本部

一撃必殺粉骨砕身!

ふーもん

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/11/28 21:11

掲示板

オープニング

 邪悪なる敵はすぐそこまで来ていた……!
「キャアアア!」
「従魔だ!」
「逃げろ!」
「た、助けてくれー!」
 人々の悲鳴がそこかしこで鳴り響く。てゆーか、嫌でも聞こえてくる。
 そりゃそうだ。なんてったって今、目の前の状況は、この町は、この地域は――

 ――とある愚神の野望によって全ての人間が排除対象とされたからだ。

「――ロボットタイプの愚神?」
 それはある日の事。H.O.P.E.東京海上支部にてとある研究者が告白した既成概念だった。てゆーか、顔に書いてあった。
「それは珍しいですね。ぜひお話をお聞かせ下さい」
 助手である女性は丁寧な物腰でそれに応対する。目の前にいるとある研究者――年齢は既に70を越え、自分の研究対象である愚神や従魔の長年の知恵と経験は脳内にインプットされてあった。つまり記憶に残っていた。
 目の前にあるデスクには従魔、愚神、その他、AGW(アンチ・グライヴァー・ウエポン)や幻想蝶(ライヴスメモリー)に至るまで数々の資料や写真、ノートの切れ端に書き記したメモ等、その研究者がここ数年に渡り必死に努力した痕跡が残されている。デスクの上に鎮座するモニターには何やら記号とも暗号ともつかないデータが走り書きされてあった。
「わしは……もしかしたらとんでもないあやまちを犯してしまったのかもしれぬ。その愚神は当時あくまで研究対象とされてあったイマーゴ級従魔の被写体――つまり試験管に入った単なる実験として利用されただけだったのだが……」
「――当時? 失礼ですが、それはいつ頃の話ですか?」
「知ってて聞いておるのだろう? 所謂世界蝕が始まって創造の20年。わしはあくまで別途代用として派遣されてきた一社員でしかなかった。それは5年ほど前の話だ。まだ愚神も従魔もそれほど活発な働きを見せていなかった。つまり世界はなんだかんだ平穏な日常を保っておったのじゃ。ここにいるエージェント達がそれほど優秀だと言う事じゃ」
「実験とは? 続きを」
「臨時採用と言えば聞こえは良いが、つまりは派遣社員として雇われたわしはその試験管に入ったイマーゴ級従魔にありとあらゆる実験を繰り返し行った。これから起こる災厄。それを未然に防ぎ、世界平和の為に日夜努力し続けたんじゃ。しかしある日の事、そのイマーゴ級従魔の思念体は遂に絶命する事無く生き残り……」
「……生き残り?」
「あらゆる苦痛から悶え苦しんだ断末魔がわしには確かにこう聞こえたんじゃよ……『もっと! もっと! もっと! 私に苦しみを……!』とだけな」
「……その後は――って、ど、どうなさったのです!? 大丈夫ですか!?」
 助手である女性がそれ以上聞こうと言葉を発しかけた時、突然その研究者は倒れた。
「……今もなおわしの脳髄の中におる。奴はまるでロボットだ。わしが創り出した唯一の近未来型愚神とでも言おうか? だがな、これだけは忘れてはならん。奴はわしの記憶が確かであれば、今もなおどこかを彷徨っておる。更なる苦痛を求めて試験管から逃げ出したんじゃ。頼む。奴を探し出して、出来るだけ強力なリンカー達の手で一撃必殺を浴びせてやってくれ。何よりもこれ以上奴を苦痛から解放させてやる為に……! これが奴の生みの親であるわしの最期の遺言じゃ」
 ――ガクッ!
「せんせーい――――!」

解説

 ロボット型愚神――そんなのがいたら恐ろしいですね。てゆーか今回実際出てきたのですが、あくまでロボットみたいな愚神だと解釈していただければなと思います。そのサイズは4メートル程だと思っていて下さい。試験管から飛び出して4メートル程度に成長した、あるいは何らかの過程があって4メートルの大きさになった――と解釈していただければ戦い方も変わってくるのではないでしょうか?
今回はシンプルです。戦闘です。ド派手な技とスキルをライヴスを使って全力で相手を叩くと言うのが目的です。とある町に現れた愚神をとにかく暴れて倒したい方にはおすすめです。因みに従魔も出ます。あくまで配下として。兎にも角にもタイトル通り一撃必殺粉骨砕身していただければなと思います。
 それでは皆さんの参加を心待ちにしております。

リプレイ

 例の町――その地域にやって来たのは他でもない8人のエージェントと英雄だった。


●序盤 対――従魔戦

「なァんで招集したエージェントの適性がこうも極端に偏ってんの。同好会か何かと間違えてない?」
 そそり立つビルの高所から周囲を見て、大方の敵戦力を把握しつつArcard Flawless(aa1024)はそう言った。
『まあ、そうなってしまったのは仕方ないです』
 それに応じる木目 隼(aa1024hero002)。
 彼の作戦は単体攻撃を主軸とするドレッドノート、ジャックポットが大半を占める中でのカオティックブレイドである自覚を前提として持つ事にあった。

 そして彼女等は静かに降り立つ。他より先んじて戦闘開始。この町、地域は従魔で埋め尽くされていた。肝心の愚神の姿は見えない。
 最先手として『ライヴスキャスター』を行使する。
 道を塞いでいた従魔達(小物)は装備武器がいきなり周囲に多数召喚され、怯んだ隙に一気に斬撃&銃弾&爆撃の嵐に巻き込まれ直線状にいた彼等は砕け散った。
 その『ライヴスキャスター』の威力は十分すぎる程で敵が一気に消滅するのも無理も無かった。
 質量のある大剣3種と銃・砲2種(携行品を含む)を無数に投影。大剣は自身の横から前に多数配置し、真っ直ぐ撃ち出す。
 更に銃と『LpC PSRM-01』は自身の直上から撃ち、『フリーガーファウストG3』は背後から放物線上に爆撃。
 綺麗に出揃ったその数多の武器は容赦なく敵に襲いかかる。正に『ライヴスキャスター』ここにあり。
「この調子で行くよ!」
『分かった!』

『本格的な依頼は初めてです。先輩、私頑張りますね』
「いつも通りでいいからな」
『はい、盛大にぶっ放します』
「……そうか」(トリガーハッピーじゃないといいが)
 会話を交わしていたのは月影 飛翔(aa0224)とユズリハ ルナリィス(aa0224hero002)だ。

 まずは逃げ遅れの人がいないかを探しつつ、従魔の掃討。
『先輩、従魔の群れがいました。……一気にやっちゃいます』
「ちょ……いきなりか」
 近くにあった建物を利用。頭上へジャンプする。
 直上から『フリーガーファウストG3』を撃ち込む。ある程度の敵はやっつけたが、やはりその数は多い。
 そのまま群れ中心部へと降り立ったユズリハは相手連中が攻撃する前に『ウェポンズレイン』を発動。
 頭上から周囲に目掛けて多数の武装が召喚され、無差別攻撃。
 味方や主に住人を巻き込まない様に注意しつつ、月影が誘導。そして救助。
『やっぱり大きいと当てやすいですね。……ちょっとスッキリします』
「その分、パワーや耐久力があってしぶといけどな」(普段はおとなしいのに。反動か? ……何かストレスでも溜まってるのか)

「愚神ってのは何でもアリなのか? 今回はロボット型かよ」
『まぁ、何が相手でもやる事はいつも通りでしょ?』
「『正面から全力でブッ潰す!』」
 戦闘態勢に入り、共鳴したガラナ=スネイク(aa3292)とリヴァイアサン(aa3292hero001)は意気投合して真っ向から攻め立てる。

 町の中に入り、行動中はジャックポットやカオティックブレイドの味方の射線に入らない様に上手く立ち回る。
 従魔との戦いでは『怒涛乱舞』で次々と蹴散らしていく。
「邪魔だぁ! 雑魚に用はねぇんだよ!」
 その俊敏性は抜群。次々と敵を蹴散らしていく――。

「我、『か黒き忌す少女(おとめ)』!」
 名乗り口上をして登場したのは既に共鳴した御童 紗希(aa0339)とカイ アルブレヒツベルガー(aa0339hero001)だ。
「この世に仇なすものは全て斬る! この喪装はお前達へのせめてもの冥土への手向けと思うがいい! かかってこい! この大剣のサビになりたいのならばな!」
 颯爽と町中をひた走り、従魔に対して次々と攻撃を仕掛ける。
「神の刃受けよ! その身に!! 『斬華』!」
 手にしていた屠剣『神斬』の射程を活かした攻撃で従魔をなぎ倒しながら愚神の元へと突き進む。あちこちで従魔の悲鳴が聞こえてくる。
 武器は状況により持ち替えて、大剣は被攻撃時常時防御状態。
 もちろん一般人への避難誘導とそのカバーリングも忘れない。
 そしてその視界の先には町の商店街が見えてきた。

 最初に愚神を発見したのは――
「はぁ~……でけぇな。やっぱ相撲はでけー奴とかち込むのが一番だろ!!」
『鬼と相撲か……酔い良い、てめぇの力……見せてやんない』
 共鳴、鬼神の角を生やしみるみる大きく、肌も黒く……その姿まさに怪獣。
 他でもない。茨木 煉華(aa2431)と酒呑力鬼 雷羅(aa2431hero001)だ。
「うごぁぁぁあああああああ!!!」(って怒鳴ってきゃいーだろ)
(相変わらず雑な奴だな……)
 その巨躯を活かし、正面からのど突き合い。町の中心部へと移動。
 怪獣映画さながら、とにかく激しくぶつかり合う。
 近付いてくる従魔の群れには容赦なく『怒涛乱舞』で2メートル以上の身体を俊敏にこなす。
 愚神の元へはまだ少し時間が掛かりそうだ。

『我ら、神の力を宿したる陰陽師ぞ』(ドヤッ)
「あー、はいはい」(諦め)
 そう言って姿を現したのは天狼(aa3499hero001)と土御門 晴明(aa3499)だ。
 一般人に被害が及ばない様に立ち回り、他の連中とは積極的に連携をしていく。
 接近戦では刀、遠距離では銃や本を駆使する。ただし、従魔に対しては本などに持ち替えて同時攻撃。少しでも従魔を減らす。
 痛みや苦しみで強くなったということを聞き、晴明は渋い顔をした。
『ハルの弟のようだな』
「やめろ。あれとこれは別次元の話だ」
『そういうものなのか』
「あぁ、もう二度と言うな。集中させろ」
『うむ』
 無言になった2人はそのまま突き進む。

「俺は闇夜を照らす赤色巨星! 爆炎竜装ゴーガイン! これ以上の暴挙は許さん!」
 共鳴し、名乗り口上を上げ、現れたのは飛岡 豪(aa4056)とガイ・フィールグッド(aa4056hero001)だ。
 彼等の行動は、状況に応じて武器を持ち替え対応。
 その性格あるいは自身の心情故か一般人に危害が及びそうな時、一般人のカバーリングを何よりも最優先。
 従魔との戦闘においては『フリーガーファウストG3』とライヴスバット『甲子園のマモノ』を使いこなす。
「唸れ! 爆炎竜砲ドラゴンハウル!」
 彼等もまた対愚神戦へと従魔を蹴散らしながら、どこまでも進んでいく。

 敵からの反撃が少ない場所かつ視界を広くとれる高所にいたのは他でもない。依雅 志錬(aa4364)とS(aa4364hero002)だ。
 前提として、敵の外面以外の情報がいまいち分かっていない以上、全体的にある程度慎重に動く事にする。
 その理由は、味方が派手に動く分欠けがちになると見えた点を補う事を目的と考えてのもの。
「……みんな、攻めに いく? ……じゃ、わたし 援護するね」
 その上で手持ちの狙撃銃と通信機、電子機器や【SW(銃)】『オプティカルサイト』を駆使し、索敵。
「右斜め前方2時の方角50メートル先、従魔。追撃」
「……了解」
 Sの的確な指示の元、敵の『弱点らしく見える部位』に対し射撃支援を行う志錬。
 志錬のカメラアイから逃れられる敵は少ない。その上、スコープの付いたアンチマテリアルライフルがあれば鬼に金棒だ。
 そしてこの時、電子機器で反応をまとめて弱点の分析にかかる。
 次々とSの指示の元、志錬の餌食となっていく従魔達。
 分析が一段落ついたところで、情報を回していく。

 情報が皆に伝わったのと同時に例のロボット型愚神の姿が見えてきた。
 だが、まだ従魔の数は多い。
 射撃や爆撃を行使して存分に暴れ回り、注意を引き付けたその次の瞬間、集まって来た従魔の群れを一撃で薙ぎ払う。
「苦痛に酔い痴れるお前達には『戦闘』じゃ手緩い……そういうことでしょ?」
 Arcardはそう言い放ちつつ、敵達が存分に暴れ狂う中心部で『ウェポンズレイン』!
 全ての武装を直上に投影し、真下に叩き込む。
 しかし、その直前には大型エネミーが迫って来ていた……!
 それを見た木目は『グラビティゼロ』による質量(攻・防・重量)に物を言わせて動きを真っ向から潰しに掛かる。
「傀儡の癖して、周りを食いつぶしてまで生きたがる。滑稽だね」
 『レプリケイショット』――!
 全体がタイミングを取り、『グラビディゼロ』に装填されている杭のみを投影。
 長さを延長させられた杭はまるで矛や槍を思わせる程の貫通力を持ってそのまま地面と敵を縫い付けた。
 そしてラストに一気に正拳+杭を叩き付けた!
 地面が割れ、コンクリートの路面にひびが入る。ライヴスがその隙間に入り込んでその直後、地下の奥深くで爆発!
 反動で大型エネミーは宙に舞いあがりそのまま木端微塵になった。
「『戦争』を見せてやる。存分に謳え」
「迷惑を振る舞うなら紛い物も何もない、砕けて消えろ」
 Arcardと木目は絶好調でその間、戦い続ける。

 共鳴中の紗希とカイも遠慮容赦なく暴れていた。
 町中の商店街付近にて壁伝いに家屋の上へと移動。『Fantome V1』の音色を響かせる。
「屍の魂狩る戦乙女! その狂乱の打ち笑う声を聞け! お前達は奈落の深淵を見ることだろう! 『Das Lachen der Walkure!』
 衝撃波が商店街にいる従魔達を襲う。
 その衝撃波が商店街中を覆うと、従魔達が怯んだ隙を見計らって『新型MM水筒』でタオルを濡らす。
 バン!っとタオルを両手で一直線にして――
「只の布切れと思うなよ。日本の田折工芸偶然の産物……それは雪王女の如き狂気に満ちた凍てつく刃……冷気に触れただけで貴様の身は氷の柱と成り下がる! 『絶対零度 Saber Eis』!」
 先程の衝撃波が町の商店街を行き交う中、立ち止まっている従魔達をタオルを振り回しながら次々と一刀両断!
 更にスキル『へヴィアタック』をその特製タオルに付加し、ライヴスの重い一撃を繰り出す。
「喰らえ! 豪腕の鬼神の一撃! 『斬華鬼神』!」
 衝撃波が、一気に全身を震わせる凍てつく冷気へと変化し、敵は音もなく斬り裂かれる。
 その斬撃の一瞬、一瞬の間で斬り裂かれた衝撃波と特製タオルの冷気が強力なライヴスとなって融合。氷の斬撃波が敵へと飛んでいく。
 敵は文字通り凍りついた。そして斬撃波によりその肢体が真っ二つに分かれる。一撃、二撃、三撃により敵の群れはほとんど壊滅。
 最終的に衝撃波と冷気の余韻だけがその場に残された。
 そして小柄な体躯を活かしてその商店街をやりたい放題駆け巡る。

 巨人とも言うべき、共鳴中の茨木と酒呑力鬼も町中で大暴れしていた。
 他の人にとっては大きいシャムシール『バドル』も彼女では小さすぎて身体が通らない。片手で充分すっぽり収まるサイズだ。
 それを右手で握って思いっきりフルスイング! 従魔達が集まっている箇所へ向かって『剛腕の一撃』!
 従魔達の悲鳴が轟く中、次に取り出したのは『RPG-07L』のロケット弾だ。それを直接掴んで、魔物の群れめがけフルスイング!
 爆破する前に手放してぶん投げたそれは『爆炎の一撃』!!
 敵、そして味方が呆気にとられている中、次に何を取り出したかと思えば『禁断の一撃』なる『金のジャスティン像(1st記念)』だった。
 それで一通り従魔達を蹴散らし思いっきりぶん殴りながら、もちろん全力フルスイング――しようとしたところで……
「それは止めておけ!!!」その場にいた仲間達全員から押し止められた。
 仕方なく最後にアイテムから取り出したのはカチコチに冷凍したマグロ。もう言うまでも無く思いっきり従魔をぶん殴る。これを『真黒の一撃』と呼ぶ。
 とんでもなく豪快な戦闘は随時繰り出された。

 また、こちらも怪獣映画とまではいかないものの、特撮ヒーローとしては負けてはいない。
 ライヴスバット『甲子園のマモノ』装備でそのまま『ストレートブロウ』! その名も――
「ゴーガインズバット! 秘打・爆炎ノック!」
 しかし共鳴中の彼の必殺技は当然にしてそこで終わらない。
 それはライヴスバット『甲子園のマモノ』を狂いなく発揮し、『トップギア』で予告ホームランのポーズを取る。
 その勇姿をジックリと目に焼き付けておけ……! その名は爆炎竜装ゴーガイン!
「ゴーガインズバット! 秘打・爆炎ホームラン!」
 『トップギア』で溜めたライヴスを如何なく発揮! そこから『ストレートブロウ』の1、2コンボ炸裂!!
 当然それでフィニッシュかと思いきや、大きく吹き飛ばされた敵はまるでボーリングのピンの様に他の敵に当たって最初の一打で従魔の群れは散っていった。
 恐るべき必殺技――秘打・爆炎ホームラン!
 これぞ真のヒーロー! その名は爆炎竜装ゴーガイン!

 皆の活躍あって戦況はどんどん有利になっていく。それは一番高い位置にいた建物の屋上からでも容易に窺えた。
「もうここまでくれば、敵さんもそして皆もある程度、体力の消耗が出てきている頃合いだよね?」
 元気いっぱいにSがそう問うと、志錬は――
「『敵が攻撃に使う部位』……みんな、の為に ……狙う?」
「オッケー! ナーイスアイディーア! なーんにも、迷う事なんてないよっ!」
「最初に……わたし 援護するって言った」
 ここからは味方への被害を減らす事に集中する。同時に敵の挙動を逐一伝え、より攻めやすい手段を分析・提案する。
 この際、最優先事項は《より短時間で多く殲滅する》事とする。

 そして――その仲間達の戦闘が続き、それが功を奏したのか本来の目的であるロボット型愚神がより多くの『苦痛』を求めて彷徨ってきた。


●中盤 対――愚神戦

 愚神を目の前にした一行――しかし情報通りその4メートルはあるかと思われる愚神を見ても怯む事は無かった。
 果敢に攻めに入る。
 最初に動いたのは、月影とユズリハだ。
 対愚神への作戦は大ダメージはドレッドノート集団に任せ、態勢を崩し最大一撃を味方に任せられる状態へ持っていく事。
「ああいった奴らの制圧パターンは足元からとあるが、どうする?」
『確かにそうですけど。今回は面倒なので一気にいきましょうよ』
「なら、アレらにならってやるか」
「『夜神一刀流、月影 飛翔、ユズリハ ルナティス。参る!!』」

 ロボット型愚神は無言でこちらを睨み付けている。まるで隙だらけだ。

 その隙に付け入らないほど甘くは無い。
 月影とユズリハは壁や瓦礫などを蹴り3次元移動。
 相手は相変わらずボーッと突っ立っていたが突然その動きを視界におさめるかの如く首が360度近く旋回。
 まるでカラクリ人形だ。そしてその片方しかない無機質なレンズ(眼球)からライヴスのビームを放射する。
 しかしそこには既に2人の姿は無く、ビームは町の道路を塞ぐ鉄格子を破砕。
 焼けただれたそれはチョコレートを溶かし込んだかの様にドロリと垂れ下がった。付近に嫌な臭いが立ち込める。
 だが、その次の瞬間――!
 刃の嵐が愚神を襲う。すぐ目の前に逆さまになって飛んでいた月影。そして、敵の死角。真下にしゃがみ込んでいたユズリハ。
 そのどちらかが『ストームエッジ』を放った。
「スキル『ストームエッジ』確認。対象者――不明」
 電波の様に謎の発言を繰り返しているロボット型愚神。その隙に2人は敵の頭上を取れる建物の上に移動。
 鞘の【SW(刀)】『EMスカバード』を肩に付け、納刀した『天叢雲剣』を肩に乗せるように構える。

 愚神はそんな2人を真下からジッと見つめていた。

 しかし、それを許しておかない連中が今、ここに集っている。
 共鳴状態の紗希とカイは『トップギア』+『へヴィアタック』のライヴス超絶2連係で豪快に相手の懐を抉る!
「鬼神の怒号! その身でとくと味わえ! 『真・斬華鬼神 怒号爪剣』!」

 こちらも共鳴中の茨木と酒呑力鬼はロボット型愚神に『オーガドライブ』!
 その巨躯から放たれる『オーガドライブ』、捨て身の猛攻はこれ以上ないほど激しく強烈だ。

「苦痛が欲しいだぁ? 悪ぃが、愚神の望み通りの代物くれてやる気はねぇんだよ! ブッ潰れろオラぁ!」
 もう言うまでもないかもしれないが、共鳴時のガラナとリヴァイアサンも容赦しなかった。
 『トップギア』と『オーガドライブ』を重ね掛け、大上段からの唐竹割の渾身の一撃を叩き込んだ!
 捨て身に更にライヴスを集積して身構えその威力を極限まで鋭くした一撃はまるで稲妻が全身を駆け巡る苦痛を生む。

 晴明と天狼もその攻撃に流れる様な連係で猛攻を仕掛けた。
 『灰塵の書』に持ち替え、炎の剣を出現させて完全オフェンスモード。素早いモーションで炎の雨。舞踏の斬撃を浴びせる。
 敵の攻撃も目に止まらぬ速さで余裕で食い止めた。

 爆炎竜装ゴーガインももちろん負けてはいない。
 対愚神戦に備え、強化鎖鎌『オロチ』で対応。射程4を活かし、間合いを取りつつこれまでの味方連係を意識し立ち回る。
 愚神の脚部(主に膝、関節部分)を狙いバランスを崩す事に成功。
「竜の怒りを受けてみろ! ドラゴニックウェイブ!」
 そして流れを崩さない様にキープし、強化鎖鎌『オロチ』を装備したまま『烈風波』を放つ!
 少し離れた位置から衝撃波が炎のライヴスとして辺り一面を焼き尽くして、『ドラゴンスケイル』を駆使した技は見事に嵌まった。
 ロボット型愚神の頭部はライヴスの炎に包まれた。

 ――しかしロボット型愚神は未だに直立不動でその場に佇んでいた。


●終盤戦

「ちょっと気味悪いな」
 最初にそう言ったのは月影だ。

「こうなったら……」
「やっぱりあれをやるっきゃねえ」
「そうだな」
「必殺技だ!」

 そして必殺技への連携攻撃が始まる。

 高所で鞘の【SW(刀)】『EMスカバード』を肩に付け、納刀した『天叢雲剣』を肩に乗せるように身構えていた月影がそのまま建物から飛び降りる。
 そのまま壁を蹴って加速し、『カオティックソウル』を発動!
 重力による落下と加速、そして抜刀時の射出力、そしてそこから繰り出される渾身の振り下ろし!
「全身を削るぞ、巻き込まれないように退避してくれ!」
 月影はそう叫ぶ!
『準備は出来ています、先輩に合わせます』
 それに見事なコンビネーションで応えるユズリハ。
 武器の本能と魂――それを思い起こした最先端のライヴス技術を集積した鞘。【SW(刀)】『EMスカバード』に予想外の電磁波が射出。
 その電磁力をもって抜刀した『天叢雲剣』から爆発的なライヴスが発生した。
「『夜神一刀流、奥義が一【断空雷牙】!!』」
 まるで生き物の本能を体現した電界物質及び電磁波による鞘の【SW(刀)】『EMスカバード』と『天叢雲剣』のWコンボによる一撃は相当なダメージを相手に与えた!
 それは正に空から雷の如く飛翔してきたスナイパー。獲物を狩る野生の鷹の嘴そのもの。
 そしてその嘴はやがて牙となり、そこから絶大なる電界物質のライヴスが本能の如く纏わり付いていた。

「オオ……!! これが、これこそが私が求めていた大いなる新たな苦痛!!」
 ロボット型愚神は呻きながら、愉悦に浸っている。

「今だ、一気に叩き込め!」
 月影がもう一度叫ぶと――
「了解!!」
 仲間達から即返事が返ってきた。

「人間大砲ってのは……まぁ、『掴んで』『投げる』って考えてたんだ……」
 そんな事をぼやきつつ、その必殺技の連携の足場、言ってみれば土台となったのは説明不要の巨体――茨木と酒呑力鬼だった。
 それは終盤戦、ここぞと言う時必殺技的な使用が目的だ。
 そしてその巨躯の両肩を踏み台にして飛岡(爆炎竜装ゴーガイン)と晴明が跳躍。
 その後、共鳴中の紗希とアイコンタクト。一切の遠慮などいらない。前の2人よりも高くぶん投げる!
 ロボット型愚神は突然の連携に呆気にとられ、それを目で追う。
 その一瞬の隙をSの指示により超遠距離から狙撃で不意打ちを狙ったのはもちろん志錬。
 1発は相手の弱点である人体の急所。心臓のある位置を撃ち抜き、もう一発はあのレンズで出来た相手の目を潰した。
 そこにすかさず茨木と酒呑力鬼は『剛腕の一撃』をかます。
 下からかち上げアッパーな『ストレートブロウ』によるライヴスの加速攻撃により、敵は上空へと吹っ飛んだ!

 ――そして空中戦。そこに待っていたのは紗希、晴明、飛岡。
 3人同時に寸分の躊躇も乱れも無い連係でタイミングを合わせ『トップギア』から『烈風波』を冥土の土産に相手のお望み通り、苦痛として叩き込む!!
「音をも超える一陣の風! 貴様は見るまでもなく地にひれ伏す! 受けよ! その身に……」
「それじゃあな! ロボット! これが苦痛ってもんだ……」
「これでトドメだ!」

 ――「「「トリニティウェイブ!!!」」」――

 最終的にデルタ状の衝撃波が空を舞い、まるで花火の様に煌びやかにライヴスのオーラはロボット型愚神と共に散っていった。


●戦闘終了後

「おつかれさま、問題なかったな。甘いものでも食べて帰るか」
『はい。お土産も買って帰りましょう』
 リラックスムードで月影はユズリハを労う。

「それにしても……何がしたかったんだろうね? お蔭でストレス発散はしたけど」
「愚神にも色々とあるんだろう? ロボット型愚神とか。細かい詮索は無し――だな」
 紗希とカイは楽観的な結論に達した。

「ロボット型愚神、そして従魔。次は何が出るのかな?」
「あんまり妙な期待はしない方が……まあ、良いか」
 何やらArcardがみょうちきりんな事を言っていたが、そこは止めない木目なのだった。

「やっちまったな」
『おめぇが滅茶苦茶やりやがるからな』
 酒と盃を飲みながら茨木と酒呑力鬼は満足そうに笑いあう。

「あーあ。もう終わりかよ。メンドクセェ」
『面倒臭いのに、遊び足りないの? 相変わらずデリカシーがないよね。ガラナ』
 厳ついヘビースモーカー、ガラナ。そしてツンデレのセクシー美少女、リヴァイアサン。
 仲が良いのか悪いのか? よく分からない2人組だった。

「ソラ、どう思う? 今回の相手――って言うかロボット型愚神」
『なぞなぞか? ハル。じゃあ、私から聞こうか? 今回の事件についてどう思う?』
「しゃらくせえ。んなもんいちいち答えてたらキリが無いだろ?」
『ハル。私のクロスカウンターを無力化するな』
 晴明と天狼はいつも通りだった――はず。

「今日も『The Tether(ザ・テザー)』の手によって悪の組織がまた1つ陥落した。世界の平和は俺達が守る!」
「そう! 正義は勝つ!」
 単なる自己満足に終わらないところがこの2人組、飛岡とガイの良い所だ。

「……みんな、元気そうで 何より?」
「うん! それで良いじゃない♪ なーんにも、迷う事なんてないよっ!」
「……それ、さっき言った」
 高所から降りてきた女子2人組の声がどこかから聞こえてくる。
 何だかこの2人組、ギャップが激しい。
 そんな志練とSなのであった。

 幾つものパーツに分かれて残骸となった愚神。その1つに謎の録音機器が破砕されずに残っていた。

 ――メッセージは一件です――

 録音機器から音声が流れ、何者かの声が辺りに響き渡る。

 ――このメッセージを誰かが聞いている頃には私はもうこの世にはいないのだろう。
 ――あの愚神を創り出したのはこの私だ。
 ――1つだけまだ誰にも話していない秘密がある。あの愚神の事だ。
 ――私は人類に警告を発したかった。
 ――それは愚神による全世界の統制だ。
 ――そしてだからこそ何者にも耐え得る『苦痛』を追い求める程の強い愚神が必要だった。
 ――この愚神は私が意図的に生み出したものだ。
 ――だが、サンプルに過ぎない。
 ――そして文字通り『苦痛』を与えてやった。
 ――私はこのままあの世へと向かうがそこに後悔と言う文字は無い。
 ――私の意志を受け継いでくれる助手がいるからだ。
 ――リンカー達から貰ったデータである『苦痛』はその助手によって受け継がれる。

「……そう言う事だったんですね。先生……。強力なリンカー達を呼び寄せたその『苦痛』――確かに受け取りました」
 ですが、私は――と、言いかけた所で女性は重い葛藤に悩まされ、やがて自分に言い聞かせる様に静かに呟く。
「分かりました……これが、先生の最期の遺言ならば……私はやり遂げてみせます」
 そして女性は去った。

 ――もし、これを聞いているリンカーがいるならば彼女に伝えてほしい。
 メッセージは続く。
 ――その『苦痛』を絶対にこの世に出現させてはならない。何せそれが……

 ――研究者としての私の最大の過ちだからだ。

 エージェント達は既にそれぞれの帰路に着き、もちろんその周辺には誰もいなかった。(了)

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『星』を追う者
    月影 飛翔aa0224
    人間|20才|男性|攻撃
  • エージェント
    ユズリハ ルナリィスaa0224hero002
    英雄|16才|女性|カオ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 神鳥射落す《狂気》
    Arcard Flawlessaa1024
    機械|22才|女性|防御
  • エージェント
    木目 隼aa1024hero002
    英雄|26才|男性|カオ
  • 我が肉体は鋼の如し
    浅葱 吏子aa2431
    人間|21才|女性|生命
  • 其の手には無限の盃を
    酒呑力鬼 雷羅aa2431hero001
    英雄|25才|女性|ドレ
  • 海上戦士
    ガラナ=スネイクaa3292
    機械|25才|男性|攻撃
  • 荒波少女
    リヴァイアサンaa3292hero001
    英雄|17才|女性|ドレ
  • エージェント
    土御門 晴明aa3499
    獣人|27才|男性|攻撃
  • エージェント
    天狼aa3499hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
  • もっきゅ、もっきゅ
    依雅 志錬aa4364
    獣人|13才|女性|命中
  • 先生LOVE!
    aa4364hero002
    英雄|11才|女性|ジャ
前に戻る
ページトップへ戻る