本部

【甘想2】連動シナリオ

【甘想2】魔法少女ちょこりん☆

紅玉

形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/02/21 19:44

掲示板

オープニング

●魔法少女ちょこりん☆参上!
 あまーい、あまーい、雰囲気の中で女性は好意を抱いている人にチョコを渡す。
「だめだめぇ! もーそんなんじゃだめだよ!」
 ブラウン色のワンピースに、茶色いフリルにチョコをイメージした魔法少女の様な服装の少女は大きなツインテールを揺らしながらカップルにステッキの先を向けた。
「は?」
 カップルは魔法少女の様な少女を凝視した。
「もー、僕みたいにプリティーでラブリーな姿で渡さなきゃ、彼ピッピがゴーホームしとゃうよ!」
「え? なにゆってるのよ! このコスプレヲタク!」
 と、女性は少女に向かって罵声を浴びせる。
「むー、その言葉で僕おこだよー! ちょこちょこりんりん☆かわゆーい魔法少女になぁれ♪」
 ステッキをバトンの様に手でくるくる回し、最後にビシッと先を女性に向けると『ポン』と可愛い音が鳴り、煙に包まれた。
「マジ、ありえないんですけどー!? しょっきんぐピーポーマックス! 完全にテンサゲ!」
 魔法少女になってしまった女性は自分の姿に驚き、魔法少女ちょこりんに対して怒りを通り越して肩を落とし、その場から逃げるように近くのお店へと駆け込んだ。

●甘い魔法
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」
 ティリア・マーティスが会議室に集まったエージェント達に一礼をする。
「今回の依頼は、世界各地で起きているバレンタインに関する事件です。バレンタインのイベントをしている商店街にて、愚神が現れるのをプリセンサーが感知しました。魔法少女ちょこりん☆という名の愚神です」
 ティリアは端末を操作し、エージェント達の端末に資料を送った。
「老若男女関係無く魔法少女にして意味不明の言葉しか喋る事しか出来ない、という能力を持っているそうです。愚神が何を狙っているかは不明ですが、大きな被害が出る前に退治をしてください」

解説

●目標
愚神『魔法少女ちょこりん☆』の撃破

●場所
商店街(昼)

●一般人
バレンタインのイベントで沢山います。

●敵
愚神『魔法少女ちょこりん☆』
魔法少女の姿をした愚神。デクリオ級。
・ちょこちょこりんりん☆かわゆーい魔法少女になぁれ♪
老若男女関係無く魔法少女にし、ギャル語等の色々な言葉しか喋れなくなります。
・マジカルちょこりん砲
液体状のチョコレートをステッキの先から出す。
・ちょこりんの想いとーどけっ☆
頭上から大きなハートの形をしたチョコが落ちてくる。

リプレイ

●とりま、避難が先
「この日が近くなると憂鬱だな。リア充爆発希望派の俺としては、14日はいっそ消し飛んでもいいと思ってる」
「カイ甘いもの苦手なんでしょ? チョコ食べないじゃん」
 現場へ向かうさなか、カイ アルブレヒツベルガー(aa0339hero001)の台詞に、御童 紗希(aa0339)は疑問を投げる。
「食える食えないの問題では無い。意中の子から貰えたか貰えなかったかが問題なんだ。貰えないなら、世の中の男は平等に貰えない方がいい!」
「……ちっさ」
 震え声で叫ぶちっさい中年に、紗希はジト目とため息をプレゼント。
「ふふふ、魔法少女と言われたら出てこないわけにはいかないにゃ♪ 本物の魔法少女の僕が偽物を倒しちゃうのにゃー♪」
「……わしはどうでも良いのじゃがのぉ。……たい焼き、一杯買って貰うからの」
 正反対のテンションなのが猫柳 千佳(aa3177hero001)と音無 桜狐(aa3177)。
 自称魔法少女である千佳には見逃せない事件であるが、大量のたい焼き(チョコ入り)購入で妥協した桜狐にとっては、正直やる気を見いだせなかった。
 エージェントたちが商店街へ到着すると、すでにちょこりんの被害かギャル語の叫びがちらほら聞こえる。
 しかし、愚神が現れたにしては混乱がかなり小さい。
「逃げ込んだ避難者を攻撃したりしていない様子から見ると、今回の愚神はあんまり害は無さげ……?」
「渚、まだ決めつけるのは早い。まずは店舗に避難指示を出して貰う」
「そうですね。行きましょう、ティア」
「わかった!」
 声そのものは元気そうな被害者に水澤 渚(aa0288)は首を傾げるも、多々良 灯(aa0054)は油断を戒め避難誘導へ動く。
 リーフ・モールド(aa0054hero001)が頷き、ティア(aa0288hero001)も加えて駆け出した。
「これだけ人が多いと、下手に避難誘導しない方がいいね。怪我人が出ちゃう」
「まぁ、今回の愚神、馬鹿っぽいし、挑発すればついてくるんじゃないかしら?」
 灯たちに続き、天宮城 颯太(aa4794)と光縒(aa4794hero001)もまずは避難誘導へ。
 ただ、何故か颯太の挙動がそわそわしていて、光縒へちらちらと視線を向けるのが目に付いた。
「う~ん、じゃああたしたちは、被害者の様子を見てくるよ」
「治療できるかもしれないしね」
 次に餅 望月(aa0843)と百薬(aa0843hero001)は共鳴し、ギャル語をたどって被害者を探す。
 それから紗希とカイは避難誘導、桜狐と千佳は愚神捜索に、それぞれ行動を開始した。

●ちょこちょこりんりん☆
 灯や渚たちが商店街の放送で避難指示を出したと同時。
 颯太が拡声器を使ってエージェント登録証を提示し、愚神の出現とチョコの受け渡しが危ないと説明。
 紗希たちとともに戸惑う一般人の誘導を始めた。
 エージェントたちの素早い対応により、徐々に人々が商店街から離れていく。
 ただ、まだ愚神の姿が見えず警戒は緩めない。
「『自分のようにラブリーな姿でチョコを渡さないと彼氏に逃げられちゃうよ』と言って現れた愚神か……」
「しっかし愚神は何が目的なんだ? バレンタインイベント盛り上げ隊とかいうやつなのか? ……でも、あのコスはよくねぇわ、色んな意味で。わけわかんない魔法にだけは、かからないようにしなきゃな」
 店舗の外へ戻った灯は、姿が見えない愚神の探索方法を模索する。
 渚は出会った被害者の格好を思いだし、敵の攻撃には注意しようと苦い顔。
「同じ行動で愚神を誘い出してみましょう。それでは義理チョコを灯に、本命は渚くんから貰うといいのです。今日の誓約もこれでクリアですね!」
「ちょっとぉぉぉ! なんで渚が灯のアホにチョコ渡すんだい?! 意味わかんないよ!!」
 すると、リーフが愚神を釣る妙案を口にし、拳を強く握りしめた。
 が、ティアは納得いかない様子で猛抗議を上げる。主に灯への嫉妬で。
「灯にチョコ渡せばいいのか? あれ、チョコ貰う日じゃなかったっけ?」
 一方、渚は深く考えずリーフの案に乗ろうとしている。
「やってみる価値はある。友チョコ、というのもあるしな」
「おー、友チョコか。灯がくれるなら、俺もチョコあげるなー? ……もうわけわかんねっ!」
「ごちそうさまです!」
 というわけで、灯が渚に、渚が灯に、それぞれチョコを交換した。
 クールな微笑と無邪気な笑顔、交わる視線に触れ合う手と手……、リーフの腐が加速する。
「リーフ! 嬉しそうに「ごちそうさま」じゃないよ!! ほんと何が何だか……」
 だが、ティアはいい雰囲気な渚と灯の様子を見て、それをけしかけたリーフへ声を張り上げた。
 ティアが頭を抱え込もうとした、その時。
「だめだめぇ! もーそんなんじゃだめだよ!」
 魔法少女ちょこりん☆、まさかの男同士でも参上。
「そんなテキトーじゃ、彼ぴっぴに愛想つかされちゃうぞ!」
 どっちが彼ぴっぴだろう?
「渚!」
「おう!」
 瞬間、灯と渚は即座に共鳴。
 灯がリンクコントロールでライヴスを活性化し、童子切でライヴスリッパーを放つ。
 後衛の渚は灯の援護で銀の魔弾をちょこりん☆へ射出した。
「もー! 彼ぴっぴもかのぴっぴも、暴力はダメダメ! 僕もーおこだよ!」
 しかし、ちょこりん☆はステッキで童子切を受け流し、魔弾を華麗な体捌きで回避。
 魔法少女は意外に武闘派らしい。
「ちょこちょこりんりん☆かわゆーい魔法少女になぁれ♪」
 そして放たれた反撃は、かのぴっぴへと矛先が向けられる。
「……もふ? いやーんもふぅぅぅ!!!!! もふをこんな体にするなんて許さないもふぅ!」
 すると、渚はフリフリの淡いピンクのエプロンドレスとニーソックス姿に。
『ていうか、魔法少女になってボクより可愛いとかどういうこと渚?!』
 文字通りかわゆい魔法少女となった渚に、ティアが絶叫を上げる。
 渚くんは灯くんのかのぴっぴだから仕方ないよ。
「むむ! 新たなダメ恋が出た予感! ジャネバイ!」
 すると、突然ちょこりん☆は別れの言葉を残し、驚異的な身体能力でその場から後退。
「待て!」
「シカッティーはダメもふぅ!!」
 灯がアサルトライフルで、渚が無視するな! と銀の魔弾で追撃をするも、ちょこりん☆は器用に避けつつ瞬く間に去っていく。
「もふはおこぷんもふ! 灯、秒でピコってフルボッコもふ!」
「少々言葉遣いが意味不明になったところで、幼馴染で長い付き合いなんだ。目と目で会話できる! いくぜ! 渚!!」
 激怒した渚はすぐに追跡して倒すと意気込み、灯は渚と目を合わせて意図を読み切り駆け出した。
「も、もふ……」
『渚、なんで灯のアホを見て恥じらってんの!?』
 先行した灯は知らない。
 魔法少女・渚の顔が真っ赤になっていることを。

「マリ! 好きだー!」
「あたしも! バレンタインのプレゼント……何がいい?」
 その頃、紗希とカイも愚神をおびき寄せるため、痛いバカップルを演じていた。
「俺甘いの苦手だからぁー、ガッツリ系?」
「もー! ろまんないなぁ! 『アタシ』とか言えないの?」
「ネタが大人過ぎんだろ!」
 紗希の発言で若干カイの素が出ているが、愚神が現れるまでは続ける予定だ。
「そうだよー! せっかくらぶぽよなんだから、ロチュウくらいしなきゃ!」
 作戦通り、ちょこりん☆は紗希とカイの近くへ登場。
 どうやらダメ恋の予感とは紗希たちのことだったらしい。
 あくまで演技なのだからそれはそうだろう。
「愚神だ! 行こう!」
 同時に颯太は光縒と共鳴しないまま飛び出した。
「……で? この下らない茶番はいつまで続けるつもり?」
 一瞬怪訝な表情をした後、光縒はちょこりん☆を睨みあからさまに挑発する。
 決して、紗希とカイの演技を指して茶番だと言いたいわけではない。
「も~! 女の子がそんな塩対応じゃ嫌われちゃうよ!」
 ちょこりん☆はステッキをくるくる回すと、先端を光縒へ向けた。
「ちょこちょこりんりん☆かわゆーい魔法少女になぁれ♪」
「颯太シールド」
「たわばっ!?」
 ちょこりん☆の呪文と颯太の期待がこもった目が発せられたと同時。
 光縒は自然な動作で颯太を引き寄せ、自身の盾にした。
「うそ!? 仏頂面な光縒の魔法少女でぴこぴこりーんな言動が見たかったのに! てか、今回も女体化イヤアアアア!」
「……どうせ、こんなことだろうと思ったわ。くだらないことやってないで、さっさと共鳴するわよ。それにしても、全く違和感ないわねそれ。悔しいくらいに、似合うわよ、颯太」
 煙が晴れると、セーラー服っぽい白と青のフリフリ魔法少女化した颯太は思わず本音が漏れた。
 颯太の真意を聞いた光縒は絶対零度の視線を注ぎ、褒め言葉でさらなる心の傷を増やす。
 容赦がない。
「せぇい!」
 瞬間、隙を見せたちょこりん☆の背中へ、共鳴した紗希が神斬で奇襲をかけた。
「ゲロ甘だよ!」
 が、ちょこりん☆は即座に振り返ってステッキで防御。
 受けた力に逆らわずに後ろへ跳躍すると、今度は紗希へとステッキを向けた。
「ちょこちょこりんりん☆かわゆーい魔法少女になぁれ♪」
 煙が晴れると、紗希もまた淡い橙色のフリフリ魔法少女へ変貌。
「あれ? コレやばたん。魔法少女になったぽ! マジメンディー。バイブスさがるー。……ヤバい! ヤバい! コレマジヤバくない? もう帰る!」
 言葉使いもギャル語へ自動変換されると気づき、紗希のバイブスはさらに下がる。
「桜狐、変身にゃー♪」
「変身でなく共鳴じゃ……」
 魔法少女乱立の混乱が続く中、千佳と桜狐が騒ぎを駆けつけ到着。
 声をたどって視線を向けると、何故か二階建て商店の屋上に仁王立ちしている。
「そこまでにゃ! 罪もない人に迷惑をかける悪の魔法少女には、正義の魔法少女・マジカル♪チカがお仕置きしてあげるのにゃ♪」
 千佳の姿はちょこりん☆に負けず劣らずのフリフリミニな和服魔法少女。
 ノリも見た目も強い対抗意識が透けて見える。
『この邪魔な装飾と短すぎる丈は必要なのじゃろうか?』
「食らうにゃ! 先手必勝、マジカルナックルにゃー!」
 桜狐のつぶやきをガン無視し、千佳はそのままちょこりん☆へ急降下。
 落下速度と魔法少女パワー(物理)を込めて拳を振り下ろす。
「魔法少女同士の戦い、安定の展開だよね!」
 ちょこりん☆は側転、後方宙返り、ステッキ捌きで千佳の拳をいなしていく。
 魔法少女がお互いに争うのは当然らしい。
 そんな常識は初めて聞いたが。
「にゃにゃ!」
「きゃあっ!?」
 魔法皆無な戦闘の中、ちょこりん☆は千佳の拳を受け大きく吹き飛ぶ。
「いたた……」
「あなたがちょこりん☆?」
 勢いそのまま1つの店舗へ突っ込むと、そこには偶然共鳴した望月の姿が。
「ホラ、あたしから、強敵(とも)チョコだよ」
 倒れたちょこりん☆を起こし、改めて向き合うと望月はチョコレートを手渡した。
「H.O.P.E.のエージェントと愚神のあなたじゃ、分かり合えないかも知れないけど……本強敵(とも)として、分かり合えることも、あると思うよ」
 望月はまるで以前からの強敵(とも)であったかのように、ちょこりん☆に親愛と悲哀の目を向ける。
「だから本当に本気のバトル、やっちゃおうよ!」
 しかし、感情を全て飲み込み、望月は蒼炎槍を取り出して一閃。
 ちょこりん☆を再度吹き飛ばす。
 なお、どこまで本当に本気の発言なのか、それは望月にしかわからない。
「何これあげぽよ! とりま、これ食べさせてー!」
 そして、集まったエージェントたちに囲まれたちょこりん☆は、笑顔でチョコをパクついた。

●バイブスが大事
「って、戻らないですとォー!?」
 共鳴直後、颯太は魔法少女がマストなことに愕然とする。
「もうアレ、倒すしかないのか……!」
 元の姿と男の尊厳を戻すため、颯太は殺る気スイッチをオンにした。
 視線の先には、すでに戦闘を再開した様子が見て取れる。
「こっちだ!」
 チョコを食べ終えたちょこりん☆を、灯が守るべき誓いで注意を引き。
「おままじFK!」
 お前マジふざけんな! と紗希がおこで神斬の乱舞を見舞い。
「にゃ! にゃ! にゃにゃ!」
『何というか、端から見たら恥ずかしい格好な気がするのぉ。この格好って……』
 千佳が殴る蹴るで追いつめる。
 なお、桜狐の発言はこのメンツを見れば今更である。
「手加減しないからね!」
 中衛では望月が蒼炎槍で鋭い突きを連続で行い。
「ガチめに倒すもふ!」
 魔法少女・もふ(渚)はゴーストウィンドで後衛から追いつめる。
「もー、みんな超こわたんだよ!」
 そんな攻撃の嵐を、ちょこりん☆は身のこなしだけで回避。
 すべては躱せていないが、致命傷になりそうな攻撃だけは確実に避けている。
 今のところ、ちょこりん☆の戦闘に魔法要素がほとんどない。
「魔法少女、うぶしろん! 華麗にぃー見☆参! だぞっvv」
 包囲網から空中へ一時的に抜け出たちょこりん☆めがけ、颯太が追随。
 わりとノリノリでポーズを決めて跳躍し、絶対領域スカートをなびかせて、リボン付きハルバートで叩き落とす。
 魔法少女・うぶしろん。やはり彼女(?)も物理だった。
『さっきから何言ってるのかさっぱり、いや共鳴で意識共有してる今なら案外解るぞ! マリ、お前学校でギャル語使ってんな!?』
「バレた! てへぺろ♪」
 難解なギャル語をカイは何故か理解できたことで、紗希のギャル語使用疑惑が浮上。
『てへぺろ♪ じゃねぇ! ほぼほぼリアルガチのやばたん案件だろコレ!』
 ショッキングピーポーマックスなカイだが、冷静に考えてみよう。
 紗希はリアルJKだし、使っていてもおかしくなくない?
「ジャミられるとかおこぷん! 食らえ、マジカルちょこりん砲!」
 ジャストミートを受けたちょこりん☆は激怒し、ステッキの先を颯太へ向けた。
「うわっ!?」
 瞬間、液状のチョコが砲弾のように飛び出し、颯太をチョコフォンデュにして落とした。
「ぐっ!? ……これは本物のチョコなのか?」
 さらに前衛にも放たれたちょこりん砲を、灯は鰐皮の盾で受け止める。
 糖分多めな甘~い香りに反し、伝わる衝撃はかなりのもの。
 密度と粘度が高い液体チョコが盾で二分され、灯の両側面をチョコまみれにしていく。
「まだまだぁー! ちょこりんの想いとーどけっ☆」
 さらに、エージェントからの攻勢が弱まったところでちょこりん☆は追撃。
 渚・望月の頭上に巨大ハート型チョコを出現させ、突起を下にして落っことす。
「もふっ!?」
『何これ、重い!?』
 とっさに白鳳の羽扇で防いだ渚だったが、大きさに相応しい重量にティアも驚き、衝撃を逃しきれなかった。
「強敵(とも)チョコのお返しだよ! 僕たち、超MDだもんね!」
「わっ!? まじやばくね!?」
『別に相手に合わせなくていいんじゃない?』
 さらに、勝手にちょこりん☆からマブダチ認定された望月にも、ものすごいハードな強敵(とも)チョコ返しを受け止めた。
 その際、百薬は言語が崩れた望月に冷静に突っ込む。
「ガチチョコなら、最悪清掃を後で手伝えばいい!」
 チョコ魔法を連発しだしたちょこりん☆へ、灯は強引に前進。
 茶色に染まる商店街の事後処理を考えつつ、童子切でライヴスリッパーを仕掛けた。
「もふもやるもふ!」
 同時に、渚がブルームフレアでちょこりん☆にダメージと隙を与える。
「いた~い! ショッキングピーポーマックス!」
「チャンスだ! 一気にたたき込むぞ!」
 ダメージで動きが鈍ったちょこりん☆に、灯は休まず追撃を仕掛けながら仲間を発奮する。
 童子切でちょこりん☆のステッキを封じ、力を込めてつばぜり合いに持ち込む。
「もふぅっ!!」
 その硬直を見逃さず、渚は銀の魔弾をちょこりん☆へ撃ち込んだ。
「うぅ~、もうさげぽよだよ~!」
「逃がさないのにゃ!」
 さらにダメージが増えたちょこりん☆は大きく跳び退くが、着地場所には千佳が待ち構える。
 素手の間合いである懐に入り込み、拳を数発放って回し蹴りで吹き飛ばす。
「あなたの思い、受け取ったよ! ちょっと早いけど、お返し受け取って!」
『その強敵(とも)設定、いつまで続くの?』
 その先には望月が、ジャンヌを地面に突き立てた状態で槍を構えていた。
 宙を移動するちょこりん☆へ向け、鋭く熱い突きを連続で放った。
 なお、百薬の疑問は炎から逃れたちょこりん☆との攻防で、さらっと流されていく。
「よぉし、いきゅよぉぉ~!(きゅぴーん)ぷりぷりプリティ☆キューティ~☆RPG~ィィvv」
 かなり疲弊したちょこりん☆へ、次はチョコフォンデュ颯太がヴァンピールをぶっぱなした。
 効果音で魔法っぽくしているが、立派な物理ロケット弾である。
「皆、今がチャンスにゃ! 必殺の! マジカル♪ロケットパンチにゃー!」
 さらに、千佳が拳状のライヴスを乱打し、砂煙を吹き飛ばす勢いで襲撃した。
 言うまでもないが、これも立派な物理攻撃である。
「はあっ!」
 最後に、紗希が満身創痍なちょこりん☆へ肉薄。
 チャージラッシュ+トップギアからの疾風怒濤をぶち込んだ。
 しつこいようだが、これも完全な物理攻撃である。
「……も~、僕、力出ないよ~」
「ちょこりん☆……」
 それがトドメとなり力つきたちょこりん☆へ、望月はおもむろに近づき、笑みを向けた。
「ワタシ達、ズッ強敵(とも)だよ!」
 透明な顔できょとんとした後、ちょこりん☆もまた、満面の笑みを浮かべた。
「MK! だよ!」
 マジ感謝。それだけを言い残し、ちょこりん☆は満足そうに消えていった。
 こうして、魔法少女同士の戦いは、ほぼほぼ物理で決着がついたのだった。
『何これ?』
 百薬さん、それはこちらが聞きたいです。

●やばばばばば!
「正義は絶対勝つのにゃ♪ 勝利のポーズ、決め♪ にゃー♪」
「ぶいっvv!」
「も、もふぅ……」
 愚神消滅後、ノリが止まらない千佳は片足を上げ、猫の手でばっちり決めポーズ。
 そんな千佳をセンターに、右は颯太が固めてかわいくピース。
 2人のノリに巻き込まれた渚は、左でエプロンドレスを抑えて真っ赤な顔を前髪で隠す。
『流されちゃダメだよ渚! ていうか灯のアホはこっち見るな!』
「……いい」
『食べ物を粗末にするのは許せませんが、チョコプレイ……これはなかなか』
 ティアが渚へ声をかけるが、テンションが高い千佳と颯太からなかなか逃げられない。
 その様子に、魔法少女と語尾の組み合わせが好みに合致する灯が熱い視線を向ける。渚の赤面は灯のせいだった。
 一方リーフは、チョコまみれな颯太と渚の絡み(健全)を見て、さらに妄想を膨らませる。
「あれ? みんな元に戻っていないよね?」
 そこで、望月が仲間の魔法少女化が解けていないことに気づく。
 試しにクリアプラスを使用したケアレイを放つも、魔法少女のまま。
 確認のため一般人の被害者に近寄るも、やはり魔法少女姿は変わっていなかった。
「&$%#~っ!」
「わかるー」
「&$%#~っ!」
「わかるー」
「&$%#~っ!」
「わかるー」
『他に何か語彙ないの?』
「ワカルー」
 被害者の早口+ギャル語で意味不明な言葉に合わせる望月に百薬が突っ込むと、イントネーションだけが変わった。
 紗希と違い、望月はギャル語のネイティブではないらしい。
 そこで冷静に周囲を見渡すと、ちょこりん☆が放ったチョコが消滅していなかった。
 おそらくこれを処分しないと魔法が解けないと考え、そこからエージェントたちの大清掃が始まる。
 香りは普通にチョコだったが微量なライヴスが混じっており、AGWの攻撃で消滅した。
 商店街を傷つけないよう配慮しつつ、エージェントたちは何とか全ての除去に成功。
 推測通り、一般人を含め魔法少女化も一斉に解除され、商店街は平和を取り戻す。
「最近こんなのばっかりだぁ~!」
 ようやく我を取り戻した颯太は、涙混じりで内股Bダッシュ。
 その背中を光縒は冷めた目で見送り、写メをとった。
 よく見ると、魔法少女化直後に嘆くフリフリ颯太も保存されている。
 鬼だ。
「……依頼、終わったかの? たい焼き買いに行くのじゃー……」
「楽しかったにゃ~。またやりたいにゃ!」
 終始やる気ゼロだった桜狐は、依頼の終了を知るとそそくさとたい焼き屋を目指す。
 また、終始この状況を楽しんでいた千佳は上機嫌で桜狐に続いた。
 いずれ起こるだろう、同じような魔法少女バトル(物理)に心を躍らせながら。
「……リア充爆発しろ」
 商店街がまた恋人たちであふれたところで、カイが呪詛をこぼす。
 普段紗希にあまり構ってもらえず出た言葉は、そろそろ口癖になっている。
「あんまり大人気ない事しないでよねッ! これあげるから!」
 すると、紗希がつっけんどんにカイへチョコを渡した。
 それも糖分がほぼない高カカオチョコと、カイに配慮したもの。
 呆然とするカイを置いて、紗希は顔をそらしつつ帰路に就いたのだった。

 その後、H.O.P.E.がちょこりん☆の目的を調査したが、はっきりとしたことはわからなかった。
 ただ、案外、ちょこりん☆の騒動のおかげで距離が縮まった者が多かった、らしい。
 とても騒がしくはた迷惑な愚神であったが、バレンタインイベントを盛り上げたのは間違いなさそうだ。


担当:一 一

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • もふもふには抗えない
    多々良 灯aa0054
    人間|18才|男性|攻撃
  • 腐り神
    リーフ・モールドaa0054hero001
    英雄|23才|女性|ブレ
  • 荒ぶるもふもふ
    水澤 渚aa0288
    人間|17才|男性|生命
  • 恋する無敵乙女
    ティアaa0288hero001
    英雄|16才|女性|ソフィ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • アステレオンレスキュー
    音無 桜狐aa3177
    獣人|14才|女性|回避
  • むしろ世界が私の服
    猫柳 千佳aa3177hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • エージェント
    天宮城 颯太aa4794
    人間|12才|?|命中
  • 短剣の調停を祓う者
    光縒aa4794hero001
    英雄|14才|女性|ドレ
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