本部

新しく買い揃える物はありませんか?

師走さるる

形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
19人 / 1~25人
英雄
19人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2016/03/26 19:01

掲示板

オープニング

 別れと旅立ちの季節がやって来た。
 夕方のテレビには卒業式の様子が映し出され、学生達は寂しさに涙を流し。
 夜には送別会を開いてもらい、花束片手に酔っ払った社会人が町を歩いている。

 一方で、新たな出会いや環境に胸を馳せる季節でもあるだろう。
 別れがあれば出会いがあり、旅立った後は新天地が待っている。
 時間はいつだって流れ続けているのだから、悲しんだ後は楽しい準備に追われるのだ。

「見て見て! 制服着るともう高校生っぽくない?」
「四月から嫌ってほど着るんだから、そんなにはしゃがないの」

「このカーテンとラグマットのデザイン良いなぁ」
「それだと予算はみ出るんじゃないか?」
「うっ……ぐぬぬ……」

 入学する為の制服や鞄。お引っ越しの家具家電。
 そんなに大きな変化はないと言う人も、一年の区切りの時期。ちょっぴり部屋を模様替えをしてみようかな、なんて思うかもしれない。
 あるいは春らしく暖かくなってきたこの頃。新しい服でも見に行きたい気分になったりして。

 あなたも、何か新しく買い揃える物はありませんか?

解説

友人や大切な人とお買い物を楽しもう! と言うだけの日常シナリオです。
この春に入学するぞ、と言うキャラさんは制服などを買いながら英雄とこれからの生活を語り合っても良いですし、春もの見に行くぞ、と言うキャラさんはお友だち同士で試着しながらきゃっきゃうふふするのも良いでしょう。
春とか何とか関係ないけど恋人と町でお買い物デートがしたい! と言うのもアリです。

場所は駅前通りで、立派なデパートから小さな雑貨屋さんまで沢山のお店があります。
勿論喫茶店やファストフード店もありますので休憩するのも良いかもしれません。
お買い物途中で友達とばったり、なんてシチュエーションもOK!
(イベントなのであれこれするには字数がキツイかもしれませんが)

あなたは誰と何のお店に、どんな風にお買い物を楽しみますか……?

※注意※
お買い物はあくまでリプレイ上の描写となります。
実際にアイテムを得たり所持金が減少する事はありません。
また、こちらはエージェント達が日常を楽しむだけのお話なので報酬はありません。
※注意2※
友人間でお約束のある場合は、出来ればお互いのプレイングにお相手の名前を入れて下さい。
特に手を繋ぐなどの行動は、双方に同意があると読めない場合は不採用にさせて頂く場合があります。

リプレイ

●新しいものを揃えよう

 三月。雪もすっかりと溶けてきて、桜さえ咲き始めたこの頃。
 駅前には新しい生活を迎える為に、またはぽかぽか陽気に誘われた買い物客が行き交っていた。

『正しい生活を送る為のモノを買おう!』
『……は? 不自由してねえし……』
『アタシは不自由!』

 そんなやりとりを経てやって来た麻端 和頼(aa3646)と華留 希(aa3646hero001)も新しい生活を始めた内の二人である。
「次はあのデパートに入ってる電器屋さんね!」
「もう適当なヤツ買って帰ろうぜ……」
 スマホのナビを確認しながら和頼の腕をぐいぐいと引っ張る希。
 少しでも安い物を、とあちこちの店に連れ回されている和頼はもう既にくたくただ。
「何言ってんの。あたしも和頼も今じゃ普通の駆けだしエージェントなんだから、1Gだって大切にしなきゃ」
 もう犯罪者でも何でもない。借りたばかりでまだ閑散とする部屋と同じ、真っ新で自分達の手で好きなように調えていける。
 これから普通のエージェントとして生きていく為に、一つずつ必要なモノを揃えていくのだ――
 
「み、見てよ和頼! 電子レンジがあんな値段でっ」
 そう。今の生活に必要な物。それは電子レンジであった。
 辿り着いた場所は選り優りの特価品売り場。値段は魅力的なものの、子供の新生活の為か丁度買い替えたい頃合いだったのか。主婦達がそこ退け押し退けでせめぎ合っていた。
「和頼! ゴー!」
「は?! あんな所入れる訳……」
「つべこべ言わずに行くのよ!」
「……ちっ、仕方ねぇな」
 そう舌打ちすると、和頼は主婦軍団相手に果敢に立ち向かって行く。
 ガタイの良い体をねじ込み、頬が押し潰されそうが脇腹に肘が決まろうが耐えて進むしかない。
「ぐ……」
「ぎゅむむ……」
 その隙間から希もずいっと潜り込んだ。希一人では簡単に弾き飛ばされそうなこの戦場も、190cm近い和頼の大きな体が周囲の客を妨害してくれる。
 そして数分後。
「へへ! 作戦勝ち!」
 見事ゲットした希は誇らしい笑顔で。対する和頼はボロボロの姿で戦場から脱していた。
「この作戦いいかも。和頼、次行くよ!」
「マジかよ……」
 項垂れる様子も気にせず、希は和頼を壁に、時には囮にして次々とお買い得品を手に入れていく。
 他の主婦達に負けず劣らずなその勢いに、和頼の頭の中ではいつしか百戦錬磨の妙齢主婦となった希が戦利品の横で高笑いする光景が浮かんでいた。
「……おめえの将来、おっかねえよ……」
「何か言った?」
「……何でもねえ」
「それより次は家具を揃えに行くよ! 可愛いベッドやサイドテーブルも必要だよね!」
「……はあ」


 電器屋から階を移るとおもちゃ屋が入っている。子供達が嬉しそうにはしゃぐその店の一角で、犬や猫の可愛らしいイラストが描かれた箱を前に、一人の大男が立っていた。
 腕を組み三白眼でじっと見つめる土御門 晴明(aa3499)の雰囲気は近付き難いのか、そこだけ客が寄りついていない。
「ハルちゃん、ハルちゃん」
 いや、一人だけ可愛らしい子供が駆け寄ってきた。腕に零れそうな程のおもちゃを抱えた天狼(aa3499hero001)だ。
「……そんなにいらねェだろ」
「全部、遊んでみたら面白かったよ。きっとお犬さんたちも喜ぶ」
「遊んだのかよ」
 大きな溜息を吐き、少しは減らしたらどうだと洩らす。それでも天狼は変わらずきらきらした瞳で見つめてくるばかりだ。
「……本当に全部必要なんだろうな?」
 晴明は悩んだ末に目の前のペット用おもちゃを手に取り、天狼と共にレジへ向かった。
 ……何だかんだ言っても天狼には甘いのだ。

 左手にはぱんぱんに詰まった紙袋。右手ではぎゅっと抱きついてくる天狼を抱え、晴明が次にやって来たのは家具屋だった。
「これなんかどうだ?」
 そう勧めたのは、天狼の背丈と同じくらいの本棚。
 晴明につられて本を読み始めた天狼だが、余った本棚を与えたところお気に召さなかったらしく、新たな本棚を欲しがっていた。
「んー。他のも見て、もうちょっと考える」
「ああ。ついでに俺も自分の分見てるから、じっくり考えておけ」

 同じ店では天狼ほどの小さな子供がもう一人、ぱたぱたと楽しそうに商品を見て回っていた。
「え~っと、御布団はあるから箪笥と三面鏡……。あっ、あと文机と座椅子、本棚があれば問題無いかな」
 この世界に現れて少しの時が経ち、現代生活にも慣れてきたこの春。伊邪那美(aa0127hero001)は自分の部屋を貰った。
 さあ、独り立ちの準備を整えるよ! と意気込み訪れた店だけに、彼女の表情はうきうきとしている。
「大きさと頑丈さの確認が出来たら、あとは色を決めるだけだろ? なぜそんなに時間が掛かるんだ?」
 一方、突っ立っているだけの御神 恭也(aa0127)は少々退屈していた。
 顔には殆ど出さないし、伊邪那美が楽しそうにしているのは良い事なのだが……恭也自身には特に用事もなく、会計と配送の手配の為に連れて来られただけである。
「はぁ~、判ってないな恭也は。一つ一つは良くても合わさって配置されたら調和がとれないかも知れないんだよ?」
「そういうものなのか……?」
「そうそう。頭の中で組み合わせて一番調和のとれた組み合わせを見つけないとダメなんだから」
 ビッと人差し指を立てて説明する伊邪那美の言いたい事はわかった。
「……つまり、まだ時間が掛かるという事だな?」
「おっ! あっちに可愛い座布団を発見!」
 答えを返す暇もなく、ぴゅーっと矢絣模様の座布団に向かっていく伊邪那美。
「女の買い物は時間が掛かると言うのは本当だな」
 やれやれと恭也は息を落とし、適当に店の中を見回す。
 するとカウンターでなにやら細かに注文している、見覚えある男の姿があった。
「それじゃ、この感じでお願いします。会計は連れの買い物が決まったら、一緒で」
「ん……? 土御門さん……?」
「お? ミカミじゃねェか」
「オーダーメイド……か? ここはそんなサービスもやっているんだな」
「ああ。新しい本棚をと思ったんだけどよ、中々丁度良いのが無くてな。そっちは?」
「俺は――」
「恭也ー、決まったよ! って、晴明ちゃん!」
「なるほど、イザナミの付き添いか」
「うん。実はね、この春からボク、自分の部屋を貰ったんだー!」
 伊邪那美が楽し気に自慢を始めると、今度は天狼が三人の下へとやって来る。
「ハルちゃん、決めた……おや、伊邪那美君ではないか」
「天狼ちゃんもお買い物してたんだ!」
「うむ。私もハルと共に本棚が欲しくなってね」
「そうか。買い物途中に引き止めてすまなかったな」
「いや、待ってる間の良い暇つぶしになった。それじゃ、ソラが決めたヤツ見てくるから」
「うん、またねー!」
「失礼するよ。また依頼で一緒になったらよろしく頼む」
 と、尊大な態度で別れの言葉を残す天狼だったが、晴明を本棚の前に連れて行くとすっかり甘えたがりに戻っていた。
「ハルちゃん、これボクの」
「よかったな」
 子供らしくぱっと笑い、結局最初に見ていた本棚に嬉しそうにしがみ付く天狼に、晴明は心の中で思う。
(前のと大きさ変わってねぇんだけどな……)


 大半の者が家具や服を見に行く中、五行 環(aa2420)と鬼丸(aa2420hero001)のお目当てだけは少々珍しい物だった。
「和尚の曲録ボロボロだしな。新しく買ってやるか」
「曲録?」
 耳慣れない言葉に鬼丸が聞き返す。
「おぅ、法会のときに坊主が座る椅子だ」
 そう、二人が訪れたのは仏具店だった。
「アイアンパンクって調整とかに金かかるだろ? しかも俺は失敗作。そんな俺を和尚は拾って育ててくれた」
 捨て子だった環を育ててくれた和尚。今は病に伏せっている彼に恩返しするのが、環の願いなのである。
 傍からは金の亡者に見えようともタダ飯、食い放題と食費を浮かせる依頼に入り続け、塩を舐め、節約生活を送ってきたのもその為。恩返しとしてボロ寺を存続させる為であった。
「途中でグレたりして、自分は世の中のゴミだって思ってた俺がエージェントっつう自分の存在意義を見つけられたのも和尚のおかげなんだ。だから今度は俺が和尚に恩返しする番だって思ってんだ」
 普段は坊主らしからぬ言動をする環。だが今日の環はどうだろう。相応しい穏やかな笑みを浮かべ、素晴らしい事を述べているではないか。
「お前……やっぱイイ奴だよな。お前とダチになれてオレは幸せだぜっ」
 情に厚い鬼丸の涙腺は簡単に決壊し、滝のようにぶわりと涙を流す。
 春。希望に満ち、清く汚れがない雰囲気のこの季節。じんわり感動する話がよく似合う。

「――あと少し値切れ! DVD買えねぇじゃねーか!」
「申し訳御座いませんがお客様、当店で値切りというのはちょっと……」
「ちっ、仕方ねぇな曲録はまた今度に……」
「お前ってヤツは……」
 春。希望に満ち、清く汚れがない雰囲気……のはずのこの季節……。
 坊主は簡単に恩返しを延期した。
 おそらく、本当に彼らにお似合いな春の表現は、桃色の季節だったのではないだろうか。

 何故ならCDショップで大声出す環の言葉は。
「ええ!? 桃色DVD第三作が、売り切れだと! 嘘だろ!?」
「おい、どうするんだ環。やっぱり曲録買いにデパートに戻るか?」
「……だが鬼丸。他にも店はまだまだある。となると、どうするか。男ならわかるだろ?」
「――桃色の」
「DVD!!」
 それが掛け声だったかのように、しゅぱっと退店する二人。併設された本屋のレジからその様子を見ていた金獅(aa0086hero001)もけらけらと笑っていた。
「何かよくわかんねーけど、DVDの為にあんなリアクションってすげーな」
「……そうですね。ああ、有難う御座います」
 そんな金獅を気にも留めず、宇津木 明珠(aa0086)は目的の新刊を受け取る。
 騒がしかった男達とは違い静かに自動ドアを潜ると、明珠はそのまま歩きだした。
 帰路に着く。そう思っていた金獅とは反対側に。
「どこ行くんだよ? 帰り道そっちじゃねーぞ?」
「靴」
「あ?」
「靴を買います」
 五ヶ月前、H.O.P.E.に入る時買った靴はもうボロボロになっていた。
 それだけ二人で頑張ってきた証だ。けれど明珠は多くを口にはしない。
「大規模作戦の前に履き慣れた方が良いでしょう」


●服を買い替えよう!

「ほら、ここだ。最近出来たショッピングモール」
「わあ……! 素敵な場所ですね」
 中城 凱(aa0406)の言葉に、美森 あやか(aa0416hero001)はその建物を見上げる。
 あやかは始め、親友であり凱の英雄でもある礼野 智美(aa0406hero001)と共に服を見に行く約束をしていた。それを聞いた凱がここを勧めてきたのである。
「こういう時はエージェント講習も冠婚葬祭も学生服で済むお前らが羨ましいよ」
(そういえば、エージェント登録してすぐ調達した服に、就職活動用のスーツみたいなの買ってたっけ、二人共)
 あやかと智美が来たのは秋の始めだった。その為にまだ春物を持っておらず、この半年程度で貯めた資金で春~初夏物と冠婚葬祭用のスーツを一つ買う予定らしい。
「それでも私服は何とかなってるだろ」
「まあ……俺は凱の服を借りたり、着物を着れば良いからな」
(着付け出来るんだよな、こいつ)
 殆ど男にしか見えない智美。しかも着付けが出来るとなれば、凱の祖父達が幼かった頃の着物もある。
 そんな智美とは違い、あやかは私服に困っていた。
 女らしく、可愛くて小柄。それに着物にも慣れていない。買い物と言えばいつもは年配の客が集まる近所の商店街であった。
「良かった。ここなら可愛い服もありそうだね、あやかさん」
「ええ、とても助かります」
 その事を心配していた契約者の離戸 薫(aa0416)も、あやかの笑顔を見て嬉しそうに笑う。
「薫。二人が買い物している間に、オレと映画でも見てこないか?」
「いいね。今なら凱も見たいって言ってたやつ、まだやってるよ」
「じゃ、映画終わる時間に出入り口で待ち合わせという事で」
「じゃあ、また後で合流しましょうね」
「OK、さっさと澄ませて来いよ」

 女性陣と別れた凱と薫は、ポップコーンを片手にスクリーン前にゆったりと座る。
「智美はともかく、あやかのは色々気恥ずかしいしな……」
「うん……特に下着類は……僕と凱、絶対場違いだよ」
 スクリーンにはシリーズものの最新作が映し出され、主人公の男が早速集団に襲われていた。
「たまには良いな。こう言うのも」
「小学校の頃はともかく、あやかさん達が来てからはなかなか二人じゃ遊べないからね。あ、今の凄くない?」
「でもあれスタントだろ?」
「いや、この間テレビで本人がアクションしてるって言ってたよ」
「マジか! ってそう言えば、リンカーになったオレ達も似たような事やってるんだよな」
「あはは。そうだったね。この前の依頼の時なんかはさ――」


 スクリーンの物語が進んで行く頃、また新しいグループがショッピングモールに訪れる。
「皆でお出かけ嬉しいな♪」
 亜莉香(aa3665hero001)は白いリボンとふわふわの髪を揺らし、ご機嫌に歩いていた。
 保護者代わりの綺月 緋影(aa3163)が何やら買いたい物があると言うので、メリオル(aa3163hero001)と蒔司(aa3665)、そして亜莉香の四人でお買い物にやって来たのだ。
 ……が、実はそれは建前で。
 緋影の真の目的は二人を好きに遊ばせる事であった。
(蒔司は特に遠慮しすぎなんだよな。お子様なんだから我侭言うくらいでいいんだが)
 訳あって保護している二人にはまだ警戒されている。それ自体は気にしていないものの、保護者の緋影としてはもう少し甘えてほしいと思う。
(俗世にも疎いし、こういうとこ来たことねえんだろうなぁ。ちったあ楽しんでれくるといいが)

 前を歩く子連れの客を微笑ましく見つめながら、ヴァルトラウテ(aa0090hero001)と赤城 龍哉(aa0090)も同じ入口へと向かっていく。
「やっと暖かくなって来ましたわね」
「とりあえず、春物でも見てみるか」
 二人は特別これを買おうという物は決めていない。ただ何となくモール内を歩き、目に付く店にふらりと立ち寄る。そんなウインドウショッピングの予定であった。
 とは言えヴァルトラウテの艶やかな銀の髪、白い肌。美しく神秘的な顔立ち。
 服屋に入って試着をしていると、店員がはっとした様に彼女を見た後、幾つかの服を掴んでやってくる。
「お客様ならこちらのワンピースもお似合いですよ! 是非試着してみませんか」
 こんな美女に自慢の服を着てほしいと思うのか、それともコーディネイトをしたいと言う欲に駆られるのか。
 お世辞ではない褒め言葉とぴったりと似合う組み合わせに、ヴァルトラウテの荷物がついつい増えていく。
「ふふ、また少し買ってしまいました」
「俺が荷物持ちってのはあれか、お約束か」
「お願いしますわね」
 にこりと綺麗な笑顔で言われては仕方ない。龍哉は荷物を受け取り、店を出る。
 と、向かい側の店では、

「ねえねえ、智美! 見て下さい! これ、すっごく可愛いです!」
「うん、あやかに良く似合ってるよ」
 きゃっきゃと嬉しそうに可愛らしい姿を披露する美少女と、それを褒め称える美少年。
「……でも、あやか。これ、買い過ぎじゃないか?」
「う……駄目、でしょうか……」
「ま、あいつらに持たせれば良いか」

 そんな光景が目に入り、ヴァルトラウテがまた穏やかに微笑んだ。
「ふふ。あんな風に二人で服を見て……デートでしょうか」
「中学生でデートか。俺はあのくらいの時は修業してたぜ」
「今も、でしょう? それにしても、今日は休日な所為か子供が多いですわね」
「あー、春休みにも入ってるだろうしな」
「ほら、あそこにも――」


「ジロー! たくさん人がいる!」
 そう言って武 仁狼(aa3793)の隣をちょこちょこと付いて歩く小さな姿。
 小狼(aa3793hero001)はキラキラと瞳を輝かせ、行き交う買い物客を楽しそうに見つめていた。
「ジローじゃない! ジンロウだ! ……浮かれて迷子になるんじゃないぞ?」
「うん!」
 その元気な返事はおそらく、後者の言葉に向けたものだろう。明日にはまた間違われるに違いないと思いつつ、仁狼は小狼を服屋へと連れて行く。、
「おい、ちょっと来い」
 仁狼に呼ばれた小狼は素直に試着室へとついてくる。そして、目の前に突き出された子供向けの柄が入ったTシャツに、うー? と首を傾げた。
「これなに?」
「お前の服だ。それじゃ動きにくいだろ」
 それ、と指した小狼の着ている服は仁狼のTシャツだった。勿論小狼には大きくてダボダボになっている。
 そういう訳で仁狼はなけなしのお金を集めて、新しい服を買いにやって来たのだ。
「ほら、万歳しろ万歳」
「んー!」
 ぴっと挙げられた小さな両腕からすぽんと大きな服を脱がし、その上から持っていた子供服を再びすぽりと被せる。
「よし、サイズは丁度いいみたいだな。どうだ? この方が動きやすいし格好良いだろ?」
 そう問われた小狼は今までと違うぴったりの感覚に小さく唸ると、ぺたぺたと服に触ってみたり、体を動かして服のあちこちを眺める。
「……くんくん」
 やがて試着している服と、今まで着ていたTシャツの匂いを嗅ぎ始めた。
 もう一度、新しい服。仁狼の服。新しい服。仁狼の……
「オレ、こっちの方が好き!」
 無垢な笑顔でぎゅっと抱きしめたのは、仁狼のTシャツであった。動きにくくても、どうやら慣れ親しんだ匂いの方が安心するらしい。
「……だめ?」
「…………勝手にしろ」
 照れ隠しをするように、仁狼は小狼を再び着替えさせる。
「うきゃー!」
 Tシャツに隠された視界で仁狼の顔は見えていないが、小狼もどこか楽しそうに声をあげていた。

「――小狼」
「うー?」
 結局服を買う事なく終わってしまった今日のお買い物。
 だから、すっと差し出す。小狼も大好きなお菓子を。
 お金が余ってしまったし、付き合わせてしまったお詫びもあるし。それに――
「ジロー! ありがと!」
 ぱっと笑った小狼は、仁狼へと無邪気にがばっと飛びついた。
「うわっ、あ、あんまりくっつくな!」
 まだ狼への苦手意識は消えないが、こんな春の出来事も悪くはないだろう。


 何も買わない事を選ぶ子供もいれば、存分にお洒落を楽しむ子供もいる。
「蒔司ちゃん見て見て、この服どうかなあ?」
 亜莉香はそう言って白いプリーツスカートをふんわりと広げていた。トップスも白で合わせたその格好は相変わらず妖精のように可愛らしい。
「おんしが好いちょる物を選べばええよ」
 蒔司が頭撫でてそう答えると、今度は可愛らしくフリルの付いた花柄のワンピースを着てみせる。
 亜莉香ならどんな服でも似合う。勿論この服も十分に可愛らしかった。
 しかし正直、正確な違いなど蒔司には分からない。
 くるりと回って訊ねられても、また同じ言葉を繰り返すしかなくて。
「もー、どれも良いって言ってばかりじゃ決められないでしょっ」
 むーっと膨れ面の亜莉香に蒔司は頬を掻く。けれどそんな可愛らしいお咎めもほんの数秒。
「蒔司ちゃんが本当にそう思ってくれてるのは知ってるけど、ね」
 蒔司の想いはきちんと伝わっているようで、亜莉香はにこっと笑いかけた。
「少しずつ、ひーちゃんやめーちゃんにも素直になってくれたら、ねー」
 ただ、その言葉にはまだ、苦笑いをするだけで。

「蒔司様も亜莉香様も何を着てもお似合いになられて、服の選び甲斐がございますね。このメリオル、全力でコーディネートをして差し上げましょう」
 そんな二人は、遠くで光る緑の瞳に気付く事はなかった。
 すっかり意気込んだメリオルの手が、亜莉香に似合うフリフリの服を捉えようとする――瞬間。
「おや」
「おっと」
 誰かの手と衝突してしまった。
 太くしっかりとした声。こんな可愛らしい服ばかりのコーナーで手がぶつかり合ったのは、メリオルとそう年の変わりない男、狒村 緋十郎(aa3678)であった。
「何をしているの緋十郎。ぐずぐずしてないで、早く持ってきて頂戴」
 試着室からひょっこり顔を出して緋十郎を呼ぶのは、彼より一回り以上も年下の金髪少女レミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)。
 だがどうやら立場はレミアの方が上であるらしく、緋十郎はひたすら彼女に謝った。続いて目の前のメリオルにも頭を下げる。
「すまなかったな」
「いえ、こちらこそ失礼致しました。……お嬢様のお買い物でしょうか」
「ははは……」
 緋十郎は曖昧に返事を濁すと、改めて取った服を加えた数枚を抱えてレミアの下へと駆け寄った。

 ――それは数日前の事。
『なあ、一つ提案なんだが……。今度の休みに買い物、行かないか? 行き先は、まだ秘密だ』
『わたしに隠し事をするつもり? 緋十郎のくせに大きく出たわね。……まあ良いわ。きっとまた何かわたしのために、考えてくれてるのよね?』
『ああ、当日のお楽しみ、ってやつだ』
『許すわ、わたしと買い物に行けること、幸せに思いなさい』

 そんなやり取りをして迎えた貴重な休日。緋十郎がレミアを気遣い休憩を挟みながら連れて回ったのは、様々なブランドの服屋だった。
 緋十郎の考え。それは、レミアに新しいドレスをプレゼントしようというものだった。
(……まあ、そこまで蓄えがある訳じゃなし……せいぜい一着位しか、買ってやれないとは思うが……)
 その時、シャッとカーテンの引かれる音が聞こえ、緋十郎は思考を止めて顔を上げる。
「この服はどうかしら? まあ、わたしに似合わない事なんてないと思うけれど」
「っ!」
 春らしくやや薄手の黒いロングドレス。フリルの襟の下には編みあげられた細いリボンが結ばれ、腰にはそれよりも大きな黒のリボンが揺れている。フリルフレアの重なったスカートも可愛らしいが子供っぽくなり過ぎず、緋十郎はその姿に色気さえ感じていた。
 数秒見惚れてしまった後、口元を押さえて伝える。
「……凄く、いいと思う。今までのも良かったが、特に」
 我儘を言われ、何度も着替えを待たされ、最終的にその荷物も持たせられる。世の中の男にはそんな女の買い物に付き合うのは苦痛だという意見もある。だが緋十郎は思うのだ。
 馬鹿を言え。惚れた女の色んなドレス姿が見られるなんて、眼福の極みだろうが。
 なんて、本人の前では口が裂けても言えやしないが。緋十郎の脳内からはありとあらゆる賛辞が溢れ出そうになっていた。
「その……本当なら今までのも全部買ってやりたいんだが……」
「良いわ、緋十郎の意見、採用してあげる。一着で充分よ。……大事に着るわ、ありがとう」
 今日の労力に見合った……否、十分過ぎる程の言葉と微笑み。
 今は一着しか買えなくとも、いつかまたお金を貯めてレミアに贈ろうと緋十郎は思うのだった。

 緋十郎とレミアがドレスを買い終えた頃、亜莉香達もまた買い物を終えていた。
「綺月さん……も、買い物済んだのか?」
「俺の買い物? おう、終わったぜ。ほれ、お前の服。成長期なんだから必要だろ」
「此れをワシに? わざわざこんな事せんでも……」
 相変わらず遠慮してしまう蒔司に、つんつんと突く細い腕。それでようやく素直に受け取る事が出来た。
「あ、ありが、と……」
「あとな、ほら。本。お前どんなのが好きか言わないから俺とメリオルで適当に選んじまったが……楽しい、冒険の話だ。こういう世界もあんだぜ」
 にや、と笑う緋影に蒔司は続けて小さな声で言う。
「本も……亜莉香と二人で読ませてもらうきに……」
「蒔司様、荷物はわたくしがお持ちしましょう」
「え? そ、そこまでしてもらわんでも――」
「……お嫌ですか? わたくしの仕事を奪われると困るのですが……」
 しゅん、と表情を翳らせるメリオルにう……とたじろぐ蒔司は、結局その荷物を預けてしまう。
「亜莉香、おなか空いちゃった! 苺とクリームいっぱいのパンケーキ食べたいなっ」
 瞬間メリオルの表情は晴れやかとなり、今度は亜莉香に言った。
「亜莉香様はパンケーキでございますか。では、おいしいお店にご案内致しましょう」
「わーい!」
「い、今の、演技じゃったんか……!」


 わいわいと店の前を通り過ぎて行く騒がしさ。
「これ、可愛くないー?」
 ふとそれに気を取られていたN・K(aa0885hero001)は、早瀬 鈴音(aa0885)の声に視線を戻す。どうやら試着が終わったらしい。
「鈴音。そんな短いのじゃ恥ずかしくないの?」
 鈴音が楽しそうにポーズを取って見せつけるそのホットパンツは、確かにN・Kも可愛らしいデザインだと思う。しかし、その下からは健康的な脚が大胆に晒されていた。
 もっとも、鈴音はあまり気にしていないようだが……。
「恥ずかしいとか気にし過ぎなんだって、ファッションじゃん?」
「それでももう少し落ち着いたものを……ほら、これとかどう?」
 そう言ってN・Kが持ってきたのは、露出の少ないワンピース。飾りはきゅっと胸の下を絞る紐のみで、端の方に葉と蔦のモチーフが少しばかり印刷されていた。
 控えめなそのデザインにに、今度は鈴音がんー、と難しい顔をする。
「てかドレスの時、肩とか胸出してるN.Kのが恥ずかしくない?」
「ドレスはああいうものなのよ。あと胸出すとか人聞き悪い事言わない、胸元ね」
 いつも季節ごとに買い物に行く二人。冬物も流石にきつくなり、そろそろ考えても良い季節だと来たのだが、相変わらず服の趣味が違う。
 ただ、そんなやり取りも色んな服を見て回るのも楽しくて。
「じゃ、今度はあっちのお店行ってみよー!」
「え? 鈴音、ちょっと……」
 着るだけ着た商品を元に戻すと、鈴音は何も買わずに店を出る。
 次に向かったのは少し雰囲気を変え、ゴシック系の服を扱うお店だ。
「こういうのならどう? N.K、ちょっと着てみてよ」
 今度はN・Kが着る番だと、鈴音に強引に押し付けられたレトロ風のドレス。
 あまりに大人っぽいデザインに躊躇うN・Kだったが、「私は何着てみよっかなー」と呑気に自分の服を探し始めた鈴音を見て、仕方なしに渡されたドレスに着替えた。
「おおー! いいじゃん、似合ってるよN.K!」
「そ、そう……?」
「流石大人だよね、私じゃまだあわなそだし」
「何だか大人っぽ過ぎて緊張するわ」
「普段もドレス着てるじゃん、御仕事中」
 今度はN・K自信が華やかな花柄のドレスを見つけると、ひらりと鈴音に見せつける。
「お花のドレスは可愛い感じじゃない?」
「あ、それもN.Kに似合ってる! じゃ、私はこっちを着てみよっかな」
 それからも鈴音とN・Kは何も買う事のないまま、二人でファッションショーを続けていた。


 ――一体ここまでで、幾つの服屋を通り過ぎただろう。
 靴を買う。そう言った明珠がずんずんと進んでいくのを追ってようやく、金獅はモール内の靴屋に辿り着いた。
 その足元も明珠と同じくボロボロである。
 金獅は早速、視界に入ったスパイクの付きの登山用スニーカーを試し履きした。
「おー、これかっけー! 動きやすいし良いんじゃね?」
 今までの靴が馴染んでいた分少々違和感はあるが、履き心地は良い。
 明珠は以前とあまり変わらない黒いローファーを手に取る。
「……すみません、これをお願いします」
 そして古い靴は、袋に入れて。
 二人は新しい靴のまま一歩を踏み出し、再び明るい店達を通り過ぎて行く。


「ショッピングショッピング♪」
 まだまだショッピングモールの賑やかさは増していく。
 餅 望月(aa0843)がうきうきと歌いながら通路を歩いていた。
 隣を歩く百薬(aa0843hero001)も楽しくなってリズム良く乗る。
「ういんどー」
「こら百薬、本当の事を言うんじゃありません」
 店と店とのど真ん中での買いません宣言。さすがの望月も突っ込みをいれつつ、少しだけ早足になってその場から立ち去っていく。

「面白い人達ですね、お姉ちゃん」
 すれ違った不思議な二人組を眼鏡に映して、メリュジーヌ(aa2206hero001)は言う。
 理知的に見える小麦肌の彼女がお姉ちゃんと呼んだのは、中学生ほどに見える少女、白雪 煉華(aa2206)だった。
「ふふ。そうだね、メリュジーヌちゃん」
 優しく笑う煉華の態度も子供に対するそれであった。大人に見えるメリュジーヌは実はもっと幼くて、煉華は成人してから大分経っている。そんな外見年齢逆転の仲良し姉妹が向かったのも服屋であった。
 色々と見るつもりではあるが、まずは春物探し。メリュジーヌはコートを試着し、その間に煉華はストールを眺めていく。
 幾つも並んだその中から淡い水色の物を選ぶと、ふわりと白い肌の上に巻きつけた。
 鏡の前で体を捻って確認すると、気に入ったらしい煉華はメリュジーヌにも見てもらおうと呼びかける。
「ねえ、メリュジーヌちゃん。これはどうかな……メリュジーヌちゃん?」
 メリュジーヌがいたのはそう離れた場所ではない――のだが、しょんぼりと肩を落とす彼女に届いていなかったようだ。
 中身は兎も角、その豊満な胸と長身。コート探しの最中にメリュジーヌの目に留まった可愛らしい子供服は、もちろんサイズが合わなかった。
 渋々と服を元の位置に戻す子供らしい姿を目撃してしまった煉華は、何も言わずにそっと微笑んでいた。

「――わあ! キラキラがいっぱいで、眩しいくらいです!」
 服選びを終えた煉華とメリュジーヌはアクセサリー店に訪れていた。
 宝石店とは違いそれほど高価な物はないが、二人にしてみれば十分に輝いて見える物ばかり。
「お姉ちゃん、何を買うんですか?」
「うーん。私って言うよりは……折角一緒にお買い物に来たんだし、お揃いの物を買わない?」
「……お揃い」
「うん、お揃い」
 その言葉にメリュジーヌの顔が周囲のアクセサリーのようにぱあっと輝いていく。
「メリュジーヌちゃんはどんな物が良い?」
「えっと、えっと……あ! これはどうですか」
「雪の結晶のイヤリング……?」
「綺麗ですし、何より……お姉ちゃんみたいだって思ったんです。駄目、ですか?」
「ううん。私の事を考えて選んでくれたんだよね。とっても嬉しいよ」
 同じデザインのイヤリングを二つ買い、続いて向かったのは可愛らしいぬいぐるみを扱うお店。
 クマに猫、犬にペンギン……。メリュジーヌは店をぐるりと見回して、やっぱりキラキラと目を輝かせていた。
 けれど今はイヤリングを買ってもらった直後。お金には限りがあるし、あれこれ買えないのはわかっている。部屋だってぬいぐるみでぎゅうぎゅうにする訳にもいかない。
 ただ、一つくらいは。この大きな猫さんくらいは。
「……おねえちゃん」
 ぎゅっと可愛らしいぬいぐるみを抱くメリュジーヌの姿に、煉華は「仕方ないわね」と苦笑しながらレジに向かって行った。


「……買い物じゃ」
 括れた腰に手を当て、カグヤ・アトラクア (aa0535)が呟く。
「……買い物だね」
 面倒くさそうに、クー・ナンナ(aa0535hero001)が返す。
「イレブンナインの半導体を――」
「売ってる店ないだろうね」
「蜘蛛の養殖販売始めたいから稚児を――」
「掃除の時に燃やして捨てるよ」
「新居を――」
「犬小屋なら建ててあげるから、そっちに住みなよ」
 食い気味に、辛辣に。
 クーの的確なツッコミはカグヤの脳内お買い物リストをばっさばっさと斬っていく。
「……お、遊夜がいるから遊んでやろう、うん」
「一般生活に関しては、本当に駄目人間だよね」

「ふむ、もう入学の時期か……ガキ共も大きくなったもんだ」
 そんな事は露とも知らず、麻生 遊夜( aa0452 )はしみじみと孤児院の子供達を思い浮かべていた。
「……ん、一大イベント、おしゃれさせるの」
 ユフォアリーヤ(aa0452hero001)も遊夜に抱きついたまま、くすくすと楽しそうに笑っている。
「そうだな、ついでに春物でも見ていくか」
「……ん!」
「わらわも手伝ってしんぜよう!」
 そこにばばーん! と現れたのは一目でわかる蜘蛛の巣柄の着物と黒髪。勿論、カグヤであった。
「春物選びを手伝ってくれるらしいぞ?」
「……ん」
 完璧に善意からなのだが、普段は行いの所為だろうか。ユフォアリーヤはぎゅっと遊夜を掴み、むむむっとカグヤを警戒していた。

 ――そしてここにも、契約者の服をぎゅっと掴む者が一人。
「ら、ラシル……お姫様の衣装はそんなに沢山必要ではないのだけど……わざわざオーダーメイドまでしなくても……」
 月鏡 由利菜(aa0873)は海外でも名高いブランド店に訪れていた。と言うのも、リーヴスラシル(aa0873hero001)がまたプリンセスドレスを発注していたのである。
 高級な店構えに相応しく、由利菜は臙脂色の上質な布に紫のフリルをあしらったドレスを纏っていた。
 正確にはこの店だからと言う訳でもなく普段からこのドレスを着ているのだが、その姿がリーヴスラシルには誇らしい。
「高貴な者には高貴な物が相応しい。私は是非、ユリナに身に纏って欲しいのだよ」
 そう言ったリーヴスラシルが着ているのは、大きな胸を強調するかのような黒のインナーに白のスーツ。そして真っ赤なルージュを引いていた。まだ正式赴任はしていないがこの春より教師になる為、この様な格好をしている。
 まだ遠慮する由利菜をエスコートしながら店員を呼び付けると、リーヴスラシルは早速そのドレスを確認する。
 やや開いた胸元に、たっぷりと付けられたフリル。ぱっと目を惹く美しい純白のドレスを、リーヴスラシルは満足そうに眺めた。
「ふむ、これなら良いだろう。ユリナはどうだ?」
「え、ええ……でも私、本当にこんな素敵な服、貰っていいのかしら」
 それでも店員も得意げに語り、リーヴスラシルも是非と勧めるものだから、由利菜はおずおずと試着室に入っていく。
 どの様な美しい姿を見せてくれるのだろうとリーヴスラシルが待っていると、店内に聞き覚えのある艶やかな声が響いた。
「ほれ、早く入らぬか」
「ちょっと待ってくれ、カグヤさん。流石にこんな店で買うほどの金、俺は持って無いぞ?」
「安心せい。遊夜の財布が空っ欠なのはわかっておる。雰囲気を掴むだけじゃ」
「……ん!」
 カグヤに連れられた遊夜とユフォアリーヤ、そして眠たげなクーであった。
「ごきげんよう。こんな所で奇遇だな。カグヤ殿も買い物か?」
「まあ、そんなところだ。……ん? 月鏡さんの姿が見えないが……珍しいな」
「遊夜とユフォアリーヤのように、常に一緒におるものかと思っておったがのう」
 リーヴスラシルが由利菜に贈り物をした事を彼らに説明していると、そこにプリンセスドレスを纏った由利菜が戻ってくる。
「み、皆さん……! どうして、ここに……」
「へえ、こいつはすげえな」
「ほう。良いセンスをしておるのう」
 口々に褒められて、由利菜は頬はぽっと赤く染まっていく。
「皆もどうやら買い物に来ていたらしい。それより由利菜、良く似合っているよ」
「あ、有難う……」
「私の国は……陛下は今、どうなっているか分からない。だが、私の今の『主』は紛れもなくユリナなのだ……」
 リーヴスラシルより贈られたドレスと言葉。その上こうして紫の瞳で真剣に見つめられては、由利菜も改めて主君として扱われている事を実感する。
「ラシル……」
 今度は褒めてくれた事ではなくドレスを買ってくれた事へのお礼を口にすると、二人はカジュアルな服を見て回る事にした。

 一方、遊夜とユフォアリーヤは予定通り、あれは違うこれは違うと子供に見合う服を探していた。
 しかし、遊夜が選べば無難で似たりよったり。ユフォアリーヤが選べば露出多め。
 なかなか二人を中心には決まらなかった。
「すまん、俺のセンスではここまでだ……」
 ここは自信満々なカグヤに任せるしかない。何か危険なものを選ぼうとすれば、ユフォアリーヤが止めるだろう。
「……ん!」
 とその意思を汲み取って、小さく意気込むユフォアリーヤ。
 そんな彼女に課せられたのは。
「しかたないのう。ユフォアリーヤ、これを着て見るが良い」
「!」
「クーはこれじゃ」
「えー……」
 心配したような危ない服は一切無かったが、普段は着ないような明るい色に、少し可愛らしすぎるデザイン。ユフォアリーヤが「これも子供の為……」と悩んでいる間にもどんどんとカグヤセレクトが増えていく。

 ――数十分後。
 少し疲れた様子のユフォアリーヤに、げっそりとしたクーがいた。
 すっかり大人しくなった二人を引き連れて、まだまだ元気なカグヤが向かうのは古着屋と生地店。
「あら、カグヤさんに麻生君ではありませんか」
 その道中、偶然出会ったヴァルトラウテがにこにことした顔で挨拶しにやってくる。振った手には一切の荷物がなく、代わりに横にいた龍哉が買い物袋を提げていた。
「ふむ、ヴァルトラウテに龍哉か。今日は良く知り合いと会う日じゃな」
「なんだ、他にもここに来てる奴がいるのか」
「さっき月鏡さんとも会ってな。何か凄いドレス着てたぞ」
「丁度お買い物日和ですものね。ところで、四人でお買い物されていたんですか? 珍しい組み合わせですわね」
「ああ。俺ん所のガキに春物を買ってやる予定だったんだが……」
「カグヤが布買って作るんだって」
「わらわは技術者じゃ、物作りに関しては専門家じゃぞ」
 腰に手を当て、大きな胸を張るカグヤに「それは良いですわね」とヴァルトラウテが微笑む。
 その後も幾つか言葉を交わして二人と別れると、目的の物を買い、カグヤ達と遊夜達も一旦別れる事となった。

 子供の分はカグヤに任せる事になったものの、遊夜とユフォアリーヤは買い物を続ける。ついでと言っていた自分達の買い物だ。
 遊夜の分は何の問題もなかった。問題なのは――
「……ん、これが良い」
 とユフォアリーヤが差し出したのは、ざっくりと胸元まで露出した服。先程持ってきた服は、背中も少し見えていた気がする。
「露出が多すぎる、こっちにしないか?」
「……首が締まるから、やだ!」
 遊夜が勧めた服を、ほら見てよと言わんばかりに体に合わせるユフォアリーヤ。気にする程ではないが、彼女にとってはそれさえ苦手なのである。
「ええい、ならこっちは!?」
「や!」
「じゃあこれは!」

 そんな小さな攻防戦を繰り広げられている頃。
「あんな事簡単に引き受けて、大丈夫なの?」
 カグヤは早速、休憩所で作業を始めていた。
「アレは高い服なんてプレゼントしても喜ばんし、わらわは何かを創造するという作業が大好きじゃ」
「でも孤児院の子供分でしょ。多いんじゃない?」
「あー、孤児院は何人か聞いてなかったのじゃ。作れるだけ作ろうかの」
「そー。ふああ……まあいいや、帰る時間になったら起こして」
(喜んでもらえる物が出来るといいのぅ)

 ――――。
 ――。

「……ん」
「おかしい、何故こうなった!?」
 頭抱える遊夜の前には尻尾を振り振りしたユフォアリーヤの姿。手には肩が露出した色っぽい服が収まっている。
「……ん、なにも、もんだい、ない」
「はぁ……もういい、次の機会にしよう。……あとはガキ共の分だな」
 やれやれと溜め息を吐きながら、カグヤの下へと向かう。そんな愛しい人に、ユフォアリーヤはそっと呟いた。
「……ん、がんばれ、おとーさん」


『おい、服買いに行くぞ。支度しろ』
 いつも通り、五々六(aa1568hero001)の唐突で脈絡のない命令に、獅子ヶ谷 七海(aa1568)は困惑した。
 彼はいつだってパートナーの都合などお構いなしだ。
 本来なら気分の一つも害すべきところなのだろうが。
『服……私の?』
 七海も女の子である。新しい服を買ってやると言われれば悪い気はしなかった。

 そして期待を胸に、連れて来られたその店は。
「……えっと」
 右を向けば、裾がビリビリに破けてドクロが睨みつける真っ黒なシャツ。
 左を向けば、鋲打ちされたベルトがずらり。
 ゴリゴリのパンクファッション系の店だった。
「前々から思ってたんだがな。お前の服、共鳴したとき動きづれえんだよ」
 七海の普段着は、地味で大人しいジャンパースカート。
 ――そう、スカートである。
 共鳴時に主導権を握ることが多い五々六としては、さすがに思うところがあった。特に下半身がスースーするのは四十を超えた強面のおっさんには少々キツい。
 そう言う訳で五々六は、ぽかあんとしている七海の手に次から次へと趣味全開の服を乗せていく。
 革ジャンにジーンズにシルバーアクセに……。
「……えっ、えっ?」
 あっという間に全身コーデが完成すると、今度はそのまま試着室にぐいぐいと押しこんだ。

「……」
 暫くして、何とも言えない顔で出てきた七海はすっかり店の雰囲気に溶け込んでいた。
 攻撃的なファッションと幼く愛らしい顔立ちのギャップは、良い意味で周囲の目を惹く。
「なんだ、意外と似合うじゃねえか。お前、これからシシ・ヴィシャスって名乗れよ」
 それが五々六なりの褒め言葉なのか。どこぞのロッカーのような名前に、七海は唯一変わらない黄色の猫のぬいぐるみに呟く。
「この人はもしかしてバカなのかな、トラ」
 相変わらず辛辣な言葉ではあるものの、どんなものであれ服をプレゼントされて悪い気はしない。七海はぎゅっと抱いたトラで隠しながら、少しだけ口元を綻ばせた。


●美味しい時間

「お待たせしました!」
 あやかがそう言ってぱたぱたと人の間隙を縫って凱と薫の二人に駆け寄って行く。
「ううん。僕達もさっき見終わったばかりだよ」
「それよりその荷物の量は……」
「勿論、あやかの分は二人が持ってくれるよな?」
 そう言って突き出される重たそうな紙袋が三つ。残る一つの袋が智美の買い物であるならば、その量は三倍以上……否、四倍はあるかもしれない。
 小さく謝るあやかに文句を言う訳にもいかないのか、二人は苦笑いしながら受け取っていた。

 そうして、楽しそうにまた一組が立ち去って行く。
 和菓子屋の前でベンチに座る明珠は、そんな道行く人々を眺めながらゆっくりと抹茶ラテを飲み、金獅は桜餅を頬張って足を休めていた。
「……七海さん?」
 ふとその人ゴミに小さく声を投げ込めば、英字に血飛沫、ナイフのロゴのビニール袋を手に提げた三つ編み少女が立ち止まる。
「あ……ど、どうも……」
「お買い物ですか? 意外ですね、そう言った趣味は五々六さんの方かと思っていましたが……」
 何と言おうか迷っている七海などお構いなしに、五々六はどんと分厚い胸板を叩き自慢げに言う。
「おう。俺がこいつに買ってやったのよ。何せ戦う時にスカートはキツイからな」
「ま、七海なら何でも似合うと思うぜ。それより五々六と七海も一緒にどうだ? ここの桜餅美味いぞ」
「……う、うん……有難う……」

 そこに、明るい声が二人分、とことこと近付いて来る。
「百薬、ここらへんでちょっとおやつにしようか」
「あっ、和菓子屋さん!」
「やっぱり私達のおやつと言えばお餅だよね!」
 餅望月、なんていうもちもちの名前に違わず、望月にお餅は欠かせない存在だった。
 百薬も嬉しそうに外に掲げられたメニューを眺めると、大きく載せられた『桜餅』の文字を指差す。
「桜餅がいいの」
「ふむ、そうだね、春っぽいやつが良いよね」
 そう言ってはみるものの、下を見れば写真が二つ載っている。
 ピンク色の生地にあんこの包まれたものと、もち米の粒粒感が残った道明寺粉であんこが包まれたもの。どちらも食べようと決めた桜餅であった。
「噂には聞いていたけど、桜餅って長命寺と道明寺の2種類があるのね」
「食べくらべー」
 おやっと思ったのはほんの数秒だけ。迷う事なんてない、二つ食べてしまえば良いのだ。
 望月は早速、温かいお茶と共に二種類の桜餅を注文する。

 ずずー。ごっくん。もぐもぐ。
 お茶の温かさが体に沁み渡り、その苦さを甘い桜餅が和らげる。ふんわりと香る桜に春を感じながら幸せそうに食べていた望月だったが、食べかけの桜餅を握りしめ、ふっとその場で立ち上がる。
「……望月?」
「どっちが真の桜餅なのか。折角二種類置いてあるお店なんだから、ここで決着をつけるのはどうかな」
「どうやってー?」
 首をこてんと傾げる百薬に、望月はすたすたと傍で桜餅を食べている男達へ真っ直ぐと向かっていく。
「ねえねえ、あなたにとってどっちが桜餅?」
 マイクのようにした手を向けられた男。それは金獅であった。
「おー、餅もいたのか。相変わらず餅食ってんのな」
「さあ、どっち!」
「って言っても俺はよくわかんねぇしな。ガキはどうだ?」
「……私ですか?私は――」
 話を振られた明珠は、自分にとって当たり前の何でもない答えを返しながら、そっと視線をずらす。
 視界の端には古い靴の入った袋と足元の新しい靴。
 こんな平凡な日常も、戦いも。この五ヶ月を共に歩んできた靴。そして、これから新しく共にする靴だ。
(今までお疲れ様でした……そして、これからよろしくお願いします。出来れば、末長く……)
 今度は七海達に問いかける望月の楽しそうな声がする。
 それを穏やかな表情で聞きながら、明珠はこれから始まる新しい戦いへの想いを胸に秘める。
 隣では、金獅がもぐもぐと桜餅を口に詰め込みながら明珠を見つめていた。
「ありがとー! あ、赤城君がいる。行くよー、百薬!」
「おー!」
 戦いへの想い、と言っても、明珠も正義の味方を気取る気はない。私利私欲の為に生きて戦い私利私欲の為に死ぬだけである。
「やる気出たか?」
「多少……ですが」
 自分達を友と呼ぶ酔狂な連中の笑顔をもう少し見たい。その欲の為に。

「――ねえねえ、あなたにとってどっちが桜餅?」
「うおっ!?」
「あら、餅さんに百薬さんでしたか」
 突然の声に驚く龍哉に対し、ヴァルトラウテはふふっと笑って二人の名を呼ぶ。
「今ね、真の桜餅決定戦してるのー」
「それは面白そうなお話ですわね」
「と言う訳で、二人にとっての桜餅は、さあ、どっち!?」
 ずずいっと迫られて、二人は顔を見合わせると望月の問いに答えた。
 それを望月が「なるほどなるほどー」とメモしている間、龍哉はずっと考えていた事をヴァルトラウテに訊ねる。
「何つーか、俺達こんなにゆっくりしていていいのか? 空いた時間はどうせなら鍛錬に、とも思うんだが」
「良き戦士とは、緩急の付け方も身に付けているものですわ」
「そういうもんか?」
「ええ、張り詰めているだけでは持ちませんわよ」
「そうそう。他の人もゆっくり休んでるよ。ほら、あっちに金獅君とかもいるし」
 メモを終えた望月が指す方向には、おー、と手を上げる金獅とぺこりと頭を下げる明珠の姿。
 龍哉とヴァルトラウテも同様に挨拶を返すと、納得したように龍哉は呟く。
「ま、だらけるのと休むのは違うってとこか」
「そういう事、そういう事! たまにはお餅食べてお茶飲んでのんびりするといいよ」
「ははは。ま、考えてみるな」

 まだ桜餅決定戦は始まったばかり。
 次に店の前を通りがかった鈴音とN・Kが、望月の標的となってしまった。
「ねえねえ、あなたにとってどっちが桜餅?」
「……え? って、もっちー!」
「やっほー、早瀬ちゃん。長命寺と道明寺、どっちが真の桜餅かアンケート取ってるの」
「それはまた……餅さんらしいお話ね」
「さー、どっちー?」
「うーん、そうだなぁ。あたしはやっぱり――」

「――ふむふむ、どっちかって言えば道明寺の方がメジャーみたいね」
 その後も行き交う人に声を掛け続け、出た結果は少しだけ道明寺の方が多かった。
 とは言えその結果は今回限りだ。場所やタイミングが違えばまた違う結果になっただろうし、何より。
「どっちも美味しいよ」
「うん、賛成」


 休息できる場所は和菓子屋だけとは限らない。
 喫茶店では死んだようにテーブルに突っ伏した和頼と、ホクホク顔でケーキを頬張る希がいた。
「やー、買った買った!」
「……そりゃよかったな……」
「和頼は食べないの? ケーキ」
「……食う元気があると思うか?」
「やったー! いらないならアタシが食べちゃうね!」
「……」
 ……喫茶店が休息できる場所とも限らない。

 そこから少し離れた席ではぺらりとページを捲る晴明と、足をぶらぶらさせる天狼が座っている。
「ぱふぇ」
「食いたかったら勝手に注文しろ」
 そう聞くやいなや、天狼は嬉しそうな顔で店員を呼び、相変わらずちょっぴり偉ぶって注文した。
「ぱふぇを一つ、頼む」
 甘いものを与えれば、子供は黙りこみ夢中で食べる。天狼も例外ではなく、暫しの静寂が訪れて晴明は読書に集中した。
「――ハルちゃん」
「あ? もう食ったのか? ……って、口の横にクリーム付いてんぞ。ほら、貸せ」
「んー。もう、ごちそうさまする……」
 天狼は紙ナプキンで口をごしごしと拭かれながら、そう弱々しく呟いた。
 その前にあるパフェは、溶けかかったアイスと混ざり、ふにゃふにゃになったフレークが残っている。
「はあ……仕方ねぇな」
 そう言いながらも、晴明はスプーンを手に取った。

「あーっ、あのパフェもおいしそう!」
「追加で頼んでもいいけれど、食べ切れないでしょ?」
「うう……」
 向こうのテーブルに乗っかった商品を見て、ついつい頼みたくなるのは人間の性なのか。
 メリュジーヌはしょんぼりとしながらも、煉華の言葉に従ってケーキに手をつける。
「おいしいです!」
「それは良かったね」
 たっぷりのクリームとふわふわスポンジを口に含めば単純なもので、メリュジーヌはすっかりご機嫌になった。
 煉華はそんなメリュジーヌを見て微笑むと、ゆっくりとカップを傾け、紅茶で喉を潤していた。


 それぞれに楽しんだ一日も、そろそろ終わりがやって来る。
 夕暮れ時となり、百薬はのんびりと望月に言った。
「結局わたし達、何もしてないねー」
 ふらふらとお店を回ったものの、これだけの時間を使って買ったのは春物のニット一枚のみ。
 桜餅決定戦は結局どちらも美味しいと言う事になったし、桜餅とお茶はすっかりお腹の中で消化されていた。
「うん、それがいいのよ」

 傷付き、戦い疲れた日の後に、今日のようなのんびりとした一日がやって来る。
 こんな穏やかな一日があって、戦わなければならない明日がやって来る。
 だから、のんびりとでも目一杯でも。今日と言う日を楽しめたのなら、それで良いのだ。
 また、未来という日の為に。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • Analyst
    宇津木 明珠aa0086
    機械|20才|女性|防御
  • ワイルドファイター
    金獅aa0086hero001
    英雄|19才|男性|ドレ
  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • エージェント
    中城 凱aa0406
    人間|14才|男性|命中
  • エージェント
    礼野 智美aa0406hero001
    英雄|14才|男性|ドレ
  • 癒やし系男子
    離戸 薫aa0416
    人間|13才|男性|防御
  • 保母さん
    美森 あやかaa0416hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 高校生ヒロイン
    早瀬 鈴音aa0885
    人間|18才|女性|生命
  • ふわふわお姉さん
    N・Kaa0885hero001
    英雄|24才|女性|バト
  • エージェント
    獅子ヶ谷 七海aa1568
    人間|9才|女性|防御
  • エージェント
    五々六aa1568hero001
    英雄|42才|男性|ドレ
  • 妬ましい豊満
    白雪 煉華aa2206
    人間|14才|女性|攻撃
  • ポーカーフェイス
    メリュジーヌaa2206hero001
    英雄|24才|女性|ドレ
  • エージェント
    五行 環aa2420
    機械|17才|男性|攻撃
  • エージェント
    鬼丸aa2420hero001
    英雄|17才|男性|ドレ
  • エージェント
    綺月 緋影aa3163
    獣人|34才|男性|攻撃
  • バトラー
    メリオルaa3163hero001
    英雄|27才|男性|バト
  • エージェント
    土御門 晴明aa3499
    獣人|27才|男性|攻撃
  • エージェント
    天狼aa3499hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • 絆を胸に
    麻端 和頼aa3646
    獣人|25才|男性|攻撃
  • 絆を胸に
    華留 希aa3646hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 色とりどりの想いを乗せて
    蒔司aa3665
    獣人|14才|男性|防御
  • 天真爛漫
    亜莉香aa3665hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 狩る者
    武 仁狼aa3793
    機械|17才|男性|攻撃
  • 狩る者
    小狼aa3793hero001
    英雄|6才|?|ドレ
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