本部

【屍国】連動シナリオ

【屍国】暗闇からのししゃ

雪虫

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 6~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/04/11 22:50

掲示板

オープニング


 子供は嫌いだ。いつも自分を馬鹿にするから。
 大人は嫌いだ。いつも自分を馬鹿にするから。
 好きで馬鹿になったんじゃない。それに俺は馬鹿じゃない。ちょっと落ち着いていられないだけだ。気になる事があり過ぎてじっとしていられないんだ。それなのに子供も大人もみんな俺を馬鹿にして馬鹿にするな俺は馬鹿じゃないみんな死んじまえ馬鹿が馬鹿は馬鹿にしししねしししし
「伊冴里」
 顔を上げると、女の人が俺の手を優しく握っていた。俺の手。指が千切れている手。腐って噛んで千切れて落ちて骨と肉が見えている手。女は、朱天王は、包帯を取り出して俺の指に巻いてくれる。
「噛んだりしたら駄目だろう」
「……あ」
 あ、あり、ありがとう。俺の腐った口と舌はなんとかそれだけ呟いた。朱天王。好きだ。優しい。だから好きだ。母ちゃんみたい。母ちゃんだったら良かったのに。朱天王が母ちゃんだったら、俺、母ちゃんのためになんでもするのに。
「があ……ちゃ」

●二つ目の夜
 鳴門市変電所で起きた高圧電線断裂事故。それに伴い、鳴門市全域は数日に渡ると予測される大規模停電に見舞われた。人々はわずかな灯りを頼りになんとか一夜を越えたのだが、そんな彼らを待っていたのは不穏な噂の数々だった。
「野犬のようなものに噛まれた」
「家に侵入されて切られた」
「変電所に鬼女が出たらしい」
「ゾンビに、ゾンビに噛まれたんだ!」

「結論から言う。昨夜の鳴門市の停電に伴い、大量の市民がゾンビの襲撃を受けた可能性がある。負傷者の検査を行った結果、ゾンビウイルス感染者が現れた。もちろんウイルスに感染していない負傷者もいたが、検査が進むにつれ感染確定者の数は増えていくだろう……」
 オペレーターは一度言葉を切り、深い溜息を吐き出した。鳴門市の停電事故から一夜明け、同時に大量の負傷者が発見された。暗闇で転んだというごく「普通」の負傷者もいたが、停電中の鳴門市では十分な手当ては行えない、そしてゾンビに襲撃されウイルスに感染した可能性がある……そう判断したHOPEは負傷者を市外施設へ収容・検査する事を要請し、結果、今検査の済んでいる者だけでも相当数の感染者が発見された。
「ゾンビウイルス感染者が生じた事は全市民に伝えたのだが……パニックの危険はあったが、これ以上感染者を増やす事は避けたいからな……だが、それを聞いても大多数が鳴門市に残る事を選んだ。仕事があるので離れられない、行く場所がない、他の場所が安全とは限らない……それが理由だ。知っての通り今四国全域がゾンビの脅威に晒されている。危険だからと逃げ出せるならとっくに四国の外に逃げていた……非難するのは簡単だが、仕方のない心理と言えるだろう」
 オペレーターは再び言葉を切り、エージェント達に地図を配った。ある中学校の名前が赤い丸で囲まれている。
「君達の任務は、この中学校に避難している市民を護衛する事だ。鳴門市からの避難は無理だが、避難施設で過ごす事は了承を得る事が出来た。各避難施設にそれぞれエージェントを派遣する。君達にはこの中学校を頼みたい。
 一夜目は完全に後手に回ってしまったが、これ以上の被害拡大を防ぐ事は出来るはずだ。市民を守り通してくれ。よろしく頼む」

●暗闇からの
 支援物資の発電機により、中学校の窓からは少なくない明かりが漏れていた。明かりにより敵に発見される危険はあったが、暗闇に紛れて奇襲を受け、対処が遅れる場合もある。いずれにせよ、市民の拠り所となる明かりを奪う事は出来なかった。
 エージェント達は中学校の周囲に位置し、それぞれ警戒を行っていた。中学校はフェンスに囲まれているが安全とは言い切れない。しようと思えば突破出来ない事はないし、大勢のゾンビに襲われたらひとたまりもない。
 それでも、今出来る事を精一杯にやるしかない……と改めて気合を入れ直した、その時、ガシャンと、気のせいと思うにはあまりに盛大な音が聞こえてきた。フェンスを突破された音……その可能性に思い至ったエージェント達は音のした方へ駆け付けた。音の発信源、校庭の上には、横転したバイクが二十台と、バイクから投げ出されたと思しき同数体のゾンビの姿。
「あ……うう……ああ……」
 その中の一人、一番先頭にいたゾンビが、のそりとその場に起き上がった。生きていれば十五歳程の少年、しかしその肌は腐肉と爛れ、中学校の窓から漏れる明かりに剥き出しの歯茎が照らされる。
 黒いヘルメット、白い特攻服、左肩には四本角の鬼の面。唯一鬼の面を肩に嵌めた少年ゾンビは、腐った眼球でじっとり中学校を見上げていた。その背後では例外なく頭の割れた少年ゾンビが、次々と、ゆっくりと、おぞましい動きで身を起こす……
 エージェントの一人がオペレーターに通信を入れた。このゾンビ達が襲撃者全員とは限らない。この派手な侵入は陽動で、ひっそりと別のフェンスを乗り越え校舎に侵入するゾンビがいたら……
 しかし、今目の前にいる二十体ものゾンビを無視する事も当然出来ず。事態を把握したオペレーターが急いで校舎へ連絡を入れる。
「避難住民に事情を伝えた。避難住民が協力して窓からそれぞれ校舎周囲の監視を行う。何か異常があった場合はすぐに君達に連絡をする。早急に目の前にいるゾンビを撤退させるんだ!」
 鬼の面を着けたゾンビがゆっくりと足を踏み出した。のは一瞬で、次の瞬間には駆け出し、ゾンビとも思えぬ速さで接近しながら右手の鉈を振り上げる。
「おおお、ああああっ!」


 痛い。
 大丈夫かなと思ったけど、バイクでフェンスにぶつかったのは失敗だった。いけると思ったんだけどなあ。
 ゆっくり体を起こしてみる。あれ? 全然痛くない。そうか、俺ゾンビだった。痛いわけ、なかった。
 そっかあ。
 体を起こすと、明かりが見えた。中学校の明かり。途中から行けなくなった中学校。子供も大人もみんな俺を馬鹿にするから、行けなくなった中学校。
 いやな気分だ。
 俺は中学校に視線を向ける。
 腐った目に人間達の明かりが見える。人間共の灯す明かり。俺は入れない。俺は入れない。
 俺はいつでも仲間外れ。
 でも、それでもいい。だって母ちゃんがいてくれる。母ちゃんがいてくれれば俺はそれだけで大丈夫。俺に優しくしてくれる母ちゃんがそれを望むから、俺は人間を襲って、襲って、襲って襲って殺して殺して割って割ってわってわって
「わっで、……おおお、ああああっ!」

●中学校地図
■■■■■■■■■
■       ■
■ □□□□□ ■
■ □□□□□ 門
■       ■
■   ☆   ■
■■■■ ■■■■

 門……校門
 ■……フェンス(■一辺10sq)
 □…校舎(避難場所として使用。体育館、各教室には避難住民が待機。全ての建物は通路によって繋がっている。住民達が自発的に校舎外に出る事はない)
 ☆リプレイスタート時のPC及び敵の位置

解説

●目標
 ゾンビを撃退する(ゾンビが避難住民を一人でも襲ったら失敗)
  
●状況
・ゾンビ達はフェンスにバイクごと突っ込み校庭に侵入。校庭から校舎の避難住民を目指そうとする(校舎までの最短距離は20sq)
・PCは全員校庭にてゾンビと対峙している(ここからリプレイスタート)
・避難住民が校舎窓から周囲の監視を行っており、異常があればすぐさまPCに連絡が入るという状況になっている
・ゾンビ達の乗ってきたバイク20台は壊れておらず、まだ使用する事が可能
・校門は閉まっている

●敵NPC
 伊冴里
 黒いヘルメット、白い特攻服、左肩には四本角の鬼の面という服装の少年ゾンビ。鉈を所持
【PL情報】
 デクリオ級相当。攻撃手段は「鉈で頭を叩き割ろうとする」のみ。4ターンで攻撃方法を確定(PC情報として使用)可。獣並に素早い上、命中・回避共に異常に高くなる時がある。一定ダメージを負うか、配下ゾンビが6体まで減るとバイクで撤退しようとする
 
 配下ゾンビ×19
 白い特攻服は同じだが、ヘルメットなし、鬼の面なし、例外なく頭が鉈のようなもので割られているという点で伊冴里と異なる。刀所持×2、サブマシンガン所持×17
【PL情報】
 ミーレス級相当。動きはゾンビそのもので、それほど早くはないが伊冴里の指示に従い連携攻撃を取ってくる。数が減る程に連携の精度と命中・回避が上がる。武器を失った場合は噛み付いてくる。伊冴里撤退の際には伊冴里を守りながら撤退しようとする
 刀:刃はノコギリのような構造で、深くはないが塞がりにくい傷を負わせる事が可能。【減退(1)】付与
 サブマシンガン:威力や精度より撃ちやすさを重視したサブマシンガン。注意すれば回避するのは容易いが、四方八方から一斉に撃たれる/死角から撃たれる場合は危険

●その他
・使用可能物品は装備・携帯品のみ

リプレイ

●声
「お前達の命が一番大事だ。必ずここに帰ってこい」
 母ちゃんは優しい。帰ってこいって、初めて俺にそう言ってくれたヒト。
 だから、俺は母ちゃんの役に立ちたい。
 母ちゃんの役に……

●迎撃
 アリス(aa1651)とAlice(aa1651hero001)。世界を異にする筈の二人は驚く程よく似ている。色、瞳、口調、嫌いなものと差異は確かに存在すれど、姿形は正に、合わせ鏡。陽炎の様に姿を歪ませ一個体となった少女達の、今回の任務と死者に対する想いはシンプル。
 最優先はオーダークリア。
 「オーダーならば」以上の感情の持ち合わせは、ない。

「やろうか、Alice」
「そうだね、アリス」
 完全に溶け合う前に合わせ鏡は言葉を交わし、迫り来るゾンビを基点に幻影蝶を解き放った。強力な魔力で形成された蝶を危険と感じ、鉈を振り上げたゾンビ……伊冴里は蝶を打ち払ったが、背後の頭割れゾンビ2体は仮初の命を奪われる。
「……妖怪っていうのは自称かな?」
『他称ジャなイ? チャんとシタ妖怪サンに失礼ヨ』
 腰のベルトに動画用ハンディカメラを固定しながら、佐倉 樹(aa0340)はシルミルテ(aa0340hero001)とそんな言葉を交わし合った。校舎から漏れる灯りが頼り、な校庭の見晴らしは良くはなく。樹はノクトビジョン・ヴィゲンに投影される青白い景色に伊冴里を捕らえ、不浄なライヴスを含む風……ゴーストウィンドで伊冴里を囲む。
「状況が状況だしな。徹底的に引っ掻き回して蹴散らすぜ……行くぜ、ルゥ!」
 Le..(aa0203hero001)と共鳴した東海林聖(aa0203)はにっと口角を吊り上げて、風と雷光を纏わせながら死者の群れへと躍り出た。伊冴里の動きも気になるが、その前に目的の物がある。
「何がやりてーのか知らねェが……その前に全員ぶっ倒すッ!!」
 ダズルソード03、銘【紅榴】の澄んだ紅さを煌めかせ、聖は地を伝導線に衝撃波を打ち飛ばした。痛烈な一閃にゾンビの身は半ばまで裂け、仰向けに倒れた後その動きを永遠に止める。
「従魔や愚神なら……平気……幽霊よりは、マシ……」
「お兄さまの代わりにがんばりますのっ」
 真昼・O・ノッテ(aa0061hero002)の決意の言葉に木陰 黎夜(aa0061)は拳を握った。ホラーが大の苦手な黎夜だが、従魔や愚神なら、倒せる。このゾンビ達は死体を依代とした従魔や愚神なのだから。
 決意を固めた黎夜は共鳴、オートマチック「Wスカーレット」でゾンビの足を狙い撃った。ゾンビが怯んだ隙を縫い聖の背中を追って走る。

「朝霞、ぼさっとするな! 共鳴だ!」
「了解! いくわよニック!」
 ニクノイーサ(aa0476hero001)の声を受け、大宮 朝霞(aa0476)は『聖霊紫帝闘士ウラワンダー』(自称)に姿を変えた。なお緊急につき変身ポーズは省略するものとする。
「とにかく校舎に近付けちゃいけないわよね……聖霊紫帝闘士ウラワンダー参上! ここから先には通しません!」
 ビシィッとここはポーズを決め、朝霞はレインメイカー……アニメの魔法少女御用達仕様の杖(全長2m)を振り下ろした。伊冴里は回避したがかすり、頭から腐液を散らしながら朝霞へ歯を剥き吠え立てる。
「うぅガあァアッ!」
「そっちは任せたよ、俺は校舎の防衛に向かわせて貰うよ」
 ザフル・アル・ルゥルゥ(aa3506hero001)と共鳴し二十代の姿となった鵜鬱鷹 武之(aa3506)は、ゾンビの群れと仲間に背を向け全力で校舎へ駆け出した。フェンスへの突撃が囮で、この隙に敵の増援や奇襲があれば厄介である。全力で駆けながら、しかし口癖は忘れない。
「養ってくれるならゾンビでも構わないよ」
『武之はたらくんだよー!』

「あの人達は……もう、元通りには……戻れないひと、たち……」
「……うん。だから、終わらせてあげなきゃ。少しでも早く、……少しでも、楽に」
 ゾンビを見据えてカスカ(aa0657hero002)が呟き、御代 つくし(aa0657)は視線を落とした。初めて出会うゾンビへの感情は恐怖というよりも、戸惑い。彼らを「終わらせる」という事は、人型であるものを直接手に掛けるという事。
 けれど、覚悟はしている。全力で立ち向かう、その意志に揺るぎはない。
 少しでも早く楽にしてあげたい。例え人の意識が無かったとしても。
(「ぼくも……こうなっていたかも、しれないもの……だから……。終わらせなきゃ……早く……」)
 その言葉を口には出さず、カスカはつくしと共鳴した。つくしはフォーマルハウトソード――星の名を冠する大剣を握り締め、炎の輝きを舞わせながらゾンビの只中へと斬り込み――
「行くよ……っ!」
 怒涛乱舞――爆発的な剣の嵐は少年の死体の胸を凪ぎ、ゾンビ2体は褪せた臓器を晒しながら地に落ちた。辛うじて耐えた1体が銃口をつくしに向けようとするが、そのこめかみを無音 冬(aa3984)の銀の魔弾が穿ち抜く。
「帰って……帰ってくれないなら君達に攻撃をするよ……」
『………』
 つくし達を背に隠しながらイヴィア(aa3984hero001)は無言で死者を見据えた。少年姿のゾンビ達は濁った眼球だけを向け、歪に割れた脳髄をふらり、ふらり、と左右に揺らす。
 と、突然、ゾンビ達は一斉にサブマシンガンを敵へと定めた。パッと見にもチャチなサブマシンガンは発する音もブレも大きい。しかし四方六方から計10挺ものサブマシンガンに狙われれば、全てを避けるは至難の技。
「おがァァアッ!」
 突出した四人を銃弾の雨が打ったと同時に、刀を握るゾンビの一人がつくしの横から踊り掛かった。ノコギリのような歪な刃がつくしの腕に振り下ろされる……
 瞬前、つくしはフォーマルハウトソードを大きく回し、襲い掛かるゾンビの身を別方向へと引きずり込んだ。敵が体勢を立て直す前につくしは青い瞳を上げる。
「後はお願い、無音くん!」
『ぅ……、お願いします、です……っ……』
『おう☆』
「任せて……」
 つくしとカスカに軽快にイヴィアが、冷静に冬が言葉を返し、メーレーブロウを受けたゾンビを基点にブルームフレアを炸裂させた。刀持ちゾンビは燃え盛りながらその場に崩れ、周辺にいた他2体の腐った皮膚を炎が舐める。
「ど……ゲぇぇッ!」
 伊冴里は叫びながら朝霞に鉈を振り下ろした。頭を狙って下ろされるそれを朝霞はレインメイカーで防いだが、近寄っていたゾンビのサブマシンガンが朝霞の左脚をわずかに叩き、同時に肉薄していたノコギリ刃が右から朝霞の腕を薙ぐ。
「うっ!」
「ブルーム『フレア!』
 樹とシルミルテの放った炎は刀持ちゾンビと伊冴里を包み、朝霞はレインメーカーの巨大なハートを刀持ちゾンビへ叩き落とした。ごぎり、という音と共に崩れ落ちた配下を尻目に伊冴里は再び吠え立てる。
「ぁがあアッ!」
(「周りのゾンビは明らかに連携を取ってるし、指揮しているとすれば一体だけ違う彼だろうけど……」)
 ゾンビ達の動きを見ながらアリスは思考を巡らせた。確証は乏しいが合っているなら、あいつを倒せば烏合の衆。
 そのためにはまず下準備をと、アリスはウィザードセンスで更に魔力を練り上げる。
(「ところで、他のゾンビの頭を見るに、彼が割ったのかな」)
「ア……ダマ、わっで、わデ、ェェエ……ッ!」

「退いてもらうぜ!」
 道を切り開くべく聖が再び衝撃波を撃ち、黎夜もまた二挺拳銃の狙いを敵の足へと定めた。足を撃たれ、あるいは斬り飛ばされたゾンビが動きを鈍らせた隙を突き、聖は黎夜を伴って横倒しのバイクに近付く。
『……五月蠅い戦場……うん、さっさと片付けて……帰ったらご飯食べる……』
(『……でも、ゾンビって全然食べれそうにないね……』)
「いや、あんなもん食うなよ」
 心中に響くLe..の声に聖はすかさず突っ込んだ。しかし手と目はバイクに集中させ、教習内容を思い出しながら点検を素早く行っていく。
「っし、このカンジなら乗り回せるぜ!!」
(『……仮免だけどね……』)
「技術と免許は別だなッ!! あと、気合いだ!!」
(『……バカリー……後ろに怪我させないでよ……』)
「大丈夫……東海林なら、いける……」
『まひるがついておりますので、大丈夫ですのっ』
 釘を刺すLe..とバランスを取るように、黎夜と真昼は聖へ惜しみない声援を送った。後部座席の黎夜の手が自分を掴んだのを確認した後、聖はバイクを発進させゾンビへ機体を傾ける。
「ワイヤー、使うから衝撃くるかも……」
 黎夜は聖に告げた後、キリングワイヤーを水平に振るい宙空へと疾走させた。バイクの勢いも合わさってか、ワイヤーはゾンビの首を軽々と刎ね飛ばし、ゾンビが黎夜を威嚇するように潰れた喉で声を上げる。
「元が一般人だろうと……うちらの敵になって、邪魔をするヤツに容赦しない……それだけ……」
 呟いて、黎夜は再び得物の狙いを敵へと定めた。どれだけ非難の声を上げられようと、守るものがあるから。
「木陰黎夜。真昼・オーロ・ノッテと共に、お前達を斬り落とす」

●疾走
 鵜鬱鷹武之はいわゆるクとズのつく人種である。基本働きたくない。どうにかして楽をしたい。口癖は「養ってくれて構わないよ」「そんなに褒めてくれるなら養ってくれて構わないよ」「こんなに頑張ったんだから養ってくれて構わないよ」。
 だが、今武之は全速力で住民が避難している校舎へと辿り着き、ライヴスの鷹を作りだして校舎裏へと羽ばたかせた。暗闇からの来訪者に住民は警戒を強めたが、武之はゾンビでない証に住民達へ声を張る。
「1階を完全に締め切って、全員2階以上に避難してくれ。1階を締切る際は必ず2人以上で行動するように。何かあったら対処出来るようにな。
 校舎裏とか死角とかは特に注意して見て欲しい。異変があったら即連絡するように。
 それから、外には絶対に出るなよ。心配しなくても、俺の仲間がゾンビを倒してくれるから安心するといいよ。万が一があっても俺もいるからね。必要以上に怖がる事は無い。ただ不測の事態を防ぐためにも少し協力してくれないかい?」
 一通りの注意を終えた後、武之はにっと笑みを浮かべた。不敵だが、何処か頼りがいもある笑みに住民達はそれぞれ行動を開始する。
『武之かっこいーんだよ!』
 そんな、いつになく仕事をする武之にルゥルゥは無邪気な声を上げた。正直ゾンビとかの事はルゥルゥにはよく分からないが、
『武之ががんばるならルゥもがんばるんだよ!』

●闘争
 アルス・ペンタクルにより更に火力を増強し、アリスは『アルスマギカ・リ・チューン』の炎を伊冴里目掛けて撃ち放った。地獄の業火と呼ぶに相応しい危険度を本能で悟ったのか、伊冴里はすんでの所で回避し白濁した目でアリスを睨む。
「ぎァアアッ!」
「知り合いの人がたくさんいるから、今回は心強いよね!」
『たしかにそうだが、油断はするなよ』
 ニクノイーサが忠告を朝霞へ発したのと同刻に、ゾンビ達が一斉に校舎目掛けて走り出した。伊冴里はアリスと樹が対応してくれている。ならばと朝霞はフェイルノートを出現させ、最も突出するゾンビの足に洋弓の矢を突き立てる。

「絶対に、向こうには行かせないから!」
 つくしもまたゾンビの突撃を食い止めるべく、一気呵成を仕掛けてゾンビの重心を突き崩した。転倒したゾンビがふらりとつくしに銃口を向ける、その腕を冬の放ったラジエルの書の刃が落とす。
「遠距離攻撃は厄介だから……少しかわいそうだけど……武器を持つ腕を先に落とさせてもらおうか……」
 腕を切断されたゾンビは痙攣した後地に伏せた。念のためマシンガンを破壊してから別のゾンビに視線を向ける。
 
『まひる、こんなに間近でゾンビさまをたくさん見たのは初めてですのっ』
 上品な声を弾ませて真昼は黎夜に話し掛けた。ホラーが苦手な黎夜としては少し複雑な心境だが……
「(真昼、うれしそう……)倒さねーと、だけどな……」
『もちろんですの、つきさまっ』
「曲がるぜ、掴まっとけよ!」
 聖の声に「わかった……」と声を返し、黎夜は聖を掴む手により一層力を込めた。ここぞ、というタイミングで聖がスピードを調整し、合わせて黎夜がオートマチックの弾をゾンビの群れへと撃ち入れる。
 ゾンビ達はリンカーの攻撃に傷付きながらも、伊冴里も含め未だ10体が武器を手に持ち立っていた。リンカー達の攻撃をギリギリの所で躱しながら、3体が外周を走るバイクに、6体が白兵戦を行うリンカーにマシンガンの口を向ける。何処かおぼつかない、しかし確かに意志ある行動にニクノイーサが朝霞へ告げる。
『こいつら、見かけによらず連携が巧みだ。囲まれないようこちらも味方と連携するんだ』
「了解、ニック!」 
 朝霞は笑みを浮かべると、自らゾンビの銃口の前に躍り出た。しかし、この行動はフェイク。マシンガンの弾が吐き出された、と同時に朝霞は横に転がり、代わりに朝霞の背後にいた別のゾンビが撃たれのけぞる。
「ウラワンダー☆アタック!」
 すかさず肉薄した朝霞が、レインメイカーを思いっきりゾンビの側頭部へ叩き入れた。殴り飛ばされたゾンビの身体は豪快に地を走り、朝霞を睨む伊冴里の肩を樹が死角から狙う。
「そのお面」
『モラうヨ!』
 樹とシルミルテの声と共に射出された童話「ワンダーランド」の攻撃を、しかし伊冴里は伏せて躱した。伊冴里の視線は確かに朝霞を向いていたはずなのに。
「アが……みェ……バァぁぁ……」
「……? 叫び声だけじゃないね、何か言ってる? バイクに乗ってきたみたいだし、考えるだけの知性は残っているのかな」
(「まぁ、フェンスにそのまま突っ込んできてるあたり程度が知れるけど……」)
 いずれにせよ、知能レベルはほぼ獣に近そうだ。判断を下したアリスは伊冴里の素早さを考慮に入れ、ライヴスの炎を華と咲かせた。伊冴里はこれもすんでの所で躱したが、巻き込まれたゾンビ2体が黒焦げになってぐしゃりと崩れる。

「ゾンビ……数が減ってからの方が……動きがいい?」
 黎夜の言葉に聖は「そうだな」と頷き返した。とは言えゾンビのやる事だが、最初よりも今の方が動きはいい……ような気はする。
「連携も取っているみたいだし……だが、指示の出し方は分からないな。鬼の面つけてるヤツの唸り声聞いて他のゾンビが動いてる、ってワケでもなさそうだし……」
 しかし一先ず、と聖はグリップを握り込んだ。校庭にタイヤを走らせながら最適な位置を探っていく。
「この射線ならどうだ?」
 聖の声に「……うん」と黎夜は頷いた。ウェポンディプロイで複製したザミェルザーチダガーを握り締め、再度後部座席から敵への距離と時機を計る。
「今なら、いける……跳ぶよ……。ありがと、東海林……。がんばって避けて……」
「おう」
 聖の返答を受けた後、黎夜はバイクを踏み台に跳び宙空に小柄な身体を舞わせた。ロングコートをはためかせ、蠢く死者共を視界に収める。
「ウェポンズレイン……!」
 降り注ぐ銀色の刃の雨はゾンビの膿んだ皮膚を裂き、耐え切れずに何体かが腐液を上げつつ膝をつく。伊冴里がまた何か叫んだが、樹とアリスの攻撃に阻まれその声も真意も届かない。
『他のヤツが押さえてくれている、今のうちに手駒減らすぞ……』
「うん……」
 イヴィアの声に冬はラジエルの書を構えた。「頭」と思しき伊冴里の事は気になるが、仲間に任せられるのならば自分は自分の役割を。
 自分を囲むように銃を向けるゾンビを見据え、冬はライヴスの炎を放った。味方が炎に巻かれる中、一匹のゾンビが冬へとマシンガンの狙いを定める。そこにつくしが、フォーマルハウトソードを煌めかせながら勢いをつけて飛び掛かった。こちらを向いた銃弾がわずかに頬を掠めたが、構わず死体の首を狙って両刃の直剣を横に振る。
 きっと、それが一番早いから。
 それでも、刃を伝わる感触はつくしとカスカ、二人の心を惑わせた。半分腐った肉が、筋が、確かにある弾力がぶちぶち断ち切られる感触。慣れない感触。初めての感触。「人間」をこの手で「殺す」感触。
 だが、迷えない。迷わない。味方や仲間を守るため、死者の首をごとりと地に落とす。
「っ……ごめんなさい……!」
『迷ったりしてられない、から……っ……つぎ……!』

「ウラワンダー☆タックル!」
 すり抜けようとしたゾンビの身を、朝霞は見事な突進にて押し止めた。朝霞を撃とうとゾンビが銃口を持ち上げる……その後ろから、横倒しのままのバイクが校庭を滑り突っ込んでくる。
「どっかの羽子板頭との戦闘で『バイクの壊し方』は馴れて来たぜ!」
 グラキエースハンマーにストレートブロウを纏わせて、バイクを弾き飛ばした聖は得意げににやりと笑みを浮かべた。ゾンビは必死に応戦し、また攻撃を防いでいるが、反撃の手立ても偽りの命も次々と奪われていく。
 伊冴里は思った。帰らなきゃ。だって必ず帰ってこいって母ちゃんが言っていた。
 迫りくる敵の攻撃をなんとか避け、伊冴里はバイクを目指し走った。後ろで配下がまた一人倒れたが、あいつらの事はどうでもいい。足りない分はまた頭を割って足せばいい。
 なんとかバイクにすがりつき、伊冴里は機体に足を掛ける。帰ろう。母ちゃんの所に。そしてまた包帯を巻いてもらって……
 その時、伊冴里の背後から雷の槍が追い迫った。伊冴里はバイクを蹴り飛ばしすんでの所で回避したが、樹の放ったサンダーランスにバイクは完全に破壊され、掠った伊冴里の足からも鼻の曲がるような臭いが上る。
「ぎっ……」
「脚、壊していいかな……? 悪いけど……あんまり逃したくねーんだ……」 
 別のバイクに飛びつこうと伊冴里が視線を向けた所で、黎夜が刃の嵐……ストームエッジを炸裂させた。バイクごと伊冴里の身体を刃が裂き、それでも別のバイクを……と駆けた所に朝霞のフェイルノートが命中、エンジンを射られたバイクが派手に炎を巻き上げる。
「オーダーは撃退だけど、わざわざ逃がしてやる理由もないし。後々再戦、なんて面倒な事は御免だよ」
 ライヴスジェットブーツを駆使し、突き破られたフェンスの前に降り立ったアリスは『アルスマギカ・リ・チューン』を構えた。左右を壊れたバイクに挟まれ、逃げ場のない伊冴里に地獄の業火を叩き付ける。異臭と炎を上げながら、伊冴里は溶けかかった瞳でアリスの姿をぎろりと睨む。
「ぅ……ェェえッ!」
 飛び掛かり、頭を狙って下ろされる鉈を、しかしアリスは回避した。観察を重ねた結果、伊冴里の攻撃方法は「頭を狙って鉈を振り下ろす」のみ。腕の振りを見極めれば回避する事は、可能。鉈が地面に突き刺さり、その背後から聖がライオンハートを閃かせた。刃の獅子の幻影が高らかに咆哮する。
「立ち向かい方を間違えたって、悔やみながら散りやがれッ!!」
 繰り出された疾風怒濤の攻撃は、蘇った死体を再び眠らせるには十分だった。多数の刀傷を一挙に受け、伊冴里は後ろにどうと倒れる。しばらくすると受けたはずの傷は徐々に消えていき……後には傷も、火傷も、腐った皮膚も見られない、「綺麗」な少年の死体が校庭の上に転がっていた。

●砦
 仲間達がどんどん倒れていく中、一匹のゾンビが校庭の土を這っていた。手足を片方ずつ失っても這って動くのに支障はなく。また暗闇の中、二十体ものゾンビの内の一体が消えた所ですぐに気付かれるはずもなく。
 明かりのすぐ傍に人影が見える。ゾンビは割れた頭でマシンガンの狙いを定めた。獲物の身体を穿つべく、引き金に爛れた指を掛け――
『武之、ゾンビさんがきてるんだよー?』
 ルゥルゥの声に、武之は女郎蜘蛛を投擲しゾンビの身体を絡め取った。すかさずレーヴァテインの刃を振るい、襲撃者の身とマシンガンを二つに分けて動きを止める。
「はぁ……俺働きすぎじゃない? 誰か養ってくれて構わないんだよ」
『武之がんばるんだよー!』
 武之の願望に答えるのはルゥルゥの無情な返事のみ。とりあえずこのゾンビ以外校舎周辺にはいないようだが……
「はぁ……全く勘弁してよ……俺のせいで何かあったら寝覚めが悪いじゃない……」
(「本当は損害賠償とか求められたら面倒だからだけどね……ただでさえ働きたくないのにこれ以上厄介ごとはごめんだよ」)
 武之は疲労感満載でふうと切なげに息を漏らした。そんな武之にもたらされるのは相棒の元気過ぎる声。
『武之はたらくんだよー!』
「ちゃんと仕事してるでしょ、一応……」

●二つ目の夜
「お嬢ちゃん、腕は大丈夫かい?」
 声を掛けてきたお年寄りに朝霞は「はい!」と声を返した。受けた刀傷により右腕からはしばらく血が流れていたが、今はクリアレイの効果により出血は治まっている。
「私丈夫ですから! おばあちゃんこそケガとかしていませんか? 救急バッグ持ってますから遠慮なく言って下さいね!」

「……これでよし……」
 つくしの頬に絆創膏を貼り終えて、冬は白い瞳を上げた。自分が受けた傷は少々深いという事で、黎夜と共に朝霞にケアレイを掛けてもらい、さらにイヴィアの手当ても受けた。つくしは冬を見つめ返してにっこりと笑みを浮かべてみせる。
「ありがとう、無音くん」
「……どういたしまして……」

 仲間達と共に周囲の警戒を行いながら、樹は一応HOPEに事前“申告”を行った後、伊冴里の遺体を持参したタオルケットに包んでいた。あれだけの傷を負ったのに、確かに腐敗していたはずなのに、伊冴里の遺体は今は「綺麗」な死体である。
「持って帰れるのは朝になってからみたいだし、今の内に仮眠して溜まった疲れを取っておこうか」
 仲間と相談して順番を決め、樹は一足先に校舎に入らせてもらった。二階に上がったと同時に、不安に駆られた住民達が樹とシルミルテを取り囲む。
「な、なあ、HOPEが外に出ているのは、まだゾンビの襲撃があるからか?」
「異変の確認もありますが、できうる限り不安を取り除いて、皆さんに安心してもらうためです。不安に思う事は止められないかもしれない。でも、できる範囲だけでもいい。私達HOPEを信じて欲しい。頼って欲しい。そうすれば不信に思われるよりきっと、私達があなた達を助けられる事がずっと多いはず」
「嫌イーって言う人ヨリ、本当に頼っテクレる人へ差し伸べルお手ての方がグーンと伸びルでショ。ソレと一緒ヨ!」
 住民達は顔を見合わせた。少なくともHOPEが身体を張り、自分達を守ってくれたのは事実。「お願いします」と頭を下げる人々に、樹は頷く。
「はい」
 
 その後エージェント達は夜が完全に明けるまで周囲の警戒・調査を行っていたが、死者達の襲撃にそれ以上見舞われる事はなく……鳴門市は長く短い二つ目の夜を越えた。

●報告
「まず鬼の面について。どのような効果があるかは不明だが、AGWのような物である事が判明した。次に少年達の身元だが、徳島で行方不明になっていた少年がほとんどだった。ゾンビ達は倒されるとゾンビ化前の状態に戻るのだが、頭の割れたゾンビ達の頭蓋だけは戻らなかった。恐らく生前に頭を破壊されて殺され、その後ゾンビ化したと思われる」
 後日。樹から依頼された調査の結果を職員はそのように報告した。ああそれから、と職員は二ページ目の紙を捲る。
「鬼の面をつけていたゾンビ、伊冴里という少年についてだが、以前善通寺で確認された白骨とは無関係、やはり徳島在住の少年であった事が判明した。遺族は見つかったのだが……『そんな奴は知らない』と遺体の引き取りを拒否されてしまった。あまり家庭環境はよくなかったようだ……」
「では、HOPEで供養して頂けますか」
 樹の要請に職員は頷きを以て答えた。要請の建前はもちろん伊冴里の弔いだが……
「アンデッドは斃しタ後ガ肝要よネー」
 シルミルテがこっそりと樹の本音を代弁する。いくら綺麗な見た目に戻っても、復活する可能性は十分にある。再発防止・抑制のためにもHOPEが供養する意義はあるはずだから。

●慟哭
「伊冴里……必ず帰ってこいと言ったのに……」
 闇の中。髪を高く結い上げた女が慟哭に顔を覆っていた。悲しみ、後悔、そして怒りが、着流しの下のなめらかな女の身体を震わせる。
「生きる者との縁が薄かったあの子にこそ……この先を見せてやりたかった……」
 艶やかな和装の左肩には四本角の鬼の面。女は手のひらから顔を上げ、闇の向こうを睨み付けた。その左目からは涙の代わりに、腐り果てた眼球の一部がだらりと零れていた。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 薄明を共に歩いて
    木陰 黎夜aa0061
    人間|16才|?|回避
  • 生満ちる朝日を臨む
    真昼・O・ノッテaa0061hero002
    英雄|10才|女性|カオ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 深淵を見る者
    佐倉 樹aa0340
    人間|19才|女性|命中
  • 深淵を識る者
    シルミルテaa0340hero001
    英雄|9才|?|ソフィ
  • コスプレイヤー
    大宮 朝霞aa0476
    人間|22才|女性|防御
  • 聖霊紫帝闘士
    ニクノイーサaa0476hero001
    英雄|26才|男性|バト
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 想いの蕾は、やがて咲き誇る
    カスカaa0657hero002
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 駄菓子
    鵜鬱鷹 武之aa3506
    獣人|36才|男性|回避
  • 名を持つ者
    ザフル・アル・ルゥルゥaa3506hero001
    英雄|12才|女性|シャド
  • 穏やかでゆるやかな日常
    無音 冬aa3984
    人間|16才|男性|回避
  • 見守る者
    イヴィアaa3984hero001
    英雄|30才|男性|ソフィ
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