本部

【終極】連動シナリオ

戦闘

【終極/機抗】深緑の戦場再び

茶茸

形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
8人 / 4~10人
英雄
8人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/10/25 12:00
完成予定
2018/11/03 12:00

掲示板

オープニング


「供給源が断たれたか」
 D.D.の苛立ちの表情と抑えた激情が手に取るようにわかる。
 培養槽の中で眠る長い長い髪の女性、『エスペランツァ』。
 彼女を目覚めさせるためだけにこれまで奔走していたのだ。やっと起動の目途が立った矢先に、彼女にライヴスを供給していた施設が幾つも制圧され装置が破壊されたと言う事件は無数の命を弄んで来たこの男をして平静ではいられなかった。
「あと少し、あと少しだ……完成すればもう彼女は何物にも殺す事のできない存在になると言うのに!」
 叫んだと思ったら急に黙り込んだD.D.だが、その頭の中では様々な手段が編み出され取捨選択されているのだろう。
 放っておいても最適解を見つけ出すかも知れないが、それでは少々困る。
「しょうがないわね」
 ディー・ディーはその思考を中断させるために口を開く。
「あんまり効率が良くないし、私のペットのためにとっておいたんだけど、私のペットがかなり壊されたでしょう? その残滓は完全に消えていないの。今は特にね」
 ディー・ディーの言葉の意味を理解したD.D.はメリットとデメリットを天秤にかける。
「分かった。エスペランツァの移動準備をする」
「私の方も準備しておくわね」
 ディー・ディーはそう言って部屋の外に出て行く。
「こうなるとあの子にもう少し頑張ってもらいたいけど、どうかしらね」
 D.D.が『目』として使っていたあれはディー・ディーの『目』でもあった。
 世界の混沌化が始まったためにディー・ディー細胞を使用したものは徐々に浸食が進んで行っている。
「すでに『王』は降臨なされた。私の方も仕上げに入らないといけないわ」
 ディー・ディーは自分のやりたい事しかしない。他の愚神や自分の従魔がいくら殺されようとも気にしない。何故ならその全ては『王』のためになるのだから。『王』のために在るのが己なのだから。 
 行き先は南米アマゾン。
 彼の地で起きた戦いの残滓は世界の混沌化により再び目覚めようとしていた。


 ニューヨーク支部の一室。先のライヴス生産補給装置破壊作戦の報告書と共に現在の状況を報告したタオ・リーツェンはぐったりと椅子にもたれていた。
「すげえ怒られた……」
 ケッツァー・カヴァーリはさもありなんとしたり顔だ。
「送り出した部下が自殺を考えていたとあってはのう」
「何他人事みたいな顔してやがる。俺に賛同したアンタも覚悟しとけよ!」
 睨みつけて来るタオの目を、ケッツァーは複雑な気持ちで見返す。
「D.D.とやらの因縁は何処までもお前を祟るようじゃのう」
 タオの義眼と義肢は当時アルター社の裏で活動していたD.D.が作り出した物だと判明している。
 以前ほぼ完全な状態で入手できたRGW兵の脳を解析した時、タオの義眼と義肢にも同様の波長が見られる事に気付いた。そこから分かったのはタオの義眼―――脳と繋がっているそれをD.D.がモニタリングし、タオは図らずも周囲の情報を流すスパイとなっていたと言う事実だ。
 そして『王』が出現し、世界の混沌化が始まった頃にタオにも異変が起きた。
 黒い義眼は若草色に変色し、両手足の義肢には異形化の片鱗が現れた。従魔化である。
 これまでもD.D.に関わる中で激情に振り回され心身共に疲弊してきたタオはここにきてその気力も尽き、自我を無くす前にと自死を望み、ケッツァーもまた従魔と化すくらいならと介錯する覚悟をした。
 しかし報告を受けたニューヨーク支部長エルヴィス・ランスローとギアナ支部長M・Aが説教と共に『即刻集中治療だ! 贖罪の機会なら生きていれば必ず来る!』と研究所に放り込もうとして周囲を巻き込む大騒ぎになった。
「おい笑ってんじゃねえよ。このままだと俺は従魔化、アンタも下手すりゃ邪英化だ」
「わかっとるわい」
 タオの異変は日を追う毎に増していく。義眼と頭部に着けた機械はモニタリングを防ぐために作った物だ。従魔化の進行を防ぐ事はできない。
「何とかするならD.D.かディー・ディー、どちらかの技術知識は必要か……」
 思考の海に沈みかけたタオは緊急連絡を伝えるアラームによって引き戻された。


「南米アマゾンでライヴスの異常が発生、同時にプリセンサーが多数の従魔の出現を察知しました」
 タオの言葉にブリーフィングルームに緊張が走る。
 緊急連絡で伝えられたのはインカ・ギアナ支部からの【森蝕】を彷彿とさせる異常事態報告であった。
 すでにインカ・ギアナ支部のエージェント達がその対処を始めているが、タオが担当する事になったのは未だ見ぬ脅威『エスペランツァ』と、全ての元凶である愚神ディー・ディーとD.D.の同時出現であった。
「先の任務で手に入れた情報の中にこの事件を示唆する地図がありました」
 『エスペランツァ』に供給されるライヴスを断つためのライヴス生産・補給装置の破壊作戦。
 タオが同行したエージェントチームは作戦を成功させた上で情報を手に入れる事にも成功していた。
 世界地図の上にいくつも書かれたマーカー。
 特に中南米はアマゾンを中心にマーカーが集中しており、それを【森蝕】の事件発生地点と重ねるとほぼ一致する。
「ヤツ、失礼。彼等は『エスペランツァ』へのライヴス供給源が断たれ、直接ライヴスを補給する手段に出たと思われます」
 これまで倒された愚神・従魔が混沌化への布石だったとしたら【森蝕】で倒された数多くの愚神・従魔の残滓が残るアマゾンは従魔の再出現とライヴスの採取に最適だとタオは言う。
「皆さんには、『エスペランツァ』の破壊、もしくはディー・ディーとD.D.の撃破・捕縛を狙ってもらいます」
 プリセンサーが察知したのは出現までだったが、位置ならばほぼ正確に割り出せると言う。
「私は彼等の『目』でした。それを逆探知する事で位置を割り出します」
 タオは人前では閉じて糸目にしている目を開き義手を覆うグローブを外す。
 若草色の瞳と義手に纏わり付く血管のような物。義手そのものも変形している。
「RGWに愚神の細胞をもとにした物が使われているのはご存知ですね? 私の義眼・義肢にも私自身のライヴスに紛れる程度ですがディー・ディーの細胞が使われていました。そして私の『目』に干渉する事で周囲の状況を見ていたようです」
 図らずもスパイとなっていた事を告白したタオはそれでも同行を願い出た。
「ディー・ディー細胞は私と同化し、異形化……つまり従魔化が進行しています。従魔化を止めるには細胞の持ち主であるディー・ディーか、これを作ったD.D.の技術知識が必要と考えています」
 タオは深く頭を下げる。
「命懸けで任務に当たってくださる皆様には申し訳ないと思っています。事が終われば如何なる処分も受けましょう。ですが、今はどうか任務の達成と協力をお願いします」

解説

●目的
・『エスペランツァ』の破壊
・愚神ディー・ディー/D.D.どちらかの撃破か捕縛

●状況
・南米アマゾンの密林
 愚神ディー・ディー/D.D.が『エスペランツァ』を伴って出現する地点から約10km離れた場所からスタート。周辺はライヴスの異常でジャミングが掛かっているような状況
 密林の木々は異常発達し道中の視界は悪いが敵出現地点半径100mはかつての戦闘の名残で拓けている

●敵
・『RGW兵:シールド』×10
 盾型RGW装備
 対物・対魔能力と生命力が高くカバーリング性能に優れる
・特殊スキル
・「エスカヴェランテ」/1ラウンド中防御大アップ、移動不可。味方ダメージを肩代わりする

・『RGW:アサルト』×15
 ライフルと大型ナイフのRGWで武装
 物理攻撃・命中高め
・特殊スキル
・「ガッビヤーネ」/敵一体をスタン(拘束)

・『ディー・ディー』/トリブヌス級愚神
 戦闘は不得手だが高いバフ・デバフ技能を持つ
・特殊スキル
・「アクアマンティード」/薬であり毒でもある。一回の使用につき一つの効果
 攻撃↑・防御↓
 命中↑・回避↓
 範囲300mの敵に毒(減退)
・「変質」/蓄積したダメージの3割分を回復
・「合成」/危険な状態で使用すると思われるが詳細不明

・『D.D.』/人間
 ステータスは人間以上。高い生命力と再生能力を持つが戦闘は不得手
・特殊スキル
・「グラッツィオーネ」/特殊な薬品が入った弾丸。数種類を使い分ける
 防御・回避↑
 小回復・確率でBS解除
 敵に封印
・「自己再生」:自身を中回復・BS解除

●NPC
・『タオ・リーツェン』/カオティックブレイドスキルを使用
 従魔化により能力が向上。範囲と射程に+補正
 「待機」か「参戦」かは指示に従う
・特殊/「待機」
「援護」/味方に確率でBS解除
「狙撃」/敵に封印か拘束

・特殊/「参戦」
「結界装置」/範囲内に特殊抵抗↑
「回復装置」/範囲内にラウンド中1~3回微量回復

マスターより

 愚神ディー・ディー/D.D.がエージェントの前に姿を現します。
 更に新たな脅威として登場した『エスペランツァ』もまだ起動していない状態で同じ場所に出現。
 今回狙えるのは『エスペランツァ』の破壊、愚神ディー・ディーかD.D.の撃破または捕縛ですが、護衛のRGW兵が邪魔をしてきます。目標を絞って行動しなければ目的達成は難しいでしょう。
 再び危機に陥った南米アマゾンを舞台に、皆様がどんな戦いを繰り広げるか楽しみにしております。

関連NPC

  • エージェント
    タオ・リーツェンaz0092
    アイアンパンク|20才|男性|生命適性
  • エージェント
    D.D.az0126
    人間|30才|男性|生命適性

リプレイ公開中 納品日時 2018/11/04 10:59

参加者

  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
    人間|18才|女性|生命
  • Black coat
    榊 守aa0045hero001
    英雄|38才|男性|バト
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • その背に【暁】を刻みて
    藤咲 仁菜aa3237
    獣人|14才|女性|生命
  • 守護する“盾”
    リオン クロフォードaa3237hero001
    英雄|14才|男性|バト
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 希望の格率
    君島 耿太郎aa4682
    人間|17才|男性|防御
  • 革命の意志
    アークトゥルスaa4682hero001
    英雄|22才|男性|ブレ
  • 明日に希望を
    ナイチンゲールaa4840
    機械|20才|女性|攻撃
  • 明日に希望を
    善知鳥aa4840hero002
    英雄|20才|女性|ブラ

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