本部

エイプリルフールIFシナリオ

【AP】あの青い星に帰るため

鳴海

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/04/17 13:23

掲示板

オープニング

 
**********************************

 この【AP】シナリオは「IFシナリオ」です。

 IF世界を舞台としており、リンクブレイブの世界観とは関係ありません。

 シナリオの内容は世界観に一切影響を与えませんのでご注意ください。

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● 灰色の星。

 君たちは背中で感じていた。かつて命溢れる星。そう謳われていた地球の死を。
 徐々に朽ちて灰色に変わる青い星。宇宙を漂う装甲の残骸。
 そして無重力漂う無数の人形。そのヘルメットは割れている者もいる。
 最前線の戦闘部隊は壊滅、後ろの補給、支援部隊も8割が削られた。
 事実上の壊滅。人類最後の戦いは愚神側の勝利で終わる。
 そしてそれは、この世界の滅亡とイコールだった。
 
 これは遠い未来。 
 あるかもしれない君たちの物語。

 君たちは母艦に戻る。
 エンジンも装甲も大破、大破で、もはや空に浮かぶ住居でしかなかったそれ。
 だがそんな母艦にしか生き残った人間はいなかった。
 君たち十人は自身の機体から降りてブリッジに向かう。
「あなた達だけでも生き残ってくれてうれしいわ」
 ブリッジで君たちの帰りを待っていた遙華はそう告げる、彼女は左目を包帯でまき、血色の悪い表情で微笑んだ。
「現状の確認をするわね」
 そう告げ遙華はブリッジの唯一まともなモニターに映像をだす。
「現状戦える『アームズ』はあなた達の十機のみ、その他すべて補給部隊に至るまで壊滅、使える物資はこの船に運び込んであなた達のアームズを修理させてるけど。満足に完了するとは思えない」
 遙華は一言ごめんなさいと告げて頭を下げた。
「それでもあなた達は行くというの?」
 遙華は全員の顔を見渡して。そして告げた。
「仲間の奮戦のおかげで、敵の兵力はかなり削れたわ。でも300以上の数が残ってる」
 これは一人で30体の敵を倒さないといけない計算だ。思わず苦笑いを浮かべる君たち。
「しかも、敵の親玉『黒鉄の巨神』はまだ健在。分が悪すぎる。それでもこのまま愚神を残してしまえば生き残ったわずかな人類すら死を待つばかり」
 でも行くしかない。行かなければ死しかないのだ。
 だから胸に誓う。大切な人のため、生き残った人のため勝利を。
 その時である。全機の修理が完了したとアナウンスが入る。
 君たちは最後の戦場に赴くため、ヘルメットをかぶった。


● 状況説明
 この世界では人類と愚神の最終決戦が行われました。
 リンカー側は最終兵器『アームズ』を投入。
 両者すべての戦力を終結させた戦いでしたがリンカー側は敗北し、あなた達十人を残すのみです。
 対して相手は300体程度の愚神と、トリブヌス級以上の力を秘めた『黒鉄の巨神』が控えています。
 このまま愚神のドロップゾーンが世界を覆えば、生き物は死滅する世界に塗り替えられます。
 それを阻止するためには、せめて黒鉄の巨神を倒す必要があります。
 


●『リンカーズアームズ』

 今回はAGW『アームズ』を使用しての戦闘になる。
 アームズとは巨大ロボットで、武器として扱われ、下記の効果をPCに及ぼす。

・全長15M程度の人型兵器
・生命力に+50される
・ステータスなどは上がらないがAGWも巨大化して装備するため最大射程が50伸びる上に、全ての攻撃が範囲5の攻撃になる、もともと範囲が設定されている武装やスキルについては範囲の値に+5する
・SQの大きさが十メートルで1SQになる
・飛行機能は備えていない

 さらに自身のアームズに二つボーナスをつけることができる。同じボーナスを二つとることも可能。
 ボーナスの種類は下記を参照してほしい。

・フライングビット
 周囲にビットを飛ばす。攻撃の補助や敵の攻撃の妨害を行う。
 回避と命中に+300する、さらにフライングビットの破棄を宣言することによって一度だけダメージをゼロにできる。

・巨大化
 全長に+5M 範囲の値に+1され、生命力に+50される

・エネルギーウィング
 自在に空を舞うことができる、エネルギー質の翼を背に生やす。
 移動力+5され 物理魔法攻撃力に+100される

・レジェンドウェポン
 AGWが改造され
 自身のAGWの性能が二倍になる。マイナスの数値と射程は二倍にならない

・必殺技1
 一回だけ使用可能なスキル。次のターンに行動できなくなる代わりに魔法物理両攻撃力に+500される

・必殺技2
 一回だけ使用可能なスキル。対象のリアクションを封じ攻撃できる。この攻撃終了時に即座に使用者はもう一度行動できる。

・覚醒1
 突如ブラックボックスが起動する。マップの好きな地点に移動し生命力を全回復する。さらにこのターン自身はダメージをうけない。


・昇華1
 アームズと引き換えに膨大な力を得る。 
 アームズがあなたの願いに答え、全ての力を解放する。
 このカスタマイズは好きなタイミングで宣言できる。
 このターン中、全てのダメージを無効化し戦闘不能、死亡状態の場合復活する。
 すべてのスキルの使用回数が全回復し、このラウンドの終わりにもう一度行動できる。
 このラウンド終了と共に、アームズは破壊され使用不可能になる。 

・昇華2
 自身の命を願いに変え。仲間に託す。
 たとえば、合体したり、仲間のエネルギーになったり、思いの産物かもしれない。
 好きなタイミングで、あなた以外のPC一人を選択し発動する。これはあなたが死亡していても宣言できる。
 このラウンドの間、対象一人のすべてのステータスが倍になる。さらに一度行動すると、イニシアチブが-8される代わりに、もう一度行動可能になる。イニシアチブがマイナスになると、行動できなくなる。


● 託された思い。
 君たちのアームズが出撃した直後である。
 巨大な熱源反応を機体がとらえた。
 あまりにもあけすけな一撃、それをアームズが回避することはたやすいだろう。
 だが、エンジンが大破した母艦は?
 君たちは振り返る。直後その光線によって母艦に大穴があいた。
 その光景に君たちは察する。もう、帰る場所など無いのだと。
「……み、んな」
 直後遙華からメッセージが飛ぶ。
 カメラは壊れ、ノイズまみれ。だから彼女が血にまみれているのも何かの間違いに違いない。
「私たちのことは気にしないで、先に進んで」
 息も絶え絶えに彼女は告げる。
「みんな、船で逃がしたから。襲われるのはわかってたし……」
 彼女は血を吐く、画面が真っ赤に染まった。
「みんな、無事よ、帰ったわ。母なる地球に、まだ緑が残ってる場所があるの。蒼が残ってる場所が、そこをめがけて……わたしは」
 直後母艦に火が灯った、それは増殖を続けて、やがて。

「みんな、帰ってね、母なる地球に、ぜったいよ、やくそくしてね」

瞬く星のように、彼女は光の中に消えた。





 

解説

目標『黒鉄の巨神』の撃破。

?級愚神 『黒鉄の巨神』
 それはあまりにも巨大な愚神。
 大きさは月と同様、というより月と一体化してしまったのが奴である。
 月は銀色の輝きを失い、赤黒く光るボディーに替わる。両脇に腕のような器官をそなえ。大きな冠をいただいている巨大兵器だ。
 これを倒さない限り人類に生存はありえない。
 攻撃手段は下記の通り。

・ 絶望襲来
 周囲に黒い怨念の塊をばらまく。総数50。それがランダムにPCへと向かう。
 飛距離は目の届く範囲。

・ 月光挽歌
 月の光で全範囲を攻撃する、仲間の愚神にもあたる代わりにこの攻撃は絶対に避けられない。
 自身中心に範囲50SQ程度の距離が攻撃対象。


・ 世界掌握
 空間を超えて腕を伸ばし、アームズを捉える技。
 回避力が高いキャラクターであれば脅威ではないが、一度つかまれてしまうと、継続的に大ダメージが発生する(並の生命力だと平均2~3ラウンドしかもたない)上に巨神と強制エンゲージさせられてしまう。
 この技はPCを捉えている間は再使用できない。
 この技でPCを捉えていても別のスキルは使える。

・ 原初灯火
 世界最初の火。ビックバン級のエネルギーを叩きつける。
 命中した場合対象は即座に死亡する。ただしこの攻撃は移動力10のユニットとして扱い、エンゲージした瞬間に消滅、エンゲージしたPC、NPC全てを即座に死亡させる。

300体の愚神
 タコのような巨大な愚神、個体差が激しく、一撃で倒せるものからデクリオ級まで様々。見た目で強さはすぐわかる。
 攻撃方法は組みついての溶解液か、20SQ届くレーザー。
 積極的にPCを襲い、知能は皆無である。

リプレイ

プロローグ

「命が、また消える」
『ナラカ(aa0098hero001)』は無重力で漂いながら、その一撃を見つめていた。
 誰にも反応できなかった一撃、その死の光線は期待を穿ち、そして空に一つの花火をうかべた。
「さぁ、如何する。この試練。見事乗り越え打倒して見せよ。澄香…………そして覚者よ」
「お前は変わらないな」
『八朔 カゲリ(aa0098)』は青い星に手を伸ばす。すでに妹は死んでしまっただろうか。
 いや、今考えても仕方がないことだ。奴を倒せなければここで全てが終わるのだから。
 そうカゲリは月を見つめる。死神と化した月を。
「春香ちゃん、ごめんなさい。遙華さんを守れませんでした」
 『煤原 燃衣(aa2271)』はその熱を背中に感じ、遠い場所にいる彼女の相棒へ頭を下げた。
「遙華ぁぁぁぁ!」
『蔵李・澄香(aa0010)』の悲鳴がこだまする。
 母艦撃墜、そしてその艦長である西大寺 遙華の死。
 それはリンカーたちの背に重い十字架としてのしかかる。
「あなたの想い、しっかり、受け取りましたよ」
 『卸 蘿蔔(aa0405)』はヘルメットのガラス部分をあける。機体内に銀色の雫が舞った。
 その雫は重々しくモニターに張り付いて、踊り砕ける。
「遙華、ごめんね」
 そう告げると澄香は一枚の写真をコックピットに張り付けた。
 これで枚数は二十を超えただろうか。コックピット内部には今まで散って行った友達の、仲間の写真が沢山飾られている。
――わたくしたちも直ぐに参ります。
 『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』が噛みしめるように告げると澄香はダイスミカのスラスターを吹かせて軌道に乗る。
 そのダイスミカの瞳から、洗浄液がこぼれる、それはまるで涙のように煌いて……。
「あなたの力無駄にはしません」
 そう蘿蔔は告げると澄香と並び立つ。
 蘿蔔が駆るのは遙華の愛機《レイ・クイーン》一部機能を取り外し、澄香の期待へと乗せている。
 そして等のダイスミカは散って行った仲間の武装や、装甲。パーツでカスタマイズされている。
 寄せ集めのつぎはぎが、今の彼女の心情を表すようで痛々しかった。
「高機動型の機体ですか…………私にできるでしょうか」
 蘿蔔は不安げに操縦桿を握り直す。
――あいつの動きをまねれば、できるだろ、きっと。
『ウォルナット(aa0405hero002)』はあっけらかんと告げる。
「遙華……そしてウォル、力を貸してください。私は、かたきを討たねばなりません」
――いいけど、死に急ぐなよ。約束聞こえただろう?
 目標は敵の撃破、そして地球への帰還。それが彼女の最後の願い。
「…………お嬢」
『赤城 龍哉(aa0090)』は胸に手を当てて、少女の死を悼む。
――戦場で命が散るのは避けられない事ですわ。
 こればかりは何度しても慣れない。そう戦乙女『ヴァルトラウテ(aa0090hero001)』は瞳を伏せる。
「判ってるさ、そんな事は。だがな、わざわざ狙いやがったあの野郎を許せるもんじゃねぇ」
――ええ。だからこそ。
「「闘志は熱く、心は静かに」」
「ぶちのめすぞ、ヴァル!」
――参りますわ!
「…………その想いは必ず繋いでみせる」
 振り返らずに『月影 飛翔(aa0224)』は告げ、『ルビナス フローリア(aa0224hero001)』は頷いた。蒼穹ならばまだここにあるから折れずに立ち向かえる。
 そう四枚の翼を飛翔は広げた
――奴に引導を渡してやる!!
『ネイ=カースド(aa2271hero001)』が叫ぶと燃衣も加速、戦闘宙域まで進軍する。

第一章 絶望への進撃。

 絶望の使者は感慨も無く地球を見下ろしている。
 一撃で滅ぼせるそれ。だが今すぐそうしないのは、豆粒のようなシルエットがこちらに迫ってきているからだ。
 蒼穹に染まる翼。煌く赤いパーツ。白銀のボディー。
 飛翔の駆るグランフェイザーである。
――あの子なら【1人辺り30体。300に比べれば楽ですね】とか言いそうですね。
 ルビナスが懐かしむように告げる。
「…………そうだな。ならやってやろうじゃないか」
 飛翔はそうつぶやくと、自分たちのために散っていた第二英雄の名前を静かに唱える。
――どこまでもお供致します。
 そして加速、最前列の愚神とぶつかった。
「始まったようだな」
 そう後方で速度を緩め、戦場を眺めるように孤を描く機体が一つ。
 カゲリの駆る機体である。
 その手には大型の銃が握られており、支援射撃を行う。
 そしてその視線は戦場で暴れる魔法少女に注がれていた。
 その視界を遮るように登録コード『ブルーウルフ』と呼ばれる機体が視線を遮る。
「隊長! あまり前に出ないでください!!」
『無明 威月(aa3532)』は叫び、眼前の愚神を切り倒す。
――右だ!!
『青槻 火伏静(aa3532hero001)』は周囲の索敵を務め、威月の迎撃に協力する。
「おいおい、なんだあのでかぶつは」
 そう愚神の迎撃を避けほくそ笑むのは『雨宮 葵(aa4783)』
 大きく広がる翼翻し。巨神を真っ向から見据える。
「「人類のため? そんなの関係ないね!」」
 葵と『燐(aa4783hero001)』の言葉が重なる。
「私達は私達の自由の為に!」
――ん。黒鉄の巨神、なんかに……私達の邪魔はさせない、よ。
 そして加速度を増していく葵。
「全人類の命運とか、亡くなった人の思いとか」
 憂いを置き去りに。
「そういう事は考えなくていい!」
 重力も置き去りに。
「ただ前を見る。倒すべき敵をみる」
 歴史とか、たくさんの命とか、人類の未来とか、体を重たくするものはすべておいてきた。
「行こう。私達が自由に飛べる世界を取り戻す為に!」
――私達の前に立ち塞がるやつは全部切り捨てると決めてるの!」
 そうして広げた翼で、ミュータントのような愚神を打つ。
 その熱量で切断されたそれは空中で爆発四散。
 また一歩巨神に近づいた。
 だが。絶望は広がる。
 眼前を雲のように覆う集団、それらすべてが愚神だというのか。葵の額を冷や汗が伝う。
「まって、まってー」
 そんな葵の背を追う、翼あるものがいた。
『アデリー(aa5068)』がそのペンギン型の機体をがしょがしょ動かして、葵の隣に並び立つ。
「怖くないのか?」
 葵はアデリーに問いかける。
「ううん」
 その言葉にアデリーは首を振る。
 そして迫りくる敵めがけベンティスカソードを構えた。
「アデリーは見慣れてるから」
 その光景を。
 空を覆う。トウゾクカモメの群。
 青い海の向こうに固まる、鯱の群。
「でも、その中でも生き抜いてきたから」
 いつでもアデリー達は無力だった、奪われる側で蹂躙される側で。
 フリッパーで雛を守るためにいつも必死だった。
 今のように。
「くっ」
 四方八方からの攻撃を避けながらの戦闘は、二人に負担を駆ける。
 その時である。
「よけて!!」
『酒又 織歌(aa4300)』がはじかれたように告げ。二人の機体に全力で突撃した。
 今まで二人がいた地点を膨大な熱量が通過する。
 所作は遅い、当たるはずのない攻撃、その熱線はリンカーたちに避けられ地球に突き刺さる。
「私達の帰る場所が…………」
――今は振り返るな、織歌!
『ペンギン皇帝(aa4300hero001)』が叱咤した。
 その言葉に織歌は歯を食いしばる。
「あの時のあなたみたいだよ、ジャッカス」
 そうアデリーは自分の英雄『ジャッカス(aa5068hero001)』に言葉をかけた。
 自分も絶体絶命だったことがある、その時颯爽と現れたジャッカスに今の織歌の姿が重なった。
――織歌、余裕を見せている暇は…………
「なさそうね」
 そうオリカは告げると機体のリミッターを外した。
 機体が組み直される。ペンギン皇帝の駆る高起動な人鳥型決戦兵器ペンギンカイザー、そして織歌が登場する重兵装なアームドベースオルカが合体し、ペンギン・オルカと化していたが。
 格納庫に収容されたいたパーツが反応。
 それを含め組み替えられる。究極のペンギン・オルカが完成しようとしていた。
 リンクバーストの光が戦場の中心で立ち上る。
――アデリー覚えているでしょうか。
 ジャッカスが口を開く。
「うん、忘れてないよ」
 アデリーの瞼の上にまだ焼きつく光景。
 ペンギンのフリッパーは敵を倒すには貧相で、空を飛ぶカモメのような飛行能力もない。
 でも海を大空のように飛べるじゃないかと。
 それで気力を持ち直して戦ってこれた。
 だから、私の機体は空を舞うカモメでもない、巨大なシャチでもシロクマでもない、
 その形は…………
「私はペンギンでありたくてペンギンなんだ!」
 そう告げアデリーは織歌に続く。
「道は切り開いてやるよ!!」
 葵もいつにもまして凶暴に告げる。
 その機動力を生かし、二匹のペンギンへ迫る敵をすれ違いざまの攻撃を仕掛ける。
「ミサイルポッドフルオープン」
――退避…………お願い。
 葵と燐が告げた瞬間、放たれたミサイルが愚神を迎撃する。その爆炎を引き裂いて迫る宇宙人の触手。
 それをアデリーが切り裂いた。
「敵を屠るのは楽しーね! 地球人甘く見るなっての!」
――ん。こんな奴らに下手に見られてた、かと思うと……屈辱。徹底的に、駆逐。
 そんなペンギン勢に負けてはいられない。
 そして葵があけた包囲網の穴へ。アームズ《フォエニエクス炬鳥介》が突っ込んだ。その機体には無数の傷が刻まれていくが止まることはない。
「おおおおおおおおお!!」
 燃衣はその拳を目の前の宇宙人型愚神に叩きつけると、愚神の顔面が爆発四散した。
 その背に迫る触手を威月が叩き落としていく。
「く、また包囲網が完成する前に愚神まで!」
「請け負った」
 そう飛び出していったのは飛翔、龍哉。
 飛翔は稲妻を纏った刃を前に構え突貫。彼が走った後に吹き荒れる爆発の嵐。
「目覚めろ凱謳」
 龍哉がそう告げると、機体のアイレンズが輝きを帯びた。
 リミッターが解除され。“凱謳”――勝利の凱歌を謳う者が起動する。
 その瞬間、凱謳の四肢に絡みつくインベーダー……だが。
「その程度か!」
 龍哉は期待を軽く振りインベーダーを吹き飛ばし、足にまとわりつく愚神は両手で掴んでひきちぎった。
 そのポテンシャルは全て、基礎能力に注がれている。
 特殊兵装などまるで持たない、シンプルな機体。だが。
 それ故に極限でも折れない鋼の強さを持つ。
「こっちだ! タコ共」
――やるのは私でしょう?
 弓を取り出す凱謳。サイトが出現し。目標をロック九陽神弓によって放たれた攻撃が愚神を射抜いた。
 その穴に飛翔が突っ込む。
――皆様の位置を表示します。
 ルビナスが告げた。
「分断後に各個撃破だ」
 飛翔の指示が飛ぶ。

第二章 影が落ちる

「澄香ちゃん! 後方に敵が迫ってます、対応……を」
 戦場を駆ける蘿蔔、その機体が手になじみ始めた頃。突如暗い影が機体に落ちる。
 巨大なワームホールが開いたのだ。
 その向こうから現れたのは、巨大なアームズに乗っていてもまだ巨大に見える拳。
 それは澄香を狙っていて。
「危ない!」
 蘿蔔はダイスミカを弾き飛ばした。そして自分はその攻撃を回避する。
「あたま~」
 ぶつけたのだろう、澄香が呻く。そして言葉を続けた。
「調子が出ないと思ったら、遙華がいないんだね」
 これは三人のコンビネーション。そう決めてたくさん練習した。
 その穴が埋まりきっていない。そう感じる。
「ついに手を出してきましたね」
 蘿蔔哀愁を振り払うように話題を変え、月を見あげた。
 いまだリンカーと巨神の間には膨大な量の愚神が控えている。
「数が多すぎます」
「でも一体でも残したら、地球に住む人の脅威になる!」
 蘿蔔の言葉に澄香が鋭く返す。
――戦闘用ミニスミカ、周囲に展開中。
 そのミニスミカで次々とインベーダーを撃墜していくが、個体として力の強い者はやはり残る。
「って! 何かしてますよ」
 蘿蔔は巨神を指さし告げた。
 その手には巨大なエネルギーの塊。
 それが今放たれた。
「利用させてもらう!」
 澄香が前に出る。
「攻撃は任せましたぁ」
 攻撃に気が付かない燃衣や威月をどかすために駆ける蘿蔔。その直後である、周囲の機体を揺らすほどの熱波が放出された。
 それは多数の愚神を巻き込んで消えていく。
「シロ、どこかに中核部分があるはずだよ!」
 澄香は一息つきながら蘿蔔にそう告げる。そんな二人の両脇に威月、燃衣が合流する。
「それは僕らも考えていました」 
「二手に分かれてかく乱を」
 その言葉に頷く澄香。
 四人は双班に分かれて愚神へと飛ぶ。
「隊長……」
 威月からの通信が飛び、それに応じる燃衣。
「皆みんな、死んでしまいました」
 その言葉に燃衣は静かに頷いた。
「戦って戦って、戦い続けて……。 残ったのは……最早ボク達だけ……皆……みんな」
 その言葉に静かに涙する威月。直後愚神からの攻撃が飛ぶ。
 かすっただけでも機体は揺れ、アラートが頻発した。
 後方から追いすがる敵。速度を緩めるわけにはいかない。
「帰りたい……です。あの食堂に。みんなに逢いたい」
 《諦めない》……そう宣言した自分に微笑みを返してくれた仲間たち。
「そんな約束を火伏静さまとしたけれど、私の心はもう限界です」
 折れそうになった、この戦いが終わったとしても自分の幸せは戻ってこないんだ。けれど。
「……なんでなんだよ……ボクはただ……平穏に暮らしたかった……ただそれだけだった……」
 威月の耳にくぐもった燃衣の声が届いた。
 いままでどんなに辛いことがあっても涙を流さなかった体長が。
 泣いている。
 けれど隊長は抗う意思を失っていない。
「此処で、ヤツを止めなければならない。皆の為に……そして……」
 煤原の仇が敵軍に居る。
「……皆の、弟の……仇を取る為に……ッ!」
「隊長……」
 そう前を向く燃衣を見て威月の胸にこみ上げるものがあった。
――…………泣き言はもういいか、スズ。
――……威月。本当に良いのかよ?
 両英雄が相棒に最後の確認をとる。
 その言葉に二人は頷いた。
「それでも、逃げ出す訳にはいかない」
「…………はい。行きましょう。夜明けをもたらすのは僕らです」
 その言葉にネイは満足そうに頷いて。火伏静は楽しげに告げた。
――……喋れるようになったじゃネェか。
 威月は操縦桿を握り直す。
 後方に迫る敵。その目の前に立ちはだかるべく、ブレーキを踏んだ。
――しゃーねー、若ェ娘一人が気合入れてんだ。付き合ってやるよ、あの世まで、ヨォ……?
「威月さん?」
 その異変に気が付いたときにはもう、遅い。威月と燃衣の距離は致命的に離れてしまった。
 直後、愚神からの集中砲火。燃衣と二分して受けるはずだったそれを全て威月が受けた。
「威月さん!!」
 直後、威月は愚神からの集中攻撃を受ける。
「ぐ……ぅ……わた、わた……しの事は……良いです……思いっきり……敵を……ブッ飛ばして、下さい!!」
 威月は血に滑る操縦桿を強く握り。それをひねって加速。
 愚神たちの包囲を振りほどき、燃衣へと迫るビックバン級のエネルギーへ身を投じる。
「…………させない、絶対に…………!」
 装甲や武装をパージして障壁にし、それを防ぐ威月。
 一時は脅威から逃れた威月だが。
――……威月。二度目は無ェぞ…………どうすんだ?
「だめだ! 威月さん。戻るんだ!」
 燃衣と威月を分断するエーリアンの群。
 そして愚神から放たれる光。
「隊長さえ落ちなければ……必ず、何とかしてくれる……」
 威月はそうか細くつぶやいてヘルメットを投げ捨てた。
「だから!!」
 機体の装甲が砕かれていく、四肢の配線がショートする、それでも威月は抗うことをやめない。
――来たぜ来たぜ…………死神が大鎌振り上げてよォ…………! 威月ィ!
 それに追いすがろうともがく燃衣。だが。

「……《されば立ち上がって戦え いかなる運命にも意志をもって》……」

 威月の通信が、コックピット内に響き渡る。

「私も…………栄えある【暁】の一員…………ですから。 ………………お供致します、隊長…………」

 そしてその言葉が威月の最後だった。
「威月さぁぁぁぁぁぁん!」
最後の微笑みだけが、壊れたスクリーンに焼き付いて、燃衣はその力なくコックピットに手を打ち付けた。

第三章 死翔

「無事ですか? 煤原さん」
 蘿蔔が問いかける。澄香も後に続くが二人ともぼろぼろだった。
「ええ。僕にほとんど傷はありません……ただ。」
 背後ではまだ戦闘の音。
 たどり着けたのはここにいるもの達だけらしい。
「気分は一寸法師だ」
 翼が一枚折れた状態で飛翔はほくそ笑む。
――比率的にそれ以下ですね。
「チマチマ撃ち込んでても埒があかねぇな」
 龍哉がブレイブザンバーを振りかざし巨神を見据える。
――ですが、あれだけの巨体ならライヴスの流れもまた大きい筈ですわ。
 ヴァルトラウテが告げる。
「なるほど、その流れを見極められれば」
――討つべきポイントが判るかもしれませんわね。
 メーターを確認する、ガス、燃料。武装の損耗率。
 すべてが厳しい。
「ここからは時間との勝負だな」
 直後巨神から放たれた無数の怨念、それを避けるためにリンカーは散開。
――これだけでかいと腕を狙っても止められんかもしれんな。
 ウォルナットはそう告げる。
「じゃぁあの見るからに怪しげなやつを」
 蘿蔔はフェイントを含ませながらも愚神へ接近。王冠を狙う。
 そんな巨神との戦闘を行っている間も愚神との戦闘派続いている。
「きゃあああ!」
 アデリーの機体が直撃を受けて大破。
 戦闘に支障はないがウィングが機能を停止した。
 機動力を削がれてしまったアデリー。
「この光景は見たことが……」
 迫る愚神。やっぱり敵わなかったそんな思いが胸をかきみだし。けれど。
「私が本当に飛びたかったのは海じゃあない……大空だ!」
 最後に爆発させる様な飛翔。敵の攻撃を回避し、一撃をみまう。
 直後アデリーは敵に群がられた。
――織歌よ!
「わかってます」
 その光景をみて織歌はアデリーを助けに向かうが、後方から集中砲火が飛ぶ。
 それは避けられない。
 まずい、そう思った皇帝。激しく揺れる機体。
 だがカイザーは無事だった。
 代わりにアラートが鳴りまくるのは織歌の機体
「…………陛下、残念ながら、私はここまでのようです」
――!? そなた、何を。
「頑丈なのは良いのですが、その分動きが鈍いんですよね、これ」
 そう織歌はなんでもない事を告げるように分離操作をする。
 切り離されるペンギン・カイザー。
――そなた、これをはじめから狙っておったな!!
「これ以上は足手まといになるので…………陛下、後の事は頼みますね」
 皇帝の言葉は無視して。そう織歌は告げた。  
「私の分まで、あいつをぶっ壊してくださいね!」
 そう織歌は渾身の力でカイザーを吹き飛ばす。その直後エイリアンたちに群がられる織歌。
――ぐっ!? ば、馬鹿者が、早まりおって…………む?
 直後耳に届くのはアデリーの悲鳴。
 葵の悲鳴。
 彼女は折れかけの翼でまだ飛んでいる。
 先見の明を持つ肯定であれば直感で理解できた、誰が手遅れで誰を助けるべきか、だからスラスターを吹かせて葵の元へ。
 だが。
 耳に届く声がある、
 それは、長い間隣にあった声。

「あー、やっちゃいましたね」

「でも良いんです。動けないのは事実ですし。私の分まで陛下がやってくれますし」
 みしりと響く音。聞こえるおぞましい声。織歌の体は恐怖で震えている。
「…………い、いやっ!」
 自分の結末が、こんな救われない末路。
 受け入れがたかった。
 そして。まだ、成したかったことを夢見た。
「やっぱり、そんなの嫌ですっ!」

「私はまだ死にたくない!」

「まだまだやりたい事が…………美味しい物も食べ足りないのに!」
 そう言いつつ織歌の手は自爆スイッチのカバーを割る。
「だから! なんで! 私が! 私には、まだ――」
 直後、爆発するオルカ。
 その声を皇帝は背で聞いていた。
――…………馬鹿者が、通信を切り忘れおるわ。
 鳥に涙腺はあるのだろうか。
 ペンギン皇帝はこの時。ふと思った。
 だが、関係ないと振り切る。
 今は泣いている暇など無い。
――そなたの全て、良きも悪しきも余が持っていく――しばしの別れぞ。

   *   *

「どんどん、味方の識別信号が、減っていきます」
 蘿蔔が告げる通り、味方の機体がどんどん破壊されていく。
 その光景を巨神は嘲笑った。
「「お前、笑ったな?」」
 燃衣の機体から炎が揺らぎ立ち上る。
「なんで、なんで…………ッ! あれ程、言ったのに…………ッ……ぁああああッッ!!」
 直後駆ける燃衣、続くのは龍哉。
「殺す! テメェだけは!」
 すべての攻撃を弾き、放たれた世界掌握にも拳で対抗する。
――ラストセーフティ解除。アームズ、オーバーロード開始まで残り……5、4……。
……スズ……このスキルの発動と同時にお前の体は摂氏数千度に達し……10秒とせず燃え尽きる。
…………覚悟は良いか。
「……元より。ボクは…………ヤツを殺す為なら、威月さんの、皆の…………弟の仇を討てるなら…………。
……すみませんネーさん、心中に付き合わせちゃって……」


 その時威月の声が聞こえた気がした。

「それでも、死すれども私は《諦めない》」
「みんなの想いを、ひとつに」
 
 燃衣に流れ込んでくるのは散って行った【暁】面々の想い。

――……何を今更。俺は…………お前を呪う為に、力を与える為だけに再び命を持った。
 お前が戦いを止める時…………それが俺の命の終わる時。往くぞ……

「…………はい。……往きます……《火綯体》……ッ!」
「無茶しやがる。だが!」
 それに合わせて急接近する龍哉。放たれる原初の火をリンクバーストの光で打ち破った。
「凱謳!」
“Yes,master.Burstmode Fulldrive!!”
「王冠を狙ってください」
 半壊した機体を制御しつつ蘿蔔が告げた。
「すごい霊力が集約されています」
「…………《火乃銛》……ッッ!!」
 炎の銛の如くに突貫する燃衣。
「蘿蔔! 私達も」
 直後腕が迫る。
 その腕を代わりにはじいたのはカゲリ。
「いけ!」
――澄香の輝きを見せてもらいたい。
「うん、行ってきます」
「露払いは任せてください!」
 蘿蔔はなんとか機体を持ち直し、迎撃を行う。
「クラリス、アルマギちゃん」
――ええ、行きましょう。
【ready】
 ブラックボックスに直結させたライブスソウルを砕き、リンクバースト。

【SHOUT NOW!!】

 雷帝令嬢がその身にイカヅチを纏う。
「「サンダァァ!! ラァァァァンス!!」」
 燃衣と龍哉を阻むため、打ち出された拳。それを澄香のサンダーランスが押しとどめる。
「まだだ!!」
 その口から血をこぼし。可愛らしい衣装を濡らしながら、サンダーランスを連発する澄香。
 全身から力が奪われていくの感じる。
 だが、巨神の拳にひびが入り。
 そして。砕け散る。
「やった!」
 次の瞬間。澄香へ絶望が殺到した。
 それでもまだ。放たれるサンダーランス。
「此処までだね。皆、今、そっちに逝くから」
――皆様、あとはお任せします。頑張りましたね。澄香ちゃん。
 命をとして最後の駆動。
 だがその時。ノイズ交じりに訊き馴染んだ声が、コックピット内に響いた。

【ふたりとも、ばかね】

「「遙華!?」」

【おみとおしなんだから】

 直後、コックピットが射出される。
 それでも動き続けるダイスミカ。

【あなたたちは、いきなさい】

 直後はなたれた原初の火。それを道連れにダイスミカはテレポートした。
 直後。巨神の腹部から膨大な炎が噴出した。
 エネルギー庫をやられたのだ。
 甚大な被害である。
「…………《貫通連拳・炸裏》ッッ!!」
 そこから燃衣は内部構造をだいたい予測。
《裏側まで貫く》様な貫通連拳の押収でその場所までたどり着いた。
 動力炉だ。
(…………皆、今……ボクも逝くよ……。……でも……ね……)
 そのエンジンめがけ。渾身の拳を打ち出した。
「テメェも! 一緒に来いッッ!!」
 直後、王冠を破壊した龍哉が振り返る。
「まだ、動けるのか」
 そう、巨神は拳も失い、動力炉も破損しておきながらまだ攻撃を放つつもりでいた。
 それこそ宇宙を漂う澄香めがけて。
 原初の火を放つ。
「忘れてもらっては困るな」
 その火を受け止める者がある、カゲリだ。
「そんな! カゲリさん。ナラカお姉ちゃん!!」
「何度も言うようだが、護っているつもりはない」
――そう、これは通過儀礼だよ。最強の攻撃を打ち破り。我々の方が核が上だと示すためのね。
 原初の火で溶けかける機体。
 だがそれを飲み込んで機体のフォルムが変化していく。
「「勝利を以て明日を掴む」」
 直後人間が作り出した英知の結晶が、神話へと昇華した。
 羽ばたく神鳥。
 それが弐羽。
「あれは?」
 蘿蔔は澄香を救出しながらその神々しい双鳥の飛翔を眺めていた。


第四章 空を取り戻す。
 
 アデリーは宙空を漂っていた、もう欠片も体力が残されていない。
 そんな中で。声が聞こえた、姿が見えた。
 その大きな背中。皇帝ペンギンの背中。
 南極時代も、小さなペンギンは食物連鎖の下位だった。
 大きな強い、頼もしいペンギン、そんな指導者がいてくれたら、人生が違っていたんだろうか。
 その時である。アデリーの耳に。
 声が届く。

「おぬしの求めた皇帝は、目の前にいるだろう」

 その大きく力強い翼にアデリーは手を伸ばした。
「アデリーペンギン、フンボルトペンギン、私たち二人の命をあなたに捧げます。
あなたに私たち種族の命運を託します!」

   *   *

 同時に葵も限界を迎えていた。
 その翼は折れ。初期装備のスラスターで機動を制御しているが、後続の愚神たちから逃げられそうにない。
 だが、葵は見つめていた。遥か視線の先、ぼろぼろになりながらも空を取り戻そうとあがくペンギンの姿を。
「私達は負けて死ぬわけじゃない。思いは託す。私達の自由を託す!」
 葵は意を決した。
 あの翼にすべてを託そうと。
「ごめんね、燐。最後まで我儘な相棒で。」
――ん。問題ない。……葵のそういう、自由なとこ……結構気に入ってた。
 直後。その機体は分解されペンギン皇帝の機体と合体。
 

「私達は戦友とか背中合わせの相棒って形のコンビだったと思うけど」

「互いに利害の一致したいいコンビだったんじゃないかなぁ」

――ん。そうだと思うよ

「いつだって一緒に戦って、立ち塞がるものを薙ぎ払ってきた。私は籠の鳥として終わる人生じゃなくて良かったなぁって思ってる」

――ん。最後に羽ばたけて、人生楽しいって思えれば大往生!
「仲間が敵を倒してこれからに繋げてくれれば。愚神に支配されなかった私達は、永遠に自由だよ!」

「お主たちの意思は全て受け取った」
 ペンギン皇帝は叫びをあげる。
 カイザーの腹からレール上にライヴスを放出、その上をトボガンで滑る。
 音を置き去り、光をも超え、敵を貫く魂の一矢
 空をふさぐ月を砕くため。その身を燃やし尽くす。
《カイザートボガンインパクト》
 その隣に並び立つのがナラカ。飛翔する太陽の翼はすべてを焼き尽くす熱を持つ。

――ふふふ、なかなか見どころのあるもの達もいるではないか。
 二筋の光が月に着弾。
 その表面が大きくえぐれた。
 だが、まだ、まだ足りない。
「翼ならここにもあるぞ!」
 そう叫んだのは飛翔。
――損傷甚大、ですが私達は生きています。
「ならやれる…………リンクバースト!」
――全ライヴスを刀身へ収束。
 その時声が聞こえた。
(先輩、やっちゃえ)
 その声を胸に飛翔は加速する。
「…………!? ああ、俺達の想い、全部だ!」 
 飛翔の駆るグランフェイザーがその爆炎を突っ切って突撃。全強化パーツが吹き飛ぶが。核の機体であるフェイザーで飛び出す。
「剣を!」
 そして周囲に無数の剣群を召喚。そして。
「ジャッジメントクロス!」
 駆けぬけざまに巨神をうち貫いた。
 直後飛翔のマスクが割れ、ザンバーも折れる
「インパクト!!」
刀身に圧縮していたライヴス解放。内部から光十字架が伸び爆発する。


エピローグ

「まったく無茶するんですから………………だめですよ。一緒に帰るんですからね」
 脱出した澄香を回収した蘿蔔は一連の光景を眺めていた。
 火を噴いて流れていく月の愚神。
 しかし。
 その体は地球の重力に囚われる。
「そんな……私たちの星が」
 巨神の体が大気圏で燃え尽きることはないだろう。だとすればあれだけの質量。
 衝突してしまうともうきっと地球はだめだろう。
 それが決定的になる瞬間まで、蘿蔔はそれを見つめていなければいけなかった。
 

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
  • 悪気はない。
    酒又 織歌aa4300
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783
  • 戦場のペンギン
    アデリーaa5068

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 『星』を追う者
    月影 飛翔aa0224
    人間|20才|男性|攻撃
  • 『星』を追う者
    ルビナス フローリアaa0224hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • エージェント
    ウォルナットaa0405hero002
    英雄|15才|?|シャド
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • エクス・マキナ
    ネイ=カースドaa2271hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • 暁に染まる墓標へ、誓う
    無明 威月aa3532
    人間|18才|女性|防御
  • 暗黒に挑む"暁"
    青槻 火伏静aa3532hero001
    英雄|22才|女性|バト
  • 悪気はない。
    酒又 織歌aa4300
    人間|16才|女性|生命
  • 愛しき国は彼方に
    ペンギン皇帝aa4300hero001
    英雄|7才|男性|バト
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783
    獣人|16才|女性|攻撃
  • 広い空へと羽ばたいて
    aa4783hero001
    英雄|16才|女性|ドレ
  • 戦場のペンギン
    アデリーaa5068
    獣人|16才|女性|生命
  • エージェント
    ジャッカスaa5068hero001
    英雄|14才|女性|カオ
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