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夏の運動会INプール
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夏だ!プールだ!運動会だ!
最終発言2017/08/22 10:59:32 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/22 08:31:06
オープニング
●能力者vs英雄
夏、それは暑い季節。
運動会、それは熱い競技で戦う大会。
プール、暑いから入る!
『はーい! H.O.P.E.主催、夏の運動会INプールを開催だね』
「まて、壱夜。お前は何時の時代の英雄?」
真神 壱夜の言葉を聞いた圓 冥人は問う。
『だって、ティリアから聞いてやってみたくなったから』
と、壱夜はティリア・マーティスに視線を向けるが、それを察した彼女は椅子から立ち上がろうとするが豪快な音を立てて床に尻餅をついた。
「で、何でしようと思ったの?」
『ほら、能力者は能力者なりに英雄への不満等がある。その逆もしかり……は建て前、たまには本気で競い合うのも有りだと思うんだよね』
と、壱夜は答えると獲物を狙う猛獣の様な瞳で冥人を見る。
「拳では勝てないが、他の事なら勝てそうな気がするしね?」
余裕の笑みを浮かべながら冥人は言い返す。
『ならば、たまにはお互いを知るためにも競技で競う』
「良し、ならば善は急げってね」
2人は互いにみつめ合い、にっと口元を吊り上げ笑みを浮かべると駆け出した。
●スポンサーby下着メーカー『サファイヤ』
「今年はなんとH.O.P.E.公認、夏の運動会INプールを開催します!」
半ばヤケクソになりつつも、ティリアはマイクを片手に声を上げる。
場所はもちろん、ロンドン支部のロビーである。
「なんと、スポンサーも付いてネット中継もされます。私達、エージェントの様々な活躍を魅せませんか?」
『しかも、スポンサーである下着メーカーが新作の水着も提供!』
ティリアの隣で壱夜が『新作水着カタログ』と、書かれた冊子を頭上に掲げた。
『良かったら、プールの運動会に参加してくれますか?』
と、アナタに向かって壱夜は微笑んだ。
解説
【目標】
夏の運動会INプールを楽しむ
【場所】
大きなプール(25m×25m)が2種(一般的な深さ、水球用の深さ)
競技風景はネット中継されています。
【水着】
下着メーカー『サファイヤ』が貸し出します。
どんなサイズもあり、なんと褌まであります。
【ルール】
能力者(赤チーム)と英雄(青チーム)に分かれて競技をします。
人数が足りない場合はNPCが参加して穴を埋めてくれます。
競技は五種類、1種目に5人参加する感じになります。
なお、一人が複数の競技に参加は出来ません。
妨害に徹するなり、己の実力で勝負するなり好きな様にしても大丈夫です。
ただし、共鳴は禁止となりますので『魔法や武器は使用不可』!
【種目一覧】
『宣言』
各チームの代表から熱い言葉をお願いします!
1『水上のスナイパー』
水鉄砲を使って相手を落とす競技となっております。
プールには、複数の浮島があり形状や大きさは全てバラバラ。
水鉄砲は【ハンドガン(2丁まで)・ショットガン・スナイパー・ガトリング・竹の水鉄砲・水風船(中身は色水)】の6種となっております。
(某イカすゲームをイメージして下さい)
2『水上尻相撲』
女性同士ですると何故か、ポロリを期待する人が必ず出る不思議な競技。
3『舞台でアピールINプール!』
歌う、踊る、特技を披露等をプールサイドに設置された舞台で、好きな様にアピールして下さい。
4『水球』
プール版サッカー。兎に角相手のゴールにボールを投げ込め!
5『水泳リレー』
泳ぎ方はフリースタイル、妨害等をしても可!
『結果発表』
ドキドキする瞬間。
【NPC】
指示があればそれに従います。
リプレイ
●夏の運動会INプール開催!
秋分を過ぎても太陽は真夏の如く地球を照らす中で、天井が解放されたプールにエージェント達は集まった。
晴天、気温は少し高いが闘志を抱く者達の熱よりかは低い。
「それでは、H.O.P.E夏の運動会INプールを下着メーカー『サファイヤ』協力により開催します。赤、能力者チームの代表、青、英雄チームの代表は前へ」
圓 冥人が声を上げると能力者と英雄に分かれた中から、1人の能力者と英雄が前へと足を進めた。
「まずはこの機会を与えてくれた方々に感謝を……我ら一同、正々堂々全力を出し切って戦うことをここに誓おう! さぁ、俺達だけでもやれることを見せてやんぜ!」
と、能力者代表の宣誓を力強く言ったのは麻生 遊夜(aa0452)だ。
『みんなー! ニューヨークに行きたいか! ……え、違う?』
間髪入れずにカメラを意識しつつバルトロメイ(aa1695hero001)が声を上げる。
違います。それは、青春真っ盛りの高校生が3人1組で参加する伝統的で有名な企画ですよ。
『HOPEはチラリかポロリかを選ばせてくれるそうだ。だがセーフとアウトのラインは各自わきまえるようにッ! 以上! 我らが女神の加護があらんことを。エイメン』
肌色が多い女性陣を見ない様にしつつ、バルトロメイは『ポロリ』の部分を強調しつつ祈る。
ただし、水着姿のティリア・マーティスに向かって。
「それでは第1競技『水上のスナイパー』に参加される皆様は準備を」
宣誓を終えたのを確認したティリアは、エージェント達に向かって笑顔で誘導する。
「えっと、ちょっと恥ずかしいですけど、が、頑張りますっ」
ライムグリーンの三角ビキニに包まれたトップからアンダーの差が40cmもある凶器を揺らしながら廿小路 沙織(aa0017)は、ぐっと拳を握った。
『まーお祭りみたいなモンだし、楽しくヤってイこーじゃん?』
ヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)は褐色の肌が映える白のホルターネックビキニを着て、アクセントとして金色の装飾品を付けていた。
「はわ、可愛い水着もあるですね。それじゃあ更紗は……はれ? もう届いてるです?」
楽し気にカタログを開く更紗・アーニャ・尋河凪(aa0025)の目の前には、自分の名が書かれた箱が1個。
『私が選んでおいた』
春雷后・夢鶴(aa0025hero002)が艶めかしい水着を着用し、こちらの世界で想像されるサキュバスの様に惜しげもなく体を魅せる。
「かわいいのがよかったのです……」
夢鶴が選んだ水着を渋々着た更紗は、唇を尖らせながらぶつぶつと小声で文句を言う。
元は色妖である夢鶴の視点での『立派に育てる』べく、『きわどいみずぎ』とやらを着せられた更紗。
『文句は私に勝ってから言え』
と、胸を張りながら夢鶴は言った。
「あ、当たれば話ではないのですか?」
『そうだったな。だが、私は更紗を指名する』
夢鶴は口元を吊り上げると、指先を更紗の方へと向けた。
『むぅ。どれもこれも布が小さいのぅ……身に着けるものは白が良いな……下はうむ……これでよい。さてと、上どうしようかのう……誰ぞサラシなぞ持っておらぬか?』
碑鏡御前(aa4684hero001)は下着メーカー『サファイヤ』の社員に声を掛けた。
「もちろん! 水着、下着に関連するモノは全て用意しております」
社員は水着と同じ生地で作られたサラシを碑鏡御前に渡す。
『なかなか準備の良い事じゃ』
満足気に頷きながら碑鏡御前は体にサラシを巻きはじめた。
「あぁ、何と素敵な催しでございましょう! うふふふ、とぉっても楽しみですわ。ではマリナさん? わたくし達の華麗なる妙技、とくと披露いたしますわよ♪」
布面積の少ないビキニを着た御手洗 光(aa0114)は、己の体を惜しげもなくカメラに映す。
『このような盛大な催し、何か懐かしさも覚えます』
マリナ・マトリックス(aa0114hero002)は頬を赤らめ恥じらいながらも、会場を見渡すと大聖堂の司祭としての朧気な記憶が胸を温かくする。
「偶には伊邪那美と勝負するのも悪くは無いか……」
御神 恭也(aa0127)は柔軟体操しながら言う。
『さて、ボクの偉大さを教えてあげないとね~』
その隣で伊邪那美(aa0127hero001)は楽しそうに笑みを浮かべた。
「ううっ……凄くセクシーな水着姿の人がいて……視線のやり場にこまるよ!」
と、頬を赤らめながら狼谷・優牙(aa0131)は、女性陣の水着を見ないように視線を泳がせる。
「ま、たまにはこういう趣向も悪くないな」
黒のサーフパンツ姿の麻生 遊夜(aa0452)は楽しそうな表情の仲間を見回す。
『……ん、楽しそう……だね』
黒のチューブトップにホットパンツ姿のユフォアリーヤ(aa0452hero001)が、同意するようにこくりと頷いた。
水着の色と赤い彼岸花模様もお揃いで、手を繋ぎ競技に参加するために指定された場所へと向かった。
『ほわぁ~~っ! ユリナ、水泳大会で能力者と英雄に別れて勝負だよ!』
緑色のビキニ、縁は黒にどーんと目立つ白いリボンを胸元で揺らしながらウィリディス(aa0873hero002)は声を上げた。
「リ、リディスが本気で競争したら私は勝ち目がないのでは……」
と、ワインレッドと黒のパレオ付きビキニに身を纏った月鏡 由利菜(aa0873)は、不安げな声色で言いながら瞳を伏せる。
『チーム戦だし、アイデア勝負の面もあるからなぁ……まあ、やるからには勝ちは譲れないけどね!』
ぽんと由利菜の肩に手を置くと、ウィリディスは満面の笑みを浮かべながらサムズアップをする。
(珍しく薙のテンションが上がっておる。私は童のようにはしゃぐよりもゆったり揺蕩う方が好みだが、薙の為じゃ! 付き合おう! ……と思うたが……)
エル・ル・アヴィシニア(aa1688hero001)は、隣に居る魂置 薙(aa1688)に視線を向けた。
(ただ薙を遊ばせるだけというのもつまらんの……どれ、エージェントとしてどの程度成長したか、一つ見てやろう)
エルは小さく口元を吊り上げると、脳内でどう薙を試そうか考えつつも水着のカタログを眺めた。
『サイズが豊富とは素晴らしい』
と、エルが声を上げる。
『薙! 褌もあるぞ!』
「着ないよ?」
エルが顔に引っ付く位にカタログを差し出すも、薙は既に自分で選んでいたサーフパンツを手にしながら言った。
『布面積が全てではない。大事なのはラインじゃ』
と、言うエルは悩み抜いた末に決めた水着を着て、両腕を上げ後頭部に手を添え見事なボディラインを魅せる。
「あぁ、素敵ですわ! エル様、その考えに私も同意いたしますわ!」
その姿を偶然見たティリアは、エルを見つめながら笑顔で言った。
『ティリアは分かっておるな』
「ええ! 現役のモデルですから」
エルの言葉にティリアは両手を合わせ、嬉しそうに答える。
「ブラッドと対戦するのは初めてね。楽しみではあるけれど、少し心細いかも……でも、対戦するからには、手は抜かないわよ」
紺地に小さな白い蝶のシルエットがプリントされた露出度高めのバンドゥビキニ姿の花邑 咲(aa2346)は、ブラッドリー クォーツ(aa2346hero001)に向けていらずらっぽく笑う。
『…サキとは別のチーム、ですか……やるからには楽しまなければ損、ですね。オレも手を抜くつもりはありませんが、怪我にだけは気を付けて下さいねサキ』
サーフパンツに紺地に小さな白い蝶のシルエットがプリントされた水着姿のブラッドリーは、自身の事より咲を心配する言葉を投げた。
「……ぬぅ、プールなら浮き輪使って浮かんでいる方が好きなのじゃが……」
褌にサラシという珍しい姿の音無 桜狐(aa3177)は、単にプールで楽しむのではなく運動会と聞いて少し残念そうに浮き輪を握り締めた。
『桜狐も本気で楽しもう♪適当にやったら夕飯、油揚げ抜きで♪』
スポーティーなツートップ水着姿の水上 翼(aa3177hero002)が、桜狐の好物をちらつかせながら言った。
「……ん、と第一競技は『水上のスナイパー』なのね」
英雄とお揃いの水着姿の氷鏡 六花(aa4969)は、配られた進行表を見ながら言う。
『ふふ、お揃いの水着を着てくれて嬉しいよ』
露出度激高の紐の様な紫の水着姿のアルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)は、優しい笑みを浮かべながら六花の頭を撫でた。
「……アルヴィナが、どうしてもって……言うから……」
隠れているのは隠れているが、男性のエージェントに見られるだけでも恥ずかしいのに更にネット中継されているのもあり、茹でタコの様に顔を赤らめながら俯く。
『うんうん、母は素敵だと思うの。だから、六花ちゃん恥ずかしいかもしれないけど前を向いてくれると嬉しいの』
アラル・ファタ・モルガナが六花の手を取る。
「……頑張って、みる……」
こくりと六花は頷き、アルヴィナに体を寄せて隠れつつも顔を上げた。
「聞いてないぞ」
Vincent Knox(aa5157)が不服そうな顔で英雄を見る。
『たまにはいいでしょう』
だが、Albert Gardner(aa5157hero001)は何時もと変わらぬ表情で答えた。
「まぁ、良い。この事は競技で晴らそう」
Vincentの心の内に溜まっている駄犬(バート)への私怨を、競技で勝って晴らそうと彼は決めた。
●第一競技『水上のスナイパー』
様々な形状と大きさの浮きが、通常の深さのプール内に一定の間隔で浮かべられた。
そして、エージェント達の手には各々が選んだ武器(オモチャ)が握られていた。
赤の鉢巻きを付けているのが能力者、青の鉢巻きを付けているのは英雄。
「赤チーム参加者、麻生 遊夜、魂置 薙、花邑 咲、圓 冥人の4名だよ」
『青チーム参加者、ユフォアリーヤ、エル・ル・アヴィシニア、ブラッドリー クォーツ君、真神 壱夜の計4名です』
冥人と真神 壱夜が参加するエージェント達の名を言う。
「『開始!』」
と、声を上げると同時にホイッスルが鳴り響いた、
「じゃ、予定通り勝った方の言うことを聞くと言うことで」
『……ん、わかった……覚悟して、ね?』
遊夜が口元を吊り上げ笑みを浮かべると、ユフォアリーヤはくすくすと笑いながら頷いた。
素早く水鉄砲に空気を入れ、圧縮させ水を何時でも撃てるように準備をする。
水事態はあらかじめ補給されてはいるが、もし無くなった場合は自分たちでプールの水を入れるしかないだろう。
「……エルル、なんで、僕を狙ってこないの?」
ショットガン(水鉄砲)を手に、薙は訝しいそうな目つきでエルを見つめた。
『薙よ、これはチーム戦じゃ。こちらの人数が多いうちに敵方の強そうな所を落としにかかるのは当然のこと。この意味はわかるな?』
と、手にしたガトリングガン(水鉄砲)を手にしたエルは、不敵な笑みを浮かべた。
『注意、他の英雄からも攻撃がきます、と』
壱夜がエルの影からショットガンの水を放つ、が。
「こちらへ」
咲が薙の腕を引き、隣の浮きに移動させて射線から逃がす。
『まだ、機会はありますよ』
『だと、良いのだが……いや、これで少しは面白くなればな』
『彼も男なら、きっと貴女の元まで来ますよ』
壱夜の言葉を聞いて、エルは口元を吊り上げて視線を向けると小さく頷いた。
「やはりやることは一緒か……」
『……ん、ボク達は一心同体……離れても、考えは同じ』
遊夜とユフォアリーヤの2人は、スナイパーライフル(水鉄砲)を構える姿を見て双方とも笑みを浮かべる。
「『……なら、勝負を決めるのは純粋な技量!』」
と、声をハモらせながら遊夜とユフォアリーヤの2人は、仲間の後ろで互いの様子が分かって居るかのように浮島を渡りながら並走する。
「勝って、見せる。僕も、強くなったって……!」
そう自分に言い聞かせる薙は、浮島を渡り激戦している場所まで急いで向かう。
『……水風船の補充はどうすれば……』
『そこは母にお任せなのよ』
と、アラルが水風船を入れた網をブラッドリーに投げる。
「無い今が!」
薙がその瞬間にショットガンから水を放つ、が。
「危ない」
ブラッドリーの前に咲が立ち、水を思いっきり当てられてしまいびしょびしょに濡れてしまう。
『サキ、今は競技とはいえ敵同士なのに守ってどうするのですか』
「あ、つい……」
半ば呆れつつも笑うブラッドリーの言葉を聞いて、咲ははっとした表情で見上げた。
「仲良いのは分かるけど、ね」
そんな2人を見て冥人は笑い声を上げた。
『不意打ちし放題じゃ』
と、咲達の背後からエルがガトリングガンから水を放つ。
『サキ!』
今度はブラッドリーが咲を庇う。
「あ……ブラッドまで、ふふ」
濡れたブラッドリーを見て咲は思わず笑い声を出す。
『食らうがよい!』
エルが遊夜に向かって水鉄砲から水を射出する。
「……くっ!」
「僕は……エルルを、倒すっ!」
2人の間に薙が入り、エルに向かって水鉄砲から水を連続で射出する。
「頭、下げろ!」
遊夜が薙の頭を押さえと同時に自分も屈むと、頭上を水が通ってプールの中へと消えていった。
『……バレてた』
エルの後ろで狙撃していたユフォアリーヤが、素早く水鉄砲のタンクに水を入れる。
『もっと狙いやすく、そして視界を奪ってしまいましょう』
と、ブラッドリーが水風船を投げた。
「させません」
ずぶ濡れの咲が、肩で息をしながらショットガンで水風船を弾く。
「無茶したらダメだよ?」
「平気です。本当の闘いではないですし、ゲームなのでむしろ楽しいですねー」
冥人の言葉に咲は笑みを浮かべながら答えた。
『あの娘が盾役ならば、優先して落とすべきじゃ』
「そうは、させませんよ! エルル!」
エルの言葉を聞いた薙は、顔に付いた色水を落としてから水を補給し終えると彼女に向かって行く。
『……邪魔……させない、よ』
ユフォアリーヤが薙を狙う。
「狙いは、分かってる」
そのユフォアリーヤを遊夜が狙う。
「なら……両方を狙えばっ!」
薙が一歩前に出ると、エルとユフォアリーヤの手に向けて水を射出する。
『……っ!』
手にしていた水鉄砲をぽちゃんとプールに落とし、水面に浮かぶソレに手を伸ばすが。
「隙有り!」
『……んぶっ!』
遊夜が、ユフォアリーヤの顔面に向けて水を放つと彼女は水飛沫を上げながらプールへと落ちた。
「これで2人目ですねー」
咲がエルをプールに撃ち落とす。
「ごめんね、エルル」
そんなエルを見て、薙が駆け寄って手を差し出すが彼女は首を振って『今は競技に集中するのじゃ』と言ってプールサイドへと向かった。
ブラッドリーと壱夜が善戦するも、人数と急成長した薙のおかげで赤(能力者)チームの勝利となった。
「やったー!」
薙は首にぶら下げられたメダルを頭上に掲げた。
『(楽しそうでなによりだな……)』
その様子を見てエルは満足気に微笑んだ。
●第二競技『水上尻相撲』
プールの中央に浮かべられた舞台。
参加する女性陣もだが、画面の向こう側の『水上尻相撲』を知る視聴者は胸を躍らせる。
ただ、一部の視聴者はアニメの影響もあって違うイメージを想像する者は少なからず居た。
「赤チーム参加者、廿小路 沙織様、更紗・アーニャ・尋河凪様、御手洗 光様、音無 桜狐様、氷鏡 六花様の計5名です」
『青チーム参加者、ヘルフトリス・メーベルナッハちゃん、春雷后・夢鶴ちゃん、マリナ・マトリックスちゃん、水上 翼ちゃん、アルヴィナ・ヴェラスネーシュカちゃんの5人なのよ』
参加者の名前を言うと、様々な体系にそれぞれの体に合わせた水着を着てプールサイドに並ぶ。
「第一試合、更紗様と夢鶴様」
名前を呼ばれた更紗と夢鶴は、プールに浮かぶ土俵の上に立つ。
「本当に夢鶴の言うとおりになったです……」
『良い機会です。更紗、稽古をつけてあげましょう』
驚く更紗に対し、夢鶴は余裕のある声色で言った。
「それでは……」
2人は互いにお尻を向ける、少し屈む体勢を取る。
「開始!」
ホイッスルが響くと、更紗が一生懸命にお尻を振りながら近づく。
『真の尻の力は尻のみで引き出されるのではないのです。もっと腰を入れなさい』
最小限の動きで腰を動かす夢鶴は、更紗の攻撃をかわす。
「(凄い尻技……こんなんじゃ、勝てないです。でも、この技を得たら……!)」
出来る、そう自分を信じ更紗は跳躍してお尻をロケットの様に夢鶴へとぶつけようとする、が。
『そう、来ると思いました』
揺れる胸、躍るように体を捻り夢鶴は、更紗のお尻を避けると仁王立ちになり視線だけ更紗に向ける。
「はえ? あああああ!」
ばっしゃーんと水飛沫を上げながら更紗は頭からプールへと落ちた。
『上体を安定させなさい。無闇な乳揺れは修練不足というものです』
と、敗因を言いながら夢鶴が手を差し出すが、更紗は中々その手を取らない。
『どうしたのですか?』
「その、落ちた時に水着が取れてしまったのです」
更紗が両手で胸を隠しながら、プールの水面をぐるりと見回す。
『見られても減るモノじゃないから大丈夫ですよ?』
そう夢鶴が言うと、軽々と更紗をプールから上げるとネット中継の画面は暗転する。
『しばらくお待ちください』という文字が出ている画面に、更紗の悲鳴に近い声と同時に足音が遠のいた。
再びネット中継の画面が戻る。
「失礼しました。それでは2回戦、御手洗 光様と水上 翼様です」
布面積が少なく我身を惜しげもなく強調させる光に対し、布面積多めのスポーティーな水着に凹凸の少ない翼。
「よろしくお願いしますわね」
『ふふん♪勝負なら負けられないね♪本気でいくよー♪』
ウォーターメロンの様な胸が挨拶すると、ささやかな曲線の胸を張って元気よく声を上げた。
「開始!」
ホイッスルが響くと、光は自慢の大きな美しいヒップを円を描く様な動きをしつつ近付く。
『ここだね!』
翼が遠慮なく全力でただお尻を突き出す。
「ふふ、その程度では落ちませんわよ」
光は臀部、いわゆるお尻の部分が自分のお尻に当たる感触を感じ、ぐいっと腰を前に出し押し付けられたお尻の力を横に流そうとする、が。
『体が小さい分、利があるんだよ!』
と、言って翼がギリギリの所で耐えると土俵は傾き、プールの水が2人を濡らすも光は落ちない様に堪える。
「それは対策済みですわ」
光は唇を舐め、獲物を狙う猛獣の如く翼を見つめる。
『そうじゃなきゃ、楽しくないよね!』
ぴょんぴょんと土俵で軽く飛び跳ねると、翼はその小さな身体を活かしてお尻を突き出す。
「素敵で、愛らしい、お尻ですわね!」
『ひゃっ!』
光はきゅっとお尻に力を入れ、翼の胸部を覆っている水着を引っ張る。
「そちらも、とても愛らしいですわ」
『ちょ、それはありなの!?』
ぽん、と上が光のお尻によって取られた翼は、片腕で隠しながら声を上げた。
『あ、やったら、やりかえせば、良いんだよね!』
翼が速く、鋭く、尻を突き出すとはらりと光のビキニの紐が片方切れた。
「まだまだいけますわ!」
『こっちだって!』
お尻とお尻がぶつかり、肌が弾けるとプールの水が飛沫を上げ、尻相撲が別次元の競技に見えてしまう。
そして、土俵から勢いよく弾き出された翼はばっしゃーんと豪快な音と共にプールへと落ちた。
「当然ですわね」
光が胸部を強調しつつ、またもやプールの水面に浮かぶ水着と隠さずに土俵を上り終えて翼の体が見える前にまたもや暗転。
「こほん、失礼しました。3回戦、音無 桜狐様とマリナ・マトリックス様です」
女性としては背が高いマリナの一回り程小さな桜狐は、狐の耳と尻尾を揺らしながら頭の中は『負けたら油揚げナシ』の罰ゲームの事で一杯だ。
『あ、ああ、あの、私はぁ』
と、おろおろした声を出しつつもマリナは土俵へ。
「油揚げの為に勝つのじゃ!」
ふさふっさの尻尾が生えたお尻を向けながら桜狐は声を上げた。
「開始!」
ホイッスルが鳴り響くと同時に、桜狐とマリナは突き出したお尻を何故かふりふりと振るだけ。
そう! マリナは攻めずに受ける体制で、桜狐は運動が苦手な為に揺れる土俵に足を取られているので互いに動かないだけなのだ!
『ひゃっ、な、何か、くすぐったい、ですっ』
「……運動はそんなに得意ではないのじゃが……こういう感じでよいのじゃろうか……?」
体をくねらせるマリナに対し、桜狐は一生懸命にお尻を振りながら近づく。
ゆらゆら、狐の尻尾がお尻と一緒に揺れて白い背中に当たり、マリナは思わず吐息交じりの声を出す。
『だめです~』
マリナは背中に当たる『何か』から逃れようと背中を左右に動かすつもりが、何故か腰を振ってしまい魅惑的なポールダンサーの様に踊る。
「そんなに動いたら、土俵が、揺れるのじゃ!」
土俵中心にプールの水面が小さな波を生み出し、ぐらぐらと揺れを耐えようと桜狐が踏ん張ろうとする、が。
つるん、と足を滑らせる桜狐は、咄嗟にマリナの水着を掴むも水飛沫を上げながらプールへ落ちてしまう。
『あれ? ちょっと、違和感が……あっ』
太陽の光がいつの間にか無くなった胸部の布の代わりに隠す。
「ぐぅ、油揚げが……無しじゃ……」
再び土俵に上がった桜狐の手にはマリナの水着、そしてプールの水面に平たい布が浮遊していた。
「落ちた時に取れてしまったか……」
桜狐は水着を握り締めたまま、プールに漂うサラシを手繰り寄せる。
またしても暗転。
本日3回目である。
『え、えっと……4戦目、氷鏡 六花ちゃんとヘルフトリス・メーベルナッハちゃんなのよ』
『やっぱ、戦うより魅せつけてなんぼじゃんー』
カメラの位置と角度を計算されたかのようにヘルフトリスは、グラビアアイドルの様に土俵の上でポーズをする。
「……ん、よろしく」
六花は露出の高い水着姿に恥ずかしがりつつも、プールでの競技なので心の中では嬉しく思いながら土俵の上に立つ。
『意外や意外。赤1点、青2点と英雄チームがやや優勢? でも、ここから何があるか分からない。開始なの』
アラルが思いっきりホイッスルを鳴らす。
『もっと、あたしを見てほしいじゃーん!』
尻相撲よりもカメラに惜しげもなく妖艶なダンスをしながらヘルフトリスは、六花の猛攻をひょいと受け流す。
「……えいっ。……やっ……こうっ」
六花はぐいっとお尻を当てようと突き出すが、全て踊るように受け流される。
『いえーい、カメラもっとアップにして欲しいんだぜ~』
胸を腕で押し上げながらヘルフトリスはカメラマンに向かって指示を出す。
「……ん、手ごわい」
今のところ六花の攻撃を全て受け流され、ただカメラの向こう側で見ている人々の為に踊るヘルフトリスの技量を甘く見ていた。
「(……少しでも、隙が、欲しいの……)」
と、六花は少し考えた後に、プールに足を浸けヘルフトリスに向けて水を飛ばす。
『冷たいじゃーん! 濡れて、魅力が上がった気がするじゃんかー』
褐色の肌に水が滴り、太陽の光で艶やかに魅せられると瞬時に思ったヘルフトリスは、太陽の光が当たる場所へ移動する。
「……えいっ」
それを予測していた六花は、落ちない様に位置を気にしつつもお尻を突き出すとヘルフトリスはプールへと落ちた。
「……ん、勝った」
六花はアルヴィナに向かって小さく微笑んだ。
『やーん、水着取れたじゃんかー』
と、言いつつもヘルフトリスの手にはちゃっかり六花の蒼い水着が握られていた。
何回暗転させられるんだろう、と思う者や見れなくて『チクショウ!』と叫んでいる視聴者が居る中で、画面は待機している水着姿のエージェント達が映し出された。
準備を終え、再び画面にプールに浮かぶ土俵が映し出された。
『両チームとも2点! 運命の最終戦は、廿小路 沙織ちゃんとアルヴィナ・ヴェラスネーシュカちゃんなのよ』
片やMカップという凶器ともいえる胸囲を持つ沙織、片や踊り子の様に美しく『氷雪を司る冬の女神』と呼ぶに相応しいアルヴィナの2人が土俵に足を付ける。
『開始!』
決勝のホイッスルが鳴り響いた。
「とても重大な戦いですわ。え、えっと……お尻を当てて落とせば良いのですわよね?」
全身を使ってお尻を突き出す沙織だが、揺らす気が無くても溢れんばかりの豊満な部分は揺れる。
『六花が好きな色でもある青チームを勝たせます』
激しくぶつかり合うお尻、そしてその反動で揺れるウォーターメロン。
土俵が揺れ、ばしゃばしゃとプールが飛沫を上げ、体に水が掛かるのも気にせずに突き合う。
「ん、激しいですわっ。えいっ、そいっ」
激しくお尻と胸部のウォーターメロンを揺らし、沙織はくいっくいっとぎこちない動きで左右に避けようとする。
『そこです!』
沙織の動きを観察していたアルヴィナが、お尻が横に動いた瞬間に強くお尻を突き出す。
「えっ! きゃぁ!」
何がどうしたらそうなるのだろうか、沙織がプールに落ちた瞬間に水飛沫と共に舞うのは着けていた水着の上下。
『六花、勝ちました』
アルヴィナが優しい笑みを六花に向けながら手を振ると、激しく動いていたからであろうか水着が土俵に落ちた。
「負けてしまいましたわ……」
少し落ち込む沙織だが、六花がアルヴィナに駆け寄って祝っている姿を見て自然と笑みが零れた。
●第三競技『舞台でアピールINプール!』
プールサイドに設置された舞台!
何故か簡易コンロやらが舞台袖に準備がされた。
『第三競技参加者、狼谷・優牙君&プレシア・レイニーフォード君、月鏡 由利菜&ウィリディス、マリアンヌ・マリエール&ベル・ブベズリーブの3組です』
名前が呼ばれた参加者が集うが、プレシアが我先にと優牙の手を掴んで舞台に上がる。
『踊りを踊ってアピールなのだ♪優牙も踊るのだー♪』
と、元気に声を上げながらプレシア・レイニーフォード(aa0131hero001)は無邪気に踊り始めた。
「あ、アピールって何をすればいいんだろう。踊りってよくわからないんだけど!?」
突然舞台に上げられた優牙は、戸惑いの声を上げながらとりあえずプレシアの踊る真似をする。
『じゃーんぷ!』
音楽が流れだし、もりあがる部分でプレシアが両腕を振り上げながら跳ねる。
「じゃ、ジャンプ……」
優牙も見よう見まねで跳ねる。
『ジャンプしながらぐるぐるーするのだー♪』
プレシアが跳ねながら回ると、優牙も少し遅れて同じ様に踊る。
「ちょ、水着外れてるよ!? 隠して……ふぇ!? 何で避け……はぅ?」
『あや? 無くても特に気にしないよ? わ、優牙危ないのだ! わっと……あやや?』
やろうとしている事がちぐはぐな2人。
プレシアは優牙が制止するのを避け、前かがみだったので顔から滑るように盛大に2人はコケた。
「あれ、お尻がスースー……わあぁぁぁぁ!」
『あ、優牙の水着掴んでしまったのだ』
剥きたての桃の様なお尻が丸出しの優牙、無邪気に笑いながら水着を掲げるプレシア。
唐突に舞台の左右から幕が出てきて閉まる。
幕の裏でどたばたと撤退しつつ、スタッフが料理道具の準備しながら次の組を呼ぶ。
『うん、かわいいダンスありがとうございました。次はマリアンヌ・マリエール&ベル・ブベズリーブ』
「芸能人としてはぁ、ここを外す訳にはいきませんわねぇっ♪ベルちゃぁん、食べてるだけじゃなくてぇ、お仕事ですわよぉ♪」
と、マリアンヌ・マリエール(aa3895)が言うと、ベル・ブベズリーブ(aa3895hero002)はかき氷が山の様に盛られた器とスプーンを手に舞台へと進む。
『んっ♪皆ぁー、かき氷食べてるー?』
と、かき氷を口に入れながらベルは仲間に言う。
「皆様ぁ、わたくしのことはママって呼んで下さいなぁっ♪」
マリアンヌが幼い容姿とは不釣り合いな豊満なバディに、マイクロビキニで隠すところは隠しているもののとても危険な香りしかしない見た目である。
こんな子供にママなんて呼べない、と思うだろうが実年齢は見た目の何倍もあり子持ちの未亡人には見えないのは仕方がない。
『んっ、冷たくて美味しい。ベルだよー、よろしく!』
元気よくカメラに向かって手を振るベルは、スクール水着に無理矢理自分の体を詰め込んだのだろう水着が張って今にも色々な箇所が溢れそうだ。
BGMが流れ、マリアンヌとベルは音楽に合わせて元気よく陽気に踊り始める。
「さぁさぁ、まだまだいきますわぁ~♪ 皆様ぁ、手拍子を宜しくお願いしますわぁ♪」
マリアンヌが両腕を大きく振り上げながら手を叩く。
「あむあむっ♪美味しい~っ! 皆も食べてるー?」
と、器からこぼれたかき氷で胸元を濡らしながらベルは仲間に向かって声を上げた。
『あ、あたしが同じ土俵じゃ絶対勝てないよ! ……よーし、だったら!』
ウィリディスが幻想蝶からALB「セイレーン」を取り出す。
『3組目、月鏡 由利菜&ウィリディス……って、その補助防具はダメです』
と、壱夜はウィリディスの腕の中にあるALB「セイレーン」を指す。
『ええ! 私にはこれしかないのです……』
茶色の瞳を涙で潤ませながらウィリディスは壱夜を見上げた。
『その前に、その補助防具は共鳴しないと扱いは難しいです』
能力者対英雄の競技では、共鳴禁止となれば必然的に武器と魔法が使えないとう中でライヴスを通常より多く消費するALB「セイレーン」の使用が難しくなる。
『それでも、使ういます!』
と、言ってウィリディスは駆け出した。
「ベルカナから巨大鍋や食材を提供して貰いまして……参加者全員分の食を賄える」
由利菜が声を上げると、舞台に巨大鍋とそれで調理する食材が入っている巨大クーラーボックスが運び込まれた。
調理台が設置し終え、由利菜はくるりと手の中で包丁を回すと慣れた手付きで食材の下準備を始めた。
『あたしの身体能力を以てすれば、4回転も水上イナバウアーも自由自在だよ!』
そう言ってウィリディスは、ALB「セイレーン」でプールの上をスケートの様に滑ろうとする、が。
共鳴してないからだろうか、思うように滑られずプールサイドに座っている仲間に水が掛かるほどの水飛沫をあげながらプールの底へ。
『(無理ならっ!)』
ALB「セイレーン」を水の中で外し、ウィリディスはシンクロナイズドスイミングを始めた。
「ひ、日頃から運動が得意と豪語するだけはのことはありますね、リディス……!」
由利菜は食材を巨大鍋で炊きながら、プールの中で踊るウィリディスを見て感嘆の声を上げた。
「私の得意な料理の一つ『巨大パエリア』の完成です」
お皿にパエリアを盛り、由利菜はカメラにぐいっとお皿を近づけた。
そして、第三競技『舞台でアピールINプール!』が終了した。
『ネット投票の結果、青! 英雄チームの勝利となりました!』
壱夜が青い旗を上げながら言った。
仲間を労いの言葉を投げる能力者チーム、勝利して歓声を上げる英雄チーム。
『それでは、第四競技に参加する人は水球用のプールにお集まり下さい』
と、アナウンスが流れた。
●第四競技『水球』
日は傾き、心地よい風が会場を通り抜ける。
「赤チーム、セレティア様、長田・E・勇太様、Vincent Knox様、ティリア・マーティスの4名です」
『青チーム、バルトロメイ君、碑鏡御前ちゃん、Albert Gardner君、アラル・ファタ・モルガナの4名なのよ』
名前を呼ばれた能力者と英雄が互いを見つめる。
「なんてぇカッコだよ。ありゃあ……下はフンドシかぁ。色気がねぇナ」
長田・E・勇太(aa4684)は碑鏡御前を指しながら笑い声を上げた。
『そなたはヘンテコでヒラヒラなモノを穿きおって!』
と、声を上げながら碑鏡御前は勇太の水着を指す。
「水球!それはすなわち……」
『【水中の格闘技】だろ!? お前の考えそうなことは解っている!』
セレティア(aa1695)が続きの言葉を言う前に、バルトロメイが先に言いながら鍛え上げられた胸筋を動かす。
「ちっ」
悔しそうな表情で舌打ちしながらセレティアはこれから行われる、水球という名の格闘技に備えて作戦否、悪だくみを練る。
「まぁ、セレティア様。競技が始まりますので、参りましょう」
「はい♪」
差し出されたティリアの手を取り、セレティアはぶりっ子モードに入る。
『(俺はその2つのボールで水球したいです……)』
前に撮った写真を思い出しながら、バルトロメイは煩悩に塗れた言葉を心の中で呟いた。
水球用のプール、深さは2m以上もあるのだが巨漢が入れば普通の深さと勘違いしてしまう。
低身長の人達が入れば、足は届かずに常に立ち泳ぎを常にしていなければならない。
『開始!』
壱夜がボールを中央に投げると、VincentとAlbertがプールから宙へと飛び上がりボールへと手を伸ばす。
「……無断でエントリーしてまで、僕を打ち負かしたかったのか? そんなに僕が嫌いか?」
『え……?』
VincentがAlbertを睨みつけながら言う。
『嫌っていたらそもそも一緒に行動していません。こうでもしないと、貴方は年相応の遊びをしないでしょう』
「……予想外の答えだが、良しとしよう。ところでバート、戦いの最中に気を抜くのは良くないぞ」
律儀に答えるAlbertに対し、Vincentは目を見開くと彼の背中に上り蹴り上げるとボールを掴む。
『(多少なり実力の差があるので少々手を抜いただけですよ?)』
と、思いながら意気揚々とボールを手に泳ぎだすVincentを見るAlbertは、ディフェンダーのバルトロメイにハンドサインを送る。
「く……っ! 体格さではこちらが不利、か」
グリズリーの様にVincentの前にバルトロメイが立ちはだかる。
「こうなったら……ティリアさん、ティリアさん」
セレティアはティリアを手招きし、耳元でぼそぼそと作戦を言う。
巨漢なのに素早い腕の動きでVincentを翻弄するバルトロメイ。
『くっそ! 小回り可能な分、ティアと同じくらいに面倒な相手だな』
「巨体なのに、素早いぶん厄介ですね」
激しく攻防を繰り広げる中、セレティアが両手を頭上に上げてパスを求める。
「頼みます!」
「やーん。そんなに強く投げたら~取れない~」
と、ひ弱な乙女の演技をするセレティアは、ボールをワザと取れないフリをし隣のティリアが取る。
『させぬ!』
碑鏡御前が横から取ろうとするが、勇太がそれを阻止する為に2人の間に入る。
「読み通りダ!」
『ぬぅ!』
水中から現れた勇太に碑鏡御前は少し驚きつつも、再びプールの中へ戻そうと頭を両手でグイグイと押す。
『ハッ、ティリアさん……』
「バルトロメイ様……どいていただけませんか?」
ゴール前に浮かぶバルトロメイの前にティリアが現る。
しかも、水着姿なので直視出来ないでいる男・バルトロメイは戸惑いの声を出しながらオロオロと、その場で左右に動く。
『マーティス殿、失礼します』
と、ティリアの手からボールをAlbertが取る。
「バート! また姑息な手を」
『姑息ではありません、ちゃんと一言申してこのボールを取りました』
Vincentが吠えると、Albertは顔色を一つも変えずに答えた。
「ユー達は仲が良いケド、ほどほどにするんだナ!」
勇太が颯爽と現れ、ボールを取るとゴールに向かって泳ぎだす。
『そんな事させねぇ!』
「え、えっと……ダメですわ」
バルトロメイの前に再びティリアが立ちはだかる。
『させぬのじゃ!』
「HEY! JACKPOTダ! 食らいやがレ!」
と、勇太はゴール前に現れた碑鏡御前の顔面に向かってボールを投げた。
豪快に碑鏡御前の顔面にボールが当たり、飛び上がったボールをVincentが掴み無人と化したゴールに投げ入れた。
『ワシを怒らせよったな! 誅罰をくれてやろう! 覚悟するがよい!』
碑鏡御前は怒りのオーラを纏い、殺気を含んだ鋭い針の様な視線を勇太に向けた。
『2回戦目、開始!』
元の配置に戻った参加者は、壱夜の合図と共に再びボールが空高く投げられた。
『うぉぉぉぉぉぉ!』
「バルトさん! 覚悟!」
飛び上がるバルトロメイ、それから少し遅れて跳躍するセレティアは水着を握りしめると、グイッとズリ下げるが。
『そんな事もあろうかと思って、安心の二枚重ねだ!』
水着の下に水着という対策をしていたバルトロメイは、脱がれてもなお勢いは止まらずボールを取る。
ただし、鍛え上げられた太ももで水着が見えなくなってまるで全裸の様だ。
「もっこりハイレグパンツ野郎!」
悔しさのあまりに小学生レベルの悪口を言うセレティア。
『ふんっ!』
着水する前にバルトロメイは仲間に向かって遠距離パスをする。
『流石じゃ!』
『これで、同点です』
Albertが軽々とボールをキャッチし、碑鏡御前が近づけさせぬように鉄壁のディフェンスをしてゴールにボールがシュートされ青チームに一点入った。
「同点、か……一点でも入れれば勝てる」
3戦目の合図と同時にボールが再びプールの上に投げられた。
『全力で勝ちに行くとするか』
と、碑鏡御前が我先にとボールを取る。
「ババ……グフッ!」
『おや、何か踏みやすい台を踏んだようじゃな』
勇太の言葉を聞いた碑鏡御前は、先ほどの仕返しと言わんばかりに顔面を蹴って一気にゴールへと近付く。
『ティア、よくも序盤にティリアさんを仕掛けたな!』
「ふふん、作戦も大切なんですよー」
バルトロメイがセレティアと水面下で格闘をし始めるが、ルールもあるのでセレティアの攻撃を受け流すことに徹底するバルトロメイ。
「バート! 抜かせないぞ!」
『それでは、全力でお相手致しましょう』
ボールを手にしているAlbertをVincentは睨んだ。
ボール目掛けて手を伸ばすが、それを先読みしたかのように爪一枚でボールに手が届かない。
「はっ!」
『良い動きです』
Albertの言葉にVincentは片眉を上げ、不満気な表情をしつつもボールを奪おうとあれこれと試行錯誤する、が。
『ですが、たまには敗北の苦渋を味わう事も必要だと思います』
と、言うとVincentは、Albertの後ろに素早く回り込むとゴールにボールを投げ入れた。
「な……いつの間に!?」
『もちろん、ボールを奪うことに気を使っていた間にゴール前まで移動させていただきました』
Albertの疑問にVincentは笑顔で答えた。
終了の合図がプールに響き渡った。
『どうでした?久々に遊戯に興じた感想は?』
「疲れた。だが、こういうのもたまにはいいだろう」
Vincentの問いにAlbertは笑顔で答えた。
●第五競技『水泳』
「人数の都合により、リレーではなくて25mの水泳自由形となりました。参加者は、御神 恭也様と伊邪那美様です」
飛び込み台に立つ恭也と伊邪那美。
「良いのか? いささか俺の方が有利だと思うが」
と、恭也が問う。
『なら、『舞台でアピールINプール!』か『水上尻相撲』にする?』
伊邪那美は一瞬考える素振りを見せて答えた。
「……消去方で、大きく差が出ないのは水泳しかないのか」
先ず、性別の点で多少力の差があり、特技もそれと言って尖ったモノが無いので結果的に『水泳』という選択しか残らない。
『そう言う事。あっ、今回はお互いに邪魔は無しで行こうね』
「なるほど、勝算はありと言ったところか」
準備体操し終えた伊邪那美は指先を向けると、恭也は納得した様子で頷いた。
「最後の競技……よーい、スタート!」
小型の空砲が発破音を響かせると、恭也と伊邪那美は同時にプールに飛び込んだ。
「(バタフライが泳げれば、勝つ公算は高かったが……まぁ、侮る訳じゃ無いが負けは無いだろう)」
『(息の長さには自信があるからね。なんだったらプールの端から端まで潜水で泳ぎ切ってみせるよ)』
恭也は腕を交互に回しながら泳ぐクロールに対し、プール底に潜り潜水をする伊邪那美。
速度は僅差が無く泳ぐ二人だが、抵抗の少ない体で尚且つ小柄な伊邪那美が徐々に差をつけ始める。
長く感じる中、25m地点に着き先に顔を上げたのは……伊邪那美だ!
『いや~、今の泳ぎって早いんだね~。潜水が駄目だったら勝ち目は無かったね』
水から顔を上げた瞬間、伊邪那美の耳には割れんばかりの歓声が響いた。
「俺はレース中の場の騒めきに気を取られたがな……」
と、恭也は肩を竦めた。
『吃驚したよ~。呼吸の為に水面から顔出したら歓声が上がるんだもん』
伊邪那美は太陽の様に赤い瞳を輝かせながら恭也を見上げた。
「そうだな。この歓声は伊邪那美だけに向けられたモノだ、皆に向かって笑顔で手でも振れば良い」
『うん!』
恭也の言葉に頷きながら伊邪那美は笑顔で手を振った。
●結果発表
「それでは……勝ったチームは、青チーム!」
と、ティリアが声高らかに言うと、英雄達は歓声の声を上げた。
「代表者は前へ」
『ここは伊邪那美様、どうぞ』
マリナが伊邪那美の背を押す。
『良いの……かな?』
『……ん、最後の競技……頑張った、からね』
戸惑う伊邪那美にユフォアリーヤが笑顔で答えた。
『じゃ、じゃぁ』
「青チームこと英雄チーム、優勝おめでとうございますわ」
前に出た伊邪那美に、ティリアは笑顔で金色のカップを手渡す。
『やったー!』
伊邪那美が金色のカップを掲げると、英雄達はより一層に歓声を上げる。
そして、能力者チームと英雄チームに分かれたまま集合写真を撮ってネット中継は終了した。
結果
シナリオ成功度 | 普通 |
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