本部

スーツを脱ぐ姿にフェチズムを感じます。

吉都

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/04/04 16:24

掲示板

オープニング

●リンクブレイブは全年齢対象のゲームです!
 某日某社、大会議場。
 スーツ、スーツ、スーツ。
 右を見てもスーツ。左を見てもスーツ。
 職を得るために個性を殺して紺と黒とワイシャツの白。無個性の波だ。大変ですね、就職活動。
 誰もが緊張した面持ちのなか部屋の中心の辺りに座っていた男性がいきなり声を上げた。
「何がスーツだ! 何がマナーだ! お前ら皆スーツを脱げーーーーッ!!」
 荒唐無稽なことを叫び始めた男性に対して周囲の冷たい目線が突き刺さる。
 あぁ、この人も疲れてるんだろうな。とか、こうはならないしよう、みたいな成分百パーセントだ。大変ですねぇ……。
 この男性が普通の人間であればこの男性は係員にお引き取り願われるだけで話は終わったはずだ。
 この場に同席したその他大勢も後日の飲み会なんかでネタにする位だろう。
 しかしそうは問屋がおろさないのがこの世界!
「愚神! 力を貸せぇ!」
 ファンシーなサウンドエフェクトと共にピンク色の空間が広がる。
 大会議場の全てがピンク色の空間に包まれると途端に変化が起こる。まず、その場にいた全員の顔が虚ろになる。
 そして男性が立ち上がって椅子や机を片付けながら大会議場の両端に整列。
「この祭りに男はいらねぇんだよ……!」
 そういう発言は良くないですよ。
「さぁ、脱げぇ!」  
 続いてその場にいた女性がスーツのジャケットのボタンに手をかける。マジですか。いいんですか。
 内側のサテン地が擦れる時特有のシャラリとした音が静寂の会議室に響く。
 そのままブラウスに手をかけてボタンを外し、スカートも落とす。パンツスーツの素敵な貴女は脚をゆっくりとパンツから抜く。
「恥じらいがないのだけは少し残念だな」
 それはちょっと解る。
「スーツ用に透けないような下着なのはいいなぁ。俺に見せるためじゃねぇってのが良く解るぜ……!」
 それはとても解る!あっ、待ってくれ、靴下は残すのか!? そこ大事だぞ!
 愚神の力によって恥じらいと自我を無くした女性達の下着が白日の下に晒され、晒さ、晒。
「アハ、アハハ、アーーーッハッハッハ 最高だーー!!」
 ここから先の具体的な描写を読みたい方は依頼に参加してリプレイをお楽しみに!
 ともあれ、男はスーツを脱いだ女性に囲まれ、御満悦なのであった。

●冷たい視線もそれはそれでアリ
「現場に到着すると諸君らは服を脱ぐことになるだろう」
 説明が端的すぎやしませんかね、オペレーターさん。ほら、皆さんの視線が冷たいですよ。
「服を脱がせることを目的とした愚神が出現した。元は能力者の素質があった男なのだが、就職活動に対するストレスから活動の際に着用する女性に対して多大なるフェチズムを獲得。その心が愚神を呼び寄せてしまったらしい」
 とんだメフィストも居たもんだな。と首を振るオペレーター。
 努力の方向間違えてないかな、そいつ。
「ともあれ、この男に呼び寄せられた愚神は男の欲望を叶える能力を持っていた。そして、協力かつ共鳴関係にある男が欲望を満たしたことで満足した精神の高まりとその場に居る者達からライヴスを吸収している。
 このままだと遠からず愚神は能力者の素質があるものに頼らずとも自己の存在を維持できるようになるだろう」
 そうするとどうなるんですか?
「エリア内にいる人間の服を脱がせながらライヴスを吸うドロップゾーンを形成し、それを拡大していくだろう」
 そこはブレないんですね、愚神でも。
「この愚神と能力者は自分の力が及ぶ範囲において服の着用しているものに対して圧倒的な上位権限を持つ」
 つまりどういうことですか?
「こいつの前では服を脱ぐ程相対的に相手が弱体化する。というより力の総量のほとんどをその力に振っている。」
 ホント残念だな。そいつ。
「ちなみに男は拘りがあるのか下着以上脱ぐことに興味はないらしい。形成している空間も欲望を反映しているのか全裸にして来ようとはしない。それに、男の好みの脱ぎ方をすればするほど、隙が出来る筈だ」
 勿論、服を脱がないまま戦うことも出来るが、その場合苦戦を強いられるのは必至だろう」
 それは男性でもである。だから最初のセリフに繋がるんですね。
「どちらの戦法を選んだとしても愚神と男はその場にいる一般人よりも優先して君達と戦うか、或いは服を脱がせようとするんだ」
 何て安心設計。
「戦い方は洗脳のバッドステータスを与える単体攻撃や拘束を行う全体攻撃。翻弄と狼狽が付いた単体攻撃を行うようだ」
 この愚神で洗脳持ってるんですね。
「この寄り代となっている男を撃退し、意識を失わせることで愚神は拠り所を失うので、諸君らにはそれを頼みたい。後始末はHOPEが請け負おう」
 あぁ、そうそう。と最後にオペレーターは付け加える。
「この空間の中では映像機器は不調を来すので、安心してくれ」
 なんにですかね?
 

解説

●目標
 愚神の寄り代となっている男の撃破

●敵詳細
 就職活動に疲れた男
 スーツを着用した中肉中背の男。
 左右に男性が居るなか一人だけ女性を侍らせているので見分けるのは容易。
 
(PL情報)
 服を脱がせる能力を持つ愚神と契約した男。名前は木下大輝さん。
 能力者の素質こそあったが今まで英雄と契約することはなかった。が。今回就職活動のストレスで色々弾けた模様。弾けすぎとも言う。尚スーツを脱いで下着姿になる女性。にフェチズムを感じる性癖の模様
・一般人の自我を奪う
・服を着用している者に対する上位権限を持つ(例:自身への攻撃のダメージを減少させる等)
 の能力を持つ空間を展開する。
 この空間はライヴスを吸えば吸う程強化されていく傾向にある模様。
 この戦闘中に強化はされない。
 個人単位で脱ぐ脱がないは選べる。

 
 スキル
 ・洗脳付与の単体攻撃。洗脳がかかった場合、強制される行動は御想像にお任せします。ただ一つだけ言っておくと…1アクションで脱げる範囲は全部ではないと判定する、ということですかね……!
 ・拘束付与の広範囲攻撃。>足を絡め取られた、敵の触手に掴まれたなどの形で、大きく動くことができない状態です(公式より) 
 ・翻弄と狼狽付与の単体攻撃。どういう状態になるかは御想像にお任せしますね!

●戦闘マップ
 某県某所大会議室
 本日は会社説明会のため多数の学生が来場していました。
 HOPEから連絡が行っているため会社に付けば即座に通してくれるでしょう。
 窓や壁を砕いての侵入は部屋の淵に男性がぐるりと整列しているのであまりお勧めはしません。
 
 部屋は多数の学生を収納するため広く、また寄り代の男が片付けさせたため戦闘には支障がないだけの広さがあります。

●NPC
 なし

●この依頼における装備品の扱い
 脱いでも依頼における計算上は着用しているとして扱います。

●リンクブレイブ倫を守ったリプレイにします

リプレイ

●これは脱がなくても戦えるって言ったのに脱いでくれる人達のためのリプレイ
 某県某所某社。
「ま、また変な愚神が現れたんですね……」
「あうーーーもう嫌ーーー」
 廿小路 沙織(aa0017)は窮屈なスーツに身を包みながら今回の敵であるところの木下大輝さん、そしてそれに取り憑いた愚神をしてそう表する。その言ももっともだ。
 その為に更紗・アーニャ・尋河凪(aa0025)は着なれないスーツの締め付けに涙目になっているのだから変と相手を表するのもむべなるかな。というかこの二人が窮屈そうなのに関しては御二人ともスーツに身を包むには色々と規格外なのが原因だと思う。あれとかそれとか上とか下とか。
 なぜ二人がこうまで愚神を悪しざまに言うのかというと今回現れてきた相手は服を着ている相手にはやたらめったら強い強制力を持ち、そしてその力を服を脱がすために使う。
 即ち戦う相手が纏う衣服が少ないほど愚神の持つ力の行き所がなくなり戦いやすくなるという愚神なのだから! 存在からして矛盾を抱える個体、それが今回の愚神である。木下大輝さんの欲望を叶えるのに適した愚神である以上、能力者と戦うことを想定していないのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
 この数行を読み飛ばした方に向けて言うと今回の愚神は服を脱げば脱ぐ程弱くなるとだけ把握して頂ければ嬉しい。それがこのリプレイの大前提であり、この愚神を倒すために今から彼女達は脱ぐのだ。この愚神をたおさなければせかいがあぶないからしょうがないだーー。 そして今から世界を救う彼女達の下着姿、もとい尊い犠牲を後世に伝えるためにこの報告書は書かれるのである。
「面白い愚神だよねー、こいつはまた眼福になりそーじゃん」
「本当に解り易くて良い相手です、ほら、沙織、人々のためですから我慢しなさい」
 飽くまで愚神を倒すために少女や彼女は得難い決意をしているのだが、それをポジティブに捉えているのはヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)さん。
 そして自身の目的のため、この依頼に能力者の参加を許可したインニュ(aa0025hero001)が沙織に注意しつつヘルフトリスと笑い合いながら頷く。
 さて、そんなおかしな愚神が憑いた木下大輝さんの欲望、フェチズムはと言えば――。
「スーツを着ている女性がそれを脱ぐ姿がいい、か。 馬鹿じゃねぇのか。ま、思う存分見せてやるさ。俺は自分の体に自信があるしな」
 スカートのスーツでビシッと決めたカトレヤ シェーン(aa0218)が言うとおり、就職活動に疲れた木下大輝氏は就職活動の際に良く見るスーツ姿の女性にその捌け口を見出したのだ。説明会に参加すれば好みの格好をした女性が見れるという意味ではお得な頭をしているかもしれない。全く尊敬はしたくないが。
「しゅーしょくかつどぉーってなにかなー?」
 未だ世間の荒波を知らぬレイア・メサイア(aa0114hero001)はほわほわと笑っていた。だがこの就職活動によるストレスによって得たこの木下さんのフェチズムのため、今回の依頼に参加する面々はスーツを用意してきているのである。ありがとうございます。
「フェチズムという奴じゃな。我に任せるじゃ」
 王 紅花(aa0218hero001)はスーツを着たカトレヤを上から下まで一度見て自信満々に告げる。この後のお手並みを拝見するのが非常に楽しみですね。
「……大丈夫だろうな?」
 カトレヤが疑わしげな目線を紅花にやる。
「いやぁ、良い趣味しとるのぉ! じゃなかった。ほれ! 一般人がこれ以上被害に逢う前に急ごうぞミサトちゃん!」
 嵐山(aa3710hero001)が新座 ミサト(aa3710)の腕をぐいぐい引きながら鼻の下が伸びたいい笑顔を輝かせている。
「老師、えらく張り切っていますね?」
「そんなことはないぞ! わし、全然楽しみになんてしとらんから!」
 外見年齢79歳の御爺ちゃんが良い笑顔でのたまうセリフは一切信頼とかけ離れたものだが。ともあれ、此処で会話していても仕方ない、事件の現場になった会議場へ能力者達は足を進めるのだった
「あ、僕は後から行くからね」
 流 雲(aa1555)はそういって女性陣を見送った。恐らく会議場に同行すれば19歳である彼にとっては垂涎の光景が見れるであろうにも拘らず、知人の信頼を失いたくないという理由で会議場に踏み込まないと、そう言える彼は――イケメンだった。隣にいい笑顔でサムズアップする嵐山がいるだけにその対比はちょっと凄いものがある。
 愚神を倒すためという大義名分を捨ててなお起こるであろう出来事を無視できる彼は約束を守れるイケメンなのである。
「………」
 例え彼が直前に見ていたハードボイルド映画の影響とか、フローラ メイフィールド(aa1555hero001)が優しい目で雲を見ていることは関係ないのである。ないったないのだ。

●限界ギリギリアウトオアイン
 ドアを開けて入ればそこは別世界。空気は比喩でもなく文字通り薄ピンク色に染まり、壁に居並ぶ男達。そしてスーツを脱いだ女性達。
 ちなみにチラっと部屋の中が見えた雲はスイッチが入っていたのか狼狽もしなかった。公私のオンオフが出来る男、流 雲である。ちなみに嵐山はテンションが上がっていた。
「何だお前らは……後から参加した奴が居たのか?」
「……あいつだ」
 会場のドアを開けて来たH.O.P.Eのメンバーに対して部屋の中心にいた男性がぼそぼそと呟く。その傍らには下着姿の女性達が虚ろな目で侍らされていた。まったく良い御身分である。変わってほしい。
 それを見た廿枝 詩(aa0299)が少し袖の余ったスーツから伸びた手で男性を指さす。そう、彼こそが今回愚神に取り憑かれた木下大輝さん。
「そうだね」
 一般人女性の下着姿をちょっと気まずそうに見ながら月(aa0299hero001)が言う。詩が指さした男性は髪をジェルで固めた普通のスーツを着た男性である。就職活動の疲れが出ているのか目の下に少しクマが出来ている。或いはもう愚神にライヴスを吸い取られ始めているのかもしれないその要望ははっきり言って冴えない。
 だが侮るなかれ、ここは彼のキルゾーン。愚神の力によって形成されたこの薄ピンク色空間の中で服を纏うものに対して木下さんはとても強い。
「まぁいい! お前らも脱がせてやらぁ!」
「くっ、こいつふざけてるが意外と強いぞ」
 木下さんの洗脳の力を込めた言葉がカトレヤに襲いかかる。洗脳自体は発動しないもののおかしな愚神相手と切って捨てることは出来ないほどの威力を持っていた。
 或いはカトレヤ達が服を着ていたせいもあるだろう。最初から脱いで行かず隙を作ることを選択したためだ。今思えば最初から服なかったらリプレイが10行で終わっていた可能性もある。危なかった。
 そう、彼はこの場において相手が服を着ている限りとても強い、そして周りには一般人が居る。だから
「一般人を戦闘に巻き込まないようにするためにその身体を惜しげもなく活用します!」
「れいあもすーつきるーー。 しゅうしょくかつどぉ!」
 だから、御手洗 光(aa0114)の様な行動に出るものがいるのはしょうがないのである。ほら、ステータスシートにも常日頃から何かを護ることを心情に行動するって書いてあるし。称号とか何のこと言ってるかわからないから。
 一般人を守るためにレイアと共鳴した彼女はキャリアウーマン風に着こなしたスーツに手をかける。
「無粋な力で脱がせようなんてわたくしには不要ですわ ほぉら!」
 相手の力で脱がされるより、自分の意思で。そんな考えのもとゆっくりと一枚ずつ、肌蹴るように。なんだか楽しんでいるように見えるのは気のせいだよね。
「おおっ!」
 スーツを目の前で脱ぐことで隙が出来るという木下さんに対してゆっくり見せつけるようにジャケットを落とす。それに対して周囲に侍らせていた女性達を押しのけるように食い付く木下さん。やはり脱ぎ終わった女より脱いでいる女なのだろうか。ほとほと困ったフェチズムをお持ちだ。
「おぬしさっきの説明口調はなんじゃ!? 一瞬でも真面目にやったと思ったのじゃ!」
 音無 桜狐(aa3177)が光にツッコむ。だが、それでも食い付いて来たのは事実。
「変な人にゃね。スーツを脱ぎ終わった後は手を出さにゃいなんて」
 猫柳 千佳(aa3177hero001)がその様を見ながら苦笑を漏らす。だが、光の行動の効果は見た目に解るほど顕著だ。あ、木下さん興奮しすぎてこけた。
「これ以上あなたの好きにはさせませ……ぅきゃーっ!?」
 光に続いて木下さんの興味を引くために正面から名乗りを上げた沙織が決めポーズを取るとバツンと音がした。
「見ないで、見ないでくださいぃぃぃ……」
 ボタンが飛んだブラウスとホックが弾けたスカートを隠すように蹲ってしまう沙織。彼女の肢体の暴力にスーツは勝てなかったよ……。
 会議場の両端に居並ぶ男達の視線はどこを見ているとも知れないのだが、その視線全てが自分に刺さっているような気がして沙織は顔を真っ赤にする。
「でっけぇ! 最高じゃん!」
 何がとは言わない木下さんがフラフラと夢遊病の様な足取りで能力者達に近づいてくる。
「うふふ、見繕った甲斐がありましたわね!」
 鼻歌でも歌いそうな口調の光。沙織のスーツを選んだのは彼女らしい、なんて策士なんだ。
「今だな……やるぞ」
「ハイハイ」
 ちなみにこの隙に雲がフローラと共鳴してスナイパーライフルで木下さんを攻撃していた。
 仕事のデキる男、雲なのである。ちなみに木下さんはダメージが分からないほど夢中になっていた。
「さぁ、いくのじゃ。脱ぐときはまず胸を反らしてスタイルの良さを強調するのじゃ!」
「本当にそれでいいのか?」
 他方、さらに隙を作りだすためカトレヤが紅花の指示に従いスーツを脱いでいく。
 胸を逸らしたことで胸が張り出すことによって外しにくくなったボタンをゆっくりと外していく。
「こっちも美人だぁ!」
 沙織に向けていた視線をカトレヤに向ける木下さん。そしてそれだけには止まらない。
「もっと良く見せろぉ!」
 黒い触腕を呼び出す木下さん、対象は更紗だ。脱いでくれる対象もいいし脱がない相手を自らの手で脱がせるのもそそる。
「気持ち悪いぃーー」
 未だ服を着ているためその威力もバッドステータスの付与率も中々のもの。回避虚しく更紗の体を触腕が捕まえる。
 だが触腕の拘束では当たり前ながら服を脱がすことは出来ない。そもそもパツパツの服は触腕が入ることすら拒んでいた。
「こっちじゃなかったが……これはこれでありだな」
「この変態!」
 腕組みしながらスーツの上から触腕につかまれてスタイルの良さを強調されている更紗を腕を組みながら見ている木下さん。
 それを更紗が罵るが変態じゃなかったらこんな愚神は呼び出していないのである。
 愚神を呼んだから変態になったのか、変態だからこんな愚神を呼んだのかどっちが先に会ったかと言われれば木下さんは間違いなく後者。
「そんなことを言われて気にするぐらいならこんなことはしてねぇ!」
 木下さんのぐうの音も出ない反論。だから洗脳技とかも使っちゃう。えい!
「え? わし!?」
 あなたです。ビビッとピンクの光線が桜狐に発射される。
「隙を作るため……隙を作るためなんじゃ……」
 瞳から光を失った桜狐はワンアクションで出来る限り、つまり自分一人だけきていた巫女服から帯をしゅるりと自らの手でほどいている。
 本来ならば味方への攻撃や自分への攻撃をさせる技なのにわざわざそういう方向に持って行っている木下さん。もしかしたら木下さんが世間への恨みじゃなくフェチズムで愚神を呼んだことは喜ぶべきなのかもしれない。
 千佳が脱ぎ始めた桜狐の服が地面に落ちる前に手で押さえる。
「にゃ! なにしてるにゃ! 桜狐ちゃんしっかりするにゃ!」
 両手を桜狐の服を抑えるのに使った千佳に光が近寄る。
「気を引くためですよ! 千佳様もご一緒に!」
 自身もあられもない格好になりながら千佳に襲いかかる光。自身も先程より露出度が増している。
「あ、ちょ、まっ、そこは駄目にゃっ!」
 千佳が一般人のためと言われれば強く抵抗出来ないのをいいことに好き勝手にくんずほぐれつする光は誘うように自らもマニア心を擽る過激なポーズをとる。
「うひょおおお!!」
 木下さんがもう攻撃することも忘れて食い入るように能力者達を見つめている。
 その隙を見逃さない男、それが雲。
 女子へのコメント一切なしで移動しつつ射撃を繰り返すと言える男、それが雲である。
 スナイパーライフルから飛び出した弾丸が高速の飛翔音を従えて木下さんに刺さる。
「うわぁ……全然気にしてないよ」
 月が若干引いた感じでその様子を見ている。月が言うとおり、木下さんは雲の攻撃で結構なダメージを貰っているはずなのに全く気にした様子はなかった。
「ねぇ」
「何?」
「これ、私脱ぐ意味あるのかな?」
 詩が辺りを見渡しながら月に問う。確かに彼女の周りにいる女性達は成熟した肉体を持っており彼女は自信喪失気味だ。大丈夫、君も可愛いよ。
 よし、と決意したように雲の攻撃で血を流しながら能力者達を見つめる木下さんに近づく詩。
「おにーさん、どんな感じがいいかしら?」
 こんな感じ? と反応をうかがいながらスーツに手をかける。すると
「ふぅーむ、ほうほう」
 頷きながら声を出す木下さん。
(詩は恥ずかしくないんだろうか)
「本来スーツを着ない少女のギャップ……いい!」
 あぁ、新しい扉を開いてしまった。
 
「老師、共鳴しましょう。もう充分隙は出来ているでしょう」
 ミサトが傍らの嵐山に声をかける。確かにミサトの目に映る木下さんはデレデレであり、今ならいい感じにたこ殴りに出来そうだ。
 だが、それに対して嵐山はチッチッチッと指を振る。
「待ていミサトちゃん。何か大事なことを忘れてりゃおらんか?」
「大事なこと!?」
「ミサトちゃん……お主、服を着たまま戦うつもりかっ!」
 背景にピシャーンと雷の落ちるエフェクトが入れつつ仁王立ちで叫ぶ嵐山。
「それ大事なことですか!?」
「大事なことじゃ、オペレーターも言うとったじゃろうが! 服を脱げば弱体化するんじゃぞこの愚神は! それにじゃなぁ……!」
 渋るミサトに嵐山は力強く仲間達を指さす。指の先には大変なことになっている仲間達。
「仲間達はああして隙を作りつつ一般人から気を引きさらに戦いやすくまでしとる。ミサトちゃんがこのまま戦ったとして、そりゃ全力を出したと言えるんかのう?」
「いや……それは、その、そうですが」
 だまされてはいけない、この爺さんは良いこと言ってる風だがこれだけ熱弁を振るっても内容は「脱げ」だけなのだ。されどこの場で全員が脱いでおり、同調圧力的なものとか、ミサト自身の生真面目な性格が彼女を苛み、ジャケットに手をかける。
「上だけ、上だけですからね?」
 スーツを着た妙齢(24歳)の仕事が出来る女性がスーツを脱ぐ。それもいつも自分にキツ目に当たる相手となれば嵐山の達成感は一入だ。
「ちゃんと隙が出来るように脱ぐんじゃぞ!……ぐへへ」
 嵐山、彼の脳細胞は未だかつてないほど活性化した。このワンシーンを1ピクセルとてかけることがないように。
 
●大体ここまで戦闘ダメージの八割は一人の手によって発生しています
「カトレヤよ、焦らすのじゃ。良い女はな、簡単に餌に食いつかせてはいかんのじゃ」 
 紅花のアドバイスに従ってカトレヤが脱いでは
「うっひょおおおおお!」
「隙ありですわ」
「おにーちゃんたのしそうだねぇー」
 光が木下さんをライヴスのメスで切り裂く。なおその際はしっかり視線がカトレヤを向いていた。
「あんな感じがいいらしいよ?」
「わかった、わ。おにーさん、こっちを見てね?」
 カトレヤを参考にして詩がさらに衣服に手をかければ
「恥ずかしいけど今は攻撃するにゃ!」
「うぅ、いやじゃなぁ……」
 桜狐が自らの格好を見下ろしながら武器で殴り付ける。
 戦いは最早一方的な乱打戦の様相を呈していた。あっちを向けば誰かが攻撃、他の誰かが脱いで視線を集めればこっちが攻撃。
 原因は勿論能力者達全員が衣服をかえりみず、かつ隙を作るような行動をそれぞれが取っていたからだろう。
 誰か一人だけが囮を買って出ていたりしたらこうはならなかったはずだ。
「………」
 そしてダメージを上げるため褌姿でライフルを構える雲。
 隙が出来るたびに褌姿で攻撃し、褌姿で移動し、褌姿でまた攻撃する。それが出来る男が雲である。
 だが、全てが上手くいくわけではない。彼女達は戦闘を有利に進める代わりにある代償を払っていた。
「ほら、次はお前さんの番じゃぞ!」
「老師! これ以上ですか!?」
「うっさいわ! はよ脱がんかい!」
 ミサトはさっき脱ぎ捨てたブラウスがうっかりその辺にいる男性の顔にかかってしまい涙目である。呼吸によってそのブラウスがピラピラと動いているのがもう……。
「ブラウスは残すのがポイントじゃ! 覗くショーツのチラリズムは最高じゃぞ!」
「あ、あぁ。こうでいいのか?」
「ほぉら、こっちをごらんなさい?」
 カトレヤはもうほとんど下着姿のため、体の向きを変えたりわざとブラウスを拾って隠してみたりして木下さんの気を引いていた。
 光に至ってはもうつけている下着の面積がアレでそれでムッチムチになってしまっている。
 そう、彼女達が払った代償とは即ち衣服という名のライフポインツ。もう全員がそれぞれ何枚も文字通り身を削っていた。
 乙女の尊厳はHPや生命力で測れない。それに他の面々に比べて体に自信が合って見せても構わないというカトレヤや覚悟を決めていた光も精神的なダメージはともかくこれ以上の削ってしまえば色々なところにダメージが出るところまできていた。
 木下さんもやられてばかりではない。
「あぁ、そこだ! もっと良く見せてくれ!」
 触腕を召喚してぶちまける。動く腕が沙織と更紗を掴み上げる。
「あっ、嫌っ!」
「ちょ、ちょっと待ってぇ」
 木下さんは拘束し、まるで可動式のフィギュアのように様々なポーズを取らせる。縄のようになった触腕が締め上げ下着姿になった二人の体にアクセントを添える。
「こんな格好をさせるなんて、うぅ……」
 沙織が取らされたポーズは放映権上描写は出来ないが酷く扇情的だ。
「楽しんでるくせにー」
 ヘルフトリスがにやにやと脳内で語りかけてくる。
「た、楽しんでなんていません! 私は純粋に恥ず……」
 言葉の途中、いやに静かな隣へ沙織が視線を向ける。確かに自分と一緒に更紗が捕まっていたはずなのだが……。
「あら、更紗が気絶してしまいましたわ。しょうがありませんね」
 そこには姿が同じだが、雰囲気が異なる更紗が居た。精神の雰囲気をインニュさんが握ったのだ。
 するりするりと脱ぐような仕草をすれば拘束が緩む。そして木下さんに近づいて行くインニュ。
「大体ですねぇ、貴方ねぇ、下着にするまでしかしないなんてこの…」
 フッと木下さんに囁いた言葉は何といったかはわからないが、今までどんな攻撃を受けても気にしなかった木下さんの顔がサッと青くなる。
「うふふ、何を言ったのかしら。でもチャンスね! 一気に行きましてよ!」
 光が号令をかける。これ以上切れる札がない以上ここに注ぐべきだ。号令をかけた光自身も最後の一撃とばかりに体を隠すことなく攻撃を行う。
「このっ、女の敵がぁっ!!」
 カトレヤの戦槌が叩きこまれ木下さんの体がくの字に折れる。
「私だけを見てくれなかったから、駄目よ」
「魔法少女の力! 見せてやるにゃ!」

 詩の矢と桜狐の攻撃が追い打ちをかける。
 最後の一撃とはすなわち今までで最も服を脱いだ状態による一撃。それは最高の一撃となって木下さんに次々とダメージを与える。
「……!」
 更にそこへ追撃をかけるのは雲だ。
 彼は此処に至っても縁の下の力持ち、この隙を逃さず攻撃していた! 流石である。
 吹き飛ばされた木下さん。仰向けに吹き飛ばされて上を見ればそこには
「愚神! ぶっ殺します!」
 涙目で木下さんを見下ろすミサトの姿があった。ちなみに格好は言わずもがな。
「私の! 姿を! 記憶から! 消しなさい!!」
 ためらわず木下さんの脳天にミサトの絶大な威力を持つ拳が振り下ろされ。
 ―――、木下さんはミサトさんの姿を最後に目に焼き付けて、意識を失った。

●もしかしたら……
 事件が終わった後、雲はそっと姿を消した。
 自分が此処にいるべきではない、そう思ったのだろうか。
「うふふ、更紗さん、沙織さん、桜狐さん、一緒に帰りましょうか」
 やたらと元気な光が服を着たあと友人達に声をかける
「うぅ、酷い目にあいました」
「何で魔法少女のポーズなんて取ってしまったんじゃろう……」
 だが、四人の中で元気なのは光だけである。他の3人は顔を真っ赤にして両手で顔を塞いでいる。
 その理由には戦闘終了直後に正気を取り戻した一般人に自分達を見られたことがその原因の一端だろう。
「あの、すいません……」
 ミサトはブラウスを男性に返してもらっていた。悲しい出来事でしたね……。
「しかし、お前さ」
「なんじゃ?」
 タオルケットを配ったりして後始末をしていたカトレヤが声をかける。
「なんで今回やたら具体的なアドバイスが出来たんだ?」
「TVの御蔭じゃよ」
「お前もうテレビ禁止な!」
「なんでじゃ!?」
 そんな会話をしながら後はH.O.P.Eに任せよう。そう思って残った一向がその場を後にしようとしたとき、
「あ」
 詩がふと声を上げる。
「どうしたんだい?」
 月が声をかけると詩は全員に向けてそれを言った。
「もし、あのおにーさんが良い英雄と出会ったら、私達と一緒?」
 その言葉に、全員が担架で運ばれる木下さんを見る。
「同僚になる、のか?」
 もしかしたら、スーツを脱ぐ姿にフェチズムを感じる能力者がH.O.P.Eに来る日が来るかもしれない……。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 胸囲は凶器
    廿小路 沙織aa0017
    人間|18才|女性|生命
  • 褐色の色気
    ヘルフトリス・メーベルナッハaa0017hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 映画出演者
    更紗・アーニャ・尋河凪aa0025
    機械|18才|女性|攻撃
  • エージェント
    インニュaa0025hero001
    英雄|28才|女性|ソフィ
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 無邪気なモデル見習い
    レイア・メサイアaa0114hero001
    英雄|12才|女性|バト
  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218
    機械|27才|女性|生命
  • 暁光の鷹
    王 紅花aa0218hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • マイペース
    廿枝 詩aa0299
    人間|14才|女性|攻撃
  • 呼ばれること無き名を抱え
    aa0299hero001
    英雄|19才|男性|ジャ
  • 温かい手
    流 雲aa1555
    人間|19才|男性|回避
  • 雲といっしょ
    フローラ メイフィールドaa1555hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • アステレオンレスキュー
    音無 桜狐aa3177
    獣人|14才|女性|回避
  • むしろ世界が私の服
    猫柳 千佳aa3177hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • ローズクロス・クイーン
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