本部
ハードモードトライアルST4
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/01/09 02:31:12 -
質問卓
最終発言2017/01/07 18:52:13 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/01/06 17:10:01
オープニング
●龍機再臨
「おお、わが兄弟よ」
そうラジェルドーラは告げた。
装甲は溶け、骨格はむき出しに、スラスターの焼けつくにおいが漂い、そのアイレンズに光は無い。
見るも無残な姿だった。
「お主はよく戦った、お主が劣っていたわけでは無い、奴らが強かっただけのこと」
そう何倍にも軽くなったその体を抱き上げて、ラジェルドーラは天を仰ぐ。
「お主の献身……主に確かに伝えよう」
そう告げるとラジェルドーラの装甲が開いた、自分の核がむき出しになり、朽ち果てた兄弟をそのうちに取り込んでいく。
直後、ラジェルドーラを光が包んだ
「この私が、主の封印を解いてな!!」
直後生まれたのは新たなフォルムのラジェルドーラ。分厚い装甲の下にはスラスター。
以前胸部に収められていた大型砲塔は両肩に移動し。一回り大きくなっている。
そのラジェルドーラは旗を振るい。上を見あげた、そこには以前のラジェルドーラが攻略できなかったステージが存在する。
「待っていろ、リンカーたち。次は容赦せぬ、こちらもお前たちに対策を立てたぞ」
そして三度目のゴングが鳴る
●《ハードモードトライアル》ルール
ゲームの目的 封印を守りながらラジェルドーラと戦う。
勝利条件 ラジェルドーラの撃破。
敗北条件 最下層の封印が解かれる。
各階層の四隅には封印石が置いてありこれを守っていただくのがゲームの大前提。
各階層の封印石が全て破壊されるとそのフロアが崩れ下のフロアに行く。
フロアの大きさはその階層数かける百メートル四方。
雑魚敵は三種類沸く
また新情報の頭には*のマークがついている
欲獄
怒獄
異獄
暴獄
悪獄
最獄
である。
階層ごとにセーブクリスタルが存在し。使用することによってゲームを中断できる。
ゲームを中断した場合塔の中の時間は停止する。
ただし、セーブ用の赤いクリスタルは各階の中央に一つしか存在せず、破壊される可能性がある。
●アイテムについて
アイテムの機能の多くは封印されてしまった。
これについては『ラジェルドーラ』のボディーの破壊や特定の条件を満たすことによって解放されるらしい。
前回からの持越しアイテムがあるので、出発前に割り振るように。
持越しアイテムについては 《アイテム名》×《個数》と表記される。
アイテムの入手方法は三つ。
・必殺技の使用。
・雑魚的からのドロップ。
・『ラジェルドーラ』の鎧パーツの破壊。
・血染めの戦旗
このゲームの詳細や新しいルール、アイテムを解禁できる。ただし持っているだけで雑魚的に狙われやすくなる。
ゲームクリアと共に情報と交換される。
・チャージタリスマン ×1
NPを獲得する時その量を1増やす
・アシュラスシールド ×2
ダメージを肩代わりする盾、優先的に使用され。生命力を20点分の盾となる。
・赤熱の炉 ×2
保持しているだけで、ラジェルドーラの攻撃を受けるとNPがたまるようになる。
リンカーの攻撃を受けると爆発する
・蒼天の炉 ×0
破壊すると任意のPCのNPを20貯める。ラジェルドーラが触れると彼の体力が回復する
アイアンウィング ×1
ドーラギアにより解放された。空を飛べる翼を手に入れる。ドーラと同程度の高度は飛べるが速度は自身の移動力に依存する。
これは雑魚敵から排出されない。
闇の因子 ×0
前回からの復帰組、持っているだけで中ニ病になるが、精神力で抑えることが可能。闇の属性攻撃を放てるようになり、闇属性は一部の敵に有効。さらにPCに攻撃を当てるとNPが増えるようになる0
*アルティメイトウエポン ×2
自身の武器にプラスするパーツ。命中、攻撃、魔法攻撃、のどれかのステータスを1.3倍にできる。
*ルシウスシールド × 1
ある異次元の英雄が愛用していた盾。盾そのものではなく、自分を中心とした周囲に結界をはり空間を盾とする特殊なシールド。
銀色の光の盾を無数にはれるのと、自分の動きを妨害しないのが強み。
自身の周囲に5SQの味方の防御力を20上げる、自身は40上がる、この効果は重複する。
*エンプレスオーダー × 1
ラジェルドーラのスキル使用回数を1回復させる。
これを持っているとドーラに狙われやすくなる。
また一定以上のダメージを受けると、このアイテムを落してしまう。
攻撃すれば破壊可能。
リンクバースト、邪英化中にリンカーが使用することによって、全リンカーのNPが100回復する。
前回と違い、アイテムを持てる上限がない。
さらに1ラウンド消費するが譲渡可能(受け取る側はラウンドを消費しない)
●必殺技について
NPゲージを一定消費すると使える、このミッション限定のスキルである。
ゲージに上限はなく、チャージ方法は下記の通り。
・『ラジェルドーラ』へダメージを与える(与えたダメージがそのままNPゲージに加算)
・雑魚的を倒す
・クリスタルの周囲にいると時間経過でアップ。
必殺技の種類は現段階だと下記の通り
・強奪撃 NP50
普通の攻撃だが、敵を倒さずともアイテムを入手できる。さらに特定の敵からだと特殊なアイテムを入手できる場合がある
*・邪霊呪詛 NP120
一定時間邪英化する。リンクバースト、および邪英化ルールにのっとりステータス、戦闘能力が強化されるが。重体や邪英化のペナルティが存在しない。
その代り、五ターン後に解除され、三ターンの間、移動やリアクションを含めすべての行動ができない無防備な状態となる。
邪英化、およびリンクバーストしていないと使用できないアイテムやスキルが存在する。
・ウィークポインティング NP40使用
使用するとゲーム中自身の攻撃すべてに下記効果が発揮される。
攻撃を当てた箇所の防御力を半分にする。この効果は3ラウンド持続する。
ただし、他者のウィークポインティングの効果は重複しない。
・トランスパワー NP20使用
自身のNPか生命力を20他者に分け与える。
・合体攻撃 各PCのNP80
最大三人まで同時発動。スキルを一つ選び同時に放つ。
効果が変わり強力になる。
演出は細かく設定可能だが、前回のシリーズの雰囲気でよければMSが考える。
ただし使用者はそのラウンド行動不可
●雑魚的情報
雑魚的情報は前回、前々回のハードモードトライアルと変わりません。
ただし、NPの排出が変更になったためその部分だけ記載します。
・ トリレゴキスタン
体長50センチから一メートル。浮遊能力をもつマスコット的存在。
この敵を倒すとNPが8あがる。
・ モノアゴトロン
全長三メートル前後の細長い人型物体。
この敵を倒すと四角錘のオブジェが生成される、これに触れるとオブジェは消え、NPが10上がる。オブジェは破壊される可能性がある。
・ ペンタアルゴリゾン
倒すとランダムでPC5人を選択、NPを5上げる。
解説
目標 『ラジェルドーラ』の撃破
基本ルールは前回のハードモードトライアルと変わらない。
戦いながら情報や、アイテムを集めていくのがセオリーである。
●『ラジェルドーラ』について。
ケントュリオ級愚神。
多彩な武装を持ち。装備している武装によって戦略が変わる。武装は三種類
《戦旗》エネルギーを纏った大布を括り付けた棒。攻防一体の扱いが難しい武器である。
《双銃》中距離戦の対応力が高い安定した武装。攻撃力はそこまで高くない。
《大バサミ》 切るというよりは挟んで砕く、工場などにありそうな分厚いハサミ。身のたけほどあり、その鋏に捉えられると逃げられずジエンドである。
ただし上記の武装を使えるのは人形態の時のみで。
龍形態の時はブレス攻撃と突撃が主な攻撃方法、しかし飛行しているので近接アタッカーには不利となるだろう。
さらに前回より強化されている様子なので気を付けるように
*<バニッシュメントモード>
自爆機能。体の一部だけ自爆など器用なことが可能。起動後、発生までのタイムラグが短いのが強み、つまり逃げにくい。
<トールカノン>
ドーラの必殺技、基本的に一度しか使用できない、広範囲を薙ぎ払う攻撃、ダメージもかなり高い
*<Dスパーク>
周囲に電撃をながす、威力は低いが、ラジェルドーラおよび、その系列機体はBSが回復する副次効果を持つ。
リプレイ
プロローグ
再び門は開かれる、新たな挑戦者の訪れを告げて。
「二体目……ね。本当に終わるのかよ、コレ」
「関係ないよ。全部壊し尽くすだけだもの」
終局不明の戦いを訝しむ『一ノ瀬 春翔(aa3715)』それに並び立つのは破壊を見据える『エディス・ホワイトクイーン(aa3715hero002)』
二人は更なる深淵へと手を伸ばそうとしていた。
「……全く、フィーってばこんなとこに行きたいだなんて……大変なのはわかるけど意地でもフィーをさっさと連れ出してやるんだから……」
始めてみる大扉、それを見あげて『楪 アルト(aa4349)』は告げた、その後振り返り『フィー(aa4205)』を振り返るアルト。今日はなんだか彼女への距離が遠い。
「…………やっぱ正直来てほしくはなかったんですがー、まぁ諦めて貰うにはいいでしょーかね」
「お義姉さまは気付いていないのでしょうか…………」
『フィリア(aa4205hero002)』はそう神妙な面持でつぶやく。わずかな不安が見え隠れする。
対して、戦いに真正面から向き合うものがいた。
『ナラカ(aa0098hero001)』を中心に輪を作る一団を戦狼。『八朔 カゲリ(aa0098)』は刃のふり『志賀谷 京子(aa0150)』に視線をうつす。
「相手の残機ってまだまだあるのかなあ」
「この間の石像とのリンクも気になりますね」
弓の弦を張り替えて『アリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)』は答えた。
「前回は『あのザマ』で最後の決着は満足に戦えなかったと思ったが、また出て来やがって……!」
そう雪辱をはらさんと燃えるのは『東海林聖(aa0203)』
「良いぜ、あの時の分も前回の分も、今回で纏めて倍返しだッ!!」
「……何度か戦った相手だからって、油断しないでねヒジリー……向こうがコッチをどの程度覚えてるかは怪しいけど……」
『Le..(aa0203hero001)』が任務に出る直前に与えてもらった中華まんをもぐもぐしながら告げた。
「警戒は了解だぜ……確かにあのラシェルドーラだっけか……なんか違う? まぁいいや。あの野郎、なんか色々ギミック多いしな」
「いや、実に面白いよ」
聖に対してナラカがそう答えた。
「何がだ?」
「敵として不足はないということだ。同法を悼む心。相手を強敵と認める確かな目、そして主に対する忠誠……どれも見事」
見事、そうつぶやいた言葉のトーンが一つ下がった。場が冷えるような重たい響きを孕んでいた。
「ま、取りあえずは最強の敵役を務めてあげるよ。黒幕の思惑に乗るのも癪だけどね」
京子の言葉に頷くとカゲリは扉を見据えた。
「そろそろだ」
そうカゲリがゆらりと姿勢を変えると、全員が扉の前に集まっているのが見える。
中心には『煤原 燃衣(aa2271)』
その傍らには『大門寺 杏奈(aa4314)』
「さあ、今回も全力でぶつかりますわ!
『レミ=ウィンズ(aa4314hero002)』がそう告げると杏奈は先導するように前へ。
「うん。今度こそ、最後まで立つ」
第一章
戦場は広大だった。四百メートル四方のフィールド、その四つ角には輝く封印石、リンカーたちはその部屋の中心。セーブ用のクリスタルの前に召喚され、それをみた。
新たな姿のラジェルドーラ。
前回とはそもそもフォルムが違い、それだけではなく纏うオーラも強大。
「遅かったな」
「ドーラ」
そんなドーラへ京子が人差し指を突きつけた。親指も上げて銃のかたちを模している。
「どれだけ強化されても私たちが……」
その時である、京子の名乗りもきかずにドーラは飛び上がった。全力でスラスターをふかせて上空へ。
「……龍形態にもならずに、なぜ」
困惑する燃衣。彼が何をしでかすか予想ができなかった。
だが、両肩の砲塔にエネルギーがたまり始めると。『アイリス(aa0124hero001)』が叫ぶ。
――トールカノンだ!
直後発射される高密度のエネルギーの塊。
それは捌きの雷撃となってリンカー全員を巻き込むように打ち出される。
「覚者よ!」
ナラカの張り詰めた声が響く。
直後前に出たのは『イリス・レイバルド(aa0124)』とカゲリ。
剣を抜きざまに。トールカノンへと刃を向ける。
ピシャンと甲高い音が耳を突き、極光に全員が目を伏せた。
――トールカノンには台風の目のようなものがある、そこを狙え!
アイリスの低く緊張した声。それはそうだろう、この攻撃を防ぐことに失敗すれば、その時点でゲームが終わる。
「あああああああ!」
轟音。エネルギーの本流は左右へと裂けてフィールドをえぐる。
「容赦なさすぎでしょー」
フィーが告げた瞬間、リンカーたちは散開した。
「切り札は……ッ! バレたら切り札じゃないんだよッ!」
一瞬で肉薄する燃衣。そのむき出しの炉へと貫通連拳を放つ。
だがドーラも武芸者。その神速の三連撃を最小のダメージで裂け炉を閉じる。
それを隙と見た『呉 淑華(aa4437)』が躍り出た
――金瓜錘だ!
『郭 雲深(aa4437hero001)』が告げると淑華の手の中で棍が錘へと形を変える。そして地面を駆ける加速度そのままに、重たい一撃を炉めがけて放つ。
それをドーラはスラスターをふかせ、体制制御でかわす。
「浅かったアル……」
――単純に、二発。か。
そう体制を立て直したアイリスが告げた。
「トールカノンの同時発射……」
一人では防ぎきれなかった。ブレイブナイト上位の存在が二人いて初めてできた完全防御、しかし切り札を防がれたはずのドーラはなぜか余裕を湛えていた。
――ずいぶん、死に急いでいるじゃないか。
アイリスがそう問いかける。
「当たればゲームセットの一撃、最初から使わない手はないだろう」
そのままドーラは後方に加速した。封印のクリスタルを狙っているのだろう。
それと入れ替わるように湧き始める雑魚敵たち。
京子が前に出た。
「邪魔だ!」
そう、持ち手でモノの頭を強打して射撃体勢を取る京子。
――今回、射手は私達だけですわ。
アリッサが告げた。
「わかってる」
今までは戦場全てに手が届くリンカーが二人いた。だが今回は京子のみで戦場を管理しなければいけない、責任は重大だった。
そんな京子へ殺到するトリレゴキスタンの群の一体を、フィーが駆け抜けざまに切り裂いた。そして素早くアルトのもとに戻る直後。
鉛玉のバラージがトリ達をうち貫いていく。
「下がっててくだせぇ」
フィーがアルトの肩を叩いて告げる。
「わかってる」
「ぜってぇ、離れないでくだせぇ?」
「わかってるよ、大丈夫」
そうアルトは笑顔で答え、敵を見据えた。
(……らしくねぇ戦い方……でも、これでいい……まだ今は前奏だ……まだ使う時じゃねぇ)
実際にアルトは防衛に徹した戦い方をしている。確実にNPをためるための戦い方。
他のメンバーも同様である、いまさら雑魚的に後れを取ることなどなく着実にゲージを稼いでいく。
そして最初のクリスタルが破壊された。
「また狙撃たァ因果なコトだな」
その光景を横目で眺めて春翔はつぶやく。
わざとヘイトが高まるように声をあげながら戦場を駆け抜け、持ち前の殲滅能力で雑魚敵を圧倒していく。
――あはっ、見て見ておにぃちゃん! 壊れちゃったよ!
「ハイハイ……んじゃ、もっと壊そうか」
―――うん! ……うふふ……。
上機嫌なエディス、そのおかげか体が軽い。
――ヒジリー気をつけてね、相手は器用だよ。
「あぁ、解ってるぜ、ルゥ…行くぜッ!!」
「わかってないな」
そうドーラに突っ込もうとする聖の首根っこを陰りが掴んだ。
あいた右手で、とりあえず手近な雑魚敵を葬り去ると告げる。
――京子は戦場の要だ、唯一戦域すべてに手が届く。これはドーラにはない手札だよ。
「つまり?」
「あいつが狙われるとまずい」
戦場の真ん中で立ち尽くす男子二人、彼等に女子の叱咤がとんだ。
「ちょっと! 口じゃなくて手を動かしてよ」
京子は汗をぬぐってそう言葉だけを向けた。その視線はドーラを追い。銃口は雑魚敵たちに向いている。
――ついでに私たちはレートをあげておきたい。だから任せたよ聖。
「お! いいのか。やってやるぜ」
――暴れたいだけでしたね。
そんな聖を尻目にアリッサが告げた。
「こっち狙ってくるかな?」
――狙ってくれたなら、逆に時間を稼ぐチャンスですけどね。
アリッサがやれやれとため息をついた。その直後である。
「来ます!」
燃衣の怒号。クリスタル二つ目を破壊し終えたドーラがこちらに向かっているのだ。
「ボクも、力は付けた……でも…………敵はそれ以上に……」
燃衣は真正面から突っ込んでくる龍形態のドーラを見据え、そう自分だけに聞こえる声でつぶやいた。
――スズ。常々言ってるが……"力に頼るな、力を駆使しろ"……だ、戦い方は無限だ。
「……はい、乗り越えます。出なければ倒せない敵がいる!」
直後、ドーラはセーブクリスタルを頭突きで破壊し、その咢を開いて。
体を右に向ける。
そう、封印石方面、燃衣の方向ではなく、翼の調子を確かめながら雑魚敵を狩っていたフィーへ進路を変えたのだ。
「おっと」
その開かれたアギトを上空に逃れかわすフィー。
「?」
困惑の声を漏らすドーラ。
「ああ、今回はー、残念ながらいつもみてえな殴り合いはできねーんでー、チマチマと行きましょーかねチマチマと」
「戦闘スタイルが変わった? 我に敵わぬと知って、真っ向からぶつかることをあきらめたのか?」
「お、言ってくれるじゃねーですか」
「見どころはあると、思っていたがな」
「ご使命とあれば、やぶさかじゃねーんですけど。今回は事情が事情なんで」
そうあくまで冷静なフィー。彼女の後ろにはアルトがいる。
(いつでも飛べるように……かつ、疲れないように……攻撃を喰らわないように……)
何やら不服そうな声を漏らすドーラ。その背後を淑華と燃衣が取った。
「剛よく柔を征す……アル!」
――速度に対抗しようとしなくていい! 相手の動きをよく見ろ。
淑華、その手の錘の一撃を変形してかわすドーラ。
その隙に燃衣が装甲の隙間を狙って弾丸を放つ。
「私の言葉を遮った恨み!」
京子がウィークポインティングを纏わせた弾丸でドーラの腕部をうつと、弾丸自体は弾かれたが、装甲が淡く発光する。
その隙を逃すフィーではない。
「いただきです」
強奪撃。装甲自体がはがされてそれが未知のアイテムに姿を変える。
次いで群がったのが陰りと聖。
京子の盾になるように構え、斬撃のタイミングを合わせて放つ。
その衝撃に後退するドーラ。垂直方向に加速。
「飛べるのは自分だけ……なんて思ってねぇよなァ?」
その背後を取る春翔。
「同じく」
翼を広げ追いすがるフィー。そのフィーはドーラの影に隠れるように真下にポジションを取っていた。
つまり。
――きゃはははははは、鎮め!
白い女王が穿つ穴――貫く光は彼女の純真さを、残る傷は彼女の狂気を示す。
ウエポンズレイン。無差別の銃弾の嵐がドーラに殺到し。ドーラに当たらなかった弾丸は地上の雑魚どもを無情にも薙ぎ払った。
やや速度が落ちるドーラ。その背後からさらに強奪撃を当てようとするフィーだったが。
やられっぱなしのドーラではない。人形形態で空に向かったのは理由がある。
取り出したるは旗。しかも両手に。それがフィーの接近を阻み。そして春翔を地面に叩き落とした。
着地するドーラ。
聖の惨劇を布で弾き。カゲリの黒焔を真っ向から叩き伏せる。
アルトと燃衣の弾幕を旗を地面に突き刺して防ぎ。
両腕部に収容されていた銃を装備。周囲に弾丸をばらまいた。
それがフィーと春翔に突き刺さる。
「一撃が重い」
何度も銃撃を受けた春翔は口径自体が大きくなっていると気が付いた。
そしてそのまま封印石へ向かうドーラ。
――まぁ、血を流す役目になったとしても恨み言はなしだよ。
「戦場なんだし当然じゃない?」
ただ眼前に立ちはだかったのは、二枚の輝ける盾。
「よろしくね、イリスさん」
そうドーラから目を離さず告げた杏奈。それにイリスも言葉を返す。
「はい。絶対守り切りましょう」
そしてドーラの突撃を、二人は盾を合わせてせき止める。
困惑の声を漏らすドーラに対してにやりと笑う杏奈。すると杏奈の周囲を舞う盾が一枚に重なって、バッシュ。つまりドーラをはじいた。
たまらずドーラは空中で人形形態へと変形。
「すりつぶしてやろう!」
その腕が語りを代え大きな鋏となる。
それに囚われれば最後、抜け出す方法はない。
そう相手は思っているはず。だから杏奈は自分に対してドーラは鋏を使ってくると思っていた。
だからこそ、準備する時間は十分にあった。
――いまだ!
「はい!」
アイリスが考案した鋏対策。
それはわざと鋏の咢に盾を合わせることで身代わりとする戦法。
杏奈は上下に盾をあてて、するりと身を滑らせて鋏から脱出する。
「小賢しい!」
その盾も何も装備していない杏奈をドーラの旗が襲う。
だがその防ぎ方をイリスは熟知していた。
旗の動きを先読みして動きをつぶすように剣を置く。
イリスの刃はドーラの剣とぶつかり激しい火花を散らす。
直後ドーラの背後から襲う無数の弾丸。アルトや春翔をはじめとしたリンカーたちがドーラに追いつき方位網が完成しつつある。
その時。
<Dスパーク>
ドーラのアイレンズが輝きを増して周囲に雷撃を放った。
――しまっ……
近づきすぎていたイリスと杏奈はその雷撃に囚われる。
「この!」
そう京子が二人を救出するため、ドーラの顔面に狙いを定めるが弾丸を放つより先にドーラが動いた。
その両手には銃。迫りくるリンカーたちをそれで迎撃する。
「クリスタルが破壊される!」
アルトがフィーに告げると、フィーは頷き動く。
敵の行動を妨害するために。だがそんなフィーを迎撃するためにドーラは反転。
フィーへと迫った。
「ん?」
わずかな違和感、意表を突かれたフィーだったが、その機械腕での薙ぎを難なくかわす、そして背後を取ったのをいいことに強奪撃を放つ。
「これは?」
そう手にした異形の物を眺めていると、耳元でバーナーをふかすようなゴーッと唸る音が聞こえた。直後ドーラのタックル、それを受けてフィーは弾き飛ばされる。
そしてドーラは加速した、封印石めがけではなく、京子めがけ。
「危ないです!」
燃衣を筆頭に遠距離火力組が迎撃しようと弾丸を放つ、しかしそれは装甲に傷をつけるだけ、彼の突撃を防ぐことはできない。
その前に立ちはだかるのはカゲリと聖。対するドーラの両腕に握られているのは旗。
「邪魔だ」
二人に対して旗を叩きつける。
「上等だ!」
二人はその手の剣を音を置き去りにふる。切り上げ、切り伏せ。回転を加え、半歩下がって打ち付ける。
その旗の動きでアルトや京子、燃衣の弾丸はほとんどが叩き落とされてしまう。
「混ぜるアル!」
そう淑華が背後から柳刃刀での一撃、軽い刀身はまるで蜻蛉の羽のごとく閃く。
カゲリと聖が旗を抑えている隙をついて、膝を腕関節をスラスターを飛び回りながら切り付ける。
「羽虫が!」
そう旗を振った瞬間、陰りが懐に潜り込み一撃を加える。
ドーラは衝撃で旗を取り落すがその手で上からカゲリを叩く。地面に思い切りたたきつけられたカゲリへ足を振り下ろそうとしたが聖がそれを防いだ。
「すまないな」
「冷静に謝ってる暇があったら……剣を拾えよ……」
はじかれるように起き上がるカゲリ。
そしてドーラの装甲を削るように刃を滑らせ体制を立て直す。
ドーラも半歩下がり、旗を取りはじかれるように前へ。
切りおろし。踏み込んで刺突。その全ての剣劇をドーラは旗で捌きそして、その布を覆いかぶせる。
直後向かってきた淑華を旗で薙ぎ吹き飛ばし、旗を背後に突き刺して燃衣の弾丸を遮った。
その布を切り割こうともがくが霊力の通った布故、そう簡単には脱出できない。
そうして二人を一瞬無力化したドーラは、京子へと走る。
「我が分析では前回の戦場の要は三つ。一人は今回見なかったが、お前はつぶさせてもらおう」
――熱烈なアプローチですわね。
「うん、嬉しくない!」
そう後退しその咢から逃れようとするが、無理だった。京子はその大鋏に囚われてしまう。
「ああああああ!」
京子の悲鳴が戦場にこだました。
銃を取り落とし、激痛に身をよじる。
「テメェ! ドーラ!」
聖がそう怒号を吐き、淑華と共に接近するが、その体から放たれる電流で動きを封じられる。
その窮地に気が付いた春翔も雑魚的処理をやめドーラに狙いをつけて弾丸を放つが、素早く地面に旗を突き刺しドーラはそれを盾とする。
弾丸は全て旗に遮られ届かない。
「近づけねぇが、遠距離からだと旗が邪魔だな」
――壊そう! 隙間を縫って壊そう?
エディスが告げる。
「精度を上げるってことか? だったら、やるしかねぇか」
春翔はにやりと微笑むと。視界の端にあるNPゲージを睨んだ。
「あ、ちょっとやばいかも」
そう霞んでいく意識の中京子はつぶやいた。その直後である。
――あきらめるとは、らしくない。
そうはっきり耳に届いたのはナラカの声。
そしてそのドーラの腕に突き刺さったのは、浄化の炎を纏った一矢。
見ればカゲリが弓を構えていた。だがおかしい。カゲリは弓を使わないし、腕が黒焔に包まれている。
――よいな? 覚者よ。
「仕方がない――顕象する以上、捩じ伏せろよ」
――ああ、無論だとも。浄化の王たる我が力、一時とは言え奴に示してやろうではないか。
直後燃え立つカゲリの体。
それに習って燃衣も全てのNPゲージを消費する。
「……あんた等は、何時でも強すぎで、理不尽だ……。でも、テメェ等は……何時でも……孤独だッ!」
――……裁きの時間だ、覚悟は良いか、あばずれ鉄クズ。
その隣に並び立ち春翔も告げた。
「さて……覚悟はいいか?」
――おにぃちゃんと一緒だもん……きっと、大丈夫」
「ハハ。……もし上手く行ったら、うんと褒めてやるさ。
――っ! ……うん!
直後、どす黒い力が三人の足元から沸く。
――顕象せよ我が神威――遍く不浄を焼き祓わんが為。
邪英化である。全員がその力に引きずられるようにフォルムを変えた。
「お頼みの品、お届けにあがりやがりました」
そう春翔の隣にフィーが立つ。その手に握られたのは女王の王冠。
そして春翔はそれを握りつぶすと。
戦場にいるリンカー全員のNPゲージが高速でチャージされていく。
「行ってくる」
次いで、ラッキーストライカーに持ち直し、駆ける。燃衣と目配せしドーラの前で左右に散った。
弓がさらにドーラの腕に突き刺さる。その瞬間Dスパークがやんだ。
「その手を離しやがれ!」
聖は強奪劇。その手に京子を捉え脱出し彼女を立たせると、盾になるように前へ。
「リサイクル野郎がッ! 相変わらず装甲薄いんじゃねェのかッ!!」
そうドーラへ反撃する聖。
その剣を腕の装甲で受け止めると、引き気味に銃を撃ち聖を迎撃。
「ああ、そこの、燃衣と言ったかな?」
ナラカがそう燃衣を指さす。
「なんだ?」
意識が英雄に引きずられているのだろう。燃衣は冷たい口調でナラカの問いかけに答える。
「少し時間を稼いでもらおうか」
「……いいだろう」
「燃衣、俺も混ぜろよ」
そうにたりと笑う春翔に、燃衣は視線だけで答えると。ドーラへと接近。燃衣が前に出て、そして。
「貫通……」
両の拳を握る。
「連拳」
その技は見た。そう旗で腕を落しに行くドーラ。だがそれは悪手。
「咢!」
まず左手の連拳で燃衣は旗を攻撃、瞬間に三度放たれるそれにはたは食い破られるように千切れ。無防備になった肩装甲に燃衣は右手の連拳を叩き込む。
「ぐお!」
驚愕の声を上げるドーラ。身をよじるが砲塔の装甲が弾き飛ばされる。
「なに、安心してやがる!」
だが本当の地獄はここからだ。春翔が獰猛な笑みを浮かべているそれも、ドーラの背後で。
――あは……あははははは!!
そして完全無防備なドーラへと振り下ろされる刃。
――痛い!? ねぇ、アナタは痛いの!? 教えて、教えて、エディスにもっと教えてよぉ!!
強奪撃の連発、それは確実に装甲を引きはがしていく。
「面白い! 面白いぞ!」
次いでドーラはスラスターを無理やり吹かせて、燃衣を蹴り飛ばし体を回転。春翔を見据える。
春翔を掌底で弾き蹴り飛ばし、振り向きざまに燃衣を銃で撃ち飛ばす。
二人は小さくうめき声をあげた。その時。
「準備完了だぜ!!」
響いたのは聖の声。そして。
《疾風怒濤+ライブスショット+ダンシングバレット》
「ドーラがわたしたちのこと無視できないように、イヤガラセしてあげなきゃ」
――生き生きとしてますね、ほんと……
京子の声がはっきりとフィールドに響き渡った
《合体攻撃 断罪の一振り》
直後放たれたのは京子の無数の弾丸。
その弾丸は霊力によって跳躍し、跳ね返り、その軌跡には霊力によって境界線が引かれる。
空間自体を切り裂いておりにする、その中で弾丸は跳ねながらドーラの装甲を削っていく。
「こうなれば覚悟決めてすり潰してあげる。ゲームじゃない現実世界の方でもね!」
――貴方の主が目覚めることなど、永久にありませんよ!
だが、ただ削るわけでは無い。ウィークポインティングはまだ生きている。
その装甲の各所が発光を始めた。
「ああ、よい。覚者には悪いが今回は舞台を降りてもらう。たまにはよいだろうさ。私が愛しい子たちと共に戦える喜びをうけようとも」
見上げるとそこには太陽のごとき輝きを放つナラカがいた。
その背には膨大な霊力が集約されており、それを矢として番えたナラカはドーラめがけて放つ。
その霊力の奔流はドーラを飲み込むが、本当の狙いは 別にある。
背後で待機していた聖、彼に力を届けることにある。
黒煙をその身に纏う聖。ナラカから受け取った霊力の全てをその斧に纏わせる。
「今度こそコイツで決めてやるぜッ!!」
踏み込む脚が床を砕いた。
そのまま腰をひねり、高速で叩きつけられた刃はドーラの装甲をひしゃげさせ内部にまで響く。
「コイツを食らって往生しやがれッ!! 千照流……破斥・雷翠迅ッ!!」
「ぐおあああああああああ!」
初めて与えることができた致命打。それも当然だろう。この想像を絶する威力の一撃は防げるものなどありはしないだろうから。
「ふはははは、そうだ、だからあえて受けた」
ドーラは痛みに耐えるようにそう叫んで、聖を見た。
その腕は斧を掴んでおり。
――離せ! 聖!
カゲリがそう叫んだ時には遅かった。ゼロ距離からの心臓めがけた銃の乱射。
ゆらりと聖の体が傾いでいく。
次いでドーラは龍形態に変形。ナラカを襲い空中に逃げた。
「まさか、邪英化がとけるまで空にいるつもりなんじゃ……」
京子は歯噛みし銃口を空へ。全員が迎撃しようと弾丸をばらまくが、カゲリ解放にまで至らない。
「世話がやけやがりますね」
フィーが飛びドーラ追いすがる。龍形態であれ場攻撃手段が限られるためである。
だがドーラはフィーの姿を見るなりカゲリを空中に放り投げ人間形態へ変形。
「失楽せよ」
「望むところさ」
その旗の先端をナラカにあてて落下。
「この!」
燃衣は迎撃しようと動こうとした。けれどまるで神経が消え去ったかのように何も感じない。
見れば春翔も同じだった。
「効果切れ!」
それを狙ってドーラが飛んだ。だがその動きを遮るように。アルトが動いた。
「…………―――っ、今!! ―――…………」
直後『緊張化体感時空間圧縮装』を発動。まるで早送りのようにアルトの動きが加速する。
「アンプリファイアぁ! あたしの全部を……持っていけぇえ!!」
そして背中の『エクストラバラージ』頭の『カチューシャMRL』すべてを展開。
全弾一斉発射。
爆炎の向こうにドーラが消え去る。
「これで!」
さらに取り出したのは『LpC PSRM-01』
「……これが、あたしの追複曲-カノン-だ……聴効き潰れな……」
そう、全ての力を発揮したアルトは気だるさの中自由落下に入る。
そんなアルトめがけ。
旗の切っ先が迫る。
ドーラによる投擲。
それを防ぐ術はアルトにはない。
「そんな……」
アルトは思わず目をつぶった。全身を貫く衝撃。
だがそれは。体を貫かれた痛みではない。
「大丈夫で、やがりますか?」
そう聞こえてきたのは柔らかなフィーの声。
目をあけるとそこにはフィーの横顔が逢った。
「フィー、何で……」
そう起き上がろうと地面に手をつくと、ぬるりと滑ってうまく力が入らない。
「無事で、よかった」
見ればその腹部を太い鉄柱が貫いている。その先には旗が揺れており、血を吸い上げているかのように真っ赤に染まっていた。
「そんな……」
唖然とフィーの体を抱きかかえるアルト。その耳に届くのは甲高い金属音。
見れば燃衣を守るために杏奈が前に出てきていた。
「煤原……さん」
「杏奈さん、僕のことはいい。クリスタルを」
そう告げると燃衣の表情は違和感に歪んだ。先ほどから感じている嫌な予感、その答えが目の前にある。
「まさか、あなた」
―― 一人で押し込めようなんて無理だよ。
アイリスが告げ、イリスが刃を振るう。
「もう、まともに戦えるのは僕たちだけだ」
――……
「お姉ちゃん?」
――いや、なんでもない。イリス。気持ちで負けたらミスを招くよ……まぁ本当に前に出る必要はないけどね」
旗による攻撃、その想定を十分にしている杏奈とイリスはその攻撃を確実に捌いていく。
――正面に立たない立ち回りを意識すれば大分楽なのだが。
「ボクたちは正面で立ちふさがらなくちゃいけないからね」
――後で回収して労ってあげようか。
淑華も合流し、背後から攻撃を仕掛ける中。アイリスは考えた。燃衣たちが動けるようになればまだ勝機はある。
腹部には深い傷。装甲もウィークポインティングからの合体攻撃でズタズタ。
むしろここからが本番というところ。
だが。燃衣は一つの判断を下した。ここが最後の引き際。そう感じたから。
「残る二つの封印石を壊してください」
その場にいる全員の表情が凍った。
「早く!」
その時。ドーラの眼光が鋭くなったのを、アイリスは見逃さなかった。
――そう言うことか! イリス!
だがその時にはすでに遅い。
《バニッシュメントモード》
そう発射されたドーラの大バサミはイリスの小さな体を地面に縫いとめる。
咢自体が地面に食いついているためにしまりはしないが動きは拘束される。
しかもバニッシュメントモードである。イリスの頬を冷や汗が伝う。
直後大爆発。
「まだ……だ!」
爆炎の中でも輝きを失わないイリス、だがその体をまたも鋏が捉える。
《パニッシュメントモード》
直後爆発。その小さな体は宙を舞うことになる。
次いで龍形態に変形したドーラは尾を振り回し淑華、燃衣、春翔を吹き飛ばす。
そして天に昇ってブレスを吐いた。
杏奈が盾になってそれを庇う。
「杏奈さん! 僕は置いて行かないとダメだ!」
「クリスタルならまだ二つあるから大丈夫です」
「そうじゃない。僕らはセーブクリスタルを破壊された時点で二択を迫られたんです」
盾が熱せられる、このままブレスをかけられ続ければ、燃衣が回復するより先に杏奈が倒れてしまうだろう。
そうなれば、こちらの陣営はアタッカーのみとなる。
「奴は最初から僕らの全滅を狙っている。だからクリスタルを自ら壊すつもりはないんです。むしろセーブクリスタルが無く、脱出不可能のこの状態では鳥かご」
その燃衣の言葉を気絶したイリスのかわりにアイリスが継ぐ。
――奴は自分でクリスタルを破壊するか、ここで全滅するかの二択を迫っているのだよ。
「つまり僕らは。下の階層に降りれないと死ぬんです。だから」
燃衣はその背がドーラに焼かれるのも構わずに走った。
「杏奈さんはあちらのクリスタルを」
「させるか」
「こっちがな!」
強奪劇で奪った翼を装備し春翔は空に舞い上がる。
ドーラは空中で変形、落下しながら春翔とつば是りあった。
しかし地面に叩き落とされる春翔。
クリスタルの砕ける音。
燃衣である。
杏奈の方へ飛ぼうとするドーラだった目の前にぼろぼろの姿で立ちはだかる淑華。
「お前は武芸者だな」
その言葉に淑華は目を見開く。
「腕はいい、人間としては相当な戦士なのだろう。だが経験が圧倒的に足りない。特に人間以外のな。」
淑華は見た、そのアイレンズの奥にある知性の光。まるで目の前にいるのがラジェルドーラではないかのような錯覚。
「いったい何を」
直後足元が崩れ去った。
「一ノ瀬さん!」
燃衣がぼろぼろの体に鞭打って告げる。
「このゲーム、落下ダメージがあります」
ドーラは今回地面に叩きつけるという戦法を見せた。それが有効なのは、地面に霊力が通っているからである。つまり。
ただでさえひん死のリンカーが地面に叩きつけられればどうなるか。
春翔は頷いて翼を翻す。それを妨害しようとドーラも飛ぶが、追いつかれる直前で、春翔はクリスタルに触れることができた。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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