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なぜおまえらはおっきいの
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おっきいの?おっきくないの?
最終発言2015/12/10 18:52:38 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/12/10 00:01:01
オープニング
「おかしい」
こつん。H.O.P.E.のエントランスで、硬い靴音が鳴る。
「何故だ」
こつん。その発生源は黒いヒール。
そこから視線を上にずらせば、ほっそり伸びた白い脚ときゅっとしたくびれがしっかりとわかるドレス。唇には赤いルージュが引かれ、アイラインやマスカラで大きく見せた目の下には、色っぽい泣き黒子があった。
「どいつもこいつも」
こつん。彼女の足が止まる。
見る者、見る者、自分と同じリンカーでありH.O.P.E.所属のエージェントだ。年は成人した彼女よりも下の者もいる。なのに、視界に入った女性達には共通点があった。その所為でここに来る度に、依頼で誰かと組む度に彼女の不満は募っていった。
「何故胸がでかいのだ!!」
顔の下に視線を戻そう。憤慨する彼女、ベルティカの胸はぺったんこ。切り立つ崖であった。
まだ英雄と出会う前……雑誌やテレビ越しでリンカーを見ていた頃、女性の三人に一人くらいの割合で胸がでかかった(※あくまでベルティカ個人の感想です)。それも桃か、メロンか、はたまたスイカか。芳醇な果物が二房並ぶが如くたゆんたゆんである。
その半分を隠さんとする服がみっちりと食い込み、谷間はIではなく自然体のY。いやこの際Iでもベルティカは構わない。ない物は寄せられないのだから。ある事自体が羨ましい。
彼女らを見る度に英雄と契約する事で大きくなるのか? H.O.P.E.には何か秘薬があるのか? と思ってさえいた。
――否。それは単なる格差であった。
その事実を痛感したベルティカは、英雄と契約してからも豆乳を飲んだり胸筋を鍛えてみたりもしてみた。でも駄目だった。でかいのは彼女の英雄、アンジュリアばかりである。
「お前がでかくてどうするのだ! 私だ、私をでかくしろ!」
「落ち着いてください、ベルティカ。そうだベルティカ、共鳴しましょう」
「そ、そうか……!」
共鳴すれば姿も変わる。彼女を羨む必要もなくなるのだ。
「ほら、私もベルティカと同じサイズに……!」
アンジュリアの胸も、ぺったんこ。
「ってちーがーう!!」
こうではない。こうではないのだ。
このままでは胸の大きなエージェント達に嫉妬して、ベルティカがヴィランになってしまうかもしれない。このコンプレックスさえなければベルティカは良い相棒である。ここは新たな方法を教えて心の安寧を保たねば。
だが過去の記憶が曖昧な所為でアンジュリアはどうやって自分が巨乳なったのか覚えていない。そもそも努力したかどうかすら不明だった。
「誰か、助けてください!」
解説
ベルティカにおっぱいが大きくなる方法を教えて、嫉妬心を抑えてあげてください。
難易度通り易しいシナリオですので、男性がぺったんこの良さを語ったりこだわりを語ったり、教える最中にラッキースケベを起こそうとするのも良いでしょう。……尚、ベルティカの胸を実際に大きくするのは難易度とても難しい、です。
あるいは「胸が大きいと肩凝りも酷いし大変なのよー?」とか苦労自慢して激昂した彼女に「っしゃーんなろ、表出ろ!」と襲いかかられるプレイングも大歓迎です。
その場合軽く戦闘になる場合がありますので、彼女を宥める方法を用意するか力ずくで抑えこんでください(激昂した分ちょっと力が強いかもしれません)。
集合場所や教わる場所はOPの場所であるH.O.P.E.内を想定しておりますが、特殊な場所でなければお外や喫茶店、その他のお店に誘い出しても構いません。
(皆がバラバラにあちこちへ誘った場合は希望が叶わない恐れがあります)
※注意!!※
リンクブレイブはお子様から大人まで楽しめるゲームです。
おっぱいと言う単語に反応してすっぽんぽーんやふう……な展開に持ち込もうとすると問答無用で床に赤い染みが広がっていくでしょう。もしくは壁で頭を擂り擂りされるかもしれません。
少年漫画程度(少年漫画でも脱ぐときは脱ぐぞとか言わない)のお色気やラッキースケベでお願いします。
あくまで紳士、淑女的にお願いします。
リプレイ
●いっぱいのいをおに変えて……おっぱお!
とんとん。鐘 梨李(aa0298)の手が、相棒のコガネ(aa0298hero001)の肩を叩く。
「……。……金ちゃん、大丈夫……?」
とんとん。それでも変わらず、コガネは白目を剥きながら呟いた。
「……コレ何の罰ゲームだよ……」
傷心のお嬢さんを励ますだけ。そう聞いて快諾したコガネがミーティングルームの扉を開けると、そこに居たのは美女。美女。美少女(以下略)。
依頼人も含めるとこの部屋には十四人の人間がいる。だが、男はコガネたった一人であった。健全な男性がこれだけの女性に囲まれて平然としていられるだろうか。この状況でやれやれと呟けるラノベ系の主人公達はきっと選ばれし者なのだろう。
仕方無く梨李がコガネの体を押し退け、改めて今回の依頼を受けた者達を確認した。桃色の瞳に映るのは美女達の顔……ではなく、女性でもつい目が行ってしまうたゆんたゆんと並んだ柔らかそうなおっぱい。
梨李はすっと自分の胸元を見下ろし、ただ死んだ魚の目した。
白目の英雄に死んだ目の能力者。実に仲良しの組み合わせである。
「……流石にここまでくると、笑うしかないか」
壁際からフッと乾いた笑いを零すのはミク・ノイズ(aa0192)。依頼人、切り立つ崖のベルティカに歩み寄り無言で握手を交わすあたり、彼女の胸元もお察しである。尚、隣にいるリスターシャ(aa0192hero001)はそれなりサイズの美乳をお持ちなので、小さき胸の絆は築かれずアンジュリアと普通に挨拶を交わしていた。
「……仲間、仲間……」
自分の体形に不満はないのだが、この虚しさは何故だろう。心の隙間を埋める様に梨李もふらふらとベルティカとミクに引き寄せられ、自然と堅い握手を交わした。
実はもう一人、言峰 estrela(aa0526)と言うぺったんこ仲間がいるような気がするのだが……彼女は何故この場にいるのか分からない、と言うように輪から目を逸らしている。貧乳から目を逸らせば、その目に映るのは大きなメロン達しかない。
「胸の良し悪しなんて気にしたことなかったけれど」
「虚無を掴もうとする者の言葉とは思えないな」
つい自分の胸に行ってしまった手。だが、無い物は掴めぬ。
そのもやもやとした表情は、キュベレー(aa0526hero001)に簡単に見抜かれていた。
「ワタシはエージェントとして、優秀で最良であればそれでいいのよ……」
●おっぱい育成計画(育つとは言っていない)
「とりあえずまずはお嬢さん方、茶でも飲むかい?」
「あら、有難う御座います」
ことん、と目の前に置かれたハーブティーに芹沢 葵(aa0094)がにこりと笑う。眼鏡の似合う黒髪の美人さんだが、やはりコガネの目に付いてしまうのはJカップのおっぱい。肩から胸元まで露出した服の所為で、余計に色っぽく見える。
「お、俺は聞かれたくない話だったら、耳塞いでるから!」
必要とされる時が来たら是非ご披露してほしいものだが、雄っぱいは今回必要とされていない。さっとコガネが後ろを向くと、アルルメイヤ リンドネラ(aa0094hero001)がうーんと口元に指を当てて考えた。
「女の子の大事な悩み。本当なら魔女っぽく解決してあげたいんだけど……」
「いや、無理でしょアルル……」
元いた世界では魔女だったらしいアルルメイヤ。だけど今は、十二時で解ける変身もカボチャの馬車も、夢を詰め込む魔法も無いわけで。力無く否定した葵に、アルルメイヤはまたアドバイスを考え始めた。
「うぅん。取り敢えず、お母様から聞いたお話と、あたし自身の体験を話してみるんだよ」
「どうしても、と言うのであれば、ご提案できる事もあるかもしれませんねぇ」
鞠丘 麻陽(aa0307)と鏡宮 愛姫(aa0307hero001)は超スイカ級のおっぱいをたゆん、と揺らして話し合っている。特に大きいのは愛姫の方であったが、着物の麻陽はその合間から零れてしまいそうだった。しかし貧乳組が何よりも気になるのは、そのおっぱいサイズにそぐわぬ幼い声と顔だ。
「な、なあ……お前、何歳だ?」
ベルティカは震えた声で訊ねる。
頼む、十八……いや、せめて高校生程度なら許そう。そんなベルティカ……否、貧乳達の熱き想いは二秒で遮られた。
「あたしは十一歳ですよ?」
「うおおおお!! 神は死んだ! 死んでいなくても私が殺ぉーす!」
「……ここに、丁度良い物がある」
狂気に陥るベルティカに、すっと死者の書を手に持つミク。神もそこに載せる気だろうか。
「カミサマって、残酷だよね……同じ人間、なのに」
「が、頑張って生きるのよ!」
梨李の目は更に死んでいく。口から何かが抜けていきそうな彼女を、何とか意識を保っていたestrelaが揺さぶった。
「神に対しそんな事を言ってはなりません」
そこに優しく咎める声と、たゆん。
一歩歩くだけで、その目の保養になる揺れ。
たゆん、たゆん。
ディエドラ・マニュー(aa0105hero001)の褐色のおっぱいだ。そのサイズは……もはや何も言うまい。だってマニューって名前じゃないか。生まれ持ったおっぱいだよ、貴方は。
「大きな乳房は豊穣の象徴、わたくしの世界でも、それは同じです」
穏やかな声に、緑髪で目を隠された神秘的な姿。彼女は豊穣を司る神に仕える巫女であり、豊穣の地母ハルュプに祈りを捧げる信徒のエルフであった。
「我等の神、大地母神にして豊穣の神であるハルュプを崇めるのです。さすればその身に豊穣が降りましょう」
母神なのに乳成る神の恩恵は、彼女の胸がありありと証明していた。それが事実であろうとなかろうと、豊かな実りに飢えた女性は一言こう返すのみである。
「はい」
「ベルティカが変な宗教に嵌りそうなのですよ!?」
「荒野に種を撒き、建築を地に還し、全てを母樹の葉の下に。さすれば大地の豊かさは、我等信徒にも与えられるのです。さぁ、鉢植えの1つからでも……」
たゆんと揺れる褐色のおっぱい。
「はい」「はい」
「他の方達まで!?」
ああ、可哀そうに。梨李も仲間ではない振りをしていたestrelaも、ディエドラの甘言に乗せられハルュプ信者と化そうとしている。残る牙城はミクだけだ。
「リスターシャ、その手を離してくれ」
こっちも駄目でした。
「……絵の美醜に乳の大小は関わらぬと前置きして、だ」
ぱらり、と本が捲られる音と凛とした声に、貧乳達がはっと我に返る。
ディエドラは善意の布教をしているだけで、悪意はない。故に参加者を眺めているだけだったティテオロス・ツァッハルラート(aa0105)。だが、仕事として相談を請け負った以上は何かせねばならないと思ったのだ。
「ふくよかな事が美しかった時代は世界各地に存在している。平安、ルネッサンス期、それは確かな事だ」
美術史を引き合いに出して語られる、ティテオロスの美観。
「しかし、そんな物は流行り廃りの中の一場面にしか過ぎない……逸品とは、そうした当時の文化的な側面を表す物ではない」
「な、なるほど……?」
つまりどういう事だってばよ。ベルティカは頭にハテナを浮かべた。他の人間には理解されているだろうが、高尚な話は彼女にはあまり伝わっていなかった。
「君が本当に胸の大小に美観を定めて欲するのなら今の技術に頼るのも、まぁ道だろう。先達も同類も居る事だ」
「今の技術……」
その言葉に思い当たる事があったようで、リスターシャは数秒考えるようにしてから貧乳達に告げる。
「胸部装甲を厚くするのであれば、改修してしまうというのも手でしょうけど」
「技術的には不可能ではないと思うが、許可が下りるかは疑問が残るがな」
ミクがそう続ける。要はアイアンパンク化という提案だ。貧乳の同志でアイアンパンクのミクがそうしないのは、既に機械化の限界まで改造済みだからである。そうでなくとも、胸の為だけに安易に決意できる事ではない。
「流石にそれは気軽に実践できそうにないわね」
estrelaはさり気なく持っていたメモに書き込めず、ペンでとんとん、と叩きながら残念そうに呟いた。その間にティテオロスは変わらぬ口調で話を締める。
「しかし真に美しい物を欲する身としては、陳腐な若者の言う自分らしさも、後付けの優位性も、また愚物の内の一つとなる、哉」
「それじゃあ、次はあたしが胸に良い食べ物を教えるよ!」
ぴっと手を挙げ、子供らしい笑顔を浮かべる麻陽。ぷるん、と揺れるそのおっぱいを羨まし気に見つめる貧乳達の視線には気付いていないようだ。
「基本的に胸に良いのは豆乳やきゃべつ、です。あとは女性ホルモンの分泌をよくするものと、牛乳のような女性ホルモンが十分な時に、必要な脂肪をつける為の栄養を備えたもの。この二つがあるよ」
「豆乳……きゃべつ……牛乳……」
梨李が暗記するようにぶつぶつと麻陽の述べたものを復唱する。
しかしベルティカは豆乳を実践済みだ。そしてご覧の有り様である。その納得していない様子を見て、麻陽は更にアドバイスした。
「元々大きくなり辛い場合は、ホルモンの分泌を助ける食事が効果があるかもしれないです。ええと……代表的な食材は、と。出たよっ!」
検索したスマフォ画面を向けると、貧乳三人組が喰いつくように覗きこむ。大豆やバナナ、アボカド、卵……あくまで検索した情報で真偽の程は定かではないが、それでも彼女達は明日にでも……否、今日の帰り道にでもスーパーに寄るのだろう。
「あたしも好きで、よく食べていました。……納豆はちょっと苦手だったけど」
「なるほど。これなら役に立ちそうね」
今度はestrelaのメモが活躍した。食べ物であれば日常でも実践しやすい。さらさらさらとペンが進む。
「エージェントとして、優秀で最良であればそれで良いのではなかったのか?」
ぴくり。動いていた手が止まり、ぎ、ぎ、と錆び付いたロボットのようにキュベレーに振り向くestrela。
「ワ、ワタシは別に大きくしたい訳じゃないけれど、知り合いの子の為にメモしてるだけよ?」
樹のつくお友達の為なのだから。決して。決して、自分の為ではないのだから。自分に言い聞かせるも、何故か妙な汗が出てきた。
「それから、私は元居た世界で体型制御の魔術の研究をしていたんですぅ。もしかしたら、必要な触媒が見つかれば、その魔術を再現できるかもしれません」
「鏡宮さんははっきりとした記憶をお持ちなんですか?」
英雄特有の曖昧な記憶の所為で、アドバイスが出来なかったアンジュリアが問う。だが愛姫も例外ではない。首をゆるりと横に振るとこう言った。
「でも他に同じような英雄がいる可能性もありますから、其方を探して力を借りる手段もあるかもしれませんねぇ」
「――そもそもベルティカさんは何でお胸が欲しい、と?」
「均整の取れた綺麗な体つきよね? わざわざ固執するからには、何かしらあると思うんだけど」
ふと訊いてきたアルルメイヤと葵に、ベルティカは顔を向ける……が悔しい事に女のベルティカですらその視線はすぐに下に行ってしまう。
「男は、胸が好きだ」
「胸の有る無しでお付き合いを考えるような人なら、忘れたほうが賢明よ?」
「そ、そうね……」
思い当たる事があったのだろう。アルルメイヤの言葉が胸に突き刺さるのは、ベルティカではなく横に居る葵であった。
「わかっている。だが、付き合うどころか出会いの時点で私は幾千の傷を心に負ってきたのだ。巨乳の顔を見て、すぐに胸に目が行きデレデレとする男。一方私には、隠しきれない残念そうな顔……くっ」
「でも胸が大きいっていう理由で振られる事もあるんですよ? 大きくても小さくても悩みの種だわ」
「そ、そうなのか? それは勿体無い事をする奴もいたものだ」
悲壮感漂う葵の告白に、ベルティカは衝撃を受ける。胸のある者が優位だと思っていた男女関係まで、巨乳の悩みがあるとは思っていなかったのだ。
「それに……予め、煽る意図は無いと言っておくけど……」
アルルメイヤがそう前置きしてから、他にも巨乳であるデメリットを挙げていく。
「まず揺れて痛いから走れないわ。無理に走れば垂れる原因に繋がるしね。次に下着が無い。可愛いとか以前にそもそも普通に売ってないの。ついでに言えば服選びも困るわ」
「ボディソープの減りが早い。ムレる。うつぶせになれない……」
「……所詮ある者達の悩みだな」
贅沢な悩みだと、ミクは葵とアルルメイヤを鋭い目で睨みつける。ベルティカも拳を握って震えているが、煽る意図は無いと言う言葉に我慢はしているようだ。
「こんな悩み無い方がいいですよ。今のサイズはいい事だと思います」
ぷちっ。
――それは、駄目だ。ちょっとのお胸がある人には慰めになる言葉だろう。だが、絶壁の者に、今のサイズ? 乾いた笑いしか出てこない。
「あと、まだ小学生のあたしの場合、クラスメイトにからかわれたり、体操服のサイズが無かったり、先生やPTAの人達から妙な目で見られたり、大変なんだよ」
爆弾なのはおっぱいだけじゃなかった。投下された麻陽の言葉に、堪忍袋の緒もブッチブチだ。
「っしゃーんなろォ! 表出ろォ!」
「べ、べるてぃかちゃん、いくら嫉ましいとしてもそれはおとなげないと思うのよ!? ワタシよりも小さな子に……」
「こんなでっかなおっぱいぶら下げて十一歳だなんてなァ……絶対年齢詐欺に決まってる! 見ろよ! これが二十歳の胸だぞ!? はは……アハハハハ!!」
「よし、手伝おう。大きさが戦力の決定的な差でないことを見せてやるのだ」
ミクも参戦し、二人揃って臨戦態勢を取る。年上のお姉さん達に鋭い視線と武器を向けられ、あわあわと怯える麻陽。じりじりと扉へ、扉へと詰め寄られていく。
そこに唯一の男の声が宥めるように穏やかに響いた。
「まぁまぁ。とにかく悲観的になっても仕方がないさ」
「男にはわからない話だろう。ベルティカ、惑わされてはいけない」
「ベルティカの嬢ちゃん、最近頑張りすぎてんじゃねぇか? ノイズの嬢ちゃんも。疲れたり色々背負いこみすぎるとな、栄養がぜーんぶ別の場所に行っちまうんだ」
言われてもいないestrelaがさり気なくまた虚空を掴んだ。
「全部自分で何とかしようとしなくてもいい。周りに巧く頼って少しでも心の余裕を作るのも大切だぜ?」
「……確かに、最近のH.O.P.E.は大規模だ何だと忙しかったからな」
「希望持っていったら良いんじゃないか?」
「……希望か」
そうして胸が大きくなるなら。確かに悲観的になって良い事などあまりないだろう。ベルティカは少しずつ落ち着きを取り戻していく。
「……金ちゃん、『希望』なんて言葉、ほいほい使ったら……まずい、よ」
が、コガネの肩にぬっと置かれた梨李の手。口から発せられるのは死んだような声。目が死んだり声が死んだり、今日の梨李はちょっと忙しい。
「ん? どうした梨李」
「 『希』は……ごくわずか、うすい、って意味があるの。そんなうすい望みは、持つだけ、無駄。むしろ叶わなくなっちゃう」
望みはきっと薄くない。今の胸部と同じだなんて思いたくない。
「『希望』じゃなくて『望み』とか『願望』って、言おうね……? 言霊使いからの、お願い」
他の貧乳達に聞こえなかった事だけが幸いであった。言霊の犠牲者が、彼女一人で済んだから。
しかし、説得にはまだ足りないと思ったアルルメイヤはこう言い出した。
「貴方に、今から大きくした未来を教えてあげましょうか」
何と言う事だ。そんな未来があると言うのか。確かに難易度とても難しいと言ったけれど、誰がそんな難易度に挑むというのだ。
「そうね……もしそうなれば、老いと共に垂れたりしぼんだりするわ」
「だが、私達にはまだ先の話で――」
ミクの言葉が止まる。それ以上は、いけない。
梨李、十三歳。estrela、十四歳。ミク、十六歳。ベルティカ、二十歳。同志の中で一番先に老いるのは……。
「あるいは未知の技術を使うことで胸だけ不自然に綺麗なままだったり」
「ああ……アイアンパンク化にはその問題もありましたか」
「一時の満足の為に、その体のバランスを崩すのはオススメしない……かしら」
「そうよ」
ぽん、とestrelaが優しくベルティカの肩を叩く。
「貴方の価値は自分で見出して自分で磨き上げてこそ輝くものよ?」
「言峰……」
「たかが胸のあるなしでべるてぃかちゃんの価値が決まる訳じゃないわ」
たかが。それが絶大な付与価値であったとしても。
大きなお胸をお持ちの者が言えば喧嘩を売るだけの言葉も、同志のestrelaに言われてはベルティカの無い胸に響いていく。
「貴方の魅力は貴方自身で見つけなさいっ」
胸を張り、自信満々にestrelaはその胸を叩く。ふわりと広がる花びらと蝶が彼女の力強い言葉と姿を引き立てた。
だが、壁を背に佇んでいたキュベレーは一人、ぽつりと呟く。
「…………そこで無い胸を注目させてどうする」
●人生になら谷間はあるんだよ
「何とか落ち着いたようで良かったですぅ」
コガネとestrela、アルルメイヤのおかげで治まった場で、ぺったんこの同志達は今までに得た情報を纏めている。
争いの火種であるたゆんたゆんは彼女達を穏やかに見守りながら揺れていた。
「あら、言峰さん。どなたかにご連絡ですか?」
「ちょっと今日の内容をお友達にメールしているのよ」
「何だ、友人の為と言うのは本当だったのか」
スマホを弄るestrelaの姿に、ミクがつまらなそうに言う。
「あ、当たり前よ!? ワタシは別に胸の事なんて……事なんて……」
「……でも、参考にはなったかも……」
梨李の言葉にはestrelaも否定できない。だがここで肯定するのも何かに負けた気がするので、ただ送信ボタンを押すだけだった。
「……あの子ぜっぺきだし、これで少しは元気になるといいけれど」
「……戦いの無い依頼は退屈だな」
「では皆さん、ご自宅に帰られても自然の素晴らしさを忘れないでくださいね」
「ノイズ。変な宗教に嵌るのはやめてね」
褐色の実りに再び誑かされる前に、リスターシャが笑顔で止める。
「これで良かった……のよね? アルル」
「まあ、嫉妬心を抑えて欲しいっていうお話だったから、今は気分も落ち着いたみたいだし大丈夫じゃない?」
「さて、私達も帰るとしようか」
壁から背を離し、キュベレーはestrelaと共に帰路に着く。
その道中、ちらりと白い髪に柔らかな曲線を生むキュベレー胸をみて、estrelaは溜め息混じりに呟いた。
「やっぱりそれくらいはほしいわよね、女の子として」
散々否定してきたestrelaだが、本音としてはやっぱり気になるものだ。
(べるてぃかちゃんも大丈夫だといいなあ)
「――へっくしゅっ!」
「もう、そんな薄着で外に出るからですよ」
そう言って、心の安寧が保たれたベルティカを優しく見つめるアンジュリア。今回集まってくれた者達のおかげだ。これで少しの間は巨乳のエージェントを見て暴れる事もないだろう。
「……ん? これは、スーパーの袋と植木鉢……?」
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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