本部

サマーフェスティバル~LIVE編~

鳴海

形態
シリーズEX(続編)
難易度
易しい
オプション
参加費
1,800
参加制限
-
参加人数
能力者
12人 / 4~12人
英雄
12人 / 0~12人
報酬
少なめ
相談期間
5日
完成日
2017/08/25 11:46

掲示板

オープニング

●さぁ、本番だ。
 皆さん準備は十分ですか? 思い残すところはないですか?
 泣いても笑っても、ステージの上で起きたことがあなた達のすべてで、あなた方の浴びた拍手の数が、価値です。
 歌も踊りも重要ですが、そのあいだを繋ぐMCもリンカーの強みである迫力のある演出も重要です、場合によっては視線運び、仕草ですら評価に直結するかもしれません。
 本番はきっと緊張することでしょう、ただそれを乗り越えた先の歓声の心地よさも皆さんはしているはずです。
 さぁ、本番です。説明は前回示しました。
  

● プレイイングについて。
 基本的に前回のプレイイングと、今回のプレイイングを合計してのリプレイ執筆になります。
 前回は皆さん、ステージで何をするのか……つまり。歌のラインナップや進行順番について書いていただきました。
 曲の内容やテーマについて。
 今回はそれを補強するようなプレイイング。もしくは曲の中での立ち回り。MCの内容。
 ステージ以外の楽しみについて書かれるのがよいでしょう。
 ステージに立って謳うだけがアイドルではありません。その裏に隠れたドラマもあるはずです。
 今回はアイドルリンカーたちのライブの裏側に密着した映像作品も創る予定なので、少しだけ意識してみて書いてください。
 

● 宣伝活動について。
 今回は皆さんはどこのステージで演目を行うのか、今回サマーフェスに来てくれる皆さんにアピールする必要があるでしょう。
 チーム名。どこのステージか、見どころ。等。
 様々な場所で宣伝するといいでしょう。


 ● ステージについて。

1 屋外ステージ
 天井もない照りつける太陽の下お客の声を全身に浴びて謳うステージです。
 映像を映し出せるスクリーンが中央に一枚しかありませんが。ステージ幅が200メートル程度あるので、派手な演出をしやすいでしょうか。
 
2 ライブハウス風会場
 豊富なライトエフェクト、前方左右に備え付けられたモニター、高級な音響設備で、聞かせる音楽に関してはもってこいの場所です。
 動員数が二百人と小さいのですが、それでも普通のライブハウス並の人数は入りますし、演出が一番派手にできることでしょう。

3 コンサートホール風会場
 会場の大きさは屋外ステージとライブハウス風会場の中間程度ですが、一番の特徴はお客さんが座って音楽を聴ける屋内であることです。
 また。生の音が響くことに気を使って作られているので、ピアノやヴァイオリンと言った電子を介さない音であればこちらの会場が一番強いです。

4 水辺ステージ
 会場中央には湖があるのですが、その中心に浮かんだステージです。
 使える電子機器が少なく、モニターとスピーカー程度なのですが。ALブーツによる演出、水を使った演出もできるので、戦闘やダンスを取り入れるリンカーにとってはやりやすいのではないでしょうか。
 夏にぴったりなステージですしね。
 またこのステージでは空を飛ぶための翼も貸し出すことができます。

5森林ステージ
 ここにはステージと言える舞台はありません。
 舞台の上で歌い踊るのではなく、森の中で歌い踊っていただきます。
 観客も森の中に座ったり立ったりしているので、非常に観客との距離感が近いです。
 この森の木にはVBRの装置がとりつけらえているのでアーティストたちはこの森の中では自分の姿を自由に写したり消したりできるのです。
 ただ観客動員数が50人程度ですね。ここで演奏するなら、チケットは激レアと呼ばれることでしょう。

解説

目標 ライブを成功させる。

 今回はリハーサルを終えた本番からのスタートです。
 皆さんをバックアップするのは最高の仲間たち。
 観客席にはお友達もきているででしょうか。
 振付とか、あらかじめ決めておくと楽しいかもしれませんね。
 お客さん向けにアピールするための掲示板を別に作るとわかりやすいかもです。
 では楽しい夏の一時をどうぞ。

リプレイ

プロローグ

 サマーフェス当日は案の定の炎天下であったがチケットの売れ行きは上々。
 つまり繰り広げられるのは長蛇の列。
 これでは死人が出てもおかしくない。
 そんな状況を見越して救急医療ブースを設置したのは『榊原・沙耶(aa1188)』である。
 熱中症対策に氷水に浸したタオルをライヴ会場入り口にて配布。
 それには当然ものプロのロゴと、なんだか分からないゆるキャラをプリントされている。『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』はそれを山羊がどうのといっていたが、なんのことだろうか。
 体調不良や緊急時の避難経路などを示す、安心と安全に配慮したイベントアピールは好評で、サマーフェスは順調な滑り出しである。
 また過度なモッシュ、ダイブなど危険行為に目を光らせていく予定の沙羅だが、さっそく彼女も目を見開く来客が現れて思わず走り出した。
「ちょっと、なに妊娠してるのに平然と歩いてるのよ」
 とりあえず、車いすと余分なタオルや水分を手渡す沙羅。
 タオルや水分については過剰なまでに余裕があるので大丈夫、そう言って笑った。
 そんな入り口をくぐると『榊 守(aa0045hero001)』がパンフレットを手渡してくれる『泉 杏樹(aa0045)』も案内役をやりたそうにしていたが、さすがにアイドルが入り口に立っていたら大混乱を招きかねないのでなだめてきたところだ。
「今このライブが始まる時間です」
 そう来客のパンフレットを指さしながら説明する榊。そんな榊はふとアイドルが控えている建物の方に視線を向けた。
 今日と明日、それぞれ一回ずつ講演を控えているアイドルたち。
 その中でも杏樹と『アル(aa1730)』そして『ルナ(aa3447hero001)』で構成されているALAは準備を済ませ待機状態。
「茉莉花からのアルさん」
 杏樹はアルの手を取る。
「予選からのルナさん」
 そしてもう片方の手でルナの手を取った。
「二人と一緒に大舞台で歌えて嬉しいの」
 えいえいおーっと三人は掛け声とともに手を上へ。本番がこれから始まるのだという実感が杏樹の胸に、期待と不安となって広がった。
 外で花火が聞える。夏が始まる。


第一章 会場は大賑わいです。

「澄香と…………」
「いのりの…………」
「「リンブレイディオ! inサマーフェスティバル」」
 皆さんはリンブレイディオという番組をご存じだろうか。彼女たちが活動し始めて間もないころからMCを務める、H.O.P.E.界隈の、あれやこれやを取り上げた人気番組なのだが、今日はなんと特設ブースを屋外に設置しての公開収録である。
「みなさんこんにちは! …………声が小さーい! そんなんで甲子園に行けると思うな!」
 ワーッと立ち上がる歓声と拍手、野太い声でこんにちわ―と返事が返ってくると『蔵李・澄香(aa0010)』も『小詩 いのり(aa1420)』も花が咲いたような笑みを向けてくれた。
 ガラス一枚向こうでのリンブレイディオ収録、ファンにはたまらない光景である。
「甲子園関係ないでしょ! みんなー、こーんにーちはー!」
 こんにちわ―っと今度はまとまった声が上がる。
「うーん、いいね! さすがサマフェス」
「この番組はリンカーアイドルを応援する特別番組です」
「そして初の公録だよ。みんな盛り上がって行こうね!」
 ちなみにこの放送は会場内至るところに設置されたスピーカーから放送されている。
 ある意味、今は会場全体が二人のステージである。

「この番組は…………。
 H.O.P.E.東京海上支部。
 万来不動産。
 グロリア社。
 ワールドネットリンク。
 の提供でお送りいたします」

「まずはゲスト紹介のコーナー」
 澄香が手元の資料を告げる。
「普段はお便りを読み上げるところだけど、今日はお手紙にしなくてもお話を聞きたい人がいっぱいいるから直接呼んじゃうよん」
「最初はみんなに今回のサマフェスにかける意気込みを聞いてみようか」
 続々と入室してくるゲストたち。澄香たちの目の前にはややスペースがあり、そこに座らせられるようだ。ハの字型になっており顔が全員に見えるようになっている。
 そこにはアイドルリンカーの仲間たち。『イリス・レイバルド(aa0124)』や『アイリス(aa0124hero001)』杏樹や『赤原 光夜』等、早々たる顔ぶれである。
「じゃあ、杏奈さんからどうぞ!」
 自己紹介を促されマイクを取ったのは『世良 杏奈(aa3447)』ルナを抱えて観客に手を振る。
「皆さんこんにちはー♪ 世良 杏奈です、今日はよろしくお願いします♪」
「ルナです!」
 そう手を振るルナだったが彼女が小脇に抱えていた本が暴れ出してポンッと中から何かが出てきた。
「ドーモ、ライブ・オーディエンスさん。ゆっくり杏奈です」
 奇妙なゲストの登場に沸き立つ会場。まぁもっと奇妙な生物なら他にいるのだが。
「ドーモ、タカナシごふっ」
「わああああああ、沙羅さん公開録音ではやめて」
 先ほどからダパダパと流血している少女はもちろん沙羅。
 そんな彼女の前には『見せられないよ』と書かれたすりガラスを設置する。
「ここからはインタビューっぽくゲストのみんなを丸裸にしていきます。夏だけに」
 そして目の前の大参事をなかったかのように話を進める澄香である。
「上手いこと言った風に言うなし!? でも、色々聞きたいことはあるね」
「まず饅頭げふんげふん…………杏奈さんから。私たちのラジオこんなだけど」
「こんな言うなし」
 いのりがすねた表情を向けるが、澄香は平常運転だ。
「出演に不安はなかった?」
「ぜーんぜん!いつも聞いてるラジオだし、いのりちゃんも澄香ちゃんも見知った仲だし、とっても楽しみにしてたのよ♪」
 膝の上にルナと饅頭を抱えながらもいつもの笑顔を崩さない。
「あの、杏奈さん、そのお饅頭って」
 ひどく言いにくそうにいのりは杏奈の膝の上を指さした。
「フフフ、よくぞ聞いてくれました。お饅頭とは、アルスマギカ・リ・チューンの脳との情報共有機能を使って生み出された非常に高度な魔法生命体である。姿は使用者によって自由自在、体当たりさせて攻撃に使ったり寂しい時の話し相手としても重宝させる。アルスマギカシリーズを所有している魔法使いさん達には是非お饅頭を有効活用して頂きt…………」
「アルスマギカについては、『広告塔の少女~新型AGW開発局~』の報告書を読むとよくわかると思うよ」
 澄香がそう杏奈の言葉をバックに告げた。
「藤大好きげふんげふん…………アンにはこれ聞きたい。和風アイドルっていう路線を選んだのはどうして?」
 杏樹はなんだかこんな場所でいのりとお話ししているのがおかしくなって少し笑う。
 そして息を吸い込んで言葉を返した。
「榊さんが……アイドルさんも、差別化が必要と言ったの。杏樹らしい、個性は、和風かな? と思って」
「確かに和風ってキャラクターは今までなかったよね」
「妖精とか、天使ならいたんだけどね」
 そうイリス、アイリスに話題を差し向ける二人。
 硬直するイリス。
 イリスが動けないことをいいことに、澄香は立ち上がってイリスを抱きかかえると自分の膝の上に乗せた。すっぽりと収まりがいいのである。
「ははは、ちょっと話しだせばすぐに解けると思うよ」
「だったら、イリスちゃんアイちゃんは、今回歌う曲の制作秘話とかあったら聞かせてくれる?」
「制作秘話か…………最近は一癖二癖では説明しきれない挑戦も多くてね」
「今回は誰でも歌えるが最初の目標だったんです……ええ、最初だけです」
 本当だった、イリスが自分から話し始めた。
「何せ扱う音が多すぎたからね、即不協和音。どうにか調和を取ろうと一つ一つの音を可能な限りシンプルにマイルドに」
「やりすぎて感情の役割を持たないただの音になっちゃったからね」
「なので妖精の祝福という力技で成し遂げた。まぁ、変わりに誰でもは無理な専用曲になってしまったが」
「普通の人じゃ演奏できない曲に仕上がってるよね、羽とか使って」
 イリスが苦笑いを浮かべた。
「今回、私の羽をいったん解いて再構成。奏でるのは32の音の組み合わせなのだがね。音を感情と見立てている」
「でも結構穏やかなんですよ」
「魂を音楽で再現しよう。では魂とは何かで感情の集合体というアプローチを選んでみたからね」
「喜怒哀楽、別に怒ってなくたって怒るための感情はちゃんとあります。怒ってないから静かなだけ、この曲も穏やかなだけでそういう感情は内包してあります」
「あくまで感情という役割を与えた音だからね。絵で例えるなら、怒りは赤色とかそういうものだよ。赤でどういう絵を描くかはその時の心しだいだ」
「色だって赤だけじゃなくて青とか黄色だって使います。そういう感情の音を組み合わせて作った曲ですね」
「歌も特定の感情が強まり過ぎないように穏やかなのを用意したのだよ」
「……『赤子の気持ちになる』とか言って裸で湖に沈むお姉ちゃんとか普通に人には見せられない世界とか展開してたしね」
「妖精なんて神秘の塊だろうに」
「神秘の世界すぎる!?」
 すっかり専門的な世界であるが、その手の知識に明るい人間は聞いていて楽しいのだろう。部屋の隅っこで春香が興味深げな顔をしてる。
「春香にも来て貰いました。春香はまだメディアへの露出は少ないと思うけど、これからの展望とかどう?」
「あ、ひゃい! あの、私は今、ルネシリーズを作ってて、それで……頑張ります!」
「赤原さん、今回のサマフェスの見所を教えて下さい」
「あ~、今回はよ。若手……をメインにメンバーを構成した。ブッチャけベテラン勢は撒き餌だ。これに集まってきた音楽好きクソ野郎どもの心をお前たちで掴んでくれ。観客のお前等みんなは、がっちりつかまれたハートそのままに若手アーティストをおうえんしてくれ、頼んだぞ」
 そう赤原が締めくくるといったんCMが挟まり、澄香の嫌いなあのコーナーがやってくる。
「ダイス様の言うとおりinサマフェス!」
「さーて、阿鼻叫喚のダイスゲームのコーナーです」
 もはや目が死んでいる澄香。
「ただし今回挑戦してもらうのはゲストの皆さんです」
「「みんな覚悟はいいかい?」」
 今回はシンプルであった、ダイスの出目で一番数値が低かった人にはくらり屋特製からし入りたこ焼きの刑である。
「そーれ、一気、一気」
「澄香、生き生きしてるね?」
「自分じゃないからね!」
 そんな内容盛りだくさんの時間でも終りは来るというもの。
「そろそろお別れの時間となりました」
 えーっと会場から名残惜しむ声が響く。
「ふふ、ありがと。オンエアを楽しみにしててね!」
「じゃあ、たった今私たちの仲間がステージに立ったところだからその一局目を背景にお別れしようか」
「トワイライトツヴァイで」
「曲名はダスト」

第二章  トワイライトツヴァイ

「仕事だが、何時も通り楽しんで来い」
 そう告げて『Agra・Gilgit(aa1480hero001)』は二人を送り出した、舞台裏で二人の背中を見守っている。
(少しは見ない内に成長はしたか……さて)
 トップバッターを飾るのは『楪 アルト(aa4349)』
 屋外ステージの超満員の中、暗くなったステージ中央でピアノの鍵盤に指をかける。
 そしてその空間に音が突き刺さる。
 スクリーンに灯される小さな星々。それが曲の進むにつれてどんどん星が増えていく。
――たとえ小さく儚い花でもいつか実りあるものになると信じて。
 それは一つだけじゃない……すべてに意味がある。
 貴方もその中の一人だから、輝きを失わせないで。
 弾き語りが終われば『鈴宮 夕燈(aa1480)』が元気にとびだしてきた。
「みんなありがとぉ~」
 その隣に立ってアルトも一緒になって手を振った。
「頑張る。頑張るさんやでー♪ 今日はお姉ちゃんと一緒やし、あぐやんも居るしー大丈夫ー大丈夫ー♪」
 まあ、行った矢先から腕がすっぽ抜けてアルトにあたっていたのだが。
「うわわわ、ごめんって、あ! 次うちの曲や! すたんばい、すたんばい!」
 そう壇上からアルトを避けると夕燈はマイクを握り手を伸ばした。
『日向の音~soleil~』彼女の定番の曲である。
 それにアルトの『影踏の音 ~Forsythia~』が続く。
 『→1step←』で夕燈にバトンタッチ。
 彼女らしい明るい曲だった。
 謳い終われば息もつきつつ再び挨拶。アルトに背中をさすられながら。少し談笑を。
「いや~、にしても暑いなぁ」
「涼しくなる話しようか?」
 そうアルトが悪戯っぽく笑う。
「……あ、怖いの苦手やから却下ーっ却下―……や、振りとかやあらへんからね! せんでよかけんね! お手て、お手て取れるで!?」
「そっちの方がホラーね」
「所でお姉ちゃんのお胸さんがまた成長しとぉ気がしとんのとけど……うち……うちは……」
「なに変なところでしょんぼりしてるのよ」
「次謳うのも新曲やし、ええなぁ、お姉ちゃん」
「あなたも作ればいいだけよ」
 そう告げつつ、夕燈は一歩後ろに下がる。そしてアルトは前に。
 またおしとやかな曲なのかと思いきや違う。
 突如共鳴、背中に生えるスピーカー、そしてエレキギターでロック調のサウンド。共鳴時に発生する電子鍵盤も同時に奏でて歌う超絶テクニック。

――誰にも繋がらない。誰も返事をしてくれない
 冷たい、寂しい。孤独な部屋で一人また
 聴こえない音色を拾おうとしていた

 ギターを弾いていない時は鍵盤を人撫で、まるで踊るように壊すようにアルトの音楽は続く。

――でも暖かいものはずっと持ってたんだ
 シンセサイザーの音色は聞こえてたんだ
 ただあたしが聞こえないふりをしていた


――アナログ調で不格好に歌って
 フィルター越しには何が見える?
 素敵な音色の見える先で
 あなたともっと……歌い-共鳴し-たいんだ

 余韻が響く会場から、沸き立つような歓声が。
 そこから夕燈の『P@P』へとつないでいく。今日はアルトがハモリで二人一緒に腕を突き出して謳う。
 可愛くハードな二人だからこそ照りつける太陽はふさわしい。
 そしてMCもそこそこに二人は左右に別れた。
 響くのは『日向の音~soleil~』? 『影踏の音 ~Forsythia~』?
 違う。それら二つが解け合い重なり合う。『安寧の歌』
 日向の暖かさと日陰の安らぎの二つの意味を込めたデュエット曲。
 夕燈がソプラノ調でアルトがアルト調二つの声を左右から響かせるために二人はステージ上を端から端まで走った。
 最後の曲にアンコールの声が重なる。夏はまだまだ続いていく。


第三章 謳っていなくてもアイドル。

 謳っていなくてもアイドルにはやるべきことがある。
 杏樹は握手会にと飛び立って行ったし。『卸 蘿蔔(aa0405)』にはアイスを売る大切なお仕事がある。
 『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』曰く。利益と、メンバーに売り子をさせてお客さんと触れ合い、ステージの集客率向上が狙い。らしい。
 暖簾には『アイス喫茶がーでぃあんず』と刻まれている。
 展示販売用屋台をレンタルして皆で飾り付け。椅子、パラソルテーブルをセット。ポスター、ビラも自作済み。
 全て手作り、財布に優しい。
 そんなお店は大繁盛で。クラリスがレジをやり『八朔 カゲリ(aa0098)』と『セバス=チャン(aa1420hero001)』『レオンハルト(aa0405hero001)』で給仕を行っていた。
 ちなみに売り上げは愚神被害の補償へと寄付するらしい。
「覚者も幼い頃に世話になった身、そうした使い方なら何も言うまいよ」
 そう『ナラカ(aa0098hero001)』も告げてアイス販売に精を出している。
 そんなナラカは子供に大人気な様子、カードを手渡し手を振るなんて光景を興何回も見た。
 そう、カード。先ほどから子供たちに配っているカードだが。これはがーでぃあんずメンバーのトレーディングカードをアイスのオマケで配布しているのだ。
 しかも、発売が決まっているソングオブサマナー2で使えるプロダクトコード付きである。
「いのりやイリスペア、ナラカちゃんはレアとしてサイン入りのキラ処理です」
 クラリスが告げると澄香が問いかける。
「私は?」
「タカナッシーと一緒でコモンですね」
 まぁそれについて不満はないが……。
「おい…………。誰か足りなくない?」
「はて、誰のでしょう」
「私です!」
 蘿蔔が手をあげた。
「ああ、ちゃんと蘿蔔のもあります。シークレットレアで」
 たぶん五千枚に一枚とかなんだろうなぁ、そう思いながらも話しかけた本題を思いだし、蘿蔔は両手を高々と上げた。
「すみちゃん、すみちゃん。実は私新しい味を作ってきたんです」
「ほうほう、商品が増えるのはいいことだ」
 そう大仰に頷いて蘿蔔のアイスを覗き見る。
「泥味に続き新しくカナタ味です、オレンジシャーベットの上に彼方さんの瞳の色と同じ砕いた飴をかけたものなんですが」
「よし、採用」
「では澄香よ。バニラ&苺味。黄金と真紅の色合い。焔の鷲味等作ったのだが」
 カゲリがアイスを差し出す。
「え! これナラカお姉ちゃんが作ったの? すごい!」
「私と反応が違う……」
 リアルにへこむ蘿蔔である。だが蘿蔔もプロ、悲しい顔をしつつも宣伝もきっちり忘れない。
「明日13時からステージやりまーす。見に来てくださいね」
 蘿蔔が澄香のセリフを代わりに告げる。というのもお友達が来たからだ。
「それは、要相談だね、内の台所に試作品は沢山冷凍されてるけど?」
 沢山の人に応援されてるんだなぁ、そんな風に思って蘿蔔は一人笑みを浮かべる。


第四章 ALA

 場所はライブハウス。最先端機器がギュッと集められた電子の世界で虹色の光のカーテン、その向こうに、少女たちのシルエットが浮かぶ。
 観客席は光の海。アルの髪色を思わせる金色や、ルナの赤。柔らかい藤色等、花畑のように染まっていく。
 その会場を見つめて、杏奈とルナは手を繋いで最後に気合を入れるのだった。
「さてと、いよいよ本番ね! ルナ、準備はOK?」
「もちろんよ! たくさん盛り上げられる様に頑張らなくちゃ!」
 直後会場にばらまかれたのはゆっくり杏奈。

「「ゆっくり盛り上がっていってね!」」

 ぱあんっと光が爆ぜた。
 会場中心に躍り出たのは杏樹。
 白雪の振袖を見に纏い、純白の乙女はら~っと澄んだ声を響かせる。
 あんじゅ~と声が響き、最前列ではサイリウムをぶんぶん振ってる男性が見えた。
 そしてテクノポップの可愛らし曲が流れ始めると、空からルナが降ってきて。
 そのルナを抱きかかえると、背後のモニターにALAメンバー紹介PVが流れていく。
「ルナさん、皆が元気になる歌、歌う、です」
「あんじゅ~と私でforward」

――リンリン
 発車ベルが鳴り響く
 行かなきゃ
 君がくれた
 勇気抱え
 明日へ

 振付は一体型のシンクロダンス。お互いの表情を見ながら微笑みながら手をふったりしゃがんだりする。簡単な者。
 そんな二人の周囲を蛙や蝶が飛び去った。

――気づいた時には
 Falling Down
 暗いトンネル歩いてた
 弱虫泣き虫連れて
 でももう後ろは振り向かない
 君が指し示す夢を目印に
 がむしゃらにもがいた

 ゲフュールブーメランを放てばそれはハート型の軌道の軌道を描き、それがどくどくと脈打って、二人は手を重ね、背中を合わせ最後のフレーズを口にする。
 

――リンリン
 発車ベルが鳴り響く
 別れの合図
 道が違っても
 希望を胸に
 明日へ
 ありがとう
 
 やんわりとした動作で二人は離れ舞台の両端へ。
 そして振り返った少女たち、二人は手を振り、ルナだけが舞台袖へと消えた。
 杏樹は振り返り、胸の前で手を組むと走り出す。けれどステージ中央で転んでしまう。
 ざわめき立つ会場。
 涙をぬぐって立ち上がる杏樹。
 藍色の光に世界が包まれた。そのまま杏樹は一人歩き回る。

『桜クラクラ』である。

――雪が降り積もる
 不安が君の心凍らせる
 街中がスノウブルー
 
 響くサウンドはオルゴールをテクノポップに組み合わせた、メルヘンチックな曲。
 蒼く、雪のように振る照明、さみしげな表情。
 杏樹は力尽きその場に倒れ込んでしまった。


――不安で閉ざした君の心の扉


 だが杏樹が悲しいまま終わるはずがない。
 先ず訪れたのはルナ。
「泣かないで!」
 そうキラキラと音が響いて薔薇の箒に乗って現れたルナ。ルナの手を杏樹がとると、二人は目を閉じて背中合わせに座り込んだ。

――魔法かけて開くよ
 空に手を伸ばして
 桜クラクラ

 袖の下から取り出したのはらぶらぶ・ズッキュン。それを空に向けて打ち出すと。
 世界が塗り替えられた。ハートのエフェクトが雪を染め上げ桜色に。
 同時に衣装にも色が宿った。
 曲調が明るく変わる。

――街に光満ちて
 雪ノ下から希望が芽吹き
 君の涙は春風に消え
 笑顔の花が咲く

 ルナとの再会に喜ぶ杏樹、ルナが杏樹を指さすと、衣装も鮮やかに変わっている。
 この嬉しい思いを杏樹は振りまく、蝶のような光を会場中に、めいいっぱい。長い冬が終わり春が訪れる。
 

――春よ来い
 僕の恋
 君と繋ぐ手
 きっと届くって

 二人は手を繋ぎ、歩き踊り。手を振った。誰にでもなく、ただ暗い心にだ。

――寂しい君に
 魔法のコトバ
 君と手を繋いで
 桜クラクラ
 暗い心さよなら

「悲しみは、いつか終わるから、幸せな未来、待ってるから、希望」

 そんな杏樹のナレーションと共に会場は暗転。
 その直後である。会場の真ん中にスポットライトが当たった。光の中心にいるのはアルとルナと杏樹。
「皆さん、こんにちわ。ALAです。皆のハートに真心お届け!」
 杏樹がそうラブズッキュンを空に撃つと、ハート型の光が会場にふった。
「次の曲は誰が謳うの?」
 ルナが問いかけるとアルが笑った。そして。アルはその声だけを響かせた。
 単音を長く遠く。それに杏樹の声が重なると。杏樹はアルと背中合わせに立つ。
 曲が始まる。曲名は『1cm』
「皆に、癒しの音、届けます」
 それは杏樹にとっての思い出の曲。彼女が活動を始める原点と言っていい。
 その曲をこんなに大勢の観客の前で歌えること。ただただ嬉しかった。
「一歩また一歩あるいていこう。
 貴方が笑顔でいる限り 私は貴方の中で生き続けるから。
 貴方のその一歩で1CMの心の隙間、埋まりますように。
 ……大丈夫だよ」
 そう曲を杏樹のナレーションで閉めると。それに繋ぐように榊のFantomeでの演奏が響き渡る。
 杏樹は両手を持ち上げる、その指の先にはルナとアル。
 「ALAのライブ、見てくれた皆が、元気になります様に」
 そして最後の曲を。
 『1cm』アンサーソング『もう一歩』だ。
 アルと杏樹の声が掛け合い、重なり合い。あなたを思う歌となる。
 二人の切なる表情と、幻惑的なライトエフェクト。
 歌という世界がここに完結する。
 最後に会場に花びらが舞った。
 光と花と。他者を思う優しい心。
 彼女たちの願いと思いの旋律はきっと、観客全員に届いただろう。
 そんな三人の姿を『雅・マルシア・丹菊(aa1730hero001)』はシャッターに収めると、クスリと微笑んだ。

第五章 それぞれの歌。

 『九重 陸(aa0422)』は楽屋で蒼い顔をしていた。
「予想はしてたけど、場違い感ハンパないっすね」
 そう相棒の『オペラ(aa0422hero001)』に心労を吐露して見せる。
「今HOPEに舞い込む芸能依頼の殆どがアイドル向け……だからこそ、ちょっと無理矢理にでも自分を売り込まなきゃいけない。そう思ってここ来たっすけど……別にアイドル以外は参加禁止とか書いてないっすよね……?」
「男性アーティストも参加しているから……」
 オペラが不安げに答えた。
「いざステージに立って、お客さん全然居なかったらどうしよう……やっぱり歌詞のない曲は需要ないのかな……」
「だーいじょうぶですよ、エリック! なんにも気にせず、演奏を楽しめばよいのです。この際、わたくしたち以外は皆カボチャだと思えばどうでしょう?」
「そうっすよね! 皆カボチャ、皆カボチャ……」
 その時、スタッフが楽屋のとびらを叩いた。いよいよらしい。
「カボチャが喋ったあああ!」
 心配のため息を漏らすオペラである。

   *  *

 そして陸はコンサートホール中央で礼をする。この日のために下ろした正装と相棒のヴァイオリンを片手にスコアも無しに演奏する。
 本日は彼のワンマンショー曲は自作の“組曲『六道』”、
 オーケストラ用の組曲をメドレーにしピアノとヴァイオリン用に編曲したもの。
 彼は額の汗をぬぐうことなく、弓に手をかける。

第1曲『地獄道』
 それは絶望的で陰惨なイントロから始まり。
 次に身を焼かれるような鮮烈なメロディーが襲う。
第2曲『餓鬼道』
 飢えと渇きに苦しむ餓鬼の喘ぎを。
 同じメロディーの繰り返しの中で表現。
第3曲『畜生道』
 命の尊さを感じられる明るい曲だが。
 弱肉強食の掟には抗えない悲しみが度々伺える。
第4曲『修羅道』
 戦う人間の勇ましさを力強い音色で表現。
 自分達の生きている(と陸が思っている)世界なので。
 特に聞きやすく、親しみやすく作ってある。
第5曲『人間道』
 争いのない、救われた世界。
 激しい曲調の後のインターバルとして。
 落ち着いた音色を聴かせる。
第6曲『天上道』
 聞く者を溌剌とさせるような。
 とにかく明るく自由奔放な曲調。
  
 一通りの演奏が終われば拍手がなり響く。今回のサマーフェス内でも異彩を放つ陸の演奏は無事成功におわった。

   *   *


 夜、ほとんどのアーティストは楽屋に引き上げる中。
 本日最後の演奏が、森林エリアで行われようとしていた。
『頑張る貴方へ疲れた君へ、癒しと驚きの一時を』
 そんなキャッチフレーズのアルの公演は。もちろん満員で執り行われる。
 沢山の蛍に導かれてやってきた観客たち。
 そんな彼らをまずは光の音で迎える。

――『それ』は火焔の揺らめき
 己の内の情熱で突き進む

 幻惑的なひかりは森の中に幻想を生み出す。アルがどこにでもいて、どこにもいない。

――それは煌煌と輝くスポットライト
 未来を変えるは他でもなく自分だ

 複雑に制御された音は、アルがどこにでもいて、どこにもいないような、遠くから聞こえるような、耳元でも聞こえるような感覚を演出する。


――それは蛍火のように淡く儚く
 我が力は守るべきもののために

 そのコーラスには杏樹も参加している、今回は影となり、アルのステージの成功を願った。 

――あなたの『光』は、なんですか?
 
 曲の終了と共に歓声が上がる。だが、まだまだこれでは終わらない。
 アコースティックギターに持ち替えて、夏にふさわしい爽やかな曲を一つ。
『higher!』
 アルがそう告げると、木々の葉が青く染まった。夜空の中に切り取られたような青空が出現する。蛍がとりに変わった。
 観客の間をすり抜けて飛ぶ。

――もっともっと高く
 もっともっと遠くへ
 跳べば飛べる
 今さあ、踏み出して!

 やがて空はゆっくりと本来の色を取り戻す。夜に輝く森。その中心にアルは座って、全員の顔を見ながら話しを始めた。
 挨拶と、そして今回の特別企画の説明だ。
 あらかじめ投書箱を用意し、その中のお手紙は全て回収してある。 
 その中の一枚をアルは幻想蝶の中から取り出した。
 そのはがきの字体を眺めただけで、アルはくすりと笑ってしまう。
 見覚えがあったのだ。
(匿名の筆跡に覚えがある……あの子だ)
 そしてアルは考えながらゆっくり話を始めた。
「自分の気持ちは、言葉にして伝えなければ決して届かない。でも」
 アルは喉にてを当てながら声を考える。
「そっと胸の奥へ、大切に大切に仕舞っておく想いがあっても良いと思う。
 出さずにおくのが正解なこともあるよね」
 ぽろんっとギターを鳴らす、音はばっちり調整済み。
「空にこがれるお魚でも、お空じゃぁ生きられないもの。
 はー……こういうのが、切ないってヤツなのかなぁ」
 そして歌いだす。タイトルは『大好きなキミへ』

――幸せなキミを横で見てる。ただそれだけで良かったんだ
 でもね、キミを思うだけで心がぎゅぅと締め付けられる
 愛って感情を消せたらいいのに……。

 そこからさらに二~三曲、短いながらも大切に、時にはお話を挟みながら歌い上げる。
 穏やかな空気、和やかな空気の中心に音楽がある。そして音楽とは自分だ。
 アルは今、光と音楽そのものになったのかもしれない。
 最後に、ありがとうの想いを謳った。
 よく知る彼女と彼女が手を取り、仲睦まじく笑いあう。
 新曲のテーマも受け取った。
「じゃあ、最後に、この歌を聞いてもらおうかな」
 えーっと名残惜しそうな声が森を埋める。
「ありがとう、みんなが応援してくれる限りまた会えるから。最後の曲聞いてください『黄金色のプリンス』」

――きっと難しい恋なのだろう
だけど僕は言うよ『叶わない恋じゃない』

――黒い海に向かって僕は手を差し伸べる
腕を失くしてしまったなら君の分も抱き締めよう
暗い海の中から現れた人魚姫
太陽浴びる僕の髪を見つめまぶしげに笑った

――歌声が聞こえるかい
夢はまだ続いている
僕と共に来て
光届かない場所はない

 余韻と共にアルは消え去る。幻想の少女は確かにここにいた。心に響くサウンドだけがそれを知っている。


第六章 が~でぃあんず・らいぶ
 
 水辺に花火が映る。ステージの周りは人でいっぱいだ。
 いよいよ本日、アイドルリンカーのラストステージが始まる。
 会場からビットが飛ぶ。
 エンジェルスビットが周囲に展開されるドーム状に発される澄香の声は、耳元でささやくような、立体感を持って観客に届く。
「世界の平和を歌と勇気と武力で護るリンカーアイドルユニット、平仮名で『がーでぃあんず』を紹介します」
 次いで会場に響き渡る声。そして森の中にちらりちらりと見えるスカートのすそ。
 声が徐々に重なっていく、水面を震わせるように強く。
 そしてモニターには大きく、壊れかけの文字で『カナタ』と書かれていた。
 ただ、歌の内容は分からない。全て異国の言葉でつづられた言葉。
 それが森の小枝や砂にかかれた文字として画面に映し出されている。
 その歌を控室で聞いていた瑠音は事の弦をふわりとはじくと、その弦が切れて左右にはじけた。
 モニターに歌の主、蘿蔔が姿を現す。まるで花嫁衣装のようなロングドレスを見に纏い、音の森の中迷うように足を滑らせる。
 その様子を見て瑠音がつぶやいた。
「早すぎた背中、手を伸ばしても届かない背中。本当は泣いていたことを知っていた。そんな優しい少女の背中を私たちは追いかけていく…………か」
 誰も歌詞が分からない曲、その美しさだけが観客の心に残り。
 湖面がまた静まり返る。
 謳い終われば蘿蔔は一つ深呼吸した、胸から感情の塊を追いだして、ステージにふさわしい表情を持ってくる、そして浮遊するカメラを見た。
「あの、私…………ステージ変更って聞いたのに。ここで謳えって。あれ? 皆? 皆はどこ…………?」
――さぁどこだろうね。
 レオンハルトが小さく告げる
 そんな蘿蔔に澄香は高らかに告げる。
「みんなお待ちかね、蘿蔔チャレンジのお時間です」
「なんですかそれ!!」
「蘿蔔チャレンジとは!」
 モニターに字幕が表示された。
 森林ステージから、がーでぃあんずのステージ終了までに水辺ステージに辿りつく為、事前設定された安全な遠回りルートをひた走る。その様子を中継されます。
「だそうです!」
「そんなの私知りません!!」
「おおっと、蘿蔔に拒否権はないようだ! なんと後ろから野犬の群です」
 その言葉に蘿蔔が振り返ると、後ろからわんわん聞こえる。
 目を凝らしてみれば木々の隙間を縫って走る、ゴールデンレトリーバの群。
 おおよそ十匹くらいだろうか。下手をすれば蘿蔔よりおっきい犬が群で背後から迫りくるなら、一択しかない。逃げるしかない。
「ぴゃあああああああ!」
 ヒールを脱ぎ捨て走るシンデレラ。スカートが走りにくいとのことで、横にスリットをいれる。
「そんな蘿蔔を見守りながら、歌って踊れて戦える姉妹たちを紹介するね!」
 壇上をカラフルな光が往来する。
「長女のナラカお姉ちゃん!、三女のいのり、四女は双子のイリスちゃん・アイちゃん!」
 続々と登場するアイドルたち。一人登場するごとに会場は熱気に満ちていく。
 衣装は青色のスカーフとスカートの半袖セーラー服、そして特注の腕章が全員の腕に光っていた。
「そして従妹の蘿蔔と」 
「なんでステージでまで試練があるんですかね!?」
 一応、共鳴の影響もあって犬には追いつかれない蘿蔔。そんな蘿蔔の前に看板が現れ、右は安全、左は危険と書かれていた。
 迷わず蘿蔔は安全のルートを選ぶ。
「って! 騙された気がすごくしますよ!」
 そんな彼女の悲鳴は無視して澄香が最後に告げたのは某人物。
「ゆるキャラのタカナッシーです!」
「タカナッシー!!」
 ビョコビョコ動く沙羅である。
「だからアウトなんだってば!!」
 いのりが悲鳴にも似た突っ込みを入れる。
「長女のナラカお姉ちゃん、緊張してますか? あー。ないな」
 そんな突っ込みも悠々とスルーしていのりはナラカにマイクを向けて見せる。
「いや、まぁ、それなりかな」
「私はナレーションですよ」
 そう告げながら澄香は壇上に降りると、いのりの手を取ってステージ中央へ。
 そこにはガラス細工で作られたような鍵盤と。そこから生える管のようなユニット。それがパイプオルガンのように見えた。
 その椅子に座らせると澄香はいのりに告げた。
「私たちの想い託したよ」
「任せてよ。ボクもたくさん練習したからね」
 伴奏が流れる。いのりの指先が鍵盤をたたく。色とりどりの光がその指から生み出されて、パイプを通って周囲に拡散していくのが見えた。
 曲名は『存在の音~being~』
 曲調は優しげで、でも明るくハイテンポ。
 当然だろう。これはあなたを肯定する、そんな曲なのだから。
 

――優しい気持ち、変わらないでいて。
 君の記憶、いてくれたこと。それがつながって今になるって、ボクは知ってる。
 貴方だけは変わらないでいて。
 色とりどりのグラスと。見えてる先の光を。束ねて希望の光へとつないでいけばいい。
 私たちがいなければ、私たちは笑えてなかった。
 そんな未来をずっと重ねていこう。


 beingそれは、滅びを否定し存在を、生命を高らかに謳う歌。
 生物だけでなく、無生物も含めた存在するもの全てへの賛歌。

――昨日泣いた君を忘れないでいて。
 いつか風化してしまうんだとしても、笑い声が響くのならば。
 いつまでも変わらない生命。
 きっと全て無駄じゃないと信じられる。
 これが、私たちの望む光。

 その歌は、かつて滅び、と呼ばれたルネの声とは対照的かもしれない。
 けれどこの歌の出発点は彼女であり。否定ではなく、肯定。

――あなたが、いてくれて本当によかった。  
 
 そう噛みしめるように告げるといのりはマイクを下ろした。

 この曲は、もしかしたらガデンツァですら囚われてるかもしれない、滅びの螺旋への挑戦だと、彼女は告げた。
 そんないのりの滅びへの宣戦布告を、仲間たちは見守る。
 エンジェルスビットが空を走った。色とりどりの飛行機雲が空を彩って、そしてその向こうに太陽の光が見えた。
 その太陽を一瞬分厚い雲が覆う。会場に影が堕ちる。
「次は任せたよ……タカナッシー」
 そのが通り過ぎるうちにステージからは鍵盤が撤去され佇んでいるのはゆるきゃらタカナッシー。
 そんな沙羅も、太陽が昇ればその姿でいることはできない。
 かりそめの姿を脱ぎ捨ててて。
 かりそめの姿にまた戻る。
 キグルミを脱ぐとき、ツインテールがバタバタ揺れて、そして汗が周囲に飛び散った。
 そしてその手に召喚したるはバアル・ゼブブの戦旗。
 その旗を掲げると勇ましくも力強い曲が鳴り響いてくるではないか。
 これもまたルネの希望の音の亜種『踏破の音~achieve~』

――神を名乗る愚は、汝らの子や妻を蹂躙する。
 立ち上がれ、戦士達よ。
 
 画面に突如映し出される蘿蔔。
 彼女はなぜか苦境な男たちに胴上げされていた。
 泣きながら下ろしてくれと懇願する蘿蔔。しかし男共の足元には犬がいる。
 キラキラした瞳で蘿蔔を見ている。
「おろさないでくださーい」

――牙を研ぎ、爪を立て。声をあげよ、ラ・マルセイエーズのように。
 
 その力強い曲は蘿蔔の耳にも届いているのだろうか。
 優しく芝生に転がされた蘿蔔にする寄ってくる犬たち。そんな犬の妨害を受けながらも立ち上がり、ゴールを目指す蘿蔔の目には闘志が。闘志が宿っていた。
「まだまだです!」
 途中困難は多かった。時間がない中迷子に絡まれそれを母親の元まで送り届けたり。
「よくきたな」
 そうカゲリが手渡してきたドリンクが到底人が飲めるようなもので無かったり。
(これは…………クラリススペシャル!! 相変わらずまっず…………で、でも吐いたらアイドルとして終わる! 飲まないと)
 そう膝をプルプルさせながら階段を上りきると、ゴールテープがぽつんとあった。
 周りには誰もいない。
 一抹の寂しさを感じながら、蘿蔔はそのゴールテープを、あちょーっと手刀で切った。
 すると目の前に飛び出してくる看板。
 ゴールまであと500mの看板。
「も、もうやんだーーーー!!」
 泣きながらヒールをへし折って走り出す蘿蔔。
 そんな、ふらふらになりながらも走り出す蘿蔔の背を叩くように沙羅が激しくギターを弾き始めた。
 ギターソロにはガデンツァの楽譜が用いられている、と言っても逆再生。だが。
 だがその場合は影響力を持たないことがわかっている。
 そして最後のドラムロールと共にギターを弾き終えると沙羅は空高くピックをかざした。
 すると観客たちは腕を突き上げ叫ぶ!
 そんな会場の熱気に後ろ髪を引かれながら澄香にバトンタッチ。
 今まで上空を飛んでいた澄香が壇上に降りてきた。
「ここでグロリア社さんから皆に応援メッセージを預かってます!」
 せり上がる地面、そこから登場したのが何と遙華。
「え? 何で私ここに」
 さっきまで監視ルームで周囲の人間に指示を出していたはずである。これはいったい。
「西大寺遙華さんよりメッセージを頂いております」
 混乱の淵に座る遙華を追いうつ澄香の催促。
「なんのメッセージ!」
「観客の皆様や、私への!!」
「私? え、えーっと、ご覧の皆さまこの度は、私どものイベントにお越しくださいまして誠に…………」
 しかし、もうすでに経営業を二年続けている遙華である。無茶ぶりもなんとなくこなしてくる。
 それに澄香は別の危機を感じ取った、これは全く面白くないのではという危機を。
「遙華!」
 遙華の挨拶の途中に澄香が叫ぶ。
「どうしたの澄香」
「私、遙華には感謝してるんだよ」
「どうしたの、やぶからぼうに」
「この場を借りてお礼を言いたいと思ったんだよ、いつも遙華は私たちの願いを聞いてくれる、叶えてくれる。そんな遙華の助けがあって私たちはここまでこれたんだよ。これだけの夢を見れた」
「違うわ、澄香、これは実力よ。みんなに与えている歌は、希望は、あなた達が苦しみながら作り出してきたものじゃない。私がそれを保証するわ、私はその手伝いができて、本当にうれしい」
「遙華…………ありがとう」
「澄香も、みんなにも、私はありがとうと言うわ。みんなと同じ夢を見られて本当にうれしい。みんなの仲間にしてもらえてうれしい」
 見つめ合う二人、その二人を優しい音色が包みこむ。
 音色だけではない、甘い蜜の香りが会場全体を包んだ。
 さっと波断つ湖の水。
 そして澄香と遙華を挟むように登場したのは。イリス。そしてアイリス。
 金糸の姉妹。
 曲名はアニマ。
 それは様々な感情が入り乱れた複雑な曲、だが人と呼ぶにふさわしいような、化け物とされるのがふさわしいような、何とも不思議な思いにさせてくれる曲だった。
 32と、そして二つの歌声が重なるならそれは昇華、音楽が魂へと至る『黄金の祝福』
 荒唐無稽に聞こえるが、比類なき強化と進化を促し、あらゆる存在を更なる上の段階へと押し上げる力。
(魂を揺らし人を滅ぼすというガデンツァの歌、ならば私たちも魂を揺らす力強い歌を)
 大気が震える。アイリスの羽が分解されて再構築まるで重なる木の葉のように三十二枚の羽にかわる。
 水が金色に包まれる、流れが生まれる、香りを放つ。
 幻想が見える、黄金の森とその中を飛び回る小鳥。
 ゆりかごのように揺れ動く、寄せては返す波のように。
(魂を揺らすエネルギー、強く揺らせば兵器になるのかもしれない)
 だが適度に揺らせばそれは熱を生み活力へと変わる。
 まだまだ生まれたばかりの赤子の歌。
 ささげるは優しく穏やかなゆりかごの歌。
 穏やかな揺れで暖め癒すバースデーソング。
 そして。イリスが空へと舞いあがった。周囲に金色の鱗粉が降り注ぐ。
 その真下、アイリスを中心に円を描くようにイリスが水上を走り回る、滑らかに、そして自由に。
 音は静まっていく。アイリスの翼が枯れるように落ちていき。荘厳なる歌は狂乱は鼻が枯れるように静かに終わりを迎えて、そして。
 ナラカがステージ中央に搭乗した。
 叩きつけるようなサウンド。
 ナラカは髪を振り乱し。高らかに笑いながら燃えたぎるマントを脱ぎ捨てマイクを握った。 
 曲は『生ある限り、希望あり』
 ナラカはマントのかわりに翼を装着、黒焔を巻き上げて空を目指した。
 澄香の脇を駆け抜けて太陽に重なる位置でマイクを取る。

――ここで終わる、そんな幻想が見えた時。後悔の念を少しでも抱くなら。走り出せ。

 諦めなければ夢は叶う、総ては心の持ち様であり、大切なのはその意志であると。
 困難だからと膝を折るなと。
 進み続ける限りどこかへは向かう、それを人は成長と呼ぶのだと。
 ナラカは謳う。マイクを天に突きだして会場の視線を一身に浴びる。
 その直後、上空から沙羅が鎌で切りかかってきた。
 それに対応しきれず叩き落とされるナラカ。
 沸き立つ会場。上がる水しぶき。水の柱の中でナラカが立ち上がろうとした矢先。イリスが盾を持って突貫。
 ナラカを吹き飛ばした。
 それでも歌は続く。

――完成など無い、終りなど無い、手に届くとも限らない。されど求めずにいられるだろうか。

 反撃に転じるナラカ。その手の刃は灼熱。氷の狼を走らせて道を作りそこを走ってステージまで戻ろうとする。
 だが目の前に立つのはいのりと、イリス。二人とも殺気と打って変って黒いセーラー衣装を身に纏っている。
 二人を突破するためにナラカは刃を振るった。

――涙を呑んで、見据えた明日に、昨日の自分に笑われるようなことだけは決してするな。
 なぜなら戦うべきは自分自身であり、たどり着くべきは理想の自分。
 どれだけ歩めたかで、誇り顔を上げるがいい。
 それを私は肯定しよう。

 そんな願いを口にするナラカだが、容赦なく澄香は魔法弾をふらせる。
 だがそれをものともせずにナラカは走る。
 ナラカはセーラー服をぼろぼろにしながらイリスといのりを吹き飛ばす。
 そのままステージへと向かえばそこには、ラスボスとばかりに沙羅が立っていた。その手の鎌も戦旗も禍々しく脈打っている。
 それにナラカは最後の攻撃を仕掛けた。

――私が代わりに誇ろう。君たちの努力を。見ている物が必要なら私がみていよう。だからすすめ。
 
 望みに懸ける努力は過程であり結果にあらず。
 それはどれだけであろうと無為ではなく、望みに必ず近付いているのだから。
 前を向く事こそが生きる事である事を知ってくれ。
 そう、ナラカは告げて、誰もいなくなったステージ中央で立ち止まった。
 残響が響く。曲が終わる。湧き上がる完成。
 初めて浴びる多大な感情の波に、ナラカはこれまでに感じたことのない感情を味わった。これがなんだかナラカには分からない。
 あるいわ、澄香やいのりならわかるだろうか。
 この涙が出そうなほどの感動が何というのか。
 全員が壇上に集まる。
 澄香が舞い降り、そしていのりに告げた。
「いのり、ファンの皆に一言どうぞー!」
「ちょっと待ってください!!」
 響く声。モニターに表示される蘿蔔。
「私忘れられてませんか?」
「わ、忘れてないよ」
「絶対嘘です!!」
 蘿蔔は走っていた。まだ走っていた。疲れてきたのか、スピードが当初の十分のいちである。
「さあ、蘿蔔チャレンジの状況ですが…………。順調に苦戦してますね!」
 うって変って澄香の実況口調。
「蘿蔔よ」
 疲れ切った蘿蔔に長女ナラカからの激励の言葉である。
「もう、疲れたのなら休んでもよいが…………」
 その言葉に蘿蔔は驚いた。絶対走らされると思っていた、最後までがんばれと言われるものだと思っていた。
「蘿蔔がどれだけ努力したかは、この会場に集まったもの誰もが告げるところであろうよ。私は全力を出したものにはふさわしい報いがあるべきと考える」
 だが、だからこそ蘿蔔も負けられない。
「大丈夫です、心配しないでください」
 カツカツカツと音が聞こえる、モニター越しではない。
 澄香の背後で。
「蘿蔔!」
 蘿蔔はドレスを脱ぎ去って。統一コスチュームにはや着替え。そして沙羅といのりが敷いたゴールテープを、やはりアチョーッと切断する。
「おかえり、シロ」
 そう微笑む澄香を殴ってしまいたい衝動に駆られながら、笑う膝に手をついて、ゼエゼエ息をつく。
 そんな蘿蔔の手を取って澄香は体を手繰り寄せ抱きしめる。
「よく頑張ったね」
 そう澄香が蘿蔔の頭を撫でると。蘿蔔はえへへと笑う。
 歓声が再び上がった。
 その感性に向き直り、澄香はいのりと蘿蔔の手を取る。全員が一列に手を取って並んだ。
「今日は私たちのライブに来てくれて、ありがとうございました!!」
 そう頭を下げると一際強く、歓声が上がる。指笛の音やありがとーっと叫ぶ声が聞える。
 一際強く聞こえたのは、悲鳴にも似た声のありがとう。感情のままに叫んでいるのがあの人だとわかって澄香はにやりと笑った。
 そしてステージの幕が下りる。
 太陽以上の熱気を放つ会場もこれで、一幕である。
 またいつか、どこかで。
 そう澄香は心の中で唱えた。


エピローグ

 全ての演目が終わった後、沙羅は控室で勉強していたらしい。
 机の上に散乱したテキスト。
 彼女は寝言で指示を出していた。サマーフェスに向けての指示。
 ライブでの立ち回り、熱中症対策。
 大忙しだったと聞く。
 その上で通信学校の勉強まで。
 そんな彼女の睡眠時間が貴重な気がして、ECCOは肩にタオルケットを羽織らせるだけで部屋を後にしようとした。
「帰るの?」
 元気のない声で沙羅がECCOの背中に問いかける、するとECCOは振り返って首を振った。
「起こしてしまったみたいやんな。ごめんなぁ」
「いいのよ、別に。起きないといけなかったし、宿題が終わってないから片付けないといけないし」
「忙しそうやんな」
「本当に、でもリンカーって忙しいのよね。なにか免除してくれても…………」
「義務を免除しても実際の知識とか経験が埋められるわけやないからなぁ。勉強はどっかでせなあかんで」
「わかってるわよ、そんなこと」
 そうECCOは歩み寄る。そして沙羅の頭を撫でた。
「沙羅ちゃんえらいなぁ。こんな時までべんきょうかぁ」
「べ。べつに、えらくなんてないわ。まぁ、やらないといけないし。アイドルだって舞台以外では同じ生活を送る人間ってアピールもできるし?」
 そうそっぽを向いて告げる沙羅。顔が赤い。
「宿題をサボってる学生への警告にもなるし」
「それもえらいけど、人助けのためにどんなにきつい時でもがんばれるってすごいことやけどな、それが偉いとうちは思うんよ」
 医療系のテキストをが広げてあるのを見てECCOはそう言った。
「お医者さんになりたいん?」
「ん~、どうかしらね」
 そうにやりと笑って沙羅は告げた。そして別に気になることがあったのでそれを問いかけてみる。
「VIP席に、お父様も招待してあげれば良いのに」
「うーん、じゃあ、次は招待したろうかなぁ。沙羅ちゃんに免じて」
「なにそれ」
 そう楽屋に小さな笑い声が響く。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
    人間|18才|女性|生命
  • Black coat
    榊 守aa0045hero001
    英雄|38才|男性|バト
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 無名の脚本家
    九重 陸aa0422
    機械|15才|男性|回避
  • 穏やかな日の小夜曲
    オペラaa0422hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • トップアイドル!
    小詩 いのりaa1420
    機械|20才|女性|攻撃
  • モノプロ代表取締役
    セバス=チャンaa1420hero001
    英雄|55才|男性|バト
  • ~トワイライトツヴァイ~
    鈴宮 夕燈aa1480
    機械|18才|女性|生命
  • 陰に日向に 
    Agra・Gilgitaa1480hero001
    英雄|53才|男性|バト
  • 銀光水晶の歌姫
    アルaa1730
    機械|13才|女性|命中
  • プロカメラマン
    雅・マルシア・丹菊aa1730hero001
    英雄|28才|?|シャド
  • 世を超える絆
    世良 杏奈aa3447
    人間|27才|女性|生命
  • 魔法少女L・ローズ
    ルナaa3447hero001
    英雄|7才|女性|ソフィ
  • 残照と安らぎの鎮魂歌
    楪 アルトaa4349
    機械|18才|女性|命中
  • 反抗する音色
    ‐FORTISSIMODE-aa4349hero001
    英雄|99才|?|カオ
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