本部

justis

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/04/30 22:22

掲示板

オープニング

● 正義執行

 世界で一番平和だと言われている国日本。
 しかし、犯罪が無いわけではない。
 たとえばそこの路地裏で。さえないサラリーマンが若者三人に囲まれていた。
「お金なんてないですう」
 そう怯えるサラリーマンの表情を見て男たちはげひた笑みを浮かべる。
 その時だった。
「やめるんだ!」
 そう路地裏に響く靴音。全員の視線がそちらに向く。
 そこには前身黒スーツで、マントを羽織った男がいた。
「なんだお前!」
 チンピラがどなる、その次の瞬間……。
 チンピラたちは地面に転がっていた。
「なにが……」
「宵闇に潜む代行者。ダークナイト」
 そう告げるとダークナイトはチンピラ一人の頭を蹴り飛ばした。
「悪を憎む男だ。聞こえているかはわからないがな」
 
 その日の夜、ネット掲示板は代行者の話題で持ちきりになった。
 なんでも、一般市民がピンチの時に颯爽と現れて助けてくれる正義の使者だという。
 だが、これは表向きの情報。
 指令官アンドレイは重々しく告げる。
「正義とはなんだ?」
 そして資料を君たちの前に流した。
「少なくとも、加害者を再起不能にすることは正義だとは思えん」
 そこには、今までダークナイトに粛清された人々の写真が乗せられていた。
 一言でいえば悲惨。
 彼らは一言でいえば犯罪者だ。
 窃盗、恐喝、銃刀法違反、麻薬所持。集団暴行。陰湿ないじめ。わいろ。
 その他もろもろ。
 その人間たちは皆悲惨な末路をたどっている。
 鼻骨骨折、肋骨骨折、内臓破裂、出血多量、何針も縫ったり、中には死亡しているケースもある。
「驚くべきことに、この行き過ぎた粛清に肯定的な意見もある、それどころかこの過激な代行者の味方は増える一方だ。早急に対処せねば」
 その時司令官の電話が鳴った。会議中だぞ、そう出るなり告げたアンドレイだったが。
 一瞬でその表情が青ざめた。
 次いでアンドレイはスピーカーフォンに切り替えると皆に携帯を向ける。

「やぁ、ご機嫌うるわしゅう。H.O.P.E.の諸君。私はドクターD」
 
 知らない男の声だった。そしてその男は自らを愚神と名乗った。
 
「早速だがテレビをつけてくれたまえ」
 指示される通りアンドレイは指令室のテレビをつける。そこには驚くべき光景が広がっていた。
 公開処刑の映像である。そしてその絵の中心にはダークナイトがいる。
「たった今首を跳ねた男は。過去五人人を殺している。幼い子供に絞ってだ」
 そして長年指名手配されていた男でもあった。
 彼らはグループ班で、残りの二人が、地べたに這いつくばって震えている。
 殴られたのだろう。口から血を吐いていた。顔は腫れていなかった。
「ダークナイトは今から見せしめに、こやつらをいたぶって殺す。君たちはどうするかね」
「もちろん止める」
 アンドレイは告げた。だが君たちは少し不安に思うところがあるのだ。
 あの中継現場周辺に集まる人間たちは皆高揚しているようだった。
 憎き悪を無残にいたぶり殺せ。 
 そう興奮する、ダークナイトの信奉者が集まっていたのだ。



● ジレンマ
 こういう話を知っているか?
 ドクターDは告げる。
 今君は列車の線路を切り替えるための装置、その目の前に立っている。
 ここで向こう側から汽車がやってきた。
 ここで初めて君は気が付く。
 その列車が進む先には一人の従業員がいる。
 今から教えに走っても間に合わないだろう。
 だから、路線を変更しようとした。しかしその変更した線路の先には五人の作業員がいて、こちらも退避は間に合わないだろう。
 今この一瞬のうちに選択しなければならない状況。
 さぁ、どちらを選ぶのが正義だ?

 こういう話を知っているか?
 君は船旅中にひょんなことから船が大破した。
 友人と一緒に海を漂流していて疲労困憊。
 そんな君たちの目の前に板切れが流れてきた。
 この板に捕まると浮かんでいられる、助かった。そう思ったのもつかの間。
 友人もその板に捕まると沈んでしまうことが分かった。
 さぁ、君はどうすれば正義だ?

 かの愚神『ダークナイト』は殺人犯を殺した、そのダークナイトにその親族たちは感謝状を贈ったという。
 この場合愚神だからという理由でダークナイトを殺すのは正義か?
 それとも。野放しにするのが正義か。
 ドクターDは君たちに選択を迫る。

●デクリオ級愚神『ダークナイト』
 ダークナイトは人形の愚神です、筋骨隆々のマッチョメンです。
 攻撃方法は下記の通り。
 ステータスとしては攻撃力が高く。そのほかは平均的。大人数に対する攻撃手段を持ちません。

・ディス・パニッシュメント
 英雄にだけダメージを与える衝撃波を放つ。範囲は10SQほどで、威力は高め。対象を吹き飛ばす効果がある。

・ブラディメス
 血で斬撃を行う攻撃で、対象を減退にします。

・ケアブレイン
 自身の脳細胞を活性化させ僅かな体力回復。そして即座に反撃を可能とします。自身がダメージを受けた時に発動します。
 シナリオ中三回使用可能。

・ 否定の回し蹴り。
 必殺技です。その時によってネーミングが変わります。
 効果は闇のエネルギーを纏っての蹴り攻撃。直線20SQを移動し射線上の物体すべてに被害を与えます。
 シナリオ1回しか使用できない分。とても威力が高いです。


解説


 目標 ダークナイトの撃破。

 H.O.P.E.的には愚神は全て悪です。 
 しかし悪だからと言ってダークナイトをこのまま倒してしまうとH.O.P.E.のバッシングは免れないでしょう。
 今回のシナリオは、正義とは何か考えるというテーマと共に。
 周囲がそれを悪だと思ってしまえば悪になってしまうというテーマもはらんでいます。
 皆さんはどうしますか?
 本当の正義になるために悪の汚名をかぶるのか。
 それとも本当の正義を追い求めるのか。
 アプローチは無数にあります。考えてみてください。


 さらにダークナイトを補助するメカが従魔として登場します。
 これは自衛機能を持っています。
 ただし探し出して戦闘を仕掛けない限り皆さんを襲うことはありません。
 どうするかは自由です。

・ダークファントム
 空を飛ぶためのアタッチメントで蝙蝠の形をしています。ダークナイトと合体することで飛行能力を与えます。
 従魔としての戦闘能力は回避特化。自身の攻撃方法はバルカン程度で威力も精度も良くありません。

・ダークヘラクレス
 小型の戦車です、寝そべって乗る二輪タイプです。大砲が積まれているほか。取りついた敵を電気で焼き殺す近接範囲攻撃を持ちます。
 また陸の移動力が高いので、優れた遠隔攻撃手段。移動力を持たないと倒すのは難しいかもです。

・ダークトラック
 ダークナイトの特殊武装を満載したトラックです。
 変形すると2メートル程度のロボットになります。
 動きが鈍く、防御力も低いのですが、大量の火器を乱発してくるので、物理攻撃力と範囲攻撃に優れます。

リプレイ

プロローグ


「愚神が正義を語るなんて、ぞっとするね」
 『レオンハルト(aa0405hero001)』に促され『卸 蘿蔔(aa0405)』は共鳴、その双眸で敵を捕らえる。
「反吐が出る……愚神が本気で正義の味方などする訳ないだろう?」
 レオンハルトの言葉に『黛 香月(aa0790)』は言葉を噛みしめるように同意した。
「でも意外と本人は真面目かも……」
――お前、それで以前洗脳されただろ。
 その言葉に身をすくめる蘿蔔。そして『蔵李・澄香(aa0010)』
「私は別に愚神に肩入れしていたわけじゃ」
「澄香ちゃん手がおろそかになってますよ」
 そう『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』がぴしゃりと告げる、二人が持ち込んだのはPC。映し出されているの周囲の監視映像。
 捕まえた。そうクラリスは獰猛な笑みを浮かべる。
「ネットの情報の方はどうです?」
 そう蘿蔔は澄香のPCを覗き込んだ。
「うーん、めぼしい情報はまだ。でも蘿蔔が心配していたような情報はないみたい」
 事件の加害者、被害者、あるいわ関係者が、事件前後で人格の変容などきたしていなかったが。その背後に何か別の影がなかったか調べていたのだが。そんな気配は全くなかった。
「とりあえず下で待機している人たちに情報を送ろう」
 そしてリンカーは動き出す。正義を止める正義として。

第一章
「私たちの力も……一歩間違えれば……輝夜……正義ってなんなんだろうね?」
『御門 鈴音(aa0175)』は民衆に紛れてそれを見あげた、黒の騎士、正義の代行者。ダークヒーロの到来に観衆は沸き立っている。
「ふん! 生粋の人に仇成す鬼のわらわに聞いて出る答えではなかろう」
 そう興味なさ気に告げる『輝夜(aa0175hero001)』
「……しかしお前さんは間違いはせんじゃろうて」
 ぼそりと輝夜が付け加えた言葉は喧騒に飲み込まれ消える。
「正義、正義ねぇ」
「ねぇ! 沙耶。もう我慢できないわ、ここは私が言ってあいつを」
 そう告げて突進していきそうになる『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』を手刀で
眠らせて、何事もなかったかのように『榊原・沙耶(aa1188)』は言葉を続けた。
「この言葉が出た瞬間に、胡散臭くなる言葉よねぇ。でも、大衆を扇動するのに、こんなに便利な言葉はないわぁ」
「そうですわね、この熱。尋常じゃありません」
『ファリン(aa3137)』がインカム越しに頷き目を細める、暗がりから日の当たる場所にいるダークナイトを睨む。
――生贄の血による熱狂は幾度も見てきた。これは人の性か……。
 そう『ヤン・シーズィ(aa3137hero001)』はつぶやくもファリンは首を振り前を見据える。
「止めねばなりません。処刑を娯楽にしてはなりませんわ」
 その直後、状況が動いた。

「俺は闇夜を照らす赤色巨星! 爆炎竜装ゴーガイン!」 

 燃え立つ陰炎、その向こうに見えたのは全身から熱を発する正義のヒーロー。
「例え犯罪者であっても……命を奪う権利など誰にもない!」
『飛岡 豪(aa4056)』である。
「ああ、そうだな、つまりこいつらにも命を奪う権利はなかった。だがそれを犯した、こいつらは死ぬべきだ。だから殺す。お前たちの言葉は軽い、きれいごとだ」
 その言葉に間髪入れず答えたのは『ガイ・フィールグッド(aa4056hero001)』
――キレイゴト上等だぜ! それが理想だろ!
「一体何が目的でこんなことをする? 本当に罪を憎む心があるのか?」
「うるさい男だ」
 次の瞬間、二人の拳が衝突する、空中で散る霊力。ダークナイトはほくそ笑んだ。
 素早く体制を立て直すと。足刀で豪を弾き飛ばす。
「しまった」
 しかし彼の悪行を許さない者はまだいる。
 豪のかわりに壇上へと上がったのは『ナイチンゲール(aa4840)』
 歯噛みしたダークナイトだったが、人質へ振り上げたこぶしを止めることはない。
「無視できると思わないで!」
 割り込むナイチンゲール。素早く連蹴り、からの掌底。一般人であれば肉片に帰るほどの威力を持つ体術それをナイチンゲールは全て捌き切った。
――お前には似つかわしくない喧騒だ。
 『墓場鳥(aa4840hero001)』が告げる。
「そうでもないよ」
 ダークナイトから距離を取りナイチンゲールは笑みを浮かべた。
「もし愚神の目的が必要悪ならそれは正義だし。わざわざ私達を煽ったりもしない筈」
「なに?」
 ダークナイトがいぶかしんだ。直後距離を詰めてナイチンゲールめがけたアッパー。
「だけどあなたには正義も希望も……何もない。だから私達がやらなきゃ」
 そう告げてダークナイトの拳をはじくナイチンゲール。
――いいのか? 心身とも無傷では済むまい。
「いいよ。一生残る傷が出来たって構わない」
もっと大切なことがあるから。そうナイチンゲールは噛みしめるように告げる。
――ならば付き合おう。
 霊力の輪が広がる。
 それと共に観衆はリンカーたちにブーイングを投げた。
 その野次をものともせずに壇上に上がるのは『ティテオロス・ツァッハルラート(aa0105)』いや、中身は『ディエドラ・マニュー(aa0105hero001)』だろうか。
――犯罪者の処遇その物には然して興味が無いのでね。其方は委ねよう。
「クッ」
 ダークナイトは歯噛みした。一瞬ひるんだところに豪と鈴音が切りかかる。
「私は、昔悪いことをした人を知ってます!」
 鈴音の一撃をダークナイトは腕をクロスさせて受け。そのまま押し返そうとする。
「であれば処刑が必要だな。連れてこい。殺してやる」
――わらわじゃな。
 輝夜が静かに告げた。
「ほう、罪人が自ら進んで現れるとは、今日は良き日だ。これほどまでに大勢の悪を地上から消し去ることができる」
「そして私もです」
 鈴音はダークナイトをいなし、拳を大剣の腹で受けた。
「私は両親を見殺しにしました。この子たちもかつてたくさんの人を殺しました」
 鈴音は輝夜と共鳴した時、例えその力が人喰い鬼の力で、対価として自分の血肉を与える事で自ら寿命を縮めると解っていても、この力で多くの人達を守りたいと思って戦ってきた。
「でも、私は本人たちがどれだけ苦しんだか知ってる、それを間違いだったって思っているのも知ってる、」
 ダークナイトの狙う犯人は皆殺人犯でダークナイトの行動は見方を変えれば間違いなく正義であるのはわかる…………でも殺人を犯した人間であっても更生の余地はあるのではないか?
「あなたの中で罪とは死でしか償えないんですか!」
「その通りだ」
「だったら!」
――鈴音、お主。
 輝夜は思っていた。人を食いちらし、しかし愛する人間のために同胞も殺し、無茶苦茶だと自分でも思うくらいに両手を血で汚し。
 誰が見たって、誰が訊いたって自分を許してくれるものなどいないだろう。
 だが、鈴音は許してくれると言っている。 
 悔やむ心があって、もうしないと誓うなら。
 一緒に償っていこう。そう言ってくれている。
「私は悔しい、間違えたくて間違えた人なんているはずない!」
――では、わらわがお主の正義を肯定しよう。
 剣を握る手に力がこもった。
――贖罪のためではなく、お主の心がこれからも誰かを救うことを信じて。力を貸そう。
 鈴音は懐に潜り込む、剣を離してダークナイトに掌底を。浮いた体を切り上げると、豪の飛び蹴りが命中した、素早く体制を立て直すダークナイトの横っ面を弾丸が穿つ。
 だがそれでも黒の騎士は倒れない。
 己の正義のために。
「やめろ!」
 その時民衆が動いた。
 声を荒げ手近な鉄の棒や機などを片手にリンカーたちに迫っている。
 だがその前に立ちはだかるのが『雨宮 葵(aa4783)』である。
「あーもう! うるさいなぁ!」

「今あんたたちが愚神を信奉するのは、その脅威が決して自分に向かないと思い込んでるから!」

「確かに今は凶悪犯をダークナイトが殺ってくれるよ?」

「でもダークナイトが凶悪犯を殺しまくって、犯罪も減って、凶悪犯がいなくなればダークナイトは止まるのかな? 答えは否じゃない?」

「ここに何の罪も犯していない正義はいるのかな?」

「人の悪口いった人、ごみのポイ捨てした人、テストのカンニングも。正義か悪かと言われれば悪だ」

「些細な事?それが些細な事だと決めるのだって人だよ。愚神には関係ないかもね?」

「今はダークナイトが正義だという。でもその脅威が自分に迫ってくるかもしれなくなった時」

「ここにいる人達は言うんだろうね」

「『何故HOPEはあんな非道な事をする愚神を放置したのか!』ってね!」
 ティテオロスは半歩後退、拡声器を握りしめて大衆に声を届けた。
「弱肉強食は世の習い、自然の摂理です。しかし…………」

「この世界には既に人々の“摂理”があり、“調和”がある。その繋がりを強めるのではなく、外異によって事を為そうというのであれば、黙してはおりません」

――葵が、正義の、お仕事なんて…………似合わないね。
『燐(aa4783hero001)』が微笑み交じりに告げる。
「というか、みんな邪魔だからにげなさーい。流れ弾が当たったら綺麗に体が無くなるレベルよ。壊れているだけなら直せるけど、なくなっちゃえば直せないんだからねぇ」
 そう沙耶は告げると、いつもの笑顔で言った。言い放った。
 直後沙耶の周りにいた人間が数名が倒れた。
 悲鳴が上がる、実際はセーフティーガスなのだが、今の口上からではリンカーとダークナイトの戦いに巻き込まれたようにしか思えない。
 だがそれでも民衆たちは動かなかった。

「く…………多勢に無勢か…………」
 ダークナイトは敵の多さに苦悶の表情を浮かべる、これではせっかくのショーが台無しだ。だから早々に切り札を切ることにする。
「こい! ダークウェポンズ」
 しかし、来ない、何の反応もない。
 豪が笑って告げた。
「仲間がいるのはお前だけじゃない」
 同時刻。黒く染められた機体の真正面にリンカーが立ちふさがる。
 ダークヘラクレスと呼ばれる戦車、それと並走する澄香。
 変形と遂げたダークトラックと相対するのは香月。
 そして。ファリンの放つ弓がダークファントムの羽を穿った。
「何をしているドクターD」
 ダークナイトの表情に初めて、焦りが浮かんだ。


第二章
「正直まだダークナイト自身余裕層ですから。民衆には手を出さないとは思いますけど」
 ファリンはビルの上を飛びながら。ダークファントムを追跡する。
「ただ、追い詰められばどうするかはわかりませんわ。正々堂々というキャラクタではなさそうですから」
「了解だよ!」
 ファリンの耳に届く、澄香の張り詰めた声。
 クラリスは二車線の道路を全力で疾走していた。
「高機動モードでございます!」
――体が軽い。こんな気持ちで戦うなんて初めて。ってオイ。
 後輪をもう回転させてスピードを上げるヘラクレス。
 その前方に回り込んでクラリスはパイルを構えた。
――そのままひき殺すおつもりですか?
 ヘラクレスはクラリスを見つけても速度を緩める姿勢を見せない。
 クラリスはその巨大なパイルの背に隠れるように杭を下向きに構えた。
 すると。
――甘いですわ!
 接触ギリギリで放たれるパイルはコンクリートを割る。
 打ち上げられる前輪。体制が崩れ。あわてて方向を転換しようとヘラクレスは後輪を滑らせた。
 それがさらに状況を悪化させると知らずに。
――その場でひっくり返りなさい。
 そもそも状況がヘラクレスの転倒を示唆している。その上でダメ出しの支配者の言葉。
 ファンっと気味のいい音をたて、クラリスの隣を吹き飛んで行ったヘラクレスは電柱に当たって無様に地面に転がった。
 そのタイヤを容赦なくパイルが打ち抜く。
 次いでクラリスの服がとけ、髪の毛が桜色に染まり。シスターは魔法少女に変わっていった。
 その手にはアルスマギカ、周囲を浮遊するのはなんとなくやる気なさ気な妖精たち。
 ぐぎゃー、ぐぎゃー。
「霊力浸透発動! ブルームフレア!!」
 その後は蹂躙劇が幕を上げただけだった。町の中心で上がるブルームフレアの爆炎。それだけではない。
 別の地点から空に爆炎があがる。
 香月が空中で打ち落としたミサイルである。
 香月はダークトラックの周囲を回りながら徐々に距離を詰めていた。17式20ミリ自動小銃はその装甲をつらぬくには頼りなかったが、ミサイル類を打ち落とすのには適している。
――その体を支える足をまず。
「叩き斬る!」
 『清姫(aa0790hero002)』が示すトラックの車輪。
 それを目指して香月は走った。
 眼前に弾丸をばらまいて。それをミサイルに対する縦にする。爆炎をスライディングによって潜り抜け。衝撃でせり上がっている道路を足場に飛ぶ。
 さらに弾丸を放ち脚部を打ち抜く。
――こやつに正義の問答などしたのが間違いであったな。
 清姫は告げた。
――こやつにとって、なにが正義かなど問題にならぬ。
 何が悪かもどうでもいい。ましてやどこの馬の骨かも分からぬ犯罪者共の生死など、彼女には興味はない。
 だが、只でさえ憎くて止まない愚神が正義の味方気取りなのは彼女にとって甚だ不愉快なのだ。
「斬る」
 体勢が崩れたトラックはミサイルを放つもそれは香月を捉えるに至らず、ただただ悪戯に空へ花火を上げるだけ。
 香月は銃を投げ捨て腰の刀に手を伸ばす、落下しながらタイミグを待ち。
 従魔のパンチに合わせて鯉口を切った。
 閃く斬撃。それは見事にトラックの腕を切り飛ばして。露出した動力炉に香月は手を伸ばす。
「私は私だ。ただ、それでいい」
 ガソリンの香りが立ち込めるその一帯で、悪魔のように炎を背負い。香月は赤熱した刃を鞘に納めた。
「ふむ、予想通り、従魔は大したことはありませんでしたわね」
――先に対処しておいて正解だったな。
 その言葉にファリンは頷いて、摩天楼から飛び降りた、真下にはファントム。
 複雑に入り組んだ高層ビル群。その隙間に誘導してしまえば。建物を破壊する力を持たないファントムは衝突しないように飛ぶしかない。
 それが狙いだ。
 動きが限られるなら、自分でも当てられる。
 風がその白い髪をなびかせた、耳がひょこひょこ揺れる。強い風に巻き上げられそうだ、耳鳴りがすごい。
 だからこそ集中で切る。ファリンの動向が開いていく。
 その手にあるのは太陽すら落とすという弓。 
 一撃で決める。
 渾身の霊力を右手に。
 番える。
 敵まで距離は50。
 ファントムが上空に迫るファリンに気が付き、照準を合わせた時にはもう遅い。
「わたくしの……間合いですわ」
 放たれた矢はファントムの核を貫通爆発四散する。
「ふぅ」
 ファリンは着地、ひとつため息をついて彼方へ視線を向けた。
「さて、最後の大仕事果たしにまいりましょう」

   *   *

「君が悪人を“殺す主義”だとしても、私自身が害されぬのなら特に手出しをする気はない。“個人”の“主義”であるのならば、有触れた話だろう」
 地面は砕け、腕にはひびが入った。ダークナイトは徐々に追い詰められている。
 さらに葵が追撃の一太刀。次いで跳ね上がるダークナイトの足、蘿蔔の狙撃だった。
「美術界にも、象徴主義、超現実主義、表現主義、写実主義……多くの主義がある。だが、それぞれが為す事に悪は無い。正義もない」
「誰が高説を垂れろと言った。お前の世界の話など知ったことではない」
「まぁ、黙って聞くといい」
 ダークナイトは膂力だけで剣を跳ねあげ、ティテオロスに一撃加える。
 追いすがった豪と鈴音にもカウンターで掌底、民衆の方へ突き飛ばした。
 二人とも靴をすり減らし何とか衝撃に耐える。
 その背後でティテオロスが立ち上がりながら告げた。
「“美”が“個”に委ねられる限り、それはあらゆる束縛から離れて“自由”、美しい。だが……」
 佇むダークナイト。その言葉を冷めた目で聞いている。
「宗教、文化、知性、優劣……美の示す物が何時しか社会性に晒され、手段と成り果てた瞬間、美は衆愚に縛られる」
「なるほどな、お前にはお前の信念があり、その信念故に私を止めると言いたいらしい。だがな、お前がそう思うなら。私も同じことだ」
 そう駆けだしたダークナイト豪が真っ向から立ちはだかり両手を組み合わせて進行を防ぐ、その時である。
 背後から香月が距離を詰めた。
「今まであれほど好き放題暴れてきた貴様らが今さら正義面したところで、この私が許すと思うなよ。正義など方便、本音では人間社会を掻き回してじわじわと蝕むのが目的なんだろう、違うか!?」 
 その言葉には冷気が走っていた。首筋に当てた刃には侮蔑が宿る。
「私の正義を愚弄するというのか! お前たちには見えていない」
 直後ダークナイトは低い声を響かせ告げた。
「お前たちが見ているのは強い者たち、立ち直ることができるもの達だけだ。弱いもの達、泣き寝入りを決め込むもの達への言葉では、ない!」
 直後はなたれる霊力、まだこれほどまでに力が残っていたのか。
「私は救済している、悪の排除による世界の救済、お前に何がわかる、奪われる者の無念がわかるのか」
「それを私に解くのか?」
 その香月の言葉が、場の温度を氷点下まで下げた。民衆たちですら息を飲む。
 その時だった。

『おおう、盛り上がっているではないか』

 一度聞いた声が町に響く、直後町中のモニターがジャックされ、そこに映し出されたのは、白髪とひげで顔が全く判別できない男。
「ドクターD」
 蘿蔔は射撃姿勢を解いてつぶやいた。
『正義と正義のぶつかり合い、面白い見世物だが、お主らの正義を立場を示さずに話しをするのは、フェアではないと思わんか?』
 その言葉に葵がため息をついて反応する。
「まさか、そっちから出てきてくれるなんて、手間が省けたよ、あれでしょ? 正義って厭味ったらしい質問のこと」
 葵は民衆にも聞こえるように張り裂けんばかりに声を上げる。
「列車なら一人の方に全力移動で駆けつけて助ける!
海なら共鳴してれば息しなくていいので、もう1人が掴まってる間沈んで休憩しとく!
ダークナイトは正義の為に倒すんじゃない。私の前に立ちふさがったから倒すんだ!」
「どちらかを選べと言ったはずだが?」
「答えがずるい? そんなの関係ないね。あんたらに与えられた答えしかないなら、私は自分で新しい答えを作る」
 豪は思わず笑った。
「同じ答えだな」
「汽車が走れば止める。板は友人に譲り俺が泳ぐ」
 そう豪は真っ向からドクターDを見据えて告げた。
「それができなくて何のためのヒーローだ」
 豪の瞳には炎が宿っていた。それはあの日燃え盛る建物の中で見えた炎。
 豪の心に焼きつく心象風景。
「行き過ぎた暴力に正義はない
 愚神を倒す俺達も愚神にとっては悪だろう
 俺達は正義ではない」
 そう自分に告げるように刻むように言い放ち、そして。豪と葵の声が重なる。
「私たちはリンカーだ。希望と呼ばれる者だ。常識をぶち破って解決してこその希望でしょーが!」
「そう。俺達は希望だ」
 その言葉にナイチンゲールは頷く。
「そもそもさ。あの質問おかしくない? 視点は滅茶苦茶だし……
 踏み切りの話もカルネアデスの板も愚神の処遇も論点はそれぞれの罪の是非
 正義の在り処を求めるなんてこじつけもいい所だよ」
 その言葉にドクターDは、ほうっと言葉を漏らす。
「法に裁きを問う気なら少し事情は違うけど。だとしても犯人を警察に渡すのが筋」
 そしてナイチンゲールはダークナイトに向けて盾を突き出す。
「なのに貴方は彼らと同じ罪を犯した。そして貴方は愚神。だから私達が止めるんだ。最初にアンドレイもそう言ったよね」
『おかしい? なにもおかしくはない、そして貴様らの答えは正解だ。それこそ、正義、それこそヒーロー。だがな、それをめざし、成せるのはお前たちだけだな』
「黙れ!」
 そう叫んだのはダークナイト。その言葉はリンカーにもドクターDにも向けられている気がした。
「お前たちのそれは、誰を救っている? 人の未来、そうかもしれない、だがな間違っている、お前たちは不幸を背負ったもの達の心を見誤っている」
 その言葉に呼応したのは民衆たち。彼等はダークナイトが倒れることを望んでいない。否定したい、拒否したい。
 拳を突き上げる民衆が再び増えた。
 沙耶は抑えきれず歯噛みする。
「今ここで傷ついたものの心を救わずして何がヒーローだ。最大多数が最大数の幸福を享受する世界で、泣いている者のために何もしないのがお前たちだ!」
 はじかれるようにダークナイトは飛んだ、葵を仕留めるためのただ、その拳は血で濡れていた。
「な!」
 間に入るのはナイチンゲール、ただし、その盾を握る手が、服が、裂けていく。
「この力は使いたくなかった」
 ブラディメス。
 それを使った瞬間からダークナイトの姿が変わる、胸に輝く紫色の宝石。そして全身を走る紫色の光。
 直後反撃に向かった香月の刃を、その手で握って止めた。ほとばしる黒い血液、代わりにその刃を握ったまま。回し蹴りを放つ。
 それが直撃、香月は大きく吹き飛ばされることになる。
「ねえダークナイト。貴方は人を大切に出来る?」
 傷ついた体を抱いて、ナイチンゲールはそう告げた。
「それとも貴方を阻む人を……私を、悪とみなして殺す?」

「私は退かないよ。例え死んでもね。だって私はHOPEだから。正義や悪の議論より人の命が大切だから」

「ダークナイト、あなたは!」
 蘿蔔が援護射撃を続けながら問いかける。
「なぜ、警察が見つけられない犯人をあなたが見つけられたのですか?」
 その言葉にダークナイトは答えない。
「なぜ、あなたの行く先々に都合よく悪人がいるのですか?」
 答えない。
「あなたの裁いた人は、本当に悪人だったのですか?」
 ドクターDはそれをみてほくそ笑んでいる。
「あなたですか、ドクターD あなたはいったい」
『知りたいかね? ならばここまで到達しておいで、お嬢ちゃん』
 歯噛みして蘿蔔は意識をダークナイトに移す。
 その動きが素早すぎて、もはや他のリンカーでは目で追えない、動きを止められるのは蘿蔔だけだ。
「考えてみてください、全てがそうとは言いいません。でも加害者が本当の悪人でないとしたら?」
 穿つ、その頭を、目を狙って。
 しかし傷ついても止まらない。そのくせ、豪の攻撃には件の超反応で攻撃をかえす。
「あなたが間違っていたら、どうするつもりなんですか」
「そんなことはありえない」
「其れこそありえません。罪人に仕立て上げられた挙句命を奪われ、大切な周りの人をも傷つける。そんなことを、私は絶対に許さない!!」
 蘿蔔は叫んだ。かつていた。見てきた。自分も知っている。
 大切な人を見送る痛み、見送るだけの痛み。
 その理不尽さ。そしてその傷は生きている限りずっと、疼くんだってこと。
「あなたは良いことをしているつもりでしょうけど、裏で手を引いている愚神がいるのでしょうね。そしてそれはあなたの正義を利用しています」
 蘿蔔はドクターDをさしてそう言った。
 だがその言葉に反論したのは民衆たち。
「聞いてください、以前にも似たようなことがありました」
 野次はます、苛烈に、傷つき徐々に動けなくなるダークナイトを擁護する声もあった。
 その目には狂気が滲んでいる。
 わかるのだ、リンカーが言っていることもわかる。
 だが、彼等の心に最後まで残り続けたのは、悪いやつをやっつけてほしいという代行心。
「今回とは逆に命を張って戦った一人のリンカーが非難された事件。あの感謝状も称賛の声だってきっと洗脳。まやかしだ。その手口を知っています」
 その心はわかる、民衆の心が、想像を絶する悪が裏で全てを台無しにする、壊してしまう、それに対する怒り、悲しみ。だけど。
「それにメディックに興味&研究をしているとも聞いた。これもあの愚神が作ったのでは?」
 それを蘿蔔は認めるわけにはいかない。
「私の正義は弱者を救済する正義だ!」
「殺して終わりですか? その影に何かが潜んでいるかもしれないのに?」
 そう戦場に舞い降りたのは一人の魔法少女。彼女は謳うように告げる。
「この国の国家権力は、犯罪者の殺害を良しとしません。なぜなら、本当に裁くべきものを取り逃がす恐ろしさを、悔しさを知っているからです」
 そして冷静な瞳でダークナイトを見据えた。
「貴方のそれは、正義ではありません」
「私を否定するのか」
 ダークナイトは引きつった笑みをうかべる。
「安直な手段で真実への可能性を潰す。聞くべきことも、傾けるべき言葉も、探すべきものもかき消して」
 民衆を取り囲むように展開されるエンジェルスビット。そしてその中心で魔法少女は無い胸張って豪語する。
「正義を名乗るなら、あまりにも不覚悟!!」
 その言葉を蘿蔔が継ぐ。
「あなたの正義は…………本物ですか? 多くの人を救えると言えますか?」
「ダークナイトは正義だ!」
「俺達ができない分殺してくれてるんだ」
「それで救われる人もいるのよ」
 そうどこかで声が上がった、その周辺にエンジェルスビットを一つ飛ばして。
 そして澄香はそれを真っ向から否定して見せる。
「今拳を突き上げて出た『殺せ』の言葉、本当にあなたたちの言葉ですか?」
 冷たい声だった、侮蔑のまざった、冷たい言葉。
「私は心を操る存在を、嫌と言うほど見て来ました。貴方達、本当に自分の心に違和感がありませんか?」

「誰かに殺人を願うことで、自分の手が汚れないとでも思ってるんですか!」

 直後どよめく人ごみをかき分けてファリンがダークナイトに駆け寄った。
「誰かを恨む事、許せない事は人として自然な事です。ですが自ら報仇の為に手を汚す覚悟もなく、他人に委ねて溜飲を下げるなんて。復讐は踏み躙られた尊厳を取り戻す為。ただ惨めな最期を嗤えば良いだけのものではありませんわ」
 空中で弓を放ち。前周りで受け身を取ると、ウィップというにはあまりに細い それを抜き出す。
「命に善悪貴賎の別はありません。他者を殺す者を殺すのがわたくしの正義です。
 いかなる信念があろうと、死を見世物にした貴方を許す事はありませんわ」
「もう一度聞きます。そんなに人死にが見たいですか? 胸を張って家に帰れますか? 家族に会えますか?」
 澄香の言葉を受けて、地に伏せっていたダークナイトは、震える足で起き上がる。
「救える。私は、救ってきた、壊された魂は壊すことでしか元に戻らない、私は壊された心のために、壊し。殺すのだ!!」
 その気持ちに賛同したい、蘿蔔は思う。なんて自分は弱いのだろう。
 他のメンバーのように貫ける強い意思など持ったことがない。
 だが、だからこそ。思うこと、できることもある。
「このままではきっと…………いえ、必ず。今度はあなたが悪になります。心無いものの手によって。だから今ここで倒す! 人を守るために!」
「守るのは私だ、お前ではない」
「そしてあなたの信じた正義を守るために」
「私を?」
 その時ダークナイトの動きが止まった。その足をファリンのワイヤーが切り飛ばす。
「くっ……」
 それに迫る葵。
「もう、休んでいい。あんたの想いはよくわかった」
「両足が無ければ蹴りは放てないと思ったか」
 ダークナイトは二本の腕で地面を掴み腰を回す。すべてを拒絶する回し蹴り。
「ダークフォールン・シュート!!」
 それに真っ向から豪は拳を合わせた。ように見えた。
――真向から、ぶつからなくて……いい。私達の武器は速さ……。
 その燐の言葉に頷いて、僅かに体軸をずらす。
 時が止まって見えるほどに葵は集中していた。そして側面に渾身の一撃を。
 直後ダークナイトの悲鳴が上がった。 
 その体は夜を連れてくるように霞となって消え。そして一つのヒーロー譚。その幕が下りたのだった。

エピローグ

 鈴音はすべての事後処理が終わると、本日裁かれるはずだった悪人たちに面会を求めた。
 そして鈴音は頭を下げる。
「自首してください」
 そして罪を償ってください。
 間違えることは誰にでもあるから。
 そう告げる鈴音の背を輝夜はずっと眺めていた。
「ふう、こちらは終わりましたよ」
 そうPCを閉じたのは蘿蔔。彼女は精神操作の可能性も詳しく乗せた記事を作成してた、注意を促すと共に賛同した人が責められないようにするための配慮である。
 そしてその報告を受けると沙耶は頷いて回線を開いた。
 ネット上に拡散されたのは彼女の顔出し映像。そして。
 願い。
「この愚神を倒した後。HOPEへの反発や批判は避けられないと思うわ」
 その読みは当たっていた。ダークナイトの過激なまでの復讐行動を称賛する人間はいた。
 だがそれは、傷ついた心の裏返しなのだ。自分ではどうにもできなかった何かがを抱えた反動。だから。
 特例という訳ではないけどHOPEから今回の顛末の放送を行った。。
「今ある法律は、人が人として安心して暮らせる様に先人達が悩みながら築き上げてきた結晶。しかし人間が作ったものである以上、完全ではありません。
 その隙間に潜り込む様に、悪を討つ悪が出てくる。けれど決して、悪を肯定してはいけません
 いかなる人間に対しても、人を傷付ける正義などない。
 今回、HOPEは愚神ダークナイトを討伐しました。
 けれど、これを正義の執行だとは思いません。ただ愚神を憎み、人の為にある組織であるのだから」
 その風景を見つめながら香月は一人ごちる。
「これは集団心理を利用してHOPEや民衆を攪乱・分断するための裏工作か?」
「どういうことじゃ?」
 清姫は首をひねった。
「つまり、これが最後じゃないってことだ」
 たとえば、そう香月は言葉を続ける
「悪党退治を隠れ蓑にした緩慢な大量虐殺の序曲に過ぎない」

 正義の味方ではなく「必要悪」として、彼女は愚神を倒すべく立ち上がる。
 
 今回の一件、波紋を呼ぶかもしれないという予感が彼女にはあった。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 己が至高の美
    ティテオロス・ツァッハルラートaa0105
    人間|25才|女性|命中
  • 豊穣の巫女
    ディエドラ・マニューaa0105hero001
    英雄|25才|女性|ドレ
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
    人間|15才|女性|生命
  • 守護の決意
    輝夜aa0175hero001
    英雄|9才|女性|ドレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 絶望へ運ぶ一撃
    黛 香月aa0790
    機械|25才|女性|攻撃
  • 反抗する音色
    清姫aa0790hero002
    英雄|24才|女性|カオ
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 危急存亡を断つ女神
    ファリンaa3137
    獣人|18才|女性|回避
  • 君がそう望むなら
    ヤン・シーズィaa3137hero001
    英雄|25才|男性|バト
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783
    獣人|16才|女性|攻撃
  • 広い空へと羽ばたいて
    aa4783hero001
    英雄|16才|女性|ドレ
  • 明日に希望を
    ナイチンゲールaa4840
    機械|20才|女性|攻撃
  • 【能】となる者
    墓場鳥aa4840hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
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