるようだ。樹がトランプ兵を放ったと同時にテレポートショットで頸椎を狙撃。ウールヴヘジンへの攻撃法にと考えていたものではあるが、火矢を撒き散らされては村人達に被害が及ぶ可能性がある。
 一撃必殺を狙ったが、既にヴァルキュリアは生物としての在り方を歪めているようだ。喉から鏃を見せながら、裂けた声帯で音を絞る。
「邪魔を……邪魔ヲ、邪魔ヲしよウとするのデすッ!」
 従魔が矢を射ち飛ばす、瞬前、光の蝶が出現し従魔達を取り囲んだ。魅せられたようにウールヴへジンとヴァルキュリアの動きが止まり、その間に蝶達は敵のライヴスを蝕んでいく。
『消火活動終了!』
「まずはここにいる従魔の、撃破を加勢する……!」
 ストゥルトゥスの声に続け、ニウェウスが絶零断章の文字を細い指でなぞった。ライヴスを奪い尽くされ、糸の切れた人形のようにヴァルキュリア二体が地面に落ちる。蝶の攻撃を耐えたウールヴへジンは起き上がり、眼前の獲物に向かって腕を掲げようとする。
 だが。
《照準固定。二、一》
「仲間に手出しはさせませんよ」
 ストレイドのオペレートを受け、焦一郎が引き金を引く。LSR-M110の弾丸は、誤る事なくウールヴへジンの頭部を直線に貫いた。ウールヴへジンはその場に倒れ、ぴくりとも動かなかった。
「これでヴァルキュリアはあと二体ですね。撮りたいものも撮れましたので、私はフレイ対応に……」
 樹が腰のハンディカメラを直しながら言い掛けた――その時、リンカー達の視界の隅を、白い影が横切った。宗教か神話を思わせるような異端の衣装。足元には猪の彫られたボード。
 フレイ。
 今まさに向かおうとした対象を認識し、樹は強く地を蹴った。

●問い掛け
 話は焦一郎がヴァルキュリアに銃口を向ける前、フレイのボードに銃弾を撃ち込んだ直後に遡る。
 空中からの狙撃はフレイにも意外であったらしく、フレイの動きが一瞬止まった。とは言っても表情の変わらぬフレイが、本当に驚いていたか否かの判断はつかなかったが、この機を逃す理由はないと、久朗はライヴスを刃物に形成。
 展開し、放たれたブラッドオペレートは、過たずに愚神の脚を切り裂いた。狙いをボードではなくフレイの脚と膝にしたのは、ボード操作に影響を及ぼすと考えた故。残念ながら傷が浅く、出血量は然程のものではなさそうだが……
「愚物ですら救われるというなら。フレイ、お前は救われているのか?」
 久朗は愚神に問い掛けた。純粋な従魔や愚神の類では無いという可能性。第三者の介在も伺える。だとすると彼にも元があったのではないか。
 久朗の呼び掛けに対し、フレイは視線を合わせない。瞳はただただまっすぐだけを見つめたまま。だが、その唇が微かに動く。感情の見えない音が久朗の鼓膜だけを打つ。
「私は救われる。私は救われない。救われない誰も。救われて欲しいのは」
 空耳かと思う程に微かな、そして意味不明な言葉の羅列。ただの反射か。それともフレイ自身の意思があるのか。フレイの瞳も表情もその答えを返しはしない。
 
 ナイチンゲールはフレイと対峙した事件を思った。
 同じだ、あの時と。
 北欧にて起こった、あの事件と。
 フレイ……!
『憤ればこそ偲び真理を探れ』
 内から墓場鳥(aa4840hero001)の声が響いた。ナイチンゲールは尋ねた。
 真理を……?
『悪しき根を断ちたくば、まずは奴等という大樹を知ることが肝要だ。
 見事知り得た暁には……

 燃え盛る切っ先を然るべき喉元に突きつけろ』
 リンクコントロール。能力者と英雄を結ぶライヴスを強く意識し、活性化、あるいは安定化させるスキル。ナイチンゲールは強さを増したライヴスを再度ジークレフに纏わせて、久朗に顔を向けている愚神の背面へ斬り掛かった。奇襲は、しかし勘付かれ、フレイのボードに阻まれたが、それならそれで構わない。会話で注意を引きつけようと口を開く。皆が従魔の相手をしてる間に只管フレイを足止める。
 それが自分の役割だから。
「暫くぶりだね」
 覚えてないだろうけど。ナイチンゲールはそう切り出す。
「相変わらずオウムの真似?」
 通じなくても話し続ける。
「あの子達……喋れるんだ」
 無視を無視して口を挟む。
「前は無理だったのにどうして? じゃあウールヴヘジンは? なんなの?」
 口調に荒さが増してくる。ヴァルキュリア。以前と明らかに様相が違う。ウールヴヘジン。湧き上がる疑問。感情が胸を焦がす。
「答えて!」
 もしも人間を変えたのなら、私は……!
『堪えろ』
 墓場鳥が内から諫める。ナイチンゲールは剣を握る。分かってるよ! でも、でもこんなの……!
「救済」
 抑揚のない声がナイチンゲールの思考を断った。救済。その言葉の持つ意味など、一つも感じさせないような無機質な音の連なりで。
「救済。救済。真なる世界と一つになる。僕達は選ばれた存在なんだ……分かるだろう?」
「分かる訳……ないでしょう!」
 憤りと拒絶と共に、ナイチンゲールはジークレフを振るおうとした――瞬間、赤い閃光が久朗とナイチンゲールの目を焼いた。赤い馬の幻影が現れ二人を上から踏み潰し、その隙にフレイはボードに乗って背を向ける。
「待ちなさい……フレイ!」
 ナイチンゲールが名に違わぬ美声で愚神の名を呼び叫ぶが、フレイは振り返りもせず、蹂躙された村の奥へと消え失せた。

●迎撃
 千颯は村人達の防衛に立ち回っていた。仲間と協力してウールヴへジンの早期撃破を目指したい所であったが、奥の方に村人を襲おうとするウールヴへジンを発見し、向かわざるを得なかった。結果音弥の援護を受けながらも、それ以外の仲間達とは分断され、村人のカバー以外の行動は取れずにいる。
「ナルヒドヅ……ギュウザイ……キュウザイ……」
「渡さないと、言ってるだろう!」
 高い生命力を活かし、積極的に前に出る。今は耐える事しか出来ないが、待っていればじきに仲間が駆け付けるはず……そう思った千颯の目に、滑らかな人の皮膚が見えた。山猿の砂塵にまみれた毛皮と対比をなすような、あまりにも薄く脆そうな肌……
「あれは……? 肌?」
『もしや!?』
 千颯の腕から我知らず力が抜けた。まさか、連れ去られた人々を人体実験したのでは。ウールヴへジンも元は人間であったのでは。そうだとすれば、ウールヴへジンが「救済」と繰り返し続けている意味は。
 瞬間、千颯は何かに引っ張られるような錯覚を覚えた。千颯の緑の髪は銀へとその色を変え、茶目っ気を感じさせる金の瞳が鋭さを増す。リンカニック髭をたたえた壮年の千颯の中で、『本物』の千颯が相棒の名を呼ばう。
「白虎ちゃん!?」
『お前の手を染める訳にはいかないでござる』
「白虎丸! 変われ! 俺にだって覚悟はある!」
『お前は血塗られた手で我が子を抱くのでござるか! 汚れ役は俺が引き受けたでござる』
 主導権を強制的に千颯から己に切り替えて、白虎丸は陰陽玉を構えた。千颯は一児の父親だ。千颯がどれ程子煩悩な親か、息子を、家族を愛しているか、白虎丸は知っている。
 普段ならこんな真似はしない。千颯の言葉を無下にするような振る舞いは。二人の誓約は「互いの意思を尊重する」。束縛しない。そう決めた。だが、意見が食い違った時は、より思いの強い方を優先する。
『お前の顔を、曇らせたりはしないでござる!』
 白虎丸は咆哮し、ウールヴへジンに対峙しようとした――その時、ボードに乗った白い影が白虎丸の前へ躍り出た。仲間達が足止めしていたはずの青年……
『フレイ!』
「うわあああ!」
 突如現れたフレイに気を取られた隙に、ウールヴへジンは踵を返し、近くを逃げ回っていた子供へと飛び掛かった。白虎丸はグングニルに武器を替え投擲を試みるが、そこにフレイが立ち塞がりボードで槍を受け止める。
 リンカー達の攻撃を受け続け、聖槍にトドメを刺されたフレイのボードは砕けたが、その間にウールヴへジンは網へと子供を投げ入れる。ヴァルキュリアが翼を広げ、網の中から子供の声が。
「助けて、助けてぇっ!」
『やれやれ、今回のライヴは』
「マナーの悪い客が多いようだな」
 カールと共に冗談めかした言葉を吐き、駆け付けたレイがファストショットを一撃見舞った。手の甲に矢を突き立てられ、ヴァルキュリアが悲鳴を上げた、と同時にもう一方のヴァルキュリアの腕には焦一郎のテレポートショット。オプティカルサイトを併用し、LSR-M110の性能も十二分に使っての一射。寸分の狂いもなく対象に命中する。
「今、助けます」
 平介がダガーで網を切り、子供を引っ張り出して抱き上げた。ヴァルキュリアがすかさず火矢を取り出そうとするが、そんな余裕を与える理由は、ない。
「フレイ対応組への援護射撃と回復をお願いします……。また、フレイが村人を狙いだしたら、直ぐに教えて下さい……!」
 音弥へと要望しながらニウェウスは絶零断章を開き、敵のみに標的を定めブルームフレアを炸裂させた。ヴァルキュリアが二体同時に灰と崩れ、フレイが破損したボードを携えたままいずこかへ駆けようとする。その前に樹が立ちはだかった。シルミルテが内側から愚神へと問い掛ける。
『ねェ、ドウしてコッチノ世界ノ神様の名前ヲ騙っていルノ?』
「……」
『巫山戯るナ』
 答える様子のない愚神に、シルミルテは音を叩きつけた。普段、共鳴した樹にうさ耳が生える事はない。うさ耳が生えるのはシルミルテの主張が強い時のみ。表情に一切の遊びは無く、真剣そのものの音が大気を震わせる。
『例エ、ココがアノ「森」デはナクてモ。ソれは「森の民」ダ』
『ワタシは「森」の魔女の子、森ノ宝の持ち出シは看過セぬ』
『返セ! 戻せ! ソれはお前達デもナく、私達デもナい。森ノモノだ!!』
 シルミルテの声に、言葉に、フレイは首を巡らせた。しかしその瞳は樹もシルミルテも見ていない。ただまっすぐだけを見つめた……いや、何処も見ていない瞳。
「エインヘリャル……何故、我々の邪魔をしようとするのです」
 それは、ここに来てからヴァルキュリアが散々繰り返した言葉だった。何故同じ言葉を繰り返すのか、その理由を確証に至らせるのは後でいい。今判断出来る事は「話が通じない」という事だ。文脈もシルミルテの言葉も無視して、ヴァルキュリアが散々繰り返した言葉を語る。それが故意であろうとなかろうと、つまりは……そういう事だろう。
 樹はキートゥヘブンをフレイへと射出した。ライヴス注射器「キートゥヘヴン」。投擲武器として使えるよう改造された注射器であり、使用者のライヴスを液状化して敵に注入して攻撃する。
 ボードが破壊された今、フレイを守る盾はなく、むしろ破壊されたボードがフレイの枷となっている。注射器はフレイに突き刺さり、液状化したライヴスが体内を駆け巡る。キートゥヘヴンが一度消滅して樹の手中に戻ってくる、同時に久朗とナイチンゲールが仲間達と合流した。
「ボードを攻撃してみて下さい。再生を遅らせる事が出来るかもしれない。それとボードの一部が落ちたら幻想蝶へ。完全に再生するのを防げるかもしれません」
 平介の声を受け、久朗とナイチンゲールは同時に一撃を繰り出した。トリシューラとジークレフの先がボードに叩き込まれ、破片がいくつか地面に落ちる。久朗が破片を拾おうと腕を伸ばしたが、フレイがブローズグホーヴェイを召喚。赤い馬の幻影が、最も近くにいた久朗とナイチンゲールをボードの破片ごと踏みにじる。
「久朗さん、ナイチンゲールさん!」
「……! 平介、避けろ!」
 平介に迫る影に気付き、久朗が声を張り上げた。平介の腕の中の子供を狙い、ウールヴへジンが腕を掲げる。

●葬送
 藍は一人で戦っていた。千颯と同じく、村人を狙うウールヴへジンをせき止めるのが精一杯。ヴァルキュリアが近くにいないのが幸いと言えば幸いだが、ウールヴへジンの身に傷が刻まれていく程に、従魔の凶暴さと攻撃力が上がっているような気がする。その影響はダメージとしてじわじわと藍に蓄積していた。
「とは言え、膝を折る理由にはならないが!」
 ウールヴへジンが何度住民に突撃を試みようと、槍で迎撃して食い止める。瓦礫を投げられた場合も我が身を盾にして住民を庇う。銀の魔弾で撃ち落とす事も考えたが、ライヴス弾の形成が間に合わない。この身を挺した方が確実だ。
「彼らに、これ以上手出しはさせない!」
「ゼガイ、ドォ……ヒドツニ!」
 ウールヴへジンが両腕を上げた――だが、その腕が藍に下される事はなかった。加勢に駆け付けた夕の烏羽が、ウールヴへジンの背に深々と突き刺さっている。
「もしかして人間? 四国のゾンビみたいに」
 眼前の人の肌を見つめ、夕は従魔へ問い掛けた。しかしウールヴへジンから答えは得られず、代わりに割れた声が響く。
「キュウザイ……キュウサイィィィッ!」
「助けられなくてごめんね。愛してるよ、さよなら」
『……せめて、どうか安らかに』
 夕と禮の声が合わさり、槍が二つ放たれた。烏羽と黒鱗、二種の黒に貫かれ、命を失った山猿の巨体がどうと大地に倒れる。
「戦況は……一体……」
 藍は周囲に視線を向け、ダメージを回復するべく賢者の欠片を噛み砕いた。

●幕
 平介の腕の中の子供を狙い、ウールヴへジンが腕を振り下ろす……しかしその攻撃は、駆け付けた白虎丸の飛盾「陰陽玉」に阻まれた。
『千颯の前で……子供を傷付けさせはしないでござる!』
「白虎丸さん、盾を引いて下さい!」
 平介の声に白虎丸が飛盾を引いた、瞬間、子供を自分の背後に下がらせた平介が、ウールヴへジンに一気呵成を叩き込んだ。重量と衝撃を増した二撃を撃ち込まれ、山猿が完全に動きを止める。
「! フレイが逃げる、皆、援護を!」
 音弥が声を発したと同時に、フレイが再生したボードに乗り、リンカー達とは反対の方角へ走り出した。音弥がライフルの引き金を引くが、その弾をフレイは躱し、前方にいた女性の腰を捕らえてそのまま逃げようとする。
「離して、離してぇ!」
『ソの村人ヲ手放セ』
 シルミルテはライヴスを声に乗せ、支配者の言葉を放った。だが、フレイの手は動かない。声が届かない。射程距離外だ。
 フレイは村人を抱え、ボードに乗って走り去る――その頭上で、影が動いた。影は、ライヴズジェットブーツで宙を駆けるニウェウスは、ライヴス通信機「遠雷」越しに焦一郎へ指示を出す。
「焦一郎、合わせて……!」
『ヒューッ! 人攫いはいけないぜぇ、坊や!』
「好きに、出来ると……思わないで!」
 放たれたリーサルダーク。呪力を込めたライヴスの闇はフレイだけを取り囲み、人形のような青年の意識を一瞬だけだが奪い取った。そこに焦一郎が狙いを定め。
≪AGW・充填完了≫
「我々を甘く見ない事です」
 銃弾が、ストレイドと焦一郎の声を供に愚神の腕を貫いた。村人は地面へ落ち、気絶から目を覚ましたフレイが踵を返そうと試みるが、脚がわずかにぐらついた。久朗のブラッドオペレートがフレイの脚を蝕んでいた。それでも愚神は村人に手を伸ばそうとするが、駆け付けた藍がケイローンの書を開き、重圧空間を展開する。伸し掛かる重みがフレイの体の自由を奪う。
「今だ、射撃を!」
 藍が仲間に声を上げ、フレイはボードに乗り地を蹴った。移動力は阻害されているが完全に動けない訳ではない。出力を最大にし、村の外まで走り去る。
 ナイチンゲールはレーヴァテインを鞘から抜いた。普段は専用の鞘によって厳重に封印されている、巨大な槍の穂先、或いは矢尻のみを切り取ったような形状の剣。ナイチンゲールはその剣の切っ先を、逃げゆく愚神の背に向ける。
「これ以上人々に『救済』を強いるつもりなら……あなた達を焼き尽くす。帰ってそう伝えなさい!」
 その声が、フレイに届いたかどうかは分からない。届いた所で、フレイがそう伝えるかは分からない。
 これは宣戦布告。人々を守るという決意の表明。ナイチンゲールは剣をかざし続けた。墓場鳥はそれを知っているから、敢えて抜刀を咎めたりはしなかった。

●対話
「全員いるか」
『いなくなっているヤツはいねーかな?』
 レイとカールは共鳴を解除した後、きちんと全員居るかどうか、火傷や裂傷等、負傷者が居ないかどうかのチェックのために村人達を見て回った。怪我をしている者はいるようだが、行方不明者はいないようだ。久朗もレイ達と共に人数の確認を行い、セラフィナ(aa0032hero001)が負傷者の一人へ手持ちのH.O.P.E.まんを差し出す。
『お一ついかがですか? とっても美味しいですよ』
 まだ紙を剥がしていないので中華まんは冷たいままだが、リンカーや英雄が紙をはがすと数秒で熱々になる。セラフィナは優し気な面立ちに人懐っこい笑みを浮かべ、『すぐほかほかになりますよ』と紙を剥がそうとしたが、村人は目を逸らし、全身で拒否を示し続けた。石を投げ、罵声を浴びせる程ではないが、まだ心を開いてくれたとは言い難い様子だった。ここで無理に勧めても、態度を頑なにさせてしまうだけかもしれない……。セラフィナはH.O.P.E.まんを仕舞った。その寂し気で小さな肩に、久朗はそっと手を置いた。

 千颯は平介や白虎丸と共に、ウールヴへジンの遺体の調査を行っていた。
 余りやりたくは無いが、何かわかる事があるかもしれない。例えば人体実験された証拠とか……
 想像するだけで苦いものが込み上げ、知らず表情が険しくなるが、調べない訳にもいかない。ヴァルキュリアの方は全て消えてしまっていたが、ウールヴへジンに関しては肉体や身に着けていた衣服の一部が残っていた。
「衣服というより、布きれを巻き付けていただけという感じですが……一応、持って帰りましょうか」
 平介が布を拾う。布にはマークのようなものがあり、エネミーから送られた画像や、過去ギアナ支部と交戦したラグナロクのマークの一部に見える。が、照合するにはギアナ支部に持って帰った方がいいだろう。
 そして残っていた肉片の一つに、微かに線のような痕が見えた。ナンバリングの一部のようにも見えるが……少なくとも人工的に描かれたものだと断言出来る。
「もし、従魔達が人工的に作られたのであれば、H.O.P.E.の戦力や耐久度を測る実験のために作られたのでしょうか……」
 平介はそのように推測を述べた。その可能性ももちろんある。だが、いずれにせよ、確証に至るには材料が不足している。今回は情報を持ち帰り、推測と共にギアナ支部に報告するまでしか出来ないだろう。
「そっち、無事?」
 と、夕が結羅織と共に平介達の元へ歩いてきた。共鳴時の明るく可愛らしい雰囲気も、屈託のない笑顔も消え、普段の表情に乏しい夕に戻っている。
「大丈夫ですよ。十影さんは大丈夫です?」
「俺は大丈夫。……だけど、そっちが大丈夫じゃないじゃない。怪我してる。治すから見せて」
 夕の言った通り、平介も千颯も「大丈夫」とは言い難かった。大ダメージという程ではないが、二人とも従魔の攻撃を受け少なからず傷を負っている。さらに平介からの合図を受け調査の結果を聞きに来た久朗、それとナイチンゲールも負傷している事が発覚し、バトルメディックのスキルを使い一気に回復する事になった。かすり傷程度のダメージは残るが、しないに越した事はない。
 夕は小さく息を吐いた。先に述べたように、普段の夕と共鳴時の夕は思考や性格がまるで違う。共鳴時の記憶は解除後も残るため、結羅織に由来する過激な思考や、笑顔でやりたい放題の自分を夕はしっかりと覚えている。中二病ぽくて夕としてはつらい所だ。
 とは言え共鳴しなければ回復スキルは使えないし、回復する間だけの事だし、散々暴れ回っておいてもう今更という感じだし……。諦めて結羅織と再共鳴。二つの意識が一つに混ざり、共鳴後の夕が可愛らしい笑みを飛ばす。
「さ、治してあげるから、一列に並んで並んで!」

 村人の目にあまり触れないよう注意しつつ、焦一郎は一人村の中を歩いていた。
 焦一郎はアイアンパンクだ。機械化箇所は両腕の肘から先と体内各部。機械部分が目立つ容姿は、村人達に忌避される恐れがあると直接の接触はなるべく避け、それでも消火や修繕を手伝おうと一人歩き回っていた。
 だが、焦一郎の懸念は当たっていたらしく、村人達は「ありがたいが……」と言葉を濁して目を逸らした。咎められるようであれば無理はしない方がいい。そう判断して倒れた柱などをひっそりと片付けた後、負傷者の応急手当てを手伝おうと仲間達の元に向かった。だが、そこでも村人達の反応は頑なだった。
「傷、みようか?」
「……」
 共鳴を解き、救命救急バッグを持って負傷者に声を掛ける夕に、村人達は気まずそうに視線を逸らし続けていた。それはセラフィナや焦一郎に見せた態度と全く同じものだった。
 平介は村人達の態度を見て、救命救急バッグを二つ負傷者達の近くに置いた。夕やレイも消毒液や包帯、冷却パックなど適当な物品を平介のバッグの上に乗せる。そして村人達とそれなりの距離を取った上で、平介が武器を地面に置き、口火を切った。
「私達はH.O.P.E.のエージェントです。今現在このアマゾンで起こっている異変を調べています。あなた方が聖域と呼んでいる場所に、立ち入る許可をいただけないでしょうか……」
 その言葉に、村人達の顔色が変わった。怒りの表情を浮かべ、口々に非難をぶつける。
「聖域は神聖な場所。おいそれと入っていい場所ではないわ!」
「ましてやお前達のような余所者を」
「今回の件だって、お前達が仕組んだものではないという証拠は……」
 突如、歌声が一つ響き、村人達の怒号が止まった。レイが、この辺りに伝わる歌を、美しい声で歌っている。青髪にランダムな黒メッシュ、ハード系のアクセサリー、薔薇と蝶メインのタトゥーと、服装は現地住民とは程遠い完全なるバンドマンだが、その声は村人達の耳を十二分に惹きつけた。
「少しでいい。話を聞いて欲しい」
 歌い終わったレイはそれだけを村人に告げ、その場から一歩引いた。自分の役割はあくまで村人の敵意を逸らし、気を抜かせ、此方の話に聞き耳を持たせる事。聖域立入りの許可や情報収集は、他の仲間に任せるつもりだ。
「お願いします。もし、どうしても許可を出せないのなら、聖域についてお話を窺わせて頂くだけでも……」
 180cmの長身を畳むように、平介は頭を下げた。彼らは巻き込まれただけだ……そのように考え、低姿勢をもって相手の出方をひたすらに待つ。
 村人達はざわめいた。見ればリンカー達に庇われ、守られた者達がひそひそと話し合っている。だが、許可を出そうという気配はない。それだけ、聖域に立ち入る許可を出すという事は、彼らにとっては簡単には出せない結論のようだった。
『ワタシを悪魔と呼ブなら、ワタシ達と契約ヲしなイ?』
 ざわつく村人達の間に、場違いに高い声が響いた。シルミルテの歌唱用合成音声。その声に、うさ耳の生えた9歳程の少女の姿に、村人達は目を見開いた。シルミルテは言葉を続ける。
『ワタシが欲しイノはアナタ達ガ持ってイる「オハナシ」。
 ワタシ達が提供スるのハ、アナタ達ノ安全。
 H.O.P.E.が全力デアナタ達ヲ守るヨ!』
「今回の奴等は神話の神の名を名乗っています。それもこの地域のものでは無い神の。皆さんが知るこの地域の神話や伝承を教えてください。何か対抗策が見つかるかもしれません」
「最近聖域に行って帰ってきた人は居るかな? ……聖域を愚かな神が侵している可能性がある」
『何かが聖域で起こっているのは明らかです。様子を見に行くあなた達の護衛としてでも立ち入りを許していただけませんか?』
 樹が、藍が、禮が、村人達へ問いを発した。村人達は迷っていた。だが、村人達の中にある感情が、踏み出す事の邪魔をする。
「お前達は……お前達は異端者だ! そう簡単に信じられる訳が……」
「証拠が……覚悟が、欲しいと言うのなら、私の左腕でもいいですか?」
 樹が真顔でセクティオーサイスを取り出し、自身の腕に押し当てた。共鳴はしていなくとも、大鎌の鋭い切れ味は本物。手を離せばあっという間に肉まで裂けてしまうだろう。
「な、何を馬鹿な……」
「今度は私が付き合う番。それだけ」
『アナタ達にとっテ、ワタシ達は異質だケれども、ドウかアイつらヲ斃すマでの僅かナ間だけデモ信じて欲しイノ』
 樹が淡々と言葉を返し、シルミルテが訴える。フリではないと分かった。それで情報を得られるなら、サイスを持った少女は本当に自分の腕を切るだろう……村人達はそう思った。
「これ以上被害を増やさないためにも……頼む」
『立ち入りを許可して欲しいでござる』
 平介と共に千颯と白虎丸も頭を下げた。樹はサイスを腕に押し付け村人の出方を伺っている。「村長……」と、リンカー達に助けられた村人達が呼び掛ける。
「お前達と契約などしない。聖域に立ち入る許可は出そう。守ってもらった借りがあるからな……」
 村長と呼ばれた老人は崩れかけた家に入り、本のようなものを持ってきた。そして樹の方へ差し出す。
「この辺りの神話や伝承をまとめたものだ。持っていけ。足しにはならんと思うがな。
 聖域には立ち入っていない。元々あの場所は我々も立ち入らぬ場所、それ故の聖域なのだ。聖域に住む者達はいるが、彼らとの直接の交流もないしな」
「聖域に住む者達?」
「わしらから言える事はここまでだ。帰ってくれ」
 村長は完全に口を閉ざした。これ以上話を聞く事は出来なさそうだ。村人達も視線を逸らし、たまに伺うようにリンカー達に目線を送る。
 そこにあったのは「恐怖」だった。助けてもらった恩はある。だが、リンカー達の事を何も知らない村人達にとって、リンカーの力は未知であり、異端であり、そして強過ぎる力だった。彼らは異端の力を恐れていた。それ故に恐慌していた。恐れを完全に取り除くには、もう少し時間が必要なようだ。
 リンカー達は頭を下げ、あるいは「ありがとう」と呟いて、そのまま村を去ろうとした。と、千颯が十分離れた所で白虎丸と共鳴し、負傷者達の頭上からケアレインを降り注がせる。
「応急処置になるけど、無いよりはマシなんだぜ」
 そう言って、千颯も仲間と共に去ろうとした。リンカー達のその背中に、掛けられる声があった。
「助けてくれてありがとう。傷を治してくれてありがとう。気を付けて!」
 振り向くと、一人の子供が手を振っていた。リンカーが助けた者達が、揃って頭を下げていた。リンカー達は振り向き、ある者は腕を掲げ、そして村を後にした。

●ギアナ支部
 樹は深く息を吐いた。理由その1。村長から貰った神話や伝承をまとめた本に、ラグナロクに繋がるようなヒントは見つけられなかった事。本自体はなかなか興味深かったが、ラグナロクがアマゾンにいる理由は直接当人達に尋ねるしかないようだ。
 理由その2。フレイの後を追えなかった事。フレイ逃亡後、マナチェイサーで限界まで追おうと試みてみたのだが、マナチェイサーで辿れる範囲は限られている。ならばとオートマッピングシートを使用し、フレイにキートゥヘブンで打ち込んだ自分のマナを追えないかと試してみたのだが、これも無理だった。
 オートマッピングシートは「所持者(厳密にはシートに物理的に接触している者)のライヴスをエネルギーにしてマッピングする」アイテムであり、マーキングした対象が自動で表示される、という機能は無い。また、キートゥヘブンで打ち込んだライヴスはすぐに分解されてしまうらしく、マーキングとして使う事は出来ないようだ。
「まあ、それが分かっただけでも試した甲斐はあるだろう」
 久朗がそう声を掛けた。端末を持ってきた音弥も久朗の言葉に便乗する。
「失敗は成功の母と言うしな! それに、樹君とレイ君のおかげで判明した事もある。二人が撮ってくれた映像と過去のラグナロクとの交戦記録を照合してみた所、識別名ヴァルキュリアの顔と、過去のラグナロク構成員の顔が複数一致した」
 樹もレイも腰にハンディカメラを付け、戦闘の一部始終を撮影していたのだが、樹が特に尽力したのは「ヴァルキュリアの顔の撮影」だった。レイは腕を組み、ドライな口調で低く呟く。
「まだ『ラグナロク』のこの一件は始まったばかりだからな。情報はあった方がいい」
「助かるよ。これが照合した結果だ。みんなにも見て欲しい」
 レイへ言葉を返しながら、音弥はリンカー達に端末の映像を見せた。幸いと言うべきかなんと言うべきか、失踪した近隣住民と合致した者はいなかったそうだが……
「ラグナロクも被害者なのかもしれないが……もはや助からないだろうね」
『どんな思想を掲げても、赦されるものではありません』
 藍が低く声を落とし、禮が痛まし気に目元を伏せる。あれは存在してはならない歪みを孕んでいる。もしやフレイも、あの従魔と同じように……?
「布についていたマークだが、やはりラグナロクのマークの一部のようだ。ナンバリングの一部のような痕は、まだなんとも言えないが……」
「ラグナロクによる犯行である、というあからさま過ぎる主張……いや、まだ判断の材料が少ないか」 
 音弥の報告に久朗は呟く。分からない事は他にもある。フレイは自分達に対してエインヘリャルと言っていた。エインヘリャルという呼称はリンカーを指しているのか? 一目でリンカーと見抜けるものだろうか。
 また、前回対峙した従魔……ヴァルキュリアβは不可解な行動を行っていた。今回はなかったが、あれは一体何だったんだ? それを確かめるためにも、敵の挙動も言動も全て重要な情報と成り得る、と注視していたのだが……
 だがとにかく、フレイを退ける事は出来た。村人達は守られ、聖域に立ち入る許可も得た。謎は未だ多いが、いずれ明かされる事だろう。
 ラグナロクの元に辿り着けば。 


 青年はボードを手に椅子の上に座っていた。
 リンカー達に一度破壊され、そして再生したボード。破壊中に受けたダメージが再生時間に影響を及ぼす事はなかったが、そのダメージはボードにきちんと蓄積されていた。つまりあの場で戦い続け、ボードに攻撃を受け続けていたら、最初に破壊された時よりさらに短時間でボードは再破損していただろう。
 とは言え、今は誰にも邪魔されず、じっくりとボードを再生出来る。今回のダメージが次回に持ち越される事はない。青年がその事についてどう考えているかは分からないが。
「……フレイ、お前は救われているのか?」
 青年は呟く。他者に掛けられた音の羅列を。その瞳はただまっすぐだけを見つめている。そして何処をも見ていない。
「私は救われる。私は救われない。救われない誰も。
 救われて欲しいのは」

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 単眼の狙撃手
    灰堂 焦一郎aa0212
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428

重体一覧

参加者

  • 此処から"物語"を紡ぐ
    真壁 久朗aa0032
    機械|24才|男性|防御
  • 告解の聴罪者
    セラフィナaa0032hero001
    英雄|14才|?|バト
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • 単眼の狙撃手
    灰堂 焦一郎aa0212
    機械|27才|男性|命中
  • 不射の射
    ストレイドaa0212hero001
    英雄|32才|?|ジャ
  • 深淵を見る者
    佐倉 樹aa0340
    人間|19才|女性|命中
  • 深淵を識る者
    シルミルテaa0340hero001
    英雄|9才|?|ソフィ
  • 分かち合う幸せ
    笹山平介aa0342
    人間|25才|男性|命中
  • 薫風ゆらめく花の色
    柳京香aa0342hero001
    英雄|24才|女性|ドレ
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避
  • 本領発揮
    カール シェーンハイドaa0632hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • エージェント
    十影夕aa0890
    機械|19才|男性|命中
  • エージェント
    結羅織aa0890hero002
    英雄|15才|女性|バト
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 明日に希望を
    ナイチンゲールaa4840
    機械|20才|女性|攻撃
  • 【能】となる者
    墓場鳥aa4840hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
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