本部

【絶零】連動シナリオ

【絶零】ロシアへの雷光は二度瞬く

岩岡志摩

形態
イベント
難易度
やや難しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
25人 / 1~25人
英雄
25人 / 0~25人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2017/04/10 15:46

掲示板

オープニング

●次の『調停』
 巧妙に周囲から隠されたその施設は、書類上では既に廃棄されているはずだった。
 この施設があるアメリカの地図からも、ここに関する記述は一切消されている。
 にもかかわらず、この施設は『彼ら』によって稼働を再開した。
「2つの国が共同で作った兵器。確かにコレなら『調停』向きですね」 
 施設を制圧下に置いた『彼ら』に随伴する存在――ニア・エートゥスが、長らく休眠状態だった『それ』が覚醒しつつあるのを確認し、皮肉気に呟く。
 その間にも施設内の設備を手際よく稼働させていく人間達は、この施設と連動する『それ』が正常に機能できるよう、作業を進めていく。
 ニアはその作業を警護するふりをして、密かに隠し持つ通話機を動かし始めた。

●『雷光』は二度瞬く
 ニアからの密告を受けたのは、H.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部だった。
 当初支部の職員達はニアの『アメリカにあるライトニング・ステアウェイの2号機が稼働を始めました』という密告内容に疑いを持っていたが、念のためアメリカ政府に確認したところ、それが事実だと判明した。
「『ライトニング・ステアウェイ』はロシアにある1機で生産が終了したはずではなかったんですか?」
 ただちに支部の責任者がアメリカ政府に詳しく問い合わせた結果、驚くべきことが判明する。
 ――ロシアが兵器を悪用した時の対抗策として、アメリカ上層部は極秘で2号機を生産していた。
 コードネームは『ヘヨカ』。アメリカ先住民族の伝承に登場する、雷と狩猟を司る精霊の名だ。
 ただし2号機と施設の維持に莫大な経費がかかったので、既に2号機および施設は放棄され、稼働できる状態ではないというのがアメリカ政府からの回答だった。
 だが今こうしてライトニング・ステアウェイ2号機『ヘヨカ』は稼働している。
「2号機の照準はどこを指しているんです?」
 責任者からの問いに、画面の向こうで情報を解析していたアメリカ政府の職員が血相を変えて叫ぶ。
「貴方がたのところです! H.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部に照準が固定されています!」
 それは、レガトゥス級愚神を葬るために振り下ろされた衛星兵器の1撃が、今度は自分達に振り下ろされることを示していた。
「2号機からの発射が、H.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部に到達するのは何分後ですか?」
「かき集めた情報とデータが確かなら、あと90分後です」
「そこまでわかっていて、何故貴国は2号機を止めようとしないのですか?」
 H.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部の責任者からの追及に、画面上の人物は忙しなく情報をかき集める動きを見せていたが、やがて恐る恐ると言った感じでこう応えた。
「我々も該当施設を止めようと諜報機関員を動員したのですが、施設を占拠する多数のヴィラン及び従魔達に撃退されたとのことです」
(自分達で作った兵器の制御もできんのか)
 支部の責任者はそう内心吐き捨てたが、H.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部の危機的状況を前に、命令を下す。
「支部にいる者全員に避難命令を出せ。それと緊急の依頼の手配だ。エージェント達にサンクトペテルブルグ支部の未来を託す」

●希望は『あなたたち』
 スクリーン上に、ある建物の外観図が表示される。
「これはアメリカが所有する衛星兵器『ライトニング・ステアウェイ』2号機を動かす施設です。この施設の機能を奪回し、2号機の発射を阻止する事が依頼内容となります」
 機械を操作するポルタ クエント(az0060)が説明を続ける。
 ――施設自体はテロリストからの襲撃に備えた特殊仕様で頑強に作られ、AGWの攻撃でも破壊は不可能。
 ――2号機『ヘヨカ』には、現在引き金を引く役割のリンカーは乗ってはいないが、地上施設からのコントロールで発射できるよう改良されている。
「逆を言えばこの施設にあるコントロールルームを奪回し、衛星兵器へ指示を送る発射装置を破壊すれば、サンクトペテルブルグ支部への射撃は止められます」
 そのためには発射前に施設内外を囲むヴィランや従魔達を突破し、コントロールルームに到達しなければならない。
 だが現在施設の周囲は無数の従魔とヴィラン達が包囲しており、地上からの突入は難しい。
 そのため残された時間を鑑みて、手配された輸送機で空輸し、上空より施設へ降下する空挺作戦という形になり、降下する『あなたたち』には使い捨てライヴス・ジェットパック(略称LJP)が支給されるとのことだ。
 危険が高い分、今回依頼主からは多めの報酬が提示されているが、立ちはだかる敵の種類や数は密告によってほぼ判明している。 
 密告によると、ヴィランと従魔達の正体は『シーカ』。
 彼らの目的は今回の発射によってロシアとアメリカの仲を裂く『調停』。
「アメリカの兵器でサンクトペテルブルグ支部が攻撃されてしまえば、支部のあるロシアとアメリカの関係は確実に悪化します。そうなれば、アメリカとロシアが連携どころか戦争に突入してもおかしくありません」
 そしてポルタは『あなたたち』に、今回の密告はトリブヌス級愚神ニア・エートゥスからのものと告げる。
「愚神ニアは、私達H.O.P.E.の要請があれば、この施設に配備した従魔達を全て退かせるとも言っていました」
 先のシーカ絡みの依頼の中で、あるエージェントの提示した『一時停戦』の話をニアは覚えていたらしい。
 ――ニア・エートゥスはシーカの所有する道具によって使役されており、シーカからの解放を望んでいる。
 それが前回エージェント達に語ったニアの『本心』だが、それが本当ならニアが敵であるH.O.P.E.に情報を流し、シーカの活動を妨害するのはつじつまが合う。
 障害となる敵が減るのは望ましいが、問題はニアが取引相手とするには危険なトリブヌス級愚神である事だ。
「ご判断はお任せします」
 こうして二つの国の未来をかけた、もう一つの『ライトニング・ステアウェイ』を巡る戦いが『あなたたち』に託された。

●選択肢
 以下は上空より施設に突入後、ライトニング・ステアウェイ2号機の発射阻止までに選択可能な内容。
 A:施設外周を守るシーカヴィランや従魔達を、施設内へ入れさせない。
 B:問題の発射装置があるコントトールルームに至る途中の通路で敵と交戦。階下のコントロールルームに向かう味方(以下C)を通す。
 C:コントロールルーム内の『ヘヨカ』発射装置を破壊する。

 平面図

   地上       地下

          □□□□□□□
  敵□□□□□□ □ □■□■□
 敵A B→敵Ⅲ□ □ⅢC→ 敵□
  敵□□□□□□ □ □■□■□
          □□□□□□□

 □:施設構造
 敵:シーカヴィラン・従魔
 ■:発射装置
 Ⅲ:階段

解説

●目標
 ライトニング・ステアウェイ2号機『ヘヨカ』の発射を阻止
 被害拡大を防ぐ

●登場
 以下全て密告情報
 シーカ結社員×60
 半数はヴィラン。うち10人はジャックポットの『トリオ』『フラッシュバン』『ロングショット』と同様の術を使い、射程48sqの対物ライフルを装備。通称『銃員』。10人はドレットノートの『怒涛乱舞』『疾風怒濤』『トップギア』と同様の術を使い槍を装備。通称『槍員』。最後の10人はブレイブナイトの『守るべき誓い』『ハイカバーリング』『ライヴスリッパー』と同等の術を使い盾を装備。通称『盾員』。ABC各位置に存在。残りの30人は一般人でCで作業中。

 ニア・エートゥス
 トリブヌス愚神。詳細能力は【絶零】特設ページ参照。施設外(A)にいる。
 密告では一定ターン数経過後下記のラビスと共に撤退。

 ラビス
 邪英カオティックブレイドの老人。能力は未知数だがケントォリオ級相当。主にニアを守る。

 アイスゴーレム×無数
 デクリオ級。略称『氷像』。ニアの周囲を守り、ニアへの攻撃を庇う。
 
 ムンギア×多数。
 ミーレス級。通称『影忍』。身長1.8m前後。影が人の姿をとったような漆黒の従魔。
 シャドウルーカ―の『潜伏』『毒刃』『地不知』と同様の術を使い武器は手裏剣、忍刀を使う。A・B・C各位置に分布。

 アメリカ政府諜報機関
 『あなたたち』を支援。輸送機の手配の他、要請があれば捕獲したシーカ結社員達を収容してくれる。 

●状況
 アメリカのとある人気のない荒野地帯にある施設。無線やヴィラン達の拘束用具は貸与済み。
 テロを警戒し、施設は頑強の作られたため、構造に穴を開けるのは不可能。
 地上の入口から地下のコントロールルームまでは1本道で、通路は横幅が10m。
 リプレイでは施設に着地した時点で、発射まであと15分からスタート。
 該当施設は地下へと通路が伸びており、最下層にコントロールルームがある。

リプレイ

●現地到着
 アメリカが密かに建造した衛星兵器『ライトニング・ステアウェイ』2号機、コードネーム『ヘヨカ』は既に廃棄されたはずの存在だった。
 だが現在『ヘヨカ』を動かす施設は秘密結社シーカに占領され、沈黙していた機器は蘇り、その照準をロシアにあるH.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部に向けられている。
 シーカの目的は、『ヘヨカ』の攻撃によってロシアとアメリカの関係に亀裂を生じさせる『調停』。
 シーカのヴィランや従魔達が施設の奪回に臨むアメリカ諜報機関員達を撃退する中、施設の頭上に到達した輸送機の編隊が放ったのは、事情があり参加できなかった橘 由香里(aa1855)と飯綱比売命(aa1855hero001)を除く24組のエージェント達だった。
 装着したライヴス・ジェットパック(以下LJPと略)より噴出されるライヴスの駆動炎を空に咲かせ、それぞれのAGWで武装したエージェント達は施設めがけて軽やかに降下していった。

●入口周囲
 エージェント達の初手は、Alice(aa1651hero001)と共鳴したアリス(aa1651)からだった。
(オーダークリア。それ以上でも以下でもなく)
「発射装置の破壊。そのためにここで敵の侵入を防げというなら、そのように」
 内からのAliceの指摘にアリスはそう応じ、入口付近にいる敵群に向けブルームフレアを発動する。
 アリスの特性を顕現したように咲いたブルームフレアの業火状ライヴスは、入口周囲のヴィラン達を絡め取り、アリスからのブルームフレアで生命力を根こそぎ刈られた盾持ちヴィラン(以下盾員と略)や槍持ちヴィラン(以下槍員と略)、銃使いヴィラン(以下銃員と略)は悲鳴を上げて吹き飛ばされ、エージェント達が施設内部へ突入できる空間が拓かれる。
(引き続き周囲の掃討を。でもその前に)
「施設入口付近の障害はクリア。各班の突入は可能よ」
 Aliceの助言を受けたアリスが冷静な口調で無線で仲間達に入口の確保を伝え、次々と他のエージェント達が地上へと舞い降りる。
「まったく。敵の中に人間も含まれていて、人間達に関しては不用意に殲滅できないから厄介だな」
 共鳴後、入口付近に降下した麻生 遊夜(aa0452)はそう零しながらも、レーダーユニット「モスケール」で周囲に潜む従魔ムンギア達を探索し、発見次第ライヴス通信機「遠雷」を介し、味方に伝達する。
 探索を終えた遊夜の内より、ユフォアリーヤ(aa0452hero001)から同意の意志が伝わってきた。
(……ん。愚神や従魔はある意味素直)
 ユフォアリーヤのいう『素直』とは躊躇なく撃破できるという意味でだが、遊夜から見ても『シーカ』という人間達が、『調停』と称して同じ人間である自分達や世界各国の足を引っ張るこの状況は面倒極まりない。
 そんな状況に遊夜は頭をかきつつも、顕現した20mmガトリング砲「ヘパイストス」に【SW(銃)】バイポッドをとりつけ、機関銃座を構築する動きは淀みない。
「状況や敵がなんにせよ、ここを通すわけにはいかん」
 そう言って遊夜が引き金を引くと、その1本1本に狼の姿が刻まれた20mmガトリング砲「ヘパイストス」の銃身が回転し、餓狼の咆哮のような威圧的な砲音を上げた。
 切り裂くような火線が空間を疾走し、その先にいた銃員が遊夜の銃弾状ライヴスに貫かれ、血飛沫をあげてのけぞった。
(……ん。ここは通行止め……だよ?)
 含み笑いをこめたユフォアリーヤの声を内に抱え、遊夜が弾幕を展開して敵達の接近を阻止する間にも、木霊・C・リュカ(aa0068)と共鳴した凛道(aa0068hero002)が、別方向から来るシーカヴィラン達を迎撃する。
(こっちも通行止めにしようね、凛道ちゃん)
「罪には罰を。平和の破壊者には重刑を」
 盾員の援護を受けた槍員が喚声を上げて突進する中、リュカに背を押された凛道は酷薄にそう槍員に告げ、間合いに入った槍員達の頭上にウェポンズレインを発動する。
 すると凛道の頭上が刃の輝きを帯びていき、現れた無数のポルードニツァ・シックルが幾重もの風切り音を残して槍員達へと襲いかかり、複数の衝撃音とともに鮮血がしぶいた。
 槍員を庇っていた盾員は全身を切り刻まれ、無数の血光を噴きあげて転倒したが、残る槍員は味方の脱落を一顧だにせず凛道に肉薄する。
 そこへユエリャン・李(aa0076hero002) と共鳴し、凛道と連携する紫 征四郎(aa0076)が強引に割り込み、繚乱を発動した。
「ここから先には通しません。通すものですか!」
 そう叫んだ征四郎から影色の薔薇の花弁状に収束されたライヴスが周囲に展開し、花弁状ライヴスの嵐に包まれた槍員達は、生命力と意識を削り取られ、昏倒していく。
(これが紛争の種になる、か。それはきっとかの『子』も望まぬ)
 征四郎の内にいるユエリャンが思いを馳せたのは、この場にいないがリュカと共鳴できる英雄のことであり。
 ならば吾輩たちのやることは1つであろうと、内より伝わってくるユエリャンの意志に征四郎は頷く。
「ええ、きっと止めましょう。そのために出来ることを、やりましょう」
 征四郎はそう決意を口にする。
「助力感謝します」
(せーちゃん、ありがとう。助かったよ)
 フォローされた凛道と内にいるリュカが短く征四郎に礼を述べ、征四郎と共に残る敵を迎え撃つ。
 こうして入口周囲3方向のうち2方向を遊夜、凛道と征四郎が固め、残る1方向にはニクノイー(aa0476hero001) と共鳴し、自称『聖霊紫帝闘士ウラワンダー』に変身した大宮 朝霞(aa0476)が駆けつけた。
「皆さんは早く『ヘヨカ』の発射装置を破壊して下さい! 大丈夫。こいつらを片付けたら、すぐに追いかけますから!」
 そう突入していく仲間達に伝えた後、入口を守る態勢をとる朝霞に、内からニクノイーサが指摘する。
(それ、知ってるぞ。一般的な用語でいうところの『死亡フラグ』というものではないか?)
「一度言ってみたかったんだよね!」
 そう言った朝霞も死ぬつもりは毛頭ないし、ニクノイーサも朝霞を死なせるつもりはない。
 だからまずニクノイーサは言うべきとを朝霞に伝える。
(朝霞。いま突入した仲間達が発射装置を破壊するまでここを通さないようにすればいい)
「わかったよニック! とにかくここを通さないように守りぬく!」
 そう叫んだ朝霞に銃員の1人が射程距離外から発砲し、乾いた銃声と共に銃弾状ライヴスが朝霞に飛来するが、ディフェンダーを掲げた朝霞の防御が、銃員の狙撃を弾き飛ばす。
(朝霞、左の死角から従魔が忍び寄っている)
「了解、ニック!」
 ニクノイーサの警告に従い、朝霞は武器を改良したレインメーカーに持ち返ると、身体ごと旋回させてレインメーカーを振り払う。
 空間にハートマークのエフェクトを纏う桃花色の軌跡を残し、朝霞の繰り出したレインメーカーはすぐ近くまで迫っていたムンギアの頭部を打ち砕き、頭部を失ったムンギアは塵を噴いて消え、脅威を排した朝霞は再び入口の防衛を再開する。
 そのころЛетти-Ветер(aa4706hero001)と共鳴したГарсия-К-Вампир(aa4706)は、降下中にトリブヌス級愚神ニア・エートゥスの位置を探していた。
 その結果若干仲間達と比べ着陸が遅れていたが、やがてГарсияはニアの位置と周囲にいる敵の群れを捕捉し、降下軌道を調整する。
(Гарсия。わかっているとは思いますけれど)
「ええ、よくわかっております。ニア様のみ攻撃から外します」
 内からのЛеттиの問いにそう応じたГарсияは、ニアが自分の真下に来るよう調整した上でウェポンズレインを発動する。
 降下中のГарсияの周囲に無数の小説「白瞑」が顕現して一斉に頁が開かれ、それぞれの本から冷気を帯びたライヴスが放出され、ナイフ状の弾幕を形成していくと、眼下にいる敵の群れへと放たれる。
 Гарсияのナイフ状ライヴスの雨が注がれた地より、驟雨のごとき轟音が湧きあがり大気を震わせる中、直撃を受けた銃員が自分の銃の下に真っ赤な飛沫を散らして転倒し、頭や体を打ち抜かれたムンギア達は貫かれた個所から塵を噴き、消滅する。
 周囲に鮮血の霧と塵が漂う中、Гарсияは優雅にニアの前に着地してLJPを切り離すと、ニアに一礼する。
「お久しぶりでございますニア様。……色々お話したい事はございますが、まずはお仕事を終えてから、ですね」
 実のところにニアを倒す意図はなく、シーカの目を欺くための攻撃であることはニアも察することができたため、ニアはあることをГарсияに伝える。
 ただちにГарсияはライヴス通信機「雫」や無線を介し、現在周囲で各行動に移る仲間達にその内容を伝達した。
「皆様。ニア様より従魔達をいくら撃破しようと構わないと言質をとりました。邪魔な敵は全て撃破が可能です」
 それは入口を守る班だけでなく、現在発射装置に至る通路を通過中の仲間達の行動から、従魔達を撃破する自由を与える内容だった。
 そんなГарсияの範囲攻撃から逃れ得た槍員は盾員と連携して間合いを詰め、ムンギア達は他の方向から殺到する。
 そこへリーヴスラシル(aa0873hero001)と共鳴した月鏡 由利菜(aa0873)が疾風と化して、Гарсияと入れ違う形で敵の形成する包囲網に突っ込んだ。
(ユリナ。全ての敵が射程内だ。発動は今しかない)
「攻守を補い合う布陣は定石。ならばまとめて薙ぎ払うまで!」
 既にリンクコントロールでレートを向上させていた由利菜は、リーヴスラシルの助言を受けて一閃を発動する。
「浄化の光輝、剣に宿し……駆けよ、熾天の羽!」
 由利菜の裂帛の叫びと共に『ナンナ』の銘を冠したイリヤ・メックを翻し、飛燕のごとく旋回させた。
 その剣身にライヴスの羽を纏わせ、純白の剣閃の弧を描いた『ナンナ』はその威力を斬り裂いた槍員や盾員、ムンギア達の中に炸裂させ、一閃を受けた敵達は由利菜の舞い散る羽のライヴスが周囲に漂う中、鮮血や塵を噴いて斬り倒され、ムンギア達は消えていく。
「ありがとうございます、由利菜様。彼らの捕縛はお任せください」
 助けられた形となったГарсияが由利菜に頭を下げて礼を述べると、宣言通り周囲に倒れ伏すヴィラン達を持参した拘束具で捕縛し、無線でアメリカ政府の諜報機関に身柄の一時受け入れを打診していく。
(ラシル。『ヘヨカ』の発射阻止前にニアとの停戦交渉を進めます。あなたにとっては不本意かもしれませんが)
(……私は従者だ。主の決定には従う)
 ヴィラン達に聞かれぬよう由利菜は思念でリーヴスラシルにそう伝え、少し間を置いた後リーヴスラシルから了承の意志が伝わった。
 当初は発射阻止後に交渉する予定だったが、迅速に従魔達を排除した方が発射阻止に繋がると判断し、由利菜は方針を切り替えていた。
 同じようなことは、ミュー・イーヴォル(aa0002hero002)と共鳴した努々 キミカ(aa0002)も考えていた。
(これだけは言っておく。護るためにわだかまりを忘れるのはいい。だが敵である事に替わりはない。あまり肩入れしすぎるなよ)
「ああ、わかっている」
 内より伝えられたミューからの忠告に、短く応じたキミカは指呼の間合まで近づいたニアに軽く挨拶する。
「まずは申し出に耳を傾けてくれた事に感謝を。だがその前に」
 キミカは『日蝕』の銘を持つ九陽神弓を顕現し、弓弦を引き絞って己を秘匿する矢状ライヴスを番える。
(キミカ。『長く戦いながら』交渉しろ)
「ニア。貴様演技はできるか?」
 ミューの意志を受け、『日蝕』の照準をニアから若干逸らした状態からのキミカの問いに、ニアは『ええ』と応じる。
「では一戦交えながら交渉といこう」
 そう言いながらキミカは『日蝕』の弓弦を鳴らして影を帯びた矢状ライヴスを放つと、ニアはその一射を軽くかわし、互いの意図を隠した『交渉』が始まった。

●通路の攻防
 発射装置のある最深部に至る通路でも、エージェント達とシーカの交戦が始まっていた。
(……)
「ええ。目的のため、リスクは負いましょうか」
 辺是 落児(aa0281)と共鳴した構築の魔女(aa0281hero001)は、内にいる落児にそう応じ、通路奥に折り敷いた銃員達の対物ライフルの列へと疾駆する。
「外は任せて、私は仲間達を中へ進ませる事に務めましょう」
 そう呟いた構築の魔女の突進に向け、銃員達が轟然と発砲した。
 いくつもの発射焔が通路に弾け、放たれた銃弾状ライヴスの嵐が構築の魔女を襲うが、構築の魔女の疾走は止まらず、銃員達の攻撃はことごとく回避される。
 やがて敵を射程距離に捉えた構築の魔女は、周囲の仲間達に短く警告する。
「発動します。少しの間私から目を逸らして下さい」
 そして構築の魔女よりフラッシュバンが放たれ、眩い閃光と衝撃が周囲に広がり銃員達の視覚や聴覚をつかの間奪い、意識と攻撃精度を鈍らせる。
「皆さん、攻撃と奥への道を拓くのは今です」
 構築の魔女からの連絡を受け、アルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)と共鳴した氷鏡 六花(aa4969)が拒絶の風で回避を上げた状態から、突破口の切り開きにかかる。
「2号機なんて……ロシアへの攻撃なんて、認めないっ」
(ええ。私も……彼の地で崇められた氷雪の女神の名にかけて。ロシアへの攻撃は見過ごせないわ)
 六花と内にいるアルヴィナのライヴスが、発動したゴーストウィンドに反映される。
 六花より放たれたゴーストウィンドは吹雪のような外見を持つ不浄の風と化して銃員達に襲いかかり、その身を朽ちさせ、蝕んだ。
「狒村さんも東海林さんも無事に帰ってきてくれたのに……。もう誰も、あの雷光の犠牲にはさせない……っ」 
 六花が口にしたのはLe..(aa0203hero001) と共鳴する東海林聖(aa0203)と、レミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)と共鳴する狒村 緋十郎(aa3678)のことだ。
 少し前に『ライトニング・ステアウェイ』1号機の『雷光』をレガトゥス級愚神ヴァルリアに命中させるため、聖と緋十郎はヴァルリアと共にその攻撃を受け、ヴァルリアとの戦いの末に邪英化した。
 仲間達の奮闘の結果2人の邪英化は解除され、無事帰還し現在はこの依頼に参加しているが、同じような事は繰り返したくないし、繰り返させない。
 それが六花の決意だ。
「起きちゃったことは仕方ない。止めるだけだね」
 そこにアリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)と共鳴した志賀谷 京子(aa0150)がフリーガーファウストG3を構えると、弾道思考を絡めたロングショットで撃ち放つ。
(ええ、今は突破口を開くことに集中を)
 アリッサの加護を受け、発射の噴流と共に叩き出された京子のロケット弾状ライヴスは、火の尾を曳きながら飛翔すると、本来の射程距離を飛び越えて、六花のゴーストウィンドに蝕まれた銃員の列に吸い込まれて炸裂する。
 京子のフリーガーファウストG3を受けた銃員達は、広がる衝撃波に周囲へと吹き飛ばされて、通路の脇へと叩きつけられる。
(突入前にどれだけ相手を崩せるかが勝負ですよ)
「まかせて。丈夫な建物だから遠慮はいらないしね、派手にいくよ!」
 アリッサからの助言に京子は頷いてそう応じると、フリーガーファウストG3の筒先を次の銃員へと向ける。
 京子が口にした通り、この施設は対テロ対策として頑強に作られた結果、AGWでも破壊は難しいため、内部でいくらAGWを使用しても崩壊に巻き込まれる心配はない。
 構築の魔女や六花、京子の攻撃でヴィラン達の壁が崩れ、それを潜伏するムンギアが埋めようと動いたが、白虎丸(aa0123hero001) と共鳴した虎噛 千颯(aa0123)がその動きを見逃さなかった。
「俺ちゃんに潜伏は効かないんだぜ! 見つけたぜ!」
(まぐれでござる! 本気にしたら駄目でござるよ!)
 千颯の内にいた白虎丸の声がそう叫んでいたが、千颯は本当に潜伏するムンギア達の居場所を見抜いており、ライヴス通信機「雫」でおよその位置を仲間達に伝達する。
 その近くではゼム ロバート(aa0342hero002) と共鳴した笹山平介(aa0342)が、レーダーユニット「モスケール」を駆使してムンギア達の詳細な位置を割り出していた。
「さ、あぶりだすよ」
(見えない敵も、な)
 ゼムの支援を受け、割り出せた敵位置を平介は無線で仲間達、特に同じ通路で戦う御代 つくし(aa0657)やカスカ(aa0657hero002)、これから最深部に突入する真壁 久朗(aa0032)とアトリア(aa0032hero002) 達に伝えていく。
 すでにつくしはカスカとの共鳴を終えており、高級腕時計で時間を確認しながら内にいるカスカをなだめていた。
「カスカ。一人じゃないから。絶対大丈夫だよ! みんなでがんばろーっ!」
(う……うん。頑張ったりしたりする、よ)
 控えめな同意がカスカから返ってきたところで、つくしは平介が割り出したムンギア達の群れの中に突っ込んだ。
 たちまち周囲のムンギア達から投擲された手裏剣が、まっしぐらに飛んできた。
(あの、ちょっと危険だって)
「大丈夫。全部見えてるから」
 内からのカスカの警告につくしはそう応じ、【SW(大剣)】イヤシロチよりライヴスの加護を受けたフォーマルハウトソードを翻し、飛来した手裏剣を火花を散らして弾き飛ばす。
 さらにつくしのフォーマルハウトソードがメーレーブロウの発動で大きく振り回され、すぐ近くまで迫っていたムンギア達を浅く切り裂いて乱戦に引きずり込んだところで、つくしは声を張り上げた。
「今です、笹山さん!」
「了解です、つくしさん」
 つくしの合図を受けた平介は、既にライヴスキャスターで周囲に展開を終えていた無数のSSVD-13Us「ドラグノフ・アゾフ」を一斉に咆哮させた。
 無数のSSVD-13Us「ドラグノフ・アゾフ」から銃弾状ライヴスの奔流が解き放たれ、つくしに引き寄せられたムンギア達は平介のライヴスの嵐をまともに受け、身体をずたずたに引き裂かれ、塵と化して消えていき、大人数が通れる隙間が切り開かれた。
「真壁さん、ここは任せて先に行って下さい!」
(任せて、ほしかったり、です)
 つくし(とカスカ)の合図を受け、最深部に向かうエージェント達が奥へと突入していく中、久朗とアトリアは共鳴前に一度つくしや平介を振り返る。
「そちらは任せた」
「カスカ。それとタイツ男……じゃない、ゼム。負けてはいけませんよ」
 それぞれそう言い残すと、久朗とアトリアは共鳴して仲間達の後を追う。
「頼みましたよ、久朗さん」
(心配する必要はなさそうか。ただしアトリアは後で説教してやる)
 平介は意に介さなかったが、ゼムはアトリアの物言いが若干不快だったようだ。
 その平介のライヴスキャスターから逃れ得たムンギア達には、ミツルギ サヤ(aa4381hero001)と共鳴したニノマエ(aa4381)が襲いかかる。
「立ち止まってる時間は無ェ。このまま突き進む」
 ニノマエはそう言ってムンギア達に向け、ウェポンズレインを発動すると、ニノマエの頭上に術で召喚された無数の風魔の小太刀が展開し、ムンギア達に雨となって射出された。
 風の力を帯びた無数の風魔の小太刀が、眼下にいるムンギア達を覆い尽くす。小太刀の嵐はムンギア達の頭や体を貫き、全身を貫かれたムンギア達は塵を噴いて倒れていき、消えていく。
(攻撃の手を緩めてはならん。連中の毒を受けようが気にせず攻撃を続けろ)
「ああ。短時間の集中戦だからな」
 内からのミツルギの声に、ニノマエはそう応じると次の敵の群れへと疾駆し、次の戦いへと急ぐ。
 この時槍員達の一部が、奥へと突入したエージェント達を追撃すべく布陣を動かしたが、そこへ百薬(aa0843hero001)と共鳴した餅 望月(aa0843)が割り込んだ。
「政治の事は放っておくとして。愚神やヴィラン組織に『ライトニング・ステアウェイ』を使わせるわけにはいかないよね」
(そのためにも、ここでの食い止めを頑張らないといけないよね)
 百薬の助言に望月は頷くと、蒼炎槍「ノルディックオーデン」を翻し、豪風と共に打ちこまれた槍員の槍を火花と共に跳ね返す。
 思わぬ望月の槍術の強さに槍員は顔色を変え、別の槍員が加勢のため駆けつけるが、その前に躍り出た千颯が立ちはだかり、直槍に改造した豪炎槍「イフリート」を旋回させ、灼熱の猛虎の幻影をつかの間浮かびあがらせる。
「望月ちゃんへの手出しはさせないんだぜ!」
(ここから先は通行止めでござる! 邪魔をするならば、シーカの衆は一騎打ちにも及ばぬと触れ回るでござる!)
 背後で望月と槍員が槍をぶつけ合う中、白虎丸の支援を受けた千颯は槍を舞わして突きかける別の槍員と激突した。
 槍員の穂先を、千颯の豪炎槍「イフリート」が炎を発して突き上げる。弾かれた槍を槍員が引き戻そうとした瞬間、灼熱の猛虎の幻影をまとって突き出された千颯の豪炎槍「イフリート」が、槍員の胸に喰らいついて貫通した。
 千颯が豪炎槍「イフリート」を引き抜くと、貫かれた場所から鮮血の霧を噴き、槍員が倒れ伏す。
 こうして通路での攻防は、エージェント達の優位で進んでいた。
 
●最深部
 発射装置のある部屋に到達したエージェント達にも、シーカヴィラン達の迎撃が待っていた。
 ヴィラン達の後ろに一般人らしきシーカ結社員達の姿を見咎め、レティシア ブランシェ(aa0626hero001)と共鳴したゼノビア オルコット(aa0626)が、無駄とは知りつつもシーカ結社員達に自分の意志を書いた紙を見せる。
『お願いです。アレを撃つのを止めてくれない、ですか。今ならまだ間に合うから』
 ゼノビアの予想通り、ゼノビアが見せる紙を見て作業を止める者はいなかったが、ゼノビアの内よりレティシアが覚悟を問う。
(『一般人はなるべく傷つけないように。アレが撃たれなければいいだけです』……か。殺さずが一番難易度高ぇぞ。気合い入れろよ、チビ)
 内からのレティシアの言葉にゼノビアは頷くと、2人は素早く周囲を見渡し状況を確認する。
 時間制限つき、かつ激戦が予想されるこの場では、ゼノビアよりも豊富な戦場経験を有するレティシアのほうが激戦を制し、『ヘヨカ』発射阻止を引き寄せられると2人は判断し、ゼノビアの同意のもとレティシアへと主人格が切り替わり、レティシアがPride of foolsを顕現する。
 その横で、久朗がその横から一般人を巻き込まず、かつ突入を支援できる位置に向け、フリーガ―ファウストG3の引き金を引く。
 撃ち放たれたロケット弾状のライヴスが白煙の尾を曳いて、対物ライフルを構える銃員達に突進して吸い込まれると、着弾した場所の周囲に衝撃波の花を咲かせ、銃員達を吹き飛ばす。
「俺はこういう派手な武器は好まないんだが」
(あら、ワタシは好きですよ? それに)
「それに、なんだアトリア?」
(調停と言っても、やっていることはテロ行為に他なりません。力には力をもって制するしかないでしょう)
「ああ。これ以上ロシアに、あの国に災厄を見舞わせはしない」
 内にいるアトリアとそんなやり取りをかわした後、久朗は幾多の戦場を共にした歴戦のフラメアに武器を変え、今は一般人とヴィランが混在している為、そのままシーカヴィラン達のもとへ突っ込み敵の引き寄せを試みる。 
 そんな中、緋十郎と共鳴したレミアが久朗のこじ開けた空間を通り抜け、部屋の奥に向けて滑るように移動する。
(ライトニング・ステアウェイ……。看過できんな。あの雷光に撃たれるものは、俺達で十分だ。もう二度と出て欲しくない)
「あれに撃たれたのは緋十郎であってわたしじゃなかったけど。……そうね。必ず破壊するわよ」
 内にいる緋十郎へそう返したレミアの前に、槍員や盾員が、天井や壁を走るムンギア達がそれぞれ殺到する。
 レミアの予想通り、盾員がハイカバーリング、守るべき誓いをのような術をそれぞれ発動し、攻撃役である槍員達を守る構えを見せたが、レミアの攻撃範囲に入った時点で盾員達の命運は尽きていた。
「甘く見られたものね。運が良ければ後悔できるわよ?」
 対してレミアは凄絶な笑みと共に、《闇夜の血華》の銘を得た魔剣「カラミティエンド」を抜き放ち、既にチャージラッシュで攻撃力を底上げした怒涛乱舞を発動する。
 レミアの《闇夜の血華》が血色の剣閃を5度描き、放たれたレミアの怒涛乱舞は頭上から躍りかかるムンギア2体の身を粉砕して塵に変え、槍員達を庇った盾員3人が胸から鮮血の霧を噴き上げ、瀕死の状態で床に転がり沈黙する。
(相変わらず容赦ないな)
「容赦してたら、発射は止められないもの」
 内からの緋十郎の声にそう応じたレミアは、そのまま槍員達の追撃を振り払うと、自分の斬り裂いた防御の網をくぐり開け、発射措置へと疾走する。
 レミアの猛攻の後を、イン・シェン(aa0208hero001)と共鳴したリィェン・ユー(aa0208)が続く。
(まさにタイムリミットまでの真剣勝負じゃな)
「いや……あんまり楽観視できる状況じゃないからな」
 インやリィェンの言う通り、発射時間は刻一刻と迫っている。
(とかいいつつ楽しそうな顔をしているのじゃな)
「そりゃ、これだけやりがいのある狩場を用意されちゃな」
(じゃったら後は)
「標的を狩るだけだ」
 インとの短いやり取りを終え、リィェンはシーカヴィラン達の敵意を自分に向けさせようとすべく、あえて獰猛な笑みを浮かべて発射装置に向かう。
「さあ、俺に斬られてそいつらの仲間入りになりたい奴はかかってこいよ」
 こなきゃ貴様らの大事なもんを屠るだけだぜ。
 そんなリィェンに応じたのはシーカヴィラン達ではなく、周囲の天井や壁に展開していたムンギア達だった。
 その1体に向け、レティシアのPride of foolsより威嚇射撃が放たれる。
「リィェン。ムンギアの攻撃は妨害した。そのまま進め。フィアナ。援護を頼む」
 立て続けの発砲で放たれたレティシアの銃弾状ライヴスがムンギアの投擲を妨害したところで、レティシアはライヴス通信機「雫」を介し、リィェンやとルー(aa4210hero001) と共鳴するフィアナ(aa4210)に連絡を入れる。
 レティシアの連絡を受けたフィアナは、既に発射装置へとエージェント達が向かっている事を確認し、リィェンの近くへ駆けつけると、蛇龍剣「ウロボロス」を顕現してハイカバーリングでリィェンを庇う。
 やがてリィェンのもとへ空間を切り裂き、幾筋もの光芒が連続して飛んできた。ムンギアの手裏剣だ。
 そのいくつかを【極】の銘を冠し、龍紋を掘る等様々な改良を施したリィェンの屠剣「神斬」が弾き飛ばすが、リィェンの防御を潜り抜けた手裏剣がリィェンの体に突き立てられ、そのダメージをフィアナが庇う。
(フィアナ。ダメージはごくわずかだ)
「こっちは大丈夫。そのまま装置に向かって!」
 内からのルーの意志を受けフィアナは、リィェンや先に行ったレミア、そしてLe..(aa0203hero001) と共鳴した東海林聖(aa0203)に装置破壊を促した。
「すまん、助かったフィアナ。後は俺が引き受ける」
 フィアナに助けられたリィェンは礼を述べ、周囲の壁や天井より殺到するムンギア達に向け怒涛乱舞を発動すると、リィェンの【極】が剣光の網目を編んで迸り、刃の旋風を巻き起こす。
 猛然と大気を鳴らし、周囲のムンギア4体に放たれた【極】の剣閃はムンギア達の身を深々と貫通し、リィェンの怒涛乱舞に斬り裂かれたムンギア達は塵を噴いて地面に落下し、消えていく。
 リィェンがムンギア達を退けた時、聖も装置に向かっていたが、聖を通すためドロシー ジャスティス(aa0553hero001)と共鳴した鋼野 明斗(aa0553)が、アーバレスト「ハストゥル」での援護射撃を行っていた。
 明斗のアーバレスト「ハストゥル」より放たれた矢状ライヴスは槍員へ命中するたび、確実に槍員へダメージを蓄積させていた。
「急ぎの依頼ね……だから報酬は多めか」
(正義のために戦うのです!)
 内よりドロシーの忠告とも激励ともとれない意志が伝わってくるが、明斗は『それでも食費は必要でな』と切り返す。
 その後も『正義は食費に勝る』ような口調のドロシーとの間でやりとりがあったようだが、明斗曰く『とりあえず、本日の平常運転のようだ』とのことなので、この状況でも問題ないらしい。 
 そしてリィェンの敵誘引や明斗の支援を活かし、聖が発射装置の1つに到達した。
(変な因縁……ここで断ち切る……)
「あんなモン、一度食らえば十分だ。『調停』なんてつまんねェ理由で撃たせるわけにはいかねェな」
 内にいるLe..の意志にそう応じると、ツヴァイハンダー・アスガルを顕現して疾風怒濤を発動する。
「とりあえず一機目……っ! 千照流・破斥、黒妖!」
 聖の叫びと共に、聖のツヴァイハンダー・アスガルの剣身が三閃し、雷光の速度で繰りこまれたツヴァイハンダー・アスガルは3度装置を貫き、内部に走る無数の回路を叩き割り、総身を噛み裂かれた装置はただの残骸と化し沈黙する。
「よし。壊せる手応えや技量とかは覚えたぜ」
(……単純に物を破壊するだけなら、普段の馬鹿力だけでもいいと思うけど。まだ他にもある。時間がないから急いで)
 聖が手応えを確かめる間にも、内にいるLe..は容赦なく忠告し、聖は次の装置へと向かう。
 この時装置の周囲には一般人の結社員達もいたが、彼らはブラックウィンド 黎焔(aa1195hero001)と共鳴した百目木 亮(aa1195)の手で無力化されていった。
「ここで止めねえとなあ。あんなものロシアでなくても世界にぶっ放されてたまるか」
(きっちり始末をつけねばのう)
 内にいる黎焔も同意し、亮はセーフティガスを発動して周囲にいる一般人達を昏倒させていくと、意識のない一般人結社員を装置や周囲の戦いに巻き込まれない位置へと移動させていき、仲間達の戦いがスムーズに進むよう支援活動を行っていた。
 その作業の中、不意に黎焔より亮へ警告が飛ぶ。
(右手の装置の影にムンギアが潜んでおるぞ)
「ああ、わかってる。俺も既に見抜いているからな」
 亮はフラメアを顕現し、無造作に装置の影を刺し貫いた。
 亮が手ごたえを感じた瞬間、フラメアに貫かれ、背中から穂先が見えるムンギアの姿が現れた。
「俺に潜伏は通じないぞ。隠れるだけ無駄だ」
 そう言って亮がフラメアを引き抜くと、貫かれた場所から塵を噴きムンギアは消滅した。
「この周辺にいる一般人達は安全そうな場所に移動させた。これからムンギア達の居場所を伝えるぞ」
 亮がライヴス通信機「雫」を介し、仲間達へこの部屋にいるムンギア達の位置を報せる。
 ライヴス通信機で亮からの情報を聞いた明斗は周囲や上を見渡す。
 やがて天井より襲いかかってきたムンギアが忍刀らしき武器を抜き放つのを見定めると、明斗は長巻野太刀「極光」真打を顕現し、電光の速度で頭上へと跳ね上げた。
 刃が交錯し噛み合う音が響き、やがてムンギアの忍刀を弾いた長巻野太刀「極光」真打はそのままムンギアの身を斬り上げる。
 明斗の斬撃を浴びたムンギアが、斬られた胸から喉にかけ塵を噴いて床に叩きつけられ、そのまま消える。
「発射時間が来る前に、降伏したほうが身のためですよ?」
 明斗は周囲に残る一般人結社員達に、抵抗を止めるよう呼びかけた。

●ニア勢退却
 エージェント達の降下後も、施設入口では戦いが続いていた。
(……任務は、中に誰も入れないこと)
「向かって来ない奴を相手にしてる暇はねぇな。……遠距離以外では、だが」
 内からのユフォアリーヤの意志に遊夜はそう応じながらも、遊夜は入口を守る一画に留まり続けていた。
 それまで遊夜と銃撃戦を展開していた最後の銃員は、【SW(銃)】バイポッドによって命中率を向上させた代償に移動力を失った遊夜に向け、ロングショットらしき術で遊夜の射程外からの遠距離狙撃を続け、じりじりと遊夜の生命力を削っていた。
 だが一向に遊夜が倒れないとみたのか、銃員が間合いを詰める動きや、別方向からの槍員2人の突進を遊夜は見逃さなかった。
「射程を短くしての行動となれば、俺ならフラッシュバンを使うだろうな。その後槍員が肉薄して突き崩すつもりか」
(……ん。その前に、潰さないと……ね)
 遊夜と内にいるユフォアリーヤは敵の意図を正確に読み取ると、ライヴス通信機「遠雷」で凛道や朝霞に向けて、連携を打診する。
「木霊さん、凛道さん。朝霞さん。槍員の迎撃を頼む。俺は銃員を撃破する」
『了解しました、遊夜さん。槍員は僕のほうで刑を執行します』
『お任せください。麻生さんに敵は近づけさせません!』
 ライヴス通信機「遠雷」の向こうにいる凛道や朝霞より、受諾の意志が伝えられた遊夜は槍員を2人に託し、銃員に向けテレポートショットを発動する。
 狼のようにがなりたてる遊夜の20mmガトリング砲「ヘパイストス」より景気よくぶちまかれた弾丸状ライヴスが、不意に姿を消したかと思った次の瞬間、遊夜との距離を詰めていた銃員の背後に転移して銃員に襲いかかる。
 背後に転移した遊夜のテレポートショットに胸を撃ち抜かれた銃員は、鮮血を噴き上げながら転倒し、不意打ちに意識を削られて沈黙したところで、遊夜は凛道にライヴス通信機「遠雷」で連絡を入れる。
「銃員は仕留めた。そっちは頼む」
 その間にも突進を続けていた槍員の前には、遊夜の連絡を受け回り込んでいた朝霞と凛道が待ち構えていた。
(朝霞。要は施設内に突入した味方が発射装置を破壊するまでここで持ちこたえればいい)
「わかった! とにかく敵を通さないように守りぬけばいいわけだね!」
 内からのニクノイーサの助言にそう応じた朝霞はディフェンダーを掲げ、槍員の食い止めにかかると、朝霞に肉薄した槍員の槍が3度翻り、疾風怒濤のような槍員の3連撃が朝霞に叩き込まれる。
(朝霞。ダメージは回復できる範囲だ)
「防ぎきりました! 凛道さん、後はお願いします!」
 ニクノイーサから支障はないという意志が伝わる中、朝霞が槍員の突進を食い止めたことを凛道に伝えたころ、既に凛道は槍員2人を射程に収められる位置に移動していた。
(敵とは距離を置いて仕留めるんだよ、凛道ちゃん)
「後はお任せを。ええ、わかっています。敵の槍術に付き合う義理はありません」
 朝霞や内からのリュカの声にそう応じた凛道は、槍員達に向けストームエッジを発動する。
 凛道のポルードニツァ・シックルによく似た武器の煌めきが凛道の周囲に展開すると、凛道のストームエッジは刃の嵐と化して、一斉に槍員達に向け閃き飛んだ。
 突撃を朝霞に押しとどめられた槍員達が、真横から殺到してきたストームエッジに眼を見開いた瞬間、無数の刃が槍員達の全身を貫いた。
 朱に染まった槍員達が血飛沫を上げて倒れたところで、凛道はシーカヴィラン達を手際よく拘束し搬送を始める。
「死は一番重い刑ではありませんから」
 その間にも、鷹の目で戦場全体を見渡していた征四郎は、敵の連携の要が盾員にあると見抜き、盾員達の位置を近くにいたアリスに向けライヴス通信機「遠雷」を介し伝達する。
「敵の要は盾員です。彼らを優先的に撃破願います」
『承知した。わたし達の分析結果と一致する』
 ライヴス通信機「遠雷」の向こうから、淡々とした物言いながら、アリスの了解の意志が伝えられた征四郎は、残る敵が多くいるニアの周囲へと疾駆する。
 征四郎の連絡を受け、ウィザードセンスで魔法能力を向上させていたアリスは、盾員達の群れへと接近し、周囲に味方がいないことを確認した上で、表紙に「全てを灰塵に」という意味の文字が書かれた極獄宝典『アルスマギカ・リ・チューン』による攻撃を盾員達に放つ。
「ブレイブナイトのような敵の術は面倒だけど……」
(こちらの攻撃範囲内にまとめて入れてしまえば関係ない)
 アリスの言わんとする事を内にいるAliceが続け、やがてアリスの攻撃に【SW(杖・本)】アルス・ペンタクルによる攻撃力上昇と、【SW本】リフレクトミラーによる乱反射が加算され、盾員達の周囲にアリスのライヴスが業火の輝きを発した。
 アリスの極獄宝典『アルスマギカ・リ・チューン』の攻撃が一気に宙を走り、範囲内の盾員達を押し包む。
 業火のようなアリスのライヴスでダメージを受けた盾員達は、苦痛の悲鳴を上げて昏倒していく。
(アリス。盾員達の沈黙を確認)
 内にいるAliceからの意志を受け、アリスはライヴス通信機「遠雷」で征四郎に一報を送る。
「こちらアリス。盾員は無力化した。残りはよろしく」
 アリスからの連絡を受けた征四郎は、ニア周囲で戦っていたГарсияや由利菜、キミカ達に加勢する。
 ニアの周囲には槍員が1人、残りはムンギア達がいたが、ムンギア達はその大半が由利菜の守るべき誓いに絡め取られ、由利菜に手裏剣を投擲していた。
 リーヴスラシルによって改造されたアイギスの盾を由利菜が構え、手裏剣を弾くたびに盾からライヴスの光の羽を散らして他の仲間への攻撃を防ぐ中、加勢した征四郎がターゲットドロウで槍員の攻撃を引き寄せ、殺到する槍の刺突をかわしていく。
「これで両方を引き寄せました。今のうちに攻撃を」
「承知いたしました征四郎様。これだけ混んでいれば色々都合がよく、私も戦いやすいです」
 征四郎の声にカオティックソウルで攻撃力を上げていたГарсияが応じ、自分の形見とも言える小説「白冥」を開き、鋭い冷気を帯びたナイフ状ライヴスの弾幕を形成していくと、槍員に向けその威力を解放する。
「ではシーカヴィランの方。ゆっくりお休み下さいませ」
 Гарсияより放たれたナイフ状ライヴスの弾幕は、征四郎を攻撃していた槍員を吹き飛ばす。
 直撃を受けた槍員は鮮血を噴きながら半回転して地面に倒れ、Гарсияの冷気で『凍結』され無力化されたところで、それまでキミカの攻撃をかわし続けていたニアが片手をあげた。
 その途端、それまで攻撃を続けていたニア周囲のムンギア達が一斉に攻撃を止め、ただキミカや由利菜、征四郎、Гарсияの周囲を回る動きに移る。
「これは外側から見れば、戦いが続いているようにも見えるな」
 ニアの意図を察したキミカがそう口にすると、由利菜とリーヴスラシルが共鳴を解き、キミカと並ぶ。
「我々は人類と愚神で敵同士。今はシーカという共通の敵がいるだけ。そうだな?」
 キミカが『日蝕』を構えながら、確認するようにニアに問うと、ニアは『ええ』と頷いた。
「私にとって、貴様たち愚神が倒すべき敵だという事は変わらん」
 鋭い口調でリーヴスラシルが自分の存念をニアに伝え、『だが』と付け加える。
「あいにくとH.O.P.E.にはお人好しが多くてな」
 リーヴスラシルがそう言って嘆息する後を、由利菜が続ける。
「あなたはシーカの道具に使役されていると聞いています。表向きは従っていても裏では解放されたがっている事も」
 由利菜の話にГарсияも加わる。
「より直截に申し上げますと、ニア様はシーカを潰したがっている。間違いございませんか?」
 2人の確認にニアは軽く頷いた。
「ならば我々は敵であっても、シーカに関する限り敵の敵は味方という関係が成立する」
 その後をキミカが受け継ぎ、ニアに『ところで』と確認する。
「シーカが貴様の内通に気付いている可能性を、貴様は考慮しているか?」
「そろそろシーカも気づくでしょうね」
 あっさりニアは、キミカが考慮する危険性があると認めた。
「貴様を縛る道具の実態はオーパーツか?」
「正確には、私の上位存在の命令を使用者が『代行』できる道具です」
 リーヴィスラシルの問いに、ニアは自分を制御する道具の正体を伝えた。
「それは我々にとっても無視できない道具だ。ゆえに我々と貴様の利害は一致する」
 キミカはニアの身の安全を保障できる権限を有していないため、その確約は口にしない。
「私達がフランツ達シーカの幹部達を拘束し、道具の解除の方法を聞き出します」
「それまでは手出ししないと約束できるだろうな?」
 由利菜やリーヴスラシルからの確認に、ニアは首を横に振って逆に問いかけた。
「貴方は自分の体の自由を、自分を討ちたいと望む敵に委ねますか?」
 ニアの問いは重要な意味を持っていた。
(H.O.P.E.がニアを制御できる道具をシーカから確保した場合、俺達の意志とは別に、H.O.P.E.はニアを道具で拘束し討つ可能性が高い。ニアはそう言いたいのだろう)
 ミューがその可能性をキミカに指摘し、キミカよりミューの意志が伝えられた由利菜、リーヴスラシルやГарсия、征四郎は同じ見解に至る。
「今回はここで道具の効果は切れましたので、退きましょう」
 そう言ってニアが通話機を出し、短く命令を伝えていく。
 ニアの命令が通話機を通じ、施設各所でエージェント達と戦うムンギア達に伝えられると、ムンギア達は即座に戦闘を止め各戦場から離脱していく。
 立ち去ろうとするニアに、征四郎が問いかけた。
「エートゥスは、人と愚神の関係は変えられないと思いますか?」
 ――私は、そうは思わないのです。
 言いかけた言葉を飲み込んだ征四郎に向け、ニアは記憶媒体らしき何かを放り、こう告げた。
「シーカはじきに私の制御手段を失います。貴方がたが急げば、シーカの壊滅に間に合うかもしれません」
 そう言い残すとニアは暴風を発生させて自分や周囲にいたラビス、アイスゴーレム達を包んで姿を消し、入口付近はエージェント達に制圧され、キミカや由利菜達によってニア達愚神・従魔勢の離脱が各方面に伝えられた。

●通路制圧
 千颯のクリアプラスを含んだケアレインによって、退却したムンギア達によって受けたエージェント達の毒や負傷を回復したエージェント達は、残るシーカヴィラン達に猛然と襲いかかる。
(多少の無理はいつもの事でござる! 今回は多大な無理をするでござる!)
「んじゃま、やりますか! 盾員と槍員は俺ちゃんが抑える! 銃員は任せたんだぜ!」
 味方の治療を終えた千颯は、白虎丸の意志に背を押され、仲間達にそう声をかけた後、業火の猛虎の幻影を纏った豪炎槍「イフリート」を旋回させ、槍員達の中へ乗り入れていく。
 そのころ望月と槍員が駆けちがい、振るいあう槍の閃きは、いまだ拮抗を続けていた。
(百薬、どうする? 打ち崩せないけど)
(従魔達は退いたから、いつまでもこの状態が続くわけじゃない。そのうちワタシ達が上回る)
 百薬と望月が心の中でそんなやりとりをかわしながらも、望月の蒼炎槍「ノルディックオーデン」から発せられる蒼白い炎が渦を巻き、その穂先と共に槍員に襲いかかる。
 槍員の槍は望月の猛攻に持ちこたえ、望月もまた槍員の繰り出す槍をことごとくはね返し、互いに決め手を欠いていた。
 そこへ強引に千颯が割り込むと、望月へと繰り出された槍員の刺突は千颯の豪炎槍「イフリート」に跳ね上げられ、一気に均衡が崩れた。
 慌てて槍員が槍を引き戻すよりも早く、望月の蒼炎槍「ノルディックオーデン」が槍員の防御を破って槍員を貫き、交差するように突き出された千颯の豪炎槍「イフリート」が、槍員の身を深々と突き通した。
 槍員の体が縫い止められるように停止し、望月と千颯の武器が引き抜かれた箇所から鮮血を噴き、槍員は倒れ伏す。
「助かりました、虎噛君」
「いいってことよ、望月ちゃん! じゃ、倒した敵の無力化は頼んだぜ!」
 望月の感謝に千颯はそう応え、後の捕縛を任せて次の敵に向かう中、頼まれた望月は周囲に転がるシーカヴィラン達に向け、セーフティガスを発動する。
(生命力がないか瀕死の状態だから)
「うん。今なら能力者相手にセーフティガスは効果がある」
 内にいる百薬にそう応じながら、望月のセーフティガスはヴィラン達の意識を奪い、無力化していく。
 残りの槍員や盾員達とはムンギア達との戦闘から解放された京子、ニノマエ、六花が交戦を続けていた。
(状態異常を引き起こす敵は皆無だ。このまま一気に撃破しろ)
「最初からそのつもりだ」
 内からのミツルギの声にそう応じたニノマエがストームエッジを発動すると、風魔の小太刀の形をした無数の刀剣状ライヴスが召喚され、自分へと突進する槍員へと射出される。
 空間に幾筋もの光が駆け抜け、ニノマエの風魔の小太刀の群れが宙を飛び交って嵐と化し、槍員に襲いかかる。
 ニノマエのストームエッジは確かに槍員を直撃したが、血をしぶいて倒れたのは槍員ではなく、槍員をハイカバーリングめいた術で庇っていた盾員だった。
(六花。先に盾員を倒さないといけないみたいね)
「ええ。全ての敵を撃破するまで、攻撃は緩めない」
 アルヴィナの助言に六花は頷くと、残るブルームフレアを発動する。
 六花のブルームフレアは六花とアルヴィナのライヴスの影響で、業火の中に氷雪めいたライヴスを含む、氷炎入り混じるものだったが、その威力は変わらない。
 六花より放たれたブルームフレアは火炎と吹雪の乱舞と化して、槍員を庇う盾員達を押し包み、ブルームフレアに巻き込まれた盾員達は絶叫を放って地面に転がり、やがて動かなくなる。
 こうして庇う者がなくなった槍員には、京子が武器をオートマチック「グラセウールIS000」に持ち替え、命中精度を高めて銃口を向けていた。
(ニア達は先に離脱。やっぱり相手も一枚岩じゃないか)
「ニアの思惑はどうあれ、この状況ではあえてその思惑に乗っておいたほうがいいでしょうね」
 内からのアリッサの意志に京子はそう応じ、温存していたテレポートショットを発動した。
 京子がオートマチック「グラセウールIS000」の引き金を引くと、発射焔と銃声が閃き、放たれた京子の銃弾状ライヴスがニノマエへと突進する槍員の死角へと瞬間転移する。
 死角より京子のテレポートショットに射抜かれた槍員は、胸から紅い霧をあげて転倒する。
 その後槍員は、望月の無力化作業に加わっていたニノマエに捕縛された。
(撃破した後は死なせない事も重要だ)
「一応、人間だからな」
 ミツルギにそう応じながら、ニノマエはシーカヴィラン達の無力化と搬送を続ける。
 残る銃員とは、平介やつくし、構築の魔女が交戦していた。
(……)
「そうですね。この敵を倒せば、この通路の制圧は完了します」
 落児からの意志に構築の魔女はそう応じ、平介やつくしに『少しだけ私から視線を逸らして下さい』と依頼後、残していたフラッシュバンを発動する。
 構築の魔女のフラッシュバンを受けた銃員は、つかの間発生した閃光と衝撃に視界と意識を削り取られたものの、トリオのごとき早撃ちを見せた。
「回避して下さい!」
 構築の魔女は平介やつくしに警告を飛ばし、自らはフラッシュバンの影響で命中精度の落ちた銃員の銃撃を回避するが、残る2弾の銃弾状ライヴスが平介やつくしにも襲いかかる。
(平介。防御を優先しろ)
「ではつくしさんを守ります」
 内からのゼムの警告に平介はそう応じ、インタラプトシールドで無数のSSVD-13Us「ドラグノフ・アゾフ」を顕現する。
 平介の発動したインタラプトシールドはつくしの眼前に武器の盾を構築し、つくしに殺到した銃員の銃弾状ライヴスの威力を削ぎ落とし、つくしは自身への銃撃を弾き飛ばすが、自分より仲間の防御を優先した平介に飛来した銃員の銃撃は平介に命中し、ダメージを与える。
「無茶しすぎです、笹山さん!」
 つくしは平介の負傷が気がかりだったが、銃員を黙らせるのが先と意識を切り替え、一気呵成を発動する。
(カスカ。このままだともっと多くの人が傷つく。だから)
(うん……わかってる。……今が、立ち向かう時なんだって……わかるから)
 おどおどしながらも内にいるカスカはつくしに頷きを返し、つくしとカスカは銃員のもとへ征く。
 つくしのフォーマルハウトソードが一気呵成を受けてライヴスが集中する。重量と衝撃力が加算されたつくしのフォーマルハウトソードが【SW(大剣)】吸血茨によって切れ味を高め、銃員を真っ向から斬り下ろす。
「寝てて下さいっ」
 重い一撃を受けて転倒した銃員につくしの追撃が突き刺さり、深々と斬り割られた銃員は血を噴いて倒れたところで、平介が拘束にかかる。 
「できればこれ以上傷つけたくないですからね」
(できれば……な)
 平介の言わんとする事を理解し、ゼムはそれ以上の言及を避け、銃員を倒し終えた構築の魔女も既に無力化したシーカヴィラン達の捕獲に向かう。
 その作業の中、高級腕時計の時間を確認したつくしは、慌ててライヴス通信機「雫」で久朗に連絡する。
「真壁さん、発射まであと5分を切りました!」

●発射阻止
 つくしからの連絡を久朗がライヴス通信機「遠雷」で受けた時、4つの発射装置のうち1つは聖によって破壊され、残る3つをレミア、リィェン、そして聖が破壊にとりかかっていた。
「問題ない。間に合いそうだ」
 そうつくしに応じた久朗は通信を終えると、効果範囲に一般人結社員がいないことを確認した上で守るべき誓いを発動し、発射装置の防衛に動く槍員・銃員を絡め取る。
 久朗が引き寄せた銃員がフラッシュバンめいた術で閃光を炸裂させたが、久朗はフラメアを構えて防御の姿勢をとったまま槍員・銃員の誘引を続け、発射装置破壊に動く3人を支援する。
(この状態で敵を誘引するのは無謀ではありませんか?)
「問題ない。仲間達がどうにかしてくれる」
 内にいるアトリアより警告が発せられたが、久朗は仲間達を信じ、動じなかった。
 久朗の言葉通り、まず一般人のシーカ結社員達には、亮が既に対応を進めていた。
(戦闘の邪魔にならぬように)
「こいつらを先に戦場から退場させるとするか」
 黎焔の助言に従い、亮が再度のセーフティガスを放つと、範囲内にいた結社員達は次々と意識を失い、その場に転がっていく。
(これで全員かの)
「ああ。後は仲間達が相手してる連中だけだ」
 ライヴス通信機「雫」を介し、他の区画での戦闘が全てエージェント達の勝利で終わったことを確認した亮は、内からの黎焔の問いにそう応じ、周囲に転がる結社員達を拘束しては、安全な場所へと運び出していく。
 同じような行動は、周囲からムンギア達を退散させた明斗も行っていた。
(正義のために、人の命は大事にするのです!)
「こいつら一応敵なんだけどな……」
 内からのドロシーの声に明斗はそう応じながらも、形勢不利と見て明斗の降伏勧告を受け入れ、投降した一般人達に対しては、拘束して安全な場所へ誘導するに留め、不用意な攻撃はしていない。
 亮や明斗による活動によって、戦闘に一般人を巻き込む恐れがなくなったエージェント達がより大胆に行動できるようになったので、2人の行動は重要な意味を持っていた。
 また亮と明斗は、一般人達の隔離後に2人で手分けして、ムンギア戦のダメージが残る仲間達の負傷治療に駆け回り、以後の戦いの支援にもあたっている。
 そして久朗に槍員や銃員の攻撃が集中する中、レティシアとフィアナが久朗を援護すべく、槍員と銃員達の迎撃に動く。
(フィアナ。周囲に一般人はいない)
「では久朗の援護、私のほうでもできそうね」
 内から届いたルーの意志に、フィアナは頷くと、自分もまた守るべき誓いを放ち、槍員がフィアナに引き寄せられる。
「敵は全て射程内だ。これより支援射撃を行う」
 その間にもレティシアが槍員や銃員をPride of foolsの射程内に捉え、久朗やフィアナにそう告げる。
 ――チビの願いに応えなかった報いはきっちり受けてもらおう。
 レティシアはそう内心呟きながら、トリオを発動した。
 レティシアのPride of foolsが早撃ちによって槍員や銃員たちめがけて、銃声が立て続けに轟き、発射焔が6発、立て続けに放たれた。
 レティシアの放ったトリオによって立て続けに体を射抜かれた槍員や銃員達は血飛沫をあげ、銃員が倒れ、明斗の攻撃でダメージを蓄積していた槍員もそれに続き昏倒するが、最後の槍員は重傷を負いつつも、倒れない。
「銃員と槍員の片方は倒した。フィアナ、残りを頼む」
 ライヴス通信機「雫」を介してレティシアはフィアナに後を託すと、フィアナは【SW(剣)】レーギャルン に蛇龍剣「ウロボロス」を収め、攻撃力と射程を向上させる。
(これが最後の敵だ。しっかりと仕留めよう)
「そうねルー。この状況なら、外しはしない」
 短くルーとフィアナがやりとりを交わした後、フィアナの【SW(剣)】レーギャルンより蛇龍剣「ウロボロス」が鞘走り、槍員に向け一気に振り下ろされ、強烈な衝撃波が放たれる。
 フィアナの放った衝撃波は、命中した槍員の顔や体に朱色の線を走らせて斬り裂き、斬り裂かれた槍員は新たな傷から鮮血を噴き、今度こそ倒れ伏す。
 エージェント達が全てのシーカ結社員を無力化する間にも、レミア、リィェン、聖による発射装置の破壊は進んでいた。
 まず装置のもとに到着したレミアが疾風怒濤を発動する。
(結社員達は全員無力化できたようだ)
「そう……。ならこれを粉々に粉砕すれば完了ね」
 内にいる緋十郎にそう応じたレミアが《闇夜の血華》を翻すと豪風が巻き起こり、その豪風が3度紅色の軌跡を描いて旋回した時、真紅の渦と化したレミアの疾風怒濤は3度発射装置を噛み砕いて深く穿ち、装置を複数に切断して残骸に変える。
 その横にある装置前では、リィェンがトップギアで攻撃力の『装填』を終えていた。
(これこそ正義の味方が輝く瞬間じゃろうて)
「否定はしないが、正直それは俺のガラじゃないだろ」
(そうは言っても、やることはやるんじゃろ?)
「まあそうだがな」
 短くインとのやりとりを終えたリィェンはオーガドライブを発動する。
 リィェンの【極】にライヴスが集中し、防御が猛攻に切り替わる。
「貴様らの野望……鬼の一撃を喰らって果てろや」
 リィェンのオーガドライブは文字通り鬼の一撃と化し、【極】が真っ向から斬り落ろされる。
 リィェンの【極】に込められた破壊力は、轟音と共に縦に両断された装置に炸裂し、装置を1撃で叩き割って残骸に変えた。
 最後の装置には、2つ目を破壊することになった聖が、武器を爆導索に切り替えて一撃粉砕を発動する。
「アタッカーの本領、出し切ってやるぜッ!」
(ヒジリー。この術は主に武器が対象ってこと覚えておいて)
 内よりLe..が冷静に指摘するが、かまわず聖は装置に向け爆導索を射出し、ワイヤー部分を装置に絡ませて固定する。
「起爆するぜ! 危ないから離れてな!」
 周囲に警告を飛ばした後、聖は爆導索を起爆する。
 次の瞬間、装置に絡みついた爆導索のワイヤー部分が、圧縮されたライヴスを放出して爆発し、爆発の威力で装置を包み込むと、爆発の威力に包まれた装置は轟音と共に粉砕され、装置があった場所に爆発で舞い上がった破片がパラパラと降り注ぐ。
「千照流・鎖戒! いや……もう、爆鎖戒でいいか……」
(ヒジリー……。今そう言う時じゃないから……)
 Le..より呆れられながらも、聖は『新しい技の誕生の瞬間か』と少し思案した後『発射はどうなった!?』と慌てて周囲に問いかける。
『安心しろ。発射は止まった』
 聖の無線に、久朗からの発射阻止成功の連絡が届き、久朗は他の仲間達にも無線やライヴス通信機「遠雷」をフル活用して『発射阻止成功』を伝えて回った。

●解放
 こうしてエージェント達の奮闘で、ライトニング・ステアウェイ2号機『ヘヨカ』は完全に沈黙し、ロシアへの攻撃はその寸前で阻止された。
 また施設にいたシーカ所属の結社員達も能力者や一般人の区別なく、全員の捕縛と身柄確保を完遂し、その間にエージェント達の負った負傷は朝霞や千颯、望月や亮、明斗といった回復手段を持つ仲間達によって全て治療され、帰還する事ができた。
 なお望月の懸念であった『ヘヨカ』を悪用されない方策として、施設内の制圧をエージェント達から引き継いだアメリカ政府は、施設内に破壊の対象外だった装置を操作して『ヘヨカ』の軌道を大気圏内に落下させた。
 これにより2号機『ヘヨカ』もロシアにある1号機と同様、大気圏内に突入して地上へ到達前に燃え尽き、姿を消したことで発射は不可能となった。
 『ヘヨカ』の消滅を確認したH.O.P.E.サンクトペテルブルグ支部は、全面避難を解除し、支部の職員達は続々と帰還し、通常の業務態勢へと戻りつつある。
 なおアメリカに残存するシーカは、今回多数のシーカ結社員の身柄を確保できたことから、アメリカ政府や諜報機関の威信にかけ徹底的に追跡調査を行うこととなり、完全に排除される日はそう遠くない。
 戦場からの離脱前にニアが征四郎に渡した記憶媒体は、現在H.O.P.E.情報部が解析を進めているが、恐らくシーカの本拠地に関する情報とのことらしく、詳細が待たれるところだ。
 シーカという人間達の『調停』からエージェント達や世界各国は解放されることになったが、ロシアでの戦いは依然続いており、エージェント達は再びロシアでの死闘に舞い戻る事になる。
 エージェント達がロシアと世界の未来をかけた、レガトゥス級愚神ヴァルリアやその配下の愚神勢との戦いの行方はまだわからないが、今回の件でこれだけは確実に言える。
 秘密結社シーカの終わりは近い。
 そしてロシアとアメリカの未来をシーカから救ってくれた『あなたたち』に多大なる感謝を。

●決定
 どこかにある空間で、跪くトリブヌス級愚神ニア・エートゥスに、ある存在が告げる。
 ――あの道具は今後効果を発揮しない。『シーカ』を処分せよ。
 ニアはその存在に頭を垂れ、命令を受諾した。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 夢ある本の探索者
    努々 キミカaa0002
    人間|15才|女性|攻撃
  • 短剣の調停を祓う者
    ミュー・イーヴォルaa0002hero002
    英雄|65才|男性|ジャ
  • 此処から"物語"を紡ぐ
    真壁 久朗aa0032
    機械|24才|男性|防御
  • 傍らに依り添う"羽"
    アトリアaa0032hero002
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 断罪者
    凛道aa0068hero002
    英雄|23才|男性|カオ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 全てを最期まで見つめる銀
    ユエリャン・李aa0076hero002
    英雄|28才|?|シャド
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 義の拳客
    リィェン・ユーaa0208
    人間|22才|男性|攻撃
  • 義の拳姫
    イン・シェンaa0208hero001
    英雄|26才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 分かち合う幸せ
    笹山平介aa0342
    人間|25才|男性|命中
  • どの世界にいようとも
    ゼム ロバートaa0342hero002
    英雄|26才|男性|カオ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • コスプレイヤー
    大宮 朝霞aa0476
    人間|22才|女性|防御
  • 聖霊紫帝闘士
    ニクノイーサaa0476hero001
    英雄|26才|男性|バト
  • 沈着の判断者
    鋼野 明斗aa0553
    人間|19才|男性|防御
  • 見えた希望を守りし者
    ドロシー ジャスティスaa0553hero001
    英雄|7才|女性|バト
  • シャーウッドのスナイパー
    ゼノビア オルコットaa0626
    人間|19才|女性|命中
  • 妙策の兵
    レティシア ブランシェaa0626hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 想いの蕾は、やがて咲き誇る
    カスカaa0657hero002
    英雄|20才|女性|ドレ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • HOPE情報部所属
    百目木 亮aa1195
    機械|50才|男性|防御
  • 生命の護り手
    ブラックウィンド 黎焔aa1195hero001
    英雄|81才|男性|バト
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 光旗を掲げて
    フィアナaa4210
    人間|19才|女性|命中
  • 翡翠
    ルーaa4210hero001
    英雄|20才|男性|ブレ
  • 不撓不屈
    ニノマエaa4381
    機械|20才|男性|攻撃
  • 砂の明星
    ミツルギ サヤaa4381hero001
    英雄|20才|女性|カオ
  • 守りもてなすのもメイド
    Гарсия-К-Вампирaa4706
    獣人|19才|女性|回避
  • 抱擁する北風
    Летти-Ветерaa4706hero001
    英雄|6才|女性|カオ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
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