本部

オーパーツは危険な香り

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
0人 / 0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/02/29 18:32

掲示板

オープニング

●白昼の襲撃
 砂混じりの熱風が吹きすさぶ中、およそ40頭のラクダに乗った集団が砂漠を進んでいた。
 彼らはターバンとマントに身を包んでおり、黒い布の隙間から覗く瞳は剣呑な光を湛えている。
 マントの上からでも幾度の試練を乗り越えたのであろう屈強な身体であることが見て取れた。
 男達は道無き道を進み、しばらくして現れたのは高さ50mを超すピラミッドだった。
 周囲にはテントが設置され、数台のジープが止まっている。何十人もの人々がピラミッドを出入りし、内部の調査を行っているようだ。
 先導していた男が他の仲間達に腕を振って合図を送る。彼らは武器を構えてラクダを駆り、研究者達に襲いかかった。
 一瞬にして、辺りは阿鼻叫喚の地獄へと変わる。
「な、なんだ、君達は!」
 首元に刃を突き立てられた考古学者・アランが叫んだ。男は問いに答えず、横柄な口調で言葉を放つ。
「ここにある『オーパーツ』をよこせ」
「貴様ら……もしや、あの“セラエノ”か?」
 セラエノ——それはヨーロッパを中心に活動するヴィランの組織である。
 アランの顔に冷や汗が流れた。『オーパーツ』を狙ってわざわざエジプトにまで出向いてきたのだろう。
「……生憎だが、それらしきものは発見されていない。恐らく、このピラミッドにはないはずだ」
 黒ずくめの男は鼻を鳴らし、
「それは俺達が判断することだ。お前らはとっとと失せろ……さもなくば命はないぞ」
 アランは顔を歪め、研究者達に「逃げろ!」と叫びながら車の方へ走り出した。
 その後に続いて次々と人が駐車してある車に飛び乗り、猛スピードでその場を離れていく。
 アランも数人の仲間を乗せ、ジープを発進させる。バックミラー越しに苦い表情で黒ずくめの集団を一瞥し、先を行く車の後を追ってその場を離脱した。


●冒険の準備はできてるか?
 H.O.P.E.のミーティングルームに集められたエージェント達は前に立つアランの話を静かに聞いていた。
「——幸いにも命を落とした者はいなかった。しかし、我々が長年追い求めた研究対象を奪われた」
 アランの隣に立つオペレーターのベティ・キャロル(az0035)は、手元のタブレットを操作してモニターにピラミッドやセラエノに関する情報を表示する。
「奴の手前、『ない』とは言ったが、実はこのピラミッドには『オーパーツ』が眠っている可能性が高い。それが強大な力を秘めているものだったとしたら、セラエノの勢力は更に拡大するだろう」
「皆さん、お配りした『オーパーツ』についての資料を見てください」
 曰く、『オーパーツ』とはこの世に存在するライヴスを利用するために必要なアイテム。
 古代から錬金術や魔術として研究されてきたが、今日において製造技術は失われ、用途のわからないものも多数存在している。
「つまり、英雄や愚神など異世界の存在にダメージを与えられるもの——ですよね?」
 ベティの言葉にアランは頷く。彼女は更に言葉を続けた。
「今回の依頼は、エジプトのピラミッド内にあると推測される『オーパーツ』の回収が目的になります。アラン教授も皆さんに同行して、『オーパーツ』の発見に協力してくださるそうです」
「よろしく頼む」

 かくして、エージェント達はアラン教授と共に叡智の文明が眠るエジプトへ飛んだ。

解説

●目標
・『オーパーツ』の回収
・アラン教授の護衛

●登場
・アラン教授 考古学者
 ピラミッドの構造に詳しく、『オーパーツ』についての知識もあります。
 以前にもピラミッドの調査をしたことがあり、その道ではそこそこ有名人。

・セラエノの下っ端(盗賊集団) 40人程
 ピラミッド内で『オーパーツ』を探しています。
 出会うと戦闘に突入しますが、気付かれなければ回避可能です。
 15cmの刃がついたカタールや弓矢を装備しています。
※ただの盗賊集団なので英雄と契約はしていません。

●状況
 舞台はエジプト某所、最近発見されたピラミッドです。全長約80m、高さ約50mあります。
 ピラミッド内の道は階段が多く、途中何本か脇道があるようです。とりあえず中に入ると上る/下る階段があり、道が別れています。
 通路の幅は大人5人程、高さは2.5m程です。ピラミッド内は暗いですが、所々に松明として利用されていた薪が壁にかけられています。
 セラエノの下っ端達は既にピラミッドに侵入し、『オーパーツ』を探索している模様です。リンカーではありませんが、闘いのスペシャリストなのでご注意ください。
 ピラミッドにはトラップが仕掛けられています。どんな仕掛けがあるかはわかりませんが、上手く利用すれば盗賊集団を楽に倒すことも可能かもしれません。
 怪しいものがあった場合は、アラン教授に見せるとその正体がわかるかもしれません。
『オーパーツ』の判断は教授がしてくれます。
 教授は危機察知能力が高く逃げ足も速いですが一般人ですので、盗賊やトラップから守ってあげてください。きっと役に立つはずですよ。

リプレイ

●いざ、エジプト!
 ジリジリと肌を焦がすような太陽が照りつけ、砂漠は陽炎が揺らめいている。
 件のピラミットに到着した一行は、砂山の影からこっそりと辺りを窺った。
「やはり、正面の入り口には見張りがいるか……。だが問題はない!」
 アランはシャツの胸ポケットからメモ帳とボールペンを取り出す。ピラミッドに侵入できる抜け道や、内部の簡単な構造を描き、仕掛けられているであろう古代のトラップの説明も行う。
「教授、トレジャーハンターみたい! ……って言ったらおかしいかな?」
 楠葉 悠登(aa1592)の言葉にアランは得意気だ。
「この入り口なら、あんま目立たなくていいんじゃねぇか?」
 鹿島 和馬(aa3414)の指差す入り口は、ピラミッドの壁を3mほど登った所にある。砂山から視認しても、見張りがいる気配はない。
 和馬の意見に賛成した一行は、周囲に気を配りながらピラミッドの壁面を登って内部に侵入する。そこは正面の入り口から上に続く道をやや進んだ場所だった。
 内部は薄暗く、蒸し暑い。石に囲まれているため、焼けつくような太陽の光を避けられることだけが唯一のメリットだ。
「……さて、何処まで気づかれずに進めるかが肝でござるなぁ」
 蠢く闇を見つめながら小鉄(aa0213)は呟いた。
 小野寺 亮(aa1067)がふんわりとした声で、
「罠、時間はないですし大掛かりな物は出来ませんね。たたかわないのが一番よさそうです」
「そうですね。隠密行動を優先して、明かりの使用は最低限にしましょう」
 柔らかな声に同調するように、九字原 昂(aa0919)は微笑んで応えた。
「此方側の存在には可能な限り気付かれずにいたいな。先陣はスニーキング力の高い面々に任せる」
 冷静な爻(aa3275)とは打って変わって、元気な声が響く。
「ギシャは単騎で敵を撹乱して、みんなが先にオーパーツ見つけられるようにするね!」
 ギシャ(aa3141)の背中では、爬虫類のような小さな翼がパタパタと動いている。
 うずうずする気持ちを止められない、というように東雲 マコト(aa2412)は握りしめた拳を突き上げた。
「仕事とは言え冒険と聞くと心躍らずにはいられないなぁ! さあ出発だ! スリルとトラブルが待ち受ける冒険へ!」

 和馬が先行し、悠登、亮、小鉄、昴、爻、マコトは教授を囲むようにして上へと続く道を進む。ギシャは一行と別れ、地下へと続く道を目指した。
 トラップを警戒し、慎重に歩を進める和馬の耳に、右手側にある細い脇道から声が聞こえてきた。
 後続の仲間達にハンドサインで待機を示すと、壁に背を預け、わずかに顔を覗かせて様子を窺う。どうやら奥の小部屋でオーパーツを探しているようだ。
 視線を巡らせた和馬はあるものに気付き、思わず不敵な笑みを零した。すぐさま仲間達と合流し、状況を説明する。
「この先で敵が5人、オーパーツを探してる。――バトるか? それとも……罠にハメるか?」
 その言葉を聞いた面々の顔に、まるで水が染み渡るかのように笑み広がっていく。
 一行は敵の動向に気を配りながら、和馬が目印をつけておいたトラップまで進んだ。
「ふむ、これは落とし穴だな。どこかに起動するための仕掛けがあるはずだが……」
 辺りを見回すアランに先んじて、悠登は他よりも若干盛り上がっている石のタイルを指差した。
「あれがスイッチかな?」
「さすが、その通りだ!」
 悠登は鼻の下を指で擦った。
「へへっ。教授のレクチャーを一生懸命聴いたお陰かな」
「それなら、タイルの辺りに”コレ”を置いておけば上手く誘導できるんじゃない?」
 そう言って、マコトがポケットから取り出したのはコインと紙幣だ。意気揚揚と話す様子からは先程まで暗闇に怯え、小鉄の袖を掴んでいたとは思えない。
 爻はルビーのような瞳を煌めかせながら、
「相手は盗賊。で、あれば宝だけではなく金にも飛びつくはずだ」
 彼女の言葉に全員が頷いた。
 マコトはそろりそろりと足元に注意しながら、盛り上がったタイルの近くに2,500Gを設置する。
「金に釣られて引っかかるがいい、ふっふっふ」
 一行はトラップから距離を取り、暗がりに身を潜めた。
 ややあって、探索を終えたセラエノの下っ端達が脇道から出てくる。全身黒ずくめのマントに身を包み、顔もほとんど隠れているが、彼らからは「面倒くさい」という雰囲気が漂っていた。
「はぁ、マジだるいわ〜。全然見つかんね〜」
「どうせ、俺達にとっては何の特もないんだよなぁ。見つけたからってボーナス出るわけでもないし……」
「「だるいわ〜」」
 鬱々とした声がハーモニーを生み出しながら、ピラミッド内で反響する。
「おい! あそこに金が落ちてるぜ!」
 間違いなく、盗賊達の頭の中では「ハレルヤ」が奏でられていることだろう。
 5人の盗賊は我先にと金目がけて走り出した。先程までの団結はすっかり消え失せ、相手を押しのけて前へ出ることしか考えてない。
「やめろ、押すなよ!」
 ガコン――――パカッ。
 何が起こったのか問う間もなく、哀れな盗賊達は突如現れた闇に飲み込まれる。一連の流れを傍観していたエージェント達の表情は何とも言えないものだった。

「は~か~あらし~♪ 墓荒らし♪ 呪いに気をつけろー♪」
 仲間達と別れ、下へと進むギシャは小さな声で歌を口ずさんでいる。
 正面の入り口を通り抜けた所にある広間にたどり着き、ずらりと並ぶ石像の陰に隠れた。広間に敵はざっと数えて10人程度。
 普通なら顔をしかめる状況だが、ギシャは相変わらず楽しそうに笑っている。あらかじめイメージプロジェクターに登録しておいた盗賊の服装を呼び出して、その幻影を身に纏った。入り口の見張りをしている1人に後ろから近づき、膝の裏を蹴る。
「うわっ」
 バランスを崩して尻餅をついた男が辺りを見回す。しかし、すでにギシャは暗闇に身を潜めていた。
「何やってんだ?」
 同じく、出入り口の見張りをしている仲間が声をかけた。転んだ盗賊は疑わしげな瞳で彼を睨め付けると、
「お前がやったんだろ!」
「コケたの恥ずかしいからって、人のせいにすんなよ」
 2人の罵り合いはどんどんエスカレートし、近くにいた仲間達も集まってきた。
 ギシャはどさくさに紛れて地下へ続く道に素早く入り込んだ。わざと足音を立てて走り回り、敵が近づいてきたらピタリと音を消す。不思議な足音を聞いた盗賊達の心である思いがむくむくと大きくなっていく。
 このピラミッドは呪われているのではないか……?
 脇道に隠れていたギシャは、通り過ぎた盗賊達の背後におどろおどろしい声で呼びかけた。
「墓荒らしに呪いあれ~」
 盗賊はみっともない叫び声をあげながら、地上を目指して一目散に駆け出す。その後をギシャの可愛らしい笑い声が追いかけていった。

 一方、更に上へと進む一行は時には敵から身を隠し、またある時にはトラップに盗賊達を貶めるべく罠を仕掛けていった。誤って自爆することのないよう、亮はアランの話をもとに描いた地図に記録する。
「もう少しで頂上に着くはずだ。みんな、ここまでよく頑張ったな」
「お礼はまだ早いですよ、教授」
 昂は朗らかに微笑んだ。
 和やかな空気が流れたのも束の間のことだった。先を進む和馬から連絡があり、7人の敵がこちらに向かっていることが知らされる。
 近くには脇道も隠れられるような場所もない。まさに万事休すの状態だった。
「教授殿、拙者の後ろへ」
 小鉄はアランを背後に回して庇い、他のエージェント達も教授を囲むようにして臨戦態勢に入る。
「……! 侵入者だ!」
 反対側から進んできた盗賊達が手に手に武器を構えて、襲いかかってきた。
 ガコン――――。
 どこかで聞いたような音がした。これは確か、トラップが作動する時になっていた音……。
「ッ、教授! 危ない!」
 叫んだ昂はアランを後ろに引っ張る。
 直後、凄まじい勢いで巨大な斧が上から降ってきた。表面は鏡かと見紛う程磨かれている。
 斧は天井まで持ち上がり、再び落下する。斧が落ちてくるポイントは3カ所。
 どれも落下のタイミングが異なっているが、なんとか切り抜けることはできそうだ。
 それを見極めたエージェント達は、互いに目配せをして走り出す。
「――えい」
 亮が通路を塞ぐ敵に投げつけたのは毒蜘蛛……ではなく、有毒種によく似たものだ。しかし、薄闇の中でその判断がつかない盗賊達は、文字通り蜘蛛の子を散らすようにして退散していく。
 一行は通路を駆け抜け、頂上にある王の間に転がり込んだ。
「ふぅー、間一髪だったね」
 マコトはキャスケット帽を被り直し、部屋を見回す。王の間は中央に棺があり、周りに正方形の箱が8個置かれている。棺の中にはミイラが1体納められていた。
 息を整えていると、地下の部屋にたどり着いたギシャから通信機が入った。
『珍しいものがいっぱいある部屋に着いたよ〜。地下にはこの部屋しかないみたい』
「今、私達も頂上の部屋に到着した。これから『オーパーツ』の探索を始める。ギシャ君はその部屋の探索を頼む」
『りょーかーいっ』
 アランはエージェント達を眺め、
「1人1つの箱を担当し、怪しいものがあれば私に見せてくれ。よろしく頼む」
 各々は箱の中に詰め込まれた遺物を取り出し、『オーパーツ』の疑いがあるものを探す。
 爻は相棒の英雄のことを考えながら、箱の中の宝を物色する。
(遺跡、ピラミッド、古物、遺物……あいつが好きそうな物だ。)
「教授、『オーパーツ』についての情報を教えてくれないか?」
「実は『オーパーツ』はまだまだ謎が多く、用途が不明なものも多い……。遺跡自体が『オーパーツ』ということもあるようだが、このピラミッドにあるのは恐らく手に納まるサイズのものだろう」
「……なるほど。このピラミッドには美術的価値のある物も多いのか?」
「勿論だ。そうだな……今、君が持っているブレスレットもなかなかの物だぞ」
 そうか、と呟いた爻はトルコ石が贅沢にあしらわれたアクセサリーを見下ろし、持ち帰れそうな物の目星をつける。
 爻の他に、遺物をきらきらした目で見つめる人物がもう1人。
 高価な物ではなく、ささやかなお土産として、亮は自分だけの宝物を探していた。箱の底に転がる小さな石を拾い上げ、しげしげと見つめる。淡く輝き、透き通ったそれは水晶だった。
 これなら――、
「喜んでくれるかな……」
 亮は水晶の欠片に向かって、微笑んだ。

 『オーパーツ』探しは、形状が不明なこともあって難航していた。
 それらしいと思われる品が、次々とアランのもとにやってくる。例えば、青い狸の置物や石の仮面、戯けた表情が描かれた壷などなど……。怪しさ満点だが、どれも『オーパーツ』ではない。
「拙者の箱にはもう怪しい物はないでござる……。あ、教授! そういえば、素敵な杯を見つけたでござるよ」
 小鉄がアランに渡したのはアメシストが散りばめられた金の杯だった。アランはそれを受け取り、じっと見つめ、
「……あったぞ! これが『オーパーツ』だ!!」
 ガコン――――サラサラ……。
 一体、何が引き金になったのだろうか。『オーパーツ』を発見した途端、あるトラップが作動した。
「上から砂が降っている……。何を言ってるのかわからねーと思うが、おれも何をされたのかわk」
「何言ってんの! 早く逃げるよ!」
 マコトは和馬の襟首を引張って、走り出した。

●お家に帰るまでが冒険です。
 駆け出したマコトを先頭にみんな部屋から飛び出し、ピラミッドの出口を目指す。ギシャにも『オーパーツ』を発見した旨を伝え、今すぐ脱出するようにと連絡する。
 幸にも王の間に続く道に仕掛けられた斧のトラップは停止しており、そのまま下ることができた。だが、その間にも砂はどんどん降り積もっている。
「いたぞっ、侵入者だ!」
 向かいから敵がわらわらと押し寄せてくる。
 悠登が顔をしかめた。
「抜け穴まで、もう少しなのに……!」
 小鉄とマコト、爻が一行の前に進み出る。
「ここは我らにお任せを。みんなは教授を連れて早く脱出するでござるよ!」
 表情を引き締めた昂は小鉄に頷きを返し、
「ありがとうございます。教授、僕達から離れないでください」
「いざ、推して参る……!」
 小鉄は稲穂の輝きを瞳に湛え、苦無を構えて敵の集団に突っ込む。それを皮切りにして、マコト、爻も駆け出した。
 爻は盗賊達から距離を保ち、死者の書を開く。
「――はぁッ!」
 ライヴスを練り上げて羽根の幻を生み出し、敵の資格を奪った。
 その隙に小鉄の苦無が性格に敵を穿ち、刻んでいく。
「はるばる出張ご苦労さん、このあたしに出会ったのが運の尽きだな。ハードラックとダンスっちまいなぁ!」
 共鳴したマコトは自称ヒーロー レッドスター「ヴァンクール」に変身し、弓を持つ敵を薙ぎ払って活路を開いた。
 教授を庇いながら、悠登、昂、亮、和馬がピラミッドを脱出していく。
 盗賊達は3人の猛攻に阻まれて、追いかけることができない。
「……どけ」
 冷徹な声が辺りを凍らせる。盗賊の頭が黒い風が吹き抜けるが如く、抜け穴を守るエージェント達に迫った。
 マコトと爻は閃くサーベルに薄く裂かれたものの、致命傷は避けた。小鉄は刃を苦無で受け止める。しかし、サーベルは苦無の表面を滑り、小鉄の腕に傷を残した。
「くっ……」
 小鉄は呻きながらも、逆の手に持っていた苦無を打ち出す。苦無は太腿に命中し、頭は膝を折ってくずおれた。
 その隙にマコトが消火器を噴射し、敵に投げつける。
「今のうちだ!」
 マコト、爻、そして小鉄は抜け穴から、ピラミッドの斜面を滑り降りた。
「3人とも、こっちだ!」
 無事、脱出したアランと仲間達が手を振る。先にピラミッドから出ていたギシャも一緒にいるようだ。
「みなさ〜ん、お疲れ様です! 車を用意してありますから、早くこっちに!」
 サファリジャケットを着たベティ・キャロル(az0035)が、ジープから一向に呼びかける。
 背後で不穏な音を立てるピラミッドを尻目に、エージェント達は車に飛び乗った。一行は車窓から崩落していくピラミッドを眺めながら帰路につく。
「浪漫も大変でござるなぁ……」
 砂まみれになった小鉄が溜め息を零す。
「……オーパーツですが、いつか必要となる時が来ると昔の人は知ってたのかな?」
 悠登は亮の呟きに頷いて、応えた。
「このオーパーツが将来、エージェントの役に立つ時がくるかもしれないね」

 今回、回収された『オーパーツ』は調査の結果、文化的価値はあるもののライヴスを利用する力はないことが判明した。
 アメジストの杯は、大英博物館地下にあるH.O.P.E.ロンドン支部で今も静かに眠っている。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 忍ばないNINJA
    小鉄aa0213
    機械|24才|男性|回避

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避
  • みらいのゆうしゃさま
    小野寺 亮aa1067
    人間|18才|男性|回避
  • 薩摩芋を堪能する者
    楠葉 悠登aa1592
    人間|16才|男性|防御
  • 血まみれにゃんこ突撃隊☆
    東雲 マコトaa2412
    人間|19才|女性|回避
  • ぴゅあパール
    ギシャaa3141
    獣人|10才|女性|命中
  • エージェント
    aa3275
    獣人|21才|女性|攻撃
  • 初心者彼氏
    鹿島 和馬aa3414
    獣人|22才|男性|回避
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