本部

ハードモードトライアルST5

鳴海

形態
ショート
難易度
難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2017/02/23 15:29

掲示板

オープニング

● ラウンド2
 ラジェルドーラは身を軋ませて咆哮をとどろかせた。
 前回、あと一歩で逃げられてしまったプレイヤーたちを今度は刈り取る。
「主の力が強まっている、これで奴らに有利なルールは消失する。さぁ、戦おうではないか。正々堂々と。我らと!」
 響く叫び、新たにハードモードトライアルの門が開く。

●《ハードモードトライアル》ルール
 ゲームの目的 封印を守りながらラジェルドーラと戦う。
 勝利条件 ラジェルドーラの撃破。
 敗北条件 最下層の封印が解かれる。

 各階層の四隅には封印石が置いてありこれを守っていただくのがゲームの大前提。
 各階層の封印石が全て破壊されるとそのフロアが崩れ下のフロアに行く。
 フロアの大きさはその階層数かける百メートル四方。
 雑魚敵は三種類沸く
 また新情報の頭には*のマークがついている

怒獄
異獄
暴獄
悪獄
最獄
    である。
 階層ごとにセーブクリスタルが存在し。使用することによってゲームを中断できる。
 ゲームを中断した場合塔の中の時間は停止する。
 ただし、セーブ用の赤いクリスタルは各階の中央に一つしか存在せず、破壊される可能性がある。

●アイテムについて
 『ラジェルドーラ』のボディーの破壊や特定の条件を満たすことによって解放されるらしい。
 前回からの持越しアイテムがあるので、出発前に割り振るように。
 持越しアイテムについては 《アイテム名》×《個数》と表記される。
 アイテムの入手方法は三つ。

・必殺技の使用。
・雑魚的からのドロップ。
・『ラジェルドーラ』の鎧パーツの破壊。

・血染めの戦旗
 このゲームの詳細や新しいルール、アイテムを解禁できる。ただし持っているだけで雑魚的に狙われやすくなる。
 ゲームクリアと共に情報と交換される。

・チャージタリスマン ×2
 NPを獲得する時その量を1増やす

・アシュラスシールド ×0
 ダメージを肩代わりする盾、優先的に使用され。生命力を20点分の盾となる。

・赤熱の炉 ×0
 保持しているだけで、ラジェルドーラの攻撃を受けるとNPがたまるようになる。
 リンカーの攻撃を受けると爆発する

・蒼天の炉 ×0
 破壊すると任意のPCのNPを20貯める。ラジェルドーラが触れると彼の体力が回復する

・アイアンウィング ×0
 ドーラギアにより解放された。空を飛べる翼を手に入れる。ドーラと同程度の高度は飛べるが速度は自身の移動力に依存する。
 これは雑魚敵から排出されない。

闇の因子 ×1
 持っているだけで中ニ病になるが、精神力で抑えることが可能。闇の属性攻撃を放てるようになり、闇属性は一部の敵に有効。さらにPCに攻撃を当てるとNPが増えるようになる

*光の因子 ×1
 持っているだけで聖人君主のような正確になるが、精神力で抑えることが可能。
光属性の攻撃を放てるようになり、雑魚的に有効。さらにPCからNPを吸い取れるようになる。1ラウンドにつき10吸い取れる。


*釘バット
 前回から強化されて復帰した。装備するだけで柄が悪くなるバット。
 両攻撃力が+100され、攻撃の射程が+1される。
 ただし、装備しているすべての近接武装が大きさや性能そのままに、見た目が釘バットに変化する。

*捌きの天秤×2
 スタート時に選択しなくても勝手にストレージに入ってくるアイテム。
 このアイテムを持っているPCは非ダメージが1.1倍になる。
 リンクバースト中にはこれを使用し。自分が受けたダメージだけ、対象の体力を減らすことができる。
 ダメージを受けると落す可能性があるが、ドーラに拾われると無くしたパーツを回復される。 

アルティメイトウエポン ×0
 自身の武器にプラスするパーツ。命中、攻撃、魔法攻撃、のどれかのステータスを1.3倍にできる。

ルシウスシールド × 0

 ある異次元の英雄が愛用していた盾。盾そのものではなく、自分を中心とした周囲に結界をはり空間を盾とする特殊なシールド。
 銀色の光の盾を無数にはれるのと、自分の動きを妨害しないのが強み。
 自身の周囲に5SQの味方の防御力を20上げる、自身は40上がる、この効果は重複する。

・エンプレスオーダー × 1
 ラジェルドーラのスキル使用回数を1回復させる。
 これを持っているとドーラに狙われやすくなる。
 また一定以上のダメージを受けると、このアイテムを落してしまう。
 攻撃すれば破壊可能。
 リンクバースト、邪英化中にリンカーが使用することによって、全リンカーのNPが100回復する。


 前回と違い、アイテムを持てる上限がない。
 さらに1ラウンド消費するが譲渡可能(受け取る側はラウンドを消費しない)
 
 

●必殺技について

 NPゲージを一定消費すると使える、このミッション限定のスキルである。
 ゲージに上限はなく、チャージ方法は下記の通り。

・『ラジェルドーラ』へダメージを与える(与えたダメージがそのままNPゲージに加算)
・雑魚的を倒す
・クリスタルの周囲にいると時間経過でアップ。

必殺技の種類は現段階だと下記の通り

・強奪撃 NP50
 普通の攻撃だが、敵を倒さずともアイテムを入手できる。さらに特定の敵からだと特殊なアイテムを入手できる場合がある

*・邪霊呪詛 NP120
 一定時間邪英化する。リンクバースト、および邪英化ルールにのっとりステータス、戦闘能力が強化されるが。重体や邪英化のペナルティが存在しない。
 その代り、五ターン後に解除され、三ターンの間、移動やリアクションを含めすべての行動ができない無防備な状態となる。
 邪英化、およびリンクバーストしていないと使用できないアイテムやスキルが存在する。

・ウィークポインティング NP40使用
 使用するとゲーム中自身の攻撃すべてに下記効果が発揮される。
 攻撃を当てた箇所の防御力を半分にする。この効果は3ラウンド持続する。
 ただし、他者のウィークポインティングの効果は重複しない。 

・トランスパワー NP20使用
 自身のNPか生命力を20他者に分け与える。

・合体攻撃 各PCのNP80
 最大三人まで同時発動。スキルを一つ選び同時に放つ。
 効果が変わり強力になる。
 演出は細かく設定可能だが、前回のシリーズの雰囲気でよければMSが考える。
 ただし使用者はそのラウンド行動不可

●雑魚的情報
 雑魚的情報は前回、前々回のハードモードトライアルと変わりません。
 ただし、NPの排出が変更になったためその部分だけ記載します。
・ トリレゴキスタン
 体長50センチから一メートル。浮遊能力をもつマスコット的存在。
 この敵を倒すとNPが8あがる。
 
・ モノアゴトロン
 全長三メートル前後の細長い人型物体。
 この敵を倒すと四角錘のオブジェが生成される、これに触れるとオブジェは消え、NPが10上がる。オブジェは破壊される可能性がある。

・ ペンタアルゴリゾン
 倒すとランダムでPC5人を選択、NPを5上げる。


解説

目標 『ラジェルドーラ』の撃破


 
●『ラジェルドーラ』について。
 ケントュリオ級愚神。
 前回の戦いで鋏を失っている、さらに前進の装甲にダメージがいきわたっているようで、前回のようにダメージが思うように通らないと言った歯がゆい思いはしないで済むかもしれない。
 さらに戦旗の効果で、ドーラのスキルは全てできっていることが分かった。
 ただし、前回の戦いに参加したものならわかるだろうが、知能が高くなっている。
 今回を最終決戦としたいところ。
 多彩な武装を持ち。装備している武装によって戦略が変わる。武装はニ種類

《戦旗》エネルギーを纏った大布を括り付けた棒。攻防一体の扱いが難しい武器である。
《双銃》中距離戦の対応力が高い安定した武装。攻撃力はそこまで高くない。

《大バサミ》 前回パニッシュメンとモードにてロスト。二つあった鋏すべて使用不可。

 ただし上記の武装を使えるのは人形態の時のみで。
 龍形態の時はブレス攻撃と突撃が主な攻撃方法、しかし飛行しているので近接アタッカーには不利となるだろう。
 さらに前回より強化されている様子なので気を付けるように

<バニッシュメントモード>
 自爆機能。体の一部だけ自爆など器用なことが可能。起動後、発生までのタイムラグが短いのが強み、つまり逃げにくい。
<トールカノン>
 ドーラの必殺技、基本的に一度しか使用できない、広範囲を薙ぎ払う攻撃、ダメージもかなり高い
<Dスパーク>
 周囲に電撃をながす、威力は低いが、ラジェルドーラおよび、その系列機体はBSが回復する副次効果を持つ。

前回の戦闘データから、上記以外のスキルは存在しないと確定。
ただし、上記全て汎用性が高く、使用方法を変えて使ってくる可能性はある

● 警戒事項
 今回、入手した覚えのない、やばげなアイテムがストレージに追加される、誰が持つかはわからないがそのアイテムについて、十分警戒してほしい。
  

リプレイ

プロローグ

「決着をつけるに相応しいメンバーが揃ったよね」
『志賀谷 京子(aa0150)』はそびえたつ扉を見あげた。見慣れたそれを始めて潜ったのは、もうかなり前のはず。そう今までの戦いに思いをはせる。
 そんな京子の肩を『アリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)』が叩いた。
「ええ、実力も因縁も十分。やるしかありませんね」
「今回は魔女さんもいるし、心強いな」
 そう京子が視線を向けると『構築の魔女(aa0281hero001)』は微笑みを返す。
「さて、失望させないように向き合いましょうか」
 構築の魔女が告げると『辺是 落児(aa0281)』は頷いて共鳴。
「それでは、駆け引きをいたしましょう」
 その心強い言葉に京子は微笑んでそして幻想の中でトリガを引く。
やることなんて、どこまでも変わらないこちらの手の内を知られていようと、撃って、当てる。ただそれだけ。そう念じて想像の中で何度もドーラの頭を跳ね飛ばす。
「私達で引きつけよう、ドーラが厄介だと思ってくれているなら、それが仲間を生かすことにつながるはず」
 彼は間違いなく強い、何度も辛酸をなめさせられてきた、だからこそその評価は純粋に嬉しい。
「…………要とまで認めてくれるとは思ってなかったけどね! やられた借りはきっちり返す! ってなんで笑ってるの?」
 その言葉にアリッサは吹きだしたのだった。
「……ツンデレですか?」
「ちがう!」
「ふふ、敵に認められたことは誇っていいと思いますよ」
「ん、アリッサのおかげかな」
 改めて京子は全員を見渡す。よい緊張感だ。全員が迷いのない顔をしている。
「ドーラの装甲もいよいよ限界のようですわね」
『レミ=ウィンズ(aa4314hero002)』がつぶやくと『大門寺 杏奈(aa4314)』は頷いた。
「うん。今回で終わらせよう、すべて」
 アイテムボックスから『闇』と書かれたアイテムを取り出すのは『一ノ瀬 春翔(aa3715)』
 それを春翔は『エディス・ホワイトクイーン(aa3715hero002)』に与えた、するとエディスはいっそう残忍な笑みを浮かべて告げる。
「うふ……あはは! ねえ、ねえ、アナタはどうやって黒炎に包まれたい?」
「……あまり変わんねぇ」
「ジャ、俺ハ寝テルカラ好キニヤレ」
 そんな彼等とは対照的に『ヒルフェ(aa4205hero001)』が告げると共鳴。
「ほいほい」
 『フィー(aa4205)』は黒い霧を切り払うと。コンビニにでも行く気軽さで扉を押し開いた。

 第一章 宿敵

「待っていたぞ!」
 さっそくステージに降り立ったリンカーたち、それを真っ向から迎えたのはドーラ。
 その声がこだまする。
「そりゃこっちのセリフだ!」
『東海林聖(aa0203)』は剣を向けドーラに告げる。
「それにしてもひでぇありさまだな、まともに戦えるんだろうな?」
 聖が揶揄するとドーラは鼻を鳴らして睨みつける。
 ドーラはは前回終了と同じ、装甲がとけ、焼け焦げていたが、それでも威圧感は前と変わらず、聖の全身を武者震いが駆け抜ける。
「前回の借りを返させて貰うぜ……! テメェの顔もいい加減見飽きたしなッ……!!」
「それはこちらのセリフだ!」
 ドーラが告げると二人の闘争心は高まっていく。
「まぁ、怪我しなきゃいいけど……敵は倒す。あいつ、嫌い」
『Le..(aa0203hero001)』まで戦闘態勢である。
 そんな二人の視線がぶつかり合う場所を『ハーメル(aa0958)』が駆け抜けていった。
 戦闘開始のゴングは今打ち鳴らされた。
「今日もノーダメ目指すぞ!」
――君の中で、ここは……そう言うゲームなんだな。
『墓守(aa0958hero001)』は呆れたように告げる。
――さて、イリスには悪いが今回は私が躍らせてもらうよ、守護はまかせたまえ。
『アイリス(aa0124hero001)』が告げると『イリス・レイバルド(aa0124)』と杏奈はドーラを見据え盾を取り出す。
 二人の輝きがフィールドに広がる、黄金の盾、それが二枚
 その布陣を見てドーラは歯噛みした。
「トール・カノンは"基本的に"1発しか撃てない……最後の最後に撃ってくる可能性だって、十分にある」
 杏奈は分析を口にする。
――ええ。あのずる賢いドーラならばどんな手を使ってきてもおかしくはありませんの。
「面白い……」
 直後ドーラはハーメルの一撃を籠手でそらして回避。脇をすり抜けるようにハーメルの背後に回り込むと。龍形態に変形。
「まぁ、そうなるよね」
 そのままハーメルは着地、次の瞬間ドーラとハーメルはお互いに別方向へ駆けた。
 ドーラは一直線にセーブクリスタルへ、立ちはだかるのは二枚の盾。
――お姉ちゃん!
「ああ、まかせたまえ!」
 直後衝突。そして信じられないことにドーラの突進が止まった。
 二人がかりで頭を抑え込み、二人は床を踏みしだいてドーラに対抗している。
 杏奈のはじく動作に合わせて、アイリスは回転、
「さぁ、自身の力の一端を受けるがいい」
 リフレックスの反射ダメージで頭を叩かれるドーラ。
 さらにそこへアイリスは追撃、遠心力を乗せた盾で頭を殴り、地面に叩き落とす、悶えて変身を解いたドーラへと京子と構築の魔女から弾丸が飛んだ。
「それももう、通用はしない」
 一人ではあの突撃は抑えられない、なぜならその咢に挟まれてしまうから。
 結局人間は地に足がついていないと力が入らない。
 ただその咢を上下に叩くように防げばあとは突進力と防御力の戦いだ。
 これなら勝てる。これが二人がとっさに出した結論である。
「封印石まで下がる余裕がありません」
 杏奈は告げる。体制を立て直すドーラを見据えたままアイリスは答えた。
「しばらく様子を見てはいかがかな」
「……さて、今回はちっとやり方を変えるか……」
 そう冷え切った笑顔をドーラに向け悪だくみをしている表情の聖、ゆったり余裕を餅ながらドーラへと歩み寄る。。
 それを見て、少しの不安を抱えるルゥである。
(……ん……剣とか弓は……だけど……そう言う武器はヒジリーに任せる……。……ダメだったらダメリーってダメ出ししよ……)
「どうしたルー?」
――……なんでもない。
 直後聖は駆けた。それを見てドーラは旗を射出、その両手でつかみ取り。
 フィーの奇襲をはじいた。
「よーっと、また遊びに来ましたわ」
 ハルバードはドーラの旗と同程度のリーチ、であればあとは使う側の技量と、戦略の要素の競い合い。
 フィーはその大きな刃を叩きつけるように振るう。
 それをドーラは柄で弾き、くるりと回して槍の穂先を押さえつける。
 フィーは一歩前に進み間合いを詰めることで、押さえつける力をそらして上にはじく。
 さらに右へ振り、戻して叩きつける。さらに切り下して体を回転させてその柄をドーラに叩きつける。
 ドーラはそれらすべてを捌いて見せた。
 直後攻勢に聖が加わる。
 大剣の刃を広がる布で巻き取って、フィーの攻撃は柄で受ける。
 場合によっては槍を手離し、掌底を聖へ、背中を切り裂かれても、回し蹴りをフィーへ叩き込む。
「飽きもせず、よく立ちはだかる!」
「まぁまぁそう言わねーで、私とあんたの仲でしょーが、少しは楽しみましょーや」
 血を吐きながらフィーは笑った。
 そしてドーラも笑っているようにフィーには見えた。
「しかし!」
 旗を使った大振りの一撃、それを受けフィーは吹き飛ばされる。
 四肢すべてを使って着地。
「これ、頼めます?」
 その地点にはいつの間にかハーメルがいた、陰のように寄り添い言葉を返す。
「大丈夫だよ」
 そう何らかのアイテムを手渡して、さらにハーメルは加速。
 そのままハーメルはドーラの旗を潜り抜け、股を抜けると飛んだ。
 すれ違いざまに、雑魚敵たちを切り倒し、ハンドスプリングの要領で攻撃を避ける、空中で回転しながら180度、全ての敵の動きを確認する。
 今回は、周囲の雑魚敵対処専門は彼しかいない、なかなかに重たい役割だったが中央で切り結ぶ仲間たちのためには歯を食いしばってなさなければならない。 
 雑魚敵に邪魔されるまではドーラを叩く、そう鬼のようなラッシュがドーラを襲う。
 近接アタッカーに春翔も合流する。場合によってはその攻撃を受けるためにイリスと杏奈も前に出る。
 京子の弾丸が浮いていたドーラの装甲を弾き飛ばす。構築の魔女が装甲の開けた背中を打ち抜くとドーラは苦悶の声を漏らした。
 だが、まだ倒れない。
「主の! ために!」
 ドーラはさらに旗を召喚する。両手で自在に操るそれはリンカーの接近を許さない。
 攻防一体の高難易度武装。その二本の旗使いはまさに芸術と呼べるものだった。
――あなたの生存を私は認めない、幻想を刈り取りなさい。ヴォーパルソード!
 だがその旗の防衛を掻い潜り春翔が懐へ。
「やべ、案外重篤だ」
 エディスの叫びに少し顔を赤くして。その刃を腹部に突き立てた。
 それは装甲の隙間を縫って深々と突き刺さる。春翔はそこで手を止めず対愚神特化剣をさらに深く突き立てる。闇のエネルギーが爆発するように流し込まれる。
 ぐあああああ!
 ドーラはその硬い拳で春翔を打った。
、そして旗を広げ、回転し距離を取ると息をつく。
「今のは訊いたぞ。よもやここまでとは、掃除ばかりが得意というわけでもないらしい」
「バランス考えてたんだよ……チーム戦ただな、もう小賢しい策はナシだ。派手にやり合おうぜ」
 聖と春翔は挟み込むようにドーラへ刃を向ける。
 その切っ先が鋏のように首を刈り取ろうとした瞬間、ドーラは腕を伸ばして旗の先に二人の肘をからめた。
 駆動範囲が狭まりそれ以上は腕が伸びない。ぴたりと刃が止まる。
 次いでドーラは二人を引き倒し、その顎をその金属ポールでうった。
 威力は低いがひるませるには十分、直後飛翔し体制が崩れた近接アタッカーを焼き払おうと龍形態へ変形する。
 直後スラスターを魔弾が貫いた。
 構築の魔女、そして京子の弾丸。
 直後爆発、気流にもまれるように空中で身悶えるするドーラは叫ぶようにその口を開いた。
「まだ、数機ある一機が死んだにすぎん」
 たまらず焔を吐くドーラ、ダメージは期待していない、地上を炎で覆って体制を立て直す時間を稼ぐのが目的だ。だがそうはうまくいかなかった。
 その炎でやけどを負いながらも。美しい髪を焼かれながらもフィーは突貫してきて。
「種切れですな、ドーラ!!」
 そのハルバードを大きくふってのメーレブロウ、それは振り下ろすようにドーラの顔面を直撃。地面に叩きつけられたドーラはもがくしかなかった。
 
第二章 死線

《Dスパーク》

 地面に落ちたドーラは追撃を嫌ってスキルに頼った。
 直後ほとばしる電流。しかしそれすらアイリスの盾に一部反射される。
「どうする? 我慢比べでもしてみるかい?」
 尋常ではない勢いで体力が削られていく中、あえてアイリスは微笑んだ。
 明らかに自分の方がダメージを受けている。なのにもかかわらずアイリスは微笑むことができた。
 直後ドーラは変形。
「おおおおおおおお、ああああああ!」
 人形に戻ったドーラ、アイリスをひねりつぶそうとその腕を伸ばしたところで。 その動きが、止まった。
 見ればハーメルがその手のハングドマンでドーラを雁字搦めに縛っている。
「今だ!」
 戦場でこだまする必殺技詠唱。
 ウィークポインティングの声。
 次いで雨のように体を打つ連撃がドーラの装甲を発光させていく。
「これなら!」
――お茶会のケーキみたいに柔らかいわ!
 春翔が放った斬撃は嵐のように吹き荒れてドーラを切り刻む。
 周囲に金属片が飛び散った。
 そして追撃とばかりに目の前に立つのは杏奈。 
 「お久しぶりねドーラ。大バサミが使えないのなら、お気に入りの旗でしか私を突破できないようだけど?」
 ドーラは弾かれたように動いた。とっさの抜き手、それを踊るように回避しその地面に突き刺さる腕を足場に、杏奈は飛んだ飛んだ。
「そうやすやすと喰らうもんですか!」
 杏奈は飛んで盾で顔面を殴り飛ばす。
「ぬお!」
 顔面の装甲がひび割れて、一部のパーツが床を跳ねた。
 直後距離を取る杏奈。上から旗が振ってくるのが見えたためである。
「いつのまに……」
 射出された旗は四本それがセーブクリスタルを囲うように展開される、それはもちろんドーラ自身を内側にして。
「まずはお前たちから殺す!」
 この時接近戦組と、遠距離組の間に壁ができた。
「気が付いているかい? 君の旗もウィークポインティングの対象なんだ」
 だがその威圧に負けずアイリスが告げる、直後切りかかったのはフィー。
「よそ見してんじゃねーですよ」
 そして春翔の切り上げ、ここで動きが止まった。
「どーらあああああああ!」
 アイリスの盾を足場に飛んだ杏奈は、振り下ろすような重たい一撃を、ドーラではなく旗めがけて。振り下ろす。
 やすやすとその手の旗が折れた。
 そもそも限界だったのだ。ウィークポインティングを受ける前から旗の耐久度はかなり削られていた。
「あなたの旗にはさんざん悩まされたものだからね……お返しよ!!」
 その隙にと四方の旗へ駆けるリンカーたち。止めようとその手から銃を射出しようとするが開かない。
「またか!」
「今度は俺だ!」
 聖が紐を握っていた、だがそれはハングドマンではなく爆導索、直後着火されたそれは右腕の装甲と共に銃を鉄の塊へと変える。
「……千照流――……鎖戒……っても、本来爆発しねェけど、なッ!!」
――……よく覚えてるね……バカなのに)
「ぐああああ! そうか、そう言うことか!」
 リンカーたちの目的は武器を奪うこと。
 多彩な攻撃方法が持ち味のドーラから、攻撃手段を奪うというのは一番効果的な戦法だ。
 それを恐れたからこそ、ドーラは武装を小出しにしてきた。
 つまり、手の内を全て明かしてしまった今、ドーラに彼等を打倒する手段はない。
「みとめられるかああああああああ!」
 直後、ウィークポインティングの対象となった装甲のみをパージ。

《パニッシュメントモード》


第三章 決着
 周囲を爆炎が包んだ。 
 炎の中から身を揺らして現れるドーラ。
「いかに勝ち目がない戦いであろうと、引くわけには、引くわけにはいかぬ!!」
 衝撃波で周囲に転がったリンカーたち。そのドーラの背後で旗が砕け、また背中を打ち抜かれるドーラ。
「く!」
 旗の防護フィールドも限界だったのだ。であれば。
「全ての旗を使って、クリスタルを!」
 旗を一本だけ残しパニッシュメントモード機動。
 旗を自爆させ、セーブクリスタルの破壊を狙う、しかし。
 ドーラは同様で呻くことになる。
 爆炎の向こうに見えたのは金色の光。
 アイリスと杏奈、二人の盾の力でセーブクリスタルは無事だった。
「やはり、盾で防げればバニッシュメントモードの威力もそこまでではないか」
 アイリスはつぶやく。
「ドーラはどこへ!」
 杏奈は直後叫ぶ、見ればドーラは空に。
「最後の手段だ!」
 今近接アタッカーたちは爆風の影響で動けない、盾を持つ少女たちはさすがに二人には追いつけない。
 そうドーラは京子と構築の魔女を倒すために飛び立ったのだ。
 彼もリンカーたちへの対策は立てていた。
 今なら二人を倒せる。そうまずは構築の魔女へと牙をむける。
 空中で変形旗を振りかざすドーラ。
 だが次の瞬間、魔女の纏う装甲が爆ぜた。
 性格にはメルカバをパージしたのだ。その金属パーツで目くらまししつつ、その手には装備したのは双銃。
「面白い!」
「手元で僅か1mmでもずれれば狙撃は成り立ちません。私達にとって己の肉体はもっとも信頼する道具の一つですよ?」
 直後構築の魔女は飛んだ。その銃から火を吹かせながら飛び去り、旗を避け。
 その旗を振んでドーラの腕に乱射。
 ドーラは旗をはなしてスラスターを吹かせ掌底。
 その威力を極力流しつつ、反撃の射撃。装甲の薄い関節部分、末端部分に命中していく。
「面白い、私も混ぜてよ!」
――ちょっと! 何をしているんですの!
 京子が乱入してきた、アリッサはあまりの無謀に頭痛がしてきたが、無理もないだろう。
 二人のあまりに華麗な戦いに混ざりたいと思わなければ嘘だった。
 Pride of foolsをその手に二人の狙撃主は今宵、狙うことをやめお互いの命を食いちぎるために牙を合わせる。
「なるほど! お前たちの武がこれか! 面白い! お前たちは誇るがいい、我が認める武力は、王が認める武力。お前たちの武は王に届くことだろう」
 ドーラは笑う、それに合わせて二人も笑う。
 ドーラは双銃に持ち替える、その瞬間京子は距離を取った。
 構築の魔女はあえて接近する。自分の体をドーラの死角に滑り込ませるように常に密着し。
 その関節部分を打ち抜いていく。
「ははははは!」
 ドーラの笑い声と、ドーラの装甲が爆発するのは同時だった。
 京子は口から流れる血をぬぐって距離を取る。そして弓に持ち替えた。
「一緒に踊ってはあげられないの!」
「淑女を誘うなら優しくが筋ですよ」
「真正面から弓だと! 叩き切ってくれる」

「ドーラ!!」

 その叫びに振り向くドーラ、見れば聖がLSR-M110を抱えていた。
 その弾丸に渾身の霊力をこめ。
「やっちゃえ」
 可愛らしく告げた京子の声で弾丸は放たれる。
 それはドレッドノートらしい重たい威力を持ってドーラの装甲を吹き飛ばし、そしてスラスターを粉砕する。
「おおおおお!」
――……銃ってやっぱりうるさい……
「まっ、そりゃ仕様だ、仕様!」
 ドーラは完全に無防備になった。
「魔女さん!」
「ええ。見せてあげましょう」
 直後二人の体が光輝く。

《合体攻撃 テレポートショット+シャープポジショニング》

 構築の魔女の姿が陰炎となって消えると、ドーラの真下に現れた。 
 そして魔女はありったけの弾丸を下からドーラに浴びせる、そして。
 京子はドーラの真上に移動した。
「落ちろ!!」

『ゴースト・バレット・ストリーム』

 うち放った弾丸はドーラの装甲を食い破り、いわゆる炉へと到達する。
「ぐああああああ!」

 直後ドーラは龍形態へと変形。
「受けるがいい!」
 直後口から放たれたのは炎ではなく雷撃。トールカノン。
 熟練リンカーでもひん死に追いやるその一撃を無謀にもクリスタルから離れた位置で、放つ。
「失策だったね。ドーラ」
 アイリスは告げる。
 使うのであればもっと早く、それこそパニッシュメントモードで前衛が動けなくなっている時に使うべきだった。
 だが使わなかった。それは。きっと。
「楽しかったのかな、戦うことが」
 放たれた雷撃をアイリスはやすやすと切り裂いた。
 ほとばしる雷鳴。
 直後ドーラは自分の炉を引き抜いて粉砕。現れたエンプレスオーダーを使って、トールカノンを再度使用する。
「甘い!」
 杏奈が前に出る。そして彼女はすでにそれを見切っている。
 真っ向からトールカノンをねじ伏せる杏奈。
 そのトールカノン二連発で消耗するドーラを、ハーメルががちがちに縛った。

《Dスパーク》

 渾身の雷撃。ハーメルの拘束を破るとふらりと前にドーラは出た。目の前にはフィー。
「少しお仲間の準備が整うまで相手を、願いやがります」
 フィーは奥歯で結晶をかみ砕く、その全身を膨大な霊力が包むと、ドーラは笑った。
「リンクバースト……光栄だ」
 ドーラは告げる。
「お相手願おうか」 
 直後繰り広げられたのは死闘と呼んでふさわしい物だった。
 技術なんてものは無い。
 武器を振り、舞い散る肉体とオイルにまみれ。
 時には歯を使ってでもフィーは装甲をやコードをひきちぎる。
 ドーラも前身の関節が軋むのも構わずに無茶苦茶な動きを繰り返して。
 挙句の果てには腕を一本差し出した。
《パニッシュメントモード》
 爆炎がフィーを包む。
「全く、あんたがこっち側なら好き友になれたでしょうになぁ! ここで殺してしまわなきゃなんねーのが残念ですわ!》
怒涛乱舞、鬼気迫る連撃にドーラはついに膝をついた。
だがこれで終りではない。
「おせーです」
「悪かったな」
 その言葉に春翔が答える。
「これで、終いだ……」 
 聖が告げると、三人を光が包んだ。
「さあ、終わりにしようぜ!」
――これが……私達の、ありったけ。

《合体攻撃 怒涛乱舞+レプリケイショット+ヘヴィアタック》

 フィーは三撃でドーラの四肢を全て弾き飛ばした。
「ああ、このような戦い、屈辱しかないと思っていたが」
 つぎの一撃で聖は炉をえぐり出す。
「誇り高き戦士との死闘はいつの世でも、最高の楽しみだった」
 そして空を駆け上がった春翔はその斧から渾身の一撃を繰り出す。
 まるでギロチンのように振り下ろされたその一撃は。
 ドーラの首を跳ねた。

《斬首灯篭》
 それは、死せるものへ送る、はなむけの一撃。
 




エピローグ

 一行はドーラの頭を見下ろしながら顔を見合わせていた。
 その頭、何と話せるのである。
「見事な腕前だった。完全なる勝利だ、リンカーたちよ」
 そんなドーラたちにリンカーは顔を見合わせた。
 そして京子が代表して告げる。
「貴方は、誰?」
「だれとは?」
「テメェは一体何だ? ラジェルドーラ」
 春翔が頭をかく。
「俺もうまい言葉が思いつかねぇんだが。なんていうかよ……」
 春翔はゆっくり思い返す。この戦いの発端。
 それは単純に変わったドロップゾーンが展開されたという話から始まった。
 雑魚敵や中ボスを蹴散らしながら上へと上る攻略戦。 
 それがハードモード解禁によっていつの間にか防衛戦へと変わっていた。
「あの時俺等が登った塔。そして今降っているこの場所」
 その二つのゲームどちらも主催者はいるはずだ。
「どちらもテメェの言う《主》のDZ」
 主とはだれで、この塔はなんだ。
 そしてチャレンジャーとされるドーラはいったい、何の役割でここにいるのか。
「じゃあ、テメェ自身は?」
「私の主は、管理者ではない」
 管理者、その耳に慣れない言葉を受けて一行は首をひねった。
「わがある……じは、この塔の最奥に幽閉される武術王。忌まわしきかの者が封印を施した」
「かのもの……」
 京子はその言葉を噛みしめるように口した。
「しかし、わが野望は敵わず、主をまた一人に」
「その主は愚神なのか」
 春翔は尋ねる。
「愚しんだ」
「封印したのは」
「ぐしんだ」
 その時、ドーラの中で何かが爆ぜた。限界が近づいているらしい。
 そんなドーラにフィーは歩み寄る。
 そしてチョコケーキを箱ごと置いた。
「これは?」
「あ? 知らねーんですか? 少し前にあったバレンタインって奴ですわ、世話になった奴にチョコやらを渡すっつー」
「世話、か」
「まぁ、楽しかったってことですな」
 そしてフィーは手を合わせた。
「まぁあっちに行ってからでもゆっくり食いなせーな」
「ふはははは。てきに、しおを、おくられるのも、わるくはない」
「あぁ、じゃあな。強く誇り高い私の敵」
「わがわるじに、であうことがあるのナラ。ば……その武を。また。わがあるじ……ニ」
 直後、ドーラの目の前に不可部ホログラフィック。そこに浮かぶのは負け犬の文字だった。
 それを踏みつけて、フィーは空を見上げる。
 送還。
 直後一行は現実に戻された。
 そして……二度と。その扉が開くことはなかった。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
  • Dirty
    フィーaa4205
  • 暗闇引き裂く閃光
    大門寺 杏奈aa4314

重体一覧

参加者

  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 神月の智将
    ハーメルaa0958
    人間|16才|男性|防御
  • 一人の為の英雄
    墓守aa0958hero001
    英雄|19才|女性|シャド
  • 生命の意味を知る者
    一ノ瀬 春翔aa3715
    人間|25才|男性|攻撃
  • 希望の意義を守る者
    エディス・ホワイトクイーンaa3715hero002
    英雄|25才|女性|カオ
  • Dirty
    フィーaa4205
    人間|20才|女性|攻撃
  • ボランティア亡霊
    ヒルフェaa4205hero001
    英雄|14才|?|ドレ
  • 暗闇引き裂く閃光
    大門寺 杏奈aa4314
    機械|18才|女性|防御
  • 闇を裂く光輝
    レミ=ウィンズaa4314hero002
    英雄|16才|女性|ブレ
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