本部
奪い合うカレワラ ~魚骨の唄~
- 形態
- シリーズ(新規)
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 4~8人
- 英雄
- 7人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/10/23 07:30
- 完成予定
- 2018/11/01 07:30
掲示板
-
相談卓だよ
最終発言2018/10/23 03:40:14 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/10/23 03:28:45
オープニング
●パレオマニア
フランス南部の街、トゥールーズの入り組んだ路地を、男が歩いている。浅黒い肌を隠すように殊更襟を立て、帽子を目深に被っている。
男はある店の前で止まる。パレオマニア。その妙な看板の骨董店に男が入っていく。帽子を目深に被った怪しい風体に、店の主人も怪訝そうな目を向けた。
口元だけが、そんな視線を楽しむように笑っている。
「何かお探しですか? 最近の出物だと――」
「パレオマニア――古代妄想狂ってところか。面白い屋号だな」
声を聞いた主人の顔が目に見えて険しくなっていく。
「お前、H.O.P.E.の――」
「憶えていたか。キターブ・アルセルフだ」
勿体つけて帽子を取り、恭しく頭を下げる。
「……何の用だ」
「客商売の顔じゃないな。アレグ」
早速アレグが殺気じみた気配を放つが、それを無視してキターブはカバンからあるものを取り出した。それは今しがた土の中から取り出されたように酷く汚れた何かだった。
「……これは、竪琴か。相当古い。材質は、何だ?」
キターブが露骨に破顔する。敵が持ってきたとはいえ、古物商としてこの遺物に無視し得ないものを感じたのだろう。
「最近いい腕の贋作師を拾ってね。そいつに作らせた」
「贋作、なのか」
「材質は魚の骨を使ってる。本当はカマスを使いたかったが、マグロので代用してる」
「カマスの竪琴……ワイナモイネンか」
我が意を得たりとばかりにキターブが手を叩く。
ワイナモイネン。フィンランド叙事詩『カレワラ』における登場人物だ。ワイナモイネンは叙事詩の中で巨大なカマスの怪物を倒し、その骨を使って竪琴を作ったとされている。
「これを俺に買い取れと?」
「いいや。ある富豪に売り込んでほしい。そしてあるものを交換してきてもらいたいんだ」
「交換?」
「件の富豪がオーパーツを所有していてな、H.O.P.E.から再三の要求を拒み続けている」
「そりゃそうだ。H.O.P.E.といえど人の宝に手出ししていい理屈はない」
「保管環境が十分なら認めているさ。だがそうはいかない事情が出来てな」
いつの間にか店の中の椅子に座っているキターブは、骨董品を弄いながら話す。
「セラエノがそのオーパーツを狙っている」
「H.O.P.E.で守ってやればいい」
「いざとなればそうするが、より経済的なほうが好まれる」
経済的。つまりなるべく安く済ませたいということだ。
「俺が拒むとは考えないのか」
大げさに目を開き、キターブが微笑む。
「そのときはH.O.P.E.に君の情報を全て渡すだけだ」
●オーパーツの取引
フォンランドの北端、イナリ湖に浮かぶ島の一つに建てられた城は、アーロ・フィルペリ子爵の居城となっている。
その豪華な客間では、二人の男がアタッシュケースを挟んで座っていた。
「珍しい客人だ。骨董品を売りに来たと」
「はい。子爵に是非見ていただきたいものが」
言って、男はケースの蓋を開けて中身を見せた。それだけで、胡乱な客をあしらおうとしていた子爵が息を呑んだ。
白く尖った骨が複雑に入り組んでいる凡そ長方形をしたもの。一見してそれと分かるような特徴はないが、じっくり眺めている子爵の目には確信の色があった。
「もしや……ワイナモイネンの魔琴か」
「さすがカレワラ研究の第一人者。ご慧眼です」
歯の浮くような文句を並べ立てるアレグは、客向けの柔和な笑みを深めた。
「いやはや、素晴らしい。是非買い取らせてもらおう。そちらの言い値で構わんよ」
会って十分と経たずに商談を成立させようとする。なるほど果断な性格のようだ。
「いえ、申し訳ありませんが、とても金額のつけられるものではないので」
「それでは一体――」
何のために持ち込んだというのか。子爵の訝しむ視線を正面から見据えて、アレグは本題を切り出した。
「子爵の所有するものに、大変な遺物があるとお聞きしました。それも同じく、カレワラの至宝だと」
「……サムポの破片か。それと交換しろとでも」
アレグはゆったり間を取ってから頷いた。
サムポの破片。ワイナモイネンの竪琴と同じくカレワラに出てくる遺物である。草木の成長を操る力を持ち、壮絶な争奪戦の末に砕かれ、破片は海に没したとされている。
「……H.O.P.E.に聞いたか?」
「噂程度に。ご安心を。この取引はH.O.P.E.に気取られてはおりません」
抜け抜けと言ってみせるアレグ。子爵はソファに深く背を預け、大きく息を吐いた。
その様子を見て、アレグは薄ら寒い心地を感じていた。ここまでの展開を、キターブから既に言い含められていたからだ。
子爵の持つサムポの破片はオーパーツであることから、H.O.P.E.は再三移譲を請求している。しかしあくまで個人の所有物であるため、拒まれればどうしようもない。そのため彼は古物商であるアレグに竪琴を持ち込ませ、それと交換させる作戦に出た。
オーパーツの持つ価値は計り知れないが、その在処がH.O.P.E.にも知られているとなれば社会的な信用に影響を及ぼす。実際、子爵と好んで取引しようという古物商は殆どおらず、本来の事業である木材の輸出業も不振が続いている。
カレワラ研究者の一面を持つ子爵だが、H.O.P.E.の足がついた品はなるべく早く手放したいはずだ。取引する余地は十分に存在する。
子爵が難しい顔つきで思案に耽っていると、家人が何か用を取り次ぐために恭しく部屋に入ってきた。
「旦那様。お客様が、その……」
「今は応対中だ。待っていただけ」
「それが、H.O.P.E.のエージェントと名乗っておりまして」
瞬間、子爵の射るような視線がアレグへと向けられた。
●セラエノとの談合
アーロ・フィルペリ子爵の居城から離れた岸辺で、キターブはしきり時間を気にしていた。すでにアレグは子爵と会合しているはずだ。仕掛けとしては単純だ。アレグにはすぐに看破されるだろうが、奴が取れる選択肢は限られている。
キターブはスマホを取り出すと、予め設定してある番号を呼び出した。
「こちらキターブ・アルセルフです。ええ、あるヴィランがノイエラ氏の屋敷を訪れていまして。至急リンカーの派遣をお願いします。場所はフィンランドのイナリ湖です」
より経済的に。労は少なく、実りは多く、犠牲は他へ強いるに限る。
H.O.P.E.への連絡を済ませたキターブは、さらにもう一件電話をかけた。
「どうも。以前はお世話になりまして。フィルペリ子爵の城はH.O.P.E.への応対で手一杯でしょう。ええ、盗みに入るなら好機かと……いやあ、それはそちらの手際次第ですので。期待していますよ――セラエノの方」
解説
======OP解説======
・目的
ヴィランの撃退。
・ヴィラン
アレグ・ブーネ 足技を主体とした格闘技『サバット』を得手とする。
ヴァニタス・ヴァニタトゥム アレグに憑依している英雄。
・場所
フィンランド北部、イナリ湖に浮かぶ島。
マスターより
======MSより======
キターブからの通報で、フィンランドのアーロ・フィルペリ子爵の居城にヴィランが訪れていることが判明しました。彼が行動を起こす前に制圧してください。
しかしキターブはまだ何か企んでいるようで、セラエノもこの場に呼び寄せています。オーパーツを追っている彼らの妨害があるかもしれません。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/10/31 19:37
参加者
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相談卓だよ
最終発言2018/10/23 03:40:14 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/10/23 03:28:45