本部

復刻版ビックボーナスステージ

鳴海

形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
12人 / 4~12人
英雄
11人 / 0~12人
報酬
少なめ
相談期間
5日
完成日
2017/03/19 22:04

掲示板

オープニング

●また、戦い続けたいもの達へ。
 
 ハードモードトライアルは終わった。
 挑戦者の敗北によって幕を閉じたのだ。
 しかしこの塔。皆さん覚えているだろうか。
 もともとは降りる塔ではなく上る塔。
 中途半端な階層まで下ろされた状態のこの塔は不安定になりあたりに霊力を放出し始めた。
 さらにラジェルドーラの言っていた封印を解くという言葉も気になる。
 そのためH.O.P.E.はこの塔を再度上ることを君たちに命じたのである。

● 縮小版ビックボーナスステージ
 
 今回は気楽に敵を倒す、ビックボーナスステージの復刻版です。
 今回はハードモードトライアルで破壊された封印を修復するために塔を最上階まで上っていただきます。
 基本は、空中に板がたくさん浮いていて、それを一つ一つ上りながらステージの上を目指します。
 上スクロール形式のゲームと一緒です。 
 ちなみに背景の絵柄は108種類。お城や草原や森や空などです。背景が変わると従魔の見た目だけが変わります、能力は変わりません。
 ただ、このゾーン自体がぼろぼろで前のように強い敵を出す機能はないようです。
 ドロップゾーンであるこの塔は、いくつかの階層に分かれていて、それぞれのステージにある梯子から上の階に上がれます、下の階に下がることはできません。ステージの特徴は以下の通り。

ステージ1 雑魚敵ラッシュ
ステージ2 小ボス デクリオ級一体
ステージ3 雑魚敵ラッシュ
ステージ4 中ボス デクリオ級一体 + 雑魚敵

 雑魚敵ラッシュでは時間経過で大量の従魔が召喚されます。
 これを倒しつつ、上の階を目指してください。
 ちなみに今回、塔の不調の影響か、セーブができないので。
 一気に四ステージ駆け上がってください。
 封印を盤石なものにしましょう。

●このゾーンでは特別ルールが適応されます。

特別ルールは下記の通り
1 必殺技ゲージ
2 アイテムボックス

《必殺技ゲージ》
 従魔を一体倒す、生命を一減らすごとに ゲージが一たまり、百になると使えます。
 スキルとセットで使用し、そのスキルを強化すると思ってください。

『必殺技効果』
『範囲威力拡大』 
 効果範囲と対象を二倍の数に変更、物理、魔法、両攻撃力に+100されます。
『射程効果拡大』 
 射程を二倍に変更します、またカバーリングされず、妨害もされません、回復量を二倍、もしくは効果時間を二倍にします。
『鬼神乱舞』
 選択したスキルの使用回数が二回復します。つまり使った分を帳消しにしてスキルの使用回数が一回増えるということです。
 また使用してから5ラウンド、イニシアチブと移動距離がそれぞれ5増加します
『合体攻撃』
 任意のキャラクターとタイミングを合わせて攻撃します。すごいことになります、どうなるのかはその時の雰囲気によります(最大三人まで可能です)(演出はPLが決めてくれて構いません) 
『乾坤一擲』
 自分の命を全て霊力に変換し攻撃する。
「アバヨ、ダチ公」的な演出が可能
 しかしラウンド終了時にゲームから退場させられます(重体も死亡もありません)
 リンクレートを+7し、自身のスキル二つを選択し効果を合成して放ちます。
 さらにダメージの固定値に+20します。
 セルフ合体攻撃だと思ってください。
 

《アイテムボックス》
 この世界の敵を倒すとアイテムがドロップします。ボスを倒すとPCの数だけ確実にドロップします、何が出るかはランダムです、GMがダイス振ってます。
 アイテムは基本三つまで持てます、たいていの者は持っているだけで効果がありますが、使うとなくなるものがあります。
 使うときはセレクトボタンを押してください。
 また、今回はゲームスタート時にアイテムを一つ支給されます、何が必要か選んでください

『アイテム一覧』

<火の因子> 攻撃に炎属性がつき移動力、イニシアチブが上がる。
<水の因子> 攻撃に水属性が付与、自動的に生命が回復するようになる。
<雷の因子> 攻撃に雷属性が付く。攻撃の範囲が1SQ広くなる
<闇の因子> 攻撃に闇属性がつく。中二病に侵される。
<光の因子> 攻撃に光属性が付く。酷いこととかできなくなる

<輝けるもの> 光り輝く何か。使うと少しの間無敵になる。従魔が触れると蒸発する。一定時間で消えてなくなる。

<猫耳> かわいい、語尾ににゃが付く、持ってると敵にめっちゃ狙われるようになる。

<バット> 素行が悪く見えるようになる。物理攻撃力が100加算される。

<タトュー> 全身に紋章が現れ攻撃エフェクトがかっこよくなる。魔法攻撃に+100 またイニシアチブに+1される

<従龍> 小さなドラゴンが追従するようになる。自動的に周りの敵を攻撃してくれる他、因子を食べるとブレスにその効果が付加される。

<ナイフ> 情緒不安定になるが、回避力が+100される。

<金貨の大袋> 報酬が10000追加される、一人が持ち帰るだけで全員に効果がある。持ってると敵にめっちゃ狙われるようになる。
 今回はボーナスゲーム扱いなので、出やすくなってる。

<エンプレスオーダー> 
 使用すると全員の必殺技ゲージがたまり、必殺技を発動できる。またこの時『必殺技効果』を二つ使える。
 今回はボーナスゲーム扱いなので、出やすくなってる。


*注意 昔のゲームみたいにシステムが不親切なため、他人にアイテムを譲渡することはできません。捨てるか取るかの二択です*

解説

目標 ステージ4の攻略

●従魔について
 出現する従魔は下記の通り。

レベル1、有象無象ちゃん
 さまざまな見た目をした従魔、ディーカップ、木の葉、スコップ、ハートマークなんでもありだがとても弱い、空中を漂うことができる。
 近づくと襲ってくる。物体に(―_―)こんな顔がついている
 攻撃方法は体当たり。大きさは体長5メートルから1センチのあらゆるもの

レベル2、森羅万象ちゃん
 様々な見た目の従魔。けっこうな歯ごたえがある上に有象無象ちゃんに似てるため間違いやすい、(゚□゚)こんな顔をしているため、よく見ればわかるはず。
 攻撃方法は体当たり。体長は10メートルから1センチのあらゆるもの

レベル3、唯一無二くん
 背が四メートル近くある棒人間みたいなやつです。近くの有象無象チャンを投げたり、格闘戦を仕掛けてきます。

レベル4、一期一会くん
 いきなりグラフィックがハイレベルになります、見た目はステージあった人型従魔です。鎧武者だったり悪魔だったり。
 攻撃方法が多彩で、遠距離からの魔法攻撃や二刀流やBS付与など、いろいろやってきます、レアモンスターです。倒すとアイテムを確実にドロップします。

リプレイ

プロローグ

「随分と変わったドロップゾーンだな。何なんだここは?」
『テトラ(aa4344hero001)』は周囲を見渡しながらそう告げた。
「一昔前のゲームの世界みたいな場所なんだってさ。難易度は高くないみたいだし、サクッとクリアしてしまおうじゃないか」
『杏子(aa4344)』はそうつぶやいた。
「そういえば昔のゲームで、EDテーマとスタッフロールが流れる中戦い続けるエンディングがあったんですよね。いやあ歌とか流したいなあ」
『柳生 沙貴(aa4912)』は説明書片手にニコニコしながらそう告げる。
 ここはビックボーナスステージ入口、門の前。
 アイテムボックスを前にしてリンカーたちは角をつつき合わせている。
「んー、ただ単に登るタイプのヤツか。たまにあるよねぇ、隠しダンジョンとかで」
 ここに集まったのは皆ゲーム好きなようで『ニウェウス・アーラ(aa1428)』
や『ストゥルトゥス(aa1428hero001)』もそのうちの二人。
「…………結構、上まで登る、っぽい?」
「協力ぷれいというやつか、うんうん、良きかな良きかな」
 からからと笑う『カルラ(aa4795hero001)』
「ゲームはあまりせぬ故よく分からぬが、協力ぷれいとやらは美しいのう。それで、アバヨダチ公はいつ見れるのかね?」
 その問いかけに『瑠璃宮 明華(aa4795)』はアイテムを選択しながら答えた。
「そうそう見れるもんじゃなくね?」
 その言葉にカルラは謎の無言で返した。
「…………基本、私達は後衛担当」
 ニウェウスがつぶやくと他のメンバーは頷く。
 前衛を狙って寄ってきた敵を叩くと役割を表明するニウェウス。
「とりあえず、前に出た人達に寄ってくる敵を潰していこうかー」
 ストゥルトゥスが告げるとニウェウスは頷いた。
「セオリー通り、だね」
 相談を続けながら続々とアイテムを取り出していくリンカーたち。
「ああ、杏子。アイテムは一度装備すると」
 テトラがそう無造作にアイテムを漁る京子に注意しようとすると、すでに手遅れだった。
 頭から銀色の耳を生やした京子がこちらをぱちくりと眺めている。
「……んん? 喋り方が変になったにゃ……!? どういう事にゃ!?」
そして『構築の魔女(aa0281hero001)』は『辺是 落児(aa0281)』がもつ雷と書かれた簡素なアイテムを手にして黙ってそれを見ている。
「懐かしいね。それ」
『志賀谷 京子(aa0150)』には構築の魔女の想いがわかるのだろう。小さく頷いていた。
「どこかに武力王を封印した愚神の情報はないでしょうか?」
 その言葉を受けて京子は微笑む、同じことを考えていたからだ。
「これで終わるのもなんとなく釈然としないからねぇ」
 そんな三人に『アイリス(aa0124hero001)』が歩み寄った。ちなみに人見知りの『イリス・レイバルド(aa0124)』はここにきてすぐ『蔵李・澄香(aa0010)』に捕獲されていた。
 プニプニ、すべすべのほっぺを澄香はふにふにと触っている。
「築先輩。またよろしくお願いします」
 そして幸せそうな笑みを浮かべて澄香は構築の魔女に挨拶する、そして構築の魔女と同じアイテムを選んだ。
「おそろいですね」
「雷帝令嬢ですからね!」
『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』が口にした称号は、なんというかアニメ的で若干恥ずかしい澄香であった。
「それは…………大げさだと思うんだけど」
「ああ。あの雷はしびれたね。あの雷は」
 アイリスの瞳からハイライトが失せる。
「しばらく雷苦手になりました」
 イリスの瞳からもハイライトが失せる。
 慌てふためく澄香。
「冗談ですよ」
 そうイリスが告げると。澄香は大きなため息をついた。
 場は明るい雰囲気に包まれる。
 そんなベテランリンカーの隣で、あわあわと塔の説明書を眺めているのが『相澤 椛(aa4863)』である。
「だ、大丈夫かな?」
 彼女の記念すべき初任務は、戦闘訓練にふさわしい依頼である。
 その依頼を獲得してきた英雄『アメリア(aa4863hero002)』からの心遣いが見てとれる。
「いつも通りの椛なら問題ありません。一度深呼吸でもして落ち着きましょう」
 アメリアがそう肩に手をかけると、同じく肩に手をかける少年が一人。
『雨宮 葵(aa4783)』である。
「椛ちゃん、初めてなんだって? 私は葵。こっちが燐」
 そう『燐(aa4783hero001)』を紹介しつつ自己紹介もまとめて行った葵。
「何かあったら私を頼るといいよ!」
 そう渾身のどや顔を披露する葵、それを見て燐は笑った。
 葵の方が死にそうだなぁと思ったのだ。
 そんな二人を交互に見て椛も微笑みを向ける。気遣ってもらえたこと自体がうれしいのだろう。椛は満面の笑みで答える。
「はい、よろしくお願いします! 先輩!」
 そうして全員の準備が整うと、扉の間で京子が意気込む。
「さて、我々は懐かしいフィールドに帰ってきた!
「そういえば、最初はお気楽な戦いでしたね…………」
『アリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)』はしみじみとつぶやいた
「やるぞー! 立つ鳥跡を濁さず、最後まで片していくぞー!」
「せっかくですし、楽しんでいきましょうか」
 そういつものメンバーと、新しいメンバーとを左右に見て。真っ直ぐ扉の向こうへと歩き出した。



●ステージ1 雑魚敵ラッシュ
「おぉお弟者…………何だこの異様な空間は」
 扉の向こうへ出るなり『阪須賀 槇(aa4862)』は感嘆の声を漏らした。
 その声にこたえる『阪須賀 誄(aa4862hero001)』
――ドロップゾーンだ兄者。
「違う、そうじゃない……」
――……ビビると思った。兄者、朗報だ。ここはゲームっぽい所が強いらしい。
「……何、ゲームだと?」
――しかも古いアケゲー寄りだとか。
 そう関心する二人をおいて、その脇をカルラが駆け抜けた。
 それこそ疾風のごとく。
「なるほど、これはよい」
 その体は光に包まれており、その体に触れた雑魚敵たちがみるみる蒸発していく。
「あれは!」
――知っているのか兄者!
 阪須賀は阿吽の呼吸で解説を挟む。
「この手のゲームには定番、一定時間無敵になれる輝けるもの」
 もうなにも怖くない、とばりにカルラは戦場をかき乱していく。 
――……早くね?初っ端からかよ。
 明華は告げる。
「輝きじゃぞ、これはもう装備するしかあるまいて」
 そうからころと笑うカルラである。
「ドロップするか運に任せるくらいなら初めから確実に装備するわいな」
 明華は呆れたうめき声をあげた。
(こうなっちまった以上、カルラはこっちの話なんか聞きゃしねぇだろうなぁ〉
 そうあきらめる明華である・
「なるほど、負けてはいられん……ゲーマーの名にかけてやらんとな!」
――フッ……メタ読みなら手伝うぞ。
 こうして阪須賀兄弟も戦列に加わった。そして次々と敵を倒していく。それを横目で眺めながら『行雲 天音(aa2311)』も有象無象立を踏みしだいていく。
「とりあえず撃っていきましょうか」
『蒼(aa2311hero001)』が言う。
――今日はハンマー、持ってきていませんでしたね。
「数が多いならこっちも数で、行くわよ蒼」
――はい!
 そんな楽しむビックボーナスステージ初心者達。それと裏腹に、このゲームに慣れたリンカーたちの作業効率はやはり違った。
 構築の魔女が有象無象ちゃんを足掛かりに飛んだ。
 そのまま体を回転させ、地面に腕を突き出すように構えて乱射。
 その両手に握られる拳銃は絶え間なく火を噴いている。
「攻撃される前に振り切るつもりでいきましょう」
 その宣言の通り構築の魔女は風のごとく戦場をかけている。
 その背後からミサイルが飛んだ。
 その弾頭は構築の魔女の背後から迫る敵に着弾。爆発。
 それだけではない、その爆風を追い風に構築の魔女は加速、そして嵐のように降り注ぐフリーガーの弾頭を回避しつつ戦場をかける。
 構築の魔女の脇すれすれ、顔面すれすれをミサイルが飛び、雑魚敵が近づくことを許さない。
 その絶妙なコンビネーションを演出しているのは京子であった。
 彼女のコンセプトは飽和射撃。 
 点である銃撃を幾重にも重ねることで面とする。
 爆撃に雷撃を重ねて焦土とする。
 その爆風を受けて構築の魔女は高く飛び上がった。
「相手が物量で押してくるのなら喰い破って見せましょう」
「この程度なら、ドーラと比べると、ね」
 京子と構築の魔女はお互いの言葉を耳で聞いてにやりと笑って見せた。
 熟達した技術、お互いの力を信じているからこそ、ミリ単位の狂いで誤爆するような連携もできる。
 これはこのゲームに参加し続けた一つの報酬なのかもしれない。
 ラジェルドーラに湛えられた双銃とは、構築の魔女が持つ実際のマテリアルのことではなく、二人の連携を意味しての言葉なのだから。
「唯一無二君だ! 久しぶりだね」
 京子はステージの端を指さした。そこには見上げるほどに巨大な敵がいる。
 構築の魔女はその攻撃を回避すると腕を駆け上がり、顔面を蹴りがてら跳躍。
 京子の容赦ない射撃が顔面に降り注いでいる間に狙いを定め、眉間に瞬時に八発の弾丸を叩き込む。
 一瞬で塵と消える雑魚敵と、ドロップした輝けるものを見下ろして構築の魔女は一息ついた。
「あ! それほしい」
 京子が告げる。構築の魔女は笑顔で輝けるものを譲ると京子はそれを取り、戦場の中心へと駆けて行った。
「味方の範囲攻撃の中だろうとこれならいける!」
――前もやりましたねこれ……
 戦場の中心に花が咲く。
「脆弱な後衛が荒ぶれるチャンスは逃せないよね」
 その動きに合わせて構築の魔女も戦場へと飛び込んだ。
「うわぁ、先輩すごいな、私も負けてられないな」
 イリスの背後をかけていた澄香がそうつぶやくと、イリスは遅れて返事を返した。
「そうですね」
 なんとなく上の空のイリスと先ほどから黙っているアイリス。
 澄香は首をひねった。
――澄香ちゃん、ボーっとしている暇はありません。このままだと根絶やしにされます。
 そうクラリスが告げる、根絶やしとは雑魚敵のことで明らかに数が少なくなっているのだ。
「あー、確かにあり得るねぇ。みんなすごい張り切りようだもんな」
 ぴょこぴょこ動くリボンを抑えて澄香はリフレクトミラーを展開した。
「クラリスミカ、行きます!」
 そこで拾った雷の因子の力をプラス。雷撃と共に走る雷帝令嬢。
「ダメージコンバート、フル稼働。いけ!」
 周囲を雷撃が焼いていき、有象無象たちは黒く姿をかえていく。
 その間を見事にすり抜けた手のひらサイズの可愛いやつを、イリスは盾で叩き落とした。
「イリスちゃん!」
「暴れて大丈夫ですよ、僕がいますから」
 そうイリスは盾を構えなおした。そして澄香はその頼もしい背を眺める。
「あれ? そう言えばそれ、懐かしいね」
 澄香は告げる。指さしたイリスの背にはライブススラスターが装備されていた。
「懐かしのライヴスラスターだからね。むしろ以前の状態に戻したって感じだけど」
 以前は機動力を重視し戦場を駆けまわるスタイルだった。その時の記憶が思い起こされる澄香である。
――以前はこれで重装甲だったからね。いや懐かしいものだ。
 直後突如沸いた唯一無二くんの攻撃を盾でさばくイリス。
 そしてその腕の上を走らせるように、輝きの刃を放った。
 そして加速、足場を踏み台に連続ジャンプ。
「体が、軽い……!」
――重いからねぇ、結界。
「ああ、大体わかった」
 その時戦場の真ん中で槇はつぶやいた。
「ん? 本当か兄者」
「どうやら、雑魚敵を倒せば倒すほどに、レベルの高い敵が沸くようだ」
 槇はいつの間にか唯一無二君に包囲されていた。
「唯一無二君……察するに誘導に弱い」
――前に走り出しパンチを誘うのか?
「その通り!」
 そう殴り掛かろうとした矢先、横から刀を閃かせて乱入してきた、杏子。
「上のステージの梯子が見つかったらしいよ」
 杏子は告げると刀を払い越しにおさめた。
 その梯子へとアプローチを試みるのは魔法少女。
 なぜか高いところにあり、あれを下ろしてくる必要があるらしい。
「魔法少女は。空を飛ぶもの!」
「あ、なつかしい、それ」
 イリスの盾を踏み台に、ジャンプする澄香、しかし飛距離が足りない。
「まだまだ!」
 どこからともなく猛スピードで突っ込んでくるエンジェルスビット。
 それを足場にさらに飛んだ。
 そして梯子に手をかける。
「やった!」
「パンツ見えてますよ」
 イリスが告げると澄香は両手でスカートを抑えた。その結果澄香はまっさかさまに落ちた。
「いたたた、うひゃ!」
 甲高い声を上げる澄香。お尻を触られる感触があったのだ、思わず飛び上がって下を見ると、真平らになった有象無象くんがいた。
――あー。最近太りましたもんね。
 クラリスが言う。
「違うから! そうじゃないから」
 その瞬間である。ポンッと音がして敵は消え、代わりに従龍が現れた。
 それを吸い込むアルスマギカ。
「え?」
 次の瞬間吐き出されたのは。角と翼を生やした。ドラゴンっぽいミニクラリスミカだった
「なんで!?」
――アルマギのせいでしょうね。
「あ、梯子降りてきたよ」
 椛が葵にそう告げるのと。
「あ、エンプレスオーダー」
 ニウェウスがそれを見つけるのは同時だった。
――まったく、本当に騒がしいDZだね。
 楽しげにストゥルトゥスが告げると一同は次々とその梯子を上っていった。


●ステージ2 小ボス 

 二番目のステージはデクリオ級愚神が待つ奈落ステージだった。
 見通しの悪い闇が広がっており、その中心に悪魔のような男が立っている。
「よく来たな、クソザコども」
 悪魔型愚神は語る。不遜な態度で横柄に。
「だが、お前たちの進軍はここで阻まれる。この俺ザ……」
 その時である、悪魔は唐突に口を閉ざした。体に冷たい何かが埋め込まれた感覚があったのだ、振り返ってみればそこにいたのは柳生。
「サイレントテイクダウンの実行でアビリティをリチャージし、繰り出す…………フィアーマルチ! テイクダウン!」
 巨大なペンチ状の盾、クロスグレイヴ・シールドを突き立て。
 その体内に毒を送り込んでいる。
「な……」
「潜伏です、見えなかったみたいですね」
 次いでその刃を抜きざまに『範囲威力拡大』体内に埋めこんだ毒が爆発するように全身に回った。
「このゴミ虫が!」
 悪魔は振り返りざまに柳生へと爪を向けようとする、しかし。一瞬にしてカルラが間合いを詰め、その眼前で両手を叩いた。
「うわっ」
 呆けた声をあげて目を瞑る悪魔。その時カルラとストゥルトゥスの体が光に包まれた。
《合体攻撃 猫騙+……》
「眼鏡からビームは! 漢の浪漫!」
――女の子なんですけど!?
《銀の魔弾》
 直後ストゥルトゥスの両目から分厚いレーザーが発射された。そのビームは名前も名乗れぬ悪魔の体に突き刺さり貫通する。
「ごは!」
 そう、エンプレスオーダーの力によって必殺技ゲージがマックスになっていたのだ。 
 逃れようのない先制攻撃によりステージを守る愚神は出鼻をくじかれた。
 その愚神に対して。天音はガトリング砲をぶっ放す。
「さぁ、これでどうですか!」
――若干バットの影響を受けているようですね。
 蒼が乾いた笑い声で告げた。
「なるほど、これは便利だね!」
 弾幕の中で動けずにいる悪魔に対して杏子は背面を取る。
 必殺技ゲージを消費して『範囲威力拡大』を宣言。
「悪魔と邪神、どちらの力が強いか勝負と行こうか」
「ちょ……ま」
 悪魔が何事も言い切らないうちに普段の数倍生成された刀を一斉に悪魔へと叩きつける杏子。ライヴズキャスターを機動。同時に生成される無数の水晶玉はわずかな光をかき集めて悪魔へと浴びせた。
 直撃の連続にその悪魔は身を揺らす、しかし、倒れない。
「ぐははは、耐えた、たえたぞ。万策尽きたか! ゴミ屑ど……」
 しかしその威勢の良さは、京子が矢に込めた膨大な霊力を見るまでしか続かなかった。
 冷や汗がその頬を伝う。
「そして、とっておき! 実は使うの初めてだったりする!」
――吹き飛ばして意味があるかというと……
「派手だからOK。いっくよー!」
 月光束ねた神威にも匹敵する矢はつんざくような高音上げて悪魔に突き刺さる。
 その邪悪な体は夜の銀を思わせる光に包まれ浄化され、矢自体は地平線の向こうへと消える。
「あれ? もう終わりですか?」
 次に合体攻撃でもしようかと話し合っていた椛と葵は拍子抜けした表情で辺りを見渡す。
 すると上空から梯子が下りてくるのがわかった。
 その後アイテム分配を続ける面々、そこから離れあたりを見渡していたのは構築の魔女。その背中にアイリスが問いかける。
「何か手がかりは見つかったかな?」
「いえ、なにも、ここに来る間もずっと探しているのですが」
 そう寂しげに微笑む構築の魔女
「残念かな?」
 アイリスの言葉に構築の魔女は素直に答える。
「感傷がないとは言いませんが此処に関して知らないことが多いですから、えぇ」
「少なくとも『塔の管理者』と『武術王』の二つの愚神勢力がある」
 イリスは話を整理するようにわざと丁寧にそう告げた。
「武術王は塔に封印されている」
 アイリスが言葉を継ぐ。その言葉に構築の魔女は頷いた。
「そう言う話でしたね」
「まあ、ここまではドーラからの情報で……やはりなというものだが」
「ドーラが武術の王だと崇める強力な愚神が封印されているなら、その封印されてる愚神って、すごく強いんじゃないかな?」
「そちらも重要ではあるが……問題はそんな存在を封印した塔の管理者とやらの方だろうさ」
 アイリスが告げると、構築の魔女は顎に手を当てて考え込む。
「もし、塔の管理者が武術王より強ければ封印なんて面倒な真似はしますかね?」
「力で上回ったのか、勝てる状況を作り出したのか、それはわからないけど」
 イリスはアイリスを振り返って告げた。
「そんな存在が目的不明でこちらを駒にして遊んでいる……大人しく封印されている武術王とどちらが厄介だと思う?」
「なるほど、アイリスさんたちの目的はそちらですか」
 構築の魔女が問いかけると、アイリスは頷いた。
「そんなわけで調査目的で戻ってきたってわけだね」

●ステージ3 雑魚敵ラッシュ

「さぁ、ステージ三つ目も取りに行くよ!」
 杏子はステージ3にたどり着くなりさっそく抜刀。真っ向から飛んでくる雑魚たちを切り捨てていく。
「ちまちまと! まとめて相手をしてやろうじゃないか」
 武装を召喚。刀を渦のように展開。そして放つ。
「ゲージなんてからっけつでね。自力でいかせてもらうよ」
――杏子さん、前の敵潰して、前出ましょう。
 誄が杏子に言葉をかける。同時に槇が前に出た。
「で、時に次は斜め下の敵倒し引きます」
「面白い、乗った!」
 杏子は揚々と敵をかみ砕いていく
「「OK、チャンスですよっと」」
 阪須賀兄弟の声が響き、面制圧。
「弟者よ、まずトリオを溜める」
 そう告げると槇はトリオを選択して鬼神乱舞を宣言。
スキルを増やしつつ敵の数を削る安定行動に走る。
「味方が固まってるとちょっと辛いな」
 そう柳生はいったん戦場の中心から離れる。アサルトユニットで機動力を確保しつつ敵陣の端から一匹ずつ潰していく狙いだ。
「アサルトユニットの再燃焼装置のリミッターを外すぞ。もっとスピードが必要だ」
 そう叫びながら柳生は有象無象の頭上を飛んで背後に着地する。
 そして顔をあげて見れば、椛の顔がなぜかまじかにあった。
「な?」
「あ」
 風圧で舞い上がるメイド服のスカート。幸い長さはそれなりにあるため見えることはなかったが、赤くなって椛はスカートを抑えた。
 その手の二丁拳銃が床に転がる。
「あわわわわわわわ」
 そしてそれを好機とばかりに群がる雑魚敵たち。だが。そんなもの隙のうちに入らない。
 椛は素早く銃を蹴り上げた。その銃身の下にある刃で一匹を捌き。他の従魔に対して牽制の銃弾を放つ。
「囲まれているので使います、下がっててください」
 そして椛がもう一丁の拳銃を蹴り上げ、それに『範囲威力拡大』を宣言する。
「行きます!」
 トリオ。しかし威力も範囲も拡張されたそれは周囲の敵をなぎ倒していく。
「おー、なかなかやるねぇ」
 煙の向こうから颯爽と現れたのは葵。彼はいつの間にか金貨の大袋をその手にたずさえていた。ドロップ品を回収するために少し離れていたら椛がピンチだったとそう言うわけだった。
「怖かったです……」
 ため息をついてへたり込む椛。
「いや、悪かったね、ごめんね。けどこれからは怖い思いはさせないからさ」
 その言葉に椛は首をひねった。
 葵は金貨の大袋三つを掲げて見せる。
「報酬よりも敵に狙われやすくなる効果がいいんだよ! 自分から突っ込まなくても敵が倒されてに来てくれるんだよ? 楽しい! 燃える!」
 そしてその言葉の通り、すごい数の敵が葵めがけて殺到してきた。
――ん。魅力的。離さないで、しっかり持ってて。
 燐がそう告げると、葵は禍々しい妖刀を手にして、楽しそうに笑う。
「めざせハイスコア! MVP! ヒャッハー!」
 刃を閃かせ、波のように押し寄せる敵を倒していく。
 捌き切れずに体に傷を負っても、その顔から笑みは消えない。
「ちょ。ちょっと、敵が多すぎます」
「これはまずいかもな」
 加勢する柳生と椛。
「お困りみたいだね」
 その葵に群がる敵へと躊躇なくヴァンピールを打ち込んだのは天音である。
 そんな彼女の爆発音が響いたのか、敵もリンカーたちも葵を中心に集まり始めた。
「……よくこんなに、集めたね」
 ニウェウスはそう告げてゴーストウィンドで敵を減らしにかかる。
 まるで蒸発するように消えていく雑魚敵にストゥルトゥスは喜びの声を上げた。
――あー、イイネ。この無双感、素晴らしいッ!
「…………ストレス解消になる、かも?」
 そう恍惚の表情を浮かべるニウェウス、しかしその直後地面が揺れ、彼女はしりもちをつくことになる、震源地を目で探した。
 その先には銀糸の神を持つシスターが立っていた。
 その腕にはパイルバンカー。
 クラリスのお仕置きモードである。
「行きなさい、ミニクラリスミカ」
 そうドラゴンコスプレをしたクラリスミカ(白)をけしかけるクラリスである。その間に準備を整える。
「さあ、杭打機格闘術をお見せいたします」
――ぐぎゃああ!? 体がめっちゃ痛ぇー!?
 痛覚は澄香にいっているのだろうか、クラリスの表情は涼しげだ。
――雷帝令嬢改め、鉄杭令嬢クラリスミカ、参ります。
――話を聞けええ!!
 直後はじかれたように前身。目指すは一期一会くん。その行く手を遮ろうとする森羅万象ちゃん。
――邪魔です。
 杭を空気に向けて構え、打ち出すと衝撃波が前方に広がった。身を裂くような烈風が駆け抜け瞬く間に森羅万象ちゃんは撃破されていく。
 そしてクラリスは地面に杭を向ける。地面を揺らす轟音、反動で打ち上げられる体。
 上空から一期一会訓へと奇襲。その武装の重さ、そして杭の威力を見事に重ね合わせ渾身の一撃を叩き込む。
「澄香さんも成長を遂げているとしたら、私も頑張らないといけませんね」
 同じく一期一会訓と相対する構築の魔女。その手には戦旗が握られていた。
 本来であれば武装としての能力はないはずのそれ。
「武は継がれて行くものだと言うことを示しましょう」
 しかし彼女には刻まれている、あの旗捌き、それを自分が扱えるようにアレンジする。
 不動の構え、一期一会訓が切りかかってくるのに合わせ、布で腕をからめ捕り、強く引く、体勢を崩して蹴りをいれ、布を解き柄で一撃、背後に回り込んで連撃。
 敵の反撃に対しては、旗の本来の力、地面に突き立てることで発せられる結界で対処。
さらに、柄で攻撃をうけ反動で加速させた逆端を叩きつける。
「どれだけ再現出来るかはわかりませんけれどね」
 そう微笑んで跪く一期一会訓を見下ろす、彼が消え去るのと梯子が現れるのはほぼ同時だった。


●ステージ4 中ボス
 一行はステージ4にたどり着くなり手厚い歓迎を受けた。
 殺到してくる雑魚敵の数は下の階の比ではない。
 だが、この戦いに慣れつつあるリンカーたちは何もあわてなかった。
「OK弟者、ボス登場だ」
――派手にやろうか兄者。
 阪須賀兄弟が群がる雑魚敵の攻勢を押しとどめる。
――なあに、折角かような世界なのじゃ。持てる全てを費やすのもまた一興よ。
 カルラは心地よい笑い声をあげて敵に突貫した。
 エリアの中央で待つのは狼男のような愚神。
 そんな醜い愚神であってもカルラは自分を崩さなない。美しく、愉しく、その命の燈火を煌かせるかの様に。誓約であるカレイドスコープの欠片を集めるべく。武器を振るう。
「エンプレスオーダー、二つ目!」
 葵が叫び、その手の王冠を高々と上げる、それを使用すると急速に必殺技ゲージがチャージされていく。
「突破口を開きます」
 その隣に椛が並び立ち、二人でカチューシャを構えた。『範囲威力拡大』『合体攻撃』
 二つのカチューシャから広げられた翼のように弾幕が展開される。
「ヒャッハー! 気持ちいいな!」
 轟音の最中椛の耳に葵の声が届いた。
「戦うのは怖いですけど、みんなで何かをするというのはとても楽しいと思います」
「また、どこかで会えるといいね、その時はもっと楽しいことを教えるよ」
 そして葵は微笑む。
「先輩としてさ」
 その爆炎を切り裂いて、カルラと杏子が前に出た。
「最速できめようか」
 杏子はそう告げると乾坤一擲を宣言、カルラもそれに習った。
「友よ、儂亡き後の事は任せるぞ」
――まじかよ……つか死なねぇっつーの。
「さあ征こうか、命潰える時の一瞬の煌きこそが、最期にして最高の輝きよ」
――だから死な……あーもう、好きにしろ。
「バカ野郎、無茶しやがって…………!」
 ストゥルトゥスにいつの間にか体を乗っ取られたニウェウス。
 そんな彼女の方に手を置いて涙ぐむ葵。
「あいつら、私達のために自分を犠牲にして……」
――…………ノリノリで突っ込んでいった、よね?
 ニウェウスは首をひねる。
「お前の仇は取ってやる!」
――死んでないよ!?
 直後渾身の一撃を放ち光の向こうへ消える二人。
 それを見てストゥルトゥスは叫んだ
「許さねぇ、合体攻撃だ!」
――えええ! あと主導権返して!
「早くやってね」
 天音はそうつぶやくと、合体攻撃打ち合わせ中のリンカー体を守るようにガトリングをぶっ放す。
 補助ブースターで機動を補いつつ移動。射程に入る敵を順次攻撃します。
「ガトリング砲、思ったより動きにくいわね」
――重いよりも、かさばりますね。
「じゃあ、天音さん、君に決めた」
 ストゥルトゥスは告げると、霊力を集約させていく。
《ストライク+ブルームフレア》
 その頭上に特大のエビフライが生成される。
「これを」
「デリバリー」
 意外とのりよく、天音が告げるとそのエビフライに向けて引き金を引いた。
 それは大砲のような速度で従魔に突っ込み、さく裂。
 さらにそれに連携する形でイリス、京子、構築の魔女が霊力を噴出させる。

《アタックブレイブ+シャープポジショニング+トリオ》

 アイリスの歌が響き、構築の魔女の旗が大きく広がる。
 直後構築の魔女が動いたその手の旗を振りぬき布で絡め捕ると光の杭が生成され、それが突き刺さり動きを封じた。
 構築の魔女がその場を離れるとイリスが頭上から強襲。
「煌翼刃・螺旋槍!」
 回転し穿つ黄金の斬撃。
「最近ボクが剣のほうが得意だということをみんな忘れてるんじゃないかな……って思うときがあるんだ」
 そのまま切り抜け、そして京子のフリーガーが愚神を襲う。
 爆炎に包まれる愚神、その目の前に突如クラリスミカ(ピンク)が躍り出た。
「うわああああああ、騙した! クラリス騙したな!」
 どうやら敵に負い立てられている間にクラリスに誘導されていたらしい。もう逃げられない。かといって接近戦は苦手。
――今こそあれを使うとき!
クラリスが澄香に替わって《乾坤一擲》を宣言。
「やってられっかああ!!」
 最近好き放題のクラリスに対する心の叫びが爆発する。
 ウィザードセンスを発動しながら澄香、キレた。
「アルスペンタクル起動補正30。センス補正20持続中。マジックコンダクタ疑似回路補正100!」
 ミニクラリスミカが愚神の腹部に突撃。そのままわずかに距離を離して、澄香は全霊力を右手に集約させていく。
「サンダーランスで行く!!」
 直後轟音、轟く雷鳴。
「乾坤一擲! もう一回!!」
 雷鳴が重なり複雑な音階を奏でる。
 両手に収められた膨大な電気エネルギー。
 それを束ね、練り合わせ紫電の矢に。
「サンダーランス・雷上動澄香式! 射線開けて!!」
 直後はなたれた雷撃は周囲にある何もかもを焼き払って突き進んだ、愚神はその矢に巻き込まれ奈落の彼方へ。
 直後広がる風、その風に舞い上げられるように、澄香の魔法少女衣装が、塵となっていく。
「え! なんで!」
――衣装を構成する霊力も、攻撃に回しました。
「うわーーん」
 涙目になりながらへたり込んでそして、澄香は消え去った。
「今のは、何だったんだろう」
 イリスは口を半分あけてその光景を見送った。



エピローグ

 最終ステージクリアーと共にファンファーレが高らかになった。
 手を打ち合わせて喜ぶリンカーたち。
 だが京子だけは、上空、どこともつかない場所に視線を向けていた。
「さて、これでお別れかと思うと寂しい気もするけど、…………ねえ聞いてる? ゾーンルーラー!」
 その声だけが、妙にはっきりと空間に響いた。
――以前の呼びかけは無視されてましたし、応える気はないのでは?
 アリッサがそう問いかける。
「やってみなきゃわからないじゃない? 我々は、最後くらい顔見せろと要求するものである! ついでに言いたいこともある!」
――…………。
 アリッサと共に返答を待つ京子。
 しかし、やはりと言うべきか。答えは帰ってこない
「―上手く利用されて悔しいのはあるけどさ、なんだかんだで楽しかったよ。ありがとー!」
面白いか、面白くないか。
それが問題だ。
そこはブレない京子。
 彼女は一転。どこか吹っ切れた顔をしていた。
 いつものようにため息をついてから、アリッサもまた悪くはなかったと微笑みを向けた。

 
幕外 覗くもの

 深淵のそこで、それは上半身だけを泥の上にだし。
 いつか戦うことになるかもしれない敵を見据え告げた。
「なかなか気骨のあるもの達じゃないか」
 男は言葉を続ける、この声をどこかで聞いている彼女に向けて。
「いや、封印はもう解かれることはなくなったかもしれない、だがな。その心配はすでにしていないのだよ」

「封印を解くまでもない。彼女らが、お前を倒すさ」

 その言葉に刺激されてか。男は泥の底に沈んでいく。
 そして最下層に再び沈黙が戻った。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • カフカスの『知』
    ニウェウス・アーラaa1428
    人間|16才|女性|攻撃
  • ストゥえもん
    ストゥルトゥスaa1428hero001
    英雄|20才|女性|ソフィ
  • 敏腕裏方
    行雲 天音aa2311
    人間|17才|女性|命中
  • 一流の掃除屋
    aa2311hero001
    英雄|19才|女性|ジャ
  • Be the Hope
    杏子aa4344
    人間|64才|女性|生命
  • トラペゾヘドロン
    テトラaa4344hero001
    英雄|10才|?|カオ
  • 心に翼宿し
    雨宮 葵aa4783
    獣人|16才|女性|攻撃
  • 広い空へと羽ばたいて
    aa4783hero001
    英雄|16才|女性|ドレ
  • 片翼の不良
    瑠璃宮 明華aa4795
    獣人|21才|女性|攻撃
  • 写真部『マドンナ』
    カルラaa4795hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 槇aa4862
    獣人|21才|男性|命中
  • その背に【暁】を刻みて
    阪須賀 誄aa4862hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • ひとひらの想い
    相澤 椛aa4863
    人間|16才|女性|攻撃
  • 戦い始めた者たちへ
    アメリアaa4863hero002
    英雄|12才|女性|ジャ
  • 戦い始めた者たちへ
    柳生 沙貴aa4912
    獣人|18才|男性|攻撃



前に戻る
ページトップへ戻る